JP3285451B2 - 全血試料の分析方法および分析要素 - Google Patents

全血試料の分析方法および分析要素

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JP3285451B2 JP18004694A JP18004694A JP3285451B2 JP 3285451 B2 JP3285451 B2 JP 3285451B2 JP 18004694 A JP18004694 A JP 18004694A JP 18004694 A JP18004694 A JP 18004694A JP 3285451 B2 JP3285451 B2 JP 3285451B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、臨床分析分野等におい
て、例えば在宅の患者や被検者から採血された少量の全
血試料を安定に保持し、該試料を医療機関や検査機関に
移送して分析しうる全血試料の分析方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】乾式分析要素は、特定成分の検出に必要
なすべての試薬類を乾燥状態で含み、これに液体試料を
接触させることで試薬類との反応を起こし、その結果生
ずる光学的変化や電気的変化を測定することによって、
前記特定成分を定量的または半定量的に検出することが
できる。
【0003】定量分析を目的とする場合には、液体試料
を分析要素に点着し、一定条件で(例えば37℃で5分)
インキュベート(加温)して反応させた後、直ちに光学
的測定等を行って、検体中の特定成分の濃度を算出する
のが一般的であった。最近では、インキュベート以降の
操作を自動的におこなう測定器が市販され、満足できる
再現性と正確度が得られている。
【0004】しかし、この定量分析は、測定機器類が高
価であったり、測定操作に習熟を要したりするため、専
門の検査機関や大規模な医療機関で行なわれている。
【0005】一方、患者や被検者が在宅で血液等を採取
し分析できる技術の必要性が最近指摘されている。
【0006】特に、近年高齢化社会への急速な移行、高
度治療の発達などを背景とした医療費の高騰への対応と
して、在宅ケアが提唱され、今後の医療制度の1つの核
となるものとして実施の具体的方法が検討されている。
【0007】在宅ケアの基本は、患者は各家庭に居なが
らにして常に医師による適切な監視、指導、管理下にあ
り、必要に応じて適切な治療ができる点にある。例えば
慢性患者や高齢者の場合には、急激な病態変化がなけれ
ば安定した生理的状態にあり、一定の治療を続けて、そ
の治療効果を継続的に監視し続けていることが最も大切
なこととなる。
【0008】このような継続的な監視は、入院患者につ
いては容易であるけれども、各家庭に患者が分散した状
態では実際上は極めて難しく、通常は体温、体重の測定
の他は看護人による症状の監察記録、患者本人の痛みな
どの訴えなど主観的な情報に止まっている。
【0009】もし、血液検査情報が継続的に得られるな
らば、医師の日常管理も容易になり、治療もより迅速
で、かつ適切なものとなるので、その利益は測り知れな
い。また、患者にとってみても、日常の病態が医師に報
告され看られているという安心感は大きく、回復までの
精神的サポートとなることは容易に理解される。
【0010】実現可能なそのひとつの手段として、患者
が家庭等における日常生活の中で採取した液体試料を乾
式分析要素に点着した後、一定時間、一定温度でインキ
ュベートして反応を停止・定着させ、その乾式分析要素
を病院等の分析装置のある施設に持参、または郵送等に
より送付して測定・分析することが考えられる。
【0011】しかし、反応が定着してから測定・分析ま
での間の外界条件、例えば湿度の変動により液体試料及
び乾式分析要素が変化してしまい、分析精度が著しく低
下し、患者の状態の正確な把握は到底望めない等の問題
があった。
【0012】その解決手段として本発明者は既に液体試
料の点着がされた乾式分析要素を、点着した液体試料の
反応を停止・定着させた後、分析装置にて分析するまで
の間、実質的に水分と空気を遮断した状態で保存するこ
とを特徴とする乾式分析要素の保存方法を提案した(特
開平3−289543号公報)。
【0013】一方、本発明者は、全ての試薬を分析要素
に組み込んだ従来の乾式分析要素の問題点として分析要
素の長期保存の困難性を指摘し、その解決手段として、
液体試料が供給されている、水不透過性支持体上に少な
くとも親水性ポリマー層、展開層を積層した、測定試薬
を含まない分析要素に、測定試薬溶液を供給して反応を
起こさせる工程、および該反応を起こした分析要素を、
光学的手段を用いて測定する工程、を含むことを特徴と
する乾式分析要素を用いた測定方法を既に提案した(特
開平5−26865号公報)。そして、この方法が在宅検査
にも有効なことも指摘した。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】前記の保存方法は、血
液試料点着後直ちに反応が進行するため分析値の信頼性
を更に改善する必要があった。一方、測定試薬を含まな
い分析要素を用いてこれを前記の保存方法に適用した場
合には分析精度が問題ないものであった。
【0015】本発明者は、この測定試薬を含まない分析
要素に全血試料を供給して血漿成分を分離後これを乾燥
して安定化しそこから被検成分を抽出して抽出液を分析
する方法を検討したところ、被検成分の抽出率にバラツ
キがあり、特に酵素や抗体などの蛋白系被検成分の抽出
率に問題があることを見出した。
【0016】本発明の目的は、全血試料を測定試薬を含
まない分析要素に供給して血漿成分を分離後これを安定
化し、そこから被検成分を抽出して抽出液を分析する方
