JP3274933B2 - ポリオレフィン系樹脂組成物の製法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂組成物の製法

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JP3274933B2
JP3274933B2 JP11861094A JP11861094A JP3274933B2 JP 3274933 B2 JP3274933 B2 JP 3274933B2 JP 11861094 A JP11861094 A JP 11861094A JP 11861094 A JP11861094 A JP 11861094A JP 3274933 B2 JP3274933 B2 JP 3274933B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィン系樹脂
組成物の製法に関する。さらに詳しくは、ポリテトラフ
ルオロエチレン、分散媒パウダーからなるマスターバッ
チとポリオレフィンとを、および要すれば造核剤、また
は無機充填剤とをさらに混合してなる加工性、表面性、
透明性などの良好なるポリオレフィン系樹脂組成物の製
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリオレフィンは、安価で、物理
的特性にすぐれているため、各種成形体などに広く利用
されている。
【0003】しかしながら、たとえばポリプロピレンに
は、溶融時の粘度および張力が低いため、シートの真空
成形性(以下、熱成形性という)、カレンダー成形性、
ブロー成形性、発泡成形性などの加工性が劣るなどの欠
点を有している。
【0004】前記ポリプロピレンの加工性を改良する目
的で、一般にポリエチレンなどが機械的に混合されてい
るが、加工性の改良効果が不充分であるため、多量のポ
リエチレンが必要とされ、えられる混合物の剛性が低下
するという欠点がある。また、ポリプロピレンの分子量
を大きくすることにより、その溶融時の粘度および張力
を改良する試みが行なわれているが、分子量が大きいポ
リプロピレンは、その重要な加工法の1つである押出成
形が困難であるという大きな問題がある。
【0005】また、ポリエチレンに未架橋のアクリル系
重合体を添加し、その加工性を改良することが提案され
ているが(米国特許第4156703号明細書)、両者
の相溶性が不充分であり、またアクリル系重合体が未架
橋であるため、カレンダー成形時、押出成形時などに、
該アクリル系重合体がポリエチレンから分離し、カレン
ダーのロール面、押出機のダイス面などに付着し(以
下、このことをプレートアウトという)、かえって加工
性や特性が低下するという問題がある。
【0006】また、前記ポリオレフィン本来の低剛性、
また、ポリエチレンなどの添加による剛性低下を改良す
る目的で、無機充填剤などの添加が行なわれているが、
ポリオレフィンとの相溶性が低く、分散不良により、成
形体、たとえば押出シートの表面性が著しく低下すると
いった欠点を有している。
【0007】従来、ポリ塩化ビニル系樹脂などにおいて
耐衝撃性の改良剤として広く用いられているコアーシェ
ル型の変性剤は、あらかじめ設定した粒子径のゴム成分
(コア層)を効率よく分散させることができ、剛性の低
下をおさえて耐衝撃性を改良することができるものであ
る。しかしながら、非極性であるポリオレフィンに対し
ては、該コアーシェル型の変性剤は、相溶性が小さく、
ほとんど使用することができないという問題がある。
【0008】そこで、ポリオレフィンに、特定の相溶化
剤の存在下で前記コアーシェル型の変性剤を添加するこ
とが提案されているが(特開平3−185037号公
報、米国特許第4997884号明細書)、前記相溶化
剤の合成工程が複雑であり、該相溶化剤の使用によるコ
ストアップや、系が複雑になるなどの問題がある。
【0009】また、熱可塑性樹脂に繊維状ポリテトラフ
ルオロエチレンを添加し、溶融粘度を増加させ、加工性
を改良しようとする試みがなされているが(米国特許3
005795号明細書)、マトリックスである熱可塑性
樹脂へのポリテトラフルオロエチレンの分散が悪く、成
形体、たとえば押し出しシートの表面性が著しく低下す
るといった欠点を有している。
【0010】このように、すぐれた加工性、表面性など
の充分すぐれたポリオレフィン系樹脂組成物はいまだえ
られていないのが実状であり、かかるポリオレフィン系
樹脂組成物の開発が待ち望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、すぐれた加
工性および表面性を同時に呈する、ポリテトラフルオロ
エチレンおよびポリオレフィンからなるポリオレフィン
系樹脂組成物の製法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリオレフィ
ン(A)100重量部に、ポリテトラフルオロエチレン
(B)0.001〜10重量部を添加するに際し、ポリ
テトラフルオロエチレン(B)および0.1〜700ミ
クロンの平均粒径を有する分散媒パウダー(C)0.0
02〜100重量部を、該分散媒パウダー(C)とポリ
テトラフルオロエチレン(B)との比率(C)/(B)
が100/50〜100/0.001となる範囲で予め
高剪断下で混合し、ポリテトラフルオロエチレン(B)
を繊維化してマスターバッチを作製し、該マスターバッ
チとポリオレフィン(A)とを混合することを特徴とす
るポリオレフィン系樹脂組成物の製法に関する。
【0013】
【作用および実施例】本発明は、ポリオレフィン(A)
100部(重量部、以下同様)にポリテトラフルオロエ
チレン(B)0.001〜10部を添加する際の製法に
関する。
【0014】本発明の製法に用いるポリオレフィン
(A)は、本発明の製法でえられるポリオレフィン系樹
脂組成物(以下、PO組成物ともいう)において基材樹
脂として作用する成分である。基材樹脂としてポリオレ
フィンを使用するため、本発明の組成物をカレンダー成
形法、押出成形法、熱成形法、ブロー成形法、射出成形
法などの簡単かつ一般的な方法で成形することができ、
しかも、えられる成形品がすぐれた加工性、耐衝撃性、
剛性、表面性という特性を有するものになる。
【0015】ポリオレフィン(A)としては、メルトフ
ローインデックス(ASTM D1238に準じて荷重
2.16kgで、10分間に落下する溶融ポリマーのグ
ラム数を測定した値である。なお、プロピレン系ポリオ
レフィンでは230℃、エチレン系ポリオレフィンでは
190℃での値である)(以下、MIともいう)が10
以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは2.5以下
