JP3261625B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP3261625B2
JP3261625B2 JP08094692A JP8094692A JP3261625B2 JP 3261625 B2 JP3261625 B2 JP 3261625B2 JP 08094692 A JP08094692 A JP 08094692A JP 8094692 A JP8094692 A JP 8094692A JP 3261625 B2 JP3261625 B2 JP 3261625B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録媒体に関し、さ
らに詳しくは磁気テープ、磁気ディスク、磁気カード等
の磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】塗布型の磁性層を有する磁気記録媒体
は、すなわち強磁性粉と結合剤とから形成された磁性層
を有する磁気記録媒体において、その代表的な結合剤の
一つとして、塩化ビニル系樹脂が知られている。中でも
良く用いられるのは、ユニオンカーバイド社製のVAG
Hタイプの塩化ビニル系樹脂である。この種の塩化ビニ
ル系樹脂は、ビニルアルコール型の水酸基含有モノマー
ユニットを有している。この水酸基は第一級の水酸基で
あるから、結合剤に併用される架橋剤との反応性は良好
である。
【0003】しかし、この塩化ビニル系樹脂における塩
化ビニル型モノマーユニットの熱安定性(脱塩酸特性)
が悪くて、この種磁気記録媒体は、保存中に茶褐色に変
色することがよくある。
【0004】また、次式に示すような水酸基含有モノマ
ーユニットを導入した塩化ビニル系樹脂を結合剤に使用
することも提案されているが、磁性層に充分な熱安定性
が付与され得るとは言い難い。
【0005】-{-CH2-CH〔(C=O)-O-R3-OH〕-}- (ただし、前記式中、R3はアルキレン基を表す。)さ
らに、次式のような第二級水酸基を含有するモノマーユ
ニットを有する塩化ビニル系樹脂を結合剤に使用するこ
とも提案されている。
【0006】 -{-CH2-CH〔(C=O)-OR4-CH(OH)-CH3〕-}- (ただし、式中、R4はアルキレン基を表わす。)しか
しながら、第二級の水酸基では架橋剤のイソシアネート
との反応性が低く、架橋特性を劣化させてしまう。その
結果、磁気記録媒体の磁性層のガラス転移点(Tg)が
低くなり、特に高温における走行耐久性が著しく低下し
てしまう。
【0007】又、近年、高城電磁変換特性オーバーライ
ト特性の向上が望まれ、最上層の磁性層を薄膜化するこ
とが試みられているが、上述の結合剤を磁性層に用いる
技術では未だ不充分である。
【0008】又このような薄膜塗布を行なうことは単層
では難しく意図的に下層を設けて、薄膜同時重層塗布
(ウェット・オン・ウェット塗布方式)を行う必要があ
るが、重層塗布を行なう場合でも上層を薄膜化するにつ
れて、均一塗布することは非常に難しく、特に最上層、
磁性層に強磁性金属粉や六方晶フェライト磁性粉を用い
た時にその傾向が強い。
【0009】
【発明の目的】本発明の目的は、塗布性が良好で磁性層
の薄膜化可能な、且、オーバーライト特性、高域電磁変
換特性の優れた磁気記録媒体を提供することにある。
【0010】
【発明の構成】本発明の上記目的は非磁性支持体上に
磁性粉末を含有する非磁性層の下層と、強磁性金属粉
を含む磁性層の上層を有し、該強磁性金属粉末が結晶子
サイズが100〜180Åであって、Fe:Al=10
0:0.5〜100:20のFe−Al系金属粉末であ
り、該上層の磁性層の膜厚が0.8μm以下であり、上層に
用いられる結合剤が−SO3M1,−OSO3M1,−OPO(OM1)2
−PO(OM1)2,−COOM1(M1は水素原子、アルカリ金属原
子又はアルキル基、アンモニウム基を表す。)から選ば
れる極性基及び/又はスルホベタイン基、ホスホベタイ
ン基、カルボキシベタイン基から選ばれる極性基を樹脂
分子中に、好ましくは0.01〜1.0mmol/g含有するととも
に下記の一般式〔I〕で表される第1級水酸基含有モノ
マー単位を有する塩化ビニル樹脂を用いて形成されてな
り、下層が湿潤状態にあるうちに最上層が設けられる
(ウェット・オン・ウェット塗布方式)磁気記録媒体に
よって達成される。
【0011】 一般式〔I〕 -〔-CH2-CH(R1-O-R2-OH)-〕- 式中R1,R2は同じであっても異なっていても良い炭素
数1〜5のアルキレン基を表す。
【0012】塗布性を改良する観点からすると、前記ビ
ニル系樹脂の平均重合厚は200〜300であることが好まし
く、更に好ましくは250〜300である。
【0013】又、デジタルDTR用としては、下層は非
磁性層又は高透磁束材料を含有する層、又、アナログV
TR用としては下層は上層より保磁力の低い磁性層を用
いることが好ましい。
【0014】以下にこの発明の磁気記録媒体について詳
述する。
【0015】−非磁性支持体− 前記非磁性支持体を形成する材料としては、たとえばポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタ
レート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオ
レフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダ
イアセテート等のセルロース誘導体、ポリアミド、ポリ
カーボネート等のプラスチックなどを挙げることができ
る。
【0016】前記非磁性支持体の形態は特に制限はな
く、主にテープ状、フィルム状、シート状、カード状、
ディスク状、ドラム状などがある。
【0017】非磁性支持体の厚みには特に制約はない
が、たとえばフィルム状やシート状の場合は通常の3〜
100μm、好ましくは5〜50μmであり、ディスクやカー
ド状の場合は30μm〜10mm程度、ドラム状の場合はレコ
ーダー等に応じて適宜に選択される。
【0018】なお、この非磁性支持体は単層構造のもの
であっても多層構造のものであってもよい。また、この
非磁性支持体は、たとえばコロナ放電処理等の表面処理
を施されたものであってもよい。
【0019】なお、非磁性支持体上の上記磁性層が設け
られていない面(裏面)には、磁気記録媒体の走行性の
向上、帯電防止および転写防止などを目的として、バッ
クコート層を設けるのが好ましく、また磁性層と非磁性
支持体との間には、下引き層を設けることもできる。
【0020】−磁性層− 本発明においては、最上層が磁性層である。この磁性層
は、基本的には磁性粉をバインダー樹脂中に分散せしめ
てなる。
【0021】該最上層の磁性層には、Fe:Al=10
0:0.5〜100:20のFe−Al系金属粉末であ
強磁性金属粉末を含有する。また、最上層の膜厚が0.