法において被検成分の種類を問わず高い抽出率で抽出し
うる全血試料の分析方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するべく鋭意検討の結果、乾式分析要素に含まれて
いるゼラチン等の親水性ポリマーが酵素や抗体等の蛋白
系成分と相互作用し抽出を妨げていることを見出し、親
水性ポリマーを排除した乾式分析要素を用いることによ
って蛋白系成分も血漿受容層から効率よく抽出を行なえ
るようになることを見出して本発明を完成するに至っ
た。
【0018】すなわち、本発明は、少なくとも血球分離
層と血漿受容層を有し、測定試薬および親水性ポリマー
を含まない乾式分析要素に全血試料を供給し、該全血試
料の血漿成分が血漿受容層に拡散浸透後血球分離層を血
漿受容層から分離し、血漿受容層に蓄積された血漿成分
を乾燥して安定化し、該血漿受容層を抽出溶媒に浸漬し
て被検成分を抽出し、この抽出液を検体として分析を行
なうことを特徴とする全血試料の分析方法に関するもの
である。
【0019】血球分離層としては、特開昭62−138756〜
8号公報、特開平2−105043号公報、特開平3−16651号
公報等に記載された繊維質多孔性層と非繊維質多孔性層
を部分的に配置された接着剤で接着(部分接着)一体化
したもの、表面が親水化された弗素含有ポリマー、ポリ
スルホン等の血球分離能を有する微多孔性層等を使用で
きる。特に好ましいものは、血液点着側に繊維質多孔性
層を配置し、血漿受容層側に非繊維質多孔性層を配置し
て両者を後述の部分接着により一体化した血球分離層で
ある。
【0020】繊維質多孔性層と非繊維質多孔性層を部分
的に配置された接着剤で接着(部分接着)一体化した血
球分離層における非繊維多孔性層としては、特公昭53−
21677号、米国特許1,421,341号等に記載されたセルロー
スエステル類、例えば、ルロースアセテート、セルロー
スアセテート/ブチレート、硝酸セルロースからなるブ
ラッシュポリマーの層が好ましい。6−ナイロン、6,
6−ナイロン等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン等の微多孔性膜でもよい。その他、特公昭53−21
677号、特開昭55−90859号等に記載された、ポリマー小
粒子、ガラス粒子、けい藻土等が親水性または非吸水性
ポリマーで結合された連続空隙をもつ多孔性層も利用で
きる。
【0021】非繊維多孔性層の有効孔径は0.8〜30μ
m、特に0.5〜5μmであることが好ましい。本発明で
非繊維多孔性層の有効孔径は、ASTM F316−70に準
拠した限界泡圧法(バブルポイント法)により測定した
孔径で示す。非繊維多孔性層が相分離法により作られた
いわゆるブラッシュ・ポリマーから成るメンブランフィ
ルターである場合、厚さ方向の液体通過経路は、膜の製
造の際の自由表面側(即ち光沢面)で最も狭くなってい
るのが普通で、液体通過経路の断面を円に近似したとき
の孔径は、自由表面の近くで最も小さくなっている。容
積の通過経路における厚さ方向に関する最小孔径は、さ
らにフィルターの面方向について分布を持っており、そ
の最大値が粒子に対するろ(濾)過性能を決定する。通
常、それは限界泡圧法で測定される。
【0022】上に述べたように、相分離法により作られ
たいわゆるブラッシュ・ポリマーから成るメンブランフ
ィルターでは、厚さ方向の液体通過経路は膜の製造の際
の自由表面側(即ち光沢面)で最も狭くなっている。本
発明の分析要素の非繊維多孔性層としてこの種の膜を用
いる場合には、支持体に近い側、即ち血漿受容層に面す
る側に、メンブランフィルターの光沢面を向けることが
好ましい。
【0023】繊維質多孔性層を構成する材料としては、
濾紙、不織布、織物生地(例えば平織生地)、編物生地
(例えば、トリコット編)、ガラス繊維濾紙等を用いる
ことができる。これらのうち織物、編物等が好ましい。
織物等は特開昭57−66359号に記載されたようなグロー
放電処理をしてもよい。
【0024】繊維質多孔性層は、液体試料の展開層とし
て利用されるので、液体計量作用を有する層であること
が好ましい。液体計量作用とは、その表面に点着供給さ
れた液体試料を、その中に含有している成分を実質的に
偏在させることなく、面の方向に単位面積当たりほぼ一
定量の割合で広げる作用である。展開層には、展開面
積、展開速度等を調節するため、特開昭60−222770号、
特開昭63−219397号、63−112999号、62−182652号に記
載したような親水性高分子あるいは界面活性剤を含有し
てもよい。
【0025】繊維質多孔性層の空隙体積(単位面積当た
り。以下同じ)は非繊維質多孔性層と同じでもよいし、
異なってもよい。両者の空隙体積の関係を調整するに
は、両者の空隙率または厚さを変えてもよいし、厚さと
空隙率の両方を変えてもよい。
【0026】表面を親水化されており血球分離能を有す
る微多孔性層は、実質的に分析値に影響を与える程には
溶血することなく、全血から血球と血漿を特異的に分離
する。
【0027】その血球・血漿分離機構は明らかでない
が、この微多孔性層はその表面のみで血球をトラップす
る訳ではなく、弗素含有ポリマーからなる微多孔性層と
多孔性展開層をあわせた厚さ方向に浸透するに従って、
初めは大きな血球成分、後には小さな血球成分と徐々に
空隙構造にからめ、厚さ方向の全長にわたって血球を留
め除去していく、いわゆる体積濾過作用によるものと思
われる。
【0028】これらの弗素含有ポリマーの微多孔性層と
しては、特表昭63−501594(WO 87/02267)に記載の
ポリテトラフルオロエチレンのフィブリル(微細繊維)
からなる微多孔性のマトリックス層(微多孔性層)、G
ore−Tex(W.L.Gore andAssociates社製)、Zi
