JP3288926B2 - 積層フイルム - Google Patents

積層フイルム

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JP3288926B2 JP14415496A JP14415496A JP3288926B2 JP 3288926 B2 JP3288926 B2 JP 3288926B2 JP 14415496 A JP14415496 A JP 14415496A JP 14415496 A JP14415496 A JP 14415496A JP 3288926 B2 JP3288926 B2 JP 3288926B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層フイルムに関す
る。詳しくは、巻取り性、易滑性、ハンドリング性等に
優れ、電磁変換特性、ドロップアウト、磁性層の走行
性、耐久性に優れた磁気記録媒体、特に高密度磁気記録
媒体として用いるのに適した熱可塑性樹脂積層フイルム
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録の高密度化の進歩はめざ
ましく、例えば強磁性金属薄膜を真空蒸着やスパッタリ
ング等の物理沈着法又はメッキ法により非磁性支持体上
に形成せしめた強磁性金属薄膜磁気記録媒体、またメタ
ル粉や酸化鉄粉等の針状磁性粉体を2μm以下に塗布し
た薄層塗布型磁気記録媒体の開発実用化が進んでいる。
【0003】前者の例としては、例えば、Coの蒸着テ
ープ(特開昭54―147010号公報)、Co―Cr
合金からなる垂直磁気記録媒体(特開昭52―1347
06号公報)が知られている。後者の例としては、例え
ば極薄層塗布型媒体による高密度磁気記録(電子通信学
会技術報告MR94―78(1995―02))等が知
られている。
【0004】従来の塗布型磁気記録媒体(磁性粉末を有
機高分子バインダーに混入させて非磁性支持体上に塗布
してなる磁気記録媒体)は、記録密度が低く、記録波長
も長い為に、磁性層の厚みが2μm程度以上と厚いのに
対して、真空蒸着、スパッタリング又はイオンプレーテ
ィング等の薄膜形成手段によって形成される金属薄膜
は、厚みが0.2μm以下と非常に薄く、また極薄層塗
布型媒体の場合も、非磁性下地層を設けるものの0.1
3μmの厚みと非常に薄くなっている。
【0005】この為、上記の高密度磁気記録媒体におい
ては、非磁性支持体の表面状態が磁気記録層の表面性に
大きな影響を及ぼし、特に金属薄膜型の磁気記録媒体の
場合には、非磁性支持体の表面状態がそのまま磁気記録
層表面の凹凸として発現し、それが再生信号の雑音の原
因となる。従って、非磁性支持体の表面は出来るだけ平
滑であることが望ましい。
【0006】一方、ベースフイルムの製膜、加工工程で
の搬送・傷付き、巻取り、巻出しといったハンドリング
の観点からは、フイルム表面が平滑過ぎると、フイルム
―フイルム相互の滑り性が悪化し、ブロッキング現象が
発生し、ロールに巻いたときの形状(ロールフォーメー
ション)が悪化し、製品歩留りの低下ひいては、製品の
製造コストの上昇を来す。従って、製造コストという観
点からは、支持体の表面は出来るだけ粗いことが望まし
い。
【0007】この様に、電磁変換特性という観点からは
非磁性支持体の表面は平滑であることが要求され、ハン
ドリング性、フイルムコストの観点からは粗いことが要
求される。
【0008】更に、蒸着金属薄膜型磁気記録媒体の場合
には、実際に使用されるときの重大な問題点として、金
属薄膜面の走行性がある。磁性体粉末を有機高分子バン
ダー中に混入させてベースフイルムに塗布してなる塗布
型磁気記録媒体の場合には、該バインダー中に潤滑剤を
分散させて磁性面の走行性を向上させることが出来る
が、蒸着金属薄膜型磁気記録媒体の場合には、この様な
対策をとることが出来ず、走行性を安定して保つのは非
常に難しく、特に高温高湿条件下の走行性が劣るなどの
問題点をかかえている。
【0009】そこで、優れた品質の高密度記録媒体用ベ
ースフイルムを安価に供給する為には、上記の相反する
性質を同時に満足することが必要となる。
【0010】この具体的な方策として、フイルム表面
に特定の塗剤を塗布し、不連続皮膜を形成させる方法
(特公平3―80410号、特開昭60―180839
号、特開昭60―180838号、特開昭60―180
837号、特開昭56―16937号、特開昭58―6
8223号等)、微細突起を有する連続皮膜を形成す
る方法(特開平5―194772号、特開平5―210
833号)、共押し出し等の技術により表裏異面化す
る方法(特開平2―214657号、特公平7―802
82号)、前記の+又は+の組み合わせによ
る方法(特開平3―73409号)等が提案されてい
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、不連続
皮膜や微細突起を有する連続皮膜を形成する従来の方法
に於いては、フイルム―フイルム間の滑り、ブロッキン
グといった課題は解決できているが、皮膜中に微細な不
活性粒子を均一分散させることが難しく、凝集粒子によ
る粗大突起を生じやすいために電磁変換特性が悪化する
など磁気テープとしての品質が安定しないという問題が
あった。また凝集粒子は単分散粒子と比較して製膜工程
で各種ガイドロールとの接触によって削り取られやす
く、ベースフイルム上に付着堆積して突起となり、磁気
テープとしたときにドロップアウトの原因となる問題も
ある。また微細視野で見た場合に皮膜中での分散性に優
れていてもマクロ視野で見た場合の粗大凝集粒子が存在
すると、磁気テープとしたときにドロップアウトの増加
が起こるなどの問題がある。
【0012】一般に、無機粒子は硬度が高く変形しにく
いため磁気ヘッドのクリーニング性に優れており、また
種々のサイズの微粒子の製造が容易であるが、ポリマー
との親和性に乏しく粒子の脱落を生じやすい傾向が見ら
れる。一方、有機粒子はポリマーとの親和性は優れるも
のの、硬度が無機粒子に比べ低く、粒子全体に熱や機械
的摩擦による変形等が加わるため、テープの電磁変換特
性がテープの走行を繰り返すことにより劣化していくと
いう問題がある。
【0013】本発明の目的は、かかる従来技術の欠点を
解消し、製膜工程での削れ性、巻取り性に優れ、蒸着金
属薄膜型磁気記録媒体や極薄層塗布型磁気記録媒体とし
て用いられた場合に電磁変換特性、ドロップアウト特