8μm以下であり、好ましくは0.1〜0.7μmでありより好
ましくは0.1〜0.4μmである。これらの条件を満足する
ことによって、本発明の磁気記録媒体は、高域電磁変換
特性を向上させることができる。
【0022】最上層に用いられる強磁性金属粉末として
は、Fe-Al系、Fe-Al-Ni系、Fe-Al-Zn系、Fe-Al-Co系、F
e-Al-Ca系、Fe-Ni-Al系、Fe-Ni-Si-Al-Mn系、Fe-Ni-Si-
Al-Zn系、Fe-Al-Si系等を主成分とするメタル磁性粉等
の強磁性粉が挙げられる。Fe系金属粉が電気的特性に優
れる。
【0023】他方、耐蝕性および分散性の点から見る
と、Fe-Al系、Fe-Al-Ca系、Fe-Al-Ni系、Fe-Al-Zn系、F
e-Al-Co系、Fe-Ni-Si-Al-Zn系、Fe-Ni-Si-Al-Mn系、のF
e-Al系金属粉が好ましい。
【0024】特に、本発明の目的に好ましい強磁性金属
粉は、鉄を主成分とする金属磁性粉であり、AlまたはAl
およびCaを、Alについては重量比でFe:Al=100:0.5〜
100:20、Caについては重量比でFe:Ca=100:0.1〜10
0:10の範囲で含有するのが望ましい。
【0025】Fe:Alの比率をこのような範囲にすること
で耐蝕性が著しく改良され、またFe:Caの比率をこのよ
うな範囲にすることで電磁変換特性を向上させ、ドロッ
プアウトを減少させることができる。
【0026】電磁変換特性の向上やドロップアウトの減
少がもたらされる理由は明らかでないが、分散性が向上
することによる保磁力のアップや凝集物の減少等が理由
として考えられる。
【0027】本発明に用いられる強磁性金属粉末は、透
過型電子顕微鏡により観測されるその平均長軸長が0.30
μm未満、好ましくは0.10〜0.22μm、更に好ましくは0.
10〜0.17μmで、かつX線回折法による結晶サイズが1
00〜180Åである。軸比(平均長軸長/平均短軸長)が1
2以下、好ましくは10以下、更に好ましくは6〜9であ
る。強磁性金属粉末の平均長軸長及び軸比が前記範囲内
にあると、さらに電磁変換特性の向上を図ることができ
る。
【0028】また、本発明に用いられる強磁性金属粉末
は、その保磁力(Hc)が通常600〜5,000 Oeの範囲に
あることが好ましい。この保磁力が600 Oe未満である
と、電磁変換特性が劣化することがあり、また保磁力が
5,000 Oeを超えると、通常のヘッドでは記録不能になる
ことがあるので好ましくない。
【0029】また、上記強磁性粉末は、磁気特性である
飽和磁化量(σs)が通常、70emu/g以上であることが好
ましい。この飽和磁化量が70emu/g未満であると、電磁
変換特性が劣化することがある。
【0030】さらに本発明においては、記録の高密度化
に応じて、BET法による比表面積で30m2/g以上、特に
45m2/g以上の強磁性金属粉末が好ましく用いられる。
【0031】本発明に用いられる強磁性金属粉末の好ま
しい具体例としては、Fe-Al系強磁性金属粉末(Fe:Al
重量比=100:5、平均長軸長0.16μm,Hc:1580 Oe、
σs:120emu/g)挙げることができる。
【0032】また、本発明の磁気記録媒体の最上層の磁
性層には、磁性粉としてFe:Al=100:0.5〜
100:20のFe−Al系金属粉末とともに六方晶系
の磁性粉を用いることが出来る。
【0033】六方晶系の磁性粉としては例えば、バリウ
ムフェライト、ストロチウムフェライト等があるが、本
発明では電磁性特性を調え易いBa-フェライトが主体と
なる。
【0034】好ましい六方晶Ba-フェライト粉末として
は、Ba-フェライト粉の、Feの一部が少なくともCoおよ
びZnで置換された平均粒径(六方晶系フェライトの板面
の対角線の長さ)300〜900Å、板状比(六方晶系フェラ
イトの板面の対角線の長さを板厚で除した値)2.0〜10.
