JP3271819B2 - 缶蓋及びその製造方法 - Google Patents

缶蓋及びその製造方法

Info

Publication number
JP3271819B2
JP3271819B2 JP10092093A JP10092093A JP3271819B2 JP 3271819 B2 JP3271819 B2 JP 3271819B2 JP 10092093 A JP10092093 A JP 10092093A JP 10092093 A JP10092093 A JP 10092093A JP 3271819 B2 JP3271819 B2 JP 3271819B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lid
metal plate
polyester film
based adhesive
thermosetting resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP10092093A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06312748A (ja
Inventor
俊三 宮崎
英幸 吉沢
道也 田村
浩二 松島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HOKKAICAN CO.,LTD.
Original Assignee
HOKKAICAN CO.,LTD.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by HOKKAICAN CO.,LTD. filed Critical HOKKAICAN CO.,LTD.
Priority to JP10092093A priority Critical patent/JP3271819B2/ja
Publication of JPH06312748A publication Critical patent/JPH06312748A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3271819B2 publication Critical patent/JP3271819B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Rigid Containers With Two Or More Constituent Elements (AREA)
  • Details Of Rigid Or Semi-Rigid Containers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、飲食物の缶詰等に用い
られる金属製の缶蓋及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】飲食物の缶詰に用いられる金属製の缶蓋
では、該缶蓋を形成する金属が内容物と接触すると、金
属製の缶蓋が腐食されたり、前記金属が溶出して内容物
のフレーバー性が変化したり、あるいは該缶蓋が缶胴部
と異種の金属からなる場合には缶蓋と缶胴部との接触部
分に内容物を介して部分電池が形成されて腐食が進行し
たりする虞れがある。そこで、従来、前記問題を防止す
るために、前記金属製缶蓋の缶内面側に保護被覆層を形
成することが行われている。
【0003】前記缶蓋には、別送蓋と呼ばれる内容物を
取り出す開口部を形成していない缶蓋と、イージーオー
プン缶蓋などのように前記開口部を形成している缶蓋と
がある。
【0004】前記別送蓋は、図2及び図3に示すよう
に、平板状のパネル部11の外周部にチャックウォール
12が形成されており、チャックウォール12の外方を
湾曲させて缶体に巻締めるためのシーミングパネル13
及び巻締部14が形成された構成となっている。また、
シーミングパネル13の下面にはシーリングコンパウン
ド15が塗布されている。前記別送蓋は、短冊状表面処
理金属板からなる缶体材料を丸めてその端部を溶接また
は接着して得られた缶胴部の一方の端部を閉蓋するため
のものであり、通常は前記缶胴部の一端にイージーオー
プン缶蓋が巻締められた有底のカップ状缶体とは別々に
缶詰製造業者に提供されるため、この呼称がある。缶詰
製造業者は、前記有底のカップ状缶体に内容物を充填し
たのち、前記別送蓋により該カップ状缶体の他方の開口
端部を閉蓋することにより、缶詰を製造する。
【0005】また、前記イージーオープン缶蓋には、プ
ルタブ型とステイオンタブ型とがあり、前者は後述する
ように開口すると開口用タブが缶蓋から引離されるタイ
プであり、後者は開口しても開口用タブが蓋表面につな
がったまま離れないタイプであって、いずれも一般に使
用されている。ここでは、簡単な構成のプルタブ型イー
ジーオープン缶蓋を例に挙げて説明する。
【0006】前記プルタブ型イージーオープン缶蓋は、
図4及び図5に示すように、平板状のパネル部11の外
周部にチャックウォール12が形成されており、チャッ
クウォール12の外方を湾曲させて缶体に巻締めるため
のシーミングパネル13及び巻締部14が形成されてい
る。また、シーミングパネル13の下面にはシーリング
コンパウンド15が塗布されている。そして、パネル部
11上に開口用部分16を画成するスコア17が設けら
れ、開口用部分16内のパネル部11を加工して設けら
れたリベット18に開口用プルタブ19が取着されて、
開口するときには開口用プルタブ19を引上げることに
より開口用部分16がスコア17に沿って破断されてパ
ネル部11から引離され、容易に開口できるようになっ
ている。前記イージーオープン缶蓋には、開口を容易に
するために、パネル部11上にスコア17に沿ってビー
ド20が設けられている。前記イージーオープン缶蓋
は、前記有底のカップ状缶体または金属板をしごき加
工、絞り加工して得られたカップ状の缶体の開口端部に
巻締められ、内容物を取り出す開口部を形成できるよう
にされている。
【0007】前記缶蓋において、従来、缶蓋を形成する
金属と内容物との接触を防止する保護被覆層として、樹
脂系塗料を塗装することにより形成される樹脂被覆層が