tex(Norton社製)、ポアフロン(住友電工社製)な
どがある。その他に、US 3368872(実施例3及び
4)、US 3260413(実施例3及び4)、特開昭53−92
195(US 4201548)等に記載のポリテトラフルオロエチ
レンの微多孔性膜、US 3649505に記載のポリビニリデ
ンフルオリドの微多孔性膜などがある。
【0029】これらの弗素含有ポリマーの微多孔性膜の
うち、血球濾過層を構成する微多孔性層に特に適してい
るのは、孔径が実質的に赤血球を通さない程度に小さ
く、膜厚が薄く、空隙率が高いものである。具体的に
は、約0.2μmから約60μm、好ましくは約1μmから
約20μmの範囲、更に好ましくは1〜10μmの範囲、空
隙率は約40%から約95%、好ましくは約50%から約95
%、さらに好ましくは約70%から約95%の範囲、層の厚
さは約10μmから約200μm、好ましくは約30μmから
約150μm、製造工程中でのしわ発生等の取り扱い性を
考慮すると、最も好ましくは約50μmから約120μmの
範囲である。
【0030】これらの弗素含有ポリマーの微多孔性膜の
作成に当たっては、1種もしくは2種以上の弗素含有ポ
リマーを混合しても良いし、弗素を含まない1種もしく
は2種以上のポリマーや繊維と混合し、製膜したもので
あつても良い。
【0031】構造としては、延伸しないもの、1軸延伸
したもの、2軸延伸したもの、1層構成の非ラミネート
タイプ、2層構成のラミネートタイプ、例えば繊維等の
他の膜構造物にラミネートした膜等がある。
【0032】フイブリル構造又は一軸延伸もしくは二軸
延伸した非ラミネートタイプの微多孔性膜は、延伸によ
り、空隙率が大きくかつ濾過長の短い微多孔膜が作られ
る。濾過長が短い微多孔膜では、血液中の有形成分(主
として赤血球)による目詰りが生じがたく、かつ血球と
血漿の分離に要する時間が短いので、定量分析精度が高
くなるという特徴がある。
【0033】弗素含有ポリマーの微多孔性層は特開昭57
−66359(US 4783315)に記載の物理的活性化処理(好
ましくはグロー放電処理又はコロナ放電処理)を微多孔
性層の少なくとも片面に施すことにより微多孔性層の表
面を親水化して、隣接する微多孔性層との部分接着に用
いられる接着剤の接着力を強化することができる。
【0034】弗素含有ポリマーの微多孔性膜は、そのま
までは、表面張力が低く乾式分析要素の血球濾過層とし
て用いようとしても、水性液体試料ははじかれてしまっ
て、膜の表面や内部に拡散、浸透しないことは、周知の
事実である。本発明の分析要素では、第1の手段として
弗素含有ポリマーの微多孔性膜に親水性を付与し親水性
を高める手段として、弗素含有ポリマーの微多孔性膜の
外部表面及び内部の空隙の表面を実質的に親水化するに
充分な量の界面活性剤を弗素含有ポリマーの微多孔性膜
に含浸させることにより、前記の水性液体試料がはじか
れる問題点を解決した。
【0035】水性液体試料がはじかれることなく膜の表
面や内部に拡散、浸透、移送されるに充分な親水性を弗
素含有ポリマーの微多孔性膜に付与するには、一般に、
弗素含有ポリマーの微多孔性膜の空隙体積の約0.01%か
ら約10%、好ましくは約0.1%から約5.0%、更に好まし
くは0.1%から1%の界面活性剤で微多孔性膜の空隙の
表面が被覆されることが必要である。例えば、厚さが50
μmの弗素含有ポリマーの微多孔性膜の場合に、含浸さ
れる界面活性剤の量は、一般に0.05g/m2から2.5g/
2の範囲であることが好ましい。弗素含有ポリマーの
微多孔性膜に界面活性剤を含浸させる方法としては、界
面活性剤の低沸点(沸点約50℃から約120℃の範囲が好ま
しい)の有機溶媒(例、アルコール、エステル、ケト
ン)溶液に弗素含有ポリマーの微多孔性膜を浸漬し、溶
液を微多孔性膜の内部空隙に実質的に充分に行きわたら
せた後、微多孔性膜を溶液から静かに引き上げ、風(温
風が好ましい)を送り乾燥させる方法が一般的である。
血球濾過層を構成する微多孔性層に含有させる前処理試
薬等の成分とともに界面活性剤を弗素含有ポリマーの微
多孔性膜に含有させることもできる。
【0036】弗素含有ポリマーの微多孔性膜を親水性化
処理に用いられる界面活性剤としては、非イオン性(ノ
ニオン性)、陰イオン性(アニオン性)、陽イオン性
(カチオン性)、両性いずれの界面活性剤をも用いるこ
とができる。
【0037】これらの界面活性剤のうちでは、ノニオン
性界面活性剤が、赤血球を溶血させる作用が比較的低い
ので、全血を検体とするための多層分析要素においては
有利である。ノニオン性界面活性剤としては、アルキル
フェノキシポリエトキシエタノール、アルキルポリエー
テルアルコール、ポリエチレングリコールモノエステ
ル、ポリエチレングリコールジエステル、高級アルコー
ルエチレンオキシド付加物(縮合物)、多価アルコール
エステルエチレンオキシド付加物(縮合物)、高級脂肪
酸アルカノールアミドなどがある。
【0038】ノニオン性界面活性剤の具体例として、次
のものがある。アルキルフェノキシポリエトキシエタノ
ールとしては、 イソオクチルフェノキシポリエトキシエタノール: (Triton X−100:オキシエチレン単位平均9〜
10含有) (Triton X−45:オキシエチレン単位平均5含
有) ノニルフェノキシポリエトキシエタノール: (IGEPAL CO−630:オキシエチレン単位平均9
含有) (IGEPAL CO−710:オキシエチレン単位平均10
〜11含有) (LENEX 698:オキシエチレン単位平均9含有) アルキルポリエーテルアルコールとしては、 高級アルコール ポリオキシエチレンエーテル: (Triton X−67:CA Registry No.59
030−15−8)
【0039】弗素含有ポリマーの微多孔性膜は、その多
孔性空間に水不溶化した1種又は2種以上の水溶性高分