0、好ましくは2.0〜6.0、保磁力(Hc)450〜1500のBa
-フェライトを挙げることができる。
【0035】Ba-フェライト粉は、FeをCoで一部置換す
ることにより、保磁力が適正な値に制御されており、さ
らにZnで一部置換することにより、Co置換のみでは得ら
れない高い飽和磁化を実現し、高い再生出力を有する電
磁変換特性に優れた磁気記録媒体を得ることができる。
また、さらにFeの一部をNbで置換することにより、より
高い再生出力が有する電磁変換特性に優れた磁気記録媒
体を得ることができる。また、本発明に用いられるBa-
フェライトは、さらにFeの一部がTi、In、Mn、Cu、Ge、
Sn等の遷移金属で置換されていても差支えない。
【0036】なお、この発明に使用するBa-フェライト
は次の一般式で表される。
【0037】BaO・n((Fe1-m Mm)2O3) 〔ただし、m>0.36(但し、Co+Zn=0.08〜0.3、Co/Zn
=0.5〜10)であり、nは5.4〜11.0であり、好ましくは
5.4〜6.0であり、Mは置換金属を表わし、平均個数が3
となる2種以上の元素の組合せになる磁性粒子が好まし
い。〕本発明において、Ba-フェライトの平均粒径、板
状比、保磁力が前記範囲内にあると好ましいとするその
理由は、次のようである。すなわち、磁気記録媒体とし
たときの両性出力を充分とするには、前記Ba-フェライ
トの平均粒径が300Å以上であるのが好ましく、表面平
滑性を向上させ、ノイズレベルを低くするには900Å以
下であるのが好ましい。また板状比を2.0以上とするこ
とで、磁気記録媒体としたときに高密度記録に適した垂
直配向率が得られ、表面平滑性を向上させ、ノイズレベ
ルを低くするには板状比が10.0以下であるのが好まし
い。さらに記録信号の保持のためには保磁力が450 Oe以
上が好ましく、ヘッドが飽和してしまうのを防ぐには保
磁力は1500 Oe以下が好ましい。
【0038】本発明に用いられるバリウムフェライト磁
性粉は、磁気特性である飽和磁化量(σs)が通常、50e
mu/g以上であることが望ましい。この飽和磁化量が50em
u/g未満であると、電磁変換特性が劣化することがある
からである。
【0039】さらに本発明においては、記録の高密度化
に応じて、BET法による比表面積が30m2/g以上のBa-
フェライト磁性粉を用いることが望ましい。
【0040】本発明に用いられる六方晶系の磁性粉を製
造する方法としては、たとえば目的とするBa-フェライ
トを形成するのに必要な各元素の酸化物、炭酸化物を、
たとえばホウ酸のようなガラス形成物質とともに溶融
し、得られた融液を急冷してガラスを形成し、ついでこ
のガラスを所定温度で熱処理して目的とするBa-フェラ
イトの結晶粉を折出させ、最後にガラス成分を熱処理に
よって除去するという方法のガラス結晶化法の他、共沈
−焼成法、水熱合成法、フラックス法、アルコキシド
法、プラズマジェット法等が適用可能である。
【0041】前記磁性層中の強磁性粉末および/または
六方晶系の磁性粉の含有量は、通常、50〜99重量%であ
り、好ましくは60〜99重量%である。
【0042】ところで、最上層である磁性層以外の、非
磁性粉末を含有する層は、磁性層の膜厚が0.8μm以下で
あるので、最上層である磁性層に対して潤滑剤を補給す
る層として機能する。磁性層に対して下層となる層が潤
滑剤補給層として良く機能するために、磁性層の下の層
に含まれる非磁性粉末は、その吸油量ができるだけ少な
いことが好ましく、通常200ml/100g以下、好ましくは10
0ml/100g以下である。
【0043】下層として磁性層を用いる場合の該下層に
用いられる磁性粉としては好ましくはたとえば、γ-Fe2
O3,Co含有γ-Fe2O3,Co被着γ-Fe2O3,Fe3O4,Co被着F
e3O4,Co含有磁性FeOx(4/3<x<3/2)、CrO2等の酸化
物磁性体が挙げられる。
【0044】また強磁性金属粉末バリウムフェライト等
の六方晶フェライト、窒化鉄等も用いることができる。
【0045】これらのうちでも、Co含有γ-Fe2O3,Co被
着γ-Fe2O3,Co含有Fe3O4,Co被着Fe3O4、Co含有磁性Fe
Ox(4/3<x<3/2)などのCo含有磁性酸化鉄は、前述し
たように最上層以外の磁性層に含有させることが好まし
い。
【0046】これらのCo含有酸化鉄の表面は、Siおよび
/またはAlで表面処理されていることが好ましく、その
場合、Siは0.1〜3.0重量%、Alは0.01〜1.0重量%それ
ぞれ含有されていることが好ましい。
【0047】本発明においては、非磁性支持体の上に複
数の層が形成されており、最上層以外の少なくとも一層
に非磁性粉末が含有されている。
【0048】該非磁性粉末としては、この種磁気記録媒
体に使用される公知の各種の非磁性粉末から、前記特性
を備えたものを適宜に選択して使用することができる。
この非磁性粉末としては、例えば、カーボンブラック、
グラファイト、酸化チタン、硫酸バリウム、ZnS、MgC
O3、CaCO3、ZnO、CaO、二酸化タングステン、二酸化モ
リブテン、窒化ホウ粗、MgO、SnO2、SiO2、Cr2O3、α-A
l2O3、SiC、酸化セリウム、コランダム、人造ダイヤモ
ンド、α-酸化鉄、ザクロ石、ガーネット、ケイ石、窒
化ケイ素、窒化ホ素、炭化ケイ素、炭化モリブデン、炭
化ホウ素、炭化タングステン、チタンカーバイド、トリ
ボリ、ケイソウ土、ドロマイト等を挙げることができ
る。
【0049】上記非磁性粉末の粒径は、下層の表面性を
良好とするために、通常1〜300nm、好ましくは1〜100
nm、更に好ましくは1〜50nmである。
【0050】本発明においては、非磁性支持体の上に複
数の層が形成されており、最上層以外の少なくとも一層
に高透磁率材料が含有されている。
【0051】該高透磁率材料としては、その保磁力Hcが
0<Hc≦1.0×104 (A/m)、好ましくは0<Hc≦5.0
×103 (A/m)である。保磁力が前記範囲内にある
と、高透磁率材料として最上層の磁化領域の安定化の効
果が発揮される。保磁力が前記範囲にあると、磁性材料
としての特性が発現することになり好ましい。
【0052】本発明においては、高透磁率材料として、
前記保磁力の範囲内にある材料を適宜に選択するのが好
ましい。そのような高透磁率材料としては、例えば、金
属軟質磁性材料、酸化物軟質磁性材料等を挙げることが