性、走行耐久性に優れた積層フイルムを提供することに
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、第一に、実質的に不活性粒子を含有しない熱
可塑性樹脂層Aの少なくとも片面に、水性のアクリル
脂及び平均粒径dBが5〜100nm、体積形状係数が
0.1〜π/6である内部より外部が柔軟なコアシェル
型構造の粒子Bを含有する皮膜層Bを積層した積層フイ
ルムであって、粒子Bの平均粒径dB(nm)、粒子B
のコア部の粒径dcB(nm)、及び皮膜層Bの層厚み
B(nm)が下記式(1)、(2)を同時に満足し、
皮膜層Bの粒子Bによる表面突起の頻度が1×106
1×108個/mm2であり、原子間力顕微鏡(AFM)
にて測定した皮膜層Bの表面粗さARa B (nm)及び
10点平均粗さARz B (nm)が下記式(3)、
(4)を同時に満足し、かつ粒子Bのマクロ凝集物によ
る高さが0.5μm以上の突起頻度が2〜25個/cm
2であることを特徴とする積層フイルムによって達成さ
れる。
【0015】
【数5】 1.02 ≦ dB/dcB2.0 ・・・・・・(1)
【0016】
【数6】 0.08≦tB/dcB≦0.6 ・・・・・・(2)
【数7】 0.7≦ARa B ≦2.5 ・・・・・・ (3)
【数8】 10≦ARz B ≦100 ・・・・・・ (4)
【0017】本発明における熱可塑性樹脂としては、ポ
リエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹
脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポ
リビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等を例示するこ
とができる。これらのうちポリステル系樹脂、更には芳
香族ポリエステルが好ましい。
【0018】この芳香族ポリエステルとしては、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、
ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ―1,4―シ
クロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン―2,6―ナフタレンジカルボキシレート等を好まし
くは例示することができる。これらのうち、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレン―2,6―ナフタレン
ジカルボキシレートが好ましい。
【0019】上記ポリエステルはホモポリエステルであ
ってもコポリエステルであってもよい。コポリエステル
の場合、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレン
―2,6―ナフタレンジカルボキシレートの共重合成分
としては、例えばジエチレングリコール、プロピレング
リコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリ
コール、p―キシレングリコール、1,4―シクロヘキ
サンジメタノール等のジオール成分、アジピン酸、セバ
シン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸(但し
ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレート
の場合)、2,6―ナフタレンジカルボン酸(但しポリ
エチレンテレフタレートの場合)、5―ナトリウムスル
ホイソフタル酸等の他のジカルボン酸成分、p―オキシ
エトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸成分等があげら
れる。尚、共重合成分の量は20モル%以下、更には1
0モル%以下とするのが好ましい。更に、トリメリット
酸、ピロメリット酸等の3官能以上の多官能化合物を共
重合させることもできる。この場合ポリマーが実質的に
線状である量、例えば2モル%以下共重合させることが
よい。
【0020】本発明において、熱可塑性樹脂層Aは粒子
を実質的に含有しないことが必要である。ここで粒子を
実質的に含有しないとは、フイルム表面に突起を形成す
るような外部添加粒子や内部析出粒子は含有しないが、
例えばポリエステルの重合に必要な触媒によって生じる
ことのある、滑剤作用を実質的に奏さない極々少量の粒
子は含有しても良いことを意味する。例えば酸化防止
剤、熱安定剤、帯電防止剤等の他の添加剤(表面突起を
形成するような粒子は除く)を必要に応じて含有するこ
とができる。
【0021】本発明における皮膜層Bを構成する水性樹
脂とは、水溶性有機樹脂及び水分散有機樹脂のことを言
い、水性のアルキッド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ
樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル樹
脂、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体等を例示すること
ができるが、熱可塑性樹脂層Aに対する密着性、突起保
持性、易滑性などの点から、水性のアクリル樹脂であ
この水性のアクリル樹脂は単一重合体でも共重合体
でもよく、また混合物でも良い。
【0022】前記水性アクリル樹脂は、例えばアクリル
酸エステル(アルコール残基としては、メチル基、エチ
ル基、n―プロピル基、イソプロピル基、n―ブチル
基、イソブチル基、t―ブチル基、2―エチルヘキシル
基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェ
ニルエチル基等を例示できる);メタクリル酸エステル
(アルコール残基は上記と同じ);2―ヒドロキシエチ
ルアクリレート、2―ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、2―ヒドロキシプロピルアクリレート、2―ヒドロ
キシプロピルメタクリレート等の如きヒドロキシ含有モ
ノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N―メチ
ルメタクリルアミド、N―メチルアクリルアミド、N―
