JP3276177B2 - 屈折力補正機能付生体眼寸法測定装置 - Google Patents

屈折力補正機能付生体眼寸法測定装置

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JP3276177B2
JP3276177B2 JP28610992A JP28610992A JP3276177B2 JP 3276177 B2 JP3276177 B2 JP 3276177B2 JP 28610992 A JP28610992 A JP 28610992A JP 28610992 A JP28610992 A JP 28610992A JP 3276177 B2 JP3276177 B2 JP 3276177B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、幾何光学的原理を利用
して角膜頂点位置を測定する角膜距離測定系と物理光学
的原理を利用して眼内測定対象物の位置を測定する干渉
光学系とを備え、角膜頂点位置から眼内測定対象物まで
の長さを測定する生体眼寸法測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】生体眼寸法測定装置には、眼内測定対象
物を眼底とし、眼底位置から角膜頂点位置までの眼軸長
を測定するものがある。この種の眼軸長測定装置では眼
底位置を測定するために測定光束を眼底に照射して眼底
からの反射光束を観測している。
【0003】ここで、眼底からの反射光束の光量が微弱
であると測定精度が劣化する。反射光束の光量増加を図
るには、被検眼に照射する測定光束の光量を増加させる
ことが考えられるが、被検眼に照射する測定光束の光量
は安全の面から上限があるため、従来の眼軸長測定装置
では測定光束を眼底に収束させて照射することにより、
その反射光束の光量の増加を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、被検眼が正
視眼でない場合には、平行光束を測定光として被検眼に
照射したとしても、被検眼の屈折力によって測定光束が
眼底に収束しない。このため、眼底からの反射光束が微
弱となり、眼底位置の測定精度が悪化し、ひいては、眼
軸長の測定ができなくなるという不都合がある。
【0005】なお、眼内測定対象物としては、眼底の
他、水晶体の前面・後面等が想定される。
【0006】
【発明の目的】本発明は、上記の課題に鑑みて為された
もので、その目的とするところは、被検眼に入射する測
定光束を眼内測定対象物に対して適正に収束させること
のできる屈折力補正機能付生体眼寸法測定装置を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる屈折力補
正機能付生体眼寸法測定装置は、幾何光学的原理を利用
して角膜頂点位置を測定する角膜距離測定系と物理光学
的原理を利用して眼内測定対象物の位置を測定する干渉
光学系とを備え、角膜頂点位置から眼内測定対象物位置
までの長さを測定する生体眼寸法測定装置であって、前
記干渉光学系から出射されて被検眼に入射する測定光束
が眼内測定対象物に収束するように、かつ、眼内測定対
象物からの反射光束が前記干渉光学系から出射された測
定光束の光路と同一光路をたどって参照ミラーからの反
射光束と合成されて受光部に入射するように、受光信号
の振幅に基づき該測定光束を発散・収束させる屈折力補
正部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
【作 用】本発明に係わる屈折力補正機能付生体眼寸法
測定装置によれば、角膜距離測定系は、幾何光学的原理
を利用して角膜頂点位置を測定する。干渉光学系は測定
光束を被検眼に向けて出射し、物理光学的原理を利用し
て眼内測定対象物の位置を測定する。そして、角膜頂点
位置と眼内測定対象物の位置との間の長さを求める。屈
折力補正部は、被検眼に入射する測定光束が眼内測定対
象物に収束するように測定光束を受光信号を参照して発
散・収束させる。
【0009】
【実施例】以下、この発明にかかる屈折力補正機能付生
体眼寸法測定装置の実施例を図面に基づいて説明する。
この発明の干渉光学系の測定対象となる眼内測定対象物
としては、眼底、水晶体の前面・後面等が想定される
が、以下の実施例では、眼内測定対象物を眼底とし、こ
の発明を眼軸長測定装置に適用した例として説明する。
【0010】
【実施例1】図1ないし図13は角膜頂点位置は幾何光学
的原理を用いて角膜距離測定系により求め、眼底位置は
コヒーレント長の長いコヒーレント光を発生するコヒー
レント光源を有する干渉光学系により物理光学的原理を
用いて測定する実施例1を示すものである。
【0011】図1において、100は角膜距離測定系、101
は干渉光学系、102は被検眼角膜に光束を照射する照射
光学系としてのリング状光源投影部、103は被検眼、104
は対物レンズである。角膜距離測定系100は第1光路10
5、第2光路106を有している。第1光路105は二次元イ
メージセンサ107、結像レンズ108、ハーフミラー109、
絞り110、レンズ111、全反射ミラー112、レンズ113、ハ
ーフミラー114、ダイクロイックミラー115、対物レンズ
104から大略構成されている。第2光路106は全反射ミラ
ー116、レンズ117、全反射ミラー118、119、絞り124か
ら大略構成されている。
【0012】リング状光源投影部102は、リング状光源
とパターン板(図示を略す)とからなり、ここでは、メ
リジオナル断面光線が平行であるような照明光を被検眼
に投影している。この照明光を被検眼103に向かって照
射すると、被検眼103の角膜120にはリング状の虚像121
が形成される。ここで、リング状光源投影部102の照明
光の波長は900nm〜1000nmである。ダイクロイックミラ
ー115は、その照明光を透過し、後述するレーザー光の
波長を反射する役割を果たす。
【0013】角膜120による反射光は、対物レンズ104、
ダイクロイックミラー115を介してハーフミラー114に導
かれ、第1光路105と第2光路106とに分岐される。第1
光路105に導かれた反射光はレンズ113に基づき一旦リン
グ状の空中像122として結像され、さらに、全反射ミラ
ー112、レンズ111、絞り110、ハーフミラー109、結像レ
ンズ108を経由して二次元イメージセンサ107にリング像
2(図2参照)として結像される。なお、このリング
