JP3274837B2 - 掘削用スタビライザー - Google Patents
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Description
掘削する際、先端にある掘削ビット及び掘削ストリング
の進行方向を案内し、安定化させる役割を持つスタビラ
イザーに関する。
掘削ストリングによって繋がれた先端の掘削ビットを回
転させることにより行なう。先端にある掘削ビット及び
掘削ストリングの進行方向を案内し、安定化させるため
にスタビライザーが使用される。スタビライザーは穴壁
の岩盤と激しく接触するために高い強度と耐摩耗性が要
求される。
レード2aをその周面に溶接したブレード溶接型スタビ
ライザーであり、ブレード2aの耐摩耗性を向上させる
為に、鋼製のブレード2a表面に超硬合金製のボタン3
を複数圧入し、このブレード2aをスタビライザーボデ
ィ1aの周面部に溶接したものである。
タビライザーボディ1bに一体化されたスタビライザー
では、短冊状の超硬チップ4をブレード2b表面に密に
並べ、硬化ロー材を用いてロー付けで鋼ブレード表面に
接合させている。
報、粉体及び粉末冶金vol.43(1996)p47
2、並びに、粉体及び粉末冶金vol.44(199
7)p269に、鋼の表面に傾斜組成超硬合金を通電加
圧焼結技術で焼結接合した複合材料を開示した。これら
は、組成の異なる超硬合金を積層することにより積層構
造とし、鋼側の超硬合金を高Co組成、表面側の超硬合
金を低Co組成とすることで、超硬合金と鋼との熱膨張
係数差に起因して焼結接合の際に発生する熱応力を緩和
するとともに、外面部を高硬度超硬合金、内部を強靱な
超硬合金とすることで、表面と内部で機能を分担させ、
耐摩耗性と耐欠損性を兼ね備えた従来にない超硬合金を
実現したものである。また、積層構造を調節し、表面部
に適度な圧縮残留応力を導入することで超硬部の耐欠損
性を向上できることも開示している。
8年度春季講演会講演要旨集p103において、該傾斜
組成超硬/鋼接合材料を図8に示すブレード溶接タイプ
のスタビライザーに適用し、スラビライザーボディ1c
に設けたブレード2cの頂部全面に上記材料からなる積
層体5を接合すれば高性能が期待されることを開示して
いる。
の表面に超硬合金のボタンを埋め込む方式では、鋼と超
硬合金との耐摩耗性が大きく異なるので、使用時には耐
摩耗性の劣る鋼部が早く摩耗し、耐摩耗性の優れる超硬
部は摩耗が遅い為、超硬ボタンが鋼から突き出した形態
となり、超硬ボタンに欠損が生じ易くなり、寿命を低下
させる問題があった。また、超硬ボタン埋め込みタイプ
ではブレード表面の角部は鋼で構成せざるを得ず、使用
時に最初に穴壁に当たるブレード稜線部の損傷が特に大
きい問題があった。
は耐摩耗性の向上には圧入する超硬ボタンの数を増やし
て対応しているが、鋼基体でボタンを支持する必要があ
るのでボタンを埋め込める数に限界があり、表面の超硬
合金の面積率は30%程度が上限であった。このため、
使用される超硬合金ボタンは耐摩耗性が重視され、一般
にCo量が7〜9%の超硬合金が使用されている。しか
しながら、この組成では使用時に超硬合金の欠損が多く
認められ、耐欠損性が不足しているという問題があっ
た。
1cは、一辺が長い矩形形状をしており、通電加圧装置
で長辺が長いブレードを作製しようとすると大型設備が
必要となり、製造価格が高価となる問題があった。
外周側面を除く表面、すなわち、頂部の全面に超硬合金
を接合するとブレード外周の稜線部が従来技術では鋼で
構成されていたものが、超硬合金で構成されることにな
り、穴壁に最初に当たる稜線部が欠損し易いという問題
があった。
より、ブレードが受ける負荷が異なり、一般に、スラビ