メチロールアクリルアミド、N―メチロールメタクリル
アミド、N,N―ジメチロールアクリルアミド、N―メ
トキシメチルアクリルアミド、N―メトキシメチルメタ
クリルアミド、N―フェニルアクリルアミド等の如きア
ミド基含有モノマー;N,N―ジエチルアミノエチルア
クリレート、N,N―ジエチルアミノエチルメタクリレ
ート等の如きアミノ基含有モノマー;グリシジルアクリ
レート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジル
エーテル等の如きエポキシ基含有モノマー;スチレンス
ルホン酸、ビニルスルホン酸、及びこれらの塩(例えば
ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等の如
きスルホン酸基又はその塩を含有するモノマー;クロト
ン酸、イタコン酸、アクリル酸、マレイン酸、フマール
酸、及びそれらの塩(例えばナトリウム塩、カリウム
塩、アンモニウム塩等)等の如きカルボキシル基又はそ
の塩を含有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコ
ン酸等の無水物を含有するモノマー;その他ビニルイソ
シアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニル
メチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリス
アルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、
アルキルフマール酸モノエステル、アクリロニトリル、
メタクリロニトリル、アルキルイタコン酸モノエステ
ル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル等の単量
体の組合せからつくられたものであるが、アクリル酸誘
導体、メタクリル酸誘導体の如き(メタ)アクリル単量
体の成分が50モル%以上含まれているものが好まし
く、特にメタクリル酸メチルの成分を含有しているもの
が好ましい。
【0023】かかる水性アクリル樹脂は分子内の官能基
で自己架橋することができるし、メラミン樹脂やエポキ
シ化合物等の架橋剤を用いて架橋することもできる。
【0024】
【0025】
【0026】本発明における内部より外部の方が軟質な
粒子(以下、シェルコア粒子と呼ぶ)Bとは、内外部の
それぞれが性質の異なる物質で構成される多層構造の粒
子をいう。この場合多層とは2層以上のことをいい、性
質が径方向に連続的に変化するものであっても良い。こ
の粒子の外部(以下、シェル部と呼ぶ)はフイルム上に
塗布後フイルム基部と反応し、または熱処理を行うこと
により反応、溶融、軟化もしくは変形してフイルム基部
に固着する機能を有し、内部(以下、コア部と呼ぶ)は
シェル部と共にフイルムに適度のすべり性及び磁気ヘッ
ドとの最適なスペーシングを与える、いわゆる粒子とし
ての機能を担うと考えられる。上記シェル、コア部それ
ぞれの機能分担の観点から、シェル部にはフイルム基部
との親和性に優れ、かつ製膜熱処理温度での適切な物理
的、化学的、熱的特性を持つことが要求され、コア部に
は機械的摩擦等によって変形せず、シェル部もしくは基
層フイルムに対し相対的に大なる硬度を持つことが求め
られる。
【0027】このシェルコア粒子Bのコア部の材質とし
ては、ポリスチレン、ポリスチレン―ジビニルベンゼ
ン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート
共重合体、メチルメタクリレート共重合架橋体、ポリテ
トラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、
ポリアクリロニトリル、ベンゾグアナミン樹脂等の如き
有機質、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、カオリン、
タルク、グラファイト、炭酸カルシウム、長石、二硫化
モリブデン、カーボンブラック、硫酸バリウム等の如き
無機質のいずれを用いてもよい。
【0028】シェル部の材質については一般に熱可塑性
樹脂が好ましく、特にアクリル系樹脂、ポリエステル系
樹脂等が好ましく、さらにはフイルム基部との親和性を
高めるため、その分子中に任意の割合でフイルム基部と
の反応性もしくは親和性を有する官能基、具体的にはカ
ルボキシル基、水酸基、グリシジル基、アミド基、エポ
キシ基、イソシアネート基等を導入したものが良い。こ
れらの官能基は単独、場合によっては二種以上併用して
も良い。またシェル部のガラス転移温度(以下Tgとす
る)は好ましくは80℃以下、さらに好ましくは20℃
以下が良い。Tgが80℃を超えるとシェルコア粒子の
フイルム上からの脱落が目立つようになる。かかる組成
のポリマーをシェル部に使用することにより優れた耐削
れ性を発現させることができる。
【0029】シェルコア粒子Bの粒子径dB(nm)と
コア部の粒径dcB(nm)の比(dB/dcB)は1.
02〜2.0、好ましくは1.04〜1.5である。こ
の比(dB/dcB)が2.0を超えると、多層構造を持
たないシェル部の材質のみからなる有機粒子のような性
質を強く帯びるようになり、熱や機械的摩擦による変形
が大きくなる。一方、1.02より小さくなると、無機
粒子的な性質が強くなり、フイルムとの固着性低下、該
粒子の脱落等が増加する傾向になり、また凝集率も増加
する傾向になる。いずれの場合もフイルムの加工性、磁
気テープの性能に悪影響を及ぼし易く、好ましくない。
【0030】シェルコア粒子Bの下記式で定義される体
積形状係数(f)は0.1〜π/6である。
【0031】
【数9】 f=V/d3 ここで、Vは粒子の体積(μm3)を、dは粒子投影面
の最大径(μm)を表す。
【0032】この体積形状係数fは0.3〜π/6が好
ましく、更に0.4〜π/6の実質的に球あるいはラグ
ビーボール状の楕円球が好ましい。fが0.1より小さ
い、例えば薄片状粒子では薄膜磁性層の磁気特性の劣化
を来たす。
【0033】シェルコア粒子Bの平均粒径は5〜100
nm、好ましくは10〜50nmである。更に粒度分布
が均一であるものが好ましい。平均粒径が5nmを下ま
わるとすべり性、耐削れ性が悪化し、ロール状に巻取っ
た場合はブロッキング現象が発生する。一方平均粒径が
100nmを超えると、粒子の脱落が発生し、耐削れ性