像i2の結像倍率は、ここでは、0.5倍とする。第2光
路106に導かれた反射光は全反射ミラー119により反射さ
れ、対物レンズ104に基づき一旦空中像123として結像さ
れ、全反射ミラー118、レンズ117、全反射ミラー116、
絞り124、ハーフミラー109、結像レンズ108を経由し
て、二次元イメージセンサ107にリング像i1として結像
される。このリング像i1の結像倍率は、リング像i2
結像倍率よりも大きく設定されている。
【0014】絞り110は、レンズ111、レンズ113によっ
て対物レンズ104の後方焦点位置付近にリレーされ、共
役像125がその対物レンズ104の後方焦点位置に形成さ
れ、第1光路105の光学系は、物側にテレセントリック
である。絞り124はレンズ117によって被検眼103の前方
(対物レンズ104の前方)にリレーされ、ここでは、そ
の共役像(実像)126が被検眼103の前方25mm〜50mmの箇
所に形成される。
【0015】ここで、対物レンズ104と絞り110、124と
の関係を模式的に示す第3図、第4図を参照しつつ説明
する。いま、絞り124の共役像126が形成される光軸O上
での位置を原点Gとして、原点Gから光軸方向に距離L
1だけ離れた箇所に基準位置Yを定める。この基準位置
Yはリング像i1、i2がピンボケしない程度に決める。
そして、この基準位置Yに物体高がhの物体(リング像
iの半径に相当する)を置く。このとき、第2光路106
によって観察面127(二次元イメージセンサ107の位置)
に形成される像高をy1、第1光路105によって観察面12
7に形成される像高をy2とする。次に、この既知の物体
を距離X0だけ移動させ、このときの像高をy1′、
2′とする。また、観察面127から点Zまでの距離をL
1′とし、基準位置Yから点Z′までの距離をL2、絞り
110から観察面127までの距離をL2′とする。さらに、
絞り124の共役像126を点Zにリレーする倍率をβ1,絞
り110を点Z′にリレーする倍率をβ2とする。
【0016】すると、以下の式が得られる。
【0017】 h/L1=y1・β1/L1′ (1) h/(L1+X0)=(y1′・β1)/L1′ (2) h/L2=y2/(β2・L2′) (3) h/(L2+X0)=y2′/(β2・L2′) (4) (1)式、(2)式において倍率β1、距離L1、L1
が定数であるとし、 K1=(β1・L1)/L1′ K2=β1/L1′ と置くと、(1)式、(2)式は、以下の式に変形され
る。
【0018】 h=K1・y1 (1)′ h=K1・y1′+K2・y1′・X0 (2)′ また、(3)式、(4)式において倍率β2、距離L2
2′が定数であるとし、 K3=L2/(L2′・β2) K4=1/(L2′・β2) と置くと、(3)式、(4)式は、以下の式に変形され
る。
【0019】 h=K3・y2 (3)′ h=K3・y2′+K4・y2′・X0 (4)′ ここで、(1)′、(2)′、(3)′、(4)′式を
変形することにより、下記の式が得られる。
【0020】K1=h/y12=(h/y1)・(y1-y1′)/(y1′・X0) K3=h/y24=(h/y2)・(y2-y2′)/(y2′・X0) よって、既知の物体の物体高hとその像高とを実測する
ことによって、定数K1、K2、K3、K4が求められる。
【0021】次に、物体高h、基準位置Yからの距離X
が未知の場合の測定について説明する。
【0022】この場合には、(2)式、(4)式におい
て、距離X0の代わりに距離Xとおく。また、y1′、y
2′をy1、y2と置き換える。
【0023】すると、下記の式が得られる。
【0024】h=K1・y1+K2・y1・X h=K3・y2+K4・y2・X 上記の連立方程式を、距離X、物体高hについて解く
と、 X=(K3・y2-K1・y1)/(K2・y1-K4・y2) h=K1・y1+K2・y1・X =(K2・K3-K1・K4)y1・y2/(K2・y1−K4・y2) (5) 従って、像高y1、y2を測定することによって、基準位
置Yから物体までの距離Xを測定できることになる。
【0025】次に、角膜曲率半径Rとその頂点位置の測
定について図5を参照しつつ説明する。
【0026】図5において、リング像iの半径(楕円近
似した場合の楕円の長径又は短径)を物体高hとする。
このとき、物体高hはメリジオナル光線によって決定さ
れる。リング像の直径が3mm程度であるとすると、角度
φは20°程度となり、下記に記載する近軸計算式を用い
ることができない。
【0027】h=(R・sin φ)/2 そこで、距離L2(図4参照)を充分に大きくとって、
角度φが常に一定となるようにし、物体高hとして絞り
124を通る第2光路106で測定されたものを使用すれば、
下記の反射法則に基づく式を用いることができる。
【0028】h=R・sin(φ/2) 上記式を変形すれば、 R=h/sin(φ/2) (6) 絞り110を通る光線と絞り124を通る光線とが為す角度が
大きくならない程度に距離L1(図3参照)を設定すれ
ば、(5)式によって得られた物体高hを上式(6)に
用いても大きな誤差はないと考えられるから、角膜頂点
120Pの位置は基準位置Yからの距離PXとして、PX
X−(R−h/tanφ)(7)と表わされる。
【0029】この角膜頂点位置の計算式(7)は、球面
の光軸上にリング像が乗っていることが前提であるの
で、球面収差の影響を受けるが、その量はそれ程大きい
とは考えられず、実験値に基づき補正をすることが可能
である。
【0030】なお、図5において、O′は角膜曲率中
心、A1は法線、A2は角膜120を球面とみなした場合の
球面光軸、A3は角膜120への入射光線である。以上の原
理に基づき図2に示す二次元イメージセンサ107上のリ
ング像i1、i2をデータ処理回路128に取り込み、演算
部129においてそのデータを解析することにより、角膜
頂点位置120Pから基準位置Yまでの距離Pxが測定さ
れる。
【0031】次に、干渉光学系101について図6を参照
しつつ説明する。図6は図1の光学系を説明の便宜のた
めに修正して表現したものである。
【0032】干渉光学系101は、レーザー光源としての
レーザーダイオード130、コリメートレンズ131、ビーム
スプリッタ132、レンズ133、ピンホール134、ビームス
プリッタ135、コリメートレンズ136、合焦レンズ137、
コリメートレンズ138、参照ミラー139、ピンホール14
