JP3258634B2 - 加熱安定性に優れた生クリーム乳化物およびその製造方法 - Google Patents

加熱安定性に優れた生クリーム乳化物およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生クリームを原料
とする加熱安定性に優れた生クリーム乳化物、その製造
方法及びその使用に関する。更に詳細には、レトルト処
理など加熱殺菌処理された場合においても、生クリーム
の風味を損なうことがなく、またフェザーリング、オイ
ルオフ、凝集、クリーム分離などの好ましくない現象を
生じることのない加熱安定性に優れた生クリーム乳化
物、その製造方法及び該乳化物が配合された缶飲料に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、コーヒー飲料をはじめとする種々
の飲料には、飲料に乳風味、コク感などを付与し、また
誰でもが美味しく飲めるよう、牛乳あるいは牛乳から得
られる生クリームを添加配合することが一般に行われて
いる。しかし、牛乳あるいは牛乳から得られる生クリー
ムは加熱処理に対して不安定であることが広く知られて
いる。ところで、市販のコーヒー缶飲料などの缶飲料で
は、飲料中の微生物(細菌など)の増殖により品質の劣
化が起きるため、通常レトルト処理により加熱殺菌され
ている。この加熱殺菌処理は、例えば、120℃、20
分間処理というかなり過酷な条件下で行われる。このレ
トルト処理により微生物は殺菌され、飲料の品質の低下
の問題はなくなるが、缶内の飲料中に牛乳或いは生クリ
ーム、特に牛乳から得られる生クリームが添加配合され
ている場合、これらは加熱殺菌処理により不安定な状態
となり、フェーザリング、オイルオフ、場合によっては
凝集、分離などが生ずるという問題があった。
【0003】このため、生クリームの加熱処理時の不安
定性をなくすべく、種々の工夫、提案が従来からなされ
ている。その例を挙げると、例えば、牛乳から得られた
生クリームをチャーニングなどの方法によって一度破壊
し、得られた乳脂肪油分を再度乳化剤で乳化する方法
(特開昭60−58939号公報)、酵素で加水分解さ
れた乳清蛋白質の存在下、油分を脱脂粉乳などとともに
乳化剤で乳化する方法(特開平2−257838号公
報)などがある。しかしながら、前者の方法は工程数が
長く複雑であるうえ、乳脂肪が本来有する風味が損なわ
れてしまうという問題がある。また、後者の方法は、粒
子径が肥大化しやすいという問題を有している。これら
の点を改善する方法として、β−ラクトグロブリン含有
率が高いホエー蛋白質処理物を部分加水分解して得られ
る精製ホエー蛋白質加水分解物を配合し、必要であれば
乳化剤を用いて生クリームを均質化する方法(特開平7
−79699号公報)が提案されている。しかし、この
方法は比較的複雑な製法により精製ホエー蛋白質加水分
解物を調製しなければならないという点で改善される余
地が残されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、上記従来問題点を有さない、すなわち従来の方
法に比べより簡単な方法で、レトルト殺菌などの過酷な
加熱条件下でも安定した挙動を示し、また風味も良好
で、高乳脂肪含有品においても加熱安定性に優れた生ク
リーム乳化物を製造する方法を提供することである。ま
た、本発明の他の目的は、レトルト殺菌などの過酷な加
熱条件下でも安定した挙動を示し、また風味の良好な、
加熱安定性に優れた生クリーム乳化物を提供することで
ある。また更に、本発明の他の目的は、レトルト殺菌な
どの過酷な加熱条件下でも安定した挙動を示す生クリー
ム乳化物を含む、コーヒー飲料などの缶飲料を提供する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究、検討した結果、生クリームに乳
化剤を添加配合し、高圧均質処理することによって、乳
化物の乳化粒子の平均粒子径を1μm以下とすることに
より、加熱安定性に優れた生クリーム乳化物を得ること
ができることを見出して、本発明をなしたものである。
