JP3288517B2 - 機械的性質に優れるスタンピング成形材料およびその製造方法 - Google Patents

機械的性質に優れるスタンピング成形材料およびその製造方法

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JP3288517B2 JP03346894A JP3346894A JP3288517B2 JP 3288517 B2 JP3288517 B2 JP 3288517B2 JP 03346894 A JP03346894 A JP 03346894A JP 3346894 A JP3346894 A JP 3346894A JP 3288517 B2 JP3288517 B2 JP 3288517B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スタンピング成形が可
能で、高強度、高弾性率を有し、流動性に優れ、かつ色
むらのないガラス繊維強化熱可塑性樹脂複合材料(スタ
ンピング成形材料)およびその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂の成形上の特長を生かしつ
つ、高強度、高剛性という特長を付加する手段として、
ガラス繊維などの高弾性率繊維の添加による複合化技術
が知られている。このガラス繊維強化熱可塑性樹脂複合
材料は、軽量性と高剛性および高強度が要求される種々
の構造部材用の素材として使用される。なかでも、ガラ
ス繊維が比較的長い状態で存在する板状あるいはシート
状の複合材料が大型構造部材用の素材として注目されて
いる。この素材は通常、マトリックス樹脂の融点あるい
は軟化点以上に熱せられた後に成形され、形を付与され
る。プレス機を使用した大型部材の成形(スタンピング
成形)に適する板状あるいはシート状の素材を製造する
方法としては、抄紙法が知られている。
【0003】抄紙法は、微小気泡を含む界面活性剤水溶
液中でガラス長繊維と粒状の熱可塑性樹脂を分散させ、
この分散液を多孔性支持体上で抄くことにより、シート
状のウェブを調整し、このウェブに熱と圧力を加えて、
固化した緻密なシート状のガラス繊維強化熱可塑性樹脂
複合材料を製造する方法である。この技術は特公平2−
48423 号公報や特開昭60−158227号公報に開示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は抄紙法を利用
して得られるガラス繊維強化熱可塑性樹脂複合材料(以
下、スタンピング成形材料という)を対象とするもので
あり、スタンピング成形材料の優れた強度、弾性率など
の機械的性質は、低強度、低弾性率のマトリックスであ
る樹脂に加えられた荷重が、高強度、高弾性率を有する
ガラス繊維に十分に分担されることにより発揮される。
ガラス繊維への荷重の分担は、繊維と樹脂の界面、すな
わち繊維の外表面を通じて行われる。このため繊維と樹
脂の濡れ性や接着性が十分であるほどスタンピング成形
材料およびこれを成形して得られる構造部材の機械的性
質が向上する。しかしながら、抄紙法で得られた従来の
スタンピング成形材料の機械的性質は必ずしも十分なも
のとはいえなかった。
【0005】界面の濡れ性や接着性を向上させる方法と
して、特開昭63-41128号公報に開示されているようにシ
ランカップリング剤をウェブに添加する方法が知られて
いる。しかし、シランカップリング剤のみの添加ではガ
ラス繊維とマトリックス樹脂の濡れ性や接着性が不十分
である。また、機械的性質の改良方法として、界面の濡
れ性を改良させるべく、熱可塑性樹脂の溶融粘度の低
下、すなわち低分子量化を図った場合には、濡れ性は改
善されるもののマトリックス樹脂が脆性化し、機械的性
質の低下を招くことがあった。
【0006】ガラス繊維と樹脂の界面の接着性を向上さ
せる方法としては、射出成形材を用途とするガラス繊維
強化熱可塑性樹脂複合材料の分野で検討されている。熱
可塑性樹脂がポリプロピレンのような無極性樹脂の場
合、マレイン酸や無水マレイン酸などで変性したポリプ
ロピレンを添加する方法が知られている。例えば特開昭
48-68640号公報や特公昭51-10265号公報などに開示され
ているように、スクリュウーなどの押出機を用い、変性
ポリプロピレンとガラス繊維を、溶融混練によって均一
に分散させ、ガラス繊維とポリプロピレンの界面の接着
性を向上させ、高強度、高弾性率を有する複合材料を得
ている。しかし、抄紙法で得られるスタンピング成形材
料の製造においては、熱可塑性樹脂とガラス繊維を溶融
混練する工程を有しないため、これら先行技術を適用で
きない。また、変性ポリプロピレンのような添加剤を分
散液中に添加しても、混練工程がないために、ガラス繊
維と熱可塑性樹脂の界面の接着性や濡れ性が不十分にな
り、強度の向上が小さい、または強度のばらつきが大き
くなる。さらに添加剤が着色している場合には、添加剤
の分散不良に起因してシート表面に色むらを生じるなど
の問題もある。変性ポリプロピレンを均一に分散するた
めに、これらを微粉砕して添加すると、抄紙時に多孔性
支持体からのすり抜けや目詰まりを生じるなどの問題が
ある。
【0007】また、スクリュウなどの押出機を用い、樹
脂とガラス繊維を、溶融混練によって均一に分散させる
前述の先行技術、例えば特開昭48-68640号公報や特公昭
51-10265号公報などにおいても、変性ポリプロピレンな
どの界面の接着化に寄与する添加剤を添加する場合に
は、添加量の増大に伴う界面の接着化、すなわち複合材
料の機械的性質の向上と相反して、添加剤自体の脆さに
起因するマトリックス樹脂の機械的性質の低下が現れ、
必然的に添加剤の添加量に限界を生じ、複合材料の機械
的性質を飛躍的に向上するには至ってない。
【0008】本発明の目的は、上記問題を解決し、抄紙
法による従来のスタンピング成形材料の濡れ性および接
着性を向上させ、特にシランカップリング剤と結合可能
な官能基(界面の接着化に寄与する添加剤)の接着作用
を最大限に発現させ、かつ、色むらなどの問題を生じな
い、また流動性にも優れ、さらに機械的性質の改良され
た新規なスタンピング成形材料およびその製造方法を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決するために鋭意検討した結果、空気の微小気泡が分
散した界面活性剤含有水性媒体に強化用ガラス繊維と粒
状の熱可塑性樹脂とを分散させた液を多孔性支持体上で
抄くことによりシート状のウェブを得、該ウェブに熱と
圧力を加え、シート状に固化したスタンピング成形材料
において、該強化用ガラス繊維としてシランカップリン
グ剤で処理されたものを用い、該強化用ガラス繊維のス
タンピング成形材料に占める割合を望ましくは20〜70重
量%とし、さらに、スタンピング成形材料中のマトリッ
クス樹脂は該シランカップリング剤と結合可能な官能基
を含有させ、かつ強化用ガラス繊維表面に近接する部分
には該官能基をより多く含有させ、強化用ガラス繊維表
面からマトリックス樹脂内へ官能基濃度を傾斜的に減少
させることによって、ガラス繊維と樹脂の界面の接着性