できる。
【0053】前記金属軟質磁性材料としては、Fe-Si合
金、Fe-Al合金(Alperm,Alfenol,Alfer)、パーマロイ
(Ni-Fe系二元合金、およびこれにMo、Cu、Crなどを添
加した多元系合金)、センダスト(Fe-Si-Al〔9.6重量
%のSi、5.4%のAl、残りがFeである組成〕)、Fe-Co合
金等を挙げることができる。これらの中でも好ましい金
属軟質磁性材料としてはセンダストが好ましい。なお、
高透磁率材料としての金属軟質磁性材料としては以上に
例示したものに限定されず、その他の金属軟質磁性材料
を使用することができる。高透磁率材料は、その一種を
単独で使用することもできるし、又その二種以上を併用
することもできる。
【0054】前記酸化物軟質磁性材料としては、スピネ
ル型フェライトであるMnFe2O4、Fe3O4、CoFe2O4、NiFe2
O4、MgFe2O4、Li0.5Fe2.5O4 や、Mn-Zn系フェライト、N
i-Zn系フェライト、Ni-Cu系フェライト、Cu-Zn系フェラ
イト、Mg-Zn系フェライト、Li-ZN系フェライト等を挙げ
ることができる。これらの中でも、Mn-Zn系フェライト
およびNi-Zn系フェライトが好ましい。なお、これらの
酸化物軟質磁性材料はその一種を単独で使用することも
できるが、その二種以上を併用することもできる。
【0055】前記高透磁率材料は下層の表面性を良好に
するために、その粒径が1nm〜300nm、特に1nm〜100nm
であり更に好ましいのは1nm〜50nmである。このような
微細な粉末を得るために、金属軟質磁性材料において
は、溶融した合金を真空雰囲気下に噴霧することにより
得ることができる。又、酸化物軟質磁性材料において
は、ガラス結晶化法、共沈焼成法、水熱合成法、フラッ
クス法、アルコキシド法、プラズマジェット法等により
微細粉末にすることができる。
【0056】前述高透磁率材料を含有する層において
は、高透磁率材料の含有量は、50〜99重量%、好ましく
は60〜95重量%、更に好ましくは75〜95重量%である。
高透磁率材料の含有量が前記範囲内にあると、最上層の
磁化の安定化の効果が十分に得られる。又、高透磁率材
料が50重量%以上であると、高透磁率層としての効果が
得られ好ましい。
【0057】なお、該高透磁率材料を含有する層には、
前述の非磁性粉末を含有していても良い。
【0058】−結合剤− 本発明における結合剤は特定の塩化ビニル系樹脂を使用
して形成される。
【0059】すなわち、ここに言う特定の塩化ビニル系
樹脂は、前記一般式〔I〕で表わされる第一級水酸基を
含有するモノマーユニットを有し、−SO3M1,−OSO
3M1,−OPO(OM1)2,−PO(OM1)2,−COOM1から選ばれる
極性基を少なくとも1種以上及び/又はスルホベタイン
基、ホスホベタイン基、カルボキシベタイン基から選ば
れる極性基を少なくとも1種以上分子内に有する。
【0060】前記極性基の中では、−SO3M1,−OSO
3M1,スルホベタイン基がより好ましい。尚前記極性基
中のM1は水素原子、アルカリ金属原子(例えば、Na、
K、L、各原子等)、アルキル基又はアンモニウム基を
表す。
【0061】前記一般式〔I〕以外の水酸基を含むモノ
マーユニットを有する塩化ビニル系樹脂とか、あるいは
前記一般式〔I〕で表されるモノマーユニットを有して
いても、前記した極性基を分子内に含まない塩化ビニル
系樹脂では、本発明の目的を達成することはできない。
【0062】たとえば、塩化ビニルモノマーと、極性基
を有する共重合性モノマーと、前記一般式〔I〕で表さ
れるモノマーユニットを与える共重合性をモノマーとを
共重合することによって得ることができる。
【0063】また、前記一般式〔I〕で表されるモノマ
ーユニットを有する塩化ビニル系重合体を先に製造して
おき、後からこの重合体に高分子反応によって例えば金
属スルホネート基またはスルホベタイン基を導入しても
良い。
【0064】いずれにせよ、塩化ビニル系樹脂に対する
極性基の導入量は、本発明では0.01〜1.0mmol/gであ
り、好ましくは0.1〜0.5mmol/gである。
【0065】この導入量が0.01mmol/g未満であると、走
行耐久性や電磁変換特性を向上させることはできない
し、また導入量が1.0mmol/gを超えると、極性基同士の
相互作用が強まり分散性を著しく劣化させるので、好ま
しくない。
【0066】前記モノマー同士の共重合によって塩化ビ
ニル系樹脂を製造する場合、使用される例えば金属スル
ホネート基またはスルホベタイン基を含有する共重合性
モノマーとしては、以下のものを例示することができ
る。しかし本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】
【化1】
【0068】前記一般式〔I〕のモノマーユニットを有
する共重合性モノマーの具体例としては、一般式CH=CH
-R1-O-R2-OH[ただし、R1およびR2は前記と同様の意味
を表す。]で示される化合物を挙げることができる。た
とえば、 CH=CH-CH2-O-CH2-OH CH=CH-CH2-0-C2H4-OH CH=CH-CH2-0-C3H6-OH CH2=CH-CH2-O-C5H10-OH CH2=CH-C2H4-O-CH2-OH CH2=CH-C2H4-O-C2H4-OH CH2=CH-C2H4-O-C5H10-OH CH2=CH-C3H6-0-CH2-OH CH2=CH-C3H6-0-C2H4-OH CH2=CH-C5H10-0-CH2-OH などを挙げることができる。しかし本発明はこれらに限
定されるものではない。
【0069】本発明に用いる塩化ビニル系樹脂は、乳化
重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等の重合法によっ
て製造することができる。
【0070】いずれの方法においても、必要に応じて分
子量調節剤、重合開始剤などを使用することができる
し、モノマーを分割して反応系に添加したりあるいは連
続に添加することもできる。
【0071】前記高分子反応によって−SO3M1,−OSO3M
1,−OPO(OM1)2,−PO(OM1)2,−COOM1及び/又はスルホ
ベタイン基、ホスホベタイン基、カルボキシベタイン基
を導入する方法としては、あらかじめ重合反応により所
定の分子量にまで鎖延長した塩化ビニル系共重合体の末
