JP3271957B2 - 複合材料の製造方法 - Google Patents

複合材料の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化材に合成
樹脂を含浸させて成る複合材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維強化複合材料(通称FRP)は、軽
量、高弾性率、高強度などの利点と、剛性や強度を任意
に設計できる利点とを有し、金属材料では得られない性
質を発現できるので、航空機材料としての重要性が増加
している。図9は、旅客機の胴体を構成する胴体パネル
13の一部を示す図である。胴体パネル13は、外板3
の内壁に、胴体の機軸方向に延びるストリンガ4が取付
けられて構成される。
【0003】この胴体パネル13は、炭素繊維層などの
強化繊維層に、エポキシ樹脂などの合成樹脂を含浸した
半硬化のプリプレグ10を積層して外板3を形成し、さ
らにプリプレグ10を積層してストリンガ4を外板3に
一体に取付ける。これをオートクレーブ内に挿入し、加
圧および加熱して合成樹脂を硬化させ、複合材料から成
る胴体パネル13が製造される。この胴体パネル13に
は、矢符6に示すように、圧縮応力が作用したり、矢符
11に示すように、引張応力が作用する。このような応
力が作用すると、外板3とストリンガ4との段差部8に
応力が集中し、外板3とストリンガ4との境界層14
で、外板3とストリンガ4との剥離が生じるおそれがあ
る。
【0004】この剥離を防止する方法として、段差部8
近傍の外板3とストリンガ4とを破線12で示すよう
に、胴体パネル13の厚み方向(図9の上下方向)に全
てのプリプレグを段差部8に沿って機軸方向(図9の紙
面に垂直な方向)にステッチング(縫い合わす)する方
法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来技術では、図9に
示すように、外板3とストリンガ4との境界層14近傍
以外の剥離に関与しない層まで、ステッチングして耐剥
離強度を上げていた。このような無駄なステッチング
は、剥離に関与しない層のプリプレグ10の強化繊維層
を傷めることになり、段差に沿う機軸方向の強度が低下
するといった問題があった。
【0006】また、従来技術では、複数層のプリプレグ
10の積層を全て終了してからステッチングしていたの
で、製造される複合材料が、胴体パネル13のように大
型であると、大規模なステッチング装置を用いてステッ
チングしなければならなかった。
【0007】本発明の目的は、応力が作用しても、容易
に剥離することのない複合材料の製造方法を提供するこ
とである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、航空機に用いられる複合材料であって、複数層の強
化繊維を積層した一方の部位と、複数層の強化繊維を積
層した他方の部位とが縫い合わせられ、段差を介して積
層される複合材料の製造方法において、コンピュータシ
ミュレーションによって前記複合材料のモデルに引張り
および圧縮荷重を作用させて応力解析し、荷重を作用さ
せたときに応力が急激に増加する段差部近傍の領域を縫
い合わせ領域として決定する工程と、前記一方の部位の
うち、前記縫い合わせ領域に含まれる強化繊維層、また
は強化繊維に合成樹脂を含浸させたプリプレグを積層す
る工程と、前記他方の部位のうち、前記縫い合わせ領域
に含まれる強化繊維層またはプリプレグを、前記一方の
部位に段差を介して積層する工程と、積層された一方の
部位の一部と他方の部位の一部のうち、前記縫い合わせ
領域に含まれる部分を、段差部に沿って縫い合わせて結
合する工程と、一方の部位および他方の部位の残りの強
化繊維層またはプリプレグを積層する工程とを有するこ
とを特徴とする複合材料の製造方法である。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】本発明に従えば、まず、複合材料のモデル
に荷重を負荷して、コンピュータシミュレーションで応
力解析して、応力が急激に増加する領域を決定する。次
に、上述のようにして決定した領域に含まれる複合材料
の一方の部位の複数層の強化繊維層またはプリプレグを
積層する。次に、この積層した一方の部位に、上述のよ
うにして決定した領域に含まれる複数層の強化繊維層ま
たはプリプレグを段差を介して積層し、一方の部位に他
方の部位を形成する。次に、一方の部位と他方の部位と
が段差部近傍で段差に沿って縫い合わされ、一方の部位
および他方の部位に、強化繊維層またはプリプレグをさ
らに積層する。プリプレグを積層する場合は、これを高
温高圧で合成樹脂を硬化させ、強化繊維層を積層する場
合は、これに合成樹脂を含浸させた後、高温高圧下で樹
脂を硬化させて、本説明の複合材料を形成する。