子を設けることによって親水化したものであってもよ
い。水溶性高分子の例として、酸素を含む炭化水素には
ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリ
エチレングリコール、メチルセルロース、エチルセルロ
ース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、窒素を含むものにはポリアクリルアミ
ド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアミン、ポリエ
チレンイミン、負電荷を有するものとしてポリアクリル
酸、ポリメタアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸など
をあげることが出来る。不溶化は熱処理、アセタール化
処理、エステル化処理、重クロム酸カリによる化学反
応、電離性放射線による架橋反応等によって行えばよ
い。詳細は、特公昭56−2094号公報及び特公昭56−1618
7号公報に開示されている。
【0040】ポリスルホンの微多孔性膜は、ポリスルホ
ンをジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロ
リドンあるいはこれらの混合溶媒等に溶解して製膜原液
を作製し、これを支持体上に、又は直接凝固液中に流延
し洗浄、乾燥して行うことにより製造することができ
る。詳細は特開昭62−27006号公報に開示されている。
ポリスルホンの微多孔性膜は、そのほか特開昭56−1264
0号公報、特開昭56−86941号公報、特開昭56−154051号
公報等にも開示されており、それらも使用することがで
きる。ポリスルホンの微多孔性膜も弗素含有ポリマーと
同様界面活性剤を含有させ、あるいは水不溶化した水溶
性高分子を設けることによって親水化することができ
る。
【0041】血漿受容層は、血球分離層から滲出してき
た血漿部分を受容する層であり、例えば公知の展開層を
これに利用することができる。
【0042】展開層は、水性の検体に含有されている成
分を実質的に偏在させることなしに平面的に拡げ、単位
面積当りほぼ一定量の割合で親水性ポリマー層に供給す
る機能を有する層であり、これまでドライケミストリー
分析要素に使われている展開層として、公知の非繊維質
及び繊維質の全ての多孔性材料を用いることができる。
具体的には特開昭49−53888に開示されているメンブラ
ンフィルター(ブラッシュドポリマー)に代表される非繊
維性等方的微多孔質媒体層、特開昭55−90859等に開示
されたポリマーミクロビーズが水不膨潤性の接着剤で点
接触状に接着されて成る連続空隙含有三次元格子粒状構
造物層に代表される非繊維性多孔性層、特開昭55−1643
56、同57−66359等に開示された織物布地からなる多孔
性層、同60−222769等に開示された編物布地、各種の濾
紙、親水性の紙などからなる層等を挙げることができる
が、これらに限定されるものではない。
【0043】展開層は、1層だけに限定する必要はな
く、特開昭61−4959、同62−138756、同62−135757、同
62−138758等に開示されいてる様に、2層以上の層を重
ねて用いることができる。
【0044】展開層を2層以上重ねた多層分析要素につ
いては、検体の点着時には全層が積層一体化されている
構成をとることが必須であるが、その後のプロセスでは
一体化されている必要はない。必要に応じて、第一の展
開層と第二の展開層の間を剥離した状態で使用すること
ができる。
【0045】展開層中には、検体の展開を促進するため
に、ノニオン、アニオン、カチオンもしくは両性の界面
活性剤を含ませることができる。
【0046】また、展開性をコントロールする目的で、
親水性のポリマー等の展開制御剤を含ませることができ
る。
【0047】更に、目的とする検出反応を促進する為
の、あるいは干渉、妨害反応を低減、阻止する為の各種
試薬、もしくは試薬の1部を含ませることができる。
【0048】展開層の厚さは、10〜500μm、好ましく
は20〜300μm、更に好ましくは30〜200μmである。
【0049】展開層と血球分離要素の間は、血漿部分が
拡散・浸透しうればよく、接着されていてもいなくても
よい。接着する場合には、血漿の拡散・浸透を阻害しな
いよう、いわゆる部分接着法により接着する。部分接着
とは、特開昭61−4959(EP0166365A)、特開昭62−1
38756〜138758(EP 0226465A)等に記載の2つの隣接
する多孔性層同士又は隣接する多孔性層と非孔性層との
接着の態様であって、『隣接する2層の界面の間に部分
的(又は断続的)に配置された接着剤によって実質的に
密着され一体化されており、かつ前記隣接する2面及び
その間において液体の一様通過が実質的に妨げられない
ように構成されている接着』である。
【0050】接着剤を血球分離要素あるいは多孔性層に
部分的に配置する方法は特開昭61−4959、特開昭62−13
8756、特開昭64−23160(DE 3721236A)等に記載の諸
種の方法によることができる。それらの諸方法のうちで
は印刷法による方法が好ましい。印刷法のうちで、接着
剤を印刷版(グラビア印刷版又は凹版が好ましい)ロー
ラーを用いて多孔性層又は検出機能層に転写し付着させ
る方法及び隣接する2層を貼りあわせる方法は、例え
ば、日本印刷学会編『印刷工学便覧』(技報堂出版
(株)、1983年)839〜853頁等に記載の公知の装置及び方
法により実施することができる。
【0051】用いられる接着剤としては特開昭62−1387
56に記載の諸種の接着剤、そのほか前記の『印刷工学便
覧』839〜853頁等に記載の公知の接着剤を用いることが
できる。接着剤としては水溶媒型の接着剤、有機溶剤型
