JP3293701B2 - 可逆性感熱記録媒体 - Google Patents
可逆性感熱記録媒体Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、可逆性感熱記録媒体に
関し、とくに温度の変化により透明度を変化させること
で所望の文字、数字、記号、パターン等（以下「文字
等」と記す）を可逆的に書き込むことが可能な可逆性感
熱記録媒体に関する。本発明の可逆性感熱記録媒体は、
たとえば各種のプリペイド方式の磁気カードの磁気記録
内容に対応した文字等を印字して、磁気記録内容を目視
可能とする用途に有効に利用できる。
関し、とくに温度の変化により透明度を変化させること
で所望の文字、数字、記号、パターン等（以下「文字
等」と記す）を可逆的に書き込むことが可能な可逆性感
熱記録媒体に関する。本発明の可逆性感熱記録媒体は、
たとえば各種のプリペイド方式の磁気カードの磁気記録
内容に対応した文字等を印字して、磁気記録内容を目視
可能とする用途に有効に利用できる。
【０００２】
【従来の技術】可逆性感熱記録媒体において、可逆性感
熱記録塗料を用いて形成された感熱記録層は、外部から
熱を加えられたときに、その温度に応じて、透明な状態
から白濁状態までの範囲でその光透過度を変え、冷却後
にはその状態を保持する性質をもつので、文字等を書換
え可能に記録することができ、通常は透明状態の背景に
白濁させた文字等を書き込んでいる。また通常、書込み
はサーマルプリンタで行い、消去は熱板または熱ロール
で行っている。このような可逆性感熱記録材料として、
たとえば特開昭６３−３９３７８号、特開昭６３−１３
０３８０号、特開平２−１３６３号公報等に記載された
ものが知られている。
熱記録塗料を用いて形成された感熱記録層は、外部から
熱を加えられたときに、その温度に応じて、透明な状態
から白濁状態までの範囲でその光透過度を変え、冷却後
にはその状態を保持する性質をもつので、文字等を書換
え可能に記録することができ、通常は透明状態の背景に
白濁させた文字等を書き込んでいる。また通常、書込み
はサーマルプリンタで行い、消去は熱板または熱ロール
で行っている。このような可逆性感熱記録材料として、
たとえば特開昭６３−３９３７８号、特開昭６３−１３
０３８０号、特開平２−１３６３号公報等に記載された
ものが知られている。
【０００３】これら公知の可逆性感熱記録塗料は、基本
的には、 (1) 樹脂母材 (2) 高級脂肪酸 (3) 有機溶媒 の３成分からなっている。樹脂母材としては、一般に塩
化ビニル・酢酸ビニル共重合体が使用されている。また
高級脂肪酸としては、炭素数１６〜２４程度の脂肪酸、
たとえばステアリン酸あるいはベヘン酸が多く用いられ
ている。有機溶媒は、樹脂母材、高級脂肪酸を溶解し得
るもので、一般的にはテトラヒドロフラン（ＴＨＦ）が
使用される。
的には、 (1) 樹脂母材 (2) 高級脂肪酸 (3) 有機溶媒 の３成分からなっている。樹脂母材としては、一般に塩
化ビニル・酢酸ビニル共重合体が使用されている。また
高級脂肪酸としては、炭素数１６〜２４程度の脂肪酸、
たとえばステアリン酸あるいはベヘン酸が多く用いられ
ている。有機溶媒は、樹脂母材、高級脂肪酸を溶解し得
るもので、一般的にはテトラヒドロフラン（ＴＨＦ）が
使用される。
【０００４】このような可逆性感熱記録媒体は、具体的
にはポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）のような基
材の表面に、磁性層、平滑層、および金属蒸着層を設
け、その上に感熱記録層を形成した層構成を有し、さら
にその上にハードコート層が設けられる。またハードコ
ート層の塗布時に感熱記録層に影響を及ぼすのを防止す
るために、この両者間に目止め層が設けられる場合もあ
る。
にはポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）のような基
材の表面に、磁性層、平滑層、および金属蒸着層を設
け、その上に感熱記録層を形成した層構成を有し、さら
にその上にハードコート層が設けられる。またハードコ
ート層の塗布時に感熱記録層に影響を及ぼすのを防止す
るために、この両者間に目止め層が設けられる場合もあ
る。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】前述のような従来の可
逆性感熱記録媒体において、媒体の通常の形態において