ライザーの使用時、下側の傾斜部ほど損傷が最も大き
く、上側の傾斜部は最も小さくなる。このように、部位
により不均一な損傷が生じるので、部位による損傷に対
応するブレードの耐久性向上が求められていた。超硬埋
め込み方式では損傷程度に応じて超硬ボタンの数を変え
て、損傷の大きい部分では超硬合金の面積率を増やす工
夫を行っているが、調整できる範囲は限られたものであ
った。
中央部と傾斜部を有する上下の端部からなるが、傾斜部
を形成する面が平面で構成されており、中央部の曲面と
端部の平面との繋ぎの稜線部分が角張り、応力集中箇所
となる。鋼の場合は問題がなかったが、超硬合金を表面
に全面に接合すると角張った稜線部での応力集中が超硬
を破損し易くする問題が新たに生じた。
に比べて高深度を掘削する必要があり、また単一の掘削
リグから垂直方向のみならず斜めや水平方向にも多数の
穴を掘っていく必要があり、スタビライザーの使用環境
が益々厳しくなって来るのでスタビライザーの寿命要因
を左右するスタビライザーのブレードの更なる高耐摩耗
化、高強度化が求められている。
両立させた高性能のスタビライザーを得ようとするもの
である。
スタビライザーボディの周面に設けたスタビライザーに
おいて、上記ブレードを少なくとも2つの部位に分割
し、分割された各分割ブレードを上記スタビライザーボ
ディに接合することにより1つの上記ブレードを構成
し、上記各分割ブレードの頂部全面に、少なくとも2層
の積層構造を有する超硬合金製の積層体を1mm以上5
mm以下の厚みで接合し、上記積層体の各層を構成する
超硬合金のCo含有量を、上記各分割ブレードと接合さ
れる接合層から接合後に表面となる外表面層にかけて段
階的に減少させることにより、上記の課題を解決したも
のである。
金製の積層体を接合し、その各層毎に超硬合金のCo含
有量を調整したので、ブレードの鋼との接合性能を向上
させると共に、積層体の最外面の硬度をより向上させる
ことができ、高耐摩耗性と高強度を両立させた高性能の
スタビライザーが得られる。
で、超硬合金製の積層体の接合が容易となると共に、各
部位毎に超硬合金製の積層体の層構造を変えることがで
き、ブレードが受ける負荷にあわせて、適切な耐摩擦性
や硬度を有する積層体を接合させることができる。
を参照して説明する。この発明にかかる掘削用スタビラ
イザーは、図1に示すように、ブレード11をスタビラ
イザーボディ10の周面に設けたものである。
ほぼ矩形である。また、図1に示すように、上記ブレー
ド11は、その長さ方向がスタビライザーボディ10の
軸に対して所定の角度を設けて接合される。このため、
スタビライザーボディ10の周面に合わせてある程度ね
じれた形状を有する。このブレード11とスタビライザ
ーボディ10の軸が形成する角度は、特に限定されるも
のではなく、掘削用スタビライザーとして使用される条
件によって決定される。
位に分割され、複数の分割ブレード11’を構成する。
図2においては、3分割され、上部ブレード11a、中
央ブレード11b及び下部ブレード11cから構成され
る。分割された各分割ブレード11’は、図1に示すよ
うに、所定の順番に並べて、スタビライザーボディ10
に接合することにより1つのブレード11が構成され
る。3分割された場合は、掘削用スタビライザーの使用
時に、上側となる位置に上部ブレード11a、下側とな
る位置に下部ブレード11c、その間に中央ブレード1
1bが配列されてスタビライザーボディ10に接合され
る。
い形状の場合には、後述する積層体12の焼結接合をす
る際、大きな黒鉛の焼結型とこれを通電加圧できる大型
の通電加圧焼結装置が必要となり、製造価格が高価とな
る場合が生じる。このため、ブレード11を分割する場