の接着剤、熱接着性(又は感熱性)接着剤を用いること
ができる。水溶媒型の接着剤の例として、澱粉糊等の水
性の糊;デキストリン、カルボキシメチルセルロース等
の水溶液;酢酸ビニル−ブチルアクリレート共重合体エ
マルジョンがある。有機溶剤型の接着剤としては、溶剤
の蒸発の遅いものが適する。熱接着性(又は感熱性)接
着剤は特に有用である。
【0052】熱接着性(又は感熱性)のホットメルト型
接着剤としては、「工業材料」26巻(11号)、4〜5頁
等に記載のホットメルト型接着剤を用いることができ
る。その例として、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エ
チレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリ
ル酸共重合体等のエチレン共重合体;低分子量ポリエチ
レンやアタクチックポリプロピレンのようなポリオレフ
ィン類;ナイロン等のポリアミド;ポリエステル系共重
合体;SBSなどのスチレンブロック共重合体のような
熱可塑性ゴム;スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、
ウレタンゴム;ロジン、石油樹脂、テルペン樹脂;合成
ワックスがある。
【0053】これらの中で、シリコーン系、アクリル
系、フェノール樹脂系の感圧型接着剤が、本発明におい
て特に有用である。
【0054】本発明の分析方法に使用される分析要素は
血球分離層と血漿受容層のみからなっていてもよいが疎
水性接着層を介して水不透過性支持体に積層されている
ことが好ましい。
【0055】疎水性接着層は感熱性、感圧性、熱硬化
性、光硬化性などの疎水性接着剤からなる層であって、
この接着剤は抽出溶媒である水への溶出成分が被検物質
の分析・定量に影響を与えるものを含まないか実質的に
測定値に影響を与えない程度に低い濃度しか含まないも
のである。具体例としては感圧性接着剤にはスチレン−
ブタジエンコポリマー、塩ビ・酢ビコポリマー等、そし
て感熱性接着剤にはポリメチルメタクリレート、ポリス
チレン、スチレン−無水マレイン酸コポリマーポリ塩化
ビニル等を挙げることができる。
【0056】疎水性接着層の厚さは、約1μm〜約100
μmが適当である。
【0057】水不透過性支持体としては、これまでドラ
イケミストリー分析要素に使われている公知の水不透過
性の支持体を用いることができる。具体的には、ポリエ
チレンテレフタレート、ビスフェノールAのポリカーボ
ネート、ポリスチレン、セルロースエステル(例えば、
セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、
セルロースアセテートプロピオネート等)等から成る、
厚さ約50μm〜1mm、好ましくは約80μm〜約300μm
の透明フイルムを用いることができる。支持体は、光透
過性のもののほか、着色されていても、もしくは光不透
過性であっても良い。この支持体は従来の平面性のよい
もののほか柔らかくて変形しやすいものであってもよ
い。
【0058】本発明で使用される分析要素は親水性ポリ
マーを実質的に含んでいないことに特徴がある。この親
水性ポリマーは、これまでドライケミストリー分析要素
に使われている公知の水に可溶性、膨潤性、親水性の各
種ポリマーであり、水吸収時の膨潤率が30℃で約150%
から約2000%、好ましくは約250%から約1500%の範囲
の天然又は合成親水性ポリマーである。具体的には、特
開昭59−171864、同60−108753等に開示されたゼラチン
(例えば、酸処理ゼラチン、脱イオンゼラチン等)、ゼ
ラチン誘導体(例えば、フタル化ゼラチン、ヒドロキシ
アクリレートグラフトゼラチン等)、アガロース、プル
ラン、プルラン誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルピロリドン等を挙げることが
できる。
【0059】本発明で使用される分析要素は測定試薬を
含まないものである。ここで測定試薬とは、分析対象で
ある被検物質と直接反応して化学変化を生ぜしめる試薬
を指す。即ち、酵素が被検物質である場合にはその基
質、被検物質が抗原(抗体)である場合には抗体(抗
原)であり、被検物質が脂質、糖、代謝産物であって酵
素によって検出可能な変化を生ずる化合物である場合に
はその酵素である。また、これらの反応が酵素以外の化
学試薬による一般の化学反応によって起こされる場合に
は該当する化学物質を言う。以下に具体例を挙げて説明
する。
【0060】被検物質が酵素であるGOTの場合には、
その基質であるアスパラギン酸とα−ケトグルタール
酸、アミラーゼであれば高分子量の澱粉もしくは低分子
量のオリゴサッカライド、GGTであればL−γ−グル
タミルパラニトロアニリド、ALPであればパラニトロ
フェニルフオスフェート等である。
【0061】また、グルコースであればグルコースオキ
シダーゼ、尿酸であればウリカーゼ、コレステロールで
あればコレステロールエステラーゼもしくはコレステロ
ールオキシダーゼ、中性脂肪であればリパーゼもしくは
エステラーゼ、尿素であればウレアーゼ等である。
【0062】分析対象が蛋白質、アルブミン、Ca、無
機リン等、被検物質と指示薬等とが直接反応して検出可
能な変化を生ずる場合には指示薬を指す。
【0063】上記の血球分離層および/または血漿受容
層には血液中の特定成分、特に被検成分と相互作用し、
血漿受容層への移行または抽出溶媒による抽出特性に選
択性を付与する物質を含ませることができる。これらの
例としてpH、イオン強度などを調節する為の有機、無
機化合物塩、イオン性、非イオン性の界面活性剤、多糖
類、その他の化合物がある。
【0064】本発明の方法においては血球分離層で血球
が分離された血漿は血漿受容層で単位面積当り一定量の