使用中に、はなはだしい場合には製造の直後に、感熱記
録層の上に設けられたハードコート層が剥離してくる現
象が認められている。またハードコート層の下に目止め
層を設けた場合には、ハードコート層が目止め層ととも
に剥離するという現象が生じる。このような剥離が起き
ると、外観が低下するばかりでなく、書込みあるいは消
去の際に感熱記録層が損傷を受けて、感熱記録層に形成
された文字等の視認性が低下するという重大な欠陥とな
る。
逆性感熱記録媒体において、媒体の通常の形態において
使用中に、はなはだしい場合には製造の直後に、感熱記
録層の上に設けられたハードコート層が剥離してくる現
象が認められている。またハードコート層の下に目止め
層を設けた場合には、ハードコート層が目止め層ととも
に剥離するという現象が生じる。このような剥離が起き
ると、外観が低下するばかりでなく、書込みあるいは消
去の際に感熱記録層が損傷を受けて、感熱記録層に形成
された文字等の視認性が低下するという重大な欠陥とな
る。
【０００６】本発明の目的は、従来の可逆性感熱記録媒
体に生じていた、感熱記録層からハードコート層が剥離
することがないように改良した可逆性感熱記録媒体を提
供することである。
体に生じていた、感熱記録層からハードコート層が剥離
することがないように改良した可逆性感熱記録媒体を提
供することである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明によれ
ば、加熱により透明状態と白濁状態とを可逆的に繰り返
す感熱記録層を備えた可逆性感熱記録媒体において、前
記感熱記録層は、樹脂母材、カルボキシル基を有する脂
肪族炭化水素および有機溶媒に加えて、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスチレン−ステア
リルメタクリレート共重合体およびポリスチレン−シク
ロヘキシルマレイミド共重合体からなる群より選ばれた
少なくとも１種からなる第１のセグメントと、ポリメチ
ルメタアクリレートおよびアクリロニトリル−スチレン
共重合体からなる群より選ばれた少なくとも１種からな
る第２のセグメントとからなるブロックポリマーが含有
されていることを特徴とする可逆性感熱記録媒体が提供
される。
ば、加熱により透明状態と白濁状態とを可逆的に繰り返
す感熱記録層を備えた可逆性感熱記録媒体において、前
記感熱記録層は、樹脂母材、カルボキシル基を有する脂
肪族炭化水素および有機溶媒に加えて、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスチレン−ステア
リルメタクリレート共重合体およびポリスチレン−シク
ロヘキシルマレイミド共重合体からなる群より選ばれた
少なくとも１種からなる第１のセグメントと、ポリメチ
ルメタアクリレートおよびアクリロニトリル−スチレン
共重合体からなる群より選ばれた少なくとも１種からな
る第２のセグメントとからなるブロックポリマーが含有
されていることを特徴とする可逆性感熱記録媒体が提供
される。
【０００８】本発明者等は、従来のような構成の可逆性
感熱記録媒体において、感熱記録層と、その上に設けら
れたハードコート層とが剥離してくる現象について鋭意
研究を行った結果、感熱記録層を形成するための塗料中
に、特定のブロックポリマー添加することにより、ハー
ドコート層の剥離を効果的に防止する技術の開発に成功
した。
感熱記録媒体において、感熱記録層と、その上に設けら
れたハードコート層とが剥離してくる現象について鋭意
研究を行った結果、感熱記録層を形成するための塗料中
に、特定のブロックポリマー添加することにより、ハー
ドコート層の剥離を効果的に防止する技術の開発に成功
した。
【０００９】本発明者の研究によると、ハードコート層
の剥離は、可逆性感熱記録媒体の製造中もしくは製造直
後に、感熱記録層に含有されている高級脂肪酸、ジカル
ボン酸またはジヒドロキシカルボン酸などのカルボキシ
ル基を有する脂肪族炭化水素や、ステアリルステアレー
トなどの有機カルボン酸エステルといった油脂成分が層
表面に浮き上がって膜を形成し、この油脂膜が、その上
に設けられる目止め層やハードコート層との密着性もし
くは接着性を阻害するのが主な原因であることを見出し
た。このような油脂膜の形成を防止するには、カルボキ
シル基を有する脂肪族炭化水素や、有機カルボン酸エス
テルなどの油脂成分の含有量を減らすことが考えられる
が、この場合には、前記油脂成分が、透明状態と白濁状