のものが溶融張力が高く加工性がすぐれており、またマ
スターバッチ、無機充填剤などとの混練、分散性がよ
く、本発明の効果の発現の点から好ましい。
【0016】前記ポリオレフィン(A)の具体例として
は、たとえばポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低
密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリ−1
−ブテン、ポリイソブチレン、プロピレンとエチレンお
よび(または)1−ブテンとのあらゆる比率でのランダ
ムまたはブロック共重合体、エチレンとプロピレンとの
あらゆる比率においてジエン成分が10%(重量%、以
下同様)以下含まれるエチレン−プロピレン−ジエン三
元共重合体、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエン
とエチレンまたはプロピレンとの共重合体およびその他
の環状ポリオレフィン、エチレンまたはプロピレンと5
0%以下のたとえば酢酸ビニル、メタクリル酸アルキル
エステル、アクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル
などのビニル化合物などとのランダム、ブロックまたは
グラフト共重合体などがあげられる。
【0017】これらは単独でまたは2種以上を混合して
用いることができる。
【0018】前記ポリオレフィン(A)のうちでは、前
記プロピレンを50%以上、さらには75%以上含有す
る単量体成分を重合してえられたプロピレン系ポリオレ
フィンまたは前記プロピレンを50%以上含有するプロ
ピレン系ポリオレフィン100部と、前記エチレンを5
0%以上含有するエチレン系ポリオレフィン0.1〜1
00部の混合物が、溶融張力が高く加工性がすぐれてお
り、またマスターバッチ、無機充填剤などとの混練、分
散性がよく、本発明の効果の発現の点から好ましい。
【0019】さらに前記ポリオレフィン(A)のうちで
は、ポリオレフィン(A)が、ポリプロピレン、エチレ
ンプロピレンランダム共重合体およびエチレンプロピレ
ンブロック共重合体から選ばれた少なくとも一種である
ばあいには、汎用性があり低コストである点から好まし
く、またポリオレフィン(A)が、ポリプロピレン、エ
チレンプロピレンランダム共重合体およびエチレンプロ
ピレンブロック共重合体から選ばれた少なくとも一種か
らなるプロピレン系ポリオレフィン100部と、低密度
ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンおよび高密度ポ
リエチレンから選ばれた少なくとも一種からなるエチレ
ン系ポリオレフィン0.1〜100部との混合物である
ばあいには、同様に汎用性があり低コストであるととも
に溶融張力が高く加工性がすぐれている点から好まし
い。
【0020】本発明の製法には、前記ポリオレフィン
(A)とともに、ポリテトラフルオロエチレン(以下、
PTFE(B)ともいう)が使用される。PTFE
(B)は、ポリオレフィン(A)を改質し、本発明の製
法でえられたPO組成物の加工性などを改良するための
成分である。
【0021】PTFE(B)は、剪断力を加えることに
より繊維化されるものであればとくに限定されないが、
たとえば乳化重合法などによりえられる高分子量のポリ
テトラフルオロエチレンの乳化分散体を凝集させて製造
したパウダー、懸濁重合法などによりえられる高分子量
のポリテトラフルオロエチレンから製造したパウダーな
どがあげられる。
【0022】なお、それらのなかでも乳化重合法などに
よりえられる高分子量のポリテトラフルオロエチレンの
乳化分散体を凝集させて製造したパウダーが、剪断力に
より繊維化されやすいという点から好ましい。なお、ポ
リテトラフルオロエチレンのパウダーであっても、合成
方法などの違いにより繊維状にならないものは溶融時の
張力増大などによる加工性の改良などの効果を発現しな
いため本発明には使用されない。
【0023】またPTFE(B)の平均粒径は前記分散
媒パウダー(C)とのマスターバッチ化による混合、分
散の点から100〜700ミクロン、好ましくは300
〜600ミクロン、さらに好ましくは400〜500ミ
クロンが好ましい。
【0024】繊維状PTFE(B)をえるための市販の
原料としては、ダイキン工業(株)製のポリフロンTF
E−F103、F104、三井デュポン(株)製のテフ
ロンTFE−6J、6C−Jなどが代表例としてあげら
れる。
【0025】本発明においてPTFE(B)は、ポリオ
レフィン(A)100部に対して0.001〜10部含
まれる。PTFE(B)が0.001部未満のばあいに
は、加工性の改良効果が充分ではなく、10部をこえた
ばあいには低コストなどの汎用性を損う。この点からP
TFE(B)の含有量は0.005〜5部、さらには
0.005〜3部の範囲であることが好ましい。
【0026】前記ポリオレフィン(A)にPTFE
(B)を添加するに際し、本発明の製法は、PTFE
(B)および0.1〜700ミクロンの平均粒径を有す
る分散媒パウダー(C)0.002〜100部を、該分
散媒パウダー(C)とPTFE(B)との比率(C)/
(B)が100/50〜100/0.001となる範囲
で予め高剪断下で混合し、PTFE(B)を繊維化して
マスターバッチを作製し、該マスターバッチとポリオレ
フィン(A)とを混合することを特徴とするものであ
る。
【0027】分散媒パウダー(C)は、ポリテトラフル
オロエチレンを効果的に分散、繊維化させることによ
り、また自らもポリオレフィン(A)を改質し、本発明
の製法でえられたPO組成物からえられる成形品の表面
性などを改良するとともに、加工性などを改良するため
の成分である。
【0028】分散媒パウダー(C)は前記の役割をはた
すものであればとくに限定されるものではないが、たと
えばコアシェルグラフト共重合体、ポリオレフィンパウ
ダー、無機物系パウダー、有機物系パウダーなどがあり
これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることが
できる。前記分散媒パウダーのなかでもポリテトラフル
オロエチレンの分散性、えられた成形品の耐衝撃性など
の点からコアシェルグラフト共重合体が、分散媒パウダ
ー(C)自体のポリオレフィン(A)への分散性および
低コストなどの点からポリオレフィンパウダーが好まし
い。
【0029】前記分散媒パウダー(C)は平均粒径が
0.1〜700ミクロンであり、平均粒径が0.1ミク
ロン未満または700ミクロンをこえるばあいには、ポ
リテトラフルオロエチレンが充分に繊維化されず、えら
れたPO組成物からの成形体にポリテトラフルオロエレ
チンの塊が残り、表面性が悪化する。また加工性の改良
効果も不充分である。前記観点により、該平均粒径の最
