JP3260204B2 - 熱電界放射陰極 - Google Patents

熱電界放射陰極

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JP3260204B2 JP14209993A JP14209993A JP3260204B2 JP 3260204 B2 JP3260204 B2 JP 3260204B2 JP 14209993 A JP14209993 A JP 14209993A JP 14209993 A JP14209993 A JP 14209993A JP 3260204 B2 JP3260204 B2 JP 3260204B2
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    • H01J2237/06Sources
    • H01J2237/063Electron sources
    • H01J2237/06308Thermionic sources
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子顕微鏡、測長機、
電子ビーム露光機、電子ビームテスター等に用いられる
熱電界放射陰極に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、より高輝度の電子ビームを得るた
めに、タングステン単結晶の針状電極を利用した熱電界
放射陰極が開発されている。軸方位が<100>方位か
らなるタングステンチップ(以下Wチップという)に、
ジルコニウム及び酸素とからなる被覆層を設けた、いわ
ゆるZrO/W熱電界放射陰極は、ZrO被覆層によっ
て(100)面の仕事関数が選択的に4.5 eVから2.8
eVに低下するので、従来の熱陰極に較べて高輝度、長
寿命であり、また冷電界放射陰極よりも安定で使いやす
いといった特徴を持っている。
【0003】図2に熱電界放射陰極の断面図を示す。1
はWチップ、2は熱電子の放射を抑制する電界を形成す
るための電圧を印加するサプレッサー電極、3はWチッ
プを加熱する加熱ヒーターとなるタングステンワイヤ
ー、4は絶縁碍子である。5は金属支柱、また、図1は
図2のWチップ1とタングステンワイヤー3の部分を拡
大した図で、Wチップの一部にはジルコニウム及び酸素
の供給源6が設けられている。図示していないがWチッ
プの表面はZrO被覆層で覆われている。
【0004】このようなZrO/W熱電界放射陰極のW
チップ1はタングステンワイヤー3に通電加熱し180
0度K程度の温度下で使用されるため蒸発により消耗す
るが、ジルコニウム及び酸素の供給源6よりジルコニウ
ム及び酸素が表面拡散を通じWチップ1の表面に連続し
て供給されZrO被覆層が形成され続ける。ジルコニウ
ム及び酸素の供給源6中のジルコニウム或いは酸素が枯
渇し終わればZrO被覆層の形成は終了し仕事関数が上
昇し、熱電界放射陰極としての機能を失い寿命を終え
る。
【0005】低仕事関数化のためのZrO被覆層の形成
方法の従来法を以下に示す(米国特許第4,324,999 号公
報)。 第1工程:ジルコニウム含有物の前駆体として水素化ジ
ルコニウム(ZrH2)の粉末体に有機溶剤などを添加
しスラリー状にし、<100>方位のWチップ1に付着
させ水素化ジルコニウムの溜まりを形成する。 第2工程:高真空下で、Wチップ1の加熱を行って、水
素化ジルコニウムをジルコニウムと水素に分解し、ジル
コニウムをWチップ1に拡散させる。 第3工程:10-6Torr程度の酸素雰囲気中にてWチップ1
を加熱し、Wチップ1上に、ZrO被覆層を形成させ
る。同時にジルコニウムの全量、或いは一部が酸化ジル
コニウムになりジルコニウムと酸素の供給源が形成され
る(以下、本工程を酸素処理という)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来法
によりZrO/W熱電界放射陰極を製造する時、いくつ
かの問題があった。従来法によりZrO/W熱電界放射
陰極を製造する時の第1の問題は、その寿命のばらつき
が大きく、また、タングステンワイヤー3の溶断、或い
は、放電によるWチップ1の損傷といった故障の発生率
が高く、電子ビームの不安定な挙動がしばしば観察され
るという問題があった。 例えば、ジルコニウム及び酸
素の供給源6をWチップ1の加熱ヒーター側近くに設け