血漿を含むように拡散浸透していく。
【0065】このことを確認するために図1に示すよう
な乾式分析要素を作成した。この分析要素は、巾7mm、
長さ60mmの短冊形の血漿受容要素の一端に巾7mm、長さ
10mmの血球分離要素を部分接着法により積層してなって
いる。血漿受容要素は、厚さ185μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルム(水不透過性支持体)1の上に厚
さ50μmの疎水性接着層(「クランベター」,クラボ
ウ)2を塗布し、その上に親水化処理した編物の血漿受
容層3を積層したものである。また、血球分離要素は繊
維質多孔性層5と非繊維質多孔性層4が部分接着法によ
り接着されているものである。
【0066】多孔性層5に全血検体を点着すると多孔性
層5と4中に血球がトラップされ血漿受容層3には図2
に示すように血漿のみが拡散してくる。分離してくる血
漿の量は、検体の液量に依存する。血漿受容層3の単位
面積当りに含まれる血漿検体量は一定であり、分離血漿
の量が多ければ、血漿受容層3中に拡散する血漿の量も
多くなる。すなわち血漿受容層3中の検体の拡散した長
さは直接血漿の量に比例する。
【0067】通常本方式の実施によれば一定量の血漿を
回収するには血漿を含む分析要素を一定量の長さに切り
取れば良い。
【0068】点着した全血量と血漿の浸透長さとの関係
は表1の通りであった。
【0069】分離した血漿の量は血漿受容層の浸透先端
までの長さに比例し、浸透の先端の位置は目視により判
定できるので、分析の基準となる液量は浸透長さより判
定できる。
【0070】
【表1】
【0071】乾式分析要素は上述のように血球分離層よ
りも血漿受容層を大きくすることが望ましい。両者の形
状は短冊形に限られるものではなく、要は血漿受容層を
打ち抜く等によって一定量の血漿量を容易に採取できれ
ばよい。例えば図3に示すように血漿受容要素が血球分
離要素と同じサイズであってもよい。一方、血球分離層
には血漿保持能力がある。そこで、ヘマトクリット値の
最も大きい全血試料の場合に丁度血漿を血漿受容層全面
に供給しうるように、すなわち、血漿受容層の面積を最
低血漿量における血漿の浸透面積と一致するように設定
することによって、一定量の全血試料を供給した場合
に、それよりヘマトクリット値の小さな全血試料の余剰
の血漿を血球分離層が保持して一定血漿量を血漿受容層
に供給させることが可能である。
【0072】本発明の分析方法においてはまず乾式分析
要素の血球分離層に全血試料を供給する。全血試料の量
は乾式分析要素が例えば短冊形の場合には相当範囲で可
変であるが、血漿受容層の面積を最大ヘマトクリット値
の全血試料の浸透面積に一致させている場合には一定量
とする。分析に必要な血漿最低量は1〜10μl程度であ
る。
【0073】全血試料供給後は血漿成分が血漿受容層に
浸透しおわるのを待つ。この時間は通常10〜60秒程度で
ある。
【0074】次に、血漿分離層を血漿受容層から分離
し、血漿受容層に蓄積された血漿成分を乾燥して安定化
する。
【0075】乾燥は血漿成分、特に被検物質を変質させ
ないで水分を除去できればよく、加熱、減圧、送風、乾
燥剤の使用など如何なる手段を用いることもできる。
【0076】この乾燥は実質的に一定条件下で行なうこ
とが好ましい。具体的には、特願平2−90562号明細書
(特開平3−289543号公報)の第25頁第9行〜第28頁第
6行、特に第27頁第13行〜第28頁第6行の記載に従って
行なうことができる。例えば、血漿受容要素の周囲が覆
われた囲いの中に置いた状態でインキュベートする方法
がある。これにより、周囲の温度、湿度に影響されるこ
となく一定の乾燥状態となる。
【0077】温度範囲は、好ましくは30〜45℃である。
【0078】インキュベーション中の温度変動は±5
℃、好ましくは±3℃、更に好ましくは±1℃である。
【0079】この様な一定条件のインキュベーションを
行うのに適したインキュベータが実開平3−126499号公
報に記載されている。即ち、血球分離要素を除去した分
析要素を要素の収納部に設置した状態で加温手段にて加
熱恒温に保持するインキュベータである。本公報では該
分析要素の収納部の上部に該要素収納部を密閉すること
が可能で、かつ、着脱可能なカバーを設けられ、該カバ
ーで要素収納部を密閉した際、要素収納部内方に生まれ
る空間の体積が、分析要素の体積とほぼ一致する様に設
計されたインキュベータであることを必須要件としてい
るが、本発明方法の実施に当たってはカバーにより密閉
する必要はなく、上部は常に開放されていてかまわな
い。
【0080】一定温度の乾燥風を一定条件で吹き付けて
も同様に再現性の良い結果が得られるが、上記インキュ
ベータに比べ高価となる欠点を有する。
【0081】本発明者は、この乾燥条件についてさらに
検討を進めた結果、血漿受容要素の乾燥は、乾燥剤の存
在する密閉容器内で50℃以下で行なうことが好ましいこ
とを見出した。具体的には、血漿受容要素をファスナー
付のビニール袋とか蓋付のプラスチック容器等に乾燥剤
とともに封入して50℃以下の温度に保つ。点着後約1時
間は約25℃以下に保つことが好ましい。冷蔵庫、冷凍庫
等に入れておいても良い。乾燥剤は公知の吸湿剤の中か
ら被検物質を実質的に変質させないものを適宜選択して
用いればよいが、安全性、脱水能力等からゼオライト、
シリカゲルが好ましく、ゼオライトがより好ましい。ゼ
オライト叉はシリカゲル1g当たり血漿受容要素を4〜
10枚程度乾燥できる。形態としては、1〜3mm程度の顆
粒状の粒子等を透湿性の良い袋、例えば和紙やポリエス
テル不織布で作製した袋、ナイロンメッシュ製の袋等に
入れる。
【0082】乾燥時間は点着された液体試料の量、種
類、乾燥剤と種類を量等によって異なるが、通例1〜10
