JP3282240B2 - 帯状材の連続塗装方法 - Google Patents

帯状材の連続塗装方法

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JP3282240B2 JP28970592A JP28970592A JP3282240B2 JP 3282240 B2 JP3282240 B2 JP 3282240B2 JP 28970592 A JP28970592 A JP 28970592A JP 28970592 A JP28970592 A JP 28970592A JP 3282240 B2 JP3282240 B2 JP 3282240B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、鋼板等の帯状材に平
滑で健全な塗膜(機能性材料膜等を含む)を安定して付
与するための連続塗装方法に関するものである。
【0002】
【従来技術とその課題】走行する帯状材に塗料(機能性
材料の塗布液を含む)を連続的に塗布する手段として
は、従来から“ロ−ルコ−ティング法”が一般的に採用
されている。このロ−ルコ−ティング法は、ロ−ルコ−
タ−のピックアップロ−ル,トランスファ−ロ−ル,ミ
−タリングロ−ル,スム−ジングロ−ル等を介して供給
される塗料を、バックアップロ−ルに沿って通過するか
或いは2本のデフレクタ−ロ−ル間に支持された被塗装
材にアプリケ−タ−ロ−ルを使って塗布した後、乾燥炉
で焼付け乾燥する(乾燥炉では熱風を塗膜面に吹き付け
て溶剤を蒸発させながら昇温し、 塗料のキュアリング,
硬化を行う)塗装法であるが、被塗装材の走行方向とア
プリケ−タ−ロ−ルの回転方向との組み合わせにより、
これを“ナチュラルコ−ティング方式”及び“リバ−ス
コ−ティング方式”の2つに大別することができる。
【0003】例えば、図6は、バックアップロ−ル1に
沿って通過する被塗装材2にペイントパン3内の塗料を
ピックアップロ−ル4とアプリケ−タ−ロ−ル5を用い
て塗布する方式の、代表的な2ロ−ルによるロ−ルコ−
ティグ法を示しているが、ここに示したのはアプリケ−
タ−ロ−ル5の回転方向が被塗装材2の走行方向と逆に
なった“ナチュラルコ−ティング方式”の例である。
【0004】これに対して、図7は、ロ−ル配置は前記
図5に示したものと同じであるが、アプリケ−タ−ロ−
ル5の回転方向を被塗装材2の走行方向と同方向とした
“リバ−スコ−ティング方式”の例である。なお、図中
の符号6で示されるのは塗膜厚調整のために設けたミ−
タリングロ−ルであり、符号7で示されるのは乾燥炉で
ある。
【0005】しかし、塗装の主流技術をなすロ−ルコ−
ティング法にも、これまで次のような問題点が指摘され
ていた。例えば塗装鋼板を製造する場合、連続的に塗料
が塗布された鋼板はその後連続的に乾燥炉へ送られ、こ
の乾燥炉で塗膜内の溶剤(揮発成分)が蒸発せしめられ
て塗膜の硬化がなされるが、この時、生産性を上げるた
めに加熱速度を速めると泡による表面欠陥が生じる。こ
の表面欠陥は“ワキ”と呼ばれ、塗膜内部に残留してい
る溶媒の蒸発が急速加熱により激化して気泡を生じ、硬
化した塗膜表面を変形させて泡状欠陥となって現れるも
ので、特に厚膜塗装の場合にその発生が顕著であった。
【0006】この“ワキ”を低減する方法として、減圧
下で加熱乾燥する方法が提唱されているが(特開平1−
139174号)、連続式塗装ラインに適用するには設
備コストがかかり過ぎて実際的でない上、コストに見合
うだけの大きな効果は期待できなかった。
【0007】一方、特開平3−77675号公報には、
塗料が塗布された鋼板の昇温ヒ−トパタ−ンを制御し、
鋼板温度を塗料樹脂の架橋反応開始温度以下でかつ溶剤
の沸点温度以下に10〜25秒保って溶剤の蒸発を促進
