JP3262938B2 - 位相差フィルム - Google Patents

位相差フィルム

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JP3262938B2
JP3262938B2 JP08169294A JP8169294A JP3262938B2 JP 3262938 B2 JP3262938 B2 JP 3262938B2 JP 08169294 A JP08169294 A JP 08169294A JP 8169294 A JP8169294 A JP 8169294A JP 3262938 B2 JP3262938 B2 JP 3262938B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶などの表示素子、
波長板などの光学素子等、光学用途に有用な位相差フィ
ルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、実用化が進められている液晶など
の表示装置は消費電力が少なく、かつ画像品質に優れて
いる点から注目を浴びている。この液晶表示装置におい
ては、その目的に応じた各種高分子フィルムが偏光板、
保護層、位相差板あるいは電極基板などに使用されてい
る。
【0003】位相差板を構成する位相差フィルムは、液
晶表示素子において画像の視認性を向上させるために用
いられるものであり、液晶層を透過した楕円偏光を直線
偏光に変換する、すなわち位相差を補償する役割を担っ
ている。
【0004】例えばSTN型液晶表示素子においては、
フィルム面内で400〜650nmの位相差を有する位
相差フィルムが使われている。この位相差フィルムの高
分子素材として、主に一軸延伸したポリカーボネートや
ポリビニルアルコール等の各フィルムが用いられてい
る。特にビスフェノールAとホスゲンから得られるポリ
カーボネート(以下PC−Aと略す)に代表されるポリ
カーボネートは、耐熱性、各種機械的特性も良好なバラ
ンスのとれた無色のポリマーであり、そのフィルムは伸
度、機械物性に優れ、かつ成形性や、透明性、光学的特
性が極めて良好である。また、溶液流延法により筋や欠
陥のない表面均質性の高いフィルムを製造することがで
き、延伸により所望の位相差のフィルムを得ることも比
較的容易である。
【0005】また、TN型液晶表示素子においては、面
内の位相差は30nm以下、好ましくは10nm以下で
あり、フィルム面内の屈折率と膜厚方向の屈折率が異な
る位相差フィルムが使われている。かかる位相差フィル
ムの高分子素材としても、上述の理由からPC−Aが用
いられている。
【0006】ところで、液晶表示素子の応答速度をより
高速化する検討が最近盛んに行われており、従来に比べ
てより複屈折率の大きな液晶材料を液晶表示素子に用い
るようになってきた。ところがかかる液晶層の位相差の
波長分散は従来のそれと比べて大きいため、従来用いら
れていたポリカーボネートフィルムでは可視光領域全域
で位相差補償が不可能になり、その結果、表示装置の画
像が着色するようになってきた。そこで白黒表示の実現
のため、液晶層と一致した大きな位相差の波長分散を有
する位相差フィルムが求められている。
【0007】たとえば、芳香族ポリエーテルスルホンフ
ィルムは位相差の波長分散が大きいことが知られてお
り、位相差フィルムへの適応が積極的に検討されてい
る。しかしながら、一般に芳香族ポリエーテルスルホン
は溶融押し出し法、特にTダイ法により製膜されてお
り、Tダイ法固有の問題であるダイラインあるいはフィ
ッシュアイの発生により充分な表面均質性が得られてお
らず実用化には到っていない。また、単一材料で大きな
位相差の波長分散を示すフィルムが得られない場合は、
複数のフィルムを光軸を同一にして積層することにより
実現できることも知られている。しかしながら、2枚以
上のフィルムを使用することはコストアップにつなが
り、また光軸を制御しながら積層することは技術的に非
常に困難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、液晶
表示装置の画像が着色しない、大きな位相差の波長分散
を有するポリカーボネートの位相差フィルムを提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、(1)主鎖骨格中に