合には、長手方向にブレードを分割し、長辺の長さが短
辺の2.5倍以内に抑えるのが好ましい。また、上下で
対称な形状が得られるように分割すると、鋼基材、黒鉛
型の種類を減らすことができるので、低価格化の為には
この様な分割を行うことが好ましい。
く表面、すなわち、頂部の全面に超硬合金製の積層体1
2が接合される。この積層体12の厚みは、1〜5mm
である。上記積層体12を各分割ブレード11’の頂部
全面に接合し、外周側面に接合しないのは、頂部の面
で、超硬合金が穴壁と接触するため摩耗損傷が生じ易
く、側面部は殆ど損傷を受けない為である。
する超硬合金製積層体の厚さが1〜5mmであるのは、
1mm未満では耐摩耗性が不十分となり、5mm以上で
は、複合材料としての強度を超硬部分が規定し、強度低
下を招くことに加え、製造価格が高価となる問題が生じ
る為である。
積層構造を有する。この各層の超硬合金の材質は異なっ
ており、上記積層体12の各層を構成する超硬合金のC
o含有量は、各分割ブレード11’と接合される接合層
から接合後に表面となる外表面層にかけて段階的に減少
する。
少なくとも2層の積層構造とするのは、各分割ブレード
11’を構成する鋼と接合される接合層を高Coの超硬
合金組成とし、接合後に表面となる外表面層を低Coの
超硬合金組成とすることにより、超硬合金と鋼との熱膨
張係数差に起因して焼結接合の際に発生する熱応力を緩
和し、健全な焼結接合を実現するとともに、外表面部を
高硬度超硬合金、内部を強靱な超硬合金とすることで、
表面と内部で機能を分担させ、耐摩耗性と耐欠損性を兼
ね備えた超硬合金を表面部に配する為である。
て、各分割ブレード11’に焼結接合することができ
る。たとえば、黒鉛型内に鋼製のブレードをセットし、
その表面に接合層とする組成の超硬合金粉末をブレード
形状に沿って充填し、ブレード形状に沿った黒鉛パンチ
で型押し予備成形する。次いで、第2層となる組成の超
硬合金粉末をブレード形状に沿って充填し、ブレード形
状に沿った黒鉛パンチで型押し予備成形する。このよう
にして、目的の積層構造が得られるまでこの操作を繰り
返す。超硬粉末の積層が完了したら、黒鉛型ごと試料を
通電加圧焼結設備にセットし、通電加圧焼結する。これ
により、積層構造を有する積層体を焼結接合したブレー
ドが得られる。
上記のように超硬合金からなる積層体が焼結接合され
る。このため、各分割ブレード11’の外周表面の稜線
部は、超硬合金で構成されることになる。このとき、稜
線部が角張っていると欠損し易いという問題が生じる。
この欠損を防止する為、上記の各分割ブレードの頂部に
接合された積層体12の表面外周の稜線部は、丸められ
る。上記稜線部の面取り量は、図3(a)に示すよう
に、積層体12の垂直断面において、積層体12の外周
表面のうち、側面部22を除く表面部、すなわち、頂部
21側の面取り量をA、積層体12の表面の側面部22
側の面取り量をBとすると、Aが1〜3mmで、かつA
/Bが0.5〜1.5がよい。
が生じ易く、3mmよりも大きいと、回転時の抵抗が大
きくなって発熱が大きくなり、稜線部の熱亀裂を助長す
る場合がある。また、上記のA/Bが0.5未満では、
回転時の抵抗が大きくなる場合があり、1.5よりも大
きいと上記稜線部が欠損し易くなる。
すように、傾斜部13a、13cが設けられる。この傾
斜部13a、13cは、上記ブレード11を上記スタビ
ライザーボディ10に設けたとき、ブレード11の両端
部に、その頂部21からスタビライザーボディ10の周
面に向かうようにそれぞれ設けられる。上記ブレード1
1が、その長さ方向に3つに分割されて、上部ブレード
11a、中央ブレード11b及び下部ブレード11cを
形成するときは、上部ブレード11a、中央ブレード1