させ、“ワキ”の原因である溶剤の泡が発生するのを防
止しようとの提案が記載されている。しかし、この方法
では、塗装膜厚が厚くなると溶剤蒸発のために長い保持
時間が必要となって生産性向上が全く望めなくなり、ま
た“ワキ”発生の低減効果も十分なものとは言えなかっ
た。
【0008】なお、この“ワキ”の問題はロ−ルコ−テ
ィング法のみに限られたものではなく、近年その使用実
績が上がってきたカ−テンフロ−コ−タ−やエクストル
ダ−等での連続塗装においても同様の問題が指摘されて
いたことは言うまでもない。
【0009】このようなことから、本発明が目的とした
のは、“ワキ" 等の塗膜不良を生じることなく平滑で健
全な塗膜が安定して形成されるところの、生産性が高く
設備コストの比較的低廉な帯状材の連続塗装手段を確立
することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意研究を重ねた結果、次のような知見を得
ることができた。 a) 連続式塗装ラインでの厚膜塗装に際して、ロ−ルコ
−タ−であれエクストルダ−であれ適用する塗装装置に
は関係なく、塗料の塗布がなされた後はできるだけスム
−ズに塗膜中の溶剤を蒸発させると共に、塗膜を焼付け
硬化させるのが生産性面から好ましいが、このための加
熱手段として、従来の如き塗膜の表面に高温気流を吹き
付けて表面から昇温する方式のものではなく、電気加熱
や誘導加熱等により塗膜の内部から昇温がなされる方式
のものを採用すると、焼付け硬化時における“ワキ”の
発生が殆どなくなる。
【0011】b) また、塗膜中の溶剤をスム−ズに蒸発
させるのに「塗膜表面に塗膜硬化温度よりも低い温度の
気流を吹き付け手段」が極めて効果的ではあるが、
「塗料の塗布直後から乾燥・硬化させるまでの間に塗膜
硬化温度よりも低い温度で低温加熱する過程を設ける手
段」も有効であり、特に後者の手段を採用すると、焼付
け硬化前の塗膜の流動性が向上し、その表面張力による
レベリング効果によって塗料の塗布過程で生じた“うね
り”や“ロ−ル目(ロ−ルコ−ティング法で塗膜厚が幅
方向に不均一となって現れる筋模様)”も軽減され、こ
の点からの平滑塗膜形成効果も顕著となる。
【0012】本発明は、上記知見事項等を基にした更な
る検討の結果完成されたもので、「連続式塗装ラインで
塗膜厚が10ミクロン以上の厚膜塗装に際して、 塗料
の塗布後、 塗膜表面に塗膜硬化温度未満の低温度の気流
を吹き付けながら“ワキの発生しない限界加熱速度”内
で塗膜内部からの急速加熱・乾燥を行うか、 或いは、 ま
ず塗料の塗布直後から塗膜硬化温度未満の温度で塗膜の
低温加熱を実施し、 次に前記“限界加熱速度”内で塗膜
内部からの急速加熱・乾燥を行うか、 更には、 まず塗料
の塗布直後から塗膜硬化温度未満の温度で塗膜の低温加
熱を実施してから、 塗膜表面に塗膜硬化温度未満の低温
度の気流を吹き付けながら前記“限界加熱速度”内で塗
膜内部からの急速加熱・乾燥を行うことにより、 “ワ
キ”等の無い平滑で健全な塗膜を備えた帯状塗装材を生
産性良く安定して製造し得るようにした点」に大きな特
徴を有している。
【0013】以下、具体例を基に、本発明をその作用・
効果と共に詳述する。
【作用】まず、焼付け乾燥過程で生じる塗膜表面欠陥た
る“ワキ”の発生機構は次の通りと考えられる。一般
に、塗膜の焼付け乾燥過程は大きく2つに分かれるが、
1つは“恒律乾燥過程”と呼ばれる化学プロセスであ
り、表面からの溶剤乾燥速度が律則になる。2つ目は、
“減衰乾燥過程”と呼ばれる物理プロセスであり、溶剤
の塗膜内移動速度が律則になる。そして、“ワキ”発生
の原因は2つ目の物理プロセスに起因しており、恒律乾
燥過程が終わって減衰乾燥過程に至り塗膜表面温度が上