時間程度、特に1〜3時間程度で分析要素の水分の90%
以上が乾燥剤により除去・脱水されるような条件が好ま
しい。この乾燥時間は温度によっても影響される。保存
温度が高い程、即ち蒸気圧が高い程乾燥時間は短くて良
い。また、冷蔵庫もしくは冷凍庫に放置して一度低温に
保った後、1℃以上にして乾燥することもできる。この
低温乾燥法は、被検物質が酵素の場合にその変性劣化を
防止できるので特に有用である。
【0083】ここで、「乾燥」とは、該血漿受容層中で
実質的に反応が進行しない、もしくは被検物質の劣化が
進行しない、状態であれば良い。従って、分析対象によ
って異なり、例えば酵素を対象とする場合には、親水性
ポリマー中の水分は20%以下、好ましくは10%以下、更
に好ましくは5%以下であれば良い。
【0084】ここで、水分の%は、被検物質を含む水溶
液を分析要素に点着した時の水分量を100とした時の比
率である。
【0085】乾燥後は直ちに抽出を行なう必要はなく、
この乾燥状態を維持できるようにして例えば分析を行な
う機関へ郵送するなどが行なわれる。
【0086】抽出は乾燥状態にある血漿の一定量を、具
体的には血漿受容層の一定面積を抽出溶媒に浸漬して被
検成分の抽出を行なう。血漿受容層に疎水性接着層、水
不透過性支持体等が積層された血漿受容要素の場合には
そのまた抽出溶媒に投入することができる。
【0087】抽出溶媒には水、緩衝液、メチルアルコー
ル、エチルアルコールなどのアルコール類、アセトン、
メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチルなどの
エステル類、その他エーテルやクロロフォルムなど被検
物質の特性により巾広く選ぶことができる。
【0088】抽出溶媒には血漿中の特定成分と特異的に
反応し不溶化する物質を含ませることができる。このよ
うな物質の例として、蛋白質凝集剤として知られている
トリクロロ酢酸、アセトン、アルコールや吸着剤として
知られる活性炭やアルミナ、シリカ、ゼオライト、Ti
2などの微粒子、イオン交換樹脂、抗体、酵素、酵素
結合化合物、粒子、微細な繊維、ポリマーのエマルジョ
ンやサスペンジョンなどがある。またpHやイオン強度
を調整する為の無機・有機の塩や特異的な結合基を分子
内に組み込んだ、低分子や高分子の化合物がある。
【0089】抽出溶媒には被検成分の抽出を促進する物
質を含ませることができる。このような物質の例とし
て、イオン性、非イオン性の界面活性剤、有機・無機の
塩、ポリエチレングリコール、グリセリン、エチレング
ルコール、糖類、などが挙げられる。またエーテルやク
ロロフォルム、可塑剤などをエマルジョンとして加えて
も良い。
【0090】抽出溶媒の液量は血漿液量の10〜500倍程
度でよい。抽出は室温で1〜10分間程度行なえばよく、
その間適宜、振盪、攪拌等を行なう。
【0091】抽出後は必要により血漿受容要素を除去
し、抽出液を検体として分析を行なう。この分析はウェ
ットケミストリーの公知の方法に従って行なえばよく、
測定試薬溶液にはウェットケミストリーで公知のものを
使用することができる。また、必要な測定試薬の全てを
含んでいる従来の乾式分析要素を用いて分析することも
できる。
【0092】本願発明においては、対象とする被検物質
は特に限定されない。通常臨床検査の分野で測定される
酵素、脂質、無機イオン、代謝産物、蛋白質等の他、各
種グロブリン、免疫抗原、免疫抗体等の生体由来成分、
薬物、ホルモン、腫瘍マーカー等、分析方法さえ確立し
ていれば分析対象とすることができる。好ましい被検物
質はCRP(C−反応性蛋白)、HbA1C(糖化ヘモ
グロビンA1C)、HBc(B型肝炎ウィルス)抗体な
どの免疫分析項目全般、DNA(デオキシリボ核酸)、
白血球、リンパ球等であり、HbA1C、1.5AG(1.5ア
ルブミングルコシレート)、CRP、HDL(高密度リ
ポ蛋白コレステロール分画)等が特に好ましい。
【0093】
【実施例】
実施例1 1)多層分析要素の作製 1−1:血漿受容要素の作製 厚さ185μmのポリエチレンテレフタレート(PET)無
色透明平滑シートの上にフィルム状感熱接着剤「クラン
ベター」,クラボウを厚さが50μmになるように塗布
し、疎水性接着層とした。
【0094】次に、この疎水性接着層の上に血漿受容層
としてPET製ブロード織物布地(厚さ約150μm、空
隙体積9.8μL/m2)を軽く圧力をかけて接着させた。
【0095】次に、この布に下記の組成の水溶液を100
mL/m2の割合でほぼ一様に塗布し、乾燥させて血漿
受容要素を完成させた。 オクチルフェノキシポリエトキシエタノール 27g (平均10オキシエチレン単位含有) 水 964.3g
【0096】1−2:血球分離要素の作製 50デニール相当のPET紡績糸を36ゲージ編みしたトリ
コット編物布地(厚さ約250μm)に、下記組成の水溶
液を含浸し、乾燥させた。 ポリエチレングリコール(平均分子量5万) 2.0g 四硼酸ナトリウム 2.0g 水 96g
【0097】次に上記含浸済みトリコット編物布地を80
℃に加熱し、その表面に130℃に加熱し溶融したホット
メルト型接着剤を、グラビア印刷法によりグラビアロー
ラーからの転写によりドット状に付着させた。グラビア
ローラーのドットパターンは、ドット直径0.3mmの円、
ドットの中心間距離0.6mm、ドット面積率約20%であっ
た。付着した接着剤の量は約2g/m2であった。次い
で、接着剤が転写された直後の高温の布地の表面に、有
効孔径3.0μm、厚さ140μm、空隙率約80%のセルロー
スアセテートメンブランフィルターの非光沢面を向かい
合わせてラミネートローラーの間を通し、両者をラミネ
ートして接着一体化(部分接着)して、血球分離要素を
作製した。
【0098】この血球分離要素のセルロースアセテート