小値が50ミクロン、さらには100ミクロンであるこ
とが、また最大値が500ミクロン、さらには300ミ
クロンであることが好ましい。
【0030】分散媒パウダー(C)の平均粒径は、異な
る6サイズ程度のタイラーメッシュをメッシュサイズの
大きい順に積み重ね、これに界面活性剤を用いて水に分
散させたパウダーを流し、各メッシュに溜ったパウダー
の重量比から粒度線図により算出するが、この他の一般
的なパウダーの測定方法からも測定できる。
【0031】分散媒パウダー(C)の平均粒径を0.1
〜700ミクロンとする方法は特に問わないが、一般に
は、凝集、粉砕、ふるい分けなどのパウダーの粒径コン
トロールの方法はすべて使用できる。たとえば、コアシ
ェルグラフト共重合体のばあい、凝集方法によりパウダ
ー粒径をコントロールすることができる。ポリオレフィ
ンパウダーのばあい、重合時の粒径コントロールや冷凍
粉砕時の条件で好適な粒子径のパウダーをうることがで
きる。無機物系パウダーのばあい、粉砕、ふるい分けな
どの方法がある。
【0032】また、前記分散媒パウダー(C)は、PO
組成物の透明性を改良するという観点から、分散媒パウ
ダー(C)の屈折率が、ポリオレフィン(A)の屈折率
と実質的に同一となるように選択されるのが好ましい。
【0033】前記屈折率が実質的に同一であるとは、屈
折率の差が0.02以下のことであるが、0.01以
下、さらには0.005以下であるのがPO組成物の透
明性の低下をおさえる点から好ましい。
【0034】また、ここでいう屈折率とは、ポリマーハ
ンドブック第3版(ジョン・ウィリー・アンド・サンズ
社(John Wiley & Sons.Inc.)1989)などに記載さ
れており、共重合体の屈折率は、それぞれの単量体の重
量分率で比例計算した値が用いられる。
【0035】本発明に用いるコアシェル重合体(以下、
コアシェル体ともいう)は、PTFE(B)を効果的に
分散、繊維化させることにより、また自らもポリオレフ
ィン(A)を改質し、本発明の製法でえられたPO組成
物からえられる成形体の耐衝撃性、表面性などを改良す
ると共に、加工性などを改良するために用いる成分であ
る。
【0036】前記コアシェル体は、コア層を形成する架
橋ゴム状重合体の存在下に、シェル成分をグラフト共重
合してえられたものをいうが、ポリオレフィン、ポリ塩
化ビニルなどの耐衝撃性の改良に一般に用いられるもの
でよい。前記コアシェル体のなかでもえられるPO組成
物からなる成形体の熱着色の点からポリオレフィン
(A)の成型加工温度において熱劣化しないものが好ま
しい。
【0037】コアシェル体のパウダーはその凝集時に粒
径のコトロールが可能であり、本発明に適する前記粒径
のパウダーをうることが容易である。市販のコアシェル
型モディファイヤーとしては、鐘淵化学工業(株)製の
商品名:カネエースB、カネエースM、カネエースFM
などが好ましいものとしてあげられる。
【0038】本発明では、とくに屈折率がポリオレフィ
ン(A)の屈折率と実質的に同一であるものが、PO組
成物の透明性を改良するという点から好ましく使用され
る。このばあい、コアとなる架橋ゴム状重合体およびシ
ェルとなるグラフトの単量体は、コアシェルグラフト共
重合体の屈折率がポリオレフィン(A)と実質的に同一
となるように選択し、合成される。
【0039】たとえばポリプロピレンの屈折率と実質的
に同一であるコアシェルグラフト共重合体としては、乳
化重合法によりえられた架橋ポリブタジエンゴム50部
にメタクリル酸メチル50部をグラフト共重合させたも
のや、アクリル酸n−ブチル70%およびスチレン30
%に対してメタクリル酸アリル1%を加えた単量体を乳
化重合させてえられた架橋アクリル系ゴム70部に、メ
タクリル酸メチル27部およびスチレン3部からなる単
量体成分をグラフト共重合させたものなどがあげられ
る。
【0040】本発明に用いるポリオレフィンパウダー
は、PTFE(B)を効果的に分散、繊維化させること
により、また自らもポリオレフィン(A)を改質し、本
発明の製法でえられたPO組成物からえられる成形体の
表面性などを改良すると共に、加工性などを改良するた
めに用いる成分である。
【0041】前記ポリオレフィンパウダーの具体例とし
ては、たとえばポリプロピレン、高密度ポリエチレン、
低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリ−
1−ブテン、ポリイソブチレン、プロピレンとエチレン
および(または)1−ブテンとのあらゆる比率でのラン
ダムまたはブロック共重合体、エチレンとプロピレンと
のあらゆる比率においてジエン成分が10%以下含まれ
るエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリメ
チルペンテン、シクロペンタジエンとエチレンまたはプ
ロピレンとの共重合体およびその他の環状ポリオレフィ
ン、エチレンまたはプロピレンと50%以下のたとえば
酢酸ビニル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル
酸アルキルエステル、芳香族ビニルなどのビニル化合物
などのランダム、ブロックまたはグラフト共重合体など
があげられる。
【0042】これらは単独でまたは2種以上を混合して
用いることができる。
【0043】前記ポリオレフィンパウダーのうちでは、
前記プロピレンを50%以上含有する単量体成分を重合
してえられたプロピレン系ポリオレフィンが、汎用性が
あり低コストである点から好ましい。
【0044】また前記プロピレンを50%以上含有する
プロピレン系ポリオレフィン100部と、前記エチレン
を50%以上含有するエチレン系ポリオレフィン0.1
〜100部の混合物が、同様に汎用性があり低コストで
ある点から好ましい。
【0045】ポリオレフィンパウダーは、それを用いて
えられたマスターバッチとポリオレイン(A)との混合
が容易にできることが好ましい。混合が容易にできない
ばあい、成形体に異物が残り表面性、透明性を悪化させ
る傾向がある。混合が容易にできるためには、ポリオレ
フィンパウダーとポリオレフィン(A)は同程度のメル
トフローインデックスを有するものが好ましい。
【0046】さらには、ポリオレフィンパウダーとポリ
オレフィン(A)とが実質的に同一組成を有するものが
好ましい。本発明では、とくに屈折率がポリオレフィン
(A)の屈折率と実質的に同一であるものがPO組成物
の透明性を改良するという点から好ましく使用される。
【0047】なお、代表的なポリオレフィン(A)の屈
折率は、ポリプロピレン(1.503)、高密度ポリエ
チレン(1.545)、低密度ポリエチレン(1.5
1)、線状低密度ポリエチレン(1.52)、ポリ−1
−ブテン(1.5125)、ポリメチルペンテン(1.