端あるいは側鎖に存在する二重結合に対して、前記極性
基を有する共重合性モノマーを反応させる方法を挙げる
ことができる。
【0072】本発明で先に規定した塩化ビニル系樹脂に
おける水酸基の量は、3.0〜0.1重涼%の範囲が好まし
い。この量が0.1重量%未満では、後述する硬化剤によ
る塗膜の架橋効果が発揮されず、また3.0重量%を超え
ると、硬化剤との反応が早すぎて電気特性および塗布性
を劣化させてしまうので好ましくない。
【0073】さらに、本発明に用いる塩化ビニル系樹脂
において、極性基を有する共重合性モノマーの含有量
は、塩化ビニル系樹脂中の極性基の含有量が前述の範囲
内になるように規制される。
【0074】本発明で用いる塩化ビニル系樹脂の平均重
合度は、200〜300の範囲、好ましくは250〜300の範囲で
あることが望ましい。
【0075】本発明に用いる塩化ビニル系樹脂の好まし
い具体例としては、−SO3M1,−OSO3M1、スルホベタイ
ン基のうち少なくとも1種以上を含有した塩化ビニル系
樹脂を挙げることができる。この樹脂は部分加水分解さ
れたものでもよい。
【0076】本発明では前記に特定した塩化ビニル系樹
脂を従来の結合剤と併用することができる。
【0077】従来の結合剤としては、熱可塑性樹脂、反
応型樹脂、電子線照射型樹脂またはこれらの混合物など
を挙げることができ、これらは一種または二種以上を組
み合わせて使用することができる。
【0078】上記熱可塑性樹脂としては、たとえばポリ
ウレタン、アクリル酸エステル-アクリロニトリル共重
合体、アクリル酸エステル-塩化ビニリデン共重合体、
メタクリル酸エステル-塩化ビニリデン共重合体、メタ
クリル酸エステル-エチレン共重合体、ポリ弗化ビニ
ル、塩化ビニル、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共
重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリ
アミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体
(セルロースアセテートブチレート)、セルロースダイ
アセテート、セルローストリアセテート、セルロースプ
ロピオネート、ニトロセルロース等)、スチレンブタジ
エン共重合体、ポリエステル樹脂、クロロビニルエーテ
ルアクリル酸エステル共重合体、アミノ樹脂および合成
ゴム系の熱可塑性樹脂などを挙げることができる。
【0079】上述した結合剤の中でもポリウレタンが好
ましい。
【0080】前記熱硬化性樹脂または反応型樹脂として
は、たとえばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレ
タン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラニン樹脂、アルキッド
樹脂、シリコーン樹脂、アクリル反応樹脂、高分子量ポ
リエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーとの混合
物、メタクリル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポ
リマーとの混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、および
ポリアミン樹脂などが挙げられる。
【0081】前記電子線照射硬化型樹脂としては、たと
えば無水マレイン酸タイプ、ウレタンアクリルタイプ、
エポキシアクリルタイプ、ポリエステルアクリルタイ
プ、ポリエーテルアクリルタイプ、ポリウレタンアクリ
ルタイプ、ポリアミドアクリルタイプ等の不飽和プレポ
リマー;エーテルアクリルタイプ、ウレタンアクリルタ
イプ、エポキシアクリルタイプ、燐酸エステルアクリル
タイプ、アリールタイプおよびハイドロカーボンタイプ
等の多官能モノマーなどが挙げられる。
【0082】本発明における塩化ビニル系樹脂の使用量
は、強磁性粉100重量部に対して通常1〜15重量部、好
ましくは2〜10重量部である。
【0083】また、この塩化ビニル系樹脂を従来の結合
剤と併用する場合、その配合割合は、従来の結合剤に対
する本発明における塩化ビニル系樹脂の重量比で、通常
9/1〜1/9、好ましくは8/2〜2/8である。この配合割合が
前記範囲を外れると、本発明の磁気記録媒体における磁
性層の電磁変換特性が低下したり、前記強磁性粉の分散
性が低下したりすることがある。
【0084】本発明においては、前記特定の塩化ビニル
系樹脂とともに硬化剤(架橋剤)を併用するのが好まし
い。
【0085】これによって磁性層の熱安定性(脱塩酸特
性)を向上させることができ、磁気記録媒体の耐久性の
向上を図ることができる。
【0086】この硬化剤としては、たとえばトリレンジ
イソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、
ヘキサンジイソシアナート等の2官能イソシアナート、
コロネートL(商品名;日本ポリウレタン工業(株)
製)、デスモジュールL(商品名;バイエル社製)等の
3官能イソシアナート、または両端末にイソシアナート
基を含有するウレタンプレポリマーなどの従来の硬化剤
として使用されているものや、また硬化剤として使用可
能であるポリイソシアナートであるものをいずれも使用
することができる。
【0087】前記硬化剤の使用量は、通常、全結合剤量
の5〜50重量部である。
【0088】−その他の成分− 本発明では磁性層の品質の向上を図るため、耐久性向上
剤、分散剤、研磨剤、帯電防止剤および充填剤などの添
加剤をその他の成分として含有させることができる。
【0089】耐久性向上剤としては、ポリイソシアネー
トを挙げることができ、ポリイソシアネートとしては、
例えばトリレンジイソシアネート(TDI)等と活性水素
化合物との付加体などの芳香族ポリイソシアネートと、
ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等と活性水素
化合物との付加体などの脂肪族ポリイソシアネートがあ
る。なお、前記ポリイソシアネートの重量平均分子量
は、100〜3,000の範囲にあることが望ましい。
【0090】分散剤としては、例えばカプリル酸、カプ