0、レンズ141、ホトセンサ142、ハーフミラー143、基準
ミラー144、参照ミラー145、ホトセンサ146を有する。
レーザーダイオード130には可干渉距離が十分に長いも
ので、波長変化が可能なもの(例えば、単一モードのも
の)を用いる。レーザーダイオード130を出射されたレ
ーザー光はコリメートレンズ131によって平行光束とさ
れ、ビームスプリッタ132に導かれる。ビームスプリッ
タ132は平行光束とされたレーザー光をレンズ133に向か
う光束とハーフミラー143に向かう光束とに分割する。
【0033】ハーフミラー143は基準ミラー144、参照ミ
ラー145と共に、トワイマンタイプの基準干渉光路147を
構成している。ここで、ハーフミラー143の点Q1から基
準ミラー144の点Q2までの光路長をD1、点Q1から参
照ミラー145の点Q3までの光路長をD2とする。
【0034】各ミラー144、145により反射されたレーザ
ー光は、ビームスプリッタ143で合成され、干渉光とし
てビームスプリッタ132を介してホトセンサ146に導かれ
る。ホトセンサ146はその干渉光に基づき干渉信号を出
力し、その干渉信号は増幅器148を介して信号処理回路1
49に入力される。信号処理回路149及び演算部129、制御
回路157の構成とその処理の内容については後述する。
【0035】ハーフミラー132を通過して平行光束とさ
れたレーザー光はレンズ133によってピンホール134に収
束される。ピンホール134は準点光源としての役割を果
たす。ピンホール134を通過したレーザー光は測定光束
としてビームスプリッタ135に導かれる。ビームスプリ
ッタ135は測定光束を分割し、一部をコリメートレンズ1
36に導き、残りをコリメートレンズ138に導く機能を有
する。
【0036】コリメートレンズ138に導かれた測定光束
は平行光束とされ、参照ミラー139により反射されてビ
ームスプリッタ135に戻る。コリメートレンズ136に導か
れた測定光束は合焦レンズ137に導かれる。合焦レンズ1
37は、その光軸方向に移動可能とされ、被検眼103に対
する屈折力補正部としての役割を果たす。合焦レンズ13
7を通過した測定光束はダイクロイックミラー115、対物
レンズ104を経由して被検眼103に導かれる。測定光束
は、後述する屈折力補正を行なうことにより眼底152上
に収束される。眼底152上により反射された測定光束は
反射光束として同一光路をたどって再びビームスプリッ
タ135に戻り、参照ミラー139からの反射光束と合成さ
れ、ピンホール140に導かれる。ピンホール140は眼底15
2と共役位置に配置され、角膜120からの反射光、水晶体
からの反射光等を除去する役割を有する。また、ピンホ
ール140はピンホール134と共役とされているので、被検
眼103に対する装置のアライメントが多少ずれても支障
なく測定が可能である。
【0037】そして、そのピンホール140を通過した光
束はレンズ141によりホトセンサ142に収束される。ホト
センサ142はその干渉光束に基づき干渉信号を出力す
る。その干渉信号は増幅器150を介して信号処理回路149
に入力される。ここに、ビームスプリッタ135、コリメ
ートレンズ136、合焦レンズ137、ダイクロイックミラー
115、対物レンズ104、コリメートレンズ138、参照ミラ
ー139は眼底152からの反射光と参照ミラー139からの反
射光とを干渉させる測定干渉光路151を構成している。
【0038】ここで、ビームスプリッタ135の点Q4から
参照ミラー139の点Q5までの光路長をLrとし、点Q4
から眼底152までの光路長をLtとする。このとき、参
照ミラー139が図7に示すように仮想的に光軸O上の位
置139′にあるものとすると、この位置139′にある参照
ミラー139からの反射光と眼底152からの反射光とが干渉
したものと見ることができ、Lt−Lrは眼底152から
位置139′にある仮想的な参照ミラー139までの空気換算
した光路差である。
【0039】次に、眼軸長の測定原理について説明す
る。
【0040】レーザーダイオード130の波長λを変化さ
せた場合、ホトセンサ146に入射する干渉光の強度は基
準ミラー144により反射された反射光と、参照ミラー145
により反射された反射光との光路差2・(D1−D2)に
対応する位相差によって決定され、ホトセンサ142に形
成される干渉縞の強度は、参照ミラー139により反射さ
れる反射光と眼底152により反射される反射光との光路
差2・(Lt−Lr)に対応する位相差によって決定さ
れる。レーザーダイオード130から出射されるレーザー
光の波長λが一定であれば、ホトセンサ142、146の干渉
縞の強度は一定の値を示す。
【0041】このレーザー光の波長λを後述するレーザ
ー駆動部153によって変化させる。その波長変化量Δλ
とすると、基準干渉光路147のホトセンサ146における波
長変化前のレーザー光束の位相差は、2π・2・(D1
−D2)/λである。ここで、波長λをΔλ変化させた
後の位相差は、2π・2・(D1−D2)/(λ+Δλ)
である。
【0042】従って、波長をΔλだけ変化させると、位
相差が2π・2・(D1−D2)/λから2π・2・(D
1−D2)/(λ+Δλ)に変化することになる。ここ
で、波長λに対して、その波長変化量Δλが極めて小さ
いとすると、波長変化後の位相差は級数展開によって、
2π・2・(D1−D2)・(1/λ+Δλ/λ2)と近
似でき、その位相差の変化量は、2π・2・(D1
2)・Δλ/λ2となる。
【0043】同様に、測定干渉光路151のホトセンサ142
における位相差の変化量は、2π・2・(Lt−Lr)
・Δλ/λ2となる。
【0044】今、ホトセンサ142における位相差の変化
をΨ1、ホトセンサ146における位相差の変化をΨ2とす
ると、 Ψ1=4π・(Lt−Lr)・Δλ/λ2 (A) Ψ2=4π・(D1−D2)・Δλ/λ2 (B) となり、Δλ/λ2を上記式から消去すると、 (Lt−Lr)/(D1−D2)=Ψ1/Ψ2 (C) と表現できる。
【0045】この(C)式は、干渉光の位相差の変化量
の比が、光路長差の比になるため、干渉光の位相差の変
化量の比(Ψ1/Ψ2)を求め、(D1−D2)を既知とす
ることによって、位置139′にある仮想的な参照面139か
ら眼底152までの距離(Lt−Lr)を測定できること
を意味している。
【0046】ここで、波長変化Δλが連続的であるとし
て、一般的な干渉の式について考察する。
