JP3256768B2 - 酸化ジルコニウム系高強度・高靱性焼結体材料及びその製造方法 - Google Patents

酸化ジルコニウム系高強度・高靱性焼結体材料及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化ジルコニウム系高
強度・高靱性焼結体材料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】ZrO2 (酸化ジルコニウム)
は、高い融点を有し、耐熱性、耐食性等に優れた材料の
一つである。しかし、高温から常温までの間に立方晶、
正方晶及び単斜晶の3つの結晶構造に変化し、特にその
冷却過程における正方晶から単斜晶への相転移では著し
い体積膨張を伴う。そして、この相転移は可逆的に起こ
るため、焼成した際における冷却時に、ZrO2 はその
体積変化により破壊されてしまう。そこで、上記欠点を
解消するために、ZrO2 に安定化剤としてCaO、M
gO、Y2 3 、CeO2 等を添加し、各安定化剤中の
金属イオンをZrO2 結晶中に固溶させることによっ
て、正方晶を常温まで維持できる安定化ジルコニアが開
発された。安定化ジルコニアは、耐熱性、曲げ強度等に
優れていることから、エンジニアリングセラミックスと
して機械部品等に利用されている。
【0003】しかしながら、安定化ジルコニアは、一般
のセラミックスと同様に曲げ強度に優れる反面、靱性に
劣るいわゆる脆性材料である。ここで下記表1にセラミ
ックス材料の一般的な曲げ強度と靱性値を示す。
【0004】
【表1】
【0005】表1からわかるように、Y−TZPは、曲
げ強度が1200MPaであるのに靱性値が6.1とあ
まり高くない。またSiC、Al2 3 等の従来のセラ
ミックスは曲げ強度及び靱性値とともに低いことがわか
る。これに対し、靱性を向上させたCe−TZPもある
が、その曲げ強度は著しく低い。即ち、他の通常のセラ
ミックスにおいて曲げ強度ならびに靱性とを同時に付与
できないのは、安定化ジルコニアにおいても例外ではな
い。
【0006】また、セラミックス焼結材料を機械部品、
機能性部品等として使用する場合、特に刃先等に使用す
る場合、曲げ強度と靱性に優れた材料が必要とされ、そ
の基準として曲げ強度1100MPa以上、靱性値12
MPa・m1/2 以上という値が挙げられているが、従来
の安定化ZrO2 はこの基準も満たしていない。
【0007】このように、安定化ZrO2 をより広範な
用途において実用化させるためには、従来の安定化ジル
コニアでは曲げ強度、靱性等の面で未だ不十分である。
即ち、安定化ジルコニアは、前記のY−TZP、Ce−
TZP等のように、安定化剤の種類・添加量、製造方法
・条件等によってその特性が大きく異なり、例えば曲げ
強度が改善されても靱性が低下したり、或いは曲げ強度
と靱性とを改善してもその程度が僅かであったりするの
が現状である。
【0008】上記のような問題を解消するために、安定
化ジルコニアにAl2 3 を添加した酸化ジルコニウム
−酸化アルミニウム系複合材料が提案されている。しか
し、この材料では、ZrO2 中に固溶しているのはCa
O等の安定化剤中の金属イオンだけであり、Al2 3
中のAlイオンは固溶しておらず、Al2 3 として分
散した状態で存在している。このため、この材料の特性
値を示す表1の80ZrO2 −20Al2 3 の結果か
らも明らかなように、Al2 3 の添加により曲げ強度
が改善されても、靱性は却って低下してしまう。
【0009】同様に、Al2 3 を安定化剤として添加
する試みもなされているが、両成分を配合して単に焼成
しても、ZrO2 とAl2 3 の化学的親和性が低いこ
とから、Alイオンは、ZrO2 中でAl2 3 として
即ちZrO2 中でAl酸化物特有の結晶構造を構成して
存在することになり、結果としてAl2 3 中のAlイ
オンがZrO2 中に固溶した状態で高密度に焼結した製
品を得ることはできない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、優
れた強度と靱性とを兼ね備えた酸化ジルコニウム系材料
を提供することを主な目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記従来技