リン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、オレイン酸などの炭素数12〜18の脂肪酸;
これらのアルカリ金属の塩またはアルカリ土類金属の塩
あるいはこれらのアミド;ポリアルキレンオキサイドア
ルキルリン酸エステル;レシチン;トリアルキルポリオ
レフィンオキシ第四アンモニウム塩;カルボキシル基お
よびスルホン酸基を有するアゾ系化合物などを挙げるこ
とができる。これらの分散剤は、通常、強磁性粉に対し
て0.5〜5重量%の範囲で用いられる。
【0091】次に、潤滑剤としては、脂肪酸および/ま
たは脂肪酸エステルを使用することができる。この場
合、脂肪酸の添加量は強磁性粉に対し0.2〜10重量%が
好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい。添加量は、
0.2重量%未満であると、走行性が低下し易く、また10
重量%を超えると、脂肪酸が磁性層の表面にしみ出した
り、出力低下が生じ易くなる。
【0092】また、脂肪酸エステルの添加量も強磁性粉
に対して0.2〜10重量%が好ましく、0.5〜5重量%がよ
り好ましい。その添加量が0.2重量%未満であると、ス
チル耐久性が劣化し易く、また10重量%を超えると、脂
肪酸エステルが磁性層の表面にしみ出したり、出力低下
が生じ易くなる。
【0093】脂肪酸と脂肪酸エステルとを併用して潤滑
効果をより高めたい場合には、脂肪酸と脂肪酸エステル
は重量比で10:90〜90:10が好ましい。
【0094】脂肪酸としては一塩基酸であっても二塩基
酸であってもよく、炭素数は6〜30が好ましく、12〜22
の範囲がより好ましい。
【0095】脂肪酸の具体例としては、カプロン酸、カ
プリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノレ
ン酸、オレイン酸、エライジン酸、ベヘン酸、マロン
酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、
ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカ
ンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸などが挙げられ
る。
【0096】脂肪酸エステルの具体例としては、オレイ
ルオレート、イソセチルステアレート、ジオレイルマレ
ート、ブチルステアレート、ブチルパルミテート、ブチ
ルミリステート、オクチルミリステート、オクチルパル
ミテート、ペンチルステアレート、ペンチルパルミテー
ト、イソブチルオレエート、ステアリルステアレート、
ラウリルオレエート、オクチルオレエート、イソブチル
オレエート、エチルオレエート、イソトリデシルオレエ
ート、2-エチルヘキシルステアレート、2-エチルヘキシ
ルパルミテート、イソプロピルパルミテート、イソプロ
ピルミリステート、ブチルラウレート、セチル-2-ウチ
ルヘキサレート、ジオレイルアジペート、ジエチルアジ
ペート、ジイソブチルアジペート、ジイソデシルアジペ
ート、オレイルステアレート、2-エチルヘキシルミリス
テート、イソペンチルパルミネート、イソペンチルステ
アレート、ジエチレングリコール-モノ-ブチルエーテル
パルミネート、ジエチレングリコール-モノ-ブチルエー
テルパルミテートなどが挙げられる。
【0097】また、上記脂肪酸、脂肪酸エステル以外の
潤滑剤として、たとえばシリコーンオイル、グラファイ
ト、フッ化カーボン、二硫化モリブデン、二硫化タング
ステン、脂肪酸アミド、α-オレフィンオキサイドなど
も使用することができる。
【0098】次に、研磨剤の具体例としては、例えばα
-アルミ、溶融アルミナ、酸化クロム、酸化チタン、α-
酸化鉄、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化タングステン、
炭化モリブデン、炭化ホウ素、コランダム、酸化亜鉛、
酸化セリウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素などが挙
げられる。研磨剤としては、平均粒子径が0.05〜0.6μm
のものが好ましく、0.1〜0.3μmのものがより好まし
い。
【0099】帯電防止剤としては、カーボンブラック、
グラファイト等の導電性粉末;第四級アミン等のカチオ
ン界面活性剤;スルホン酸、硫酸、リン酸、リン酸エス
テル、カルボン酸等の酸基を含むアニオン界面活性剤;
アミノスルホン酸等の両性界面活性剤;サポニン等の天
然界面活性剤などを挙げることができる。上述した帯電
防止剤は、通常、結合剤に対して0.01〜40重量%の範囲
で添加される。
【0100】−磁気記録媒体の製造− この発明の磁気記録媒体は、磁性層の塗設を、下層が湿
潤状態にあるときにする所謂ウェット・オン・ウェット
方式で塗設するのが好ましい。このウェット・オン・ウ
ェット方式は、公知の重層構造型の磁気記録媒体の製造
に使用される方法を適宜に採用することができる。
【0101】例えば、一般的には強磁性金属粉末又は六
方晶板状粉、結合剤、分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防
止剤等と溶媒とを混練して高濃度磁性塗料を調製し、次
いでこの高濃度磁性塗料を希釈して磁性塗料を調製した
後、この磁性塗料を非磁性支持体の表面に塗布する。
【0102】上記溶媒としては、例えばアセトン、メチ
ルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIB
K)、シクロヘキサノン等のケトン系;メタノール、エ
タノール、プロパノール等のアルコール類;酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;テトラヒ
ドロフラン等の環状エーテル類;メチレンクロライド、
エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、ジク
ロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素などを用いること
ができる。
【0103】磁性層形成成分の混練分散にあたっては、
各種の混練分散機を使用することができる。
【0104】この混練分散機としては、たとえば二本ロ
ールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、
