JP3290695B2 - 疲労特性と局部変形能に優れた良加工性高強度鋼板とその製造方法 - Google Patents

疲労特性と局部変形能に優れた良加工性高強度鋼板とその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車等の構造物に用い
られ、構造の軽量化、省エネルギー、安全性の向上に貢
献することのできる鋼材を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼材の高強度化は、Si、Mn等の合
金元素によるフェライトマトリックス固溶強化、N
b、Ti、V等の微細析出物によるフェライトマトリッ
クスの析出強化、パーライト、ベイナイト、マルテン
サイト等の低温変態生成物を利用した組織強化、フェ
ライト粒径の微細化による細粒効果、冷間加工による
加工強化、等が有り、各々の特徴を生かした製品が市場
に供給されている。高強度鋼板を自動車等の構造物に適
用し、軽量化、省エネルギー、安全性の向上等を目指す
場合には、鋼板の強度上昇と共に、(1)鋼板の種々の
加工性能(例えば深絞り成形性、張り出し成形性、バー
リング加工性等)の向上、(2)溶接性と耐熱軟化性の
保持、向上、(3)耐久性(例えば疲労耐久性や耐腐食
耐久性)の保持、向上などが要求され、使用部位によっ
て異なった特性の組み合わせが要求される。例えば自動
車用のロードホイールディスクに高強度鋼板が適用され
る場合には、高いプレス成形性(特に延性)と疲労耐久
性に優れた鋼板が要求されている。
【0003】この様な要求に応えるものとしてフェライ
ト/マルテンサイト2相組織鋼板(いわゆるDual
Phase:DP鋼板)が提示されている(例えば特公
昭56−18051号公報や特公昭59−45735号
公報)。このDP鋼板は他の種々の強化機構により強化
された高強度鋼板に比べて疲労耐久性に優れており、ロ
ードホイールディスクの薄肉化(軽量化)や耐久性向上
に貢献している。また複雑な成形加工を要求する部位で
は、均一変形能の向上が要求され、このために室温で残
留オーステナイトを含む高延性高強度鋼板(特願昭61
−146084号)が提示されている。また、自動車の
足回り部品等で問題となる穴広げ性に代表される局部変
形能を向上させた鋼板としてSi添加型の高延性高強度
鋼板(特開昭61−19733号公報等)が提示されて
おり、自動車等の構造物に適用する際に重要となる溶接
(スポット溶接、バット溶接、アーク溶接等)性、耐熱
軟化特性と加工性を兼ね備えた鋼板としては析出強化型
の低合金高強度鋼板(HSLA鋼板)が広く用いられて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】加工性の中で特に自動
車足回り部品やそれに類する構造用部品で要求される穴
広げ加工に代表される局部変形能に優れた鋼板であるS
i添加型の高延性高強度鋼板やNbやTi等を添加した
溶接性、耐熱軟化特性及び穴広げ加工性に優れた析出強
化高強度鋼板は、DP鋼に比べて疲労耐久性に劣り、疲
労耐久性が要求される部位には使用されていない。一
方、疲労耐久性に優れた鋼板として知られるDP鋼板は
穴広げ加工性が他の高強度鋼板に比べて大きく劣る事か
ら、利用部位が制限されている。この様に、自動車等の
構造物の中で重要な保安部品として位置づけされる部位
では、一般的に疲労耐久性の向上と穴広げ性に代表され
る局部変形能の向上の両立が要求されるにも関わらず、