すなわち、本発明は、生クリームに乳化剤を添加配合す
る工程と、生クリームと乳化剤とを含む組成物を高圧均
質処理する工程とを含むことを特徴とする、平均粒子径
が1μm以下の乳化粒子からなり、高乳脂肪含有品にお
いても加熱安定性に優れた生クリーム乳化物の製造方法
及びこの方法により得られた加熱安定性に優れた生クリ
ーム乳化物(但し、乳化剤として、レシチンとコハク酸
モノグリセリドを併用して得られたものを除く)に関す
るものである。また、本発明は、該加熱安定性に優れた
生クリーム乳化物(但し、乳化剤として、レシチンとコ
ハク酸モノグリセリドを併用して得られたものを除く)
を含む缶飲料に関する。更に、本発明は、生クリームに
乳化剤及び増粘安定剤を添加配合する工程と、生クリー
ムと乳化剤及び増粘安定剤とを含む組成物を高圧均質処
理する工程とを含むことを特徴とする、平均粒子径が1
μm以下の乳化粒子からなる加熱安定性に優れた生クリ
ーム乳化物の製造方法、この方法により得られた加熱安
定性に優れた生クリーム乳化物及び該生クリーム乳化物
を含む缶飲料に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳しく説明する。ま
ず、本発明では、乳化物の原料として生クリームが用い
られるが、使用しうる生クリームに特に制限はなく、従
来より公知のものであればどのようなものでもよい。す
なわち、市販されているものでもよいし、新鮮な牛乳か
ら常法により調製したものでもよい。また、生クリーム
内に存在する乳脂肪の量は、原料となる牛乳、生クリー
ムの調製法などにより異なるが、本発明では乳脂肪の量
に特に制限はなく、いずれのものでも使用可能である。
具体的には、市販の生クリームは、通常18〜40重量
%の乳脂肪を含有するものである。本発明においてはこ
のような従来一般に市販されている生クリームは何れの
ものも用いることもできるが、本発明では、これら一般
に市販されている生クリームより乳脂肪含有率が更に高
いもの、例えば乳脂肪含有率が47重量%である現在市
場で入手できる最も高い乳脂肪含有率の生クリームのよ
うな、乳脂肪含有率が40〜50重量%の生クリーム或
いはそれ以上の高乳脂肪含有率を有する生クリームを用
いることもできる。本発明によれば、このような高乳脂
肪含有生クリームを用いた場合においても、加熱安定性
に優れた生クリーム乳化物を得ることができる。高乳脂
肪含有品は、飲料に添加する場合、同量の添加により、
より良好な風味やコクを与えることができ、このため、
飲料添加用生クリームとして好ましいものである。
【0007】また、本発明においては、乳化物を得るた
め生クリームに乳化剤が添加配合されるが、添加配合さ
れる乳化剤は、食品分野で通常使用されるものであれば
どのようなものでもよい。好ましいものとしては、ショ
糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセ
リン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エス
テル等の合成された乳化剤、サポニン系、多糖類系、蛋
白質系、レシチン系等の天然系乳化剤が挙げられる。そ
の中でも、ステアリン酸が60重量%以上、更に好まし
くは70重量%以上の脂肪酸とグリセリンとから得られ
るグリセリン脂肪酸エステルが、特に好ましいものであ
る。これらの乳化剤は単独で使用してもよいし、二種以
上を併用してもよい。乳化剤の生クリームへの添加配合
量は、使用する乳化剤により変わるものの、通常は生ク
リームの油脂分に対して4〜40重量%、好ましくは5
〜30重量%である。乳化剤の具体例としては、例えば
デカグリセリンモノステアレート、キラヤサポニン、シ
ョ糖脂肪酸エステル(脂肪酸としてのステアリン酸が約
70重量%以上)などが挙げられる。
【0008】本発明ではさらに増粘安定剤を添加配合さ
せると、得られた生クリーム乳化物の安定性が向上され
るなどより好ましい結果が得られる。この増粘安定剤
は、食品分野で通常使用されるものであればどのような
ものでもよい。具体的に好ましいものを例示すると、多
