JP3284698B2 - 荷電粒子ビーム露光装置の調整方法 - Google Patents

荷電粒子ビーム露光装置の調整方法

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JP3284698B2
JP3284698B2 JP26266293A JP26266293A JP3284698B2 JP 3284698 B2 JP3284698 B2 JP 3284698B2 JP 26266293 A JP26266293 A JP 26266293A JP 26266293 A JP26266293 A JP 26266293A JP 3284698 B2 JP3284698 B2 JP 3284698B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は荷電粒子ビーム露光装
置、特にステンシルマスクのパターンを縮小転写する方
式の荷電粒子ビーム露光装置の調整方法に関する。
【0002】半導体集積回路は高集積・高密度化の要求
に対応してパターンの微細化が進行しているため、今ま
でパターン形成の主流であったフォトリソグラフィ技術
に代わる新しいリソグラフィ技術が必要となり、荷電粒
子ビーム(電子ビーム、イオンビーム等)やX線を使用
する露光方法が検討されている。このうち、電子ビーム
はビームそのものを数Åにまで絞ることが出来るから、
細く絞った電子ビームにより‘一筆書き’の要領でパタ
ーンを描画する方式の電子ビーム露光法により極めて微
細なレジストパターンを形成することが可能である。と
ころが、この方式ではパターンが微細になればなるほど
露光に要する時間が飛躍的に長くなる、と言う問題があ
る。
【0003】この問題を改善する手段として、第一のア
パーチャで矩形に成形したビームの像を第二のアパーチ
ャ上に投影し、その途中に設けた偏向電極による偏向で
第二のアパーチャを通過するビームの形状・寸法を変え
ながら、その像を試料面に縮小投影する方式(いわゆる
‘可変矩形ビーム露光法’)が考案され、実用化してい
る。
【0004】近年、露光すべきパターンを多数のブロッ
クパターンに分割し、それぞれ異なるブロックパターン
を有する多数の透過孔をマトリクス状に配置したマスク
板(ステンシルマスク)を作成し、このマスク板の透過
孔を適宜選択して電子ビームを通過させ、種々のブロッ
クパターンを逐次試料面に縮小投影する方式(いわゆる
‘ブロック露光法’)が考案され、極めて微細なパター
ンの高速露光を可能にするものとして注目されている。
【0005】
【従来の技術】先ず、上記のブロック露光を行うための
電子ビーム露光装置の概略を図1により説明する。同図
において、1は試料(レジストを塗布したウェーハ)、
11は電子銃、12は電子ビーム、13はビーム成形板、14は
第一レンズ、15はスリット偏向器、16は第二レンズ、17
はマスク板(ステンシルマスク)、18, 19, 20, 21はそ
れぞれ第一, 第二, 第三, 第四のマスク偏向器、22は第
三レンズである。又、23はブランキング電極、24は第四
レンズ、25はアパーチャ、26は第五レンズ、27は第六レ
ンズ、28は主偏向器、29は副偏向器、30は試料台(X−
Yステージ)、31は像面湾曲補正器、32は非点収差補正
器である。
【0006】電子銃11から射出された電子ビーム12はビ
ーム成形板13の矩形孔により矩形断面に成形され、第一
レンズ14により集束され、第二レンズ16で平行ビーム化
されてマスク板17を照射する。マスク板17は電子ビーム
12の偏向が可能な範囲(エリアと呼ぶ)内に多数(例え
ば36個)の区画(ブロックと呼ぶ)をマトリクス状に設
定し、各ブロック内にそれぞれパターンの異なる透過孔
が設けられている。マスク板17はこのようなエリアをマ
トリクス状に多数(例えば9個)備えており、マスク移
動機構(図示は省略)により水平に移動することによ
り、エリアの選択が出来る。
【0007】電子ビーム12は第一,第二のマスク偏向器
18, 19により偏向されてマスク板17の所望のブロックの
透過孔を垂直に通過して成形され、第三, 第四のマスク
偏向器20, 21により偏向されて無偏向時の光軸に振り戻
され、更に、第三レンズ22により集束される。その後、
第四レンズ24により像が縮小され、第五, 第六レンズ2
6, 27により試料1上に結像される。この際、主偏向器2
8、副偏向器29により偏向されて試料1上の所望の位置