現在のところの両方を同時に満足する鋼板及びその製造
方法は提示されていない。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは種々の実験
的検討を通じて、疲労強度や局部変形能の支配要因を基
礎的に調査した結果、主相組織をフェライトもしくはベ
イナイトとし、粒界に存在する鉄炭化物の量とサイズを
制御した鋼板が、従来困難とされてきた高疲労強度と良
好な穴広げ加工性(局部変形能)を両立させることが可
能である事を見いだした。すなわち (1)C≦0.014重量%、Mn≦3.5重量%、S
i≦2.5重量%を含有し、かつ、Cu≦2.0重量
%、Mo≦1.0重量%、Cr≦1.5重量%の範囲で
これらの中の1種又は2種以上を合計で0.3重量%以
上6.0重量%以下、残部Feおよび不可避的不純物よ
りなる鋼を、熱間圧延もしくは熱処理により製造される
高強度鋼板において、ミクロ組織がフェライト、ベイナ
イト、パーライトの少なくとも1種以上で構成され、パ
ーライトの面積率が4%以下であり、粒界に於ける鉄炭
化物の占有率が0.1以下でかつこの鉄炭化物の最大粒
子径が1μm以下である事を特徴とする疲労特性と局部
変形能に優れた良加工性高強度鋼板。
【0006】()C≦0.06重量%、Mn≦3.5
重量%、Si≦2.5重量%を含有し、かつ、Nb≦
0.1重量%、Ti≦0.2重量%、V≦0.2重量%
の範囲でこれらの中の1種又は2種以上を合計で0.3
重量%以下、残部Feおよび不可避的不純物よりなる鋼
を、熱間圧延もしくは熱処理により製造される高強度鋼
板において、ミクロ組織がフェライト、ベイナイト、パ
ーライトの少なくとも1種以上で構成され、パーライト
の面積率が4%以下であり、粒界に於ける鉄炭化物の占
有率が0.1以下でかつこの鉄炭化物の最大粒子径が1
μm以下であることを特徴とする疲労特性、局部変形能
及び溶接性に優れた良加工性高強度鋼板。
【0007】()Cu≦2.0重量%、Mo≦1.0
重量%、Cr≦1.5重量%の範囲でこれらの中の1種
又は2種以上を合計で0.3重量%以上6.0重量%以
下含むことを特徴とする()記載の疲労特性、局部変
形能に優れた良加工性高強度鋼板。 ()Ca≦0.01重量%、希土類元素(REM)≦
0.1重量%の範囲でこれらの内の1種又は2種以上を
含有する事を特徴とする(1)又は()記載の疲労特
性と局部変形能に優れた良加工性高強度鋼板。 ()フェライト粒径あるいはベイナイトのパケットサ
イズが7μm以下であることを特徴とする(1)又は
)記載の疲労特性と局部変形能に優れた良加工性高
強度鋼板。
【0008】()λ×σ0.8≧50かつσw/σ≧
0.6を同時に満足することを特徴とする(1)又は
)記載の疲労特性と局部変形能に優れた良加工性高
強度鋼板。 ()粒界における鉄炭化物の最大粒径が0.4μm以
下で、フェライトもしくはベイナイトパケット粒径が5
μm以下であり、σw/σ≧0.65かつλ×σ0.8
50を満足することを特徴とする(1)又は()記載
の疲労特性と局部変形能に優れた良加工性高強度鋼板。 ()熱延後冷却し鋼板を製造する際に、(Ar3−3
0)℃以上で仕上げ熱延後1〜200℃/秒の冷却速度
で冷却し、鋼のベイナイト変態開始温度以下、マルテン
サイト変態開始温度以上で巻取る事を特徴とする(1)
又は()記載の疲労特性と局部変形能に優れた良加工
性高強度鋼板の製造方法にある。
【0009】
【作用】高強度鋼板の疲労強度は通常鋼板の強度と共に