設けられている。ところが、前記樹脂被覆層は樹脂系塗
料を塗装する際にピンホールができることがあり、また
前記缶蓋は図2乃至図4に示す構成を有するので、シー
ミングパネル13及び巻締部14を形成する際に前記樹
脂被覆層に亀裂が生じることがあり、完全な保護効果が
得られない。さらに、イージーオープン缶蓋では、パネ
ル部11上にスコア17、リベット18及びビード20
を形成するために変形量の大きな加工が必要となり、前
記樹脂塗膜の亀裂や剥離が起きやすくなる。前記樹脂被
覆層のピンホール、亀裂、剥離部分等を補修するため
に、加工後にスプレー塗装などで被覆補正を行うことも
考えられるが、操作が煩雑になり、製造コストも嵩むと
の問題がある。
【0008】そこで、前記缶蓋に合成樹脂フィルムを接
着することにより、前記保護被覆層を形成することが提
案されている。例えば、特公平5−7262号公報に
は、アルミニウム板の缶内面となる側に熱可塑性ポリエ
ステルフィルムをエポキシフェノール樹脂系接着剤を介
して接着してなるイージーオープン缶蓋が開示されてい
る。
【0009】前記公報の記載によれば、アルミニウム板
の缶内面となる側に、ポリエチレンテレフタレートなど
の熱可塑性ポリエステル製のフィルムをエポキシフェノ
ール系樹脂接着剤を介して熱圧着して接着することによ
り、シーミングパネル及び巻締部を形成する際やスコア
及びリベット等を加工する際に、ピンホール、亀裂、た
るみ等を生じない、接着強度に優れた保護被覆層が得ら
れるとされている。
【0010】しかしながら、前記エポキシフェノール系
樹脂接着剤を用いて前記のような十分な接着力を得るた
めには長時間の加熱を要し、製造ラインが長くなるとの
不都合がある。また、缶蓋の製造及びその後の巻締め加
工等を考慮すると、前記保護被覆層はより接着力の高い
ことが望まれる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、上記
課題を解決するためになされたものであり、短時間の加
熱で前記保護被覆層と前記金属板との間で十分な接着強
度を得ることができる缶蓋及びその製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の缶蓋は、前記問
題を解決するために、金属板の少なくとも缶内面側にポ
リエステルフィルムを熱硬化型樹脂系接着剤層を介して
接着することにより該ポリエステルフィルムからなる保
護被覆層を形成してなる缶蓋において、該熱硬化型樹脂
系接着剤が、数平均分子量5000〜20000のエポ
キシ樹脂と無水トリメリット酸系硬化剤とを70/30
〜99/1の重量比で混合してなることを特徴とする。
【0013】本発明の缶蓋に用いる熱硬化型樹脂系接着
剤において、前記エポキシ樹脂の数平均分子量が500
0未満のときには接着強度が不足し、20000を超え
るときには高粘度となり塗布作業性が劣るので、共に好
ましくない。また、前記数平均分子量が5000未満で
あると、前記ポリエステルフィルムに予め塗布乾燥して
接着剤層を形成するときに、前記接着剤層の粘着性が高
くなり、タックフリー性が低下する。前記エポキシ樹脂
は、ビスフェノールとエピクロルヒドリンとの反応によ
り得られるビスフェノール型エポキシ樹脂であることが
好ましい。
【0014】前記熱硬化型樹脂系接着剤では、前記エポ
キシ樹脂の硬化剤として硬化性、塗布後の膜の耐ブロッ
キング性、タックフリー性等に優れている点から、無水
トリメリット酸系硬化剤が用いられる。無水トリメリッ
ト酸系硬化剤としては、無水トリメリット酸及びその誘
導体等を挙げることができる。無水トリメリット酸の誘
導体としては、例えば、グリセロールトリストリメリテ
ート無水物、無水トリメリット酸の二量体、エチレング
リコールビストリメリテート無水物等を挙げることがで
きる。
【0015】前記熱硬化型樹脂系接着剤では、前記エポ
キシ樹脂と無水トリメリット酸系硬化剤との重量比が9
9/1未満では高温で加熱しても前記エポキシ樹脂の硬
化に長時間を要し、また70/30を超える割合として
も前記エポキシ樹脂の硬化を促進する効果はそれ以上に
は向上されない。
【0016】尚、前記熱硬化型樹脂系接着剤は、前記無
水トリメリット酸系硬化剤以外にもフェノール樹脂等の
他の硬化剤を含んでいてもよく、さらに低分子量エポキ
シ樹脂、アクリル樹脂、アミノプラスト樹脂、ポリエス
テル樹脂、ウレタン樹脂、ポリシロキサン樹脂、有機ま
たは無機の顔料等を含んでいてもよい。
【0017】本発明の缶蓋では、前記金属板として、従
来公知の缶蓋材料用表面処理鋼板またはアルミ合金板が
用いられる。前記金属板は、板厚が0.10〜0.40
mmの範囲にあることが缶蓋としての使用に適してい
る。
【0018】前記金属板としては、例えば、次のような
ものを挙げることができる。第1に、基体鋼板の表面に
0.5〜2.0g/m2の量の錫がメッキされた錫メッキ
鋼板。第2に、基体鋼板の表面に形成された金属ニッケ
ルからなる下地層上に0.5〜1.7g/m2の量の錫が
メッキされ、基体鋼板上に錫量0.05g/m2以上で且
つ基体鋼板の表面積の10〜60%の範囲に分布してい
る錫層がまだら状または島状に形成されている錫メッキ
鋼板。第3に、基体鋼板の表面に形成された金属クロム
からなる下地層上に0.1〜1.0g/m2の量の錫がメ
ッキされている薄錫メッキ鋼板。第4に、基体鋼板の表
面に形成された盤状及び粒状の金属クロムからなる下地
層上に5〜50mg/m2の量の酸化クロム層が形成され
ているティン・フリー・スチール。第5に、基体鋼板の
一方の面には前記第2の錫メッキ鋼板と同じ構成の表面
処理が施され、他方の面には前記と異なる表面処理、例
えば、8.4g/m2の量の錫メッキが施されているブリ
キ板。前記第1乃至第5の表面処理鋼板は、いずれもそ
の表面に金属クロム層または酸化クロム層が設けられて
いてもよい。第6に、基体鋼板の表面に50〜150m
g/m2の量の金属クロム層が形成され、その上に5〜3
0mg/m2の量の金属クロム層が形成されている表面処
理鋼板。第7に、JIS−H4000に規定される合金
番号5182のアルミ合金板。第8に、JIS−H40
00に規定される合金番号5052のアルミ合金板。
【0019】本発明の缶蓋において、前記各金属板に接