昇して表面が硬化した時、残留溶剤が多く残っていると
これが温度上昇と共に気泡となり、“ワキ”となって表
面欠陥となる。急速加熱乾燥により塗膜表面が硬化した
後に“塗膜内部に残存した溶剤”が蒸発し気泡となって
表面から散逸する時、その泡状痕跡が表面欠陥となる。
【0014】この“ワキ”発生は塗膜厚を大きくした際
に特に問題となるが、従来の知見では、これを防止する
には焼付け乾燥時の加熱速度を遅くして塗膜が硬化する
までの時間を長くすることが効果的であると考えられて
いた。しかし、この対策では塗装能率の著しい低下を招
き、生産性が悪くなるのを如何ともし難い。
【0015】そこで、本発明者は、様々な観点から前記
“ワキ”の発生を効果的に防止できる新規手段の検討を
行ったが、その過程で、“ワキ”発生に大きな影響を与
えると考えられる焼付け乾燥時の加熱速度,塗膜厚,塗
膜表面に接触する気流の条件等の関係を把握すべく、種
々の塗料を使用して前記諸条件を変化させた時の“ワ
キ”発生状況の調査を実施し、次のことを確認したので
ある。
【0016】即ち、塗膜厚が10ミクロンよりも薄けれ
ば恒律乾燥過程の間に塗膜内部の溶剤は十分に拡散して
表面から蒸発してしまい、例え加熱乾燥速度を50℃/s
ec以上の高速にしても“ワキ”を発生することがない
(“塗膜厚”及び“加熱速度”と“ワキ発生状況”との
関係の調査結果を示す図8の曲線Aの関係を参照された
い) 。逆に、図8からは、塗膜厚が10ミクロン以上に
なると加熱速度(焼付け乾燥速度)を極力遅くしないと
“ワキ”が発生しがちとなることが分かる。
【0017】しかるに、高速乾燥を行っても“ワキ”が
発生することがない限界の塗膜厚を「美麗加熱乾燥限界
膜厚」と呼ぶことにすると、焼付け乾燥の際に塗膜面へ
低温気流を吹き付けながら塗料内部からの加熱・乾燥を
実施した場合には「美麗加熱乾燥限界膜厚」が向上し、
より厚膜の高速美麗乾燥が可能になる(図8の曲線Bの
関係を参照されたい) 。この場合、特に加熱速度が10
〜40℃/secの範囲にあるときの「美麗加熱乾燥限界膜
厚」の向上程度が著しい。
【0018】従って、塗膜の焼付け乾燥に当って、塗膜
面へ低温気流を吹き付けながら塗料内部からの加熱を行
うと、塗料の種類(例えば樹脂のタイプ)によらず“ワ
キの発生しない限界加熱速度”は塗膜厚が厚い場合でも
高い値を維持できるようになり(前記図8における曲線
AとBとを対比されたい)、この高い“限界加熱速度”
で急速な加熱・乾燥が行えるようになって健全塗装の
作業能率が著しく向上する。なお、前記図8はキシレン
を溶剤とした塗料の美麗加熱乾燥限界膜厚曲線の例であ
るが、他の溶剤を用いた塗料の場合でも簡単な乾燥実験
により美麗加熱乾燥限界膜厚曲線を容易に求めることが
できる。
【0019】ただ、この場合、気流を被塗装材面に対し
て垂直方向に吹き付けると“風紋”と呼ばれる“しわ
(表面欠陥)”が発生しがちであり(特に塗膜が厚い時
にこの現象が顕著である)、また、塗料の硬化温度以上
の熱いガスを吹き付けると直ぐに表面が硬化するので
“ワキ”の発生を抑えることができない。従って、吹き
付ける気流の温度は塗膜表面が直ぐに硬化しないような
低温(80℃未満、 好ましくは20℃以下程度の温度)
とし、吹き付け角度は塗膜面にほぼ平行となるように留
意するのが良い。そして、吹き付ける気流の流速は50
m/sec以下程度、望ましくは8m/sec前後とするのが好
適である。
【0020】また、気流を吹き付けての塗膜の加熱は、
塗膜内部からの昇温がなされるように誘導加熱等の電気
加熱を採用するのが望ましいことは既述の通りである
が、作業能率からして、この加熱手段により“限界加熱
速度”内の出来るだけ速い速度で200℃以上まで急速
加熱し急速乾燥するのが良い。
【0021】低温ガスを吹き付けて表面を冷却しながら