術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねたところ、Zrイオ
ン、Alイオン等を含む特定の出発原料を用いて一定の
条件下で焼成する場合には、結晶粒子の成長が抑制され
るとともにAl2 3 の析出も抑制され、ZrO2 結晶
格子中にMgイオン等が均一に固溶した焼結体が得られ
ることを見出し、さらにこの焼結体が優れた強度及び靱
性を発揮することを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0012】即ち、本発明は、下記の第1項及び第2項
の発明に係るものである。
【0013】1. (a)ZrO2 を主成分とし、第2成分
としてMg、Ca、Y及び希土類の少なくとも1種のイ
オン並びに第3成分としてAlイオンを含み、且つ(b)
当該第2成分及び第3成分がZrO2 結晶格子中に固溶
していることを特徴とする酸化ジルコニウム系高強度・
高靱性焼結体材料。
【0014】2.Zrイオン、Mg、Ca、Y及び希土
類の少なくとも1種のイオン並びにAlイオンが原子レ
ベルで均一に固溶した水酸化物又は酸化物からなる原料
粉末を20〜200MPaの加圧下1050〜1300
℃で焼成することを特徴とする酸化ジルコニウム系高強
度・高靱性焼結体材料の製造方法。
【0015】以下、本発明について詳細に説明する。
【0016】本発明の酸化ジルコニウム系高強度・高靱
性焼結体材料は、 (a)ZrO2 を主成分とし、第2成分
としてMg、Ca、Y及び希土類の少なくとも1種のイ
オン並びに第3成分としてAlイオンを含み、且つ (b)
当該第2成分及び第3成分がZrO2 結晶格子中に固溶
した状態で存在するという特異な構造を有する。
【0017】上記第2成分における希土類のイオンとし
ては、Y以外のもの全て、即ちSc、La、Ce、P
r、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、Yb及びLuのイオンを適用できる。
【0018】上記各成分の含有量は、成分の種類、所望
の特性、結晶粒径等によって適宜選択すれば良いが、通
常は以下のような含有量にするのが好ましい。即ち、
(i)ZrO2 と第2成分との合計量に対してZrO2
8〜99.5モル%程度及び第2成分が酸化物として
0.5〜12モル%程度であり、且つ(ii)第3成分がZ
rO2 と第2成分との合計量に対して1〜40モル%程
度である。
【0019】上記第2成分が0.5モル%未満の場合に
は強度が低下し、また12モル%を超える場合には焼結
体中に立方晶ZrO2 が析出し始めて焼結体の靱性及び
強度が低下することがあるので好ましくない。一方、上
記第3成分が1モル%未満の場合には安定化剤としての
効果が不十分となり、また40モル%を超える場合には
AlイオンがAl2 3 として焼結体中に析出すること
により靱性が低下することがある。
【0020】本発明焼結体材料中のZrO2 は、超微細
結晶組織を有する正方晶ZrO2 相が通常全ZrO2
晶の90%以上を占めている。また、本発明焼結体材料
の結晶粒径は、原料粉末の粒径によって異なるが、通常
0.02〜0.1μm程度である。
【0021】次に、本発明焼結体材料の製造方法につい
て説明する。まず、Zrイオン、Mg、Ca、Y及び希
土類の少なくとも1種のイオン並びにAlイオンが原子
レベルで均一に固溶した水酸化物又は酸化物を原料粉末
として用いる。
【0022】上記粉末調製法としては、公知の粉末調製
法の一つである溶液法によるのが好ましく、例えば (1)
Zrアルコキシド、Yアルコキシド及びAlアルコキシ
ドの均一混合溶液にアンモニア水を加えて加水分解し、
共沈殿物としてZr−Y−Al−O系アモルファス粉末
を得る方法、 (2)アルコールに可溶なZr、Y及びAl
原料を用いて共沈法によって合成する方法、 (3)無機塩
と有機金属化合物の均一混合溶液を強塩基性として加水
分解することにより共沈殿物を得る方法等の各種方法が
適用できる。
【0023】上記粉末調製法で用いるZr、第2成分及
び第3成分の供給源としては、公知の溶液法で使用され
ている原料を用いることができる。Zr源としては、例
えばジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムアセ
チルアセトネート、オキシ塩化ジルコニウム、塩化ジル