れば温度が高くなりジルコニウム及び酸素の蒸発速度が
速くなり寿命が短くなる。 ことに、酸素処理が不十分
で未酸化のジルコニウムの量が多い場合にはジルコニウ
ムの蒸気圧は酸化ジルコニウムの蒸気圧に較べ1800度K
で約50倍高いためこの効果は顕著である。 また、Wチ
ップ1とタングステンワイヤー3の接合点上に、あるい
はタングステンワイヤー上にジルコニウム及び酸素の供
給源6を設けると加熱特性が変化し、加熱電流がより多
く必要になり、甚だ著しい場合にはタングステンワイヤ
ー3が溶断する時もある。
【0007】一方ジルコニウム及び酸素の供給源6をW
チップ1の先端側近くに設ければ温度が低く蒸発速度が
遅く寿命の点では好ましいが、Wチップ1先端及びサプ
レッサー電極2の孔の近傍の電界分布を乱し放電を生じ
たり、或いは電子ビームが不安定になるなど電子放射陰
極として性能を著しく低下させるという問題があった
が、これらに関する検討はなされていなかった。
【0008】又、第2の問題は、製造の過程に於いてジ
ルコニウム及び酸素の供給源がWチップより剥がれ落ち
てしまい製品が得られなかったり、製品が得られても使
用中に剥がれが生じて熱電界放射陰極の機能を失う等の
不都合を生じることがあった。
【0009】第3の問題は、所望の電子ビーム特性が得
られないという問題である。第3図は、熱電界放射陰極
が使用される際の電気回路の模式図である。熱電界放射
陰極は、空間的に広がりのある電子ビームを発生する
が、電子顕微鏡等の最終用途では軸中心部の電子ビーム
Ip7が主に使用される。 この部分の電子ビーム量を確
保する為には、熱電界放射陰極の温度や引き出し電圧Ve
x 8を調整する。しかし、引き出し電圧の増加は、軸中
心部の電子ビームIp7を増加させると共に、周辺部の電
子ビーム量をも増加させる。 従って、軸中心部の電子
ビームIp7と周辺部の電子ビームの和である全電子ビー
ムIt9をも増加させる。 全電子ビーム量が必要以上に
大きい場合には、熱電界放射陰極を稼働させるために大
型の電源が必要となり、経済的に不利となる。 既に設
計製作されている熱電界放射陰極使用装置については、
軸中心部の電子ビーム量Ip7に対して周辺部の電子ビー
ム量が大きな特性を持つ熱電界放射陰極は使えないとい
う問題があった。更に、全電子ビーム量It9が大きい場
合には、電子ビームボンバード効果によって電極部材か
らのガス放出量が増大するので、電子ビームが時間的、
空間的に不安定となりやすい。 所望の軸中央部電子ビ
ーム量が得られる限り周辺部の電子ビーム量従って全電
子ビーム量は小さいほうが望ましい。
【0010】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであり、安定して長寿命且つ、低故障率で安定した電
子ビーム特性を有する熱電界放射陰極を提供することを
目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、軸方位
が<100>方位からなるタングステン単結晶の針状電
極に、ジルコニウム及び酸素とからなる被覆層とその供
給源を設けた針状電極とサプレッサー電極とからなる熱
電界放射陰極に於いて、ジルコニウム及び酸素の供給源
が前記針状電極と加熱ヒーターとの接合点から前記針状
電極の先端方向200 μmの点とサプレッサー電極の外表
面との間に位置することにあり、また、前記供給源中の
ジルコニウム重量を3.0x10-6g 以上10x10 -6g 以下にす
ることである。 ここでジルコニウム量を定めるために
は、予めの実験でジルコニウム及び酸素の供給源の前駆
体の塗布量を変化させて得た熱電界放射陰極のWチップ
部分を元素分析することで、塗布量とジルコニウム量と
の関係を得ておけば熱電界放射陰極を破壊することな
く、ジルコニウム量を所望の値にすることができる。
【0012】本発明の他の特徴は、軸方位が<100>
方位からなるタングステン単結晶の針状電極に、ジルコ
ニウム及び酸素とからなる被覆層とその供給源を設けた
針状電極とサプレッサー電極とからなる熱電界放射陰極
に於いて、針状電極の先端から10μmと200 μmまでの
間の領域での円錐形状の輪郭が直線または内側に湾曲し
た弧状であることにある。詳しくは、針状電極の先端か
ら10μmまでの領域での円錐角が10度以上25度以下であ
ること、又、針状電極の先端から200 μmまでの領域で