態との間の変化を利用して可逆的な記録を行うための重
要な物質であるために、発色性の低下や、印字感度の低
下等の欠点を招来する。しかしながら、本発明にしたが
って、塗料中に特定のブロックポリマーを添加しておく
ことにより、前記油脂成分の含有量を減らすことなく、
油脂膜の形成が有効に防止され、目止め層またはハード
コート層との良好な密着性が得られる。
の剥離は、可逆性感熱記録媒体の製造中もしくは製造直
後に、感熱記録層に含有されている高級脂肪酸、ジカル
ボン酸またはジヒドロキシカルボン酸などのカルボキシ
ル基を有する脂肪族炭化水素や、ステアリルステアレー
トなどの有機カルボン酸エステルといった油脂成分が層
表面に浮き上がって膜を形成し、この油脂膜が、その上
に設けられる目止め層やハードコート層との密着性もし
くは接着性を阻害するのが主な原因であることを見出し
た。このような油脂膜の形成を防止するには、カルボキ
シル基を有する脂肪族炭化水素や、有機カルボン酸エス
テルなどの油脂成分の含有量を減らすことが考えられる
が、この場合には、前記油脂成分が、透明状態と白濁状
態との間の変化を利用して可逆的な記録を行うための重
要な物質であるために、発色性の低下や、印字感度の低
下等の欠点を招来する。しかしながら、本発明にしたが
って、塗料中に特定のブロックポリマーを添加しておく
ことにより、前記油脂成分の含有量を減らすことなく、
油脂膜の形成が有効に防止され、目止め層またはハード
コート層との良好な密着性が得られる。
【００１０】本発明において、ハードコート層の剥離を
防止する目的で、感熱記録層を形成する塗料に添加され
るブロックポリマーとは、第１のセグメント（以下「Ａ
成分」という）と、第２のセグメント（以下「Ｂ成分」
という）とからなるＡ−Ｂ型のブロックポリマーであ
る。
防止する目的で、感熱記録層を形成する塗料に添加され
るブロックポリマーとは、第１のセグメント（以下「Ａ
成分」という）と、第２のセグメント（以下「Ｂ成分」
という）とからなるＡ−Ｂ型のブロックポリマーであ
る。
【００１１】Ａ成分の例としては、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン、ポリス
チレン−ステアリルメタクリレート共重合体、ポリスチ
レン−シクロヘキシルマレイミド共重合体等が挙げられ
る。またＢ成分の例としては、ポリメチルメタアクリレ
ート、アクリロニトリル−スチレン共重合体等が挙げら
れる。これらのＡ成分およびＢ成分は、それぞれ２種以
上が共存していてもよい。
プロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン、ポリス
チレン−ステアリルメタクリレート共重合体、ポリスチ
レン−シクロヘキシルマレイミド共重合体等が挙げられ
る。またＢ成分の例としては、ポリメチルメタアクリレ
ート、アクリロニトリル−スチレン共重合体等が挙げら
れる。これらのＡ成分およびＢ成分は、それぞれ２種以
上が共存していてもよい。
【００１２】また日本油脂（株）から「モディパー」の
商品名で市販されているブロックポリマーを使用するこ
ともできる。具体的には、「モディパーＨ５００」、
「モディパーＳＶＢ−３０」、「モディパーＭＳ１０Ｂ
−３０」等である。
商品名で市販されているブロックポリマーを使用するこ
ともできる。具体的には、「モディパーＨ５００」、
「モディパーＳＶＢ−３０」、「モディパーＭＳ１０Ｂ
−３０」等である。
【００１３】ただし、実験の結果によれば、分子内にフ
ッ素またはケイ素を含有しているブロックポリマーは、
本発明の目的を達成できないことが判明した。その理由
として、分子内にフッ素またはケイ素を含有しているブ
ロックポリマーは、樹脂や油脂成分との相溶性が悪いた
め、感熱記録層の内部に存在できず、感熱記録層表面に
配列してしまうことが挙げられ、そのため本発明には適
用できない。
ッ素またはケイ素を含有しているブロックポリマーは、
本発明の目的を達成できないことが判明した。その理由
として、分子内にフッ素またはケイ素を含有しているブ
ロックポリマーは、樹脂や油脂成分との相溶性が悪いた
め、感熱記録層の内部に存在できず、感熱記録層表面に
配列してしまうことが挙げられ、そのため本発明には適
用できない。
【００１４】このようなブロックポリマーを添加するこ
とにより、感熱記録層から油脂成分が浮き上がるのを防
止する理由としては、油脂成分の周囲をブロックポリマ
ーの分子が取り囲んでミセル状の微細粒子を形成し、こ