コニウム等が挙げられる。第2成分源としては、イット
リウムイソプロポキシド、イットリウムアセチルアセト
ネート、塩化カルシウム、硝酸マグネシウム等が挙げら
れる。第3成分源としては、アルミニウムイソプロポキ
シド、アルミニウムアセチルアセトネート、塩化アルミ
ニウム、硝酸アルミニウム等が挙げられる。原料粉末の
組成は、前記と同様に (i)ZrO2 と第2成分との合計
量に対してZrO2 88〜99.5モル%程度及び第2
成分が酸化物として0.5〜12モル%程度であり、且
つ(ii)第3成分がZrO2 と第2成分との合計量に対し
て1〜40モル%程度となるように配合する。
【0024】原料粉末の粒径は、最終焼結体の目的粒径
に応じて適宜制御すれば良い。この制御は加水分解の条
件等により行なうことができ、その条件によっては約
0.1μm以下の微細粉末を調製することも可能であ
る。
【0025】このようにして得た原料粉末を所定の形状
に成形した後、焼成を行なう。この場合、成形に先立っ
て予め仮焼しても良い。仮焼条件は、原料粉末の組成等
によって異なるが、通常は空気中常圧下で約800〜1
000℃程度とする。上記成形方法は、通常のセラミッ
クスの製造における方法をそのまま適用することができ
る。
【0026】焼成条件は、原料粉末の組成、所望の焼結
体特性等によって異なり一様ではないが、還元雰囲気
下、圧力は通常20〜200MPa程度、好ましくは1
00〜200MPaとし、焼成温度は通常1050〜1
300℃程度、好ましくは1100〜1250℃とす
る。本発明においては、Al2 3 の析出温度未満で焼
成して緻密化を行なうので、上記のように加圧下で焼成
することを必要とする。なお、Al2 3 が焼結体中に
析出しない限り、焼成温度が1300℃を超えても差支
えない。また、本発明の製造方法では、ホットアイソス
タチックプレス成形法(HIP)により上記の成形・加
圧焼成を同時に行なうこともできる。
【0027】
【作用】本発明材料においては、第2成分であるMgイ
オン等及び第3成分であるAlイオンがZrO2 中に均
一に固溶して安定化されている。そして、全結晶の90
%以上が超微細結晶組織を有する正方晶ZrO2 相によ
り占められている。従って、本発明材料に外部応力が加
えられた場合、個々の結晶粒子がそれぞれ均等に応力を
受ける結果、正方晶ZrO2 相から単斜晶ZrO2 相へ
の誘起変態が広い領域にわたって均一に生じる。このた
め、超微細結晶組織に基づく高強度発現のみならず、外
部応力の緩和に伴う高靱性が発揮される。
【0028】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、ZrO2
Mgイオン等とAlイオンとが固溶して安定化された状
態の特異な構造をもつ焼結材料を得ることができる。
【0029】本発明に係る上記材料は、その特異な構造
に基づき、特に優れた強度と靱性とを同時に達成するこ
とができる。
【0030】このため、本発明材料は、機械部品、機能
性部品、耐摩耗性部材、構造用部材等に有用である。特
に、結晶粒径が0.05μm以下のものは、鋭利な刃先
加工精度が要求される工具用刃先として有用である。
【0031】
【実施例】以下に実施例および比較例を示し、本発明の
特徴とするところをより一層明確にする。なお、本実施
例における正方晶の同定およびAl2 3 相析出の有無
は、X線回折測定装置により行なった。
【0032】実施例1 82℃のイソプロパノール中でZrO2 :Y2 3 =9
7:3(モル比)、ZrO2 (3Y):Al2 3 =7
5:25(モル比)となる割合でジルコニウムイソプロ
ポキシド、イットリウムイソプロポキシド及びアルミニ
ウムイソプロポキシドを24時間還流した後、均質化し
た混合溶液に28%アンモニア水を加えて加水分解さ
せ、生じた共沈殿物を濾過し、乾燥した。
【0033】得られた粉末を空気中900℃で仮焼する
ことにより、YイオンとAlイオンとが固溶した正方晶
安定化ZrO2 粉末を得た。この粉末が正方晶ZrO2
相(t−ZrO2 )のみからなり、Al2 3 が析出し
ていないことをX線回折分析により確認した。次いで、
仮焼した粉末を200MPa、1200℃の条件下にて
カプセルHIP処理を行なった。
【0034】得られた焼結体は、正方晶100%、靱性