コボルミル、トロンミル、サンドミル、サンドグライン
ダ、Sqegvariアトライタ、高速インペラ分散機、高速ス
トーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパ、高速ミキサ、
ホモジナイザ、超音波分散機、オープンニーダ、連続ニ
ーダ、加圧ニーダ等が挙げられる。上記混練分散機のう
ち、0.05〜0.5KW(磁性粉1Kg当たり)の消費電力負荷
を提供することのできる混練分散機は、加圧ニーダ、オ
ープンニーダ、連続ニーダ、二本ロールミル、三本ロー
ルミルである。
【0105】非磁性支持体上に、例えば本発明高透磁率
材料を含有する層および磁性層を塗布するには、具体的
には、図1に示すように、まず供給ロール32から繰出し
たフィルム状支持体1に、エクストルージョン方式の押
し出しコータ10、11により、磁性層の各塗料をウェット
・オン・ウェット方式で重層塗布した後、配向用磁石ま
たは垂直配向用磁石33に通過し、乾燥器34に導入し、こ
こで上下に配したノズルから熱風を吹き付けて乾燥す
る。次に、乾燥した各塗布層付きの支持体1をカレンダ
ロール38の組合せからなるスーパーカレンダ装置37に導
き、ここでカレンダー処理した後に、巻取ロール39に巻
き取る。このようにして得られた磁性フィルムを所望幅
のテープ状に裁断してたとえば8mmビデオカメラ用磁気
記録テープを製造することができる。
【0106】上記の方法において、各塗料は、図示しな
いインラインミキサーを通して押し出しコータ10、11へ
と供給してもよい。なお、図中、矢印Dは非磁性ベース
フィルムの搬送方向を示す。押し出しコータ10、11には
夫々、液溜まり部13、14が設けられ、各コータからの塗
料をウェット・オン・ウェット方式で重ねる。即ち、下
層用塗料の塗布直後(未乾燥状態のとき)に上層磁性層
塗料を重層塗布する。
【0107】前記コーターヘッドは、図2に(a)、
(b)、(c)を示したが(c)のヘッドが本発明にお
いては好ましい。
【0108】上記塗料に配合される溶媒あるいはこの塗
料の塗布時の希釈溶媒としては、例えばアセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキ
サノン等のケトン類;メタノール、エタノール、プロパ
ノール、ブタノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレングリコー
ルセノアセテート等のエステル類;グリコールジメチル
エーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メチレンクロラ
イド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホル
ム、ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等のもの
が使用できる。これらの各種の溶媒は単独で使用するこ
ともできるし、またそれらの二種以上を併用することも
できる。
【0109】前記配向磁石あるいは垂直配向用磁石にお
ける磁場は、20〜5,000ガウス程度であり、乾燥器によ
る乾燥温度は約30〜120℃であり、乾燥時間は約0.1〜10
分間程度である。
【0110】なお、ウェット・オン・ウェット方式で
は、リバースロールと押し出しコータとの組み合わせ、
グラビアロールと押し出しコータとの組み合わせなども
使用することができる。さらにはエアドクターコータ、
ブレードコータ、エアナイフコータ、スクィズコータ、
含浸コータ、トランスファロールコータ、キスコータ、
キャストコータ、スプレイコータ等を組み合わせること
もできる。
【0111】該ウェット・オン・ウェット方式における
重層塗布においては、最上層の下側に位置する層が湿潤
状態になったままで上層の磁性層を塗布するので、下層
の表面(即ち、最上層との境界面)が滑らかになるとと
もに最上層の表面性が良好になり、かつ、上下層間の接
着性も向上する。この結果、特に高密度記録のために高
出力、低ノイズの要求されるたとえば磁気テープとして
の要求性能を満たしたものとなりかつ、高耐久性の性能
が要求されることに対しても膜剥離をなくし、膜強度が
向上し、耐久性が十分となる。また、ウェット・オン・
ウェット重層塗布方式により、ドロップアウトも低減す
ることができ、信頼性も向上する。
【0112】−表面の平滑化− 本発明においては、次にカレンダリングにより表面平滑
化処理を行う。
【0113】その後は、必要に応じてバーニッシュ処理
またはブレード処理を行なってスリッティングされる。
【0114】表面平滑化処理においては、カレンダー条
件として温度、線圧力、C/s(コーティングスピード)
等を挙げることができる。
【0115】本発明においては、通常、上記温度を50〜
120℃、上記線圧力50〜400kg/cm、上記C/sを20〜60
0m/分に保持することが好ましい。
【0116】上記のように処理した結果の最上層の層厚
は、好ましくは0.5mμ以下にする。層厚が0.5μm以下
にすることで、高域特性や信号の重ね書き(オーバーラ
イト)特性が向上して好ましい。
【0117】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。
【0118】以下に示す成分、割合、操作順序はこの発
明の範囲から逸脱しない範囲において種々変更しうる。
なお、下記の実施例において「部」はすべて重量部であ
る。
【0119】以下の組成の磁性塗布を調製した。
【0120】 〔上層用磁性塗料A〕 Fe-Al系強磁性粉末 100部 (Fe:Al重量比=100:8,平均長軸長=0.16μm、Hc=1580 Oe、飽和磁化量σs、 120emu/g、結晶子サイズ=170Å、軸比=8) 塩化ビニル系樹脂(表1に記載) 10部 スルホン酸金属塩含有ポリエステルポリウレタン樹脂 3部 (東洋紡績(株)製、UR8700) α−アルミナ(粒径0.2μm) 5部 カーボンブラック(粒径40μm) 0.5部 ミリスチン酸 1部 ステアリン酸 1部 ブチルステアレート 1部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部 シクロヘキサノン 100部 下記組成の下層用塗料を調製した。
【0121】〔下層用磁性塗料C〕Fe-Al系強磁性粉末
にかえてCO被着酸化鉄(平均長軸長0.16μm、Hc=800
0 Oe σS=78emu/g、結晶子サイズ=330Å)100部を用
いた以外は上層用磁性塗料Aと同様にして、磁性塗料を
作成した。
【0122】次に、得られた上層用磁性塗料と下層用塗
料とにそれぞれポリイシシアネート(コロネートL、日
本ポリウレタン工業(株)製)5部を添加した後、ウェ
ット・オン・ウェット方式により厚み10μmのポリエチ
レンテレフタレートフィルム上に塗布したのち、塗膜が
未乾燥であるうちに磁場配向処理を行ない、続いて乾燥
を施してから、カレンダーで表面平滑化処理を行ない、
厚み2.0μmの下層と厚み0.4μmの上層とからなる磁性層
を形成した。
【0123】さらに、この磁性層とは反対側の上記ポリ
エチレンフタレートフィルムの面(裏面)に下記の組成
を有する塗料を塗布し、この塗膜を乾燥し、後述するカ
レンダー条件にしたがってカレンダー加工をすることに
よって、厚み0.8μmのバックコート層を形成し、広幅の
原反磁気テープを得た。
【0124】 〔バックコート層用塗料〕 カーボンブラック 40部 (ラベン1035) 硫酸バリウム 10部 (平均粒径300mμ) ニトロセルロース 25部 ポリウレタン系樹脂 25部 (日本ポリウレタン工業(株)社製、N−2301) ポリイソシアネート化合物 10部 (日本ポリウレタン工業(株)社製、コロネートL) シクロヘキサノン 400部 メチルエチルケトン 250部 トルエン 250部 こうして得られた原反をスリットして8mmビデオ用テー
プを作成した。
【0125】このビデオ用テープの電磁変換特性、塗布
性そしてオーバーライト特性を下記の要領で測定した。
尚、評価は以下の評価方法で行った。
【0126】<CN特性>9MHzの単一波を記録し、
その信号を再生した際の出力レベルを基準サンプル(比
較例1)との比較で表した。
【0127】<オーバーライト特性>2MHzの信号を
飽和レベルで記録し、その後に9MHzの信号を(上書
き)記録した際の2MHzの信号を残留出力レベルを測
定した。残留出力レベルの低い程オーバーライト特性は
良好であるとする。
【0128】<塗布性>重層塗布適性について目視で判
定し、塗布すじの発生のないものを良好、塗布すじが多
発するものを不良とした。
【0129】〔上層用磁性塗料B〕上層用磁性塗料Aに
おけるFe-Al系強磁性金属粉末にかえてCo置換バリウム
フェライト(Hc:1100 Oe,BET45m2/g,σs:64emu/g,
板状比:4)を100部用いた外は上層磁性塗料Aと同様
にして磁性塗料を作成した。
【0130】〔下層用磁性塗料D〕 下層用磁性塗料CにおいてCo-rFe2O3にかえて酸化チタ
ン(平均粒径30nm)100部を用いた以外は下層用磁性塗
料Cと同様にして磁性塗料を調整した。
【0131】〔下層用磁性塗料E〕下層用磁性塗料Cに
おいてCo-rFe2O3にかえてFe-Si-Alセンダスト合金粉末
(保磁力Hc=40A/m μi=200H/m,粒径50nm)100部を用
いた以外は下層用磁性塗料Cと同様にして磁性塗料を調
整した。
【0132】以下に、実施例中の塩化ビニル系樹脂を表
1に、又、結果を表2に示す。
【0133】
【表1】
【0134】表1中の塩化ビニル系樹脂A,B,C,D
【0135】
【化2】
【0136】2.塩化ビニル系樹脂B 前記塩化ビニル系樹脂AにおいてSO3Kに替えて-N+(CH3)
2[-(CH2)3-SO3 -]基を用い平均重合度を表1のように
した以外は塩化ビニル系樹脂Aと同様。
【0137】3.塩化ビニル系樹脂C 前記塩化ビニル系樹脂における水酸基含有モノマーを以
下の水酸基含有モノマーIIとし、平均重合度を表1のよ
うにした以外は塩化ビニル系樹脂Aと同様。
【0138】(水酸基モノマーII) -{-CH2-CH[COO CH2CH(CH3)OH]-}- 4.塩化ビニル系樹脂D 前記塩化ビニル系樹脂Aにおいて、極性基(SO3K基)を
含まず平均重合度を表1のようにした以外は塩化ビニル
系樹脂Aと同様。
【0139】
【表2】
【0140】なお、表2中、実施例2,5,10,11
が本発明である。表2から明らかな様に本発明の実施例
が比較例に比して優れていることがわかる。
【0141】
【発明の効果】本発明の磁性記録媒体は、磁性層の薄膜
化が可能であり、高域電磁変換特性に優れ、オーバライ
ト特性の良好な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】押出し塗布方式によるウェット・オン・ウェッ
ト塗布による本発明の磁性記録媒体を製造するための同
時重層塗布を説明するための図である。
【図2】本発明の塗料を塗布するためのコーターヘッド
の図である。
【符号の説明】
1 支持体 10 押し出しコータ 11 押し出しコータ 32 供給ロール 33 配向用磁石 34 乾燥器 37 スーパーカレンダ装置 38 カレンダロール 39 巻取ロール

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、非磁性粉末を含有す
    る非磁性層の下層と、強磁性金属粉を含む磁性層の上層
    を有し、該強磁性金属粉末が結晶子サイズが100〜1
    80Åであって、Fe:Al=100:0.5〜10
    0:20のFe−Al系金属粉末であり、該上層の磁性
    層の膜厚が0.8μm以下であり、上層に用いられる結合剤
    が−SO3M1,−OSO3M1,−OPO(OM1)2,−PO(OM1)2,−CO
    OM1(M1は水素原子、アルカリ金属原子又はアルキル
    基、アンモニウム基を表す。)から選ばれる極性基及び
    /又はスルホベタイン基、ホスホベタイン基、カルボキ
    シベタイン基から選ばれる極性基を樹脂分子中に含有す
    るとともに下記の一般式〔I〕で表される第1級水酸基
    含有モノマー単位を有する塩化ビニル系樹脂を用いて形
    成されてなり、下層が湿潤状態にあるうちに上層が設け
    られることを特徴とする磁気記録媒体。 一般式〔I〕 -〔-CH2-CH(R1-O-R2-OH)-〕- 〔但し、式中R1及びR2は互いに同じでも異なっていて
    も良い炭素数1〜5のアルキレン基を表わす。〕
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