誘導加熱等の電気加熱により塗膜を内部から加熱するこ
とで「美麗加熱乾燥限界膜厚」が大幅に向上する理由
は、この加熱により塗膜内部の温度が上昇するので内部
からの表面への溶剤の拡散係数が増大し、表面における
物質移動係数が大きくなる上、表面はガスで冷却されて
いるので最後まで硬化が遅れるため塗膜内の溶剤が十分
散逸され、“ワキ”が発生し難くなることにあると考え
られる。
【0022】一方、塗料を塗布した直後から焼付け乾燥
(200℃以上への加熱)を行うまでの間で、塗膜が硬
化しないような低温(80℃以下)に加熱保持する予熱
を行うと、この間に塗膜中溶剤の揮発が促進されてスム
−ズな溶剤の逸散が起こり、引き続いて塗料内部からの
加熱・乾燥を実施するすると、従来のように焼付け乾燥
の前に予熱を行わなかった場合には「美麗加熱乾燥限界
膜厚」が10ミクロンに達しなかったのが、10ミクロ
ン以上の膜厚であっても“ワキ”の発生が極力少なくな
って美麗な乾燥塗膜を得られるようになる(このときの
美麗加熱乾燥限界膜厚曲線も、 図8における曲線Bとほ
ぼ同様の傾向となる)。従って、この場合にも、塗料の
種類によらず“ワキ”の発生しない限界加熱速度”は塗
膜厚が厚い場合でも高い値を維持できるようになり(前
記図8における曲線AとBとを対比されたい)、この高
い“限界加熱速度”内で急速な加熱・乾燥が行えるよう
になって健全塗装の作業能率が著しく向上する。しか
も、前記低温加熱(好ましくは50℃前後の予熱)を行
うと塗膜の粘度が低下してレベリングが進行しやすくな
り、“うねり”や“ロ−ル目”等の凹凸欠陥が解消され
るという効果ももたらされる。
【0023】このように、低温の予備加熱を行うことに
より塗料の塗布過程で生じた“うねり”や“ロ−ル目”
等の表面凹凸軽減効果が得られるが、その理由は次の通
りである。例えばロ−ル目を模式的に描くと図9で示す
ような“うねり”として表されるが、この“うねり”は
塗膜の流動と表面張力により時間の経過と共に平滑にな
ろうとする("レベリング”と呼ばれる)。そして、塗料
がニュ−トン流体で、ロ−ル目が正弦波をなしていると
考えた時の“高低差が半分になる時間(半減期)”の解
析解は次の通りとなる。 このように、上記半減期は粘度に比例するので、レベリ
ング時間を短縮するには塗料の粘度低下が非常に有効で
ある。
【0024】ロ−ル目等の軽減に大きな影響を与える塗
料粘度の温度変化の影響は、図10の調査結果が示すよう
に、塗料の温度を80℃以下程度(好適には50℃前
後)まで上昇させるとその粘度は大きく低下して流動性
が向上し(温度を40〜50℃に上昇させると粘度は
1.2〜0.15Pa・sec まで低下する)、レベリング時間が
非常に短くなる。そのため、塗料の塗布直後から塗膜の
低温加熱を実施すると、加熱炉での焼付け乾燥までの間
に“ロ−ル目”や“うねり”等が速やかに消滅して平滑
な塗膜面が実現される訳である。
【0025】なお、図11は“塗布液の粘度”の温度依存
性を考慮したレベリングモデルを作成し、数値計算を行
った結果である「レベリング量(塗料平均膜厚h0に対す
る塗料最小膜厚hの比率)の時間変化」を示したグラフ
であるが、この図11からも、「ロ−ルコ−タ−で塗布し
た直後の数秒の間に塗膜のレベリングがほゞ完了するこ
と」や「その数秒の間を低温加熱して塗料粘度を低くす
るとレベリングの効果が大幅に改善されること」を確認
することができる。
【0026】つまり、図10及び図11からしても、急速加
熱によってロ−ルコ−ティング直後の塗膜温度を40〜
50℃に上昇すると塗膜の粘度は 1.2〜0.15Pa・sec ま
で低下して、4〜5秒が経過するまでの間に塗膜のレベ
リングが速やかに進行し、塗膜表面に存在していたロ−
ル目のレベリング量は低温加熱を行わなかった場合の0.