を最大限発現させると同時に、官能基を有する樹脂の脆
さに起因するマトリックス樹脂の機械的性質の低下を極
力抑えられることを見出した。これにより、飛躍的に機
械的性質の優れたスタンピング成形材料が得られた。な
お、スタンピング成形材料中のマトリックス樹脂に関
し、シランカップリング剤と結合可能な官能基を平均
5.0×10-7〜 1.0×10-4 mol/g(官能基 mol数/熱可
塑性樹脂の重量)含有するように調整することが好まし
い。また、強化用ガラス繊維表面に近接する部分には該
官能基をマトリックス樹脂中の平均官能基濃度の10倍
以上とし、かつ 5.0×10-5〜 2.0×10-3mol /gの範囲
で含有するように調整することが好ましい。ところで、
前記のガラス繊維表面に近接する部分とは繊維表面から
ほぼ10μm 以内の距離を言う。
【0010】なお、これらの発明では熱可塑性樹脂は、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネ
ート、ポリアミド、ポリアセタールなど、および、これ
らの樹脂を主成分とする共重合体やグラフト化合物およ
びブレンド物、例えば、エチレン−塩化ビニル共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジ
エン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられ、官能
基は酸無水物基、カルボキシル基、および水酸基のうち
の少なくとも一種であることが好ましい。
【0011】また、上記の機械的性質に優れるスタンピ
ング成形材料の製造方法として、空気の微小気泡が分散
した界面活性剤含有水性媒体に強化用ガラス繊維と粒状
の熱可塑性樹脂を分散させた液を多孔性支持体上で抄く
ことによりシート状のウェブを得、このウェブに熱と圧
力を加え、シート状に固化させたスタンピング成形材料
を得る製造方法において、強化用ガラス繊維をシランカ
ップリング剤で表面処理されたものとし、該強化用ガラ
ス繊維がスタンピング成形材料に占める割合を望ましく
は20〜70重量%とし、粒状の該シランカップリング剤と
結合可能な官能基を分子中に含有しない熱可塑性樹脂
(以後、熱可塑性樹脂Aとよぶ)の表面にあらかじめ該
シランカップリング剤と結合可能な官能基を分子中に含
有する熱可塑性樹脂(以後、熱可塑性樹脂Bとよぶ)を
融着させておくことにより、機械的性質に優れるスタン
ピング成形材料が得られることを見出し本発明の製造方
法に至った。熱可塑性樹脂の表面にあらかじめ官能基を
含有する熱可塑性樹脂を融着させておくことで、シート
化時にガラス繊維と熱可塑性樹脂の界面が均一に濡れ、
接着し、界面の接着強度が向上すると考えられる。官能
基を含有する熱可塑性樹脂を直接分散槽に投入する方法
では、シート化時に界面の濡れ性、接着性が不均一とな
り強度向上の効果が小さい。
【0012】また、機械的性質に優れるスタンピング成
形材料のもう一つの製造方法として、ウェブに該シラン
カップリング剤と結合可能な官能基を分子中に含有する
粒径2μm以下の熱可塑性樹脂のエマルション(以後、
樹脂エマルションとして用いる熱可塑性樹脂を熱可塑性
樹脂Cとよぶ)を含浸させ、その後、このウェブに熱と
圧力を加え、シート状に固化させることによっても機械
的性質に優れるスタンピング成形材料が得られることを
見出し本発明の製造方法に至った。ウェブに樹脂のエマ
ルションを塗布または噴霧等により含浸することでガラ
ス繊維表面に樹脂エマルションの付着が起こり、シート
化時にガラス繊維と界面の濡れ性、接着性が向上し、強
度が向上すると考えられる。また、エマルションの粒径
が2μm以下の場合に特に強度の向上が大きいことを見
出した。これは粒径が大きい場合、ガラス繊維へのエマ
ルションの付着が不均一になり、強度向上の効果が小さ
くなるためと考えられる。
【0013】さらにこれらの製造方法を併用することに
よって、一層機械的性質に優れたスタンピング成形材料
が得られることを見出した。これらの製造方法によっ
て、スタンピング成形材料中のマトリックス樹脂に関
し、強化用ガラス繊維表面に近接する部分にはシランカ
ップリング剤と結合可能な官能基をより多く含有し、強
化用ガラス繊維表面からマトリックス樹脂内へ該官能基
濃度が傾斜的に減少しているスタンピング成形材料を製
造することができる。
【0014】また、これらの製造方法においては、マト
リックス樹脂が含有するところの、シランカップリング
剤と結合可能な官能基の濃度を、平均 5.0×10-7〜 1.0
×10 -4 mol/g(官能基 mol数/熱可塑性樹脂の重量)
の範囲に調整することが好ましい。また、熱可塑性樹脂
の粒子に融着させる官能基含有熱可塑性樹脂Bやウェブ
に樹脂エマルションとして含浸させる官能基含有熱可塑
性樹脂Cの官能基濃度は 5.0×10-5〜 2.0×10-3 mol/
g(官能基 mol数/熱可塑性樹脂B又はCの重量)であ
ることが好ましい。
【0015】また、熱可塑性樹脂がポリプロピレンであ
り、官能基が酸無水物基、カルボキシル基および水酸基
のうちのいずれかであることが好ましい。
【0016】
【作用】以下に本発明をさらに詳細に説明する。まず、
強化用ガラス繊維について説明する。ガラス繊維の十分
な補強効果を得、かつスタンピング成形材料の成形時の
流動性を確保する上でガラス繊維の平均長さは6〜50mm
が好ましい。ガラス繊維が短すぎると十分な補強効果が
得られず、長すぎると成形時の流動性が低下する。ま
た、平均繊維径はガラス繊維の補強効果を確保する上で
5〜30μmであることが好ましい。
【0017】ガラス繊維はスタンピング成形材料中にお
いて、ガラス繊維と熱可塑性樹脂の重量比(ガラス繊維
/熱可塑性樹脂)が20/80から70/30となるように用い
るのが好ましい。ガラス繊維が過少の場合は補強効果が
小さい。過剰の場合には熱可塑性樹脂がガラス繊維中に
均一に含浸することが困難となり、スタンピング成形材
料中に空隙を生じて機械的特性の低下を招く。
【0018】ガラス繊維の表面には、シランカップリン
グ剤さらに必要に応じては収束剤による処理が必要であ
る。シランカップリング剤は後述する官能基含有熱可塑
性樹脂との濡れ性や反応性を向上させるため、収束剤は
ガラス繊維の開繊状態を制御するためのものである。シ
ランカップリング剤としては、ピニルシラン系、アミノ
シラン系、エポキシシラン系、メタクリルシラン系、ク
ロロシラン系、メルカプトシラン系などが使用可能だ
が、なかでもアミノシラン系、エポキシシラン系が好ま
しい。シランカップリング剤のガラス繊維への処理方法
は、ガラス繊維を混合しながらシランカップリング剤水
溶液を噴霧する乾式法、高温のガラス繊維にシランカッ
プリング剤水溶液を噴霧するスプレー法およびシランカ
ップリング剤水溶液中に浸漬するなどの公知の方法を用
いることができる。シランカップリング剤の量は、ガラ
ス繊維に対して 0.001〜0.3 重量%が好ましい。さらに
好ましくは0.005 〜0.2 重量%である。0.001 重量%未