値(KIC)14.5MPa・m1/2、曲げ強度1300
MPaであった。また、SEM写真によって焼結体の結
晶粒径を測定したところ、その粒径は0.1μm以下で
あった。また、この焼結体において、Al2 3 が析出
していないことをX線回折分析によって確認した。その
結果を図1に示す。
【0035】実施例2 実施例1と同様にして調製した共沈殿物を空気中100
0℃で仮焼し、YイオンとAlイオンとが固溶した正方
晶安定化ZrO2 粉末を得た。この粉末が正方晶ZrO
2 相のみからなり、Al2 3 が析出していないことを
X線回折分析により確認した。次いで、仮焼した粉末を
200MPa、1130℃の条件下にてカプセルHIP
処理を行なった。
【0036】得られた焼結体は、正方晶100%、靱性
値(KIC)13.2MPa・m1/2、曲げ強度1320
MPaであった。また、SEM写真によって焼結体の結
晶粒径を測定したところ、その粒径は0.05μm以下
であった。また、Al2 3が析出していないことをX
線回折分析により確認した。その結果は実施例1の場合
と同様であった。
【0037】実施例3 80℃のベンゼン中でZrO2 :Y2 3 =97.5:
2.5(モル比)、ZrO2 (2.5Y):Al2 3
=75:25(モル比)となる割合でジルコニウムアセ
チルアセトネート、イットリウムアセチルアセトネート
及びアルミニウムアセチルアセトネートを24時間還流
した後、均質化した混合溶液に28%アンモニア水を加
えて加水分解させ、生じた共沈殿物を濾過し、乾燥し
た。
【0038】得られた粉末を空気中900℃で仮焼する
ことにより、YイオンとAlイオンとが固溶した正方晶
安定化ZrO2 粉末を得た。この粉末が正方晶ZrO2
相のみからなり、Al2 3 が析出していないことをX
線回折分析により確認した。次いで、仮焼した粉末を2
00MPa、1200℃の条件下にてカプセルHIP処
理を行なった。
【0039】得られた焼結体は、正方晶100%、靱性
値(KIC)13.0MPa・m1/2、曲げ強度1440
MPaであった。また、SEM写真によって焼結体の結
晶粒径を測定したところ、その粒径は0.1μm以下で
あった。また、Al2 3 が析出していないことをX線
回折分析により確認した。その結果は実施例1の場合と
同様であった。
【0040】実施例4 実施例3と同様にして調製した共沈殿物を空気中100
0℃で仮焼し、YイオンとAlイオンとが固溶した正方
晶安定化ZrO2 粉末を得た。この粉末が正方晶ZrO
2 相のみからなり、Al2 3 が析出していないことを
X線回折分析により確認した。次いで、仮焼した粉末を
200MPa、1230℃の条件下にてカプセルHIP
処理を行なった。
【0041】得られた焼結体は、正方晶100%、靱性
値(KIC)14.2MPa・m1/2、曲げ強度1290
MPaであった。また、SEM写真によって焼結体の結
晶粒径を測定したところ、その粒径は0.05μm以下
であった。また、Al2 3が析出していないことをX
線回折分析により確認した。その結果は実施例1の場合
と同様であった。
【0042】実施例5 80℃のベンゼン中でZrO2 :Y2 3 =97.5:
2.5(モル比)、ZrO2 (2Y):Al2 3 =7
5:25(モル比)となる割合でジルコニウムアセチル
アセトネート、イットリウムアセチルアセトネート及び
アルミニウムアセチルアセトネートを24時間還流した
後、均質化した混合溶液に28%アンモニア水を加えて
加水分解させ、生じた共沈殿物を濾過し、乾燥した。
【0043】得られた粉末を空気中900℃で仮焼する
ことにより、YイオンとAlイオンとが固溶した正方晶
安定化ZrO2 粉末を得た。この粉末が正方晶ZrO2
相のみからなり、Al2 3 が析出していないことをX
線回折分析により確認した。次いで、仮焼した粉末を2
00MPa、1230℃の条件下にてカプセルHIP処
理を行なった。
【0044】得られた焼結体は、正方晶100%、靱性
値(KIC)12.8MPa・m1/2、曲げ強度1445
MPaであった。また、SEM写真によって焼結体の結
晶粒径を測定したところ、その粒径は0.05μm以下
であった。また、Al2 3が析出していないことをX
線回折分析により確認した。その結果は実施例1の場合
と同様であった。
【0045】実施例6 80℃のベンゼン中でZrO2 :Y2 3 =97:3