着するポリエステルフィルムは、強度、透明性及びフレ
ーバーの保持などの対内容物適性に優れており、ジカル
ボン酸成分とジオール成分との重縮合により得られるポ
リエステルであればどのようなものであってもよいが、
テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸
等の芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ブチレングリコール等のジオール類
との重縮合により得られるポリエステルであることが好
ましく、テレフタル酸とエチレングリコールとの重縮合
により得られるポリエステル(ポリエチレンテレフタレ
ート)であることが特に好ましい。上記ポリエステル
は、所望に応じて上記ジカルボン酸成分またはジオール
成分に他のジカルボン酸成分またはジオール成分を含ん
でいてもよい。
【0020】ポリエチレンテレフタレートの他の前記好
ましいポリエステルとしては、特開昭51─42786
号、特開昭64─70352号、特開平2─24273
8号等の各公報に記載されているポリエステルを挙げる
ことができる。
【0021】前記ポリエステルフィルムの厚さは、5〜
50μmの範囲にあることが好ましい。5μm以下であ
るときには缶蓋の腐食、金属の溶出を防止する効果が十
分に得られず、加工時にピンホールや亀裂を生じる虞れ
がある。また、50μm以上であるときには残留応力が
大きくなり、缶胴部に二重巻締めする際に缶蓋に対する
密着性が低くなることがある。
【0022】前記ポリエステルフィルムは、材料物性の
面からは未延伸ポリエステルフィルム、延伸ポリエステ
ルフィルム、共重合ポリエステルフィルムなどを適宜用
いて差し支えないが、イージーオープン缶蓋等のように
スコア、リベット及びビード等の変形量の大きい加工を
施す必要がある場合には別送蓋におけるよりもフィルム
厚さを大きくすることが望ましく、またポリエステルと
しても加工性に優れた共重合ポリエステルフィルムが適
している。前記共重合ポリエステルフィルムとしては、
例えば、テレフタル酸の一部をイソフタル酸で置換した
タイプ、或はエチレングリコールの一部をブチレングリ
コールに置換したような共重合ポリエステルフィルム等
を挙げることができる。
【0023】本発明の缶蓋では、前記金属板の缶外面側
にも前記保護被覆層が形成されていてもよいが、缶外面
側は内容物と接触せず高度の耐腐食性は要求されないの
で、表面保護のために塗料を塗装することにより樹脂被
覆層を形成してもよい。前記樹脂被覆層を形成する塗料
としては、例えば、エポキシフェノール樹脂系塗料、エ
ポキシウレア樹脂系塗料等を挙げることができる。
【0024】本発明の缶蓋は、ポリエステルフィルムの
一方の面に数平均分子量5000〜20000のエポキ
シ樹脂と無水トリメリット酸系硬化剤とを70/30〜
99/1の重量比で混合してなる熱硬化型樹脂系接着剤
を塗布し、実質的に該熱硬化型樹脂系接着剤の硬化反応
が進まない温度に加熱して乾燥し、該ポリエステルフィ
ルム上に熱硬化型樹脂系接着剤層を形成する熱硬化型樹
脂系接着剤層形成工程と、金属板を加熱して、該金属板
の少なくとも缶内面側に前記熱硬化型樹脂系接着剤層が
形成されたポリエステルフィルムを該熱硬化型樹脂系接
着剤層を介して接着し、該ポリエステルフィルムからな
る保護被覆層を形成する保護被覆層形成工程と、前記保
護被覆層が形成された金属板から缶蓋を形成する缶蓋形
成工程とからなる製造方法により有利に製造することが
できる。
【0025】前記製造方法では、前記保護被覆層形成工
程において、前記金属板と前記ポリエステルフィルムと
をさらに確実に接着するために、まず、加熱された前記
金属板に前記ポリエステルフィルムを熱硬化型樹脂系接
着剤層を介して仮接着し、次いで該ポリエステルフィル
ムが仮接着された金属板をさらに加熱して該熱硬化型樹
脂系接着剤を硬化させて接着することが好ましい。
【0026】前記ポリエステルフィルムの仮接着のため
の加熱は、前記ポリエステルフィルムを前記熱硬化型樹
脂系接着剤を介して前記金属板に粘着させることができ
る程度であればよく、前記金属板の温度が120〜25
0℃となる範囲で行う。前記加熱は前記金属板の温度が
120℃以下では十分な接着力が得られないことがあ
り、250℃以上では後工程で前記熱硬化型樹脂系接着
剤を硬化させる際に必要な活性基が過早に失われること
がある。また、前記熱硬化型樹脂系接着剤を硬化させる
ための前記金属板の加熱は180〜225℃の範囲の温
度で行う。
【0027】
【作用】本発明によれば、金属板にポリエステルフィル
ムを接着する際に、数平均分子量5000〜20000
のエポキシ樹脂と無水トリメリット酸系硬化剤とを70
/30〜99/1の重量比で混合してなる熱硬化型樹脂
系接着剤を用いるので、前記ポリエステルフィルムから
なる保護被覆層が前記金属板に前記熱硬化型樹脂系接着
剤層を介して確実に接着されている缶蓋が得られる。従
って、本発明の缶蓋では、製蓋時の加工により前記保護
被覆層にピンホール、亀裂、たるみなどが発生すること
が防止される。
【0028】本発明の缶蓋は、前記金属板の缶外面側に
も前記保護被覆層が形成されていてもよいが、缶外面側
は内容物と接触せず高度の耐腐食性は要求されないの
で、塗料を塗装することによる樹脂被覆層が形成されて
いることによってもその表面を保護することができる。
【0029】本発明の製造方法によれば、まず、前記ポ
リエステルフィルムの一方の面に前記熱硬化型樹脂系接
着剤を塗布し、実質的に該熱硬化型樹脂系接着剤の硬化
反応が進まない温度に加熱して乾燥することにより、前
記熱硬化型樹脂系接着剤層が形成されたポリエステルフ
ィルムが得られる。次いで、金属板を加熱して、該金属
板の少なくとも缶内面側に前記ポリエステルフィルムを
前記熱硬化型樹脂系接着剤層を介して接着することによ
り、前記熱硬化型樹脂系接着剤が短時間で硬化して前記
ポリエステルフィルムと前記金属板との間で十分な接着
強度が得られ、前記ポリエステルフィルムからなる保護
被覆層が形成される。次に、前記保護被覆層が形成され
た金属板から缶蓋を形成することにより、前記構成の缶
蓋が得られる。
【0030】また、本発明の製造方法では、前記保護被
覆層を形成する際には前記加熱を十分に行うことが望ま