459〜1.465)である。
【0048】本発明に用いる無機物系パウダーは、PT
FE(B)を効果的に分散、繊維化させることにより、
また自らもポリオレフィン(A)を改質し、本発明の製
法でえられたPO組成物からえられる成形体の剛性、表
面性などを改良するとともに、加工性などを改良するた
めの成分である。
【0049】本発明に用いる無機物系パウダーの具体例
としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、
タルク、ガラス繊維、炭酸マグネシウム、マイカ、カリ
オン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタンホワイ
ト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、水酸化アル
ニミウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、溶
融シリカなどがあげられ、これらは単独または2種以上
を混合して用いることができる。これらの中では、入手
しやすいという点から重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カ
ルシウムまたはタルクなどが好ましい。
【0050】本発明に用いる有機物系パウダーとして
は、スチレンとブタジエンのブロックまたはランダム共
重合体などに代表される熱可塑性エラストマーおよびそ
れらの水添物、ポリブタジエンなどに代表される架橋エ
ラストマーおよびその水添物などが代表例としてあげら
れる。これらのなかで、ポリオレフィン(A)とある程
度の相溶性を有するもので、該パウダーの平均粒子径が
本発明の範囲に入るものおよび該範囲に入るように凍結
粉砕されたものであることが好ましい。
【0051】前記分散媒パウダー(C)とPTFE
(B)との比率(C)/(B)は100/50〜100
/0.001となる範囲である。該比率が100/50
未満のばあいには、PTFE(B)の繊維化が充分に行
なわれず、PTFE(B)のポリオレフィン(A)への
分散がわるく、加工性の改良効果が減少する。また該比
率が100/0.001をこえるばあいには、たとえば
ポリオレフィン(A)100部に分散媒パウダー(C)
を100部配合しても、PTFE(B)の部数が0.0
01部より少なくなり、加工性の改良効果が不充分とな
る。前記観点から該比率(C)/(B)は、好ましくは
100/40以上、さらに好ましくは100/30以上
であり、好ましくは100/0.005以下、さらに好
ましくは100/0.01以下である。
【0052】本発明において分散媒パウダー(C)は、
ポリオレフィン(A)100部に対して0.002〜1
00部用いられる。分散媒パウダー(C)が100部を
こえたばあいにはポリオレフィン本来の耐熱性、剛性な
どの特性を損ない、0.002部未満のばあいにはPT
FE(B)を効果的に分散、繊維化することができな
い。この点から、分散媒パウダー(C)の使用量は0.