の微細粒子が、感熱記録層を構成する樹脂母材中に均一
に分散されることが考えられる。この結果、油脂成分の
感熱記録層上への浮き上がりが効果的に防止され、その
上に形成される目止め層またはハードコート層との密着
性が改善される。これにより、ハードコート層が剥離す
るという欠点がなくなるとともに、可逆的な記録に重要
な役割を果たす油脂成分の分散性が向上するため、感熱
記録層に対する印字感度および印字コントラストも大幅
に向上する。
とにより、感熱記録層から油脂成分が浮き上がるのを防
止する理由としては、油脂成分の周囲をブロックポリマ
ーの分子が取り囲んでミセル状の微細粒子を形成し、こ
の微細粒子が、感熱記録層を構成する樹脂母材中に均一
に分散されることが考えられる。この結果、油脂成分の
感熱記録層上への浮き上がりが効果的に防止され、その
上に形成される目止め層またはハードコート層との密着
性が改善される。これにより、ハードコート層が剥離す
るという欠点がなくなるとともに、可逆的な記録に重要
な役割を果たす油脂成分の分散性が向上するため、感熱
記録層に対する印字感度および印字コントラストも大幅
に向上する。
【００１５】ブロックポリマーの添加量にとくに制限は
ないが、感熱記録層を形成するための塗料中に、好まし
くは０．０１〜１０重量％、とくに好ましくは０．１〜
１重量％の割合で添加した場合に良好な結果が得られ
る。
ないが、感熱記録層を形成するための塗料中に、好まし
くは０．０１〜１０重量％、とくに好ましくは０．１〜
１重量％の割合で添加した場合に良好な結果が得られ
る。
【００１６】なお感熱記録層は、他の添加剤として、フ
タル酸ジオクチル、メチルフェニルシリコーンオイル、
環状ジメチルシリコンオイル等を含有することができ
る。これらの添加剤の添加量としては、樹脂母材に対し
て、フタル酸ジオクチルであれは２．５〜５．０重量
％、メチルフェニルシリコーンオイル、環状ジメチルシ
リコンオイルであれば０．０５〜０．５重量％が適当で
ある。
タル酸ジオクチル、メチルフェニルシリコーンオイル、
環状ジメチルシリコンオイル等を含有することができ
る。これらの添加剤の添加量としては、樹脂母材に対し
て、フタル酸ジオクチルであれは２．５〜５．０重量
％、メチルフェニルシリコーンオイル、環状ジメチルシ
リコンオイルであれば０．０５〜０．５重量％が適当で
ある。
【００１７】
【実施例】以下に本発明の一実施例による可逆性感熱記
録媒体を、図１に示した磁気カードに適用した場合につ
いて説明する。
録媒体を、図１に示した磁気カードに適用した場合につ
いて説明する。
【００１８】図１に示した可逆性感熱記録媒体は、基材
１上に、磁性層２、平滑層３、金属蒸着層４、感熱記録
層５、必要に応じて設けられた目止め層６、およびハー
ドコート層７をこの順序で形成したものである。
１上に、磁性層２、平滑層３、金属蒸着層４、感熱記録
層５、必要に応じて設けられた目止め層６、およびハー
ドコート層７をこの順序で形成したものである。
【００１９】基材１として、たとえばポリエチレンテレ
フタレート、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニルおよびポリ
カーボネート等の合成樹脂シート、あるいは合成紙等を
用いることができる。この基材１の片面に、フェライト
粒子のような磁性体を含有する塗料を用いて磁性層２が
設けられている。
フタレート、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニルおよびポリ
カーボネート等の合成樹脂シート、あるいは合成紙等を
用いることができる。この基材１の片面に、フェライト
粒子のような磁性体を含有する塗料を用いて磁性層２が
設けられている。
【００２０】平滑層３は、この上に形成される金属蒸着
層４の表面が鏡面となるために適度な平滑性を与えるも
のである。
層４の表面が鏡面となるために適度な平滑性を与えるも
のである。
【００２１】金属蒸着層４は、アルミニウム、スズ等の
金属を蒸着により数百オングストローム、好ましくは３
００〜９００オングストロームの厚さに形成され、その
上に形成される感熱記録層５の文字等の情報を反射光で
見やすくするものである。
金属を蒸着により数百オングストローム、好ましくは３
００〜９００オングストロームの厚さに形成され、その
上に形成される感熱記録層５の文字等の情報を反射光で
見やすくするものである。
【００２２】感熱記録層５は、樹脂母材、カルボキシル