しいが、加熱された前記金属板に前記ポリエステルフィ
ルムを熱硬化型樹脂系接着剤層を介して仮接着し、次い
で該ポリエステルフィルムが仮接着された金属板を加熱
して該熱硬化型樹脂系接着剤を硬化させて接着すること
により、前記加熱を短時間で行うことができるととも
に、前記金属板と前記ポリエステルフィルムとがさらに
確実に接着される。
【0031】
【実施例1】次に、添付の図面を参照しながら本発明に
ついてさらに詳しく説明する。図1は本発明の缶蓋の構
成を示す説明的断面図、図2は本発明の缶蓋の一例を示
す上面図、図3は図2のIII−III線断面図、図4
は本発明の缶蓋の他の例を示す上面図、図5は図4のV
−V線断面図、図6は本発明の製造方法において金属板
に保護被覆層を形成する加工装置の概略を示す平面図、
図7は図6示の装置の搬送路の構成を示す正面図であ
る。
【0032】本実施例の別送蓋は、図1(a)示のよう
に、金属板1の缶内面側にポリエステルフィルム2が、
数平均分子量5000〜20000のエポキシ樹脂と、
グリセロールトリストリメリテート無水物とが70/3
0〜99/1の重量比で混合されている熱硬化型樹脂系
接着剤層3を介して接着されて、保護被覆層4が形成さ
れている。
【0033】本実施例の別送蓋は、図1(a)の構成を
有するとともに、図2及び図3に示すように、平板状の
パネル部11の外周部にチャックウォール12が形成さ
れており、チャックウォール12の外方を湾曲させてシ
ーミングパネル13及び巻締部14が形成され、シーミ
ングパネル13の下面にはシーリングコンパウンド15
が塗布されている。
【0034】前記別送蓋では、金属板1として、基体鋼
板の一方の表面には金属ニッケルからなる下地層が形成
され、その上に0.5〜1.7g/m2の量の錫がメッキ
されて基体鋼板上に錫量0.05g/m2以上で且つ基体
鋼板の表面積の10〜60%の範囲に分布している錫層
がまだら状または島状に形成されており、他方の面には
8.4g/m2の量の錫メッキが施されている厚さ0.2
1mmのブリキ板(以下、TNDブリキ板と略記する)
が用いられている。また、ポリエステルフィルム2とし
ては、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ート(以下、PETと略記する)フィルムが用いられて
おり、熱硬化型樹脂系接着剤層3には、数平均分子量1
0000のエポキシ樹脂と、グリセロールトリストリメ
リテート無水物とが97/3の重量比で混合されている
熱硬化型樹脂系接着剤が用いられている。
【0035】次に、前記別送蓋の製造方法について説明
する。
【0036】前記別送蓋の製造に当たっては、まず、長
尺のポリエステルフィルム(2軸延伸PETフィルム)
2を引き出してその一方の面にコロナ放電処理を施し、
該コロナ放電処理を施した面に前記エポキシ樹脂とグリ
セロールトリストリメリテート無水物とを前記重量比で
有機溶剤に溶解した樹脂溶液をグラビアロールにより5
7m/分の速度で塗布した。そして、接着剤の硬化反応
が進行しないように120℃の温度で10秒間乾燥さ
せ、前記熱硬化型樹脂系接着剤からなる接着剤層3を形
成し、巻き取った。前記熱硬化型樹脂系接着剤層3が形
成されたポリエステルフィルム2では、前記熱硬化型樹
脂系接着剤層3がブロッキングを起こさないので、巻き
取ったときのタックフリー性に優れている。従って、巻
き取ったポリエステルフィルム2を次の工程で引き出し
て使用するときに支障を来す虞れがない。
【0037】次に、図6及び図7に示す装置により、別
送蓋用の金属板(TNDブリキ板)1を加熱して、金属
板1の缶内面となる側にポリエステルフィルム2を熱硬
化型樹脂系接着剤層3を介して接着した。ポリエステル
フィルム2を加熱接着する装置は、図6示のように、金
属板1を搬送しながらその一方の面にポリエステルフィ
ルム2を仮接着する搬送路21を中心にその上流側に金
属板供給手段22が設けられ、下流側にポリエステルフ
ィルム2が仮接着された金属板1を加熱することにより
熱硬化型樹脂系接着剤層3を硬化させて接着する加熱オ
ーブン23、加熱された金属板1を冷却する冷却手段2
4が設けられている。金属板1は長尺状で所定の幅を有
しており、、図7示のように、金属板供給手段22のコ
イル22aに巻装されて備えられている。
【0038】前記搬送路21には、図7に示すように、
上流側から順に、金属板供給手段22から供給される金
属板1を搬送路21に導くフィードローラ25、金属板
1を予熱する高周波加熱装置26、予熱された金属板1
にポリエステルフィルム2を圧着して仮接着する圧着ロ
ーラ27、長尺のポリエステルフィルム2が仮接着され
た金属板1を所定の長さに裁断するナイフシリンダ28
が設けられ、末端部には裁断された金属板1を払い出す
払出し手段29が設けられている。尚、圧着ローラ27
はそれ自体加熱できるようになっており、加熱手段を兼
ねている。
【0039】また、搬送路21の上方には、長尺のポリ
エステルフィルム2が巻装されたコイル30からポリエ
ステルフィルム2を引き出して圧着ローラ27に供給す
るフィルム供給手段31が設けられている。
【0040】図6及び図7に示す装置によれば、まず、
金属板供給手段22によりコイル22aから長尺状の金
属板1が引き出される。長尺状の金属板1は、フィード
ローラ25を介して搬送路21に供給され、搬送路21
上を60m/分の速度で搬送される。次いで、金属板1
は搬送路21上で高周波加熱装置26により220℃に
予熱され、圧着ローラ27に導かれる。圧着ローラ27
は170℃に加熱されており、フィルム供給手段31か
ら供給されるポリエステルフィルム2が、熱硬化型樹脂
系接着剤層3が形成されている面で金属板1に熱圧着さ
れて仮接着される。
【0041】次に、ポリエステルフィルム2が仮接着さ
れた金属板1は、ナイフシリンダ28により所定の長さ
に裁断され、払出し手段30により搬送路21から払い
出されて加熱オーブン23に導かれる。金属板1は、加
熱オーブン23中で215℃で1分間加熱されることに
より熱硬化型樹脂系接着剤層3が硬化し、ポリエステル
フィルム2が確実に接着される。
【0042】次に、金属板1は冷却手段24により冷却
される。金属板1は、加熱オーブン23で加熱された