025〜70部、さらには0.025〜50部の範囲で
あることが好ましい。
【0053】なお、分散媒パウダー(C)およびPTF
E(B)の使用量は前記比率(C)/(B)を満足し、
さらには前記それぞれの使用量および好ましい使用量な
どを満足するように調整して用いられる。
【0054】本発明でいう予め高剪断下で混合し、PT
FE(B)を繊維化してマスターバッチを作製すると
は、たとえば分散媒パウダー(C)およびPTFE
(B)をヘンシェルミキサーその他の一般的な撹拌機を
用いて撹拌するなどのパウダー混合法により、予め剪断
力を加えてPTFE(B)を分散、繊維化することをい
う。
【0055】また他の方法としては、共重合体(B)と
PTFE(B)を単軸押出機、二軸押出機またはロール
混練機などで溶融混練するなどの溶融混練法により、P
TFE(B)に予め剪断力を加えてPTFE(B)を分
散、繊維化することをいう。
【0056】PTFE(B)が繊維化しているとは、P
TFE(B)が繊維状となっていればとくに限定されな
いが、たとえばマスターバッチ中において、PTFE
(B)の繊維径は、効率よくネットワーク構造をとると
いう点から好ましくは約2ミクロン以下、さらに好まし
くは約1ミクロン以下、またさらに好ましくは約0.5
ミクロン以下である。繊維長は、ネットワーク構造をと
るため一概にはいえないが、溶融時の張力増大による加
工性の改良効果という点から好ましくは約3ミクロン以
上、さらに好ましくは5ミクロン以上、またさらに好ま
しくは約10ミクロン以上である。
【0057】パウダー混合法によったばあいは、低コス
トであるという効果があり、溶融混練法によったばあい
は、マスターバッチがペレット状でえられるなどの効果
がある。
【0058】前記の撹拌機ないし混合機のなかではヘン
シェルミキサーが好ましい。
【0059】パウダー混合法によってマスターバッチを
作成する際の操作条件としては、PTFE(B)を高剪
断下で混合し、繊維化できればとくに限定されない。
【0060】ヘンシェルミキサーなどを用いたパウダー
混合法によってマスターバッチを作成する際の温度条件
としては、常温で撹拌してもよいし、分散媒パウダー
(C)、PTFE(B)が劣化、変質しない程度の温度
に加熱して撹拌してもよい。
【0061】溶融混練法によってマスターバッチを作成
する際の操作条件としては、PTFE(B)を高剪断下
で混合し、繊維化できればとくに限定されない。
【0062】また、前記パウダー混合法と溶融混練法は
併用することもできる。たとえばヘンシェルミキサーで
混合したのち、該混合物を押出機などの溶融混練するこ
とによりペレット化してマスターバッチを作製すること
も好ましく行なわれる。
【0063】つぎに、えられたマスターバッチとポリオ
レフィン(A)を混合することによってPO組成物を製
造する。該混合法にはとくに限定はなく、たとえば押出
混合法、ロール混合法などの通常の方法によって製造す
ることができる。
【0064】マスターバッチとポリオレフィン(A)の
比率は、前記のようにポリオレフィン(A)100部お
よびPTFE(B)0.001〜10部となるように調
整して使用される。
【0065】また、えられたPO組成物中において、P
TFE(C)の繊維径は効率よくネットワーク構造をと
るという点から好ましくは約2ミクロン以下、さらに好
ましくは約1ミクロン以下、またさらに好ましくは約
0.5ミクロン以下である。繊維長は、ネットワーク構
造をとるため一概にはいえないが、溶融時の張力増大に
よる加工性の改良効果の点から好ましくは約3ミクロ以
上、さらに好ましくは5ミクロン以上、またさらに好ま
しくは約10ミクロン以上である。
【0066】本発明において、特定量、特定粒径の分散
媒パウダー(C)および特定量のPTFE(B)を予め
高剪断下で混合してPTFE(B)を繊維化してマスタ
ーバッチを作製し、該マスターバッチとポリオレフィン
(A)とを混練することにより、PTFE(B)の繊維
化が促進され、えられたPO組成物中でPTFE(B)
が均一に分散し、PO組成物からえられた成形体の外観
が改良される。また、溶融時の張力が増大し、カレンダ
ー加工時のシートの引き取り性、熱成形時またはブロー
成形時の溶融樹脂のドローダウン、発泡成形時のセルの
連泡化などが改良され、カレンダー加工、熱成形、ブロ
ー成形、発泡成形などの加工性が改良される。また、押
出加工時の吐出量、シートおよびフィルムなどの押出成
形体の表面状態が改良され、押出加工性が改良される。
またPTFE(B)を分散媒パウダー(C)と前記の混
合をすることにより、PTFE(B)のブロッキングが
改善され、ポリオレフィンとの配合が容易となってい
る。
【0067】さらに本発明は、前記本発明において、前
記えられたマスターバッチとポリオレフィン(A)を混
合する工程において、さらに造核剤(D)をポリオレフ
ィン(A)100部に対して0.01〜2部加えて混合
する工程に代えたPO組成物の製法をも含む。
【0068】造核剤(D)はえられるPO組成物の透明
性、表面性、剛性などを一層向上させる作用を有する成
分である。かかる造核剤の具体例としては、たとえばソ
ジウムベンゾエート、ビスベンジリデンソルビトール、
ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス
(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、ソジウム
2,2−メチレンビス(4,6−ジ−ターシャリー−ブ
チルフェニル)フォスファイトなどが好ましいものとし
てあげられる。これらは単独でまたは2種以上混合して
用いることができる。またタルク、TiO2、アルミニ
ウムヒドロキシジパラt−ブチルベンゾエートなどでも
よい。
【0069】前記造核剤の使用量としては、ポリオレフ
ィン(A)100部に対して、0.01〜2部であるこ
とが好ましい。かかる造核剤の配合量が0.01部未満
では、透明性や表面性の改良効果が不充分となる傾向が
あり、また2部をこえるばあいには効果が飽和し、かえ
って透明性が悪くなるばあいもあり好ましくない。
【0070】さらに本発明は、前記本発明において、前
記えられたマスターバッチとポリオレフィン(A)とを
混合する工程において、さらに無機充填剤(E)をポリ
オレフィン(A)100部に対して0.1〜400部加
えて混合する工程に代えたPO組成物の製法をも含む。
【0071】無機充填剤(E)はえられるPO組成物の
剛性、加工性だけでなくさらに塗装性、印刷性、耐熱性
を向上せしめ、低コスト化を実現させる作用を有する成
分である。かかる無機充填剤(E)の代表例としては、
重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、ガ