を露光する。
【0008】尚、スリット偏向器15は第一,第二のマス
ク偏向器18, 19により大きく偏向されて選択したマスク
板17の一つのブロックの範囲内での電子ビーム12の小さ
な偏向に使用され、矩形断面に成形された電子ビーム12
が一つの透過孔の一部分を通過することを可能にする。
従って、透過孔のパターンが大きな矩形であれば可変矩
形ビーム露光を行うことが出来る。
【0009】電子ビーム12をマスク板17の所望のブロッ
ク(透過孔)の位置に正確に偏向し、再び無偏向時の光
軸に正確に振り戻して、アパーチャ25にビームの一部を
遮られることなくこれを通過させるために、各マスク偏
向器18〜21に印加する偏向信号の強度(電圧)と偏向量
等の関係を予め正確に調べておき、選択したブロックの
位置に応じて各マスク偏向器18〜21にそれぞれ適切な強
度の偏向信号(電圧)を印加する。
【0010】この際、偏向信号の強度と偏向量等の関係
は四つのマスク偏向器18〜21について個別に求めるので
はなく、相互の関係を示すマスク偏向器相対補正係数を
求めて、例えば第一のマスク偏向器18に印加する偏向信
号の強度に連動して他のマスク偏向器19〜21に印加する
偏向信号の強度が決まるようにしておく。この他、マス
クエリアの位置の影響を補正するマスクエリア補正係数
も求めておく。(これらの係数、及びこれらを求める方
法については、本発明者等が先に出願した特願平5-2422
4 号の明細書に詳細に記述されている)。
【0011】ところで、電子ビーム12がマスク偏向器18
〜21により偏向されると無偏向時とは異なる軌道を通る
ため、アパーチャ25上でのクロスオーバ像には非点収差
(スティグマトール)や像面湾曲が発生し、その結果、
マスク偏向が正確に行われてもアパーチャ25にビームの
一部を遮られる。これを防ぐためにアパーチャ25より上
方に非点収差補正器32と像面湾曲補正器31が設けられて
いるが、これらに印加する信号の強度も第一のマスク偏
向器18に印加する偏向信号の強度に連動して決まるよう
に、非点収差相対補正係数、像面湾曲相対補正係数を求
めておく。これらの係数は露光装置の制御部(図示は省
略)の各補正回路における係数部にセットする(記憶さ
せる)。
【0012】これらの係数は、本来、電源投入後の立ち
上げ調整時に計測・算定し、そのデータを制御部にセッ
トすれば、装置を停止させるまでこれを変える必要のな
いものであるが、現実には装置使用中に電子ビーム12の
アパーチャ25での位置や寸法が徐々に変化し、やがてビ
ームの一部がアパーチャ25に遮られ、試料1に投影され
るパターンに欠落を生じるようになることがある。これ
を防止するため、装置使用中に時々露光を中断して再調
整をする必要がある。
【0013】この再調整の方法としては、従来は電源投
入後の立ち上げ調整と同様の方法であらためて上記の各
補正係数を計測・算出し、当初の各補正係数との変化量
が所定の値を超えておればこれを制御部の各補正回路に
おける係数部にセットし直すものであった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
従来の方法で装置使用開始後(露光開始後)の再調整を
行うと、上記の各補正係数を総て算出するには極めて長
時間を要し、この間、露光装置の稼働を中断しなければ
ならないから、露光装置のスループットが低下する、と
いう問題があった。
【0015】本発明はこのような問題を解決して、露光
開始後の調整を短時間に行うことが可能な荷電粒子ビー
ム露光装置の調整方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】この目的は本発明によれ
ば、下記の〔1〕、〔2〕、〔3〕のいずれかの調整方
法とすることで、達成される。
【0017】〔1〕荷電粒子ビーム発生手段と、該荷電
粒子ビーム発生手段が射出した荷電粒子のビームを成形
するビーム成形板と、任意形状の透過孔を少なくとも一
個備えたマスク板と、該ビーム成形板で成形されたビー
ムを該マスク板上に結像させる第一レンズと、を有する
荷電粒子ビーム露光装置の調整方法であって、該露光装
置の電源投入後の立ち上げ調整完了時に該マスク板上に
結像された該ビーム成形板の像のサイズを計測する工程
と、その後、該露光装置使用中に該サイズを計測すると
ともに該立ち上げ調整完了時における該サイズと比較し
て変化量を算出する工程と、該第一レンズの動作電流値
を増加及び減少してその都度該サイズを計測するととも