1 に対して0.02まで改善されることが分かる。ここで、
ロ−ルコ−タ−その他で塗料を塗布した直後における塗
膜の低温加熱手段としては輻射熱で加熱する遠赤外線加
熱等が好適であり、レベリングの進行や“ワキ”の防止
効果をも勘案すると、約50℃程度にまで加熱し、その
温度で約30秒程度以内の保持を行う予熱とするのが適
当である。
【0027】このように、上記幾つかの確認事項から
も、“ワキ”の発生が問題となるような厚膜塗装の場合
には、塗膜表面に低温気流を吹き付けながら既述した
“限界加熱速度”内で塗膜内部から急速加熱乾燥した
り、或いは塗料の塗布直後から塗膜の低温加熱を行うこ
とによって溶剤の蒸発を促進させてから“限界加熱速
度”内で塗膜内部から急速加熱乾燥するか、更には、塗
布直後の塗膜を低温加熱して塗膜中溶剤の蒸発を促進さ
せてから、塗膜表面に低温気流を吹き付けながら“限界
加熱速度”内で急速加熱乾燥してやれば、平滑で健全な
塗膜を備えた塗装材を高い生産性の下で得られることが
明らかであろう。
【0028】続いて、本発明を実施例により説明する。
【実施例】
〈実施例1〉図1に示した塗装・乾燥設備を用い、 0.4
mm厚の帯鋼板への本発明に係る連続平滑塗装試験を実施
した。
【0029】即ち、ロ−ルコ−タ−へ帯鋼板11を連続的
に供給してキシレンを溶媒としたキシレン・ポリエステ
ル系塗料を26ミクロンの厚さで塗布して、これを乾燥
炉7へ連続的に搬送し、該乾燥炉内で鋼板表面に向かっ
て小さな角度で開口したガスジェットノズル12から低温
(20℃)のガス(空気)を8m/secの流速にて吹き付
けながら、誘導加熱コイル13による内部加熱により塗膜
を200℃以上程度に急速加熱して焼付け乾燥を行っ
た。なお、急速加熱時の加熱速度は、図8中の曲線Bに
て求められる“限界加熱速度”内の最上限に設定した。
【0030】この結果、“ワキ”の発生が殆ど無い状態
で塗膜の乾燥・硬化を行うことができ、表面欠陥の無い
キシレン・ポリエステル系の美麗塗装鋼板を高速ライン
スピ−ドで安定製造できることが確認された。
【0031】〈実施例2〉図2に示した塗装・乾燥設備
を用い、 0.4mm厚の帯鋼板へ本発明に係る連続厚膜塗装
試験を実施した。即ち、ロ−ルコ−タ−へ帯鋼板11を連
続的に供給してキシレン・ポリエステル系塗料を24ミ
クロンの厚さで塗布し、その直後から保温雰囲気カバ−
14の“予備加熱ゾ−ン”にて塗膜を50℃前後の低温に
急速加熱した。なお、“予備加熱ゾ−ン”での加熱は遠
赤外線ヒ−タ−15によった。続いて、保温雰囲気カバ−
14内を走行する塗装鋼板(ラインスピ−ド:120m/m
in)を連続的に“保温ゾ−ン”へ送り、続く“急速加熱
ゾ−ン(乾燥炉)”に至るまでの間低温加熱状態(平均
で約50℃)に保持した(低温加熱保持時間は合計で約
30秒程度であった)。ここで、“保温ゾ−ン”での熱
源としては熱風吹き付けノズル16を採用した。
【0032】この“予備加熱ゾ−ン”と“保温ゾ−ン”
での低温加熱状態を通じ、塗膜は粘度が低下して流動性
が高まるのでレベリングの十分な進行がなされると同時
に、塗膜内部に存在する溶剤の蒸発が円滑に進んだ。
【0033】引き続いて、この状態の塗装鋼板を次の
“急速加熱ゾ−ン(乾燥炉)”へ送って誘導加熱コイル
13による内部からの加熱により200℃以上程度にまで