ラス繊維、炭酸マグネシウム、マイカ、カリオン、硫酸
カルシウム、硫酸バリウム、チタンホワイト、ホワイト
カーボン、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、水
酸化マグネシウム、溶融シリカなどがあげられ、これら
は単独または2種以上を混合して用いることができる。
これらの中では、入手しやすいという点から重質炭酸カ
ルシウム、軽質炭酸カルシウムまたはタルクなどが好ま
しい。
【0072】また前記無機充填剤(E)の平均粒子径は
約10ミクロン以下、さらには約5ミクロン以下である
ことが、えられるPO組成物の表面性を向上させる上で
好ましい。
【0073】前記無機充填剤(E)を0.1〜400部
用いることにより、製造されたPO組成物および該組成
物からえられた成形品の剛性や耐熱性などが向上し、ま
たカレンダー加工などにおけるロール面への粘着防止な
どの加工性が改良され、さらに低コスト化も達成でき
る。無機充填剤(E)の使用量が0.1部未満のばあい
には前記剛性などの改良効果が充分ではなく、また40
0部をこえるばあいには、前記表面性が低下する傾向に
あり好ましくない。この点から無機充填剤(E)の使用
量は1〜350部、さらには1〜300部の範囲である
ことが好ましい。
【0074】また無機充填剤(E)を混合するばあいに
は無機充填剤(E)の分散性が向上することなどによ
り、カレンダー加工または押出成形時のシートおよびフ
ィルムの表面状態が改良される。また、溶融時の張力が
増大し、熱成形、ブロー成形、発泡成形などの成型加工
性が改良される。さらに、射出成形時の収縮、そりなど
も改良される。
【0075】本発明のPO組成物の製法においては、必
要に応じて、さらにたとえば安定剤、滑材などを添加し
てもよい。安定剤としては、ペンタエリスリチル−テト
ラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコー
ル−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール
系安定剤、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイ
ト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフ
ァイトなどのリン系安定剤、ジラウリル3,3´−チオ
ジプロピオネートなどのイオウ系安定剤、また、滑剤と
しては、ラウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステ
アリン酸のナトリウム、カルシウム、マグネシウム塩な
どがそれぞれ代表例としてあげられる。
【0076】本発明において、マスターバッチとポリオ
レフィン(A)、および要すれば造核剤(D)、または
無機充填剤(E)とを混合する手法としては、とくに限
定はなくたとえば押出混合法、ロール混合法などの通常
の方法によって製造することができる。
【0077】また、マスターバッチとポリオレフィン
(A)の一部、ばあいによっては造核剤(D)、または
無機充填剤(E)とを混合した後、残部のポリオレフィ
ン(A)と混合するなどの多段階の混合も可能である。
【0078】本発明の製法でえられるPO組成物は、加
工性、表面性などが大幅に改良されており、従来のポリ
オレフィン系樹脂組成物では困難であった成形方法も含
めて、種々の成形方法によって有用な成形体を製造する
ことができる。
【0079】本発明の製法でえられたPO組成物に用い
られる成形方法としては、たとえばカレンダー成形法、
押出成形法、熱成形法、ブロー成形法、射出成形法、発
泡成形法などが代表例としてあげられる。
【0080】たとえば本発明の製法でえたPO組成物を
カレンダー加工または押出成形することにより、フィル
ムないしシート状成形体をうることができる。さらに該
フィルムないしシート状成形体に、用いたポリオレフィ
ン系樹脂組成物に適した温度で熱成形を施すことによっ
て、熱成形体をうることができる。また、たとえば前記
樹脂組成物に押出加工を施してえられたペレットを射出
成形またはブロー成形することによって、それぞれ射出
成形体または中空成形体をうることができる。さらに、
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物に発泡剤を添加
し、たとえば押出機などを用いて発泡成形することによ
って、発泡体をうることができる。
【0081】以下に本発明の製法を実施例などに基づい
てさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによりなん
ら制約を受けるものではない。
【0082】実施例1〜5および比較例1〜3 アクリル系コアシェルグラフト共重合体(商品名:カネ
エースFM、鐘淵化学工業(株)製)の表1記載量と、
ポリテトラフルオロエチレンのパウダー(商品名:ポリ
フロンTFE−F104、乳化重合法によりえられた乳
化分散体を凝集させて製造したパウダー、ダイキン工業
(株)製)(以下、TFE−Fともいう)の表1記載量
を、ヘンシェルミキサーにより、室温で10分間高速
(1,500rpm)撹拌し、混合すると同時に剪断を
加えてポリテトラフルオロエチレンを繊維化してマスタ
ーバッチを作製した。
【0083】えられたマスターバッチの表1記載量とポ
リオレフィン(A)であるホモポリプロピレンペレット
(商品名:ハイポール−B200、三井石油化学工業
(株)製、屈折率1.503、MI:0.5(以下、ハ
イポールBともいう))100部を、スクリュウ径40
mm、L/Dが28の単軸押出機で、200℃、50r
pmで押出混練し、ペレット化してPO組成物をえた。
【0084】なお、実施例3〜5で用いた平均粒径24
6ミクロン、147ミクロン、70ミクロンのコアシェ
ルグラフト共重合体は、カネエースFMをタイラーフル
イの60メッシュと140メッシュを用いてふるい分け
て調製した。60メッシュに残留したグラフト共重合体
の平均粒径は246ミクロン、60メッシュを通過し1
40メッシュに残留したものの平均粒径は147ミクロ
ン、140メッシュを通過したものの平均粒径は70ミ
クロンであった。
【0085】また比較例2はマスターバッチ化を行なわ
ず、ハイポールB−200およびTFE−Fの所定量
を、前記単軸押出機で同様にペレット化を行なった。
【0086】えられたPO組成物を用いて、下記方法に
より加工性、耐衝撃性、曲げ弾性率、溶融張力、ロール
シートの外観、メルトフローインデックスを評価した。
結果を表2に示す。
【0087】(加工性(ドローダウン))PO組成物を
200℃で3分間ロール混練して厚さ1mmのロールシ