の円錐角が10度以上35度以下であることにある。
【0013】更に、本発明のもう一つの特徴は、軸方位
が<100>方位からなるタングステン単結晶の針状電
極に、ジルコニウム及び酸素とからなる被覆層とその供
給源を設けた針状電極とサプレッサー電極とからなる熱
電界放射陰極に於いて、ジルコニウム及び酸素の供給源
とタングステン針状電極との反応が存在しないか、若し
くは反応層の厚みが15μm以下であることにある。詳し
くは、タングステン単結晶の針状電極にジルコニウムと
酸素の被覆層を形成する過程において、1x10-7Torr以上
の酸素分圧を持つ真空中で輝度温度1200℃以上1500℃以
下の温度で加熱処理を施したこと、ジルコニウム及び酸
素の供給源として酸化ジルコニウムを含む前駆体を用い
ること、及びタングステン単結晶の針状電極にジルコニ
ウムと酸素の被覆層を形成する過程において、ZrW2
とZrの共晶温度よりも低い温度でジルコニウムを酸化
させることにある。
【0014】
【作用】ZrO/W熱電界放射陰極の寿命を律する一因
としてジルコニウム及び酸素供給源中のジルコニウム或
いは酸素の枯渇が挙げられる。蒸発による消耗速度は温
度に強く依存している。更に、ジルコニウム及び酸素の
供給源の針状電極における位置は電界分布や加熱特性に
影響するので、ジルコニウム及び酸素供給源の位置には
両者の効果を考慮したうえでの最適位置が存在する。
本発明者等は、この点に付いて検討した結果、wチップ
1の加熱ヒーターへの接合点からwチップの先端方向20
0 μmの点とサプレッサー電極の外表面との間(図1中
のB;両端を含む)の位置がジルコニウム及び酸素供給
源6を設ける位置の最適範囲であることが明かとなっ
た。 ジルコニウム及び酸素の供給源中のジルコニウム
或いは酸素が枯渇にいたる時間であるが、その消耗の機
構は不明な点も多く明かではないが、最短でも5000時間
前後の寿命が確保されることが確かめられているが、3.
0x10-6g 未満ではその寿命が短く、目的とするものが得
られない。10x10 -6g を越えた場合、一つには、熱電界
放射陰極の寿命を支配する因子がジルコニウム或いは酸
素の枯渇以外の因子、例えば、加熱ヒーターの消耗等、
が支配的となるので、寿命の面で顕著な効果が期待でき
ないし、熱電界放射陰極を製造するに際してWチップに
安定して塗布することが困難になってくる。
【0015】ジルコニウム及び酸素の供給源の剥がれ落
ちる現象について、本発明者等は検討を進めたところ、
ジルコニウム及び酸素の供給源が針状電極を構成するW
チップと反応しその反応層が15μmを越える時に前記現
象が生じることを実験的に見いだした。 この理由は明
確でないが、酸素処理工程における加熱により、ジルコ
ニウム及び酸素の供給源中のジルコニウムはWチップと
反応し、その反応層やW自体の表面を通じてWチップ先
端に拡散してゆくと考えられる。 図4は、反応層が存
在する時のWチップ1のジルコニウム及び酸素の供給源
6との接触部のWチップの断面の模式図である。 接触
部に層状の反応生成物が認められ、この生成物は元素分
析によりZrW2 とZrで構成されていることが判っ
た。 この反応層10が存在する場合、その反応生成物
はZrW2 とZrを含む為に、W自体よりも低融点とな
る。 従って、反応層10が厚くなると、ジルコニウム
及び酸素の供給源の重量を支え切れず、該ジルコニウム
及び酸素の供給源の脱落を生じることになる。
【0016】これを防止するには、ZrW2 とZrの共
晶温度(約1660℃)よりも低い温度で酸素処理、即ちジ
ルコニウムを酸化させればよい。 又、他の防止策とし
ては、酸素処理における条件を1x10-7Torr以上の酸素分
圧をもつ真空中で、輝度温度1200℃以上1500℃以下の温
度に限定すれば良い。 更に、予め酸化ジルコニウムを
含む前駆体を含んだジルコニウム及び酸素供給源を用い
れば良い。 酸素分圧が1x10-7Torr未満では低仕事関数
化に要する時間が長期に渡るので得策でない。温度につ
いては、輝度温度1200℃未満では低仕事関数化に時間を
要するので好ましくないし、輝度温度1500℃を越えると
ZrW2 とZrの共晶温度を越えることになるので反応
層の形成が急速に進み反応層が厚くなりジルコニウム及
び酸素の供給源がWチップより剥がれ易くなる。
【0017】次に、軸中心部の電子ビーム量に対して周
辺部の電子ビーム量が小さい特性を持つ熱電界放射陰極