後、単に放冷することによって冷却されてもよいが、冷
却手段24を設けることにより短時間で冷却されるの
で、製造ラインを短縮することができる。
【0043】次に、前記保護被覆層4が形成された金属
板1を従来公知の製蓋装置で加工して、前記構成の別送
蓋を製造した。
【0044】本実施例のフィルムラミネートイージーオ
ープン缶蓋(以下、イージーオープン缶蓋(A)と記載
する)は、図1(b)示のように、金属板1の缶内面側
にポリエステルフィルム2が、数平均分子量5000〜
20000のエポキシ樹脂と、グリセロールトリストリ
メリテート無水物とが70/30〜99/1の重量比で
混合されている熱硬化型樹脂系接着剤層3を介して接着
されて、保護被覆層4が形成されており、缶外面側には
エポキシウレア樹脂系塗料から形成された樹脂被覆層5
が設けられている。
【0045】本実施例のイージーオープン缶蓋(A)
は、図1(b)の構成を有するとともに、図4及び図5
に示すように、図3及び図4示の別送蓋の構成に加え
て、パネル部11上に開口用部分16を画成するスコア
17が設けられ、開口用部分16内のパネル部11を加
工して設けられたリベット18に開口用プルタブ19が
取着されて、開口するときには開口用プルタブ19を引
き上げることにより開口用部分16がスコア17に沿っ
て破断され、容易に開口できるようになっている。前記
イージーオープン缶蓋(A)には、開口を容易にするた
めに、パネル部11上にスコア17に沿ってビード20
が設けられている。
【0046】前記イージーオープン缶蓋(A)では、金
属板1として、厚さ0.30mmのJIS−H4000
に規定される合金番号5182のアルミ合金板(以下、
5182アルミ板と略記する)が用いられている。ま
た、ポリエステルフィルム2としては、ポエチレンテレ
フタレートとエチレングリコールとからなり、少量のイ
ソフタル酸を共重合した組成で厚さ20μmの共重合ポ
リエステルフィルムが用いられており、熱硬化型樹脂系
接着剤層3には、数平均分子量が10000のエポキシ
樹脂と、グリセロールトリストリメリテート無水物とが
97/3の重量比で混合されている熱硬化型樹脂系接着
剤が用いられている。
【0047】次に、前記イージーオープン缶蓋の製造方
法について説明する。
【0048】前記イージーオープン缶蓋の製造に当たっ
ては、まず、長尺のポリエステルフィルム(前記共重合
ポリエステルフィルム)2を引き出し、前記別送蓋用の
ポリエステルフィルム2と同様にして前記エポキシ樹脂
とグリセロールトリストリメリテート無水物とを前記重
量比で有機溶剤に溶解した樹脂溶液を塗布、乾燥させ、
前記熱硬化型樹脂系接着剤からなる接着剤層3を形成
し、巻き取った。前記熱硬化型樹脂系接着剤層3が形成
されたポリエステルフィルム2では、前記熱硬化型樹脂
系接着剤層3がブロッキングを起こさないので、巻き取
ったときのタックフリー性に優れている。従って、巻き
取ったポリエステルフィルム2を次の工程で引き出して
使用するときに支障を来す虞れがない。
【0049】次に、図6及び図7に示す装置により、前
記別送蓋を製造する場合と同様にして、イージーオープ
ン缶蓋用の長尺状金属板(5182アルミ板)1を加熱
して金属板1の缶内面となる側に、ポリエステルフィル
ム2を熱硬化型樹脂系接着剤層3を介して接着した。
【0050】次に、前記のようにして、ポリエステルフ
ィルム2が接着されて保護被覆層4が形成された金属板
1の缶外面側に、エポキシウレア樹脂系塗料を塗布、焼
き付け乾燥させて前記樹脂塗膜からなる樹脂被覆層5を
形成した。
【0051】次に、前記保護被覆層4及び樹脂被覆層5
が形成された金属板1を従来公知のイージーオープン缶
蓋製造装置で加工して、前記構成のイージーオープン缶
蓋(A)を製造した。
【0052】次に、前記別送蓋及び前記イージーオープ
ン缶蓋(A)における金属板1に対するポリエステルフ
ィルム2の密着性を観察してその接着性を評価するとと
もに、ピンホール、亀裂等の金属露出部の有無を調べた
ところ、接着性は良好であり、金属露出部もなかった。
前記の結果を別送蓋についてのみ表1に示す。
【0053】次に、両側端部を除く両面をポリエステル
フィルムで被覆した表面処理鋼板を丸め、前記両側端部
を重ね合わせて溶接接合してなる溶接缶胴の両端部にネ
ックイン加工し、その一端に前記イージーオープン缶蓋
(A)を二重巻締めして溶接缶体を製造した。尚、前記
溶接缶胴は、缶内面側の溶接継目部にエポキシフェノー
ル樹脂系補正塗料による被覆補正が施されている。前記
溶接缶体にコーヒーを充填し、開口端部に前記別送蓋を
二重巻締めしたのち、124℃で25分の加熱殺菌処理
(レトルト殺菌処理)を行って缶詰を製造した。前記缶
詰を37℃で6か月保存したのち、開缶し、缶蓋の保護
被覆層の外観を観察した。結果を表1に示す。
【0054】
【実施例2】実施例1と全く同様にして別送蓋を製造
し、該別送蓋における金属板1に対するポリエステルフ
ィルム2の密着性を観察してその接着性を評価するとと
もに、ピンホール、亀裂等の金属露出部の有無を調べ
た。結果を表1に示す。
【0055】次に、実施例1で用いたものと同じ518
2アルミ板を用い、常法に従って、蓋内面エポキシフェ
ノール樹脂被覆イージーオープン缶蓋(以下、イージー
オープン缶蓋(B)と記載する)を製造した。イージー
オープン缶蓋(B)は、缶内面となる側にはエポキシフ
ェノール樹脂系塗料をダブルコートして樹脂塗膜が形成
されており、缶外面となる側にはエポキシウレア樹脂系
塗料を塗布、焼き付け乾燥させて前記樹脂塗膜からなる
樹脂被覆層が形成されている。イージーオープン缶蓋
(B)は、実施例1のイージーオープン缶蓋(A)にお
けるポリエステルフィルム2が熱硬化型樹脂系接着剤層
3を介して接着されている保護被覆層4に代えて、前記
樹脂塗膜を形成した以外は、イージーオープン缶蓋
(A)と同様の構成であり、従来公知のものである。
【0056】次に、実施例1と同様にして製造した溶接
缶胴の両端部にネックイン加工し、その一端に前記従来
公知のイージーオープン缶蓋(B)を二重巻締めして溶
接缶体を製造した。前記溶接缶体にコーヒーを充填し、
開口端部に前記別送蓋を二重巻締めしたのち、実施例1
と同様のレトルト殺菌処理を行って缶詰を製造した。前