ート作製した。えられたロールシートを2枚重ねあわ
せ、200℃×30kg/cm2 ×10分という条件で
プレス成形し、そののち常温で50kg/cm2 ×10
分という条件で冷却し、厚さ1.5mmのシートをえ
た。このシートから300mm×400mmの試験片を
切り出した。
【0088】えられた試験片を開口部298mm×39
8mmのクランプで固定し、190℃に設定したオープ
ン中に置き、10分間のシート中央部の垂れ下がり(ド
ローダウンともいう)(mm)を測定した。
【0089】(耐衝撃性)前記(加工性)で述べたと同
様にして1/4インチ厚試験片を作製し、ASTM−D
256に準拠してノッチ付アイゾット耐衝撃度を測定
した。
【0090】(曲げ弾性率)ASTM−D 790に準
拠して測定した。
【0091】(溶融張力)PO組成物を用い、東洋精機
(株)製のダイス直径2mm×長さ10mmを有するキ
ャプログラフで、200℃、押出スピード20mm/
分、引き取りスピード1m/分での溶融張力を測定し
た。
【0092】(シートの外観)PO組成物を200℃で
ロール混練、プレス成形することにより、厚み1.5m
mのシートを作製した。えられたシートの表面状態を目
視にて観察し、以下の評価基準にもとづいて評価した。
【0093】(評価基準) A:ポリテトラフルオロエチレンの凝集物は観察されな
い。
【0094】B:繊維状のポリテトラフルオロエチレン
の凝集物が僅かに観察される。
【0095】C:ポリテトラフルオロエチレンの塊が観
察される。
【0096】(メルトフローインデックス)ASTM−
D 1238に準拠して、プロピレン系ポリオレフィン
では230℃、エチレン系ポリオレフィンでは190℃
で測定した。
【0097】表2の結果から、本発明の実施例1〜5で
えたPO組成物は、コアシェルグラフト共重合体を用い
ない比較例2および分散媒パウダー(C)とPTFE
(B)との比率(C)/(B)が100/100である
比較例3でえたPO組成物に比べて、熱成形性、ブロー
成形性などの加工性の指標であるシートのドローダウン
が大幅に改良され、またシートの外観も改良されている
ことがわかる。また、本実施例のうち平均粒径が100
ミクロン以上のコアシェルグラフト共重合体を用いたば
あいは、シート外観がとくにすぐれている。
【0098】また、ポリプロピレン中のポリテトラフル
オロエチレンの存在形態を観察するため、PO組成物を
超薄切片に切り出し、4酸化ルテニウムで染色してTE
M(拡大倍率10,000倍)で観察した。ポリテトラ
フルオロエチレンが繊維状となっているのが観察され
た。なお、ポリテトラフルオロエチレンが容易に観察で
きるように、試料は、実施例1においてカネエースFM
を25部、ポリテトラフルオロエチレン(TFE−F)
を0.5部に変更した以外は実施例1と同様にしてPO
組成物を製造した。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】実施例6〜7、比較例4 実施例1におけるコアシェルグラフト共重合体に代え
て、表3に示すように、平均粒径が250ミクロンの住
友精化(株)製ホモポリプロピレン冷凍粉砕パウダーで
あるフローブレンQB200 50P、屈折率1.50
3(以下、フローブレンQBともいう)、平均粒径が1
000ミクロンの三井石油化学工業(株)製ポリプロピ
レンパウダーであるハイポールB200P、平均粒径が
1.8ミクロンの丸尾カルシウム(株)製炭酸カルシウ
ムであるスノーライトSSSを用い、他は実施例1と同
様にしてPO組成物をえ、評価した。結果を表4に示
す。
【0102】分散媒パウダー(C)の平均粒径が本発明
の範囲内である250ミクロンのポリプロピレン冷凍粉
砕パウダー(フローブレンQB)を用いたばあいおよび
1.8ミクロンの炭酸カルシウム(スノーライトSS
S)を用いたばあいは、実施例1と同様にシートのドロ
ーダウンが大幅に改良され、またシートの外観もすぐれ
ている。これに対し、平均粒径が本発明の範囲外である
1000ミクロンのポリプロピレンパウダー(ハイポー
ルB200P)を用いたばあいは、シートのドローダウ
ンの改良効果が小さく、またポリテトラフルオロエチレ
ンの分散が悪く、シートの外観が不良である。
【0103】
【表3】
【0104】
【表4】
【0105】実施例8〜9および比較例5〜6 造核剤
または無機充填剤を含む配合例 実施例1と同様にして前記フローブレンQB(平均粒径
250ミクロン)またはカネエースFM(平均粒径18
0ミクロン)とTFE−Fをヘンシェルミキサーで高速
撹拌してマスターバッチを作製した。
【0106】えられたマスターバッチ、ハイポールBに
さらに表5記載量の造核剤(ゲルオールDH(新日本理
化(株)製ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトー
ル)または重質炭酸カルシウム(商品名:スノーライト
SSS 丸尾カルシウム(株)製)を配合した以外は、
実施例1と同様にしてPO組成物をえ、実施例1と同様
にして評価を行なった。さらに、下記方法により透明性
も評価した。結果を表6に示す。
【0107】(透明性)前記(加工性)で述べたと同様
にして厚さ1.0mm、30mm角の試験片を作製し、
ASTM−D−1003に準拠して測定した。なお表6
中、Tは全光線透過率(%)、HAZEは濁度(%)を
表わす。
【0108】表6の結果から、マスターバッチとポリオ
レフィン(A)とを混合する際に、さらに特定量の造核
剤をも混合した本発明の実施例8でえられたPO組成物
は、ハイポールBに造核剤のみを混合した比較例5と同
程度の外観、透明性を有し、さらに溶融張力が高められ
ており加工性の指標であるシートのドローダウンが大巾
に改良され、耐衝撃性、剛性のバランスにもすぐれてい
ることがわかる。
【0109】また、同様に特定量の無機充填剤(炭酸カ
ルシウム)をも混合した本発明の実施例9でえられたP
O組成物は、ハイポールBに無機充填剤(炭酸カルシウ
ム)のみを混合した比較例6と同程度のシートの外観お
よび剛性を有し、さらに溶融張力が高められており加工
性の指標であるシートのドローダウンが大巾に改良さ
れ、耐衝撃性、剛性のバランスにもすぐれていることが
わかる。
【0110】
【表5】
【0111】
【表6】
【0112】
【発明の効果】本発明の製法によれば、成形加工におい
て溶融したときの張力が大きく、カレンダー加工時の引
き取り性、熱成形時またはブロー成形時の溶融樹脂のド
ローダウン、発泡成形時のセルの連泡化などが良好であ
り、カレンダー加工、熱成形、ブロー成形、発泡成形な
どの加工性がすぐれており、また、シートおよびフィル
ムなどの押出成形体の表面状態が改良され、押出加工性