満では機械特性の向上が小さい。一方、0.3 重量%超で
は効果が飽和すると共に、ガラス繊維を配合する際の操
作性を悪化させることがあるので好ましくない。
【0019】強化用ガラス繊維の形態は、単繊維に開繊
されたもの、あるいはガラス単繊維が複数本収束した繊
維束からなるもののどちらであってもよい。また、単繊
維と繊維束とが混合されたものであってもよい。繊維の
開繊状態は収束剤の種類や量で調整することができる。
強化用ガラス繊維として繊維束を用いる場合には、抄紙
工程で開繊しないように界面活性剤含有水性媒体に実質
的に不溶性の収束剤で処理される必要がある。これらの
収束剤としてエポキシ系、ウレタン系、ポリオレフィン
系、メラミン系などがある。収束剤の量はガラス繊維に
対して 0.1〜 1.5重量%が好適である。さらに好ましく
は 0.2〜 1.3重量%である。 0.1重量%未満の場合に
は、抄紙工程で単繊維に開繊しやすくなる。 1.5重量%
超の場合には、シランカップリング剤と官能基含有熱可
塑性樹脂(熱可塑性樹脂B、C)との濡れ性や接着性を
低下させることがある。
【0020】強化用ガラス繊維のうち、単繊維に開繊す
るものは、水溶性の収束剤で処理される必要がある。こ
れらの収束剤としては、ポリエチレンオキサイド系、ポ
リビニルアルコール系などが挙げられる。収束剤の量は
ガラス繊維に対して 0.03 〜0.3重量%が好ましい。さ
らに好ましくは0.05〜 0.2重量%である。0.03重量%未
満の場合には、水性媒体に投入する前に開繊し、操作性
を悪くすることがある。 0.3重量%超の場合には、抄紙
工程で開繊し難くなる。
【0021】強化用ガラス繊維として繊維束を用いるこ
とは、マトリックス樹脂の流動性を高め、スタンピング
成形材料の成形性を高める作用がある。ただし、繊維の
収束本数が多すぎる場合にはガラス繊維全体の外表面積
が小さくなることにより、スタンピング成形材料の機械
的強度が低下することがある。次に熱可塑性樹脂につい
て説明する。
【0022】熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂A)として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポ
リ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカー
ボネート、ポリアミド、ポリアセタールなど、および、
これらの樹脂を主成分とする共重合体やグラフト化合物
およびブレンド物、例えば、エチレン−塩化ビニル共重
合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタ
ジエン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。
なかでも好ましいものはポリプロピレンである。
【0023】前述のシランカップリング剤と結合可能な
官能基を分子中に含有する熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂
B、熱可塑性樹脂C)としては、先に例示した熱可塑性
樹脂を、酸やエポキシなどの種々の化合物で変性したも
のが用いられる。熱可塑性樹脂としてポリプロピレンを
例に挙げると、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル
酸などで変性することができ、官能基が酸無水物基、ま
たはカルボキシル基となるものが好適に用いられる。ま
た、酸変性したものをさらに種々の化合物で変性した
り、酢酸ビニルを重合したのちケン化することなどによ
って官能基が水酸基となるものも好適に用いられる。さ
らにアクリルアミド、メタクリルアミドなどで変性する
ことにより、官能基がアミノ基となるものも用いること
ができる。この他、官能基がアジリジン系、エポキシ
系、シラン系などであってもよい。
【0024】シランカップリング剤と官能基との結合
は、水素結合、共有結合などのいずれであっても良く、
シランカップリング剤で処理された強化用ガラス繊維と
マトリックス樹脂との間で接着性に作用を与えるものす
べてが該当する。官能基の含有量は、マトリックス樹脂
に対して、 5.0×10-7〜 1.0×10-4 mol/g(官能基 m
ol数/熱可塑性樹脂の重量)の範囲が好ましい。より好
ましくは2.0×10-6〜 5.0×10-5 mol/gの範囲であ
る。 5.0×10-7 mol/g未満である場合には、ガラス繊
維表面のシランカップリング剤との接着性が不十分とな
り、スタンピング成形材料の機械的性質の向上が小さい
ものとなる。 1.0×10-4mol/g超である場合には、シ
ランカップリング剤との接着性が飽和し、コスト的に不
利となるほか、スタンピング成形材料の着色、マトリッ
クス樹脂の脆性化による機械的性質の低下を招くことが
ある。
【0025】また、本発明においては、マトリックス樹
脂中の官能基を強化用ガラス繊維の表面に多く偏在さ
せ、ガラス繊維表面からマトリックス樹脂内へ官能基濃
度を傾斜的に減少させることによって機械的特性の向上
を図っている。官能基が偏在している状態とは、分子中
に官能基を含有する熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂B、熱
可塑性樹脂C)が選択的に強化用ガラス繊維表面付近に
介在している状態を指す。官能基を偏在させる方法とし
ては、官能基を含有しない熱可塑性樹脂Aの粒子の表面
に官能基を含有する熱可塑性樹脂Bを融着させた混合樹
脂粒子をウェブの構成成分とする、あるいは得られたウ
ェブに官能基を含有する熱可塑性樹脂Cのエマルション
を散布する、さらにこれらの方法を併用することが挙げ
られる。
【0026】図1に本発明のスタンピング成形材料およ
びその製造方法を模式的に表す。抄紙法によってウェブ
を製造する上で、熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂A)は粒
子状のものを用いる。熱可塑性樹脂Aの粒子の表面に熱
可塑性樹脂Bを融着させる場合においても、得られる混
合樹脂は粒子状である必要がある。熱可塑性樹脂Aの粒
子は、重合後の粒子を用いてもよいし、ペレット状の樹
脂を溶媒へ溶解後、析出させて得られる粒子(化学粉
砕)や機械粉砕して得られる粒子を用いてもよい。ま
た、混合樹脂の粒径は、50〜2000μmであることが好ま
しい。粒径が大きすぎる場合にはガラス繊維中への樹脂
の含浸性が低下する。粒径が小さすぎる場合には後述す
るウェブの製法中の脱水工程において圧力損失が大きく
なり、製造上のトラブルを生じることがある。
【0027】熱可塑性樹脂Aの粒子に熱可塑性樹脂Bを
あらかじめ融着する方法としては、ヘンシェルミキサー
などによる混合が例示される。この場合、熱可塑性樹脂
Bの融点あるいは軟化点以上、熱可塑性樹脂Aの融点あ
るいは軟化点より低い温度下で混合攪拌することで行
う。熱可塑性樹脂Bの融点あるいは軟化点は、熱可塑性
樹脂Aの融点あるいは軟化点よりも低ければよい。