上昇し、鋼板の破断強度のおおよそ1/2程度の大きさ
を持つと言われている。しかしながらこの疲労強度は鋼
板のミクロ組織により変化する事がこれまでに報告され
ており(例えば水井ら:材料 第38巻 第429号
p.15〜21)、鋼板のミクロ組織の最適化が重要で
ある。一般に鋼板の強度が50kgf/mm2 を越える
と、鋼板の疲労強度の鋼板強度に対する比は小さくな
り、疲労強度増加に及ぼす強度上昇の効果は小さくな
る。本発明者らはNb等の添加により強化された低合金
高強度鋼板(HSLA鋼)における繰り返し応力下の疲
労亀裂の発生を詳細に調査した結果、粒界に存在する塊
状もしくは板状の鉄炭化物起因で疲労亀裂が発生し、ま
たこれら硬質の粒界鉄炭化物が亀裂の伝搬阻止に寄与し
ていない事を見いだし、これらが鋼板の強度上昇に伴う
疲労強度の上昇を妨げていることを見いだした。
【0010】従ってこの様な粗大な粒界鉄炭化物を減少
させる事が、鋼板のミクロ組織を最適化する事と同様、
鋼板の疲労強度を向上させる事に有効である(図1)。
実施例表2に示すように(例えば鋼E)、鋼板の疲労強
度を高めるためには鋼板中の鉄炭化物面積率(fv)を
下げることよりも粒界の炭化物占積率を低下させること
がより重要である。鋼板の疲労強度はフェライトマトリ
ックスの強度及び粒径に大きく依存し、フェライト粒界
に存在する鉄炭化物の量とサイズを制御することで、固
溶強化、析出強化、細粒化強化による鋼板の強化が鋼板
の疲労強度向上に効果的に働く。
【0011】鋼板の穴広げ加工性に代表される局部変形
能は鋼板の延性の中で局部延性を向上させる事が有効な
事は言うまでも無いが、鋼板の強度を上昇させる事は一
般的に延性を劣化させる事につながる。鋼板の局部変形
能を劣化させる要因としては、局所的に存在する硬質相
が挙げられる。従って製鋼段階で生成する介在物の除去
と無害化は重要な基本技術である。製鋼段階で生成する
この様な非金属介在物が十分に取り除かれた場合の局部
変形能は組織の一様性に依存する事が知られており、こ
の為に、鋼板のミクロ組織をベイナイト単相に近づけ、
更にSi添加によって鋼板の延性を高める技術が報告さ
れている(例えば特開昭61−19733号公報)。
【0012】しかしながらこれら従来の知見では、粒界
に存在する鉄炭化物の量とサイズを制御することが見い
だされていないことから、鋼板の穴広げ性と共に疲労強
度を高めることには成功していない。鋼板の局部変形能
に関しても、鋼板のマトリックスをフェライトもしくは
ベイナイトとした場合の穴広げ加工性は粒界に存在する
鉄炭化物の量やサイズによって変化し(図2)、的確な
鋼板化学成分の選択と製造条件の選択によって粒界鉄炭
化物を制御した鋼板は極めて良好な穴広げ加工性を有す
る事が判明した。この様に鋼板の疲労強度及び穴広げ加
工性に代表される局部変形能が粒界に存在する鉄炭化物
によって変化する事から、これを制御する事によって従
来困難であった上記2つの特性を両立させる事が可能で
ある事が判明した。
【0013】以下に本発明の構成要素の作用を述べる。 粒界鉄炭化物:鋼板中の固溶炭素量が熱延工程の最終段
階でのフェライト中の平衡固溶炭素量を上回る場合に
は、余剰炭素は、最終ミクロ組織がフェライトを主相と
する場合にはフェライト粒界または粒内に、またベイナ
イトを主相とする場合にはベイナイトのパケット(Sh
eaf)間、ベイナイトとフェライトの界面またはパケ
ット内に鉄炭化物として析出する。この他に例えば熱間