ジフェニルスルフィド誘導体を有するポリカーボネート
からなるフィルムの位相差波長分散が大きいこと、
(2)該ポリカーボネートが溶媒に高濃度に溶解し、か
つその溶液組成物(ドープ)の安定性が優れており、そ
のドープから白濁を起こさずに透明でかつ光学的に均質
である平滑なフィルムを製造できることを見い出し本発
明に到達した。
【0010】すなわち本発明は、下記一般式(I)で表
される繰り返し単位を1〜100モル%含有し、下記一
般式(II)で表わされる繰り返し単位を99〜0モル%
含有してなるポリカーボネートからなり、波長450n
mにおける位相差Re(450)の550nmにおける
位相差Re(550)に対する比、Re(450)/R
e(550)が1.080以上であることを特徴とする
位相差フィルムである。
【化3】 (式(I)中、 1 、R 2 が水素原子であり、R 3 、R 4
メチル基である)
【化4】 (式(II)中、Xはメチレン基、1,1−エチレン
基、2,2−プロピレン基及び4−メチル−2,2−ペ
ンチレン基から選ばれる脂肪族炭化水素基、炭素数1〜
15の2価の脂環族炭化水素基、または炭素数1〜15
の2価のアルアルキレン基であり、R5、R6、R7、R8
はおのおの独立に、水素原子、臭素原子または炭素数1
〜4の炭化水素基である。)
【0011】以下に本発明を詳述する。本発明の位相差
フィルムは、ポリカーボネートを構成する繰り返し単位
の全量に対して、下記一般式(I)で表される繰り返し
単位を1〜100モル%、下記一般式(II)で表され
る繰り返し単位を0〜99モル%含有するポリカーボネ
ートから形成される。
【0012】
【化5】
【0013】
【化6】
【0014】(式(I)中、R1、R2、R3、R4は水素
原子または炭素数1〜5のアルキル基である。式(I
I)中、Xはメチレン基、1,1−エチレン基、2,2
−プロピレン基及び4−メチル−2,2−ペンチレン基
から選ばれる脂肪族炭化水素基、 炭素数1〜15の2価
の脂環族炭化水素基、または炭素数1〜15の2価のア
ラアルキレン基であり、R 5 、R 6 、R 7 、R 8 はおのおの
独立に、水素原子、臭素原子または炭素数1〜4の炭化
水素基である。
【0015】ここで式(I)において、R 1 、R3が水素
原子、R2、R4がメチル基である。式(II)において
Xはメチレン基、1,1−エチレン基、2,2−プロピ
レン基及び4−メチル−2,2−ペンチレン基から選ば
れる脂肪族炭化水素基、炭素数1〜15の2価の脂環族
炭化水素基並びに炭素数1〜15の2価のアルアルキレ
ン基から選ばれる。具体的にはメチレン基、1,1−エ
チレン基、2,2−プロピレン基及び4−メチル−2,
2−ペンチレン基から選ばれる脂肪族炭化水素基、1,
1−シクロヘキシレン基、3,3,5−トリメチル−
1,1−シクロヘキシレン基などの脂環族炭化水素基、
1−フェニル−1,1−エチレン基、ジフェニルメチレ
ン基、1,1−フルオレニレン基などのアルアルキレン
基があげられる。特に好ましくは2,2−プロピレン
基、1,1−シクロヘキシレン基である。
【0016】また、R5,R6,R7,R8はおのおの独立
に、水素原子、臭素原子または炭素数1〜4の炭化水素
基であり、好ましくは全てが水素原子であるか、または
全てがメチル基である。
【0017】上記一般式(I)で表される繰り返し単位
は全量に対して1〜100モル%含有する。1モル%よ
り少ないと、波長450nmにおける位相差Re(45
0)の550nmにおける位相差Re(550)に対す
る比、Re(450)/Re(550)が1.080よ
り小さくなり、従来のポリカーボネート(PC−A)の
それに近づいてしまい、位相差を十分補償することがで
きず好ましくない。かかる繰り返し単位の含有量は所望
する位相差の波長分散の大きさに合わせて適宜調節する
ことができる。例えば一般的なポリカーボネートである
PC−Aの位相差の波長分散の大きさに比べて少しだけ
大きくしたいときは1〜50モル%にすれば良く、かな
り大きくしたいときは50〜100モル%にすれば良
い。また100℃程度の耐熱性を要求される場合には8
0モル%以下、120℃程度の場合には65モル%以
下、130℃程度の場合には50モル%以下、150℃