に該立ち上げ調整完了時における該サイズと比較して変
化量のマップを取得する工程と、該マップから該サイズ
の変化量が極小となる該第一レンズの動作電流値を算出
する工程と、該第一レンズの動作電流値を該サイズの変
化量が極小となる値に変更する工程と、を含むことを特
徴とする荷電粒子ビーム露光装置の調整方法とする。
【0018】〔2〕荷電粒子ビーム発生手段と、該荷電
粒子ビーム発生手段が射出した荷電粒子のビームを成形
するビーム成形板と、任意形状の透過孔を少なくとも一
個備えたマスク板と、該ビーム成形板で成形されたビー
ムを該マスク板上に結像させる第一レンズと、相互に連
動し一方が振り戻し電極である上下二段の電極からなり
該ビームを該マスク板の透過孔の所望の部位を通過する
ように偏向させるスリット偏向器と、を有する荷電粒子
ビーム露光装置の調整方法であって、該露光装置の電源
投入後の立ち上げ調整完了時に該スリット偏向器の上下
二段の電極の偏向比率を計測する工程と、その後、該露
光装置使用中に該偏向比率を計測するとともに該立ち上
げ調整完了時における該偏向比率と比較して変化量を算
出する工程と、該第一レンズの動作電流値を増加及び減
少してその都度該偏向比率を計測するとともに該立ち上
げ調整完了時における該偏向比率と比較して変化量のマ
ップを取得する工程と、該マップから該偏向比率の変化
量が極小となる該第一レンズの動作電流値を算出する工
程と、該第一レンズの動作電流値を該偏向比率の変化量
が極小となる値に変更する工程と、を含むことを特徴と
する荷電粒子ビーム露光装置の調整方法とする。
【0019】〔3〕荷電粒子ビーム発生手段と、該荷電
粒子ビーム発生手段が射出した荷電粒子のビームを成形
するビーム成形板と、任意形状の透過孔を複数個備えた
マスク板と、該ビーム成形板で成形されたビームを該マ
スク板上に結像させる第一レンズと、該ビームを該マス
ク板の所望の透過孔を通過するように偏向させるマスク
偏向器と、該マスク偏向器に連動する像面湾曲補正器
と、を有する荷電粒子ビーム露光装置の調整方法であっ
て、該露光装置の電源投入後の立ち上げ調整完了時に該
像面湾曲補正器による像面湾曲補正のオフセット値を計
測する工程と、その後、該露光装置使用中に該オフセッ
ト値を計測するとともに該立ち上げ調整完了時における
該オフセット値と比較して変化量を算出する工程と、該
第一レンズの動作電流値を増加及び減少してその都度該
オフセット値を計測するとともに該立ち上げ調整完了時
における該オフセット値と比較して変化量のマップを取
得する工程と、該マップから該オフセット値の変化量が
極小となる該第一レンズの動作電流値を算出する工程
と、該第一レンズの動作電流値を該オフセット値の変化
量が極小となる値に変更する工程と、を含むことを特徴
とする荷電粒子ビーム露光装置の調整方法とする。
【0020】
【作用】本発明者等が、図1に示したブロック露光用電
子ビーム露光装置の使用中にパターン転写精度に影響を
及ぼすような電子ビームの位置や寸法のドリフトの原因
を調査した結果、第一レンズの性能が熱の影響等で経時
変化して焦点ずれを起こすことが主因であることを突き
止めた。
【0021】即ち、第一レンズの性能が変化して焦点ず
れを起こすことによりスリット偏向器内でのクロスオー
バ像の位置が変化し、これがスリット偏向やマスク偏向
等に影響を及ぼし、その結果、このスリット偏向器より
下側の偏向器等に関係する各補正係数は当初決めたもの
が適用出来なくなることが判った。従って、装置の使用
を開始してから適宜にこの第一レンズの性能の経時変化
を計測し、これを補償してやれば、マスク偏向相対補正
係数、マスクスティグ(非点収差)相対補正係数、マス
クフォーカス(像面湾曲)相対補正係数、マスクエリア
補正係数を再計測してそれらの設定を変更するような複
雑な再調整の必要がなくなる。
【0022】この第一レンズの焦点がずれると、マスク
板上でのビーム成形板の像のサイズ、スリット偏向器の
上下二段の電極の偏向比率、像面湾曲補正器による像面
湾曲補正のオフセット値等が変化する。従って、これら
のうちの一つの使用中における変化量を計測し、この変
化量が僅少となるように第一レンズの動作電流値を変更
すればよいから、調整は従来の方法に比して遙かに短時
間に行うことが出来、その結果、露光装置のスループッ
トが向上する。
【0023】
【実施例】本発明に係る荷電粒子ビーム露光装置の調整
方法の実施例を図1乃至図5を参照しながら説明する。