基を含有する脂肪族炭化水素化合物、必要に応じて添加
される低Ｔｇ樹脂、およびブロックポリマーを有機溶媒
に溶解した塗料を用い、金属蒸着層４上に、ワイヤーバ
ーのような適宜の塗布手段により塗布、乾燥して、たと
えば厚さ約４μｍの厚さに設けられる。樹脂母材として
は、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂（たとえばユ
ニオンカーバイド社製商品名「ＶＭＣＨ」）を有利に使
用できる。また低Ｔｇ樹脂は、透明化温度域の拡大のた
めに添加されるもので、樹脂母材よりも低い、好ましく
は５０℃以下のガラス転移温度をもつ樹脂、たとえばア
クリル系樹脂、ポリエステル樹脂、あるいはポリアミド
樹脂からなる。とくにアクリル系樹脂（たとえば東亜合
成化学（株）から商品名「Ｓ−２０４０」で市販されて
いる、アクリル系樹脂の３０％溶液）を有利に使用でき
る。
基を含有する脂肪族炭化水素化合物、必要に応じて添加
される低Ｔｇ樹脂、およびブロックポリマーを有機溶媒
に溶解した塗料を用い、金属蒸着層４上に、ワイヤーバ
ーのような適宜の塗布手段により塗布、乾燥して、たと
えば厚さ約４μｍの厚さに設けられる。樹脂母材として
は、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂（たとえばユ
ニオンカーバイド社製商品名「ＶＭＣＨ」）を有利に使
用できる。また低Ｔｇ樹脂は、透明化温度域の拡大のた
めに添加されるもので、樹脂母材よりも低い、好ましく
は５０℃以下のガラス転移温度をもつ樹脂、たとえばア
クリル系樹脂、ポリエステル樹脂、あるいはポリアミド
樹脂からなる。とくにアクリル系樹脂（たとえば東亜合
成化学（株）から商品名「Ｓ−２０４０」で市販されて
いる、アクリル系樹脂の３０％溶液）を有利に使用でき
る。
【００２３】目止め層６は、ハードコート層７の形成の
ために使用される溶媒から感熱記録層５を保護したり、
印刷層の密着性を向上させるために設けられる。
ために使用される溶媒から感熱記録層５を保護したり、
印刷層の密着性を向上させるために設けられる。
【００２４】ハードコート層７は、磁気カードの表面を
保護するためのもので、たとえばセルロース系樹脂、ウ
レタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、エ
ポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等の耐摩耗性および耐熱
性の良好な材料によって形成される。これらの樹脂に
は、可塑剤としてフタル酸エステル、脂肪酸エステル、
リン酸エステル等を添加することができ、また滑性を付
与するものとして、低分子ポリエチレン、オレイルアマ
イド、ステアリルアマイド、シリコーン等を添加するこ
とができる。なおハードコート層７は目止め層６を介さ
ずに感熱記録層５上に直接形成してもよい。
保護するためのもので、たとえばセルロース系樹脂、ウ
レタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、エ
ポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等の耐摩耗性および耐熱
性の良好な材料によって形成される。これらの樹脂に
は、可塑剤としてフタル酸エステル、脂肪酸エステル、
リン酸エステル等を添加することができ、また滑性を付
与するものとして、低分子ポリエチレン、オレイルアマ
イド、ステアリルアマイド、シリコーン等を添加するこ
とができる。なおハードコート層７は目止め層６を介さ
ずに感熱記録層５上に直接形成してもよい。
【００２５】ここで、使用する溶剤の量を少なくするた
めに、アクリル系、エポキシ系、ポリエステル系等の紫
外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂を用いることもでき
る。このハードコート層７の厚さは、たとえば１０μｍ
以下、好ましくは１〜５μｍ程度である。
めに、アクリル系、エポキシ系、ポリエステル系等の紫
外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂を用いることもでき
る。このハードコート層７の厚さは、たとえば１０μｍ
以下、好ましくは１〜５μｍ程度である。
【００２６】なお図示していないが、目止め層６とハー
ドコート層７との間、またはハードコート層７上に印刷