1b及び下部ブレード11cのそれぞれを並べてを上記
スタビライザーボディ10に設けたとき、上記傾斜部1
3a、13cは、上記上部ブレード11a及び下部ブレ
ード11cのそれぞれの先端部に、その頂部21からス
タビライザー10の周面に向かうように設けられる。こ
のブレード11(又は、上部ブレード11a、中央ブレ
ード11b及び下部ブレード11c)の頂部21及び傾
斜部13a、13cには、上記の方法によって上記積層
体12が接合される。
ち、上記掘削用スラビライザーの使用時に下側に位置す
る傾斜部を含む上記ブレード11の下部部分に接合され
た、上記積層体12の表面外周の稜線部の面取り量を、
上記ブレード11の上記下部部分以外の部分に接合され
た上記積層体12の表面外周の稜線部の面取り量よりも
大きくするのが好ましい。
されているときは、上記のブレード11の下部部分を下
部ブレード11cとして取り扱うことができる。すなわ
ち、下部ブレード11cの頂部21及び傾斜部13cに
接合された積層体12の表面外周の稜線部の面取り量
を、上記中央ブレード13bの頂部及び上記上部ブレー
ド13aの頂部21及び傾斜部13aに接合された積層
体12の表面外周の稜線部の面取り量よりも大きくする
のが好ましい。
レード11は部位により、ブレード11が受ける負荷が
異なる。一般に、ブレード11の傾斜部のうち、スタビ
ライザー10の使用時に下側となるの傾斜部が受ける損
傷が最も大きく、上側となる傾斜部が受ける損傷が最も
小さい。このため、上記の面取り量の条件下で、稜線部
の損傷が生じやすいブレードの下側の部位の表面外周の
面取り量を他の部位より大きくすることにより、部位に
よる負荷の差異に対応することができ、ブレード11全
体としての耐久性を向上させることができる。
される積層体12の積層構造は、各分割ブレード11’
毎に異なるものとすることができる。これは、上記のよ
うに、部位によりブレード11が受ける負荷が異なり、
不均一な損傷が生じるのを防ぐことができるからであ
る。部位による損傷に対応して表面に接合する超硬合金
の積層構造を制御することにより、耐摩耗性重視の構造
や、逆に耐欠損性重視の構造を配することができる。こ
れにより、従来使用されてきた、部位により埋め込む超
硬ボタンの数を変えるという限定された調整方法比べ、
広範囲で適切な対応ができ、ブレード11の耐久性を飛
躍的に向上させることができる。
の頂部21と傾斜部13a、13cとの境の稜線部に面
取りを行うことができる。このとき、図3(b)に示す
ように、曲面半径Rは、5mm以上がよく、5〜25m
mがより好ましい。また、傾斜部13a、13cの面取
り寸法C1 と頂部21の面取り寸法C2 の合計は、2〜
10mmとすることがよく、2〜5mmがより好まし
い。
レードは、頂部21と傾斜部13a、13cとの繋ぎの
稜線部分が応力集中箇所となり、この部分で表面の積層
体12が破損し易い。このため、この部分に上記面取り
を行うことにより、上記の応力集中を緩和し、上記稜線
部分での積層体12の欠損を抑制することができる。
寸法が2mm未満の場合は、応力緩和の効果が少なく、
各面取り寸法が10mmを超えると頂部21の面積が減
少する。
積層体12は、積層構造を有するが、その外表面層を構
成する超硬合金のCo量を5〜25重量%とすると共
に、上記の積層体12の接合部側の層を構成する超硬合
金のCo量を25〜50重量%とするのがよい。外表面
層のCo量が5%未満であると、耐摩耗性には優れるが
欠損し易く、また25%を超えると、全面を超硬が覆っ
ていても耐摩耗性が不十分となるからである。さらに、
接合層のCo量が25%未満であると、応力緩和の効果
が小さく、50%を超えると超硬合金の硬度は接合する