メンブランフィルターの光沢面側にホットメルト型接着
剤をグラビアローラーを用いて同様に付着させ、血漿受
容要素を軽く圧力をかけて接着させた。但し、血球分離
要素と血漿受容要素の面積は同じであり、両者は完全に
重なり合うように12mm×12mmの正方形に切断した。この
同じ大きさの多層分析要素を多数作成した。
【0099】2)全血検体の調製 全血に高濃度のBuN、GOT、CRP(C−反応性蛋
白)を添加し、血漿中の値がそれぞれBuN:412mg/d
l、GOT:238u/L、CRP:17.5mg/dlとなるよう
に調整した検体を作製した。この検体のTP(総蛋白)
は7.8g/dlであった。
【0100】3)血漿分離 1)で作製した多層分析要素の血球分離要素に2)で調
製した全血検体20μlを点着し、室内に30秒間放置後ピ
ンセットを用いて血球分離膜と血漿受容膜とを分離し
た。
【0101】同様の操作をくり返し、計9枚について分
離血漿を含む血漿受容要素を得た。また、2)で調製し
た全血検体を生理食塩水で2倍に希釈した検体について
も、同様に処理し、濃度の異なる血漿を含む血漿受容要
素を得た。
【0102】4)脱水乾燥 3)の分析要素3枚を粒状ゼオライト(乾燥剤)2gと
共に巾50mm、長さ75mmの入口を密閉シール可能なポリエ
チレン製の小袋に封入し、室温にて一昼夜放置乾燥し
た。
【0103】5)血漿の抽出 内径15mm、容積6mlのプラスチック製の検体試験管を多
数用意し、この中に蒸溜水を500μlずつ分注した。
【0104】4)で作製した乾燥した血漿受容要素を一
つの試験管に3枚ずつ入れ栓をしてからロータリーシェ
カーでゆっくり攪拌抽出した。
【0105】6)サンプリングおよび測定 攪拌を開始してから5分後に抽出液をサンプルカップに
移し、日立7150自動分析機にてBuN、TP、GOT、
CRPについて成分濃度を測定した。プを作製した。
【0106】7)測定結果 同一条件で各3枚を測定した結果の平均を表2に示し
た。全血中の血漿の30%が血漿受容膜に移行したと家庭
して抽出率を算出した。抽出率はいずれも88%以上であ
り、本方式によって定量的な測定が可能であることが示
された。
【0107】
【表2】
【0108】実施例2 実施例1と同様の実験に於いて、抽出効率を正確に調べ
るために血球分離要素のない、血漿受容要素を作製し
た。検体には富士ドライケム用管理血清QPHに更にB
uN、GOT、CRPを添加して用いた。
【0109】検体7μlを血漿受容要素に点着後、乾燥
剤(粒状ゼオライト2g)と共に密閉可能なポリエチレ
ン製の小袋中に封入し、室温にて一昼夜放置乾燥した。
抽出および測定は実施例1と同様にして行なった。
【0110】比較例1 実施例2に於ける多層分析要素の構成において、疎水性
接着層のみを膜厚が20μmのゼラチンに変えて、親水性
ポリマー層を有する多層分析要素を作製し、実施例2と
同じ手順に従って抽出実験を行った。
【0111】結果の比較 実施例2(本発明方法)と比較例とを同時に並行して実
施した。その結果を表3に示した。水溶性が高い低分子
化合物であるBuNについては本発明方法、比較例とも
高い抽出効率が得られている。一方、存在量が少なく、
かつ親水性ポリマー層との相互作用が強いGOTとCR
Pでは本発明方法では高い抽出率を示し5分後には90%
以上になっているのに対し、比較例では5分後でも抽出
率は50%以下であった。
【0112】このことから、本発明方法によれば、親水
性ポリマーとの相互作用の強い蛋白質から成る酸素や抗
原、抗体などの微量成分において特に有利な測定法であ
ることが分かった。
【0113】
【表3】
【0114】
【発明の効果】本発明の分析方法により全血試料から被
検成分の種類を問わず高い抽出率で抽出して分析するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法に使用される乾式分析要素の一
例の断面図である。
【図2】 上記の分析要素における血漿の拡散浸透状態
を示す平面図である。
【図3】 本発明の方法に使用される乾式分析要素の他
の一例の断面図である。
【符号の説明】
1…支持体 2…疎水性接着層 3…血漿受容層 4…血球分離層(非繊維質多孔性層) 5…血球分離層(繊維質多孔性層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−289543(JP,A) 特開 平5−26865(JP,A) 特開 平7−191020(JP,A) 特開 平6−242107(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/48 - 33/98 G01N 31/00 - 31/22

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも血球分離層と血漿受容層を有
    し、測定試薬および親水性ポリマーを含まない乾式分析
    要素に全血試料を供給し、該全血試料の血漿成分が血漿
    受容層に拡散浸透後血球分離層を血漿受容層から分離
    し、血漿受容層に蓄積された血漿成分を乾燥して安定化
    し、該血漿受容層を抽出溶媒に浸漬して被検成分を抽出
    し、この抽出液を検体として分析を行なうことを特徴と
    する全血試料の分析方法
  2. 【請求項2】 血漿受容層が疎水性接着層を介して水不
    透過性支持体の上に積層され、その上に血球分離層が積
    層されている測定試薬および親水性ポリマーを含まない
    乾式分析要素
  3. 【請求項3】 血漿受容層が矩形をしており、血球分離
    層がその長手方向の一方の端部に積層されている請求項
    2記載の乾式分析要素
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