記缶詰を37℃で6か月保存したのち、開缶し、缶蓋の
保護被覆層の外観を観察した。結果を表1に示す。
【0057】
【実施例3】本実施例の別送蓋は、金属板1として基体
鋼板の表面に盤状及び粒状の金属クロムからなる下地層
が形成され、その上に10mg/m2の量の金属クロム・
酸化クロム層が形成されている厚さ0.21mmのティ
ン・フリー・スチール材(以下、TFS材と略記する)
を用い、図1(b)に示すように金属板1の缶外面側に
樹脂被覆層5が形成されている以外は、実施例1の別送
蓋と同様の構成となっている。
【0058】前記別送蓋は、図6及び図7に示す装置に
より、前記別送蓋用の金属板(TFS材)1を加熱し
て、金属板1の缶内面となる側にポリエステルフィルム
(PETフィルム)2を熱硬化型樹脂系接着剤層3を介
して加熱下に接着する際に、原板から所定幅に裁断され
た短冊状金属板1を金属板供給手段22により搬送路2
1に供給し、高周波加熱装置26により金属板1を24
5℃に予熱し、160℃に加熱された圧着ローラ27に
よりポリエステルフィルム2を金属板1に接着して、加
熱オーブン23を用いない以外は、実施例1の別送蓋と
同様にして製造した。
【0059】次に、前記別送蓋における金属板1に対す
るポリエステルフィルム2の密着性を観察してその接着
性を評価するとともに、ピンホール、亀裂等の金属露出
部の有無を調べた。結果を表1に示す。
【0060】次に、実施例1と同様にして製造した溶接
缶胴の両端部にネックイン加工し、その一端に前記従来
公知のイージーオープン缶蓋(B)を二重巻締めして溶
接缶体を製造した。前記溶接缶体に煎茶を充填し、開口
端部に前記別送蓋を二重巻締めしたのち、実施例1と同
様のレトルト殺菌処理を行って缶詰を製造した。前記缶
詰を37℃で6か月保存したのち、開缶し、缶蓋の保護
被覆層の外観を観察した。結果を表1に示す。
【0061】
【実施例4】本実施例の別送蓋は、図1(b)示の構成
において金属板1として、厚さ0.25mmの5182
アルミ板を用い、図1(b)に示すように金属板1の缶
外面側に樹脂被覆層5が形成されている以外は、実施例
1の別送蓋と同様の構成となっている。
【0062】前記別送蓋は、図6及び図7に示す装置に
より、前記別送蓋用の金属板(5182アルミ板)1を
加熱して、金属板1の缶内面となる側にポリエステルフ
ィルム(PETフィルム)2を熱硬化型樹脂系接着剤層
3を介して接着する際に、原板から所定幅に裁断された
短冊状金属板1を金属板供給手段22により搬送路21
に供給し、高周波加熱装置26により金属板1を170
℃に予熱し、170℃に加熱された圧着ローラ27によ
りポリエステルフィルム2を金属板1に仮接着する以外
は、実施例1の別送蓋と同様にして製造した。
【0063】次に、前記別送蓋における金属板1に対す
るポリエステルフィルム2の密着性を観察して接着性を
評価するとともに、ピンホール、亀裂等の金属露出部の
有無を調べた。結果を表1に示す。
【0064】次に、実施例1と同様にして製造した溶接
缶胴の両端部にネックイン加工し、その一端に前記従来
公知のイージーオープン缶蓋(B)を二重巻締めして溶
接缶体を製造した。前記溶接缶体にレモンティーを充填
し、開口端部に前記別送蓋を二重巻締めしたのち、実施
例1と同様のレトルト殺菌処理を行って缶詰を製造し
た。前記缶詰を37℃で6か月保存したのち、開缶し、
缶蓋の保護被覆層の外観を観察した。結果を表1に示
す。
【0065】
【実施例5】本実施例の別送蓋は、実施例1において、
イージーオープン缶蓋(A)用に製造された保護被覆層
4及び樹脂被覆層5が形成された金属板(5182アル
ミ板)1を従来公知の製蓋装置で加工することにより製
造した。
【0066】次に、前記別送蓋における金属板1に対す
るポリエステルフィルム2の密着性を観察してその接着
性を評価するとともに、ピンホール、亀裂等の金属露出
部の有無を調べた。結果を表1に示す。
【0067】次に、実施例1と同様にして製造した溶接
缶胴の両端部にネックイン加工し、その一端に前記従来
公知のイージーオープン缶蓋(B)を二重巻締めして溶
接缶体を製造した。前記溶接缶体にスポーツドリンクを
80〜90℃の温度に加熱した状態で充填(ホットパッ
ク充填)したのち、開口端部に前記別送蓋を二重巻締め
して缶詰を製造した。前記缶詰を37℃で6か月保存し
たのち、開缶し、缶蓋の保護被覆層の外観を観察した。
結果を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】表1において、E・O缶蓋はイージーオー
プン缶蓋、PEはポリエステルを意味する。また、E・
O缶蓋の種類の項で、Aは本発明に係わるイージーオー
プン缶蓋(A)を示し、Bは従来公知のイージーオープ
ン缶蓋(B)を示すものである。
【0070】表1から、本発明の缶蓋では、前記保護被
覆層は各種加工後にも前記金属板によく密着しており、
ピンホール、亀裂等の金属露出部が無く、前記保護被覆
層の金属板に対する接着性が優れていることが明らかで
ある。また、前記保護被覆層は、保存後の保護被覆層の
外観からレトルト殺菌処理によっても白化せず長期保存
後にも前記金属板によく密着していることが明らかであ
る。
【0071】尚、前記各実施例では短冊状金属板からな
る缶体材料を丸めてその端部を溶接または接着して得ら
れた缶胴部の端部に前記別送蓋及びイージーオープン缶
蓋を巻締めるスリーピース缶について記載されている
が、本発明の缶蓋は金属板をしごき加工、絞り加工して
得られたカップ状の缶体の開口端部にイージーオープン
缶蓋等を巻締めるツーピース缶に使用されるものであっ
てもよい。また、本発明の缶蓋は、エアゾール缶の底蓋
あるいはドーム状部等に適用することもできる。
【0072】尚、前記各実施例ではポリエステルフィル
ム2を接着する金属板1として長尺状の金属板1をコイ
ル22aから引き出して使用しているが、原板を所定幅
ごとに裁断してなる短冊状の金属板1を用いてもよい。
前記短冊状の金属板1を用いるときにも加熱条件等は長
尺状の金属板1と同様にして行うことができるが、短冊
状金属板1が長尺状のポリエステルフィルム2により連
結されるので、ナイフシリンダ28により短冊状金属板
1の1枚ごとに裁断する。また、ポリエステルフィルム