急速加熱し(加熱速度は限界加熱速度内の20.0℃/se
c)、塗膜の焼付け乾燥を行った。
【0034】さて、このように実施された連続塗装試験
により、この方法によると高速ラインスピ−ドで厚塗装
鋼板の塗装を行っても“ロ−ル目”や“わき”の発生し
ない美麗塗装を安定して行えることが確認された。
【0035】〈実施例3〉図3に示した塗装・乾燥設備
を用い、 0.4mm厚の帯鋼板へ本発明に係る連続厚膜塗装
試験を実施した。即ち、ロ−ルコ−タ−へ帯鋼板11を連
続的に供給してキシレン・ポリエステル系塗料を30ミ
クロンの厚さで塗布し、その直後から保温雰囲気カバ−
14の“予備加熱ゾ−ン”にて塗膜を約50℃まで急速加
熱した。なお、この“予備加熱ゾ−ン”での加熱は遠赤
外線ヒ−タ−15によった。
【0036】続いて、保温雰囲気カバ−14内を走行する
塗装鋼板を連続的に“保温ゾ−ン”へ送り、続く“急速
加熱ゾ−ン(乾燥炉)”に至るまでの間を熱風吹き付け
ノズル16による熱風吹きで塗膜の表面を硬化させずに溶
剤の蒸発を促進させ(約30秒)た。
【0037】この“予備加熱ゾ−ン”と“保温ゾ−ン”
での低温加熱状態を通じ、塗膜は粘度が低下して流動性
が高まるのでレベリングの十分な進行がなされると同時
に、塗膜内部に存在する溶剤の蒸発が円滑に進んだ。
【0038】引き続いて、この状態の塗装鋼板を次の
“急速加熱ゾ−ン(乾燥炉)”へ送って200℃以上に
まで加熱し、塗料の焼付け乾燥を行った。この“急速加
熱ゾ−ン”では、熱源に誘導加熱コイル13を採用して内
部加熱を行い、かつ塗膜表面の硬化を抑えながら内部に
残留する溶剤の蒸発を完了させるべく、気流ノズル17か
ら低温のガス(この例では20℃の空気)を吹き付けな
がら“限界加熱速度”内で急速加熱を行った。
【0039】上記塗料の塗布直後から急速加熱ゾ−ン
(乾燥炉)出口までのヒ−トパタ−ンを図4に示す。な
お、前記各加熱ゾ−ンに適用する加熱方式は、予備加熱
ゾ−ンではレベリングの進行を促進させるべく“低温電
気加熱方式”が、保温ゾ−ンでは溶剤の蒸発を促進すべ
く“熱風吹き付け方式”が、急速加熱ゾ−ンでは塗膜表
面の硬化を抑えながら蒸発を促進させるべく、低温のガ
スを吹き付けながら誘導加熱,電気抵抗加熱,赤外線加
熱等の塗膜内部からの加熱が行える“電気加熱方式”が
それぞれ好ましいと言える。
【0040】ところで、急速加熱ゾ−ンで吹き付ける気
流の速度が大きいほど塗膜表面の物質移動係数が大きく
なって塗膜の乾燥は早くなるが、垂直方向からの衝突速
度が30m/sec(表面で5m/sec)を超えると、また平
行噴流が50m/sec(表面で8m/sec)を超えると塗膜
表面にしわ状表面傷が発生する。そのため、本実施例で
は、気流の案内板18,19を設けて吹き付ける気流が塗膜
面に平行となるように図っている。この場合、図5に略
示するように、気流は塗装鋼板のサイド方向から吹き付
けるのがより効果的である。
【0041】さて、このように実施された連続塗装試験
により、本発明に係る連続塗装方法を適用すると、高速
ラインスピ−ドで厚塗装鋼板の塗装を行っても“ロ−ル
目”や“わき”の発生しない美麗塗装を安定して行える
ことが確認された。
【0042】なお、表1は、実験によって確認されたと
ころの、“従来法(塗料の塗布後そのままライン後続の