鋼より低くなりもはや耐摩耗材料としての役割を果たさ
ないからである。
するが、限定を意図するものではない。 (実施例1、比較例1)ブレードへの積層体の焼結接合 実施例として穴径5−5/8”用のブレード溶接タイプ
のスタビライザーを選定した。鋼製のブレードの形状は
図4に示す様にスタビライザーボディの中心軸23に対
して20゜傾斜したねじれた形状を有しており、全長2
20mm、幅40mm、高さは31mmである。上部ブ
レード11a及び下部ブレード11cの端部は角度60
゜の傾斜部13a,13cを有している。このブレード
を長さ100mmの中央部と長さ60mmの両端部の3
つに分割した。両端部の上部ブレード11aと下部ブレ
ード11cは、互いに対称としたので、同一形状であ
る。超硬部分の厚さに応じて、鋼ブレードの高さHは従
来の超硬ボタン埋め込みタイプより、超硬合金部分の厚
さの分だけ低くした。
の方法で種々積層構造を変えて、中央ブレード11bの
頂部に超硬合金からなる積層体を形成した。黒鉛型内に
鋼(JIS規格:S35C)製のブレードをセットし、
その表面に表1の第1層に示すような組成の超硬合金粉
末を、焼結後に狙いの厚さとなる分量だけブレード形状
に沿って充填し、ブレード形状に沿った黒鉛パンチで型
押し予備成形する。次いで、表1の第2層に示すような
組成の超硬合金粉末をブレード形状に沿って充填し、ブ
レード形状に沿った黒鉛パンチで型押し予備成形する。
このようにして、目的の積層構造が得られるまでこの操
作を繰り返す。超硬粉末の積層が完了したら、黒鉛型ご
と試料を通電加圧焼結設備にセットし、通電加圧焼結す
る。これにより、表1に示す、積層構造を有する積層体
を接合した中央ブレード(試料1〜5、及び比較試料1
〜7)をそれぞれ作製した。なお、表1中の第1層と
は、中央ブレードの頂部と接合した接合層を意味する。
また、第2層〜第4層のうち、最外部に位置する層が外
表面層となる。
(JIS規格:S35C)製ブレードにWC−8%Co
組成の超硬ボタンを埋め込んだ比較試料8、及び、WC
−10%Co組成の超硬ボタンを埋め込んだ比較試料9
を準備した。圧入した超硬ボタンの形状は直径8mm、
長さ15mmである。これらのブレードの表面積に占め
る超硬合金の割合は標準的な10%とした。表1に作製
したブレードの構造を示す。
9に対し、耐摩耗性評価試験としてブラストエロージョ
ン試験を実施した。この試験方法はアルミナメディアを
対象物に一定時間噴射させ、対象物の摩耗量からエロー
ジョン特性を評価する試験方法である。ブレード間で耐
摩耗性の差が相対的に判断できる試験条件を選定した。
また、耐欠損性を評価試験として、スタビライザーの使
用時にブレード表面が穴壁の岩盤と激しくぶつかること
を想定して、直径25mmのWC−10%Co超硬ボー
ルを20Jのエネルギーでブレード表面に繰り返し15
0回の衝撃を与える試験を実施した。耐摩耗性評価試験
に関しては試験後のブレードの損傷形態の観察と重量減
から摩耗量を体積に換算し、耐摩耗性を評価した。その
結果を表2に示す。また、耐欠損性試験に関しては試験
後に損傷状況を調査した。その結果を表2に併記して示
す。
面全面に接合している試験ブレード1〜5、及び、比較
試験ブレード1〜7は、正常摩耗していることが確認で
きた。最上層の超硬合金のCo量が少ない程、摩耗量が
少なく耐摩耗性に優れている。比較試験ブレード2は、
Coが本発明範囲よりも多く、特に摩耗が大きい。ま
た、積層体の厚さが本発明の範囲よりも薄い比較試験ブ
レード4は、同じ最上層が同じ組成からなる試験ブレー
ド2や比較試験ブレード5と比べて極端に多くなってい
ることが分かる。一方、比較試験ブレード8及び9の損