【0014】このように予め縫い合わせる部分の強化繊
維層のみを先に積層して縫い合わせ、その後残余の強化
繊維層またはプリプレグを積層することによって、予め
定める領域のみを正確に縫い合わせることができる。ま
た剥離とは関係ない領域の強化繊維層を傷めることがな
い。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の複合材料の製造
方法によって製造された複合材料の実施の一形態である
胴体パネル21の一部を示す図である。本発明の複合材
料は、たとえば、図1に示すような旅客機の胴体パネル
21といった通常の使用環境において、大きな応力が作
用する部材などに好適に実施される。旅客機の胴体を構
成する胴体パネル21は、外板23と、外板23の内周
壁に取付けられ、旅客機の機軸方向(図1の紙面に垂直
な方向)に延びるストリンガ24とから構成される。こ
のような胴体パネル21などに用いられる複合材料に
は、段差部、本実施形態では、外板23とストリンガ2
4との接合部に段差部30が形成される。この複合材料
に外力が作用すると、この段差部近傍に応力が集中し、
この段差部から離反した領域では、層間方向の応力はほ
とんど作用しない。したがって、本実施形態の胴体パネ
ル21では、応力が集中する段差部30近傍の領域の
み、強度を選択的に高めるために、段差部30近傍の予
め定める値以上の応力が作用する領域に含まれる強化繊
維層のみを縫い合わせる。これによって、予め定める値
以上の応力が作用しない領域の強化繊維層まで縫い合わ
せる必要がなくなり、また縫い合わせることによって、
強化繊維層を傷めるといったことが防がれる。
【0016】次に図1および図2を参照して、胴体パネ
ル21の製造方法についてに説明する。まず、第1工程
において、合成樹脂を含浸させたプリプレグを積層して
段付きに形成される胴体パネル21の一方の部位である
外板23の一部を形成し、次に第2工程において、第1
工程で積層した外板23の一部に、段差部30を介して
さらにプリプレグを積層して他方の部位であるストリン
ガ24の一部を形成する。この第1工程および第2工程
で積層するプリプレグの強化繊維層が、前述した予め定
める値以上の応力が作用する領域の強化繊維層である。
したがって、次の第3工程において、段差部30近傍の
ストリンガ24の一部と、外板23の一部とを縫い合わ
せ(ステッチングする)、さらに第4工程において、外
板23の一部およびストリンガ24の一部に、さらにプ
リプレグを積層する。図2は上記第3工程終了直後を示
す図である。
【0017】プリプレグ27は、強化繊維層に合成樹脂
を含浸し、予備重合した状態、すなわち合成樹脂の硬化
反応をある程度進めておき、温度を下げて反応途中で止
めて半硬化状態にした成形材料であり、一般にロールに
巻き取られている。このプリプレグ27には、繊維を一
方向に引き揃えた強化繊維層を備えた一方向プリプレ
グ、繊維を交差させた強化繊維層を備えたクロスプリプ
レグなどがある。前記強化繊維層としては、ガラス繊維
層、炭素繊維層、アラミド繊維層などがあり、前記合成
樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹
脂、ビニルエステル樹脂などの熱硬化性樹脂およびAB
S樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂などの熱可塑性樹
脂がある。本実施形態では、一例として強化繊維層に炭
素繊維層を用い、合成樹脂にエポキシ樹脂を用いた一方
向プリプレグを使用しているが、これ以外の強化繊維層
および合成樹脂を用いたプリプレグでも本発明の複合材
料および複合材料の製造方法を好適に実施することがで
きる。
【0018】まず第1工程の前工程として、ロール巻き
されたプリプレグシートを、胴体パネル21の寸法に従
って所望の形状に切断する。
【0019】次に、第1工程において所望の形状に切断
された外板23の一部となる1層または複数層(本実施
形態では2層)のプリプレグ27a,27bを治具上に
積層する。このとき積層された2枚のプリプレグ27
a,27bの強化繊維は、所定の角度、たとえば互いに
45度で交差するように積層される。
【0020】次に第2工程において、プリプレグ27a
上にストリンガ24の一部である1層または複数層(本
実施形態では2層)のプリプレグ27A,27Bを積層
する。このとき積層された2枚のプリプレグ27A,2
7Bの強化繊維は、互いに45度で交差するように積層
される。
【0021】次に第3工程において、第2工程で積層さ
れた4枚のプリプレグ27a,27b,27A,27B
を段差部30の近傍で、破線31に示すように、強化繊
維によって段差部30に沿って予め定める幅T2を、段
差に沿う方向(図2の紙面に垂直な方向)に1列または
複数列、本実施形態では5列縫い合わす。
【0022】プリプレグ27a,27b,27A,27