が容易に得られないという問題についても、本発明者等
が詳細に検討した結果、Wチップ1の円錐部の形状がそ
の電子ビーム量の空間的な分布を支配していることが明
かとなった。 特に、Wチップの円錐部の形状が、その
先端から10μmと200 μmまでの領域で直線または内側
に湾曲した弧状の形状を有する時に全電子ビーム量は先
端曲率半径にほとんど依存せず、前記問題の解決策とな
ることを見いだしたものである。 これは、周辺部の電
子ビームが円錐部より熱電界放射されている為と推定す
る。 Wチップの円錐部形状については、先端から10μ
mまでの領域での円錐角は、10度以上25度以下が望まし
い。 10度未満のものは、その製作が困難な上に、長期
使用に際して先端形状が変形し易く、電子ビームの長期
安定性に欠けるので好ましくない。 又、25度を越える
ものは、全電子ビーム量が大きくなり、実用上価値がな
い。 Wチップの円錐部形状について、加えて、先端か
ら200 μmまでの領域での円錐角は10度以上35度以下が
良い。 数値制限の理由は、前述のように、10度未満で
は製作上困難さが増大することと長期の寿命が達成でき
ないこと、35度を越える場合は全電子ビーム量が大きく
実用上の価値がないためである。
【0018】
【実施例及び比較例】以下、本発明の実施例について図
を用いて具体的に説明する。図1に示すように、長さ1.
2 mmの<100>方位のタングステン単結晶をタング
ステンワイヤーの加熱ヒーターに溶接し、タングステン
単結晶の先端を電解研磨法により先端曲率半径が0.3 〜
0.5 μmのWチップ1を形成する。 電解研磨方法とし
て、図5に示すように、ステンレス製のリング電極11
をカソードにWチップ1をアノードとして、電解液にN
aOHをもちいて、直流電圧6Vを印加しながらWチッ
プ1先端を電解液中に浸すことで行った。 この時、W
チップ1の上下動を調整して、Wチップ1の円錐部の形
状が異なったものを用意した。
【0019】次に、粒度0.5 μm〜5 μmの粉末水素化
ジルコニウムを酢酸イソアミルでスラリー状にしたジル
コニウム及び酸素の供給源の前駆体を刷毛にて塗布し
た。一部では、酸化ジルコニウム中のジルコニウムがモ
ル分率で50%となるように水素化ジルコニウムに添加し
たものも用意した。 前記前駆体の塗布位置に付いて
は、以下に示すWチップ1とタングステンワイヤー3の
溶接点から先端方向のA、B、Cの位置とした。 通
常、針状電極の先端までの長さは1000〜1500μm程度で
あり、Bの距離は900 μm程度である。
【0020】A:Wチップ1とタングステンワイヤー3
の溶接点からWチップ1の先端方向に200 μmまでの範
囲(両端部は含まない)。 B:Wチップ1とタングステンワイヤー3の溶接点から
Wチップ1の先端方向に200 μmの位置からサプレッサ
ー電極2の外表面までの範囲(両端部を含む、但しジル
コニウム及び酸素供給源がサプレッサー電極の外表面か
ら外側には突出しない範囲)。 C:サプレッサー電極2の外表面から外側に突出する範
囲。
【0021】塗布した領域(ジルコニウム及び酸素の供
給源6)はWチップ1の長手方向に約300 μmである。
酢酸イソアミルを完全に蒸発させた後、サプレッサー
電極2を取り付け、Wチップの先端がサプレッサー電極
2の表面から300 μm突出するように調節した。 しか
るのち、1x10-9から1x10-10Torr に真空排気し通電加熱
して輝度温度1200〜1550℃で水素化ジルコニウムを水素
とジルコニウムに分解し、ジルコニウムをWチップ表面
に拡散させた。 次に、酸素を導入し9x10-8〜1x10-5To
rrの酸素分圧下で20時間保持して酸素処理を行った。以
上の熱電界放射陰極の製作に於いて、ジルコニウム及び
酸素供給源の前駆体の種類とジルコニウム重量、その塗
布する位置、酸素処理条件、電解研磨条件の異なる合計
27種類の熱電界放射陰極を製作し、その特性を比較し
た。 作製した27種類の熱電界放射陰極を1.0X10-10T
orr の真空下で輝度温度1400℃に加熱して、4kV の電圧
を印加し、電子ビーム特性を比較、評価した。又、先端
部の形状をSEM観察し、一部については、ジルコニウ
ム及び酸素の供給源とWチップの接合部を切断しその面
を観察した。 以上の結果を表1及び表2に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】以上から、ジルコニウム及び酸素供給源