【0028】熱可塑性樹脂Bの融着量は、最終的なマト
リックス樹脂中の官能基濃度が平均5.0×10-7〜 1.0×1
0-4 mol/g(官能基 mol数/熱可塑性樹脂の重量)の
範囲となるように調整すればよいが、好ましい融着量
は、〔(熱可塑性樹脂Bの重量)/(マトリックス樹脂
の総重量)〕× 100の値が 0.1〜 5.0重量%の範囲であ
る。 0.1重量%未満の場合には、すべてのガラス繊維表
面に均一に融着することが困難となる。5.0 重量%超の
場合には、ガラス繊維表面に融着している熱可塑性樹脂
Bの厚みが大きくなり、マトリックス樹脂の機械的性質
の低下による強度低下を生じることがある。
【0029】また、エマルションとしてウェブに含浸さ
せる熱可塑性樹脂Cについて説明する。樹脂エマルショ
ンは水性媒体中に高分子物質が安定に分散しているもの
である。エマルションの粒径はガラス繊維への付着を均
一にするため2μm以下に限定され、さらに好ましくは
1μm以下である。粒径が2μm超の場合、ガラス繊維
への付着が不均一となり、濡れ性、接着性の向上が不十
分となるほか、ガラス繊維表面に官能基を多く偏在させ
ることが困難となり、本発明の特徴、効果が十分に発揮
されない。
【0030】エマルションをウェブに含浸させる方法と
しては、カーテンコーターなどにより塗布する方法やス
プレーなどにより噴霧する方法などがある。エマルショ
ンの添加量は〔(エマルション中の樹脂量)/(ガラス
繊維量)〕× 100の値が、 0.1〜 2重量%が好ましい。
さらに好ましくは 0.3〜 1.5重量%である。 0.1重量%
未満では濡れ性、接着性が不十分となり強度の向上が小
さくなることがある。 2重量%超では熱可塑性樹脂Cの
ガラス繊維表面における偏在量が多くなり、機械的性質
の低下を生じることがある。
【0031】分子中に官能基を含有しない熱可塑性樹脂
Aの好適な分子量は、重量平均分子量で 30000〜500000
の範囲である。重量平均分子量が 30000未満の場合は、
溶融粘度が低く、ガラス繊維への濡れ性が高い反面、脆
性的であるため、スタンピング成形材料とした場合の機
械的特質が低い。また、重量平均分子量が500000を越え
る場合は、溶融粘度が高く、スタンピング成形材料の成
形時の流動性が低下する。さらにガラス繊維中への熱可
塑性樹脂の含浸性が低下し、ガラス繊維を過剰に配合し
た場合と同様にスタンピング成形材料の機械的性質が低
下することがある。特に好ましい重量平均分子量の範囲
は 50000〜200000である。
【0032】熱可塑性樹脂Aと、官能基を分子中に含有
する熱可塑性樹脂Bおよび熱可塑性樹脂Cは、同種の樹
脂であることが好ましい。また、異種の樹脂である場合
でも、互いに相溶性を示すことが好ましい。熱可塑性樹
脂Aと熱可塑性樹脂Bおよび熱可塑性樹脂Cとの相溶性
が乏しい場合には、これらの混合物であるマトリックス
樹脂の機械的性質が低下し、スタンピング成形材料とし
た場合の機械的性質の低下を招く。また、熱可塑性樹脂
Bおよび熱可塑性樹脂Cの分子量は、重量平均分子量で
5000〜150000の範囲であることが好ましい。重量平均分
子量が5000未満の場合は、先と同様に脆性的となり、ス
タンピング成形材料の機械的性質が低くなる。また、重
量平均分子量が150000を越える場合は、スタンピング成
形材料の成形時の流動性が低下する。ただし、熱可塑性
樹脂Bおよび熱可塑性樹脂Cの配合量が極めて小さい場
合には、分子量の影響は無視できる。
【0033】また、熱可塑性樹脂Bおよび熱可塑性樹脂
Cの官能基の含有量は、 5.0×10-5〜 2.0×10-3 mol/
g(官能基 mol数/熱可塑性樹脂Bあるいは熱可塑性樹
脂Cの重量)の範囲が好ましい。より好ましくは 1.0×
10-4〜 1.0×10-3 mol/gの範囲である。 5.0×10-5mo
l /g未満である場合には、必然的に脆性的な熱可塑性
樹脂Bあるいは熱可塑性樹脂Cの配合量が増えることに
なり、機械的性質の低下を招くことがある。また、 2.0
×10-3 mol/g超である場合には、必然的に熱可塑性樹
脂Bあるいは熱可塑性樹脂Cの配合量が減り、ガラス繊
維表面における官能基の分散が不十分となり、機械的性
質の向上が小さくなることがある。
【0034】なお、これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ
分子量や官能基の種類、官能基含有量の異なる複数の熱
可塑性樹脂から構成されるものであってもよい。次にス
タンピング成形材料の製造方法について詳述する。スタ
ンピング成形材料の製造方法を例示する。ガラス繊維の
チョップドストランドと熱可塑性樹脂粒子あるいは熱可
塑性樹脂Aの表面に熱可塑性樹脂Bがあらかじめ融着さ
れた混合樹脂の粒子とを、空気の微小気泡が分散した界
面活性剤水溶液中に分散させる。この分散液を多孔性支
持体を介して脱水することにより、ガラス繊維の中に熱
可塑性樹脂粒子が均一に混合、分散されたウェブを得る
ことができる。ウェブの厚さは通常1〜10mmである。続
いて、必要によりこのウェブに熱可塑性樹脂Cのエマル
ションを含浸させたのち、ウェブを乾燥させ、熱可塑性
樹脂の融点あるいは軟化点以上に加熱して樹脂を溶融さ
せ、冷却盤間で圧力を加えて緻密な固化したスタンピン
グ成形材料を得る。
【0035】ウェブの加熱温度は、熱可塑性樹脂の分解
温度以下に設定する必要がある。熱可塑性樹脂がポリプ
ロピレンの場合、加熱温度は 170〜230 ℃が好ましく、
特に190 〜210 ℃が好ましい。 230℃超ではポリプロピ
レンの分解による着色、機械的特性の低下を生じる。ウ
ェブを冷却盤でプレスする際の圧力は、緻密化する目的
から3〜500kgf/cm 2 とするのが好ましい。過剰の圧力
はガラス繊維の破損を生じることがある。
【0036】なお、スタンピング成形材料には、酸化防
止剤、耐候安定剤、金属不活性剤、銅害防止剤、難燃
剤、カーボンブラックなどの添加剤や着色剤などを含有
することができる。これらの添加剤、着色剤などは、例
えば熱可塑性樹脂にあらかじめ配合したり、熱可塑性樹
脂Aと熱可塑性樹脂Bとを混合融着させる際に同時に加
えたり、スタンピング成形材料製造工程中にスプレーな
どで添加することにより、スタンピング成形材料中に含
有させることができる。
【0037】最後に成形方法について説明する。以上の
ようにして製造されたスタンピング成形材料は公知の方
法で成形される。すなわちスタンピング成形材料を熱可
塑性樹脂の融点あるいは軟化点以上、分解温度以下に加
熱後、成形金型上に置き、加圧して賦形させる。熱可塑
性樹脂がポリプロピレンの場合、加熱温度は 170〜 230
℃が好ましい。
【0038】金型温度は熱可塑性樹脂の凝固点以下であ
ればよい。ハンドリング性、生産性の観点から通常室温
〜60℃である。成形圧力は製品形状により異なるが、通
常50〜500kgf/cm2である。なお、本発明は抄紙法で作ら
れたスタンピング成形材料について述べたが、本発明の
思想はこれに限られることなく、ガラス繊維マットに熱
可塑性樹脂を含浸させる場合にも適用できる。