尚、荷電粒子ビーム露光装置は図1に示したブロック露
光用電子ビーム露光装置であり、これ自体は先に「従来
技術」の項で説明したものと同じであるから、説明を省
略する。
【0024】〔第一の実施例〕 この例は、マスク板17
上における電子ビーム12(ビーム成形板13の像)のサイ
ズ(X軸とY軸)が第一レンズ14の特性に依存すること
に着目したものである。図2は本発明の第一の実施例の
説明図である。先ず、装置立ち上げ調整を完了し露光を
開始する前に、マスク板17上における電子ビーム12(ビ
ーム成形板13の像)のサイズを計測しておく(これをSx
m0, Sym0とする)。露光を開始してから一定時間後(例
えば半日後)、露光を中断し、再びマスク板17上におけ
る電子ビーム12のサイズを計測する(これをSxm, Symと
する)。
【0025】この電子ビーム12のサイズは、電子ビーム
12を特定のパターンの透過孔を有するマスク板15上で走
査し、試料1の位置でファラデーカップにより電流値の
分布を求めることにより計測する。次に露光前の電子ビ
ーム12のサイズとの変化量として次式で与えられる‘ず
れ評価値’δ1 を算定する。
【0026】 δ1 = (Sxm −Sxm0)2+ (Sym −Sym0)2 (1) この値が所定の範囲内にあれば露光を再開するが、所定
の範囲内になければ第一レンズ14の動作電流を初期値の
上下に段階的に変化させ、その都度電子ビーム12のサイ
ズSxm, Symの計測とずれ評価値δ1 の算定を行い、その
マップを取得する。このマップにおけるδ1 の最小値が
所定の範囲内にあれば、第一レンズ14の動作電流をδ1
が最小となった時の値にセットし直す。
【0027】このマップにおけるδ1 の最小値が所定の
範囲内になければ、第一レンズ14の動作電流を更に変化
させ、その都度電子ビーム12のサイズSxm, Symの計測と
ずれ評価値δ1 の算定を行い、そのマップを取得する。
このマップにおけるδ1 の最小値が所定の範囲内に入る
までこれを繰り返す(具体的には図4,5の調整プログ
ラムに従って行う)。これで調整を終わり、露光を再開
する。この調整は必要に応じてその後も適宜繰り返す。
【0028】尚、第一レンズ14はビーム成形器13の上下
に分割されている場合があるが、その場合はビーム成形
器13の下側のレンズの動作電流だけを変化させればよい
(このことは第二及び第三の実施例においても同様)。
【0029】〔第二の実施例〕 この例は、スリット偏
向振り戻し係数が第一レンズ14の特性に依存することに
着目したものである。図1において、スリット偏向器15
は上下二段の電極(いずれも静電偏向)からなってお
り、その一方(この図では下の電極)が主電極15B であ
り、もう一方の電極(この図では上の電極)は電子ビー
ム12のクロスオーバ像が実効的に主電極15B の中心の位
置に来るようにビームを振り戻すための振り戻し電極15
A である。この両者は連動しており、主電極15Bに印加
する電圧をVとした場合、振り戻し用電極15A に印加す
る電圧をT・Vとすることにより、正確に振り戻され
る。このTをスリット偏向振り戻し係数と呼び、この値
は電子ビーム12のクロスオーバ像の光軸方向位置に依存
する。
【0030】先ず、装置立ち上げ調整を完了し露光を開
始する前に、X軸とY軸のスリット偏向振り戻し係数を
計測・算定しておく(これをTx0, Ty0とする)。露光を
開始してから一定時間後(例えば半日後)、露光を中断
し、再びX軸とY軸のスリット偏向振り戻し係数を計測
・算定する(これをTx, Tyとする)。
【0031】このスリット偏向振り戻し係数は、マスク
板15の透過孔のパターンとして可変矩形ビーム露光用の
大型矩形を選び、試料1の位置でファラデーカップによ
り電流値を計ることにより計測・算定する。次に露光前
のスリット偏向振り戻し係数Tx0, Ty0との変化量として
次式で与えられる‘ずれ評価値’δ2 を算定する。
【0032】 δ2 = (Tx−Tx0)2 + (Ty−Ty0)2 (2) この値が所定の範囲内にあれば露光を再開するが、所定
の範囲内になければ第一レンズ14の動作電流を初期値の
前後に段階的に変化させ、その都度スリット偏向振り戻
し係数Tx, Tyの計測とずれ評価値δ2 の算定を行い、そ
のマップを取得する。このマップにおけるδ2 の最小値
が所定の範囲内にあれば、第一レンズ14の動作電流をδ
2 が最小となった時の値にセットし直す。
【0033】このマップにおけるδ2 の最小値が所定の