が悪化する。また、磁気ヘッドとのスペーシングが大き
くなり高密度の磁気記録媒体として供することが困難と
なる。
【0034】シェルコア粒子Bの皮膜層B中での凝集率
は10%以下が好ましく、より好ましくは5%以下であ
る。この凝集率が10%を超えると、粒子凝集体の異常
突起としての性質が顕著となり、また粒子の脱落も発生
しやすくなり、磁気テープとしての性能に悪影響を及ぼ
し易くなる。
【0035】また、シェルコア粒子Bのマクロ凝集物に
よる高さが0.5μm以上の突起頻度は25個/cm2
以下である。このマクロ凝集物による突起頻度が25
/cm2を超えると、ドロップアウトが著しくなり、実
用上問題となる。また、この突起頻度の下限は2個/c
2 である。
【0036】シェルコア粒子Bは、皮膜層Bの表面突起
頻度が1×106 〜1×108 個/mm2 となる量を該
皮膜層B中に含有される。この表面突起頻度が1×10
6 個/mm2 未満では磁気記録媒体としたときの走行耐
久性が不足する。一方、1×108 個/mm2 を超える
と、電磁変換特性に悪影響を及ぼす。より好ましい表面
突起頻度は2×106 〜5×107 個/mm2 、更に好
ましくは3.0×106 〜3.0×107 個/mm2
ある。
【0037】皮膜層Bの層厚みtB(nm)とシェルコ
ア粒子Bのコア部の粒径dcB (nm)の比( B /dc
B)は、0.08〜0.6、好ましくは0.1〜0.5
である。この比( B /dcB)が0.6を超えると、シ
ェルコア粒子Bの突起形成作用が減少し、磁気記録媒体
としたときの走行耐久性が不足する。一方、0.08
り小さくなると、製膜工程で各種ガイドロールとの接触
によって粒子が削りとられて走行耐久性が不足したり、
削り取られた粒子がフイルム上に付着堆積してドロップ
アウトの増加を引き起こしたりする。
【0038】シェルコア粒子Bは、例えばコア部の粒子
が存在する系で、シェル部の重合性単量体を乳化重合せ
しめ、コア部の粒子表面を被覆する方法で製造すること
ができるが、粒子の製造方法によって限定されるもので
はない。
【0039】本発明における皮膜層Bは熱可塑性樹脂層
Aの少なくとも片面に、前述したシェルコア粒子及び水
性樹脂を含む塗液、好ましくは水性塗液を塗布、乾燥す
ることで形成するが、この塗液の固形分濃度は0.2〜
10重量%、さらには0.5〜5重量%、特に0.7〜
3重量%であることが好ましい。そしてこの塗液、好ま
しくは水性塗液には本発明の効果を損わない範囲であれ
ば所望により他の成分、例えば界面活性剤、安定剤、分
散剤、UV吸収剤、増粘剤等を添加することができる。
【0040】塗布は最終延伸を施す以前の熱可塑性樹脂
フイルムに行い、塗布後にフイルムを少なくとも一軸方
向に延伸することが好ましい。この延伸の前乃至途中で
塗膜は乾燥される。その中で塗布は未延伸熱可塑性樹脂
フイルム又は縦(一軸)延伸熱可塑性樹脂フイルムに行
なうことが好ましい。塗布方法としては特に限定されな
いが、例えばロールコート法、ダイコート法等が好まし
く挙げられる。
【0041】本発明におけるシェルコア粒子Bを使用す
ることによって、皮膜層B中での粒子凝集率及びマクロ
凝集物の頻度が、従来の無機、有機粒子を使用した場合
に比べて格段に改善されるが、その理由として粒子表面
の電位変化による粒子相互の反発力の増加、安定pH領
域の変化、などが考えられる。
【0042】皮膜層Bの表面の、原子間力顕微鏡(AF
M)による表面粗さARaB(nm)は0.7〜2.5
nmであり、且つ10点平均粗さARzB(nm)は1
0〜100nm、さらに好ましくは15〜70nm、特
好ましくは20〜40nmである。このAR B
度に大きい場合、あるいはARzBが100nmを超え
る場合は、特に金属薄膜型磁気記録媒体としたときに電
磁変換特性が悪化する。一方、AR B過度に小さい
場合、あるいはARzBが10nm未満の場合は、滑り
性が極度に悪化して走行耐久性が不足したり、磁気ヘッ
ドに貼り付いてテープ鳴きを生じたりして実用に供する
ことができなくなり易い。
【0043】本発明ではフイルムの巻取り性を付与する
ために、熱可塑性樹脂層Aの、皮膜層Bとは接しない面
に不活性粒子Cを含有する皮膜層Cを設けることが好ま
しい。
【0044】皮膜層Cは塗布層として形成してもよく、
また後述する共押出し法により形成してもよい。皮膜層
Cが塗布層である場合は、含有する不活性粒子Cは単独
粒子又は大きさの違う2種以上の粒子からなり、単独粒
子及は2種以上の粒子の場合の最も大きい粒子の平均粒
径は20〜200nm、好ましくは30〜100nmで
ある。皮膜層C中の不活性粒子Cの含有量は3〜50重
量%、好ましくは5〜30重量%である。粒子Cの平均
粒径が20nm未満、あるいは含有量が3重量%未満で
あると、フイルムの巻取り性、製膜工程での搬送性等の
点で不十分であり、またブロッキングを起こし易くな
る。一方、平均粒径が200nmを超える場合は、粒子
が塗膜から脱落しやすくなる。また皮膜層C中の不活性
粒子Cの含有量が50重量%を超える場合は皮膜層C自
体の強度が低下し、削れ易くなる。
【0045】皮膜層Cに含有する不活性粒子Cとして
は、ポリスチレン、ポリスチレン−ジビニルベンゼン、
ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート共重
合体、メチルメタクリレート共重合架橋体、ポリテトラ
フルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリ
アクリロニトリル、ベンゾグアナミン樹脂等の如き有機
質からなる粒子、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、カ
オリン、タルク、グラファイト、炭酸カルシウム、長
石、二酸化モリブデン、カーボンブラック、硫酸バリウ
ム等の如き無機質からなる粒子のいずれを用いてもよ
い。
【0046】前記粒子Cを含有して、塗布層を形成する
樹脂としては、皮膜層Bの形成に用いた水性樹脂と同じ
樹脂を例示することができる。またこれらに更にセルロ
ース系樹脂を含有させてもよい。
【0047】皮膜層Cが共押出し法により形成される場
合は、含有する不活性粒子Cが単独粒子又は大きさの違
う2種以上の粒子からなり、単独粒子及は2種以上の粒
子の場合の最も大きい粒子の平均粒径は100〜100
0nm、好ましくは100〜500nmである。皮膜層