【0039】以下に本発明を実施例に基づいてより具体
的に説明する。
【0040】
【実施例】
〔実施例1−1〕マトリックス樹脂として、以下の2つ
の樹脂を用意した。 熱可塑性樹脂A:ポリプロピレン(白色粒状、平均粒径
800μm 、重量平均分子量 150000 、融点 165℃) 熱可塑性樹脂B:無水マレイン酸変性ポリプロピレン
〔黄色、平均粒径 2mm、無水マレイン酸変性量10.0重量
%(酸無水物基 9.03 ×10-4 mol/g、酸無水物基の加
水分解によって生じたカルボキシル基 2.00 ×10-4 mol
/g、合計官能基濃度 1.10 ×10-3 mol/g)、重量平
均分子量 12000、融点 142℃〕 熱可塑性樹脂Aの粒子96.5重量部、熱可塑性樹脂Bの粒
子 3.5重量部をヘンシェルミキサー(三井三池工業製20
l)内に投入し、攪拌翼の周速度25m/s で30分、最高 1
42℃に熱せられた状態で混合攪拌し、熱可塑性樹脂Aの
粒子に熱可塑性樹脂Bが膜状に融着された平均粒径 800
μmの混合樹脂粒子を得た。この混合樹脂粒子(混合樹
脂に占める酸無水物基とカルボキシル基の合計濃度が
4.40 ×10 -5 mol/g) 33.75gと平均繊維長さ13mm、
平均繊維径10μmのガラス繊維チョップドストランド
(アミノシランカップリング剤0.06重量%含有)22.50
g(スタンピング成形材料に占めるガラス繊維の重量が
40重量%)をドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
0.8重量%水溶液10l中で攪拌、気泡して調整した分散
液を、抄紙面積 250×250mm の抄紙機に流し込み、吸引
脱泡して、目付け 900g/m2 のウェブを製造した。そ
の後、 130℃で90分乾燥した。同様にして目付け 900g
/m2 のウェブをさらに3枚製造した。ウェブを4枚積
層し、 210℃で予熱後、25℃の冷却盤間に配置し、5 k
gf/cm3 の圧力でプレスし、固化した緻密なガラス繊維
強化熱可塑性樹脂複合材料(スタンピング成形材料)を
得た。スタンピング成形材料の中央部から、JIS K7055
に従って曲げ試験片を切りだし、3点曲げ試験を行い、
曲げ強度を測定した。結果を表1に示す。
【0041】なお、得られたスタンピング成形材料につ
いて、強化用ガラス繊維の配向軸に対して斜めに薄膜状
に切削し、顕微IR(フーリエ変換赤外分光光度計 Mic
ro FTIR-100 型 日本分光工業社製)を用いて酸無水物
基に由来する吸収(1785cm-1)とカルボキシル基に由来
する吸収(1710cm-1)とからマトリックス樹脂中に占め
る官能基の濃度を測定した(C-H 面外変角振動 840cm-1
との比較による)。測定範囲を約25μm角(ガラス繊維
表面からの垂直方向距離に換算して約10μm)とし、ガ
ラス繊維表面に近接したマトリックス樹脂から10μmず
つ離れた位置についての官能基濃度を測定した。結果を
表2に示す。
【0042】〔比較例1−1〕熱可塑性樹脂Aの粒子に
熱可塑性樹脂Bを融着する工程を行わず、混合樹脂に代
えて、熱可塑性樹脂Aの粒子33.75gを用いるほかは、実
施例1−1と同様にしてスタンピング成形材料を得た。
また、実施例1−1と同様に、曲げ強度、曲げ弾性率、
官能基濃度を測定した。結果を表1、表2に示す。な
お、この場合の曲げ強度を図2、図3に黒丸●にて示し
た。
【0043】〔実施例1−2〕熱可塑性樹脂Bとして以
下のものを用いた以外は実施例1−1と同様にしてスタ
ンピング成形材料を得た。 熱可塑性樹脂B:無水マレイン酸変性ポリプロピレン
〔黄色、平均粒径 2mm、無水マレイン酸変性量 5.0重量
%(酸無水物基 4.43 ×10-4 mol/g、酸無水物基の加
水分解によって生じたカルボキシル基 1.24 ×10-4 mol
/g、合計官能基濃度 5.67 ×10-4 mol/g)、重量平
均分子量 27000、融点 151℃〕 実施例1−1と同様に、曲げ強度、曲げ弾性率、官能基
濃度を測定した。また、シート表面の色を観察した。結
果を表1、表2に示す。
【0044】〔比較例1−2〕熱可塑性樹脂Aの粒子に
熱可塑性樹脂Bを融着する工程を行わず、混合樹脂に代
えて、熱可塑性樹脂Aの粒子32.57gと熱可塑性樹脂Bの
粒子 1.18gを用いるほかは、実施例1−2と同様にして
スタンピング成形材料を得た。また、実施例1−2と同
様に、曲げ強度、曲げ弾性率、官能基濃度を測定した。
また、シート表面の色を観察した。結果を表1、表2に
示す。
【0045】〔実施例1−3〕熱可塑性樹脂Bとして以
下のものを用いた以外は実施例1−1と同様にしてスタ
ンピング成形材料を得た。 熱可塑性樹脂B:マレイン酸変性ポリプロピレン〔黄
色、平均粒径 2mm、マレイン酸変性量 5.0重量%(カル
ボキシル基 8.55 ×10-4 mol/g)、重量平均分子量 2
7000、融点 151℃〕 実施例1−1と同様に、曲げ強度、曲げ弾性率、官能基
濃度を測定した。また、シート表面の色を観察した。結
果を表1、表2に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】この実施例によりマトリックス樹脂中の官
能基濃度がガラス繊維表面に多く偏在し、マトリックス
樹脂内に傾斜的に減少されたスタンピング成形材料が得
られていることが分かる。またこのスタンピング成形材
料は、曲げ強度、曲げ弾性率が高く、ばらつきも小さい
ことが分かった。熱可塑性樹脂Aと官能基含有熱可塑性
樹脂Bを単に粒子混合した比較例に比べて、機械的性質
の向上が大きく、また熱可塑性樹脂Bの添加に伴う着色
も少なく、均一な色相をもつ外観の良いシートが得られ
た。
【0049】〔実施例2−1〕マトリックス樹脂とし
て、以下の2つの樹脂を用意した。 熱可塑性樹脂A:ポリプロピレン(白色粒状、平均粒径
800μm 、重量平均分子量 150000 、融点 165℃) 熱可塑性樹脂C:無水マレイン酸変性ポリプロピレンの
エマルション〔有効成分0.5 %、固形分黄色、平均粒径
0.8μm 、無水マレイン酸変性量10.0重量%(酸無水物
基9.03×10-4 mol/g、酸無水物基の加水分解によって
生じたカルボキシル基 2.00 ×10-4 mol/g、合計官能
基濃度1.10×10-3 mol/g] 、重量平均分子量 12000、
軟化点 142℃〕 熱可塑性樹脂A33.75gと平均繊維長さ13mm、平均繊維径
10μmのガラス繊維チョップドストランド(アミノシラ
ンカップリング剤0.06重量%含有)22.50 g(スタンピ
ング成形材料に占めるガラス繊維の重量が40重量%)を
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.8重量%水溶
液10l中で攪拌、気泡して調整した分散液を、抄紙面積
250×250mm の抄紙機に流し込み、吸引脱泡して、目付
け 900g/m2 のウェブを製造した。引き続き、このウ
ェブに熱可塑性樹脂Cのエマルション 67.50gをスプレ
ー噴霧によって含浸させた〔マトリックス樹脂中に占め