範囲内になければ、第一レンズ14の動作電流を更に変化
させ、その都度スリット偏向振り戻し係数Tx, Tyの計測
とずれ評価値δ2 の算定を行い、そのマップを取得す
る。このマップにおけるδ2 の最小値が所定の範囲内に
入るまでこれを繰り返す(具体的には図4,5の調整プ
ログラムに従って行う)。これで調整を終わり、露光を
再開する。この調整は必要に応じてその後も適宜行う。
【0034】〔第三の実施例〕 この例は、像面湾曲補
正器による像面湾曲補正のオフセット値(マスク偏向を
行わない時に像面湾曲補正器に流すべき電流値、以下こ
れをマスクフォーカスオフセット値と記す)が第一レン
ズ14の特性に依存することに着目したものである。
【0035】先ず、装置立ち上げ調整を完了し露光を開
始する前に、マスクフォーカスオフセット値を計測する
(これをOmdf0 とする)。露光を開始してから一定時間
後(例えば半日後)、再びマスクフォーカスオフセット
値を計測する(これをOmdfとする)。次に露光前のマス
クフォーカスオフセット値Omdf0 との変化量として次式
で与えられる‘ずれ評価値’δ3 を算定する。
【0036】δ3 = (Omdf−Omfd0)2 (3) この値が所定の範囲内にあれば露光を再開するが、所定
の範囲内になければ第一レンズ14の動作電流を初期値の
前後に段階的に変化させ、その都度マスクフォーカスオ
フセット値Omdfの計測とずれ評価値δ3 の算定を行い、
そのマップを取得する。このマップにおけるδ3 の最小
値が所定の範囲内にあれば、第一レンズ14の動作電流を
δ3 が最小となった時の値にセットし直す。
【0037】このマップにおけるδ3 の最小値が所定の
範囲内になければ、第一レンズ14の動作電流を更に変化
させ、その都度マスクフォーカスオフセット値Omdfの計
測とずれ評価値δ3 の算定を行い、そのマップを取得す
る。このマップにおけるδ3の最小値が所定の範囲内に
入るまでこれを繰り返す(具体的には図4,5の調整プ
ログラムに従って行う)。これで調整を終わり、露光を
再開する。この調整は必要に応じてその後も適宜行う。
【0038】以上、いずれの実施例においても、第一レ
ンズ14の動作電流値を変更するだけでアパーチャ25にお
ける電子ビーム12の位置や寸法は修正され、マスク偏向
相対補正係数、マスクスティグ相対補正係数、マスクフ
ォーカス相対補正係数、マスクエリア補正係数の設定を
変更する必要がなかった。
【0039】本発明は以上の実施例に限定されることな
く、更に種々変形して実施することが出来る。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
露光開始後の装置調整を短時間に行うことが可能な荷電
粒子ビーム露光装置の調整方法を提供することが出来、
当該露光装置のスループット向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電子ビーム露光装置の一例を示す概念図であ
る。
【図2】 本発明の第一の実施例の説明図である。
【図3】 本発明の第二の実施例の説明図である。
【図4】 本発明の調整プログラムのメインルーチンを
示す図。
【図5】 本発明の調整プログラムのサブルーチンを示
す図。
【符号の説明】
1 試料 11 電子銃(荷電粒子ビーム発生手段) 12 電子ビーム(ビーム) 13 ビーム成形板 14 第一レンズ 15 スリット偏向器 15A, 15B 電極 16 第二レンズ 17 マスク板 18, 19, 20, 21 第一, 第二, 第三, 第四のマスク偏向
器 22 第三レンズ 23 ブランキング電極 24 第四レンズ 25 アパーチャ 26, 27 第五, 第六レンズ 28 主偏向器 29 副偏向器 30 試料台 31 像面湾曲補正器 32 非点収差補正器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−63420(JP,A) 特開 平3−159113(JP,A) 特開 昭53−30280(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/027 G03F 7/20 521

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 荷電粒子ビーム発生手段(11)と、該荷電
    粒子ビーム発生手段(11)が射出した荷電粒子のビーム(1