糖類、オリゴ糖、グリセリンなどが挙げられ、より具体
的には、アラビアガム、カラギナン、キサンタンガム、
グアーガム、ダンマル樹脂、エレミ樹脂、グリセリン、
デキストラン、ソルビトール、果糖、ブドウ糖、液糖、
転化糖などが挙げられる。その中でも、アラビアガム、
キサンタンガム、グアーガム、ダンマル樹脂、グリセリ
ン、デキストラン、ソルビトール、果糖、ブドウ糖、液
糖、転化糖が特に好ましいものである。これらの増粘安
定剤は単独で使用してもよいし、二種以上を併用しても
よい。増粘安定剤の添加配合量は、使用する増粘安定剤
により変わるものの、通常生クリームと乳化剤と増粘安
定剤の合計量に対して0.5〜15重量%程度用いるこ
とが好ましい。
【0009】また、本発明の生クリーム乳化物には、バ
ターオイルを好ましく配合することができる。バターオ
イルの配合により、本発明の乳化物に好ましいミルク風
味を付与することができ、また乳化物にコク味を付与す
ることもできる。また、バターオイルは、本発明の乳化
物に添加配合された場合に、フェザーリング、オイルオ
フなどの好ましくない現象を生じることがほとんどない
点で好ましいものである。バターオイルは任意成分であ
り、本発明の生クリーム乳化物には必ずしも必要とされ
ないが、用いる場合には、生クリームに対し、通常10
〜30重量%用いることが好ましい。さらに、本発明の
生クリーム乳化物に、ミルクフレーバーなどのフレーバ
−、エッセンス類を添加配合すると、よりミルク風味の
豊かな乳化物を得ることができる。また、必要に応じ水
を加えることもできる。
【0010】その他、本発明の目的を達成することがで
きる範囲であれば、植物油などの食用油、蛋白質、リン
脂質など従来生クリームの乳化物を製造する際に用いら
れている任意の添加剤を添加配合することもできる。し
かし、これらの添加剤は、往々乳化物にフェザーリン
グ、オイルオフなどの好ましくない現象を発生させる原
因ともなるし、また風味を落とす原因ともなるので、本
来その使用はあまり好ましいものではない。このため、
使用する場合には、添加量などに十分な注意して用いる
ことが必要である。
【0011】本発明においては、生クリームと乳化剤、
あるいは生クリームと乳化剤と増粘安定剤、あるいは更
にはこれらに他の添加剤を適宜添加配合したものを、好
ましくは予備乳化させたのち、高圧均質化処理すること
により、1μm以下の乳化粒子を有する本発明の加熱安
定性に優れた乳化物が製造される。従来から乳化剤を含
む混合物を攪拌し均質な乳化物を得る処理技術は知られ
ているところであり、本発明ではこの処理技術を均質化
処理というのであるが、ここでいう高圧均質化処理と
は、従来から知られている均質化処理を高圧下にて行う
ことを意味する。なお、高圧とは従来から行われている
方法と比較してかなり高い圧力をいい、具体的には10
0kg/cm2 より高い圧力、より好ましくは200k
g/cm2 より高い圧力をいう。また、均質化処理時間
は混合物を乳化させることができる時間であればよく、
均質化するために用いられる処理法、処理装置の種類に
よっても異なるため特に定まった時間があるわけではな
いが、一般的には、高圧均質化処理には数分〜数時間程
度が必要であり、より具体的には3分〜2時間程度、さ
らに具体的には5分〜2時間程度、さらに具体的には7
分〜30分程度が適切である。この高圧均質化処理に用
いられる装置としては、種々のものが知られている。本
発明においては、従来公知の高圧均質化処理装置はいず
れのものも用いることができる。高圧均質化処理装置の
具体的な例としては、例えば、加圧ノズル乳化機である
ゴーリン・ホモジナイザーが挙げられる。
【0012】本発明の生クリーム乳化物の乳化粒子の平
均粒径は、1μm以下、好ましくは0.8μm以下、更
に好ましくは0.2〜0.5μmである。得られた乳化
物は極めて加熱安定性に優れている。乳化物の平均粒径
が1μm以下である場合には、この乳化物を含む飲料を
缶内に充填した後、例えば、通常のレトルト殺菌処理条
件である120℃、20分間の殺菌処理をおこなって
も、乳化粒子の肥大化はごく僅かしか起こらない。この