圧延によって鋼帯が製造される場合に、最終工程である
巻取り処理工程がベイナイト変態温度領域の低温側(3
50℃以下でマルテンサイト変態開始温度Ms以上)で
行われた場合にはベイナイト中のフェライト粒内に鉄炭
化物を含む場合がある。また熱処理によって製造した鋼
の場合には上記粒やパケット内、粒界共に鉄炭化物を含
む場合がある。鋼板の最終的なミクロ組織をフェライト
もしくはベイナイトが主相の場合には、粒界(ベイナイ
トパケット間、ベイナイトとフェライトの界面及びフェ
ライト粒界をさす)に存在する鉄炭化物の存在量とサイ
ズによって鋼板の疲労強度と穴広げ加工性に代表される
局部変形能が変化する。
【0014】種々の成分の鋼を加工熱処理により熱延鋼
板として局部変形能の代表である穴広げ加工性を調査す
ると、鋼板の強度σ(kgf/mm2 )と穴広げ加工性
(円錐ポンチを用いたバリ外の穴広げ試験で得られる最
終穴径と初期穴径との比λ)の間には負の相関が認めら
れ、σを上げるとλは一般的には減少する。この時通常
の高強度鋼板(析出強化高強度鋼板等)は強度と穴広げ
加工性のバランスを表すλ×σ0.8 の値が高々50未満
である。これらの高強度鋼板の粒界鉄炭化物を調査する
と、一般に鉄炭化物の粒界占有率が0.1以上になって
おり、粒界でのこれら鉄炭化物粒子の連結が甚だしい。
良好な穴広げ加工性と鋼板強度のバランスを得るために
λ×σ0.8 の値を50以上にするには少なくとも粒界の
鉄炭化物占有率を0.1以下に制限する事が必要であ
る。(図2)。従って本発明では鉄炭化物による粒界の
占有率を0.1以下に規定する。この時、鉄炭化物によ
る粒界の占有率は、鋼材の断面サンプルにおいて、ある
領域での粒界の総長さLと、鉄炭化物によって占有され
ている粒界の長さの総和dとの比d/Lで与えられる。
測定は、200倍以上の倍率の光学顕微鏡観察写真にお
いて、画像処理によってLおよびdを直接求めても良
い。より簡便な方法としては、上記写真上に描いたn本
の直線と粒界との交点の数Nと、N個の交点の中でその
交点の位置に鉄炭化物が存在した場合の数Mを用いてM
/Nで求める方法がある。この時、採用する直線の数n
を3以上とすることで十分な精度が確保できる。また、
写真の倍率は、この1本の直線と粒界の交点の数が10
以上になるように選択することで十分な精度が確保でき
る。
【0015】粒界の鉄炭化物占有率が0.1以下である
場合にも鉄炭化物の連結が甚だしい場合が有り、この場
合にはλ×σ0.8 ≧50を満足する穴広げ加工性の良好
な鋼板となり得ない。粒界に存在する鉄炭化物の最大粒
子径(測定は2次元の切断面上に現れる粒界上の鉄炭化
物占有最大長さとして行われる)が1μm以上になると
λ×σ0.8 の値が50を超えない。従って良好な穴広げ
性を得るために、本発明では粒界の鉄炭化物占有率を
0.1以下に規定すると同時にそれら鉄炭化物の中の最
大粒子径を1μm以下とする。
【0016】疲労強度σwは106 サイクルの平面曲げ
繰り返し応力負荷で疲労で破断しない応力の下限値とし
て定義し、鋼板の強度σとの比をもって特性の優劣を判
定する。鋼板の疲労強度σwは鋼板の強度σと共に上昇
する傾向にあるが、比σw/σは一般的には0.5〜
0.6程度の範囲で変化する。鋼板の最終的な組織の主
相をフェライトもしくはベイナイトとした場合に、粒界
の鉄炭化物占有率が0.1を超えると通常の高強度鋼板
(析出強化高強度鋼板等)同様σw/σは0.5〜0.