る官能基(酸無水物基+カルボキシル基)の総量が1.09
×10-5mol /g〕。
【0050】その後、 130℃で90分乾燥した。同様にし
て目付け 900g/m2 のウェブをさらに3枚製造した。
ウェブを4枚積層し、 210℃で予熱後、25℃の冷却盤間
に配置し、5 kgf/cm3 の圧力でプレスし、固化した緻
密なスタンピング成形材料を得た。実施例1−1と同様
にして、曲げ強度、曲げ弾性率、シートの色相および官
能基濃度を測定した。結果を表3および表4に示す。
【0051】〔実施例2−2〕熱可塑性樹脂Cのエマル
ションとして以下のものを用いた以外は実施例2−1と
同様にしてスタンピング成形材料を得た。 熱可塑性樹脂C:マレイン酸変性ポリプロピレンのエマ
ルション〔有効成分0.5%、固形分黄色、平均粒径 0.2
μm 、マレイン酸変性量 5.0重量%(カルボキシル基
8.55 ×10-4 mol/g] 、重量平均分子量 27000、軟化
点 151℃〕 実施例2−1と同様にして、曲げ強度、曲げ弾性率、シ
ートの色相および官能基濃度を測定した。結果を表3お
よび表4に示す。
【0052】〔比較例2−1〕熱可塑性樹脂Cをエマル
ションとせず、樹脂単体として用い、熱可塑性樹脂Aと
同時に0.34g (実施例2−2の熱可塑性樹脂Cと同配合
例に相当)配合した以外は実施例2−2と同様にしてス
タンピング成形材料を得た。実施例2−2と同様にし
て、曲げ強度、曲げ弾性率、シートの色相および官能基
濃度を測定した。結果を表3および表4に示す。
【0053】〔比較例2−2〕熱可塑性樹脂Cをエマル
ションとして、平均粒子径 3.0μm のものに代える以外
は、実施例2−2と同様にしてスタンピング成形材料を
得た。実施例2−2と同様にして、曲げ強度、曲げ弾性
率およびシートの色相を測定した。結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】この実施例によっても、マトリックス樹脂
中の官能基濃度がガラス繊維表面に多く偏在され、マト
リックス樹脂内に傾斜的に減少されたスタンピング成形
材料が得られた。またこのスタンピング成形材料は、曲
げ強度、曲げ弾性率が高く、ばらつきも小さいことが分
かった。熱可塑性樹脂Aと官能基含有熱可塑性樹脂Cを
単に粒子混合した比較例に比べて、機械的性質の向上が
大きく、また熱可塑性樹脂Cの添加に伴う着色も少な
く、均一な色相をもつ外観の良いシートが得られた。な
お、エマルションの粒子径が過大の場合は機械的性質の
向上が小さい。
【0057】〔実施例3〕マトリックス樹脂として、以
下の3つの樹脂を用意した。 熱可塑性樹脂A:ポリプロピレン(重量平均分子量 150
000 、融点 165℃) 熱可塑性樹脂B:無水マレイン酸変性ポリプロピレン
〔酸無水物基 9.2×10-4 mol/g(酸無水物基の mol数
/無水マレイン酸変性ポリプロピレンの重量)、カルボ
キシル基 2.0×10-4 mol/g(カルボキシル基の mol数
/無水マレイン酸変性ポリプロピレンの重量)、重量平
均分子量 32000、融点 142℃〕 熱可塑性樹脂C:熱可塑性樹脂Bと同じ樹脂で粒径約
0.8μm、樹脂濃度 5.0重量%のエマルションとした。
【0058】熱可塑性樹脂Aの粒子96.8重量部、熱可塑
性樹脂Bの粒子 3.2重量部をヘンシェルミキサー内に投
入し、 142℃に熱せられた状態で混合攪拌し、熱可塑性
樹脂Aの粒子に熱可塑性樹脂Bが膜状に融着された平均
粒径 800μmの混合樹脂粒子を得た。この混合樹脂粒子
30.00gと平均繊維長さ13mm、平均繊維径10μmのガラ
ス繊維チョップドストランド(アミノシランカップリン
グ剤0.06重量%含有)22.50 g(スタンピング成形材料
に占めるガラス繊維の重量が40重量%)をドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム 0.8重量%水溶液10l中で攪
拌、気泡して調整した分散液を、抄紙面積 250×250mm
の抄紙機に流し込み、吸引脱泡して、目付け 900g/m
2 のウェブを製造した。引き続き、このウェブに熱可塑
性樹脂Cのエマルション 15.00gをスプレー噴霧によっ
て含浸させた〔マトリックス樹脂中に占める官能基(酸
無水物基+カルボキシル基)の総量が 6.0×10-5mol /
g〕。
【0059】その後、 130℃で90分乾燥した。同様にし
て目付け 900g/m2 のウェブをさらに3枚製造した。
ウェブを4枚積層し、 210℃で予熱後、25℃の冷却盤間
に配置し、5 kgf/cm3 の圧力でプレスし、固化した緻
密なガラス繊維強化熱可塑性樹脂複合材料(スタンピン
グ成形材料)を得た。スタンピング成形材料の中央部か
ら、JIS K7055 に従って曲げ試験片を切りだし、3点曲
げ試験を行い、曲げ強度を測定した。
【0060】なお、得られたスタンピング成形材料につ
いて、強化用ガラス繊維の配向に対して斜めに薄膜状に
切削し、顕微IR(フーリエ変換赤外分光光度計 Micro
FTIR-100 型 日本分光工業社製)を用いて酸無水物基
に由来する吸収(1785cm-1)とカルボキシル基に由来す
る吸収(1710cm-1)とからマトリックス樹脂中に占める
官能基の濃度を測定した(C-H 面外変角振動 840cm-1
の比較による)。測定範囲を約25μm角(ガラス繊維表
面からの垂直方向距離に換算して約10μm)とし、ガラ
ス繊維表面に近接したマトリックス樹脂から10μmずつ
離れた位置についての官能基濃度を測定した。結果を表
5に示す。
【0061】
【表5】
【0062】マトリックス樹脂中の官能基濃度がガラス
繊維表面に多く偏在し、マトリックス樹脂中の平均官能
基濃度( 6.0×10-5mol/g )の10倍以上がガラス繊維に
近接する部分に存在する。さらに、官能基濃度がマトリ
ックス樹脂内に傾斜的に減少していることが確認され
た。またさらに、熱可塑性樹脂Bと熱可塑性樹脂Cを同
じ比率で増減させ、マトリックス樹脂中に占める官能基
〔酸無水物基+カルボキシル基〕の総量が 5.0×10 -7
2.0×10-4 mol/g(官能基 mol数/熱可塑性樹脂の重
量)の範囲内となるように調整した他は、前記と同様に
してスタンピング成形材料を製造し、同様の評価を行っ
た。マトリックス樹脂に占める官能基の総量と曲げ強度
との関係を調査した。結果をまとめて図2に示す。
【0063】〔比較例3〕強化ガラス繊維として、アミ
ノシランカップリング剤で処理していないガラス繊維チ
ョップドストランドを用いた他は実施例3と同様にして
スタンピング成形材料を製造し、同様の評価を行った。
結果を図2に示す。なお、この図には官能基を添加しな
い場合も示した。
【0064】〔実施例3−1〕ガラス繊維チョップドス
トランドとして以下の2つのガラス繊維を準備した。 ガラス繊維チョップドストランドA(実施例3のガラス
繊維と同じもの):平均長さ13mm,平均繊維径10μm 、
アミノシランカップリング剤0.06重量%、ポリエチレン
オキサイド系収束剤0.05重量%、収束本数5000本/束 ガラス繊維チョップドストランドB:平均長さ13mm,平