2を短冊状金属板1に仮接着する際に、短冊状金属板
1,1の間の部分での熱硬化型樹脂系接着剤層3と下側
の圧着ローラ27との接触が無いように、或はできるだ
け接触を避けるように配慮する必要がある。尚、本発明
の前記熱硬化型樹脂系接着剤層3はタックフリー性に優
れているので、圧着ローラ27への耐粘着性の点でも好
ましい。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、数平均分子量5000
〜20000のエポキシ樹脂と無水トリメリット酸系硬
化剤とを70/30〜99/1の重量比で混合してなる
熱硬化型樹脂系接着剤を用いることにより、ポリエステ
ルフィルムを前記金属板に前記熱硬化型樹脂系接着剤層
を介して確実に接着することができ、前記ポリエステル
フィルムからなり前記金属板に対する接着性に優れた保
護被覆層を有する缶蓋を得ることができる。
【0074】本発明の缶蓋は、内容物に接触しない缶外
面側は樹脂被覆層を形成することにより、その表面を保
護することができる。
【0075】本発明の製造方法によれば、金属板を加熱
して、その一方の面に前記熱硬化型樹脂系接着剤層が形
成されたポリエステルフィルムを前記熱硬化型樹脂系接
着剤層を介して接着することにより、前記熱硬化型樹脂
系接着剤が短時間で硬化して前記ポリエステルフィルム
と前記金属板との間で十分な接着強度が得られ、前記ポ
リエステルフィルムからなる保護被覆層を形成すること
ができる。
【0076】また、本発明の製造方法では、前記保護被
覆層を形成する際に、加熱された前記金属板に前記ポリ
エステルフィルムを熱硬化型樹脂系接着剤層を介して仮
接着し、次いで該ポリエステルフィルムが仮接着された
金属板を加熱して該熱硬化型樹脂系接着剤を硬化させて
接着することにより、前記金属板と前記ポリエステルフ
ィルムとを短時間の加熱でさらに確実に接着することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の缶蓋の構成を示す説明的断面図。
【図2】本発明の缶蓋の一例を示す上面図。
【図3】図2のIII−III線断面図。
【図4】本発明の缶蓋の他の例を示す上面図。
【図5】図4のV−V線断面図。
【図6】本発明の製造方法において金属板に保護被覆層
を形成する加工装置の概略を示す平面図。
【図7】図6示の装置の搬送路の構成を示す正面図。
【符号の説明】
1…金属板、 2…ポリエステルフィルム、 3…熱硬
化型樹脂系接着剤層、4…保護被覆層、 5…樹脂被覆
層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松島 浩二 埼玉県岩槻市鹿室839−1 北海製罐株 式会社技術本部内 (56)参考文献 特開 平1−124551(JP,A) 特開 昭63−125152(JP,A) 特開 昭62−227643(JP,A) 特開 昭56−36562(JP,A) 特開 昭61−287537(JP,A) 特開 平1−182248(JP,A) 特開 昭62−235062(JP,A) 特開 昭62−52044(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 15/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属板の少なくとも缶内面側にポリエステ
    ルフィルムを熱硬化型樹脂系接着剤層を介して接着する
    ことにより該ポリエステルフィルムからなる保護被覆層
    を形成してなる缶蓋において、 該熱硬化型樹脂系接着剤が、数平均分子量5000〜2
    0000のエポキシ樹脂と無水トリメリット酸系硬化剤
    とを70/30〜99/1の重量比で混合してなること
    を特徴とする缶蓋。
  2. 【請求項2】前記金属板の缶外面側に樹脂被覆層が形成
    されていることを特徴とする請求項1記載の缶蓋。
  3. 【請求項3】ポリエステルフィルムの一方の面に数平均
    分子量5000〜20000のエポキシ樹脂と無水トリ
    メリット酸系硬化剤とを70/30〜99/1の重量比
    で混合してなる熱硬化型樹脂系接着剤を塗布し、実質的
    に該熱硬化型樹脂系接着剤の硬化反応が進まない温度に
    加熱して乾燥し、該ポリエステルフィルム上に熱硬化型
    樹脂系接着剤層を形成する熱硬化型樹脂系接着剤層形成
    工程と、 金属板を加熱して、該金属板の少なくとも缶内面側に前
    記熱硬化型樹脂系接着剤層が形成されたポリエステルフ
    ィルムを該熱硬化型樹脂系接着剤層を介して接着し、該
    ポリエステルフィルムからなる保護被覆層を形成する保
    護被覆層形成工程と、 前記保護被覆層が形成された金属板から缶蓋を形成する
    缶蓋形成工程とからなることを特徴とする缶蓋の製造方
    法。
  4. 【請求項4】前記保護被覆層形成工程が、加熱された前
    記金属板に前記ポリエステルフィルムを熱硬化型樹脂系
    接着剤層を介して仮接着し、次いで該ポリエステルフィ
    ルムが仮接着された金属板をさらに加熱して該熱硬化型
    樹脂系接着剤を硬化させて接着することを特徴とする請
    求項3記載の缶蓋の製造方法。
JP10092093A 1993-04-27 1993-04-27 缶蓋及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3271819B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10092093A JP3271819B2 (ja) 1993-04-27 1993-04-27 缶蓋及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10092093A JP3271819B2 (ja) 1993-04-27 1993-04-27 缶蓋及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06312748A JPH06312748A (ja) 1994-11-08
JP3271819B2 true JP3271819B2 (ja) 2002-04-08