    2)を成形するビーム成形板(13)と、任意形状の透過孔を
    少なくとも一個備えたマスク板(17)と、該ビーム成形板
    (13)で成形されたビーム(12)を該マスク板(17)上に結像
    させる第一レンズ(14)と、を有する荷電粒子ビーム露光
    装置の調整方法であって、 該露光装置の電源投入後の立ち上げ調整完了時に該マス
    ク板(17)上に結像された該ビーム成形板(13)の像のサイ
    ズを計測する工程と、 その後、該露光装置使用中に該サイズを計測するととも
    に該立ち上げ調整完了時における該サイズと比較して変
    化量を算出する工程と、 該第一レンズ(14)の動作電流値を増加及び減少してその
    都度該サイズを計測するとともに該立ち上げ調整完了時
    における該サイズと比較して変化量のマップを取得する
    工程と、 該マップから該サイズの変化量が極小となる該第一レン
    ズ(14)の動作電流値を算出する工程と、 該第一レンズ(14)の動作電流値を該サイズの変化量が極
    小となる値に変更する工程と、を含むことを特徴とする
    荷電粒子ビーム露光装置の調整方法。
  2. 【請求項2】 荷電粒子ビーム発生手段(11)と、該荷電
    粒子ビーム発生手段(11)が射出した荷電粒子のビーム(1
    2)を成形するビーム成形板(13)と、任意形状の透過孔を
    少なくとも一個備えたマスク板(17)と、該ビーム成形板
    (13)で成形されたビーム(12)を該マスク板(17)上に結像
    させる第一レンズ(14)と、相互に連動し一方が振り戻し
    電極である上下二段の電極(15A, 15B)からなり該ビーム
    (12)を該マスク板(17)の透過孔の所望の部位を通過する
    ように偏向させるスリット偏向器(15)と、を有する荷電
    粒子ビーム露光装置の調整方法であって、 該露光装置の電源投入後の立ち上げ調整完了時に該スリ
    ット偏向器(15)の上下二段の電極(15A, 15B)の偏向比率
    を計測する工程と、 その後、該露光装置使用中に該偏向比率を計測するとと
    もに該立ち上げ調整完了時における該偏向比率と比較し
    て変化量を算出する工程と、 該第一レンズ(14)の動作電流値を増加及び減少してその
    都度該偏向比率を計測するとともに該立ち上げ調整完了
    時における該偏向比率と比較して変化量のマップを取得
    する工程と、 該マップから該偏向比率の変化量が極小となる該第一レ
    ンズ(14)の動作電流値を算出する工程と、 該第一レンズ(14)の動作電流値を該偏向比率の変化量が
    極小となる値に変更する工程と、を含むことを特徴とす
    る荷電粒子ビーム露光装置の調整方法。
  3. 【請求項3】 荷電粒子ビーム発生手段(11)と、該荷電
    粒子ビーム発生手段(11)が射出した荷電粒子のビーム(1
    2)を成形するビーム成形板(13)と、任意形状の透過孔を
    複数個備えたマスク板(17)と、該ビーム成形板(13)で成
    形されたビーム(12)を該マスク板(17)上に結像させる第
    一レンズ(14)と、該ビーム(12)を該マスク板(17)の所望
    の透過孔を通過するように偏向させるマスク偏向器(18
    〜21)と、該マスク偏向器(18 〜21) に連動する像面湾
    曲補正器(31)と、を有する荷電粒子ビーム露光装置の調
    整方法であって、 該露光装置の電源投入後の立ち上げ調整完了時に該像面
    湾曲補正器(31)による像面湾曲補正のオフセット値を計
    測する工程と、 その後、該露光装置使用中に該オフセット値を計測する
    とともに該立ち上げ調整完了時における該オフセット値
    と比較して変化量を算出する工程と、 該第一レンズ(14)の動作電流値を増加及び減少してその
    都度該オフセット値を計測するとともに該立ち上げ調整
    完了時における該オフセット値と比較して変化量のマッ
    プを取得する工程と、 該マップから該オフセット値の変化量が極小となる該第
    一レンズ(14)の動作電流値を算出する工程と、 該第一レンズ(14)の動作電流値を該オフセット値の変化
    量が極小となる値に変更する工程と、を含むことを特徴
    とする荷電粒子ビーム露光装置の調整方法。
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