程度の場合には35モル%以下が好ましい。フィルムの
色調などの光学特性に対する要求が極めて厳しい場合に
は、1〜50モル%、好ましくは1〜20モル%であ
る。なお、Re(450)/Re(550)の上限は、
所望の位相差の波長分散の大きさにもよるが、実際上は
1.130以下、好ましくは1.120以下である。
【0018】本発明の位相差フィルムのポリカーボネー
トは、ホスゲンを用いた界面縮重合法、あるいは溶融縮
重合法などの公知の方法により合成されるが、得られる
ポリマーの着色が少ない点で界面縮重合法が好ましい。
【0019】上記ポリカーボネートの分子量は、GPC
によるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)で10,
000以上400,000以下であれば好適に用いられ
る。Mnが10,000以下であれば得られるフィルム
の機械的強度が不足する場合があり、また400,00
0以上であると溶液流延法で製膜する際に用いる溶液組
成物(ドープ)の粘度が高くなりすぎ取り扱い上困難で
あるだけでなく溶解が困難になる場合がある。特に好ま
しくは20,000〜120,000である。
【0020】本発明に用いられるポリカーボネートは各
種溶媒に可溶であり、またその溶液組成物(ドープ)の
安定性が高いことから、特定の条件下で溶液流延法によ
り表面平滑性、光学的均一性の良好なフィルムを製膜す
ることができる。
【0021】溶液流延法で50〜200μmの膜厚のフ
ィルムを得るには高濃度のドープが必要である。本発明
に用いられる上記のポリカーボネートを高濃度に溶解す
る溶媒としては例えばジメチルアセトアミド、ジメチル
ホルムアミド、ピリジンやN−メチルピロリドン等の極
性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1,2,
2−テトラクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタ
ン等のハロゲン系溶媒、1,3−ジオキソラン、1,4
−ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系
溶媒があげられる。これらの内、好適に用いられるのは
ハロゲン系および環状エーテル系溶媒であり、さらに好
ましくは環状エーテル系溶媒である。極性溶媒は高沸点
であるために製膜フィルム内の残留溶媒を容易に下げる
ことはできず、製膜用溶媒としては実用的でない。ジク
ロロメタン等のハロゲン系溶媒は製膜用溶媒として適す
るが、環境汚染への影響が問題視されており、溶媒回収
等の配慮が必要である。環状エーテル系溶媒の内、1,
3−ジオキソランは、高濃度溶解性、ドープ安定性、沸
点(76℃)、製膜性の上から特に優れている。テトラ
ヒドロフランは、沸点が低く(65℃)乾燥には有利に
働くが溶解性、溶液安定性の観点から1,3−ジオキソ
ランの方が優れている。また、1,4−ジオキサンは、
1,3−ジオキソラン同様に溶解性が高いが、高沸点
(100℃)であるために残留溶媒の点から1,3−ジ
オキソランの方が優れている。また、ハロゲン系や環状
エーテル系溶媒を60重量%以上含有する混合溶媒を用
いても良い。使用する他の溶媒としては特に限定はな
く、効果を勘案して用いればよい。ここで言う効果と
は、溶解性や安定性を犠牲にしない範囲で溶媒を混合す
ることによる、たとえば溶液流延法により製膜したフィ
ルムの表面性の改善(レベリング効果)、蒸発速度や系
の粘度調節、結晶抑制効果などである。これらの効果の
度合いにより混合する溶媒の種類や添加量を決定すれば
よく、また混合する溶媒として1種または2種以上用い
てもかまわない。好適に用いられる溶媒としてはトルエ
ン、キシレンなどの炭化水素溶媒、アセトン、メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢
酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレン
グリコールジメチルエーテル、メトキシエチルアセテー
トなどのエーテル系溶媒があげられる。
【0022】かかるドープの濃度は、該ポリカーボネー
ト10重量部に対して溶媒量が15〜100重量部、好
ましくは20〜90重量部である。溶媒量がこれ以上で