粒子の肥大化防止効果は平均粒径が小さいほど良好であ
り、0.5μm以下の乳化粒子からなる乳化物の場合に
はその効果が特に顕著である。なお、乳化物の平均粒径
は、レーザー回折式粒度分布測定装置、例えば堀場製作
所(株)製、LA−910型による測定により得ること
ができる。
【0013】本発明の生クリーム乳化物は、飲料などに
対して適宜の量で配合することができる。飲料に対する
配合量は、通常飲料全量に対して数重量%〜20重量%
である。飲料としては、コーヒー、紅茶、ココアなど生
クリームが配合される従来から公知の飲料であれば、ど
のような飲料でもよい。本発明の生クリーム乳化物は加
熱安定性に優れていることから、飲料が缶内に充填され
た後高温でのレトルト殺菌が行われる缶飲料への適用に
特に適している。
【0014】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものでは
ない。 実施例1 生クリーム(乳脂肪47%、水分53%)36重量部と
バターオイル12重量部を混合し、次いでこの混合物に
0.3重量部のミルクフレーバー(高砂香料工業社
製)、1.5重量部のショ糖脂肪酸エステル(脂肪酸と
してのステアリン酸が約70重量%)、20重量部のD
−ソルビトール、30重量部の液糖(果糖・ブドウ糖)
および0.2重量部のイオン交換水を添加配合した。こ
の混合物をTKミキサーで攪拌後、高圧ホモジナイザー
(ゴーリンホモジナイザーAPV、ゴーリン社製)によ
り、250kg/cm2 で20分間処理した。得られた
乳化物は安定しており、水分と油分との分離(離水)は
みられなかった。この乳化物の粒径をレーザ−回折式粒
度分布計で測定した。結果を、図1に示す(実線1)。
測定の結果、平均粒径は0.458μmであった。この
乳化物を5重量%の量コーヒー飲料に配合し、レトルト
殺菌処理(120℃、20分間)した後、乳化物粒子の
粒径を上記と同じ計測器で測定した。結果を表1に示す
(破線1’)。測定の結果、平均粒径は0.459μm
であった。また、レトルト殺菌処理後のコーヒー乳飲料
にはフェザーリングやオイルオフは全く見られず、さら
にコーヒー飲料には好ましいミルク感が付与されてお
り、風味も良好であった。なお、コーヒー飲料として
は、コーヒー豆換算で5%使用の抽出液とし、5%グラ
ニュー糖を加えたものが使用された。
【0015】比較例1および2 実施例1の高圧均質処理を施した生クリームに替えて、
何ら高圧均質処理がほどこされていない市販の牛乳(乳
脂肪3.5重量%)(比較例1)および生クリーム(乳
脂肪47重量%)(比較例2)を用いて、実施例1同様
コーヒー乳飲料を製造し、実施例1同様レトルト殺菌処
理を行った。高圧均質処理がほどこされていない市販の
牛乳および生クリームの乳化物粒子の粒径およびこれら
が配合された飲料中の乳化物粒子のレトルト殺菌処理後
の乳化物の粒径を、実施例1同様レーザ−回折式粒度分
布計で測定した。結果を各々図1に実線2、3および破
線2’、3’で示す。図中、実線2、破線2’は、比較
例1の牛乳およびこの牛乳を配合した飲料のレトルト殺
菌処理後の乳化物の粒径分布を、実線3、破線3’は比
較例2の生クリームおよびこれを配合した飲料のレトル
ト殺菌処理後の乳化物の粒径分布を示す。レトルト殺菌
処理前の平均粒径は、牛乳は0.595μmであり、生
クリームは4.848μmであった。また、レトルト殺
菌処理後の平均粒径は、牛乳は0.637μmであり、
生クリームは6.508μmであった。図から明らかな
ように、比較例である高圧均質処理をほどこしていない
牛乳および生クリームを用いたものは、レトルト殺菌処
理後に乳化物粒子の肥大化が見られ、特に脂肪含有量の
高い生クリームを配合した飲料の場合は、乳脂肪分が全
て飲料上層部に分離して浮いてしまうため、商品として
は使用できないものとなる。また、牛乳についても若干
同様な現象が見られた。更に、牛乳については、タンパ
ク質(カゼイン)を多く含有しているため、レトルト殺
菌時にいわゆる乳製品の加熱臭が発生し、飲料として好
ましくない風味となる。