Family

ID=14286787

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10092093A Expired - Fee Related JP3271819B2 (ja) 1993-04-27 1993-04-27 缶蓋及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3271819B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4681354B2 (ja) * 2005-06-06 2011-05-11 大和製罐株式会社 開口容易缶蓋
JP6224388B2 (ja) * 2013-01-15 2017-11-01 北海製罐株式会社 樹脂被覆金属板の製造方法
JP7401721B2 (ja) * 2019-03-04 2023-12-20 株式会社インテリムジャパン 転写方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06312748A (ja) 1994-11-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2972422B2 (ja) 溶接缶体
EP0666124B1 (en) Seamless can and a method of producing the same
US3819085A (en) Lap side seam of metal, tubular body and method for making same
KR101008503B1 (ko) 나사가 있는 캔용기
JPH07507525A (ja) 積層金属板
JPH03133523A (ja) 薄肉化絞り缶の製造方法
US5863624A (en) Can-covering polyester film and production process thereof
US8133542B2 (en) Resin-coated metal plate and drawn cans using these plates
US20120141232A1 (en) Laminated steel sheet for two-piece can, method for manufacturing two-piece can, and two-piece laminated can
JP3271819B2 (ja) 缶蓋及びその製造方法
JPH0780253B2 (ja) ラミネート材から成る容器蓋
JPH03236954A (ja) スリーピース缶用フィルム積層鋼帯およびその製造方法
JP2001121648A (ja) アルミニウム製缶材料、缶及び缶蓋
JPH0598465A (ja) 加工耐食性に優れた薄肉化深絞り缶用樹脂被覆錫めつ き鋼板の製造方法
JP3259416B2 (ja) 溶接缶用ラミネート鋼板
JP3693820B2 (ja) 熱可塑性樹脂被覆金属板を用いた缶蓋の製造方法および缶蓋
JP4775532B2 (ja) 樹脂被覆シームレス缶
JPH0631362A (ja) 密着性の優れたラミネート鋼板製多段絞り缶の製造方法
JP4587423B2 (ja) 3ピース缶用溶接缶胴の製造方法
JP2002113809A (ja) 樹脂フィルム積層めっき鋼板、それを用いた缶、および樹脂フィルム積層めっき鋼板の製造方法
JP3298971B2 (ja) 缶体材料被覆用ポリエステルフィルム及びその製造方法
JP3954451B2 (ja) 溶接缶の溶接部の補正テープおよびそれを用いて溶接部を補正してなる缶
JP4078780B2 (ja) 溶接缶胴及びその製法
JP2723511B2 (ja) 塗装された溶接缶胴
JPS60183070A (ja) 溶接缶体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 7

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090125

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 7

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090125

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 8

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100125

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110125

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110125

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120125

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130125

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees