JP3269237B2 - 表面処理方法 - Google Patents

表面処理方法

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JP3269237B2 JP34810793A JP34810793A JP3269237B2 JP 3269237 B2 JP3269237 B2 JP 3269237B2 JP 34810793 A JP34810793 A JP 34810793A JP 34810793 A JP34810793 A JP 34810793A JP 3269237 B2 JP3269237 B2 JP 3269237B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハロゲン原子、酸素原
子及び窒素原子の少なくとも1つの原子を含むガスの存
在下においてコロナ放電させ、これにより発生したガス
で各種材料に親水化、官能基の付与、コーティング、エ
ッチングなどの表面処理を施す表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
基材表面を処理して親水性、撥水性、接着性等を与える
ための表面改質方法(表面処理方法)として、いくつか
の方法が知られている。例えば、加硫ゴムの表面処理
は、加硫ゴムをゴム材料や金属、樹脂等の他材料と接合
して複合材料を製造したり、加硫ゴムに塗装を施すため
の前処理などとして採用されており、従来種々の表面処
理方法がある。
【0003】加硫ゴムの表面処理方法としては、加硫ゴ
ムに接着性を付与するために加硫ゴムの表面を強酸、強
酸化剤で強力に酸化して表面全体に微細な亀裂を発生さ
せる方法が知られているが、この方法は強酸、強酸化剤
の取扱いに十分な注意を要し、また強酸、強酸化剤によ
って加硫ゴムの表面が著しく損なわれ、しかも十分な接
着力を与え難いという問題点がある。
【0004】また、加硫ゴムを塩素ガスにさらしたり、
塩素ガスを通した水に浸漬する塩素処理法、擬ハロゲン
化合物を用いて表面処理する方法(特公昭52−369
10号公報参照)も提案されている。これらの方法は、
いずれもゴム中の二重結合を攻撃し、Cl基を形成して
接着しやすい表面にする表面処理方法であるが、これら
の方法で加硫ゴムの表面処理を行った場合、例えば金属
や樹脂などの他材料と複合化して防振ゴム(NR/SB
R系)を製造する際に被処理表面が樹脂化してしまうの
で、接着性、耐熱性が不良となるという問題点がある。
また、被処理表面が黄変するという問題点もあり、例え
ばこの方法を用いてバラタ材(トランスポリイソプレ
ン)を主成分とする加硫ゴムからなるゴルフボールカバ
ーに表面処理を施し、塗装してゴルフボールを製造した
場合、ゴルフボールの外観が損なわれるという問題点が
ある。更に、塩素ガスや擬ハロゲン化合物は環境破壊を
引き起こすという問題点もある。
【0005】更に別の表面処理方法としてO2やCF4
2との混合ガス等のガスを用い、低圧グロープラズマ
処理法により加硫ゴムの表面をエッチングして活性化す
る方法がある。しかし、低圧グロープラズマ処理では、
処理むらの少ない均一な表面処理ができるが、低圧プラ
ズマ処理は通常10Torr以下の低圧において行われ
るため、これを工業的に実施する場合、大型の真空装置
が必要となり、また、連続処理を行うためには、設備費
や処理コストが大きくなる。更に、減圧雰囲気中は加硫
ゴム表面からオイル、水等が放出され、このためプラズ
マ処理において目的とする性能や機能が得られない場合
もある。しかも、このようなプラズマ処理では、処理中
に熱が発生し易く、このため低融点物質からなる被処理
物には適用し難いという問題点がある。
【0006】また、工業的に実用化されている従来のコ
ロナ処理法を用いた場合も同様に十分な処理効果が得ら
れないことが多い。
【0007】これらの問題点を解決する手段として、ハ
ロゲン原子を含む分子からなるガス又は酸素原子を含む
分子からなるガスを用いて加硫ゴムの表面を大気圧プラ
ズマ処理する方法(特願平3−232183号)が本出
願人により提案されている。この場合、溶剤を用いてい
ないのでクリーンな環境で簡単に表面処理を行うことが
でき、低圧グロープラズマ処理した場合などの従来法と
比較してはるかに良好な接着性表面を有する加硫ゴムを
得ることができ、また、ごく表面のみに処理が施される
ため加硫ゴム自体の物性を損なうことがない。
【0008】しかしながら、大気圧プラズマ法において
は、放電を安定化させるために処理ガスを希釈ガスで希
釈することが好ましいが、この場合、ヘリウムガス等の
高価なガスを大量に用いることが必要であり、また、放
電時のインピーダンスがコロナ放電に比べて低く、かつ
低圧プラズマに比べて高いため、汎用のコロナ電源や低
圧プラズマ用電源をそのままで使用することが難しく、
大気圧プラズマ用の特殊電源を必要とする場合が多い。
このため、処理コストが高くなるという問題点がある。
【0009】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
各種材料の表面処理を効率よく行うことができると共
に、大気圧プラズマ処理した場合と同様に良好な処理表
面を得ることができる表面処理方法を提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は上記
目的を達成するため鋭意検討を行った結果、ハロゲン原
子、酸素原子及び窒素原子の少なくとも1つの原子を含
む分子からなるガスの存在下において、電極間に電圧を
印加してコロナ放電させ、該放電によって発生したガス
で電極間の放電部分と離間した位置に配置した被処理物
の表面を処理した場合、溶剤を用いずにクリーンな環境
で簡単に表面処理を行うことができ、低圧プラズマ処理
などの従来法と比較して良好に、かつ大気圧プラズマ法
と同様に良好に各種材料の表面処理を行うことができる
と共に、大気圧プラズマ法のように高価なヘリウムなど
の希釈ガスを必要としない上、安価で汎用のコロナ電源
を使用でき、また、ごく表面のみが処理されるため、各
種材料の物性を損なうことがないこと、更に、コロナ放
電部と被処理物配置部とを例えば10mm以上分離して
も、良好な表面処理が行われ、従ってこのようにコロナ
放電部と被処理物配置部とを分離することにより、被処
理物の形状や大きさの制約が少なく、また、電極間に被
処理物を配置していないので放電コロナに影響を与える
こともないと共に、放電条件の制約も少ないので、効率
よく表面処理を行うことができることを知見し、本発明
をなすに至った。
【0011】従って、本発明は、ハロゲン原子、酸素原
子及び窒素原子の少なくとも1つの原子を含む分子から
なるガスの存在下において、電極間に電圧を印加してコ
ロナ放電させ、該放電によって発生したガスで電極間の
放電部分と離間した位置に配置した被処理物の表面を処
理することを特徴とする表面処理方法を提供する。
【0012】以下、本発明を更に詳しく説明すると、本
発明の表面処理方法は、ハロゲン原子、酸素原子及び窒
素原子の少なくとも1つの原子を含む分子からなるガス
の存在下において、電極間に電圧を印加してコロナ放電
させ、該放電によって発生したガスで上記電極間の放電
部分と離間した位置に配置した被処理物の表面を処理す
るものである。
【0013】ここで、本発明の方法で処理される被処理
物としては、加硫ゴム、PET(ポリエチレンテレフタ
レート),PTFE(ポリテトラフルオロエチレン),
ETFE(四フッ化エチレン−エチレン共重合体)ナイ
ロン等の合成樹脂,鉄、銅、ステンレススチール,アル
ミニウム,ブラス等の金属などが挙げられる。加硫ゴム
としては、NR(天然ゴム)系、SBR(スチレン・ブ
タジエンゴム)系、IR(イソプレンゴム)系、NBR
(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)系、EPM(エ
チレン・プロピレンゴム)系、EPDM(エチレン・プ
ロピレン・ジエンゴム)系、BR(ブタジエンゴム)
系、IIR(ブチルゴム)系、CR(クロロプレンゴ
ム)系等、及びそれらのブレンド系などが挙げられる。
また、被処理物の形状は板状、シート状、球状、筒状、
柱状、ブロック状等のいかなる形状であっても差し支え
ない。
【0014】本発明に係る表面処理方法で用いる反応ガ
スはハロゲン原子、酸素原子、窒素原子の少なくとも一
つを含む分子からなるガスであるが、特にはハロゲン原
子を含む分子からなるガスやこれに酸素原子、窒素原子
を含む分子からなるガスを混合した混合ガスを用いるこ
とが好ましく、これにより本発明の目的を有利に達成す
ることができる。
【0015】この場合、酸素原子を含む分子からなるガ
スとしては空気、O2,H2O,CO2等のガス、アルコ
ール類,ケトン類,エーテル類等の酸素含有有機物のガ
スなどが挙げられ、このうち空気やO 2が特に好適に使
用される。
【0016】窒素原子を含む分子からなるガスとしては
2、NH3、空気などが挙げられ、このうち特に空気や
2が好適に使用される。
【0017】また、ハロゲン原子を含む分子からなるガ
スとしてはF2,Cl2,Br2,I2等の単体ガス、H
F,HCl,HBr,HI等のハロゲン化水素、C
4,CHClF2,CClF3,CCl22,C26
のフロン、CBrF3等のハロン、CHCl3,CH2
2,CH3CCl3,CCl4等のハロゲン化炭化水素、
SF6、NF3などが挙げられる。このうち取扱いの容易
性の点からフロン、ハロンやハロゲン化炭化水素が好適
に使用され、上記酸素を含む分子からなるガスとの組み
合わせは、取扱いの容易性の点から下記のものが特に好
ましく、また、この場合、下記ガスにおいてO 2を空気
に置き換えたものが更に好適に使用できる。
【0018】O 2+CCl22,O 2+CClF3,O 2
CHClF2,O 2+CBrF3,O 2+CF4,O 2+CF
4+CHCl3,O 2+CF4+CH2Cl2,O 2+CF4
CCl4,O 2+CF4+CH3CCl3
【0019】上記反応ガスを用いて表面処理を行う場
合、上記反応ガスを他のガスで希釈することができる。
このようなガスとして具体的には水素、アルゴン等の希
ガス、種々の有機ガスなどの1種又は2種以上のガスの
混合物を用いることができる。
【0020】これらのガスは必ずしも常温でガス状であ
る必要はなく、供給の方法は放電領域温度や常温での状
態(固体、液体、気体)などにより選定される。即ち、
放電領域の温度や常温においてガス状である場合は、こ
れをそのまま処理容器内へ流入させることができ、ま
た、液状である場合は、蒸気圧が比較的高ければその蒸
気をそのまま流入してもよいし、その液体を不活性ガス
等でバブリングして流入してもよいし、被処理物の表面
に塗布して用いることもできる。一方、ガス状でなく、
しかも蒸気圧が比較的低い場合には、加熱することによ
りガス状又は蒸気圧が高い状態にして用いることができ
る。
【0021】ここで、本発明の表面処理方法は、圧力
(絶対圧)300〜4000Torr、好ましくは70
0〜1000Torr、より好ましくは740〜800
Torrで行うことがよく、また処理温度は特に限定さ
れないが、通常0〜80℃、特に10〜50℃であり、
一般には室温で処理を行うことができる。
【0022】本発明の表面処理方法で用いる処理室の材
料としては、特に制限されないが、ステンレス,アルミ
ニウム等の金属、プラスチック,ガラス,セラミックス
等の絶縁体などが挙げられる。処理室としてはコロナ放
電を発生させることができ、電極と被処理物を配置する
ことができるものであれば制限はなく、大きさ、形状等
いかなるものも使用することができる。
【0023】本発明に係るコロナ放電の発生方法として
は、コロナ放電を発生させ得る方法であれば、いかなる
方法も採用することができる。電圧の印加方法は、大き
く分けて直流、交流の2通りあるが、工業的には交流放
電の方が容易である。
【0024】内部電極型の交流放電を採用した場合、安
定した放電を容易に得るため、電極の少なくとも一方を
絶縁体で被覆することが推奨される。なお、放電により
腐食性のガスが発生する場合があるため、電極材料の腐
食を抑える目的で、両方の電極を絶縁体で被覆すること
が好ましい。この絶縁材料としては、一般に知られるい
かなる材料を用いることもできるが、特に耐電圧に優れ
たマイカ,アルミナ,人口合成雲母等のセラミックス、
シリコーンゴム,フッ素樹脂等のプラスチックなどが好
適に使用される。
【0025】一方、直流放電の場合、電極からの直接の
電子流入により直流コロナを形成させるため、高電圧印
加側電極及び接地側電極共に絶縁体で被覆しない。
【0026】なお、直流、交流いずれの場合も、電極材
料としては導電性を有するものであればよく、特に限定
されるものではない。
【0027】本発明に係る表面処理の実施に用いる好適
な製造装置例を説明すると、特に図1〜4に示すような
装置が好ましいものとして挙げられる。図1に示す装置
はコロナ放電領域が形成される処理室1内に被処理物2
を収容し、この処理室1内にハロゲン原子、酸素原子、
窒素原子の少なくとも1つを含むガス及び必要によりこ
のガスを希釈するためのガスをガス供給管3から供給す
ると共に、両電極4,4間にコロナ放電領域を形成する
ことにより表面処理を行うものである。なお、上記電極
4,4は絶縁体で被覆され、互いに所定間隔離間して対
向配置され、一方の電極4には交流電源5が接続されて
いると共に、他方の電極4は接地されており、これら電
極4,4間の放電部分とは離間した位置に被処理物2が
配置されて表面処理が行われるものである。この場合、
電極4,4と被処理物2との距離は、10mm以上とす
ることが好ましく、特に10mm〜数十mとすることが
好ましい。より好ましくは10mm〜5mであり、更に
好ましくは10mm〜2mである。なお、6はガス排出
管(排気系)である。
【0028】図2は図1における処理室1を放電室7を
処理室8とを分離させ、放電室7においてコロナ放電に
より発生したガスがガス導入管9を通じて処理室8に導
入され、処理室8に配置された被処理物2の表面処理が
行われるものである。この場合、電極4,4と被処理物
2との距離は上記と同様とすることが好ましい。
【0029】図3は放電室7の上面と下面とが電極4,
4を兼ねた例を示す。この場合、電極4,4を冷却する
ことが好ましく、被処理物2の表面処理は図2に示した
装置を用いたのと同様にして行われる。なお、図2,3
において図1と同様の構成要素には同一の参照符号を付
し、説明を省略する。
【0030】また、電極としてはコロナ放電可能であれ
ばいかなるものでも使用することができるが、例えば図
4〜11に示す形状のものを使用することができる。図
4は平行板電極、図5は近似ロゴウスキ電極、図6は同
軸円筒電極、図7は球電極、図8は球−平板電極、図9
は針−針電極、図10は針−平板電極、図1はワイヤー
−平板電極である。ここで、図6において、Aは外部電
極、Bは内部電極、Cは絶縁体である。
【0031】被処理物として加硫ゴムを用いた場合、加
硫ゴムの表面は高度に接着し易い表面に改質されている
ため、例えば加熱、圧着、加熱圧着、風乾などの公知の
あらゆる方法により加硫ゴム表面に他の部材を容易に接
着することができる。
【0032】この場合、他の部材としては、プラスチッ
ク、ゴム、金属、セラミック等、有機質固体、無機質固
体のいずれであってもよく、また、その形状は板状、シ
ート状、繊維状、ブロック状等のいかなる形状であって
も差し支えない。
【0033】表面処理された加硫ゴムと他の部材とを接
合する場合、一般的には接着剤を用いるが、この接着剤
としては、例えばシラン系カップリング剤、アミノシラ
ン系カップリング剤、エポキシ系、ウレタン系、フェノ
ール系、アクリル系、ゴム系接着剤などが用いられ、加
硫ゴムと接合する他の部材の種類やその表面状態、接着
の方法より適宜選定することができる。なお、部材の種
類や加硫ゴムの表面処理条件によっては接着剤を用いず
に直接接着することも可能である。
【0034】本発明方法は種々の材料の表面処理に適用
され、特に加硫ゴム複合材料の製造に好適であり、ゴル
フボール、防振ゴム、再生タイヤ等の製造に好適に採用
される。
【0035】特に、本発明の表面処理方法は、ゴルフボ
ールに最終塗装の仕上げをする場合の前処理方法として
有効であり、とりわけ糸巻きゴルフボールの塗装前処理
として最も効果的である。この場合、ゴルフボールとし
ては、糸巻きボール以外に、ワンピースボール、ツーピ
ースボール、スリピースボール又はそれ以上のマルチピ
ースボール等のソリッドボールにも適用することがで
き、サーリン、バラタ(t−ポリイソプレン)等を主成
分とするカバー(ワンピースボールの場合は直接)に対
し本発明の表面処理を行った後、塗装を施すことによ
り、塗膜層に高い耐衝撃剥離性を付与し、かつ製造工程
の安全性を高く保つことができる。なお、塗料としては
ゴルフボール塗装用の汎用のものを使用することがで
き、例えばエポキシ樹脂系、ポリウレタン系、ポリアミ
ド系のものなどが使用できる。塗膜はクリアーであって
も、白その他に着色されていてもよい。
【0036】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。
【0037】 [実施例1〜12、比較例1〜13、参考例1] 下記に示す配合のゴム組成物からなる加硫ゴムの表面処
理を表1に示す条件で行い、被処理加硫ゴムについて下
記の実験を行った(実施例1〜12、参考例1)。ま
た、比較のため未処理の加硫ゴム(比較例1)、擬ハロ
ゲン化合物処理した加硫ゴム(比較例2)、表1に示す
条件で低圧プラズマ処理した加硫ゴム(比較例3〜
8)、及び表1に示す条件で大気圧プラズマ処理した加
硫ゴム(比較例9〜13)について下記の実験を行っ
た。なお、電極と被処理物との距離は約50〜200m
mである。結果を表1に併記する。
【0038】実験1 トランスポリイソプレン 30部 SBR(日本合成ゴム社製,1502) 50 NR 20 硫黄 1 亜鉛華 5 Nocrac NS−6(大内新興化学工業(株)製) 1 からなるゴム組成物を加硫した後、10×60×3mm
の試験片を作製した。図1に示した装置を用い、表1に
示す処理条件(実施例1〜12、比較例1〜13、参考
例1)でそれぞれ2枚ずつ表面処理し、処理面にウレタ
ン系接着剤を塗布した後、塗布面同士を重ね合わせ接着
し、図12に示すようにT字剥離テストを行い、接着力
を測定した。また、図12において10は加硫ゴム試験
片、11はウレタン系接着剤である。
【0039】実験2 図2に示した装置を用い、実験1と同様の加硫ゴム試験
片の表面を表1に示す処理条件(実施例5,8、比較例
1,2,9,10)で表面処理し、処理面にウレタン系
接着剤を塗布してポリエステル系不繊布と接着し、図1
3に示すように180゜剥離テストを行い、接着力を測
定した。なお、図13において11は不繊布である。
【0040】実験3 SBR(日本合成ゴム社製,1502) 50部 NR 50 カーボンブラック 60 硫黄 2 亜鉛華 5 老化防止剤(注1) 1 加硫促進剤(注2) 1 (注1)N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD) (注2)N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾール(NOBS) からなるゴム組成物を加硫した後、34×75×5mm
の試験片を作製した。図1に示した装置を用い、表1に
示す処理条件(実施例1〜4,5,9、比較例1〜1
0)でそれぞれ2枚ずつ表面処理し、処理面にフェノー
ル系接着剤を塗布した後、塗布面同士を重ね合わせ、1
50℃で30分間加熱圧着し接着させた。実験1と同様
に図12に示すT字剥離テストを行い、接着力を測定し
た。
【0041】実験4 NBR(日本合成ゴム社製,N2305) 100部 カーボンブラック 60 硫黄 2 亜鉛華 5 老化防止剤(注3) 1 加硫促進剤(注4) 1 鉱物油 30 (注3)N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン (NOCRAC 810−NA) (注4)テトラメチルチウラムモノサルファイド(TMTM) からなるゴム組成物を150℃、20分の条件で加硫し
た後、34×75×5mmの試験片を作製した。図1に
示した装置を用い、表1に示す処理条件(実施例10〜
12、比較例11〜13)で表面処理し、処理面にフェ
ノール系接着剤を塗布し、150℃で30分間オーブン
中で熱処理した後、樹脂インジェクションマシンを用
い、ガラス繊維充填ナイロン(充填率50%)を上記フ
ェノール樹脂接着剤上に射出成形した。図13に示した
のと同様の180゜剥離テストを行いゴム破壊(面積
%)を測定した。
【0042】
【表1】
【0043】表1からわかるように、低圧グロープラズ
マ処理の場合(比較例3〜8)は、接着力が極めて劣る
が、コロナ放電処理した場合(実施例1〜12)は、大
気圧プラズマ処理した場合(比較例9〜13)と同等以
上の接着力、同等ゴム破壊力を有し、しかも希釈ガスと
して高価なヘリウムガスを必要としないので、良好な接
着性表面を安価に得ることができることがわかる。
【0044】[実施例13〜24] 上記実験1と同様の配合のゴム組成物を加硫して得た加
硫ゴム(直径40mmの球状体)を下記方法で表面処理
し、これに不繊布をウレタン系接着剤で接着、硬化させ
た後、その剥離力(接着力)を測定した。結果を表2に
示す。 表面処理方法 図14に示す放電装置において、処理室が300mm×
300mm×300mm(外寸)のプラスチック製容
器、電極が70mm×150mmの平行平板型のものを
用い、被処理物を図1のa〜eの位置に配置した。な
お、図1において、被処理物位置a,b,c,d,eは
具体的には下記の位置を示す。 a:電極の横で電極端部から被処理物中心までの距離が
40mm b:電極の横で電極端部から被処理物中心までの距離が
100mm c:bの上方でbから被処理物中心までの距離が100
mm d:bの下方、bから被処理物中心までの距離が100
mm e:電極に対してdと対称の位置 次に、表2に示す反応ガス及び希釈ガスの混合ガスを導
入し、表2に示す処理条件で表面処理を行った。
【0045】
【表2】
【0046】表2の結果から、電極間に被処理物を配置
せず、放電部と離間して被処理物を配置することによ
り、表面処理が良好になされていることがわかる。
【0047】[実施例25〜32] 図2に示した装置を用い(実施例25〜28)、また、
図3に示した装置を用い(実施例29〜32)、被処理
物2と電極との距離を約200mmとした以外は上記実
施例と同様にして被処理物の表面処理を行い、同様の測
定を行った。結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】表3の結果から放電室と処理室と分離した
場合も良好な表面処理がなされていることがわかる。
【0050】 [実施例33,34、参考例2,3] 実験3と同様の配合のゴム組成物を加硫した加硫ゴム
(34×75×5mm)の表面処理を図1の装置を用
い、表4に示す条件で行い、被処理加硫ゴムについて下
記の方法で接着力を評価した。結果を表4に示す。表面処理方法 それぞれ2枚ずつ表面処理し、処理面にフェノール系接
着剤を塗布した後、塗布面同士を重ね合わせ、150℃
で30分間加熱圧着して接着させ、図12に示すように
T字剥離テストを行い、接着力を測定した。
【0051】
【表4】
【0052】[実施例35〜37] 上記実験4と同様の配合のゴム組成物を図14に示した
装置を用いて実験4と同様の条件で加硫し、同様の試験
片を作成し、同様の表面処理を行い、同様の測定を行っ
た。結果を表5に示す。
【0053】
【表5】
【0054】[実施例38〜44] 実施例6と同様の条件でシート状又は板状のO−PET
(ポリエチレンテレフタレート)、テフロン(ポリテト
ラフルオロエチレン、デュポン社製)、ETFE(四フ
ッ化エチレン−エチレン共重合体)、6.6ナイロン、
SUS(ステンレススチール)、アルミニウム、ブラス
の表面処理を行い、表面処理前後の水滴接触角を測定し
た。結果を表6に示す。
【0055】
【表6】
【0056】表6の結果から、本発明の表面処理により
各種材料表面の濡れ性が向上し、他材料と複合化するの
に好適な表面が得られることがわかる。
【0057】[実施例45] 上記実験1と同様の配合のゴム組成物を加硫して得た加
硫ゴム(直径42mmの球状体)を図14に示した装置
のa〜eの位置に配置し、実施例16〜18と同様の条
件で処理した。処理後、表面にウレタン系塗料を塗布
し、十分に乾燥させ、ゴルフクラブによる打撃耐久テス
ト(200回)を行ったところ、塗膜の剥離、損傷は認
められなかった。
【0058】[実施例46] 糸巻きゴルフボールコアに下記組成のカバー用組成物を
被覆し、これを加硫してカバーを形成した。カバー用組成物 トランスポリイソプレン 70部 SBR(スチレンリッチタイプ) 20 NR 10 硫黄 1 酸化亜鉛 5 チタン白 5 ステアリン酸 5 上記組成物に硫酸バリウムをカバーの比重が1.12と
なるように添加した。
【0059】次に、得られたゴルフボールにつき、図2
に示す装置、図6に示す電極を使用して表面処理を行っ
た。電極 (図6) 内部電極(電圧印加側) ステンレススチール製,直径
18mm 絶縁体(筒状) アルミナ製,外径28mm
(厚さ2mm,長さ300mm) 外部電極(接地側) 絶縁体の外周面に銀ペースト
を塗布することにより形成 なお、電極には、外部電極の外側に放熱板を取り付け、
AC軸流ファンにより空冷した。表面処理条件 ガス 空気10リットル/分+CHClF2 30
ml/分 周波数 20kHz(正弦波) 電力 700W 上記の条件で発生したガスをテフロンチューブで2m離
れた反応室内に導入した。ゴルフボール200個を反応
室内に1分間滞在させた後、ウレタン系塗料(白)を塗
装、乾燥し、更にクリアー塗料を塗装、乾燥させた。こ
のうち20個を無作為抽出した(実施例)。比較例とし