C中の不活性粒子Cの含有量は0.001〜5.0重量
%、好ましくは0.005〜1.0重量%である。平均
粒径が100nm未満、あるいは含有量が0.001重
量%未満であると、フイルムの巻取り性、製膜工程での
搬送性等の点で不十分であり、またブロッキングを起こ
し易くなる。平均粒径が1000nmを超える場合、あ
るいは含有量が5.0重量%を超える場合は、皮膜層B
側の面への突き上げ効果が著しくなり、電磁変換特性の
悪化が起こる。
【0048】不活性粒子Cの種類としては皮膜層Cを塗
布層とした場合に用いた粒子と同じ粒子を例示できる。
【0049】本発明の積層フイルムは、従来から知られ
ている或いは当業界に蓄積されている方法で製造するこ
とができる。
【0050】例えば、二軸配向ポリエステルフイルムで
説明すると、塗布法の場合まず、前記熱可塑性樹脂Aを
口金より融点Tm℃〜(Tm+70)℃の温度でフイル
ム状に押出した後、40〜90℃で急冷固化し未延伸フ
イルムを得る。しかる後に、該未延伸フイルムを常法に
従って一軸方向(縦方向又は横方向)に(Tg−10)
〜(Tg+70)℃の温度(但し、Tg:ポリエステル
のガラス転移温度)で2.5〜8.0倍の倍率で、好ま
しくは3.0〜7.5倍の倍率で延伸し、次いで、皮膜
層B、Cを形成する塗液をフイルム両面に塗布し、その
後に前記方向とは直角方向にTg〜(Tg+70)℃温
度で2.5〜8.0倍の倍率で、好ましくは3.0〜
7.5倍の倍率で延伸する。更に必要に応じて縦方向及
び/又は横方向に再度延伸しても良い。即ち、2段、3
段、4段、或いは多段の延伸を行うと良い。全延伸倍率
は、面積延伸倍率として通常9倍以上、好ましくは12
〜35倍、更に好ましくは15〜32倍である。更に引
き続いて、二軸配向フイルムを(Tg+70)〜(Tm
−10)℃の温度、例えば180〜250℃で熱固定結
晶化することによって優れた寸法安定性が付与される。
なお、熱固定時間は1〜60秒が好ましい。
【0051】共押出し法の場合、層A、層C用の2種の
熱可塑性樹脂を押出し口金内又は口金以前(一般に前者
はマルチマニホールド方式、後者はフィードブロック方
式と呼ぶ)で溶融状態にて積層複合し、好適な厚み比と
なして共押出しをして二層積層の未延伸フイルムとし、
かつ一軸延伸後に皮膜層Bを形成する塗液を塗布する以
外は前記塗布法と同様に行うと良い。かかる方法によ
り、層間密着性の良い二軸配向積層ポリエステルフイル
ムが得られる。
【0052】なお、積層フイルムの製造に際し、熱可塑
性樹脂に、所望により上述の不活性粒子以外の添加剤例
えば安定剤、着色剤、溶融ポリマーの固有抵抗調整剤等
を添加含有させることができる。
【0053】本発明の積層フイルムは、皮膜層Bの表面
に、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング
等の方法により、鉄、コバルト、クロム又はこれらを主
成分とする合金もしくは酸化物より成る強磁性金属薄膜
層を形成し、またその表面に、目的、用途、必要に応じ
てダイアモンドライクカーボン(DLC)等の保護層、
含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、更に熱可塑性
樹脂層A又は皮膜層Cの表面に公知のバックコート層を
設けることにより、特に短波長領域の出力、S/N,C
/N等の電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラー
レートの少ない高密度記録用蒸着型磁気記録媒体とする
ことが出来る。この蒸着型電磁記録媒体は、アナログ信
号記録用Hi8、ディジタル信号記録用ディジタルビデ
オカセットレコーダー(DVC)、データ8ミリ、DD
SIV用テープ媒体として極めて有用である。
【0054】本発明の積層フイルムは、また、皮膜層B
の表面に、鉄又は鉄を主成分とする針状微細磁性粉を塩
化ビニール、塩化ビニール・酢酸ビニール共重合体等の
バインダーに均一分散し、磁性層厚みが1μm以下、好
ましくは0.1〜1μmとなるように塗布し、更に熱可
塑性樹脂層A又は皮膜層Cの表面に公知の方法でバック
コート層を設けることにより、特に短波長領域での出
力、S/N,C/N等の電磁変換特性に優れ、ドロップ
アウト、エラーレートの少ない高密度記録用メタル塗布
型磁気記録媒体とすることが出来る。また、必要に応じ
て皮膜層Bの上に、該メタル粉含有磁性層の下地層とし
て微細な酸化チタン粒子等を含有する非磁性層を磁性層
と同様の有機バインダー中に分散、塗設することもでき
る。このメタル塗布型磁気記録媒体は、アナログ信号記
録用8ミリビデオ、Hi8、βカムSP、W―VHS、
ディジタル信号記録用ディジタルビデオカセットコーダ
ー(DVC)、データ8ミリ、DDSIV、ディジタルβ
カム、D2、D3、SX等用テープ媒体として極めて有
用である。
【0055】本発明の積層フイルムは、また、皮膜層B
の表面に、酸化鉄又は酸化クロム等の針状微細磁性粉、
又はバリウムフェライト等の板状微細磁性粉を塩化ビニ
ール、塩化ビニール・酢酸ビニール共重合体等のバイン
ダーに均一分散し、磁性層厚みが1μm以下、好ましく
は0.1〜1μmとなるように塗布し、更に熱可塑性樹
脂層A又は皮膜層Cの上に公知の方法でバックコート層
を設けることにより、特に短波長領域での出力、S/
N,C/N等の電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、
エラーレートの少ない高密度記録用塗布型磁気記録媒体
とすることが出来る。また、必要に応じて皮膜層Bの上
に、該メタル粉含有磁性層の下地層として微細な酸化チ
タン粒子等を含有する非磁性層を磁性層と同様の有機バ
インダー中に分散、塗設することも出来る。この酸化物
塗布型磁気記録媒体は、ディジタル信号記録用データス
トリーマー用QIC等の高密度酸化物塗布型磁気記録媒
体として有用である。
【0056】上述のW―VHSはアナログのHDTV信
号記録用VTRであり、またDVCはディジタルのHD
TV信号記録用として適用可能なものであり、本発明の
フイルムはこれらHDTV対応VTR用磁気記録媒体に
極めて有用なベースフイルムと言うことができる。
【0057】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明する。尚、本発明において用いた測定法は次の通りで
ある。
【0058】(1)粒子の平均粒径I(平均粒径:0.