は溶液の安定性は問題ないが、実行濃度が低いために好
ましくないばかりか、この溶液組成物を用いて溶液流延
法で製膜した場合溶液粘度が低いために外部擾乱が起き
やすく表面平滑性が得られにくく好ましくない。逆に溶
媒量がこれ以下では安定な溶液が得にくい。これらの濃
度は主として溶液の安定性、溶液粘度を勘案して決定さ
れる。
【0023】得られたドープ中に不純物や未溶解物等の
不溶物、浮遊物がある場合、あるいはドープにヘイズが
認められる場合には、ろ過等の処理によりそれらを取り
除かなければならない。かかる処理を実施しないと製膜
したフィルムの光学特性を悪化させるだけでなく、調整
したドープの保存安定性を低下させるからである。
【0024】本発明の位相差フィルムは、上記ドープを
支持基板上に流延した後、加熱して溶媒を蒸発させるこ
とにより得ることが好ましい。工業的連続製膜工程は一
般に流延工程、乾燥工程、熱処理工程の3行程からな
る。流延行程はドープを平滑に流延する工程であり、乾
燥工程は流延したドープから大部分の溶媒を蒸発除去す
る工程であり、熱処理行程は残りの溶媒を除去する工程
である。
【0025】流延工程では、ドクターブレードによる方
法、リバースロールコーターによる方法、ダイから押し
出す方法などが用いられる。工業的にはダイからドープ
をベルト状もしくはドラム状の支持基板に連続的に押し
出す方法が最も一般的である。用いる支持基板としては
特に限定はないが、ガラス基板、ステンレスやフェロタ
イプなどの金属基板、ポリエチレンテレフタレートなど
のプラスチックフィルムなどが用いられる。しかし、本
発明の主眼となる高度に光学等方性に優れた均質フィル
ムを工業的に得るには表面を鏡面仕上げした金属基板が
最も一般的に用いられる。
【0026】本発明の位相差フィルムを製造するにあた
り、かかるドープの粘度は極めて重要な因子である。か
かる粘度はポリカーボネートの濃度、分子量および溶媒
の種類に依存するが、好ましい粘度は、300〜50,
000cpsである。これを越えると溶液の流動性が下
がるために平滑なフィルムが得られないことがある。ま
た、それ未満では流動性が高すぎ外部擾乱のために表面
の乱れが生じ均質・平滑なフィルムが得られない場合が
ある。より好ましい粘度は400〜30,000cps
である。
【0027】乾燥工程においては、できるだけ短時間に
支持基板上に流延されたドープから大部分の溶媒を蒸発
除去する必要がある。しかしながら、急激な蒸発が起こ
ると発泡による変形を受けるために、乾燥条件は慎重に
選択するべきである。本発明においては、使用する最低
沸点、好適にはその沸点−10℃を上限とする範囲で行
われる。通常、初期段階では使用する溶媒の沸点より低
い温度、たとえば30℃から逐次的あるいは連続的に昇
温する方法が取られる。また、必要に応じて風を送って
もよい。一般的には風速は1〜20m/秒の範囲が用い
られる。それ未満では効果が十分でなく、逆にそれを越
えると風の擾乱のために平滑面が得られないために好ま
しくない。好ましい風速は2〜15m/秒である。風速
は逐次的ないしは連続的に変化させてもよい。一方、こ
の段階ではフィルムは基板上にあり、この工程の最後に
基板から剥離される。その際に残留溶媒量が多いとフィ
ルムが柔らかいためにフィルム内でポリマーの流動変形
がおき、また、残留溶媒量が少ないと基板との密着性が
高いために応力歪みが生じる。従って残留溶媒量は重要
な因子であり、好適には残留溶媒量5〜30重量%、さ
らに好適には10〜20重量%の範囲が選択される。
【0028】熱処理工程においては、基板より剥離した
フィルムをさらに乾燥し、残留溶媒量を3重量%以下、
好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量
%以下にする必要がある。残留溶媒が多いと経時的に変
形が起こったり、後加工工程で熱が加わると寸法変化が
おこる。特に液晶表示装置においては光学的に均質なフ
ィルムが要求されるために重要である。工業的にはピン
テンダー方式あるいはロール懸垂方式でフィルムを搬送
しながら乾燥する方法が取られる。乾燥温度はフィルム
の変形が生じない範囲から選択しなければならない。す
なわち、(Tg−100℃)〜Tgの範囲、好ましくは
(Tg−80℃)〜(Tg−10℃)の範囲が選ばれ
る。熱変形は、残留溶媒が少なくなるにつれておきにく
くなる。従って、初期に低温で、その後逐次的ないしは
連続的に昇温する方法をとることが好ましい。また、乾
燥工程と同様に送風してもよい。
【0029】本発明の位相差フィルムの膜厚は、10〜
300μmの範囲が好ましい。300μmより厚いと残
留溶媒を除去することが困難であり、また10μmより
薄いと厚み斑を抑制することが困難である。より好まし
い膜厚は50〜200μmである。
【0030】本発明の位相差フィルムは、目的用途に応
じて所望の位相差にするために延伸を行ってもかまわな
い。延伸する方法は特に制約はないが周速の異なる2対
のロールを用いた縦延伸法、あるいはテンターを用いた
横延伸法がある。延伸温度や延伸倍率は所望の位相差を
得るために適宜設定されるが、延伸温度は位相差フィル
ムのガラス転移点より高い温度、延伸倍率は1.01〜
3.00倍の範囲で行えばよい。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、PC−Aより大きな位
相差波長分散を示し、かつ表面均質性の良好な位相差フ
ィルムを得ることができる。該フィルムはSTN型液
晶、TN型液晶などの表示素子、1/4λ板、1/2λ
板などの光学素子など、光学用途に有用な位相差フィル
ムに好適である。
【0032】
【実施例】以下に、実施例により本発明を詳述する。但
し、本発明はこれに限定されるものでない。実施例で行
った測定項目は以下の方法で測定した。
【0033】 溶液粘度:東京計器(株)製B型粘度計BH型を使用。
30℃で測定。 可視光領域における全光透過率、ヘイズ値:日本電色工
業(株)製自動デジタルヘイズメーターUDH−20D
を使用。 位相差波長分散:日本分光(株)製M−150エリプソ
メーターを使用。 膜厚:アンリツ(株)製触針式膜厚計により測定した。
【0034】[参考例1〜4] 通常のホスゲンを用いた界面重合法により、下記式(I
II)で表される繰り返し単位からなる、組成の異なる
3種類のポリカーボネート(以下PC−MeS/Zと略
す)、および下記式(IV)で表される繰り返し単位か
らなるポリカーボネート(以下PC−SSAと略す)を
合成した。得られた各ポリマーの数平均分子量(M
n)、ガラス転移点を表1に示す。
【0035】
【化7】
【0036】
【化8】
【0037】
【表1】
【0038】[実施例1〜4] 上記参考例1〜4で得たポリカーボネート(PC−Me
S/Z(8/2),(5/5),(2/8)、PC−S
SA)をジクロロメタンに溶解しそれぞれ11.1%、
13.5%、13.5%、10.0%の粘ちょうなドー
プを調製した。これらのドープは、室温下密閉状態で1
週間放置しても変化せず白濁化やゲル化現象は認められ
なかった。
【0039】かかるドープをドクターブレードを用いて
ガラス基板上に流延した後、風速1.5mの乾燥機を用
い30℃で20分、50℃で20分、80℃で20分乾
燥した後それぞれのフィルムを剥離した。この時点での
各フィルム中のの残留溶媒量はいずれもほぼ15重量%
であった。各フィルムをさらに100℃で60分、13
0℃で120分乾燥した。尚、PC−MeS/Z(8/
2)およびPC−SSAについては130℃での乾燥は
実施しなかった。こうして各フィルム中の残留溶媒量が
全て1重量%以下である位相差フィルムを得た。
【0040】この各位相差フィルムについて、膜厚、全
光透過率、ヘイズ、および波長450nmにおける位相
差Re(450)の550nmにおける位相差Re(5
50)に対する比、Re(450)/Re(550)を
測定した結果を表2に示す。
【0041】この表2からわかるように、得られた位相
差フィルムの各物性はいずれも良好であった。またフィ
ルム表面は発泡、柚肌、波打ち現象がなく均一であっ
た。
【0042】さらにこの位相差フィルムを、それぞれガ
ラス転移点付近の温度にて、フィルムの面内方向に延伸
倍率1.02で延伸した。得られた各フィルムにおい
て、波長550nmにおける位相差Re(550)を測
定した結果を表2に併記した。また波長450nmにお
ける位相差Re(450)の550nmにおける位相差
Re(550)に対する比、Re(450)/Re(5
50)を求めたところ、延伸前のそれと変わらなかっ
た。