【0047】一般的な干渉の式は、 I=I1+I2+2(I1・I21/2・cosδ (D) と表現される。
【0048】このとき、Iはホトセンサ142、146上での
干渉光の強度、I1、I2は互いに干渉する光束の強度、
δは互いに干渉する光束の位相差であり、例えばδは、 δ=4π・(Lt−Lr)・(1/λ−Δλ/λ2) (E) である。
【0049】(D)式に着目して、今、波長λを連続的
に変化させると、位相差δが2π変化するたびに、
(D)式の第3項の値が周期的に変化するので、干渉縞
の強度Iも周期的に変化する。
【0050】ここで、干渉縞の強度変化の周波数は、光
束の位相差の変化を2πで割った値であり、(C)式に
よって得られる(Ψ1/Ψ2)はホトセンサ142、146によ
り得られる干渉縞の強度変化の周波数の比を示してい
る。
【0051】従って、ホトセンサ142、146により得られ
る干渉縞の強度変化の周波数の比を測定すれば、(D1
−D2)を既知として(Lt−Lr)を求めることがで
きる。
【0052】すなわち、図7において、位置139′にあ
る仮想的な参照ミラー139と角膜頂点120Pとの光軸O上
での距離をPx′とすると、このPx′は角膜距離測定
系100を用いて角膜頂点120Pから基準位置Yまでの距離
Pxを検出することによって求めることができる。とい
うのは、基準位置Yと位置139′にある仮想的な参照ミ
ラー139との位置の差ΔPxはあらかじめ設計によって
決めることができるからである。また、(Lt−Lr)
−Px′は、空気換算した眼軸長AL′であり、測定さ
れる眼底152は仮想的に位置152′にあるかのように測定
される。
【0053】従って、角膜距離測定系100を用いて角膜
頂点120Pから基準位置Yまでの距離Pxを検出し、
(Lt−Lr)を測定すれば、空気換算した眼軸長A
L′を求めることができ、眼軸長ALは眼の平均屈折率
をnAとし、 Px′=Px+ΔPx AL =AL′/nA=(Lt−Lr−PX′)/nA として求めることができる。
【0054】次に、レーザー光の波長変調と、ホトセン
サ142、146により得られる干渉縞の強度変化の周波数の
比の測定について、図6、図8、図9を参照しつつ説明
する。
【0055】このレーザー駆動部153は、図9(イ)に
示すパルス電流をレーザーダイオード130に出力する。
このパルス電流の周波数を、心拍の周期に対して十分に
速く設定することによって、測定を高速に行なうことが
でき、心拍による変動の影響を除去できる。
【0056】レーザーダイオード130の温度は、このパ
ルス電流によって変化し、図9(ロ)に示す温度変化曲
線Tを描く。レーザーダイオード130の発振波長は温度
によって変化するため、レーザーダイオード130の発振
波長λも温度変化曲線Tに伴って変化することになる。
この波長変化を測定に使用する。ただし、レーザーダイ
オード130は温度に対して発振波長が一対一の対応関係
が成立する温度領域で使用する必要がある。
【0057】このとき、レーザーダイオード130の温度
変化曲線Tは、時間に対して非線形に変化するため、レ
ーザーダイオード130の発振波長λも同様に時間に対し
て非線形となり、ホトセンサ142、146に受光される干渉
縞の強度変化も時間に対して非線形に変化することにな
り、その干渉信号の周波数に変化が生じる。
【0058】すなわち、図9(ハ)に示すようにホトセ
ンサ142から出力される干渉信号の干渉波形C0は、温度
変化の急激な初期の段階では周波数が高く、温度変化の
緩やかになる後期の段階ではその周波数が低くなる。図
9(ニ)に示すようにホトセンサ146から出力される干
渉信号の干渉波形C1についても同様である。
【0059】ここで、干渉波形C0、C1の周波数は、参
照ミラー139で反射される反射光と眼底152で反射される
反射光との光路差2・(Lt−Lr)と、基準ミラー14
4で反射される反射光と、参照ミラー145で反射される反
射光との光路差2・(D1−D2)に基づいて生じてお
り、(Lt−Lr)に対して(D1−D2)を大きく設定
してあるため、C0の周波数に対してC1の周波数が高く
なっている。
【0060】従って、単純に干渉波形C0、C1の周波数
を比較することができない。そこで、干渉波形C0、C1
の周波数の比K=(D1−D2)/(Lt−Lr)を以下
のようにして検出する。
【0061】この比Kを検出するために、信号処理回路
149は、ホトセンサ146の干渉信号に基づいてホトセンサ
142の干渉信号をサンプリングする構成とされている。
すなわち、信号処理回路149は図8に示すようにトリガ
ー回路154、A/D変換器155、ウエーブメモリ156を有
する。
【0062】このトリガー回路154は制御回路157によっ
て、レーザー駆動部153と同期制御される。トリガー回
路154は、図9(ニ)に示すスライスレベルVsと干渉
波形C1とを比較し、干渉波形C1の一周期毎に、図9
(ホ)に示すタイミング信号C2を生成する。ホトセン
サ142により出力される干渉波形C0は、A/D変換器15
5に入力され、A/D変換器155はトリガー回路154のタ
イミング信号C2に基づき干渉波形C0をA/D変換して
ウエーブメモリ156に出力する。
【0063】このウエーブメモリ156に記憶された干渉
波形C0のデータを等間隔で表示すれば、図9(ヘ)に
示すように一定周期の信号C3(以下、周期波信号とい
う)となり、周期波信号C3の一周期が幾つのデータで
構成されているかを演算部129によって解析することに
より、干渉波形C0、C1の周波数の比としてのKを検出
できる。従って、信号処理回路149はホトセンサ146の出
力信号をタイミング信号として用いて、ホトセンサ142
の出力信号をサンプリングすることになる。
【0064】実際には、干渉波形C0はランダムノイズ
に埋もれており、一波形のみではその波形を検出するこ
とができないが、ウエーブメモリ156に幾つかの波形デ
ータを取り込み、演算部129において平均処理すること
により、干渉波形C0を得ることができる。従って、演
算部129は、干渉波形C0のデータを平均処理するために
も用いられる。
【0065】図9においては、(D1−D2)を(Lt−
Lr)の6倍に設定し、周期波信号C3の一周期が6個
のデータで構成される例を用いたため、K=6である
が、一般的には比Kは端数である。この場合には、周期
波信号C3の一周期分のデータを例えば内挿法によって
求めればよい。また、(D1−D2)を(Lt−Lr)に