06μm以上) 島津製作所製CP―50型セントリフューグル パーテ
ィクル サイズ アナライザー(Centrifugal Particle
Size Analyzer)を用いて測定する。得られる遠心沈降
曲線を基に算出した各粒径の粒子とその存在量との積算
曲線から、50マスパーセントに相当する粒径「等価球
直径」を読み取り、この値を上記平均粒径とする(Book
「粒度測定技術」日刊工業新聞発行、1975年、頁2
42〜247参照)。
【0059】(2)粒子の平均粒径II(平均粒径:0.
06μm未満) 小突起を形成する平均粒径0.06μm未満の粒子は、
光散乱法を用いて測定する。即ち、Nicomp In
struments Inc.社製のNICOMP M
ODEL 270 SUBMICRON PARTIC
LE SIZER により求められる全粒子の50重量
%の点にある粒子の「等価球直径」をもって表示する。
【0060】(3)体積形状係数f 走査型電子顕微鏡により用いたサイズに応じた倍率にて
各粒子の写真を撮影し、画像解析処理装置ルーゼックス
500(日本レギュレーター製)を用い、投影面最大径
及び粒子の体積を算出し、次式により算出する。
【0061】
【数10】 f=V/d3 式中、fは体積形状係数、Vは粒子の体積(μm3)、
dは投影面の最大径(μm)を表す。
【0062】(4)層厚及びコアシェル粒子のコア部粒
径 フイルムの全厚はマイクロメーターにてランダムに10
点測定し、その平均値を用いる。層厚は、薄い側の層厚
を以下に述べる方法にて測定し、また厚い側の層厚は全
厚より薄い側の層厚に引き算して求める。即ち、二次イ
オン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層から深さ
5000nmの範囲のフイルム中の粒子の内最も高濃度
の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元素の濃度
比(M+/C+ )を粒子濃度とし、表面から深さ500
0nmまで厚さ方向の分析を行う。表層では表面という
界面の為に粒子濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて
粒子濃度は高くなる。本発明の場合、粒子濃度は一旦安
定値1になった後、上昇或いは減少して安定値2になる
場合と、単調に減少する場合とがある。この分布曲線を
もとに、前者の場合は(安定値1+安定値2)/2の粒
子濃度を与える深さをもって、また後者の場合は粒子濃
度が安定値1の1/2になる深さ(この深さは安定値1
を与える深さよりも深い)をもって、当該層の層厚とす
る。
【0063】測定条件は以下の通りである。 測定装置 二次イオン質量分析装置(SIMS):PERKIN
ELMER社製 6300 測定条件 一次イオン種 :O2+ 一次イオン加速電圧:12KV 一次イオン電流:200nA ラスター領域 :400μm□ 分析領域 :ゲート30% 測定真空度 :6.0×10-9Torr E―GUNN :0.5KV―3.0A 尚、表層から5000nmの範囲に最も多く含有する粒
子がシリコーン樹脂以外の有機高分子粒子の場合はSI
MSでは測定が難しいので、表面からエッチングしなが
らFT―IR(フーリエトランスフォーム赤外分光
法)、粒子によってはXPS(X線高電子分光法)等で
上記同様の濃度分布曲線を測定し、層厚を求める。
【0064】以上は共押出し層の場合に有効な測定法で
あって、塗布層の場合はフイルムの小片をエポキシ樹脂
にて固定成形し、ミクロトームにて約60nmの厚みの
超薄切片(フイルムの流れ方向に平行に切断する)を作
成し、この試料を透過型電子顕微鏡(日立製作所製H―
800型)にて観察し、層の境界面より層厚みを求め
る。コアシェル粒子のコア部の粒径もこの超薄切片の断
面より観察し、求める。
【0065】(5)AFM表面粗さARa及びARz Digital Instruments社製の原子間
力顕微鏡Nano ScopeIII AFMのJスキャナ
ーを使用し、以下の条件で算出されるARa(2乗平均
粗さ)及びARz(10点平均粗さ)を測定する。 探針;単結合シリコンセンサー 走査モード:タッピングモード 走査範囲:2μm×2μm 画素数:256×256データポイント スキャン速度:2.0Hz 測定環境:室温、大気中
【0066】(6)粒子突起の個数、凝集率 SEM(走査電子顕微鏡、日本電子製T―300型)を
使用して、積層フイルムの表面を倍率3万倍、角度0°
で20枚写真撮影して、粒状突起の数をカウントし、そ
の平均値を面積換算により個/mm2 当たりの突起個数
として算出する。また凝集率は同じSEM写真を用いて
下記式にて算出する。 凝集率(%)=[(2個以上の粒子が凝集した凝集塊の
総数)/(1個以上の粒子塊の総数)]×100
【0067】(7)マクロ凝集物による突起の高さと頻
度 積層フイルムの皮膜層Bの表面に真空蒸着法により傾斜
角45°の角度から0.2μmの厚みになるようにアル
ミニウム薄膜を形成し、透過顕微鏡にて倍率400倍で
1cm2 を走査観察し、突起の影による非蒸着部の最大
長さ(突起高さに相当)が0.2mm以上の透過光の個
数をカウントする。(即ち、高さが0.2mm/400