傷状態は耐摩耗性に劣る鋼部が優先的に摩耗し、埋め込
んだ超硬合金が大きく突き出し、スタビライザーのブレ
ードとしての役割を果たせない状態であった。
している試験ブレード1〜5、及び、比較試験ブレード
1〜7の内、比較試験ブレード1、5〜7に亀裂が発生
していることが確認できた。比較試験ブレード1は積層
体が単層からなり、接合に際しての熱応力緩和が不十分
だったと考えられる。比較試験ブレード5は、積層体の
厚さが本発明の範囲よりも厚く、積層体の衝撃強度が支
配的になった為だと考えられる。比較試験ブレード6
は、外表面層の超硬合金のCo量が本発明範囲よりも少
なく、耐摩耗性には優れるものの、超硬合金の靱性と応
力緩和が不十分である為と考えられる。比較試験ブレー
ド7は、接合層の超硬合金のCo量が本発明範囲よりも
少なく、接合層の靱性と応力緩和が不十分である為と考
えられる。一方、比較試験ブレード8及び9の損傷状態
は衝撃により超硬合金が浮き出る現象が認められ、浮き
出た超硬合金が大きく欠損していた。
aの頂部及び傾斜部表面に、実施例1の試験ブレード2
の積層体を上記の方法で焼結接合させた。そして、積層
体の表面の外周稜線部(図5(a)のX)の面取りを表
3に示す条件で行ってこの稜線部を丸める処理を行っ
た。また、傾斜部13aと頂部との境の稜線部(図5
(a)のY)の面取りを表3に示す条件で行って、所定
の曲面半径(図3(b)のR)を有する曲面を設けた。
このとき、傾斜部13aの面取り寸法(C1 )と頂部の
面取り寸法(C2 )の和をCとする。これらの処理によ
り、試料1〜3及び比較試料1〜4を準備した。また、
実施例1の試料14の構造を有する上部ブレードを準備
し、比較試料5とした。
部分に対し、WC−10%Coの超硬合金の平板を10
Jのエネルギーで20回繰り返して衝撃を与えて損傷形
態を観察した。また図5(b)のY1 に示される頂部と
傾斜部との境の稜線部の部分に対しては、直径25mm
のWC−10%Co超硬ボールを15Jのエネルギーで
50回の衝撃を与える試験を実施した。試験後に積層体
の表面外周稜線部と表面のねじれ部との境の稜線部損傷
状況を調査した。その結果を表4に併記して示す。
表面の外周稜線部、頂部と傾斜部の境の稜線部共、損傷
が認められなかった。本発明の範囲外の処理を施した比
較試料2及び4は、積層体の外周稜線部、頂部と傾斜部
の境の稜線部共、積層体に欠損が認められた。また、比
較試料5では、外周稜線部では大きく鋼が変形し、頂部
と傾斜部の境の稜線部では鋼が大きく変形して、ブレー
ドに食い込み、超硬ボタンに当たった部分では超硬ボタ
ンの欠損が生じた。比較試料1及び3は、積層体の表面
の外周稜線部、頂部と傾斜部の境の稜線部のいずれも、
面取り量が本発明範囲よりも大きい為に欠損は認められ
なかった。しかし、稜線部の処理量が大きいと、実際の
使用時に稜線部での穴壁との摩擦抵抗が大きく、発熱量
が大きくなって、稜線部の熱亀裂を助長する為、好まし
くない。
施例1に記載の試験ブレード4の積層構造を有する積層
体を焼結接合した上部ブレードを作製し、積層体表面の
外周稜線部の面取り及び頂部と傾斜部との境の稜線部の
面取りを、表3に記載の試料2の条件で行った。実施例
1に記載の形状で、実施例1に記載の試験ブレード3の
積層構造を有する積層体を焼結接合した下部ブレードを
作製し、積層体表面の外周稜線部の面取り及び頂部と傾
斜部との境の稜線部の面取りを、表3に記載の試料1の
条件で行った。実施例1に記載の形状で、実施例1に記
載の試験ブレード2の積層構造を有する積層体を焼結接
合した中央ブレードを作製し、積層体表面の外周稜線部
の面取り及び頂部と傾斜部との境の稜線部の面取りを、
表3に記載の試料3の条件で行った。上記の上部ブレー