【0043】[比較例1] 帝人化成(株)製ポリカーボネート「C−1400」を
用いて実施例1と同様にフィルムを作製した。得られた
結果を表2に示した。
【0044】
【表2】
【0045】[実施例5] 参考例で得たポリカーボネート(PC−MeS/Z(5
/5))を1,3−ジオキソランに溶解し13.5%の
ドープを調製した。これをドクターブレードを用いてガ
ラス基板上に流延した後、風速1.2mの乾燥機を用い
30℃で20分、50℃で30分、80℃で60分乾燥
した後フィルムを剥離した。この時点での残留溶媒量は
ほぼ15重量%であった。さらに100℃で120分、
130℃で240分乾燥し、残留溶媒量が0.8重量%
である位相差フィルムを得た。この位相差フィルムは透
明性が良好であり、表面は発泡、柚肌、波打ち現象がな
く均一であった。
【0046】かかる位相差フィルムをさらに140℃
で、フィルムの面内方向に1.10倍延伸した。得られ
たフィルムは、波長550nmにおける位相差が510
nm、波長分散値Re(450)/Re(550)が
1.090であった。
【0047】このフィルムをSTN型液晶ディスプレイ
に組み込んだところ、着色のない白黒表示が可能であっ
た。
【0048】[参考例5〜7] 参考例で得た組成の異なる3つのポリカーボネート(P
C−MeS/Z(8/2),(5/5),(2/8))
を1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、テトラ
ヒドロフランに溶解しそれぞれ13.5%のドープを調
製した。これらのドープの粘度を表3に示した。これら
はいずれも透明で、室温下密閉状態で1週間放置しても
変化せず白濁化やゲル化現象は認められなかった。
【0049】
【表3】
【0050】[実施例6〜14] 参考例5〜7で得られた9種類の各ドープを、ドクター
ブレードを用いてガラス基板上に流延した後、風速1.
2mの乾燥機を用い30℃で20分、50℃で30分、
80℃で60分乾燥した後フィルムを剥離した。この時
点での残留溶媒量はいずれもほぼ15重量%であった。
さらに100℃で120分、130℃で240分乾燥し
た。尚、PC−MeS/Z(8/2)については130
℃での乾燥は実施しなかった。
【0051】このようにして得られた位相差フィルムは
残留溶媒量は全て1重量%以下であった。またこのフィ
ルムの表面は発泡、柚肌、波打ち現象がなく均一であ
り、透明性も良好であった。さらに実施例1〜4と同様
に、波長550nmにおける位相差Re(550)、お
よびRe(450)/Re(550)を評価した。それ
らの結果を表4に示した。表4からわかるように、Re
(450)/Re(550)の値は1.080〜1.1
00の間に入っている。
【0052】
【表4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/30

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表される繰り返し単
    位を1〜100モル%含有し、下記一般式(II)で表
    わされる繰り返し単位を99〜0モル%含有してなるポ
    リカーボネートからなり、波長450nmにおける位相
    差Re(450)の550nmにおける位相差Re(5
    50)に対する比、Re(450)/Re(550)が
    1.080以上であることを特徴とする位相差フィル
    ム。 【化1】 (式(I)中、 1 、R 3 が水素原子であり、R 2 、R 4
    炭素数1〜5のメチル基である) 【化2】 (式(II)中、Xはメチレン基、1,1−エチレン
    基、2,2−プロピレン基及び4−メチル−2,2−ペ
    ンチレン基から選ばれる脂肪族炭化水素基、炭素数1〜
    15の2価の脂環族炭化水素基、または炭素数1〜15
    の2価のアルアルキレン基であり、R5、R6、R7、R8
    はおのおの独立に、水素原子、臭素原子または炭素数1
    〜4の炭化水素基である。)
  2. 【請求項2】 上記式(I)で表される繰り返し単位を
    1〜80モル%含有する請求項1に記載の位相差フィル
    ム。
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