=0.5μm以上の粗大なマクロ凝集物による突起頻度
をカウント。)
【0068】(8)耐削れ性 フイルムを25〜30cm長さ、幅1/2インチにサン
プリングし、レザー刃を皮膜層Bの面に対し90°の角
度、深さ0.5mmの条件であてがい、荷重500g/
0.5インチ、速度6.7cm/secで走行させたと
きに、レザー刃に付着した削れ粉の深さ方向の幅を顕微
鏡写真撮影(×160倍)して求めた。削れ粉の深さ方
向の幅が3μm以下を(◎)、3〜5μmを(○)、5
μm以上を(×)とする。削れ粉の深さ方向の幅が小さ
いほど削れ性に優れている。
【0069】(9)巻き取り性 スリット時の巻き取り条件を最適化後、幅560mm×
長さ9000mのサイズで、10ロールのスリットを行
い、1週間放置後の、フイルムシワの発生のないロール
本を良品として、以下の基準にて巻き取り性の評価をす
る。 良品ロール本数 判定基準 8本以上 ◎ 5〜7本 ○ 3〜4本 × 2本以下 ××
【0070】(10)磁気テープの製造及び特性評価 積層フイルムの皮膜層Bの表面に、真空蒸着法により、
コバルト100%の強磁性薄膜を0.02μmの厚みに
なるように2層(各層厚約0.1μm)形成し、その表
面にダイアモンドライクカーボン(DLC)膜、更に含
フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、更に熱可塑性樹
脂A又は皮膜層Cの表面に公知方法でバックコート層を
設ける。その後、8mm幅にスリットし、市販の8mm
ビデオカセットにローディングする。次いで、以下の市
販の機器を用いてテープの特性を測定する。 使用機器: 8mmビデオテープレコーダー:ソニー(株)製EDV
―6000 C/N測定:シバソク(株)製ノイズメーター
【0071】C/N測定 記録波長0.5μm(周波数約7.4MHz)の信号を
記録し、その再生信号の6.4MHzと7.4MHzの
値の比をそのテープのC/Nとし、市販8mmビデオ用
蒸着テープのC/NをOdBとし、相対値で表す。 ◎ :+2dB以上 ○ :−1〜+2dB × :−4〜−2dB ××:−4dB以下
【0072】ドロップアウト(D/O)測定 ドロップアウトカウンターを用いて、15μs/18d
Bにて1分間当たりの個数を測定する。 ◎ :0〜10個/分 ○ :10〜20個/分 × :20〜50個/分 ××:50個/分以上
【0073】走行耐久性 40℃、80%RHで、テープ、走行速度85cm/分
で記録再生を500回繰り返した後のC/Nを測定し、
初期値からのずれを次の基準で判定する。 ◎ :初期値に対して+0.0dB以上 ○ :初期値に対して−1.0dB〜+0.0dB × :初期値に対して−1.0dB未満
【0074】[実施例1]ジメチルテレフタレートとエ
チレングリコールとを、エステル交換触媒として酢酸マ
ンガンを、重合触媒として三酸化アンチモンを、安定剤
として亜燐酸を、添加して常法により重合し、実質的に
不活性粒子を含有しないポリエチレンテフタレート(P
ET)を得た。
【0075】このポリエチレンテレフタレートを170
℃で3時間乾燥後、押出し機に供給し、溶融温度280
〜300℃にて溶融して、ダイよりシート状に押し出
し、急冷して厚さ82μmの未延伸フイルムを得た。
【0076】得られた未延伸フイルムを予熱し、更に低
速・高速のロール間でフイルム温度95℃にて縦方向に
3.2倍に延伸し、急冷し、次いで縦延伸フイルムの一
方の面に表1、2の皮膜層Bの水性樹脂および粒子Bを
含む水性塗液を、もう一方の反対の面に皮膜層Cの樹脂
および粒子Cを含む水性塗液を各々0.005μm、
0.015μm(延伸乾燥後)の厚みになるよう塗布
し、続いてステンターに供給し、110℃にて横方向に
4.1倍に延伸した。得られた二軸延伸フイルムを22
0℃の熱風で4秒間熱固定し、厚み5.9μmの積層二
軸配向ポリエステルフイルムを得た。
【0077】[比較例1、2、5、6] 皮膜層Bと皮膜層Cの樹脂及び粒子、熱可塑性樹脂層A
の厚みを表1、2のように変更する以外は実施例1と同
様の方法で積層二軸配向ポリエステルフイルムを得た。
【0078】[実施例3、比較例9]表1、2に示す熱
可塑性樹脂層A、皮膜層C用のポリエチレンテレフタレ
ートをそれぞれ2台の押し出し機に供給して、マルチマ
ニホールド型共押し出しダイを用いて積層し、表1の皮
膜層Bの樹脂及び粒子を含む水性塗液を皮膜層C側の面
と反対の面に塗布する以外は実施例1と同様の方法で積
層二軸配向ポリエステルフイルムを得た。
【0079】[実施例4、5、比較例3、7、8、1
1]表1、2に示す粒子を用い、かつジメチルテレフタ
レートの代わりに2,6―ナフタレンジカルボン酸ジメ
チルを同モル量使用した以外は実施例1と同様の方法で
ポリエチレン―2,6―ナフタレート(PEN)を得
た。
【0080】このポリエチレン―2,6―ナフタレート
を170℃で6時間乾燥後、実施例1と同様にして、各
実施例、比較例を満たす未延伸フイルムを得た。
【0081】得られた未延伸フイルムを予熱し、更に低
速・高速のロール間でフイルム温度135℃にて縦方向
に3.6倍に延伸し、急冷し、次いで表1、2に示す皮
膜層B及び皮膜層Cの水性塗液を実施例1と同様に塗布