6の間の値を取り、十分な疲労強度は得られない。
【0017】一方粒界の鉄炭化物占有率0.1以下で且
つこれら鉄炭化物の最大粒子径が1μmを超えない場合
にはσw/σの値が0.6以上となり、現在使われてい
る鋼板のなかで最も安定して高い疲労強度を示すと考え
られるDP鋼の疲労強度のレベルと同一もしくはそれ以
上となる。従って鋼板の疲労強度を高め、σw/σの値
を0.6以上とするために、本発明では粒界の鉄炭化物
占有率を0.1以下に規定し、且つそれら鉄炭化物の最
大径(最大長さ)を1μm以下と規定する。
【0018】以上の事から、局部変形能の代表である穴
広げ加工性に優れ(λ×σ0.8 ≧50)、同時に高い疲
労強度(σw/σ≧0.6)を有する鋼板として、主相
がフェライトもしくはベイナイトであり、粒界の鉄炭化
物占有率が0.1以下で且つこれら鉄炭化物の最大粒子
径が1μm以下の鋼板を本発明の範囲とする。また鋼板
の疲労強度を更に高め、σw/σ≧0.65にする為に
は、望ましくは粒界に存在する鉄炭化物の最大粒子径を
0.4μm以下に規定する必要がある。
【0019】C:Cは粒界の鉄炭化物の源となることか
ら極力低下させることが必要であるが、その含有量が
0.03重量%以下の場合には粒界鉄炭化物の量とサイ
ズは本発明の範囲内であることが確認されているために
これをC添加の上限とした。しかしながら、Ti、N
b、V等の強い炭化物形成元素を添加した場合には鋼板
中のC原子の一部またはほぼ全量がこれらの合金炭化物
としておもに粒内に析出することから、粒界の有害な鉄
炭化物量を減少させることが出来る。この様な場合にお
いてもC添加量が0.06重量%を越えると鋼板の疲労
強度と局部加工性が著しく低下することからこれをT
i、Nb、V等が添加された場合のC添加量の上限とす
る。このときのTi、Nb、Vの添加量に関しては後に
示す制限内とする。
【0020】Mn、Si、Cu、Mo、Cr、Ni:こ
れらの合金元素はフェライトマトリックス中に固溶する
事によって鋼板の強度を上昇させることができる。しか
しながら、これらの1種または2種以上の元素の添加量
の合計が0.3重量%未満である場合には鋼板の強度を
50kgf/mm2 にする事は困難であり、本発明の対
象とする高強度鋼板が得られないのでこれを下限とす
る。Mnは固溶強化と共に鋼板の焼き入れ性も高める
が、3.5%以上では溶接部の必要以上の硬化等により
鋼板の性能を劣化させるのでこれをMn添加量の上限と
する。Siはフェライトマトリックスの固溶強化と共に
粒界の鉄炭化物を細粒化する働きがあるが、その添加量
が2.5重量%を越えると鋼板の低温靱性を損なうこと
から、これをSi添加量の上限値とした。
【0021】Cuは固溶もしくは析出強化により鋼板の
強度を大きく上昇させることができる。しかしながらそ
の効果は2重量%以上では飽和するのでこれをCu添加
量の上限とした。またCuを添加する際にはスラブの表
面性状を良好に保つためにNiを添加しても良い。Mo
はMnと同様の働きをすると同時に、鋼板中のC原子を
炭化物の形で固着し、粒界鉄炭化物の量を減少させる働
きがある。また溶接熱影響部の軟化防止にも有効であ
る。しかしながら、多量のMo添加は生産コストの上昇
を招き、更に鋼板の焼き入れ性を必要以上に高めること
から、1.0重量%をMo添加量の上限とした。
【0022】CrはMoと同様の働きをするが、その効
果は1.5重量%以上では飽和するためにこれをCr添
加量の上限とした。これらの合金元素の1種または2種
以上を添加する際に、その合計が6.0重量%を越える
と鋼板の強度が必要以上に高くなり鋼板の加工性を著し
く劣化させることからこれらをこれらの元素の合計添加
量の上限とした。これら以外の強化元素として一般に用
いられているPは粒界に偏析することで鋼板の疲労強度
を劣化させるのでその含有量を0.01重量%以下に制
限することが望ましい。
【0023】Nb、Ti、V:Nb、Tiは析出強化に
より鋼板の強度を上げる為に有効な元素であるが、同時