が、Wチップと加熱ヒーターとの接合点からWチップの
先端方向に200 μmの位置からサプレッサー電極の外表
面までの範囲(B)に位置する熱電界放射陰極は放電の
無い安定な動作を維持することができ、特に、ジルコニ
ウム及び酸素供給源中のジルコニウム重量を3.0x10-6g
以上10x10 -6g 以下にすることにより7000時間以上の長
寿命が得られた。
【0025】加えて、針状電極の先端から10μmから20
0 μmまでの領域での円錐部形状の輪郭が直線または内
側に湾曲した弧状である時に、全電子ビーム量が先端曲
率半径に大きく影響されないので、先端曲率半径の小さ
い時にも電源を大きくする必要がないこと。 又、ジル
コニウム及び酸素の供給源とタングステン針状電極との
反応が存在しないか、若しくは反応層の厚みが15μm以
下の時に、ジルコニウム及び酸素の供給源が剥がれ落ち
熱電界放射陰極が得にくいという問題が生じないことが
明かである。
【0026】
【発明の効果】本発明の熱電界放射陰極は、針状電極の
ジルコニウム及び酸素の供給源が適正な位置に設けられ
ているので、放電現象などの無い、安定な電子ビーム特
性が得られ、寿命が長く、電子顕微鏡や電子ビーム露光
装置などの熱電界放射陰極として利用効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱電界放射陰極の針状電極とサプレッ
サー電極の構造を示す拡大図である。
【図2】熱電界放射陰極の断面図である。
【図3】熱電界放射陰極が使用される時の電気回路図で
ある。
【図4】ジルコニウム及び酸素の供給源が付着した部分
のWチップの断面を拡大した時の模式図である。
【図5】Wチップの先端部を電解研磨する方法を示す模
式図である。
【符号の説明】
1:タングステンチップ(Wチップ) 2:サプレッサー電極 3:タングステンワイヤー 4:絶縁碍子 5:金属支柱 6:ジルコニウム及び酸素供給源 7:軸中央部電子ビーム(Ip) 8:引き出し電圧(Vex) 9:全電子ビーム(It) 10:反応層 11:リング電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−27643(JP,A) 特開 昭56−82538(JP,A) 安達洋,”ZrO/W(100)熱電界 放射陰極”,電子顕微鏡,社団法人日本 電子顕微鏡学会,昭和61年, (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 1/30 H01J 9/02 H01J 37/06 H01J 37/073

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジルコニウムと酸素の被覆層を設けた軸
    方位が<100>方位のタングステン単結晶の針状電極
    とサプレッサー電極からなる熱電界放射陰極において、
    前記針状電極の先端から10μmと200μmまでの間
    の領域での円錐形状の輪郭が直線または内側に湾曲した
    弧状であって、ジルコニウム重量が3.0×10-6
    以上10× 10-6 g以下を含むジルコニウム及び酸
    素の供給源を、該針状電極と加熱ヒーターとの接合点か
    ら該針状電極の先端方向200μmの点と該サプレッサ
    ー電極の外表面との間に位置したものであり、しかも前
    記針状電極と前記ジルコニウム及び酸素の供給源との間
    に生成するZrとZrW 2 とを含む反応層が15μm以
    下であることを特徴とする熱電界放射陰極。
JP14209993A 1992-06-24 1993-06-14 熱電界放射陰極 Expired - Lifetime JP3260204B2 (ja)

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KR20140049006A (ko) * 2011-09-26 2014-04-24 가부시키가이샤 히다치 하이테크놀로지즈 전계 방출형 전자원
KR101603022B1 (ko) * 2011-09-26 2016-03-11 가부시키가이샤 히다치 하이테크놀로지즈 전계 방출형 전자원

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