Bは、ステッチング装置を用い、図3に示すように、強
化繊維から成る上糸35aおよび下糸35bで、1列毎
に本縫いを行う。また、上述のようなステッチング装置
を使用せずに手縫いでもよく、さらに図4に示すよう
に、一本の針33をプリプレグ27bと27Bとを交互
に往復させて一列を一本の糸35で、縫い合わせる方法
でもよい。
【0023】次に第4工程において、図1に示すように
第3工程でステッチングされた4枚のプリプレグ27
a,27b,27A,27Bのうち、外板23の一部で
あるプリプレグ27b上に外板23を構成する残余のプ
リプレグ27c〜27hを積層し、次にストリンガ24
の一部であるプリプレグ27B上に、ストリンガ24を
構成する残余のプリプレグ27C〜27Mを図1に示す
ようにストリンガ24の形状となるように両側からL字
状に折り曲げて積層し、外板23上に断面T字状のスト
リンガ24を形成する。段差部は断面T字状の他に断面
H字状、断面J字状、断面Ω字状、断面L字状、断面C
字状などがある。
【0024】以上のようにして、胴体パネル21を構成
するプリプレグ27a〜27hおよびプリプレグ27A
〜27Mの積層作業およびステッチング作業が完了す
る。なお、このときプリプレグ27a〜27hおよびプ
リプレグ27A〜27Mは半硬化状態である。
【0025】次に、第4工程の後工程において、半硬化
状態の胴体パネル21をオートクレーブ内に挿入する。
オートクレーブ内で窒素ガスなどの不活性ガスによって
加圧するとともに、同時に加熱すると、半硬化状態であ
ったプリプレグ27a〜27hおよびプリプレグ27A
〜27Mの合成樹脂が硬化し、胴体パネル21が完成す
る。
【0026】図5は、ストリンガ24の突部を省略し、
単純化した胴体パネル21に、圧縮荷重を負荷した状態
を示すモデル図であり、図6は引張荷重を負荷した状態
を示すモデル図である。このモデル化された、胴体パネ
ル21の外板23の厚みt2は2.144mmであり、
ストリンガ24と外板23との合計の厚みt1は、3.
752mmである。
【0027】図7は、図5に示すモデルに、圧縮荷重が
負荷されたときの応力解析を有限要素法によるコンピュ
ータシミュレーションによって行った結果を示す図であ
る。また、図8は、図6に示すモデルに、引張荷重が負
荷されたときの応力解析を有限要素法によるコンピュー
タシミュレーションによって行った結果を示す図であ
る。
【0028】図5に示すように、外板23に、矢符39
に示す2.94N/mm(0.3kgf/mm)の圧縮
荷重が負荷されると、胴体パネルモデル21aは、図7
に示すように弾性変形し、段差部30の近傍には、段差
部30を中心として、領域42〜46には引張応力が負
荷され、段差部30から離間した領域47には圧縮応力
が負荷される。なお、領域42には、540〜680P
a(0.55〜0.69kgf/mm2)、領域43に
は、440〜540Pa(0.45〜0.55kgf/
mm2)、領域44には、290〜440Pa(0.3
0〜0.45kgf/mm2)、領域45には、120
〜290Pa(0.12〜0.30kgf/mm2)、
領域46には、29〜120Pa(0.03〜0.12
kgf/mm2)の引張応力が負荷される。この結果か
ら、胴体パネル21に圧縮荷重が負荷されると、段差部
30の近傍に集中して、引張応力60が作用することが
分かる。この引張応力60によって外板23とストリン
ガ24とはその境界層32において矢符62に示す方向
に剥離するおそれがあることが分かる。この引張応力6
0は、図7から分かるように、段差部30に集中し、段
差部30から上下に離反した領域では、引張応力60が
急激に低下し、ほとんど作用していない。したがって、
縫い合わされるプリプレグの枚数は、この引張応力60
が集中する領域に含まれる枚数とする。たとえば、図7
から分かるように、領域42〜44は互いの間隔が狭く
なり、段差部30に近付く方向に急激に応力が増加して
おり、領域45,46は互いの間隔が広く、領域42〜
44に比べて、段差部30に近付く方向に緩やかに応力
が増加している。したがって、本実施形態では、この急
激に応力が増加する領域を、予め定める値以上の応力が
作用する領域とし、領域44に含まれるプリプレグを縫
い合わせる。
【0029】また、図5に示すように、外板23に矢符
48に示す620N/mm(63kgf/mm)の引張
荷重が負荷されると、胴体パネルモデル21aは、図7
に示すように弾性変形し、段差部30を中心とした領域
50〜55には、引張応力が負荷され、段差部30から
離間した領域56〜58には圧縮応力が負荷される。な
お、領域50には、6640〜7160Pa(6.77
〜7.30kgf/mm2)、領域51には、5590
〜6120Pa(5.70〜6.24kgf/m
2)、領域52には、4540〜5590Pa(4.