に鋼板中のC原子を合金炭化物の形で固定し、加工性、
疲労特性に有害な粒界の鉄炭化物量とサイズを減少させ
る。またこれらの元素は各種の溶接によりオーステナイ
ト化した領域のオーステナイト粒の粗大化を防ぎ、溶接
熱影響部の軟化を抑制する。またオーステナイト化しな
い領域に於いてもこれらの元素の炭窒化物と固溶原子の
存在により転位の回復を著しく抑制する事によって溶接
熱影響部の軟化を抑制するのに有効である。この目的で
はNbについては0.1重量%、Tiについては0.2
重量%以上添加してもその効果が飽和する事からこれら
をNb、Ti、V添加量の上限とした。
【0024】Vは溶接入熱によって溶解した後の急冷中
に再析出する事によって溶接部近傍の硬度を上昇させる
事が出来る。しかしながら多量の添加は溶接部近傍の不
必要な硬度上昇を招き、脆化が進む事から、最大の添加
量を0.2重量%とした。これらの合金元素の1種もし
くは2種以上の添加の合計が0.3重量%を越えるとこ
れらの元素の効果が飽和し、経済的にも不利益をもたら
すのでこれをこれらの元素の添加合計量の上限とした。
【0025】Ca、希土類元素(REM):Caまたは
希土類元素(REM)は硫化物の形態制御効果により、
これらの介在物を無害化し、成形性(特に局部変形能)
を高める効果を持つ。しかしながらこれらの元素の多量
の添加は逆に鋼板の清浄度を下げてしまう事から、Ca
≦0.01重量%、希土類元素(REM)≦0.1重量
%と規定し、これらの元素の1種もしくは2種以上の添
加を行う。またこの様な有害な硫化物を減少させるため
にSの含有量を0.01重量%以下に制限することが望
ましい。
【0026】熱延条件:熱延冷却によって疲労強度と局
部変形能に優れた本発明鋼を製造するためには熱延終了
温度を鋼のAr3 変態温度−30℃以上で行う事が必要
である。これよりも低い温度では表層に加工フェライト
組織もしくは混粒層が現れ、最終鋼板の加工性を劣化さ
せるのみならず鋼板の疲労強度を大きく劣化させる。熱
延後の冷却は空冷以上の冷却速度を用いる事が生産性か
ら重要であるが、鋼板の板厚によってこの冷却速度が異
なり、本発明では下限の冷却速度を1℃/秒とした。冷
却速度を上げる事は組織の微細化と共に低温変態生成物
体積率の増加をもたらし、鋼板の高強度化に有効である
が、200℃/秒以上の冷却速度を達成する事は実用上
困難であるのでこれを冷却速度の上限値とした。
【0027】冷却後の鋼板は所定の温度で巻取られる。
この時の巻取り温度は鋼板の最終的な強度を決定する上
で非常に重要である。鋼板の強度は低温で巻取るほど向
上するが、同時に延性は劣化する。巻取り温度が鋼のベ
イナイト変態開始温度以上である場合には、鋼板の最終
的なミクロ組織は粗大なパーライトを含んだフェライト
組織となり、鋼板の穴広げ性(局部変形能)を著しく劣
化させるので熱延鋼板の巻取り温度は鋼のベイナイト変
態温度以下と規定する。また巻取り温度が必要以上に低
下し、鋼のマルテンサイト変態温度以下となった場合に
は、フェライト粒界に硬質のマルテンサイト組織が現
れ、鋼板の穴広げ加工性を大きく劣化させるので熱延鋼
板の巻取り温度の下限値を鋼のマルテンサイト変態温度
とした。鋼材は、鋳造後一旦室温まで冷却した後に再加
熱、もしくは鋳造後鋼の温度が鋼のAe3 変態温度以下
室温以上まで冷却された後に再加熱、もしくは鋳造後鋼
の温度がAe3 変態温度以下とならないように加熱、保
温するかもしくはこの様な加熱や保温の工程を取る事無
しに直接、のいずれかの方法により熱延に供される。
【0028】粒径:フェライト粒を細粒化することは鋼
板の延性を損なう事無く強度を上昇させるのに有効であ
るばかりでなく、一般的には疲労強度をも増加させる事
ができる。この時主相がフェライトの場合には、平均フ
ェライト粒径が7μmを超える場合には著しい疲労強度
の劣化が観測される事から、平均フェライト粒径を7μ
m以下に調整する事が必要である。このためには、鋼板
の熱延温度を加工組織が現れない範囲で下げる事が有効