が良好となるポリオレフィン系樹脂組成物をうることが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 51/04 C08L 51/04 //(C08L 23/02 (C08L 23/02 27:18 27:18 51:04) 51:04) (56)参考文献 特開 平5−214184(JP,A) 特開 昭60−90260(JP,A) 特開 平6−73192(JP,A) 特開 平7−324148(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/00 - 23/36 C08L 51/00 - 51/10 C08L 27/18 C08K 3/00 - 3/40 C08J 3/22

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン(A)100重量部に、
    ポリテトラフルオロエチレン(B)0.001〜10重
    量部を添加するに際し、ポリテトラフルオロエチレン
    (B)および0.1〜700ミクロンの平均粒径を有す
    る分散媒パウダー(C)0.002〜100重量部を、
    該分散媒パウダー(C)とポリテトラフルオロエチレン
    (B)との比率(C)/(B)が100/50〜100
    /0.001となる範囲で予め高剪断下で混合し、ポリ
    テトラフルオロエチレン(B)を繊維化してマスターバ
    ッチを作製し、該マスターバッチとポリオレフィン
    (A)とを混合することを特徴とするポリオレフィン系
    樹脂組成物の製法。
  2. 【請求項2】 分散媒パウダー(C)が、コアシェルグ
    ラフト共重合体である請求項1記載のポリオレフィン系
    樹脂組成物の製法。
  3. 【請求項3】 分散媒パウダー(C)が、ポリオレフィ
    ンパウダーである請求項1記載のポリオレフィン系樹脂
    組成物の製法。
  4. 【請求項4】 分散媒パウダー(C)が、無機物系パウ
    ダーである請求項1記載のポリオレフィン系樹脂組成物
    の製法。
  5. 【請求項5】 分散媒パウダー(C)の平均粒径が50
    〜700ミクロンである請求項1、2、3または4記載
    のポリオレフィン系樹脂組成物の製法。
  6. 【請求項6】 分散媒パウダー(C)の平均粒径が10
    0〜500ミクロンである請求項1、2、3または4記
    載のポリオレフィン系樹脂組成物の製法。
  7. 【請求項7】 分散媒パウダー(C)の屈折率が、ポリ
    オレフィン(A)の屈折率と実質的に同一である請求項
    1、2、3、5または6記載のポリオレフィン系樹脂組
    成物の製法。
  8. 【請求項8】 ポリオレフィンパウダーが、ポリオレフ
    ィン(A)と実質的に同一組成である請求項3記載のポ
    レオレフィン系樹脂組成物の製法。
  9. 【請求項9】 マスターバッチとポリオレフィン(A)
    とを混合することが、マスターバッチとポリオレフィン
    (A)に、さらにポリオレフィン(A)100重量部に
    対し0.01〜2重量部の造核剤(D)を混合すること
    である請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載
    のポリオレフィン系樹脂組成物の製法。
  10. 【請求項10】 マスターバッチとポリオレフィン
    (A)とを混合することが、マスターバッチとポリオレ
    フィン(A)に、さらにポリオレフィン(A)100重
    量部に対し、0.1〜400重量部の無機充填剤(E)
    を混合することである請求項1、2、3、4、5、6、
    7、8または9記載のポリオレフィン系樹脂組成物の製
    法。
  11. 【請求項11】 無機充填剤(E)が、炭酸カルシウム
    またはタルクである請求項10記載のポリオレフィン系
    樹脂組成物の製法。
  12. 【請求項12】 ポリオレフィン(A)が、プロピレン
    単位を少なくとも50重量%含むプロピレン系ポリオレ
    フィンである請求項1、2、3、4、5、6、7、8、
    9、10または11記載のポリオレフィン系樹脂組成物
    の製法。
  13. 【請求項13】 ポリオレフィン(A)が、プロピレン
    単位を少なくとも50重量%含むプロピレン系ポリオレ
    フィン100重量部と、エチレン単位を少なくとも50
    重量%含むエチレン系ポレオレフィン0.1〜100重
    量部との混合物からなる請求項1、2、3、4、5、
    6、7、8、9、10または11記載のポリオレフィン
    系樹脂組成物の製法。
  14. 【請求項14】 ポリオレフィン(A)が、ポリプロピ
    レン、エチレンプロピレンランダム共重合体およびエチ
    レンプロピレンブロック共重合体よりなる群から選ばれ
    た少なくとも1種である請求項1、2、3、4、5、
    6、7、8、9、10または11記載のポリオレフィン
    系樹脂組成物の製法。
  15. 【請求項15】 ポリオレフィン(A)が、ポリプロピ
    レン、エチレンプロピレンランダム共重合体およびエチ
    レンプロピレンブロック共重合体よりなる群から選ばれ
    た少なくとも1種からなるプロピレン系ポリオレフィン
    100重量部と、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリ
    エチレンおよび高密度ポリエチレンよりなる群から選ば
    れた少なくとも1種からなるエチレン系ポリオレフィン
    0.1〜100重量部との混合物からなる請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載
    のポリオレフィン系樹脂組成物の製法。
  16. 【請求項16】 ポリテトラフルオロエチレン(B)
    が、乳化重合法によりえられた乳化分散体を凝集させて
    製造したパウダーである請求項1、2、3、4、5、
    6、7、8、9、10、11、12、13、14または
    15記載のポリオレフィン系樹脂組成物の製法。
  17. 【請求項17】 マスターバッチの作製法が、ヘンシェ
    ルミキサーによる撹拌混合法である請求項1、2、3、
    4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、1
    4、15または16記載のポリオレフィン系樹脂組成物
    の製法。
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