63〜5.70kgf/mm2)、領域53には、24
50〜4540Pa(2.50〜4.63kgf/mm
2)、領域54には、1400〜2450Pa(1.4
3〜2.50kgf/mm2)、領域55には、880
〜1400Pa(0.90〜1.43kgf/mm2
の引張応力が負荷される。この結果から、胴体パネル2
1に引張荷重48が負荷されると段差部30の近傍で
は、引張応力61が作用することが分かる。この引張応
力61によって、外板23とストリンガ24とは、その
境界層32において、矢符63に示す方向に剥離するお
それがあることが分かる。この引張応力61は、図8か
ら分かるように、段差部30に集中し、段差部30から
上下に離反した領域では、引張応力60が急激に低下す
る。したがって、縫い合わされるプリプレグの枚数は、
この引張応力60が集中する領域に含まれる枚数とす
る。たとえば図8に示すように領域50〜52は互いの
間隔が狭くなり、段差部30に近付く方向に急激に応力
が増加しており、領域53〜55は互いの間隔が広く、
領域50〜52に比べて段差部30に近付く方向に緩や
かに応力が増加している。したがって、本実施形態で
は、この急激に応力が増加する領域を予め定める値以上
の応力が作用する領域とし、領域52に含まれるプリプ
レグを縫い合わせる。
【0030】すなわち、圧縮荷重39が作用したとき、
急激な応力の増加のある領域44に含まれるプリプレグ
と、引張荷重48が作用したとき、急激な応力増加のあ
る領域52に含まれるプリプレグの全てを縫い合わせ
る。本実施形態の胴体パネル21では、領域44と領域
52に含まれるプリプレグは、外板23の一部を構成す
るプリプレグ27a,27bとストリンガ24の一部を
構成する27A,27Bとである。
【0031】また、図7および図8に示すように、引張
応力は、胴体パネル21の段差部30の近傍にのみ発生
し、厚み方向(図7,8の上下方向)の全ての領域に負
荷さていないので、図9に示す従来技術のステッチング
技術では、剥離に関与しない領域にあるプリプレグや大
きな剥離応力が作用しないプリプレグまで縫い合わせて
おり、無駄が生じていたことが分かる。これに対して、
本実施形態のステッチング技術では、急激引張応力が増
加する領域のみのプリプレグをステッチングしているの
で、無駄なステッチングが省かれる。これによって、プ
リプレグ27a,27b,27A,27B以外の剥離に
関与しない他のプリプレグ27c〜27hおよび27C
〜27Mの強化繊維層を傷めることが阻止され、プリプ
レグ27c〜27hおよび27C〜27Mの段差部30
に沿う方向(図1の紙面に垂直な方向)の強化繊維層の
強度が低下するといったことが防がれる。また、本発明
の複雑材料の製造方法のステッチング技術では、第3工
程においてプリプレグの積層枚数の少ない状態でステッ
チングするので、従来技術のように大規模なステッチン
グ装置を必要とせず、縫い合わせることができ、これに
よって旅客機の部材などの大型の部材を複合材料で製造
することが容易となる。
【0032】本発明の複合材料は、段付きの部材のみな
らず、たとえば切欠きや、凹所および孔などといった応
力が作用したとき応力集中が生じる部材などにも好適に
実施することができる。
【0033】
【0034】また本発明の他の複合材料および複合材料
の製造方法として、複数層のプリプレグを積層して段付
きの部材あるいは切欠きを有する部材を製造する場合の
みならず、予め強化繊維層を積層してから合成樹脂を含
浸させて、段付きの部材あるいは切欠きを有する部材を
製造するときにも好適に実施できる。たとえば、第1工
程および第2工程で、外板を構成する複数層の強化繊維
層とストリンガを構成する複数層の強化繊維層とを段差
を介して積層した後、第3工程で外板の強化繊維層と、
ストリンガの強化繊維層とをステッチングする。その
後、第4工程において、さらに強化繊維層を積層し、こ
れに合成樹脂を含浸させた後、オートクレーブ内で高
温、高圧下で合成樹脂を硬化させる。これによっても、