ド、中央ブレード、及び下部ブレードを1セットのブレ
ードとして、内径3・1/2”、外径4・3/4”、長
さ1000mmのスタビライザーボディにブレードー固
定用の切り欠きを入れ、3セットのブレードの溶接施工
を行った。溶接施工はまずボディーを予熱し、ボディへ
ブレードの仮付けを行った後、下盛溶接、本溶接の順番
に行う。溶接後は後熱を行い、灰の中で徐冷する。溶接
施工後、各ブレードに対し磁気探傷を行った結果、超硬
部の欠損や亀裂は認められず健全な溶接が可能であっ
た。溶接性は従来のブレードと比べ特に問題はなく良好
であった。
状構造を有する超硬合金製の積層体を接合し、その各層
毎に超硬合金のCo含有量を調整したので、ブレードの
鋼との接合性能を向上させると共に、積層体の最外面の
硬度をより向上させることができ、高耐摩耗性と高強度
を両立させた高性能のスタビライザーが得られる。
で、超硬合金製の積層体の接合が容易となると共に、各
部位毎に超硬合金製の積層体の層構造を変えることがで
き、ブレードが受ける負荷にあわせて、適切な耐摩擦性
や硬度を有する積層体を接合させることができる。
視図
例を示す斜視図
取りを示す断面図 (a)図2のブレードの頂部と傾斜部の面取りを示す断
面図
ードの例を示す平面図 (b)(a)の正面図 (b)(a)の側面図
す斜視図
Claims (6)
- 【請求項1】 ブレードをスタビライザーボディの周面
に設けたスタビライザーにおいて、上記ブレードを少な
くとも2つの部位に分割し、分割された各分割ブレード
を上記スタビライザーボディに接合することにより1つ
の上記ブレードを構成し、上記各分割ブレードの頂部全
面に、少なくとも2層の積層構造を有する超硬合金製の
積層体を1mm以上5mm以下の厚みで接合し、上記積
層体の各層を構成する超硬合金のCo含有量を、上記各
分割ブレードと接合される接合層から接合後に表面とな
る外表面層にかけて段階的に減少させた掘削用スタビラ
イザー。 - 【請求項2】 上記各分割ブレードの頂部に接合された
上記積層体の表面外周の稜線部が丸められており、その
面取り量は、頂部側の面取り寸法をA、側面部側の面取
り寸法をBとすると、Aが1〜3mmで、かつA/Bが
0.5〜1.5である請求項1に記載の掘削用スタビラ
イザー。 - 【請求項3】 上記ブレードは、上記スタビライザーボ
ディの軸に対して所定の角度を設けて接合され、上記ブ
レードの両端部に、その頂部から上記スタビライザーボ
ディの周面に向かう傾斜部をそれぞれ設け、上記ブレー
ドの頂部及び傾斜部に上記積層体を接合し、上記傾斜部
のうち、上記スタビライザーの使用時に下側に位置する
傾斜部を含む上記ブレードの下部部分に接合された上記
積層体の表面外周の稜線部の面取り量が、上記ブレード
の上記下部部分以外の部分に接合された上記積層体の表
面外周の稜線部の面取り量よりも大きい請求項2に記載
の掘削用スタビライザー。 - 【請求項4】 上記各分割ブレードに接合される上記積
層体の積層構造は、各分割ブレード毎に異なる請求項1
〜3のいずれかに記載の掘削用スタビライザー。 - 【請求項5】 上記ブレードに接合された上記積層体の
頂部と傾斜部との境の稜線部の曲面半径が5mm以上
で、頂部面の取り寸法と傾斜部の面取り寸法の合計が2
〜10mmである請求項3又は4に記載の掘削用スタビ
ライザー。 - 【請求項6】 上記各分割ブレードに接合された上記積
層体の外表面層のCo量が5重量%以上25重量%以下
であると共に、上記積層体の接合層のCo量が25重量
%以上50重量%以下である請求項1〜5のいずれかに
記載の掘削用スタビライザー。
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