層を設けることができる。印刷層をハードコート層７上
に設ける場合には、印刷層上に印刷保護層を設けること
が望ましい。
ドコート層７との間、またはハードコート層７上に印刷
層を設けることができる。印刷層をハードコート層７上
に設ける場合には、印刷層上に印刷保護層を設けること
が望ましい。
【００２７】本発明の効果を実証するための実験を行っ
た。
た。
【００２８】図１の構成の可逆性感熱記録媒体におい
て、下記の組成からなる塗料を使用して形成した感熱記
録層５を有する２種の試料を調製した。
て、下記の組成からなる塗料を使用して形成した感熱記
録層５を有する２種の試料を調製した。
【００２９】 ドデカン二酸 ５重量部 ステアリルステアレート ２５重量部 ＶＭＣＨ ６０重量部 Ｓ−２０４０ ６６重量部 ＭＳ１０Ｂ−３０ ２．４重量部 ＴＨＦ ５００重量部 なお感熱記録層５は、アルミニウムからなる金属蒸着層
４上に、ワイヤーバーにより塗布後、１３０℃で１分乾
燥して形成された。各層の厚さは下記のとおりである。
４上に、ワイヤーバーにより塗布後、１３０℃で１分乾
燥して形成された。各層の厚さは下記のとおりである。
【００３０】 基材 約１８８μｍ 磁性層 約 １１μｍ 平滑層 約 ２μｍ 金属蒸着層 約７００オングストリーム 感熱記録層 約 ４μｍ 目止め層 約 １μｍ ハードコート層 約 ３μｍ ハードコート層７は、大日本インキ化学工業社製ハード
コート剤（商品名「Ｃ３ー３７４」）１００重量部、信
越化学社製シリコーンオイル（商品名「ＫＦ−９６」）
３重量部からなる塗料を塗布し、８０℃で１分乾燥後、
１６０Ｗ／ｃｍ×３灯、３０ｍ／ｍｉｎの条件で紫外線
を照射して硬化させて形成した。
コート剤（商品名「Ｃ３ー３７４」）１００重量部、信
越化学社製シリコーンオイル（商品名「ＫＦ−９６」）
３重量部からなる塗料を塗布し、８０℃で１分乾燥後、
１６０Ｗ／ｃｍ×３灯、３０ｍ／ｍｉｎの条件で紫外線
を照射して硬化させて形成した。
【００３１】また比較のために、ブロックポリマーであ
るＭＳ１０Ｂ−３０を添加しなかった以外は、前記と同
一の組成の塗料を用いて感熱記録層を形成して比較試料
を調製した。
るＭＳ１０Ｂ−３０を添加しなかった以外は、前記と同
一の組成の塗料を用いて感熱記録層を形成して比較試料
を調製した。
【００３２】得られた試料および比較試料について、ハ
ードコート層７の密着性、機械的強度および記録特性を
測定した。得られた結果を下記の表１に示す。なおハー
ドコート層７の密着性の測定は、クロスカット剥離試験
（ＪＩＳ Ｋ５４００）にもとづいて行われた。
ードコート層７の密着性、機械的強度および記録特性を
測定した。得られた結果を下記の表１に示す。なおハー
ドコート層７の密着性の測定は、クロスカット剥離試験
（ＪＩＳ Ｋ５４００）にもとづいて行われた。
【００３３】
【表１】 1) 爪で擦ると剥がれる。
【００３４】2) 斑点状になったり、すじが見られる。
【００３５】3) Ｏ．Ｄ．値では差はほとんどないが、
目視で若干白色度が劣る。
目視で若干白色度が劣る。
【００３６】表１から明らかなように、本発明にもとづ
く試料では、ハードコート層７の密着性が大幅に改善さ
れているばかりでなく、記録特性も改善されている。
く試料では、ハードコート層７の密着性が大幅に改善さ
れているばかりでなく、記録特性も改善されている。
【００３７】
【発明の効果】以上のように本発明の可逆性感熱記録媒
体によれば、感熱記録層と、その上に設けられる目止め
層やハードコート層との密着性が格段に向上し、ハード
コート層の剥離が防止され、また記録時のコントラスト
も上昇しており、可逆性感熱記録媒体としての品質の大
幅な向上が達成される。
体によれば、感熱記録層と、その上に設けられる目止め
層やハードコート層との密着性が格段に向上し、ハード
コート層の剥離が防止され、また記録時のコントラスト
も上昇しており、可逆性感熱記録媒体としての品質の大
幅な向上が達成される。
【図１】本発明の一実施例による可逆性感熱記録媒体の
部分縦断面図。
部分縦断面図。
１ 基材 ２ 磁性層 ３ 平滑層 ４ 金属蒸着層 ５ 感熱記録層 ６ 目止め層 ７ ハードコート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北原 清志 東京都文京区小石川四丁目14番12号 共 同印刷株式会社内 (72)発明者 藤田 実 東京都文京区小石川四丁目14番12号 共 同印刷株式会社内 (56)参考文献 特開 平４−221677（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) B41M 5/36