均繊維径10μm 、アミノシランカップリング剤0.1 重量
%、ウレタン系収束剤1.0 重量%、収束本数70本/束 なお、ガラス繊維チョップドストランドAは抄紙工程で
単繊維に開繊したが、ガラス繊維チョップドストランド
Bは最初のストランドの形態を保持していた。
【0065】実施例3でのマトリックス樹脂に占める官
能基の濃度が6.0 ×10-5mol/g の場合を例にとり、その
とき用いた強化用ガラス繊維に代えて、ガラス繊維チョ
ップドストランドA11.25gとガラス繊維チョップドスト
ランドB11.25gを使用した他は同様にしてスタンピング
成形材料を製造し、曲げ試験を行った。曲げ強度、曲げ
弾性率の結果およびガラス繊維の開繊状態を表6に示
す。
【0066】〔実施例3−2〕実施例3でのマトリック
ス樹脂に占める官能基の濃度が6.0 ×10-5mol/g の場合
を例にとり、そのとき用いた強化用ガラス繊維に代え
て、ガラス繊維チョップドストランドB22.5 gを使用し
た他は同様にしてスタンピング成形材料を製造し、曲げ
試験を行った。曲げ強度、曲げ弾性率の結果およびガラ
ス繊維の開繊状態を表6に示す。
【0067】
【表6】
【0068】ガラス繊維の開繊状態を変化させた場合に
おいても、本発明のスタンピング成形材料は高い機械的
性質を示した。なお、ガラス繊維として収束したものを
用いると、ガラス繊維束の比率の増大に伴って、スタン
ピング成形材料の流動性、すなわち成形性が向上した。 〔実施例4〕マトリックス樹脂として、以下の3つの樹
脂を用意した。 熱可塑性樹脂A:ポリプロピレン(重量平均分子量 150
000 、融点 165℃) 熱可塑性樹脂B:水酸基変性ポリプロピレン〔水酸基
6.8×10-4 mol/g(水酸基の mol数/水酸基変性ポリ
プロピレンの重量)、重量平均分子量 45000、融点152
℃〕 熱可塑性樹脂C:無水マレイン酸変性ポリプロピレンの
エマルション〔酸無水物基 9.2×10-4mol /g(酸無水
物基の mol数/無水マレイン酸変性ポリプロピレンの重
量)、カルボキシル基 2.0×10-4mol /g(カルボキシ
ル基の mol数/無水マレイン酸変性ポリプロピレンの重
量)、重量平均分子量 32000、融点 142℃、平均粒子径
約0.8 μm、有効成分 5.0%〕。
【0069】熱可塑性樹脂Aの粒子94.7重量部、熱可塑
性樹脂Bの粒子 5.3重量部をヘンシェルミキサー内に投
入し、152 ℃に熱せられた状態で混合攪拌し、熱可塑性
樹脂Aの粒子に熱可塑性樹脂Bが膜状に融着された平均
粒径 800μmの混合樹脂粒子を得た。この混合樹脂粒子
30.00gと平均長さ13mm、平均繊維系10μmのガラス繊
維チョップドストランド(アミノシランカップリング剤
0.06重量%含有)22.50 g(スタンピング成形材料に占
めるガラス繊維の重量が40重量%)をドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム 0.8重量%水溶液10l中で攪拌、
起泡して調整した分散液を、抄紙面積 250×250mm の抄
紙機に流し込み、吸引脱泡して、目付け900g/m2
ウェブを製造した。引き続き、このウェブに熱可塑性樹
脂Cのエマルション 15.00gをスプレー噴霧によって含
浸させた(マトリックス樹脂中に占める官能基〔水酸基
+酸無水物基+カルボキシル基〕の総量が 6.0×10-5 m
ol/g)。
【0070】その後、 130℃で90分乾燥した。同様にし
て目付け 900g/m2 のウェブをさらに3枚製造した。
ウェブを4枚積層し、210 ℃で予熱後、25℃の冷却盤間
に配置し、5kgf /cm3 の圧力でプレスし、固化した緻
密なガラス繊維強化熱可塑性樹脂複合材料(スタンピン
グ成形材料)を得た。スタンピング成形材料の中央部か
ら、JIS K7055 に従って曲げ試験片を切りだし、3点曲
げ試験を行い、曲げ強度を測定した。
【0071】またさらに、熱可塑性樹脂Bと熱可塑性樹
脂Cを同じ比率で増減させ、マトリックス樹脂中に占め
る官能基〔水酸基+酸無水物基+カルボキシル基〕の総
量が5.0×10-7〜2.0 ×10-4 mol/g(官能基 mol数/
熱可塑性樹脂の重量)の範囲内となるように調整した他
は、前記と同様にしてスタンピング成形材料を製造し、
同様の評価を行った。マトリックス樹脂中に占める官能
基の総量と曲げ強度との関係を調査した。結果をまとめ
て図3に示す。
【0072】〔比較例4〕強化ガラス繊維として、アミ
ノシランカップリング剤で処理していないガラス繊維チ
ョップドストランドを用いた他は実施例4と同様にして
スタンピング成形材料を製造し、同様の評価を行った。
結果を図3に併せて示す。なお、この図には官能基を添
加しない場合も示した。
【0073】熱可塑性樹脂Bおよび熱可塑性樹脂Cをマ
トリックス樹脂中に加え、シランカップリング剤と結合
可能な官能基を含有させることで曲げ強度が大幅に向上
する。ただし過少および過剰の場合には曲げ強度の向上
幅が小さい。熱可塑性樹脂A、B、Cを実施例に示した
ように併用することにより、高い曲げ強度が発現され
る。シランカップリング剤で処理されたガラス繊維の存
在下で、マトリックス樹脂中に占める官能基の濃度が、
5.0×10-7〜 1.0×10-4 mol/g(官能基 mol数/熱可
塑性樹脂の重量)の範囲、特に 2.0×10-6〜 5.0×10-4
mol/gの範囲内で曲げ強度が極大となる。
【0074】〔実施例5〕実施例3でのマトリックス樹
脂に占める官能基の濃度が6.0 ×10-5mol/g の場合を例
にとり、スタンピング成形材料に占めるガラス繊維の重
量を 5〜80重量%の範囲で変化させた以外は同様にして
スタンピング成形材料を製造し、スタンピング成形材料
に占めるガラス繊維の重量と曲げ強度との関係を調査し
た。結果を図4に示す。
【0075】〔比較例5〕熱可塑性樹脂BおよびCを配
合せず、マトリックス樹脂を全量熱可塑性樹脂Aとし、
スタンピング成形材料に占めるガラス繊維の重量と曲げ
強度との関係を調査した。結果を図4に併せて示す。こ
れらの結果より、本発明の場合スタンピング成形材料に
占めるガラス繊維の重量比が20〜70重量%のとき高い曲
げ強度が発現される。
【0076】なお、本発明を満足するスタンピング成形
材料は、流動性に優れバンパービーム等の成形に何の支
障もなかった。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、曲げ強度などの機械特
性に優れたスタンピング成形材料およびその製造方法を
提供することができる。このため、高強度、高剛性を必
要とする構造部材、たとえばバンパービームなどの自動
車用部材に有利に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスタンピング成形材の製造方法を示す
説明図である。
【図2】マトリックス樹脂中の官能基の濃度と曲げ強度
の関係を示すグラフである。
【図3】マトリックス樹脂中の官能基の濃度と曲げ強度
の関係を示すグラフである。