である。一方主相がベイナイトである場合には、ベイナ
イト中の個々のフェライトは十分に7μm以下の大きさ
であるが、一つのパケット内(1個のオーステナイトか
ら複数のパケットが生成する)ではフェライト粒間の方
位が極めて近い事から、このパケット一つのサイズがフ
ェライト主相の場合のフェライト粒一つのサイズに対応
するものとなる。この様なベイナイトのパケットサイズ
をフェライト主相の場合同様7μm以下に制御する事が
高い疲労強度を達成するために必要である。
【0029】硬質相:鋼板の局部変形能は鋼板の組織の
一様性に依存するが、本発明の対象とするような、粒界
の鉄炭化物を一定量以下に調整する事を前提とした高強
度鋼板では、上記の如く固溶、析出によりフェライトマ
トリックス自身を強化する必要が有り、結果としてフェ
ライトとベイナイトが混在する場合でも両相の強度に大
きな差がなくなることが認められている。このとき鋼板
のミクロ組織は、フェライトもしくはベイナイトを主相
とする必要があるが、フェライトとベイナイトが混在す
る場合でも特性劣化は小さい。これに対して、パーライ
トの生成は局部変形能、疲労強度の劣化をもたらす事か
ら、パーライトの面積率4%以下であることが必要
で、望ましくは1%以下に調整する事が望ましい。
【0030】
【実施例】表1に示す化学成分の鋼を1050℃から1
250℃の範囲に加熱し、各鋼のAr3 変態温度−30
℃以上の温度で熱延を完了し、その後種々の冷却速度で
所定の温度まで冷却し、巻取り処理を行った板厚2mm
の熱延鋼板をJIS5号引張り試験、穴広げ試験(打ち
抜きクリアランス15%、打ち抜きままバリ外、60度
円錐ポンチ使用)、平面曲げ疲労試験(両面研削材、応
力比R=−1の両振り、25Hz)により特性を調査し
た。特性値の一覧を表2に示した。
【0031】表2のCRは仕上げ熱延後の冷却速度(℃
/秒)、CTは巻取り温度(℃)、Bsはベイナイト変
態開始温度(℃)、Msはマルテンサイト変態開始温度
(℃)、主相はミクロ組織中50%以上を占める組織
名、V2はマルテンサイトもしくはパーライト相の面積
率、fvは鉄炭化物の面積百分率(%)、fsは粒界の
鉄炭化物による占有率、dは粒界鉄炭化物の最大粒子径
(μm)、TSは鋼板の破断強度(kgf/mm2 )、
Elは破断伸び(%)、Xは穴広げ加工性を表す指標で
X=λ×σ0.8 (λは穴広げ率=最終穴径/初期穴
径)、Yは疲労強度を表す指標でY=σw/σ(σwは
106 回での繰り返し疲労強度kgf/mm2,σは鋼
板の強度TS)、Dはフェライトもしくはベイナイトパ
ケットサイズ(μm)である。表2より、本発明の鋼板
は穴広げ加工性がX≧50である様に非常に良好であ
り、且つY≧0.60の高い疲労強度を有する事がわか
る。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】以上記述のように、本発明の鋼板は自動
車等の構造物の中で特に疲労強度と穴広げ性に代表され
る局部変形能に優れた50〜100kgf/mm2 の高
強度鋼板とその製造方法を与えるもので、これらの鋼板
を用いる事によって自動車等の構造物の軽量化、省エネ
ルギー及び安全性の向上に大きく貢献する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱延によって製造した鋼板の疲労強度とフェラ
イト粒界の鉄炭化物の占有率及びこれら鉄炭化物の最大
粒子径との関係を示す図、
【図2】穴広げ加工性とフェライト粒界の鉄炭化物の占
有率及びこれら鉄炭化物の最大粒子径との関係を示す図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 301 C21D 6/00 C21D 8/02 C21D 9/46

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C≦0.014重量%、Mn≦3.5重
    量%、Si≦2.5重量%を含有し、かつ、Cu≦2.