(モル比)、ZrO2 (3Y):Al2 3 =92:8
(モル比)となる割合でジルコニウムアセチルアセトネ
ート、イットリウムアセチルアセトネート及びアルミニ
ウムアセチルアセトネートを24時間還流した後、均質
化した混合溶液に28%アンモニア水を加えて加水分解
させ、生じた共沈殿物を濾過し、乾燥した。
【0046】得られた粉末を空気中900℃で仮焼する
ことにより、YイオンとAlイオンとが固溶した正方晶
安定化ZrO2 粉末を得た。この粉末が正方晶ZrO2
相のみからなり、Al2 3 が析出していないことをX
線回折分析により確認した。次いで、仮焼した粉末を2
00MPa、1250℃の条件下にてカプセルHIP処
理を行なった。
【0047】得られた焼結体は、正方晶100%、靱性
値(KIC)13.4MPa・m1/2、曲げ強度1350
MPaであった。また、SEM写真によって焼結体の結
晶粒径を測定したところ、その粒径は0.05μm以下
であった。また、Al2 3が析出していないことをX
線回折分析により確認した。その結果は実施例1の場合
と同様であった。
【0048】比較例1 3モル%Y2 3 を添加したZrO2 粉末80重量部及
びAl2 3 粉末20重量部に対し、水を加えてスラリ
ーとした後、ZrO2 (3Y)ビーズを用いて500時
間ビーズミル粉砕した。次いで、スラリーを乾燥し、C
IPにより仮成形した後、大気中1300〜1500℃
で焼成した。得られた焼結体をAr中1450℃196
MPaの加圧下HIP焼結を行なった。得られた焼結体
は、靱性値(KIC)5.0MPa・m1/2 、曲げ強度1
681MPaであった。この焼結体をX線回折分析した
ところ、ZrO2 へのAlイオンの固溶は認められなか
った。その結果を図2に示す。
【0049】比較例2 HIP焼結を1550℃とした以外は比較例1と同様に
して焼結体を得た。得られた焼結体は、靱性値(KIC
5.0MPa・m1/2 、曲げ強度1681MPaであっ
た。この焼結体をX線回折分析したところ、比較例1と
同様にZrO2へのAlイオンの固溶は認められなかっ
た。
【0050】比較例3 Y2 3 の添加量を2モル%した以外は、比較例1と同
様にして焼結体を得た。得られた焼結体は、靱性値(K
IC)4.8MPa・m1/2 、曲げ強度1813MPaで
あった。この焼結体をX線回折分析したところ、比較例
1と同様にZrO2 へのAlイオンの固溶は認められな
かった。
【0051】比較例4 HIP焼結を1550℃とした以外は比較例3と同様に
して焼結体を得た。得られた焼結体は、靱性値(KIC
4.0MPa・m1/2 、曲げ強度1777MPaであっ
た。この焼結体をX線回折分析したところ、比較例1と
同様にZrO2へのAlイオンの固溶は認められなかっ
た。
【0052】比較例5 3モル%Y2 3 を添加したZrO2 粉末60重量部及
びAl2 3 粉末40重量部に対し、水を加えて得たス
ラリーを用いる以外は、比較例1と同様にして焼結体を
得た。得られた焼結体は、靱性値(KIC)4.9MPa
・m1/2 、曲げ強度1992MPaであった。この焼結
体をX線回折分析したところ、比較例1と同様にZrO
2 へのAlイオンの固溶は認められなかった。
【0053】比較例6 HIP焼結を1550℃とした以外は比較例5と同様に
して焼結体を得た。得られた焼結体は、靱性値(KIC
4.8MPa・m1/2 、曲げ強度1866MPaであっ
た。この焼結体をX線回折分析したところ、比較例1と
同様にZrO2へのAlイオンの固溶は認められなかっ
た。
【0054】比較例7 82℃のイソプロパノール中でZrO2 :Y2 3 =9
7:3(モル比)、ZrO2 (3Y):Al2 3
5:95(モル比)となる割合でジルコニウムイソプロ
ポキシド、イットリウムイソプロポキシド及びアルミニ
ウムイソプロポキシドを24時間還流した後、均質化し
た混合溶液に28%アンモニア水を加えて加水分解さ
せ、生じた沈殿物を濾過し、乾燥した。
【0055】得られた粉末を空気中1000℃で仮焼し
た後、200MPa、1200℃の条件下にてカプセル
HIP処理を行なった。
【0056】得られた焼結体は、正方晶30%、靱性値
(KIC)5.6MPa・m1/2 、曲げ強度390MPa
であった。また、SEM写真によって焼結体の結晶粒径