【図4】スタンピング成形材料中のガラス繊維の重量比
と曲げ強度の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 祐一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 技術研究本部内 (72)発明者 尾野 友重 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 技術研究本部内 (72)発明者 涌井 正浩 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 技術研究本部内 (56)参考文献 特開 昭60−104136(JP,A) 特開 昭58−19347(JP,A) 特開 昭62−57428(JP,A) 特開 昭62−68823(JP,A) 特開 平2−92627(JP,A) 実開 平1−62333(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/04 - 5/10 C08J 5/24 B29B 11/16 B29B 15/08 - 15/14

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空気の微小気泡が分散した界面活性剤含
    有水性媒体に強化用ガラス繊維と粒状の熱可塑性樹脂と
    を分散させた液を多孔性支持体上で抄くことによりシー
    ト状のウェブを得、該ウェブに熱と圧力を加え、シート
    状に固化したスタンピング成形材料において、該強化用
    ガラス繊維がシランカップリング剤で処理されており、
    かつスタンピング成形材料中のマトリックス樹脂が該シ
    ランカップリング剤と結合可能な官能基を含有し、さら
    に該マトリックス樹脂に関し、強化用ガラス繊維表面に
    近接する部分には該官能基をより多く含有し、強化用ガ
    ラス繊維表面からマトリックス樹脂内へ官能基濃度が傾
    斜的に減少していることを特徴とする機械的性質に優れ
    るスタンピング成形材料。
  2. 【請求項2】 強化用ガラス繊維のスタンピング成形材
    料に占める割合が20〜70重量%であることを特徴とする
    請求項1記載の機械的性質に優れるスタンピング成形材
    料。
  3. 【請求項3】 スタンピング成形材料中のマトリックス
    樹脂が該シランカップリング剤と結合可能な官能基を平
    均 5.0×10-7〜 1.0×10-4 mol/g(官能基mol数/熱
    可塑性樹脂の重量)含有し、さらに該マトリックス樹脂
    に関し、強化用ガラス繊維表面に近接する部分には該官
    能基をマトリックス樹脂中の平均官能基濃度の10倍以
    上で、かつ 5.0×10-5〜 2.0×10-3mol /gの範囲で含
    有し、強化用ガラス繊維表面からマトリックス樹脂内へ
    官能基濃度が傾斜的に減少していることを特徴とする請
    求項1又は2記載の機械的性質に優れるスタンピング成
    形材料。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂がポリプロピレンであり、
    官能基が酸無水物基、カルボキシル基、および水酸基の
    うちの少なくとも一種であることを特徴とする請求項
    1、2又は3記載の機械的性質に優れるスタンピング成
    形材料。
  5. 【請求項5】 シランカップリング剤で処理された強化
    用ガラス繊維と、粒状の熱可塑性樹脂Aの表面に該シラ
    ンカップリング剤と結合可能な官能基を分子中に含有す
    る熱可塑性樹脂Bがあらかじめ融着されてなる混合粒子
    とを空気の微小気泡が分散した界面活性剤含有水性媒体
    に分散させて分散液を調整し、この分散液を多孔性支持
    体上で抄くことによりシート状のウェブを調整し、その
    後、このウェブに熱と圧力を加え、シート状に固化させ
    ることを特徴とする機械的性質に優れるスタンピング成
    形材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 シランカップリング剤で処理された強化
    用ガラス繊維と、粒状の熱可塑性樹脂Aとを空気の微小
    気泡が分散した界面活性剤含有水性媒体に分散させて分
    散液を調整し、この分散液を多孔性支持体上で抄くこと
    によりシート状のウェブを調整し、このウェブに該シラ
    ンカップリング剤と結合可能な官能基を分子中に含有す
    る粒径2μm以下の熱可塑性樹脂Cの樹脂エマルション
    を含浸させ、その後、このウェブに熱と圧力を加え、シ
    ート状に固化させることを特徴とする機械的性質に優れ
    るスタンピング成形材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 粒状の熱可塑性樹脂Aに代えて、粒状の
    熱可塑性樹脂Aの表面にシランカップリング剤と結合可
    能な官能基を分子中に含有する熱可塑性樹脂Bがあらか
    じめ融着されてなる混合粒子を用いることを特徴とする
    請求項6記載の機械的性質に優れるスタンピング成形材
    料の製造方法。
  8. 【請求項8】 シランカップリング剤で処理された強化
    用ガラス繊維がスタンピング成形材料に占める割合が20
    〜70重量%であることを特徴とする請求項5、6又は7
    記載の機械的性質に優れるスタンピング成形材料の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 マトリックス樹脂がシランカップリング
    剤と結合可能な官能基を平均 5.0×10-7〜 1.0×10-4 m
    ol/g(官能基 mol数/熱可塑性樹脂の重量)含有する
    ように調整することを特徴とする請求項5、6、7又は
    8記載の機械的性質に優れるスタンピング成形材料の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 熱可塑性樹脂Bおよび熱可塑性樹脂C
    が含有する官能基の濃度が 5.0×10-5〜 2.0×10-3 mol
    /g(官能基 mol数/熱可塑性樹脂B又はCの重量)で
    あることを特徴とする請求項5、6、7、8又は9記載
    の機械的性質に優れるスタンピング成形材料の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 熱可塑性樹脂A、熱可塑性樹脂Bおよ
    び熱可塑性樹脂Cがポリプロピレンであり、官能基が酸
    無水物基、カルボキシル基および水酸基のうち少くとも
    一種であることを特徴とする請求項5、6、7、8、9
    又は10記載の機械的性質に優れるスタンピング成形材
    料の製造方法。
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