【0016】実施例2〜5 生クリーム(乳脂肪47%、水分53%)、バターオイ
ルを各々表1記載の量だけ採取し、混合し、引き続き、
表1記載の他の原料を表1記載の量だけ採取して、前記
混合物に添加配合した。得られた混合物を実施例1と同
様に高圧均質処理して実施例2〜5の生クリーム乳化物
を得た。実施例2〜5の生クリーム乳化物を実施例1と
同様にしてコーヒー飲料に添加配合し、レトルト殺菌処
理した。実施例1と同様に、生クリーム乳化物およびレ
トルト殺菌処理後のコーヒー乳飲料の乳化物粒子の粒径
を測定した。結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】表1から明らかなように、本発明の生クリ
ーム乳化物は、何れもレトルト殺菌処理を行う前と行っ
た後の乳化物粒子の変化が少なく、乳化安定度が優れて
いることが分かる。
【0019】比較例3〜6 生クリーム(乳脂肪47%、水分53%)に表2記載の
他の原料を表2記載の量だけ採取して加え、実施例1と
同様に処理して比較例3〜6の生クリーム乳化物を得
た。得られた生クリーム乳化物を実施例1と同様コーヒ
ー飲料に添加し、レトルト殺菌処理した。比較例3〜6
の生クリーム乳化物およびこれが添加配合されたコーヒ
ー飲料のレトルト殺菌処理後の乳化物粒子の粒径を、実
施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。ま
た、レトルト殺菌処理後のコーヒー乳飲料について、フ
ェザーリング、オイルオフ及び風味の評価を行った。結
果を表2に示す。なお、フェザーリング、オイルオフ及
び風味の評価は次のようにして行われた。
【0020】(フェザーリング)浮遊物が生じているか
どうかを肉眼により観察し、次の四段階で評価した。 − 全く認めない。 ± わずかに浮遊物がある。 + 液面全体に浮遊物がある。 ++ 著しい浮遊物がある。 (オイルオフ)油状物が液面に浮いているかどうかを肉
眼により観察し、次の四段階で評価した。 − 全く認めない。 ± わずかに油が浮いている。 + 液面全体に油が浮いている。 ++ 著しい油浮きがある。 (風味)フレーバー専門パネラーが、試飲して嗜好上の
良し悪しを判断して次の四段階で評価を行った。 ◎ コーヒー飲料に好ましいミルク感が付与されてい
る。 ○ コーヒー飲料に対してミルク感の付与が弱い。 △ コーヒー飲料に対してミルク感の付与がほとんど
ない。 × コーヒー飲料として異味がある。
【0021】
【表2】
【0022】表2の結果から、綿実サラダ油を多く用い
る(比較例4)とオイルオフが見られ、風味の点で劣る
ものとなる。また、脱脂粉乳(比較例5)やカゼインソ
ーダ(比較例6)使用の場合には若干風味が劣り、フェ
ザーリング、オイルオフが起きる。また、レシチン(比
較例3)の場合は、風味の点ではまあまあであるが、フ
ェザーリング及びオイルオフが観察される。一方、実施
例1に記載したように生クリームに乳化剤を加え、ある
いはこれに更に増粘安定剤及び/またはバターオイルを
加えたものを高圧均質処理して、平均粒子径が1ミクロ
ン以下とした本発明の生クリーム乳化物は、乳化安定性
に優れ、レトルト殺菌処理など加熱処理した後において
も、良好な風味を有し、フェザーリング、オイルオフの
ない優れた特性を有するものである。
【0023】実施例7 乳化物の二次的な微生物汚染を想定し、下記の代表的な
微生物を試験菌として本発明の生クリーム乳化物での菌
の培養試験を行った。その方法としては、まず試験菌の
培養液を生理食塩水で適宜希釈して目的の接種菌量と
し、接種希釈菌液とした。次いで、この菌液を下記乳化
物サンプルに各々接種し、表3に示す培養条件で恒温保
存(培養)した。培養時間が経過したのち、恒温保存
(培養)された乳化物より、寒天平板法にて生菌数を確
認した。また、乳化物より検出された生菌数が、接種菌
量(菌数)と比較してどのように増減しているかを調査
することにより、その乳化物に対する微生物汚染の影響
をみた。なお、試験菌接種前の乳化物中の生菌数も併せ
て調査した。結果を表4に示す。
【0024】<乳化物サンプル>生クリーム(乳脂肪4