乾燥炉で焼付け乾燥する方法)”と“この実施例に係る
本発明法”との「美麗塗装鋼板を製造できる採用可能条
件」を比較して示したものである。なお、「塗膜厚」は
焼付け乾燥後の値であり「加熱速度」は急速加熱ゾ−ン
での加熱速度である。
【0043】
【0044】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、比較的簡単な方法にて平滑で健全な塗膜を備えた美
麗塗装材を高い生産性の下で安定製造できるようになる
など、産業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法を実施するための実施例に係る塗装・
乾燥設備例の説明図である。
【図2】本発明に係る別法を実施するために実施例で用
いた塗装・乾燥設備例の説明図である
【図3】本発明に係る更なる別法を実施するために実施
例で用いた塗装・乾燥設備例の説明図である
【図4】図3の設備を用いた実施例での加熱乾燥過程の
ヒ−トパタ−ンである。
【図5】好適な気流吹き付け手段に係る説明図である。
【図6】ロ−ルコ−タ−によるナチュラルコ−ティング
法の説明図である。
【図7】ロ−ルコ−タ−によるリバ−スコ−ティング法
の説明図である。
【図8】高速美麗乾燥限界膜厚に対する気流吹きの影響
を示したグラフである。
【図9】ロ−ル目の説明図である。
【図10】温度による塗料の粘度変化を示したグラフで
ある。
【図11】数値計算による塗膜レベリング量の時間変化
を示したグラフである。
【符号の説明】
1 バックアップロ−ル 2 被塗装材 3 ペイントパン 4 ピックアップロ−ル 5 アプリケ−タ−ロ−ル 6 ミ−タリングロ−ル 7 乾燥炉 11 帯鋼板 12 ガスジェットノズル 13 誘導加熱コイル 14 保温雰囲気カバ− 15 遠赤外線ヒ−タ− 12 保温雰囲気カバ− 16 熱風吹き付けノズル 17 気流ノズル 18 案内板 19 案内板

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続式塗装ラインでの塗膜厚が10ミク
    ロン以上の厚膜塗装に際して、塗料の塗布後、塗膜表面
    に塗膜硬化温度未満の低温度の気流を吹き付けながら
    “ワキの発生しない限界加熱速度”内で塗膜内部からの
    急速加熱・乾燥を行うことを特徴とする、帯状材の連続
    塗装方法。
  2. 【請求項2】 連続式塗装ラインでの塗膜厚が10ミク
    ロン以上の厚膜塗装に際して、まず塗料の塗布直後から
    塗膜硬化温度未満の温度で塗膜の低温加熱を実施し、続
    いて“ワキの発生しない限界加熱速度”内で塗膜内部か
    らの急速加熱・乾燥を行うことを特徴とする、帯状材の
    連続塗装方法。
  3. 【請求項3】 連続式塗装ラインでの塗膜厚が10ミク
    ロン以上の厚膜塗装に際して、まず塗料の塗布直後から
    塗膜硬化温度未満の温度で塗膜の低温加熱を実施し、続
    いて塗膜表面に塗膜硬化温度未満の低温度の気流を吹き
    付けながら“ワキの発生しない限界加熱速度”内で塗膜
    内部からの急速加熱・乾燥を行うことを特徴とする、帯
    状材の連続塗装方法。
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