Claims (1)
- 【請求項１】加熱により透明状態と白濁状態とを可逆的
に繰り返す感熱記録層を備えた可逆性感熱記録媒体にお
いて、前記感熱記録層は、樹脂母材、カルボキシル基を
有する脂肪族炭化水素および有機溶媒に加えて、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスチレン
−ステアリルメタクリレート共重合体およびポリスチレ
ン−シクロヘキシルマレイミド共重合体からなる群より
選ばれた少なくとも１種からなる第１のセグメントと、
ポリメチルメタアクリレートおよびアクリロニトリル−
スチレン共重合体からなる群より選ばれた少なくとも１
種からなる第２のセグメントとからなるブロックポリマ
ーが含有されていることを特徴とする可逆性感熱記録媒
体。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP27758693A JP3293701B2 (ja) | 1993-10-08 | 1993-10-08 | 可逆性感熱記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP27758693A JP3293701B2 (ja) | 1993-10-08 | 1993-10-08 | 可逆性感熱記録媒体 |
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| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07108767A JPH07108767A (ja) | 1995-04-25 |
| JP3293701B2 true JP3293701B2 (ja) | 2002-06-17 |
Family
ID=17585533
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP27758693A Expired - Fee Related JP3293701B2 (ja) | 1993-10-08 | 1993-10-08 | 可逆性感熱記録媒体 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3293701B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR20170062886A (ko) | 2015-11-30 | 2017-06-08 | 주식회사 엘지화학 | 투명 열가소성 수지 및 이의 제조방법 |
-
1993
- 1993-10-08 JP JP27758693A patent/JP3293701B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR20170062886A (ko) | 2015-11-30 | 2017-06-08 | 주식회사 엘지화학 | 투명 열가소성 수지 및 이의 제조방법 |
| WO2017095038A1 (ko) | 2015-11-30 | 2017-06-08 | (주) 엘지화학 | 투명 열가소성 수지 및 이의 제조방법 |
| CN107207684A (zh) * | 2015-11-30 | 2017-09-26 | 株式会社Lg化学 | 透明热塑性树脂及其制备方法 |
| KR101940038B1 (ko) | 2015-11-30 | 2019-01-18 | 주식회사 엘지화학 | 투명 열가소성 수지 및 이의 제조방법 |
| US10316179B2 (en) | 2015-11-30 | 2019-06-11 | Lg Chem, Ltd. | Transparent thermoplastic resin and method of preparing the same |
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Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH07108767A (ja) | 1995-04-25 |
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