7%、水分53%)35重量%、糖アルコール62重量
%、ショ糖脂肪酸エステル(脂肪酸としてのステアリン
酸が約70重量%以上)3重量%からなる混合物を実施
例1と同様に高圧均質化処理し乳化物サンプルを得た。 <試験菌> (1)Staphylococcus aureus IFO 12732 (2)Escherichia coli IFO 3972 (3)Pseudomonas aeruginosa IFO 13275 (4)Bacillus subtils IFO 3134 (5)Candida albicans IFO
1594
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】上記表4に記載されるように、上記5種の
種菌では、培養後に菌数の増加はみられなかった。以上
の結果から本乳化物は、試験菌とした5菌種に対してあ
る程度の静菌作用をもっていると考えられ、本乳化物は
二次汚染を受けた場合、これら細菌が増殖する可能性は
ほとんどない。
【0028】
【発明の効果】本発明の生クリーム乳化物は高乳脂肪含
有品においても極めて加熱安定性に優れているうえ、極
めて簡単な操作により調製されるという特徴を有する。
この乳化物を含む飲料は、レトルト殺菌などの過酷な条
件によっても粒子の肥大化を引き起こさず、フェザーリ
ングやオイルオフなどの不都合さもない。また、コーヒ
ー飲料の風味もよく、微生物に対する静菌作用をも有す
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の生クリーム乳化物(1)、
高圧均質処理されていない牛乳(2)、高圧均質処理さ
れていない市販の生クリーム(3)およびこれらを添加
配合したコーヒー飲料のレトルト殺菌処理後の乳飲料
(1’、2’、3’)の乳化粒子の粒径分布図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23C 13/00 - 13/14 A23C 11/00 - 11/10 A23L 1/19 A23D 7/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生クリームに乳化剤を添加配合する工程
    と、生クリームと乳化剤とを含む組成物を高圧均質処理
    する工程とを含むことを特徴とする、平均粒子径が1μ
    m以下の乳化粒子からなる加熱安定性に優れた生クリー
    ム乳化物の製造方法。
  2. 【請求項2】生クリームに乳化剤及び増粘安定剤を添加
    配合する工程と、生クリームと乳化剤及び増粘安定剤と
    を含む組成物を高圧均質処理する工程とを含むことを特
    徴とする、平均粒子径が1μm以下の乳化粒子からなる
    加熱安定性に優れた生クリーム乳化物の製造方法。
  3. 【請求項3】乳化粒子の平均粒子径が0.5μm以下で
    あることを特徴とする請求項記載の生クリーム乳化物
    の製造方法。
  4. 【請求項4】乳化粒子の平均粒子径が0.5μm以下で
    あることを特徴とする請求項2記載の生クリーム乳化物
    の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1又は3に記載の製造方法(但し、
    乳化剤として、レシチンとコハク酸モノグリセリドを併
    用する場合を除く)で得られた加熱安定性に優れた生ク
    リーム乳化物。
  6. 【請求項6】請求項2又は4に記載の製造方法で得られ
    た加熱安定性に優れた生クリーム乳化物。
  7. 【請求項7】請求項5に記載の生クリーム乳化物を含む
    缶飲料。
  8. 【請求項8】請求項6に記載の生クリーム乳化物を含む
    缶飲料。
JP35662298A 1998-12-15 1998-12-15 加熱安定性に優れた生クリーム乳化物およびその製造方法 Expired - Lifetime JP3258634B2 (ja)

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