し、続いてステンターに供給し、155℃にて横方向に
6.0倍に延伸した。得られた二軸延伸フイルムを20
0℃の熱風で4秒間熱固定し、積層二軸配向ポリエステ
ルフイルムを得た。
【0082】[比較例4、10]皮膜層Bと皮膜層Cの樹脂及び粒子、熱可塑性樹脂層A
の厚みを表1、2のように変更し、 ポリエチレンテレフ
タレートの代りに、表1、2に示すようにポリエチレン
―2,6―ナフタレートを用いる以外は実施例と同様
の方法で積層二軸配向ポリエステルフイルムを得た。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】上記実施例、比較例で得られた積層二軸配
向フイルムの表面特性、シェルコア粒子の粒子径dB
コア部の粒径の比dB /dcB 、皮膜層Bの層厚みtB
とシェルコア粒子のコア部の粒径dcB の比tB /dc
B 、耐削れ性、巻取り性、このフイルムを用いた強磁性
薄膜蒸着磁気テープの特性を表3に示す。
【0086】
【表3】
【0087】表3から明らかなように、本発明による積
層フイルムは製膜工程での削れ性、巻取り性に優れ、磁
気記録媒体として用いられる場合に電磁変換特性、ドロ
ップアウト特性、走行耐久性に極めて優れる。一方、本
発明の要件を満たさないものはこれらの特性を同時に満
足することはできない。
【0088】
【発明の効果】本発明によれば、製膜工程での耐削れ
性、巻取り性に優れ、かつ電磁変換特性、ドロップアウ
ト特性、走行耐久性に優れた磁気記録媒体のベースフイ
ルムとして有用な積層フイルムを提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−241962(JP,A) 特開 平7−232420(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に不活性粒子を含有しない熱可塑
    性樹脂層Aの少なくとも片面に、水性のアクリル樹脂及
    び平均粒径dBが5〜100nm、体積形状係数が0.
    1〜π/6である内部より外部が柔軟なコアシェル型構
    造の粒子Bを含有する皮膜層Bを積層した積層フイルム
    であって、粒子Bの平均粒径dB(nm)、粒子Bのコ
    ア部の粒径dcB(nm)、及び皮膜層Bの層厚みt
    B(nm)が下記式(1)、(2)を同時に満足し、皮
    膜層Bの粒子Bによる表面突起の頻度が1×106〜1
    ×108個/mm2であり、原子間力顕微鏡(AFM)に
    て測定した皮膜層Bの表面粗さARa B (nm)及び1
    0点平均粗さARz B (nm)が下記式(3)、(4)
    を同時に満足し、かつ粒子Bのマクロ凝集物による高さ
    が0.5μm以上の突起頻度が2〜25個/cm 2 であ
    ることを特徴とする積層フイルム。 【数1】 1.02≦dB/dcB≦2.0 ・・・・・・(1) 【数2】 0.08≦tB/dcB≦0.6 ・・・・・・(2)【数3】 0.7≦ARa B ≦2.5 ・・・・・・ (3) 【数4】 10≦ARz B ≦100 ・・・・・・ (4)
  2. 【請求項2】 皮膜層B中の粒子Bの凝集率が10%以
    下である請求項1に記載の積層フイルム。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂層Aの皮膜層Bとは接して
    いない面に、不活性粒子Cを含有する塗布層からなる皮
    膜層Cを積層し、該塗膜層中の不活性粒子Cが単独粒子
    又は大きさの違う2種以上の粒子からなり、単独粒子の
    平均粒径又は2種以上の粒子のうち最も大きい粒子の平
    均粒径が20〜200nmであり、かつ粒子Cの含有量
    が3〜50重量%である請求項1に記載の積層フイル
    ム。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂層Aの皮膜層Bとは接して
    いない面に、不活性粒子Cを含有する共押出層からなる
    皮膜層Cを積層し、該共押出層中の不活性粒子Cが単独
    粒子又は大きさの違う2種以上の粒子からなり、単独粒
    子の平均粒径又は2種以上の粒子のうち最も大きい粒子
    の平均粒径が0.1〜1μmであり、かつ粒子Cの含有
    量が0.001〜5.0重量%である請求項1に記載の
    積層フイルム。
  5. 【請求項5】 積層フイルムの全厚みが2.5〜20μ
    mである請求項1〜のいずれかに記載の積層フイル
    ム。
  6. 【請求項6】 磁気記録媒体のベースフイルムである請
    求項1〜のいずれかに記載の積層フイルム。
  7. 【請求項7】 磁気記録媒体が金属薄膜型磁気記録媒体
    である請求項に記載の積層フイルム。
  8. 【請求項8】 磁気記録媒体が磁性層の厚みが1μm以
    下の塗布型磁気記録媒体である請求項に記載の積層フ
    イルム。
  9. 【請求項9】 磁気記録媒体がデジタル信号記録型磁気
    記録媒体である請求項6、7又は8に記載の積層フイル
    ム。
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