対して十分に大きく設計することにより、測定精度を向
上させることが可能である。このためには、基準干渉光
路147の光路差を大きく取る必要があり、例えば基準干
渉光路147に光ファイバーを使用することにより実現で
きる。
【0066】以上の原理に基づく測定を行なうことによ
り、ホトセンサ142、146により得られる干渉縞の強度変
化の周波数の比Kを得ることができ、(Lt−Lr)を
測定することができる。また、角膜距離測定系100によ
って測定された結果と合わせて、眼軸長ALを求めるこ
とができる。
【0067】上述のように、角膜距離測定系100と干渉
光学系101とを用いて、独立して測定を行い、両測定結
果から眼軸長ALを測定することができるが、被検眼10
3の固視微動等を考慮して両測定を同時に行なうことが
望ましい。
【0068】そこで、実際の測定では被検眼103の装置
のアライメント終了後に両測定のデータの取り込みを同
時に行なう。この取り込まれたデータを用いて演算処理
し、眼軸長ALを算出することにより、両測定結果に対
する被検眼103の固視微動等の影響を除去できる。
【0069】ここで、被検眼103に対する装置のアライ
メントは、角膜距離測定系100を用いて角膜120に投影さ
れたリング像i1、i2を図8に示すモニターテレビ170
に映し出して観察することにより行なう。モニターテレ
ビ170には、図2に示すように第1光路105のリング像i
2と第2光路106のリング像i1とが二重リングとなっ
て、被検眼103の前眼部像と共に映し出される。この二
重のリング像が前眼部像の中心に同心円状になるように
装置を移動させれば、装置の光学系と被検眼103の光軸
とを合わせることができ、被検眼に対する装置のアライ
メントがなされる。なお、角膜距離測定系100の光学系
のピント位置を適当に決めておけば、リング像がぼけな
い程度に装置のアライメントを行なうことにより、装置
と角膜の距離を測定誤差の少ない位置に概略合わせるこ
とができる。
【0070】アライメント操作と共に、被検眼103の屈
折力補正を行なう。なお、屈折力補正は、一度被検眼に
対して行えば、再調整する必要はなく、さらに、装置の
アライメントが完全でなくても、概略行なわれていれば
補正を行うことができ、装置のアライメントを困難にす
ることはない。
【0071】この屈折力補正においては、眼底152から
の反射光束は、参照ミラー139からの反射光束と合成さ
れ、干渉信号となるが、参照ミラー139からの反射光束
は一定の光量であるので、干渉信号の振幅量は眼底152
からの反射光の光量によって変化することになる。つま
り、干渉信号の振幅量が最大となったとき、眼底152か
らの反射光が最大となり、被検眼103の屈折力に対する
補正がなされたとすることができる。
【0072】そこで、ホトセンサ142から得られる干渉
信号を観察しつつ合焦レンズ137を光軸方向に移動させ
ることにより、被検眼103に対する屈折力補正を行なう
ことが可能である。
【0073】被検眼103が正視眼でない場合、たとえ
ば、被検眼103が近視のときには、図10に示すように被
検眼103に平行光束として入射した測定光束は眼底152の
手前で収束し、被検眼103が遠視のときには、図11に示
すように眼底152の奥側で収束する。
【0074】すなわち、被検眼103が近視、遠視のとき
は、平行光束として被検眼103に入射する測定光束は眼
底152上で収束せず、ホトセンサ142には、眼底152と共
役位置にあるピンホール140を通過した眼底からの反射
光のみが入射するため、ホトセンサ142に得られる眼底
反射光量は、眼底152上で光束が広がっている分だけ減
少する。
【0075】本実施例においては、合焦レンズ137を
移動させる合焦レンズ移動部200が備えられている。こ
の合焦レンズ移動部200は、屈折力補正に際し、一旦合
焦レンズ137を所定範囲内で移動させ、ピークホールド
回路159からの出力が所定レベル以上、好ましくは最大
となったときの合焦レンズ137の位置を記憶しておき、
その後、合焦レンズ137をその記憶位置に移動させるこ
とで屈折力補正を実行する。
【0076】すなわち、被検眼103が近視のときは、図1
2に示すように、合焦レンズ137をダイクロイックミラー
115に近付ける方向に移動させ、測定光束を発散光束と
し、ホトセンサ142から得られる干渉信号の振幅が最大
になる位置に合焦レンズ137を移動させる。また、逆
に、被検眼103が遠視である場合には、図13に示すよう
に、合焦レンズ137をダイクロイックミラー115から遠ざ
ける方向に移動させ、測定光束を収束光束とすればよ
い。
【0077】この干渉信号の振幅量の検出については、
ホトセンサ142から出力される干渉信号C0(図9(ハ)
参照)の波形そのものを観察する必要はなく、例えば、
ホトセンサ142の増幅器150の出力をLPF158に通して
ランダムノイズの除去を行ない、このランダムノイズが
除去された信号を、ピークホールド回路159に入力し、
ピークホールド回路159のホールド時間をレーザーダイ
オード130を駆動するパルスの周期に対して適当に合わ
せ、レベル表示回路160によりそのピークホールド回路1
59のレベルのみを観察してもよい。また、レベル表示回
路160をモニターテレビ170により兼用すれば、アライメ
ントを行なう際の操作性の向上と時間短縮とを期待でき
る。
【0078】このようにして、干渉信号C0を観察しつ
つ合焦レンズ137を光軸方向に移動させ、干渉信号C0
振幅が最大になる位置に、合焦レンズ137を移動調整
し、測定光束を眼底152上に収束させることによって、
眼底反射光を有効に受光することができるため、眼底位
置の検出が容易となり、眼軸長の測定精度の向上を図る
ことができる。
【0079】次に、測定、演算について、再び図8に示
すブロック図を参照しつつ説明する。
【0080】測定は、装置のアライメントを行うことに
より開始される。モニターテレビ170上に映し出される
前眼部像に二重リング像が同心円状に重なるよう装置全
体を移動させる。
【0081】装置のアライメントを行いつつ、屈折力補
正を行い、干渉信号が最大となるように合焦レンズ137
を移動させ、スタート信号161を制御回路157へ入力す
る。屈折力補正は、自動、手動のいずれで行ってもよ
い。自動的に屈折力補正を行う場合には、合焦レンズ13
7を移動させながら所定のタイミングで干渉信号C0をサ