プリプレグを用いて製造される複合材料と同等の強度お
よび耐剥離性を有する複合材料を製造することができ
る。
【0035】
【0036】
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、コンピュータシミュレ
ーションで応力解析して応力が急激に増加する領域を決
定する。次に、複合材料の一方の部位が予め定める複数
層の強化繊維層またはプリプレグを積層して形成され
る。次に、第1工程で積層した一方の部位に、予め定め
る複数層の強化繊維層またはプリプレグを段差を介して
積層し、一方の部位に他方の部位が形成される。次に、
一方の部位と他方の部位とが段差部近傍で段差に沿って
縫い合わされ、一方の部位および他方の部位に、強化繊
維層またはプリプレグがさらに積層される。プリプレグ
を積層する場合は、これを高温高圧で合成樹脂を硬化さ
せ、強化繊維層を積層する場合は、これに合成樹脂を含
浸させた後、高温高圧下で樹脂を硬化させて、複合材料
が形成される。
【0038】このように予め縫い合わせる部分の強化繊
維層のみを先に積層して縫い合わせ、その後残余の強化
繊維層またはプリプレグを積層することによって、予め
定める領域のみを正確に縫い合わせることができる。ま
た剥離とは関係ない領域の強化繊維層を傷めることがな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合材料の製造方法によって製造され
た胴体パネル21の一部を示す図である。
【図2】第3工程終了直後を示す図である。
【図3】プリプレグ27a,27b,27A,27Bを
ステッチング装置を用いて、本縫いする方法を示す図で
ある。
【図4】プリプレグ27a,27b,27A,27B
を、1本の強化繊維35で手縫いする方法である。
【図5】ストリンガ24の突部を省略して単純化した胴
体パネル21に圧縮荷重39を負荷した状態を示すモデ
ル図である。
【図6】ストリンガ24の突部を省略して単純化した胴
体パネル21に、引張荷重48を負荷した状態を示すモ
デル図である。
【図7】モデル化された胴体パネル21に、圧縮荷重3
9が負荷されたときの応力解析結果である。
【図8】モデル化された胴体パネル21に、引張荷重4
8が負荷されたときの応力解析結果を示す図である。
【図9】従来技術の複合材料の製造方法を示す図であ
る。
【符号の説明】
21 胴体パネル 23 外板 24 ストリンガ 31 ステッチング位置 32 境界層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B29C 70/00 - 70/88

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 航空機に用いられる複合材料であって、
    複数層の強化繊維を積層した一方の部位と、複数層の強
    化繊維を積層した他方の部位とが縫い合わせられ、段差
    を介して積層される複合材料の製造方法において、 コンピュータシミュレーションによって前記複合材料の
    モデルに引張りおよび圧縮荷重を作用させて応力解析
    し、荷重を作用させたときに応力が急激に増加する段差
    部近傍の領域を縫い合わせ領域として決定する工程と、 前記一方の部位のうち、前記縫い合わせ領域に含まれる
    強化繊維層、または強化繊維に合成樹脂を含浸させたプ
    リプレグを積層する工程と、 前記他方の部位のうち、前記縫い合わせ領域に含まれる
    強化繊維層またはプリプレグを、前記一方の部位に段差
    を介して積層する工程と、 積層された一方の部位の一部と他方の部位の一部のう
    ち、前記縫い合わせ領域に含まれる部分を、段差部に沿
    って縫い合わせて結合する工程と、 一方の部位および他方の部位の残りの強化繊維層または
    プリプレグを積層する工程とを有することを特徴とする
    複合材料の製造方法。
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