    0重量%、Mo≦1.0重量%、Cr≦1.5重量%の
    範囲でこれらの中の1種又は2種以上を合計で0.3重
    量%以上6.0重量%以下、残部Feおよび不可避的不
    純物よりなる鋼を、熱間圧延もしくは熱処理により製造
    される高強度鋼板において、ミクロ組織がフェライト、
    ベイナイト、パーライトの少なくとも1種以上で構成さ
    れ、パーライトの面積率が4%以下であり、粒界に於け
    る鉄炭化物の占有率が0.1以下でかつこの鉄炭化物の
    最大粒子径が1μm以下である事を特徴とする疲労特性
    と局部変形能に優れた良加工性高強度鋼板。
  2. 【請求項2】 C≦0.06重量%、Mn≦3.5重量
    %、Si≦2.5重量%を含有し、かつ、Nb≦0.1
    重量%、Ti≦0.2重量%、V≦0.2重量%の範囲
    でこれらの中の1種又は2種以上を合計で0.3重量%
    以下、残部Feおよび不可避的不純物よりなる鋼を、熱
    間圧延もしくは熱処理により製造される高強度鋼板にお
    いて、ミクロ組織がフェライト、ベイナイト、パーライ
    トの少なくとも1種以上で構成され、パーライトの面積
    率が4%以下であり、粒界に於ける鉄炭化物の占有率が
    0.1以下でかつこの鉄炭化物の最大粒子径が1μm以
    下であることを特徴とする疲労特性、局部変形能及び溶
    接性に優れた良加工性高強度鋼板。
  3. 【請求項3】 Cu≦2.0重量%、Mo≦1.0重量
    %、Cr≦1.5重量%の範囲でこれらの中の1種又は
    2種以上を合計で0.3重量%以上6.0重量%以下含
    むことを特徴とする請求項2記載の疲労特性、局部変形
    能に優れた良加工性高強度鋼板。
  4. 【請求項4】 Ca≦0.01重量%、希土類元素(R
    EM)≦0.1重量%の範囲でこれらの内の1種もしく
    は2種以上を含有する事を特徴とする請求項1又は2記
    載の疲労特性と局部変形能に優れた良加工性高強度鋼
    板。
  5. 【請求項5】 フェライト粒径あるいはベイナイトのパ
    ケットサイズが7μm以下であることを特徴とする請求
    項1又は2記載の疲労特性と局部変形能に優れた良加工
    性高強度鋼板。
  6. 【請求項6】 λ×σ 0.8 ≧50かつσw/σ≧0.6
    を同時に満足することを特徴とする請求項1又は2記載
    の疲労特性と局部変形能に優れた良加工性高強度鋼板。
  7. 【請求項7】 粒界における鉄炭化物の最大粒径が0.
    4μm以下で、フェライトもしくはベイナイトパケット
    粒径が5μm以下であり、σw/σ≧0.65かつλ×
    σ 0.8 ≧50を満足することを特徴とする請求項1又は
    2記載の疲労特性と局部変形能に優れた良加工性高強度
    鋼板。
  8. 【請求項8】 熱延後冷却し鋼板を製造する際に、(A
    3 −30)℃以上で仕上げ熱延後1〜200℃/秒の
    冷却速度で冷却し、鋼のベイナイト変態開始温度以下、
    マルテンサイト変態開始温度以上で巻取る事を特徴とす
    る請求項1又は2記載の疲労特性と局部変形能に優れた
    良加工性高強度鋼板の製造方法。
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