て、未処理ボール20個に上記と同じ手順で白塗装とク
リアー塗装を行った。これら2種類のサンプルつにいて
クロスバッチテスト(各10個)と繰り返し打撃試験
(各10個)を行った。クロスバッチテスト ボールの塗装表面にナイフでクロスカットをいれ、この
クロスカットを覆って、セロハンテープ(粘着テープ)
を圧着し、このテープを急速に剥したときの界面剥離状
態を観察する試験法であり、本試験においてボール1個
当り任意の中心線を基準とする直行座標軸上の合計6ヶ
所に対しクロスバッチテストを行った。 繰り返し打撃試験 ヘッドスピード45m/secでゴルフボールを繰り返
し打撃して、塗膜の剥離状態を観察した。結果 クロスバッチテスト 比較例 6ヶ所×10個のうち、
59ヶ所で剥離発生 実施例 6ヶ所×10個のいずれにも剥離なし 繰り返し打撃試験 比較例 5回の打撃で剥離が発生 実施例 200回の打撃でも剥離なし
【0060】以上の通り、本発明によるゴルフボールで
は、表面処理上に設けた塗膜のはがれは良好に防止され
ており、本発明の方法により従来のゴルフボールに対す
る表面処理方法と同等又はそれ以上の性能で塗膜を密着
させることが認められる。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、クリーンな環境で簡単
に表面処理を行うことができ、低圧プラズマ処理などの
従来法と比較して良好かつ大気圧プラズマ法と同様に良
好な接着表面を有する加硫ゴムを得ることができると共
に、大気圧プラズマ法のように高価なヘリウムなどの希
釈ガスを必要としない上に、安価で汎用のコロナ電源を
使用することができ、また、ごく表面のみが処理される
ため、被処理物自体の物性を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いるコロナ放電装置の一例
を示す概略図である。
【図2】本発明の実施例に用いるコロナ放電装置の他の
例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施例に用いるコロナ放電装置の別の
例を示す概略図である。
【図4】本発明の実施例に用いる電極の例を示す概略図
である。
【図5】本発明の実施例に用いる電極の例を示す概略図
である。
【図6】本発明の実施例に用いる電極の例を示す概略図
である。
【図7】本発明の実施例に用いる電極の例を示す概略図
である。
【図8】本発明の実施例に用いる電極の例を示す概略図
である。
【図9】本発明の実施例に用いる電極の例を示す概略図
である。
【図10】本発明の実施例に用いる電極の例を示す概略
図である。
【図11】本発明の実施例に用いる電極の例を示す概略
図である。
【図12】本発明の実施例及び比較例におけるT字剥離
テストの説明図である。
【図13】本発明の実施例及び比較例における180゜
剥離テストの説明図である。
【図14】本発明の実験で用いた装置を説明する概略図
である。
【符号の説明】
1 処理室 2 被処理物 3 ガス供給管 4 電極 5 交流電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内藤 壽夫 神奈川県川崎市宮前区馬絹969−1 (56)参考文献 特開 昭62−223241(JP,A) 特開 昭62−235339(JP,A) 特開 平2−289629(JP,A) 実開 平1−130758(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/00 - 7/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン原子、酸素原子及び窒素原子の
    少なくとも1つの原子を含む分子からなるガスの存在下
    において、電極間に電圧を印加してコロナ放電させ、該
    放電によって発生したガスで電極間の放電部分と離間し
    た位置に配置した被処理物の表面を処理することを特徴
    とする表面処理方法。
  2. 【請求項2】 被処理物が加硫ゴムである請求項1に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 被処理物が塗装前のゴルフボールである
    請求項1又は2に記載の方法。
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