ンプリングし、この干渉信号C0が最大となったとこ
ろ、又は所定のレベルを越えたときに合焦レンズ137を
停止させてスタート信号161を制御回路157へ入力すれば
よい。
【0082】ここでは、測定は自動的に行なうものとす
る。
【0083】制御回路157はスタート信号161を検出する
と同時に角膜距離測定系100は、データ処理回路128に二
次元イメージセンサ107上に形成されているリング像
1、i2のデータを取り込む。データ処理回路128は、
ゲートアレー162、フレームメモリ163を有し、スタート
信号161の検出瞬間のリング像i1、i2のデータをゲー
トアレー162を介してフレームメモリ163に記憶する。
【0084】同時に、干渉光学系101は、ホトセンサ
146の干渉信号C1をトリガーに使用して、ホトセン
サ142の干渉信号をA/D変換し、ウエーブメモリ1
56に取り込む。
【0085】データの取り込みが終了した後、演算部12
9において、フレームメモリ163及びウエーブメモリ156
の両データを解析、処理し、前述の原理に基づき演算を
行なって眼軸長ALを算出する。測定結果は表示部164
に表示するが、モニターテレビ170で代用しても良い。
【0086】この実施例によれば、二重リング像を用い
て角膜頂点位置を測定するものであるため、角膜の曲率
半径を測定することができ、従って、角膜形状測定装置
(ケラト装置)に兼用できるという効果を奏する。
【0087】
【実施例2】図14はこの発明の実施例2にかかる眼軸長
測定装置を示す。この装置では、角膜頂点位置は実施例
1と同様に角膜距離測定系100により角膜120にリング像
を投影して求め、眼底位置は干渉光学系101によりコヒ
ーレント長の短い光源を用いた干渉光学系により求め、
両測定結果から眼軸長ALを算出する。
【0088】角膜距離測定系100の角膜頂点位置から基
準位置までの距離の測定原理、処理、その構成は第1実
施例と同一であるので、その詳細な説明は省略し、干渉
光学系101についてのみ説明する。
【0089】干渉光学系101はレーザーダイオード130、
レンズ133、ピンホール134、ビームスプリッタ135、レ
ンズ136、合焦レンズ137、コリメートレンズ138、全反
射ミラー172、模型眼ユニット部材173、ピンホール14
0、レンズ141、ホトダイオード142を有する。レーザー
ダイオード130には、可干渉距離が十分に短いもので、
その可干渉距離は、例えば、0.05mm〜0.1mm程度のも
のを使用する。レーザーダイオード130を出射されたレ
ーザー光はレンズ133によってピンホール134に収光され
る。ピンホール134は準点光源としての役割を果たす。
なお、光源としてはレーザーダイオードの代わりにスペ
クトル幅の狭いLEDを用いても良い。
【0090】ピンホール134を通過したレーザー光は、
ビームスプリッタ135によってレンズ136に向かう光束
と、コリメートレンズ138に向かう光束とに分割され
る。レンズ136は、合焦レンズ137、ダイクロイックミラ
ー115と共に測定光路171を構成している。コリメートレ
ンズ138は全反射ミラー172、模型眼ユニット部材173と
共に参照光路174を構成している。
【0091】レンズ136は、ピンホール134を通過したレ
ーザー光をコリメートする役割を果たす。レンズ136に
よってコリメートされたレーザー光は、測定光束として
合焦レンズ137に導かれる。合焦レンズ137は、光軸方向
に移動可能とされ、被検眼103に対する屈折力補正光学
系としての役割を果たす。合焦レンズ137を通過した測
定光束はダイクロイックミラー115、対物レンズ104を経
由して被検眼103に導かれ、後述する屈折力補正を行な
うことにより、眼底152上に収束される。
【0092】合焦レンズ137は、眼底反射光をコリメー
トする機能を果たし、コリメートされた眼底反射光はレ
ンズ136、ビームスプリッタ135を経由してピンホール14
0にリレーされる。ピンホール140は、ピンホール134と
ビームスプリッタ135との反射面に関して共役であり、
ピンホール134と眼底152上のスポット光は共役であるの
で、被検眼に対して測定装置のアライメントが多少ずれ
ても眼底反射光はピンホール140を通過できる。
【0093】レンズ138によってコリメートされたレー
ザー光は、全反射ミラー172によって模型眼ユニット部
材173に導かれる。模型眼ユニット部材173は参照光路の
光路長と測定光路の光路長とが同じになるように光軸方
向に移動可能とされている。この模型眼ユニット部材17
3は、レンズ175、反射ミラー176、可動枠体177から概略
構成されている。この模型眼ユニット部材173は、その
移動に伴って生じるぶれによる反射光束の偏向を解消す
るために用いたものであり、原理的には単なる可動ミラ
ーを用いても構わない。反射ミラー176で反射された参
照光束は、同一光路をたどってビームスプリッタ135を
経由し、測定光束と合成されてピンホール140にリレー
され、そのピンホール140を通過した光束は、レンズ141
によってホトセンサ142に収束される。
【0094】模型眼ユニット部材173を移動させて、参
照光路と測定光路との光路差が、レーザーダイオード13
0のコヒーレント長以下になると、参照光束と測定光束
とが干渉を起こし、模型眼ユニット部材173の移動速度
とレーザーダイオード130の発振波長とに応じた干渉信
号が得られる。干渉波形は、参照光路と測定光路との光
路差が、レーザーダイオード130の発振波長の一波長分
変化するごとに正弦波的に変化し、参照光路と測定光路
との光路長が等しくなったとき、最も強い干渉が得られ
る。つまり、最も強い干渉が得られた時の参照光路の光
路長が、測定光路の光路長に等しく、模型眼ユニット部
材173の反射ミラー176の位置がビームスプリッタ135の
反射面に対して眼底152と光学的に同一の位置になる。
【0095】ホトセンサ142の出力は、図15に示すよう
に増幅器150を介して波形整形回路178に入力され、干渉
信号のピーク位置を検出し、そのピーク時の模型眼ユニ
ット部材173の反射ミラー176の位置から眼底152の位置
を測定することができる。ここで、レーザーダイオード
130のコヒーレント長を0.1mmと仮定すれば、干渉信号
のピーク位置の検出は、コヒーレント長である0.1mmの
数分の一の分解能で決定でき、眼軸長の測定に十分な精
度を得ることができる。
【0096】次に、図14ないし図19を参照しつつ信号処
理の詳細について説明する。
【0097】眼底152からの反射光としての測定光束
は、参照光束に較べて微弱光であり、光量差がある。し
かし、両光束を干渉させて干渉信号として測定するの
で、ホトセンサ142の暗電流に基づくノイズ成分等を除
去することができ、効率よく信号成分を検出することが
できる。そのため、増幅器150は、ホトセンサ142の干渉
信号の交流成分のみを増幅する。
【0098】このとき得られる干渉信号C4は、図16に
示すように0Vを中心とした交流波形となるが、ショッ
トノイズ等のランダムノイズに埋もれているため、その
ままでは、干渉信号C4が得られたときの模型眼ユニッ
ト部材173の位置を検出することが困難である。しか
し、干渉信号C4の周波数fは、模型眼ユニット部材173
の移動速度Vと、レーザーダイオード130の発振波長λ0
によって次の式により決まる。
【0099】f=2・V/λ0 ここで、模型眼ユニット部材173の移動量を適当にとれ
ば、測定中の移動速度Vは一定と考えて良く、周波数f
を装置定数とすることができる。従って、干渉信号C4
を上式の周波数fに合わせたバンドパスフィルタ(BP
F)に通すことにより、ランダムノイズから信号成分の
みを抽出することができる。
【0100】模型眼ユニット部材173の反射ミラー176の
位置Xを横軸にとり、ホトセンサ142の出力電圧を縦軸
にとると、バンドパスフィルタ179から干渉信号C4が得
られる。干渉信号C4は全波整流回路180に入力され、図
17に示す整流波形C5に整形される。その整流波形C
5は、平滑回路181に入力され、図18に示す平滑波形C6
とされる。
【0101】平滑波形C6はピークホールド回路182を介
して比較回路183に入力されると共に、直接比較回路183
に入力される。ピークホールド回路182は、平滑波形C6
よりもΔVだけ低い電圧をピーク電圧として保持して出
力する。従って、ピークホールド回路182は図19に示す
ような波形C7を出力する。比較回路183は、波形C6
波形C7とを比較し、波形C7が波形C6よりも大きくな
った位置X0で、出力がLからHになり、ステップ信号
8を出力することになる。
【0102】ここで、ΔVが平滑波形C6の出力ピーク
レベルVに対して十分に小さければ、比較回路183の出
力信号の反転する位置X0の本来のピーク位置Xpとの
ずれ量としてのdを十分に小さいと考えて良く、比較回
路183の出力信号が反転するときの模型眼ユニット部材1
73の位置X0を干渉が最も強く生じているときの模型眼
ユニット部材173の位置(干渉信号がピークのときの模
型眼ユニット部材173の位置)として良い。
【0103】比較回路183の出力信号は、ラッチ回路18
4、制御回路157に入力される。模型眼ユニット部材173
は、ユニット駆動部185により駆動され、位置検出回路1
86でその位置データを検出可能な構成とされている。ラ
ッチ回路184は、模型眼ユニット部材173の移動量を表わ
す位置検出回路186の位置データをラッチする。
【0104】位置検出回路186は、例えばユニット駆動
部185のモータの回転に伴ってパルス列を出力するエン
コーダの出力信号をカウントし、そのカウント数から模
型眼ユニット部材173の移動量を検出する構成とすれば
良い。また、模型眼ユニット部材173に直接セットされ
たリニアエンコーダの出力信号をカウントしても良い。
【0105】従って、ラッチ回路184は、干渉信号C4
最も強く干渉が現われたときの模型眼ユニット部材173
の位置データを保存する。その位置データは演算部129
に入力され、基準位置Yから眼底152までの距離が測定
される。また、第1実施例で説明したように、角膜距離
測定系100により、基準位置から角膜頂点120Pまでの距
離を測定することが可能なため、両測定結果から眼軸長
を測定することができる。測定結果は表示部164に表示
される。
【0106】ここで、被検眼103の微動の影響を除去す
るために、両測定が同時に行なわれる必要があるが、比
較回路183の出力信号を角膜距離測定系100のスタート信
号として使用し、制御回路157がスタート信号を検出す
ると同時に、二次元イメージセンサ107のリング像i1
2のデータをフレームメモリ163に取り込むことにより
同時測定を行なうことができる。
【0107】バンドパスフィルタ179、全波整流回路18
0、平滑回路181、ピークホールド回路182、比較回路183
を有する波形整形回路178は、角膜距離測定系100のスタ
ート信号生成部としての機能を果たす。
【0108】次に、屈折力補正について説明する。
【0109】眼底152からの反射光としての測定光束
は、模型眼ユニット部材173からの反射光としての参照
光束に較べて微弱光であるので、両光束を合成したまま
ではそのレベル変化を確認できない。そこで、屈折力補
正の際には、図14に示すように参照光がホトセンサ142
に戻らないように遮光板187を参照光路147中に挿入し、
測定光束のみによる眼底152からの反射光をホトセンサ1
42により受光する。
【0110】測定光束による眼底152からの反射光のみ
をホトセンサ142で受光し、その出力信号を観察しつつ
合焦レンズ137を光軸方向に移動させ、出力信号のレベ
ルが最大になるときの合焦レンズ137の位置、すなわ
ち、眼底反射光が最大になるときの合焦レンズ137の位
置に、合焦レンズ137を移動調整することによって、眼
底152からの反射光を有効に受光することができる。す
なわち、眼底反射光が最大になったときを、被検眼103
の屈折力に対する補正がなされたときとすることができ
る。
【0111】しかし、増幅器150はホトセンサ142の出力
信号の交流成分のみを増幅する構成であるので、このま
までは眼底反射光の光量を検知することができない。そ
こで、屈折力補正を行なうアライメント時にのみレーザ
ー光源をレーザー駆動部153によりパルス駆動し、眼底
反射光を交流成分として検出する方法を採用した。
【0112】この方法によれば、ホトセンサ142の構成
を変更することなく簡単に眼底反射光量のみを検出する
ことができる。さらに、パルス駆動する周波数を、バン
ドパスフィルタ(BPF)179の周波数fに合わせるこ
とにより効率よくその信号成分を検出することができ
る。
【0113】ホトセンサ142の出力信号は、増幅器150を
介してバンドパスフィルタ(BPF)179に入力され、
整流・平滑され、ピークホールド回路182に入力されて
いる。ピークホールド回路182のホールド時間を適当な
値に設定すれば、ピークホールド回路182の出力信号を
そのままレベル表示回路160で表示し、そのレベルが最
大になるように屈折力補正を行なえば良い。
【0114】第1実施例と同様に上述の操作を合焦レン
ズ移動制御部に行わせることももちろん可能である。
【0115】このように、レベル表示回路160によって
眼底反射光量をモニターすることができ、眼底反射光量
が最大になる合焦レンズ137の位置を検知できる。ま
た、遮光板187を参照光路174中に挿入したときにのみ、
レーザー光源をレーザー駆動部153によりパルス駆動す
るようにすれば、アライメント時の操作が単純となり、
調整時間の短縮、誤使用の防止にもなる。
【0116】また、図15に示すレベル表示回路160、表
示部164をモニターテレビ170に兼用すれば、アライメン
ト操作の簡易化と時間短縮等を達成できる。
【0117】第1及び第2実施例では、角膜頂点位置を
幾何光学的原理を用いる角膜距離測定系により求め、
底位置を物理光学的原理を用いる別個の干渉光学系によ
り求めるものとして説明した。
【0118】しかし、本発明はこれに限定されるもので
はなく、他の方式、例えば眼底と角膜とのそれぞれの反
射光を干渉させて眼軸長を求める眼軸長測定装置(特願
平3−90877号「眼軸長測定方法とその装置」)の
ように眼底に光を照射し、その反射光を検出して測定す
る方式の装置であれば、適用することができる。
【0119】
【効果】本発明に係わる屈折力補正機能付生体眼寸法測
定装置は、以上説明したように測定に用いる受光器の受
光信号を参照して屈折力を補正できるため、視度補正に
専用の検出手段を設けなくとも、測定光束を適正に眼内
測定対象物に収束させることができ、反射光量を確保し
て正確に寸法を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1に係わる眼軸長測定装置を
示す光学図である。
【図2】 図1の二次元イメージセンサに形成されるリ
ング像を示す図である。
【図3】 図3は図1に示す角膜距離測定光学系の作用
を模式的に説明するための説明図である。
【図4】 図4は図3と同様に角膜距離測定光学系の作
用を模式的に説明するための説明図である。
【図5】 角膜頂点位置検出を説明するための説明図で
ある。
【図6】 図1に示す干渉光学系の作用を説明するため
の図である。
【図7】 角膜頂点位置と眼底位置とに基づき眼軸長を
求めるための説明図である。
【図8】 実施例1の眼軸長測定装置の信号処理回路の
ブロック図である。
【図9】 その信号処理回路の作用を説明するためのタ
イミングチャートである。
【図10】 被検眼が近視の場合の測定光束の収束状態
を説明するための図である。
【図11】 被検眼が遠視の場合の測定光束の収束状態
を説明するための図である。
【図12】 被検眼が近視の場合の屈折力補正を説明す
るための図である。
【図13】 被検眼が遠視の場合の屈折力補正を説明す
るための図である。
【図14】 本発明の実施例2に係わる眼軸長測定装置
を示す光学図である。
【図15】 図14の第2実施例の信号処理回路のブロッ
ク図である。
【図16】 図14に示すホトセンサから出力される干渉
波形の説明図である。
【図17】 図16に示す干渉波形を整流した整流波形図
である。
【図18】 図17に示す整流波形の平滑波形を示す図で
ある。
【図19】 図15に示す比較回路の作用を説明するため
の説明図である。
【符号の説明】
100…角膜距離測定系 101…干渉光学系 120…角膜 120P…角膜頂点 130…レーザー光源 137…合焦レンズ(屈折力補正部) 152…眼底

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 幾何光学的原理を利用して角膜頂点位置
    を測定する角膜距離測定系と物理光学的原理を利用して
    眼内測定対象物の位置を測定する干渉光学系とを備え、
    角膜頂点位置から眼内測定対象物位置までの長さを測定
    する生体眼寸法測定装置であって、 前記干渉光学系から出射されて被検眼に入射する測定光
    束が眼内測定対象物に収束するように、かつ、眼内測定
    対象物からの反射光束が前記干渉光学系から出射された
    測定光束の光路と同一光路をたどって参照ミラーからの
    反射光束と合成されて受光部に入射するように、受光信
    号の振幅に基づき該測定光束を発散・収束させる屈折力
    補正部が設けられていることを特徴とする屈折力補正機
    能付生体眼寸法測定装置。
  2. 【請求項2】 前記干渉光学系は、測定光源として可干
    渉距離が長くかつ波長変化が可能なレーザー光源を有す
    ることを特徴とする請求項1に記載の屈折力補正機能付
    生体眼寸法測定装置。
  3. 【請求項3】 前記干渉光学系は、光軸方向に移動可能
    な参照用ミラーを含み、さらに測定光源として可干渉距
    離が十分に短い光源と、光路長を変化させることのでき
    る参照光路とを有することを特徴とする請求項1に記載
    の屈折力補正機能付生体眼寸法測定装置。
  4. 【請求項4】 前記屈折力補正部は、眼内測定対象物か
    らの反射光量が最大又は、所定レベル以上になるように
    屈折力補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の屈
    折力補正機能付生体眼寸法測定装置。
  5. 【請求項5】 前記屈折力補正部は、干渉信号に基づき
    屈折力補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の屈
    折力補正機能付生体眼寸法測定装置。
  6. 【請求項6】 前記屈折力補正部は、干渉信号の振幅が
    最大となるように屈折力補正を行うことを特徴とする請
    求項1に記載の屈折力補正機能付生体眼寸法測定装置。
  7. 【請求項7】 屈折力補正時のみ測定光源をパルス駆動
    して測定光を被検眼に照射し、眼内測定対象物により反
    射された測定光を受光して、その受光信号の振幅が最大
    になるように屈折力補正を行うことを特徴とする請求項
    3に記載の屈折力補正機能付生体眼寸法測定装置。
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