を測定したところ、その粒径は約2.5μmであった。
また、この焼結体をX線回折分析したところ、比較例1
と同様にZrO2 へのAlイオンの固溶は認められなか
った。
【0057】比較例8 82℃のイソプロパノール中でZrO2 :Y2 3 =9
7:3(モル比)、ZrO2 (3Y):Al2 3 =1
00:0(モル比)となる割合でジルコニウムイソプロ
ポキシド、イットリウムイソプロポキシド及びアルミニ
ウムイソプロポキシドを24時間還流した後、均質化し
た混合溶液に28%アンモニア水を加えて加水分解さ
せ、生じた共沈殿物を濾過し、乾燥した。
【0058】得られた粉末を空気中1200℃で仮焼し
た後、200MPa、1250℃の条件下にてカプセル
HIP処理を行なった。
【0059】得られた焼結体は、正方晶100%、靱性
値(KIC)6.2MPa・m1/2 、曲げ強度720MP
aであった。また、SEM写真によって焼結体の結晶粒
径を測定したところ、その粒径は約1.5μmであっ
た。
【0060】比較例7および8の結果から明らかなよう
に、Alイオンの添加がAlイオンとして40モル%を
超えるとAl2 3 の析出により靱性値及び曲げ強度が
ともに低く、Alイオンの添加がAl2 3 として0.
5モル%未満の場合も、その添加効果がなく、靱性値及
び曲げ強度に劣っていることがわかる。
【0061】比較例9 82℃のイソプロパノール中でZrO2 :Y2 3 =8
6:14(モル比)、ZrO2 (14Y):Al2 3
=75:25(モル比)となる割合でジルコニウムイソ
プロポキシド、イットリウムイソプロポキシド及びアル
ミニウムイソプロポキシドを24時間還流した後、均質
化した混合溶液に28%アンモニア水を加えて加水分解
させ、生じた共沈殿物を濾過し、乾燥した。
【0062】得られた粉末を空気中900℃で仮焼した
後、200MPa、1160℃の条件下にてカプセルH
IP処理を行なった。
【0063】得られた焼結体は、正方晶80%、靱性値
(KIC)3.1MPa・m1/2 、曲げ強度610MPa
であった。また、SEM写真によって焼結体の結晶粒径
を測定したところ、その粒径は約1.5μmであった。
【0064】比較例9の結果から明らかなように、本発
明第2成分の割合が12モル%を超えると結晶格子中に
立方晶ZrO2 が生成し、靱性値及び曲げ強度を改善で
きないことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例1において作製された試料
の焼結後のX線回折分析の結果を示す図である。
【符号の説明】
1…実施例1の結果 2…比較例1の結果
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久米 秀樹 大阪府大阪市此花区春日出北1丁目1番 15号 (72)発明者 四方 良一 大阪府貝塚市二色中町8−1 大阪セメ ント株式会社内 (72)発明者 加計 一郎 大阪府貝塚市二色中町8−1 大阪セメ ント株式会社内 (72)発明者 塩川 信明 大阪府貝塚市二色中町8−1 大阪セメ ント株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−215571(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/42 - 35/50 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ZrO2 を主成分とし、第2成分とし
    てMg、Ca、Y及び希土類の少なくとも1種のイオン
    並びに第3成分としてAlイオンを含み、且つ(b)当該
    第2成分及び第3成分がZrO2 結晶格子中に固溶して
    いることを特徴とする酸化ジルコニウム系高強度・高靱
    性焼結体材料。
  2. 【請求項2】 (i)ZrO2 と第2成分との合計量に対し
    てZrO2 88〜99.5モル%及び第2成分を酸化物
    として0.5〜12モル%含有し、且つ(ii)第3成分を
    ZrO2 と第2成分との合計量に対して1〜40モル%
    含有する請求項1記載の焼結体材料。
  3. 【請求項3】結晶粒子の粒径が0.1μm以下である請
    求項1又は2に記載の焼結体材料。
  4. 【請求項4】正方晶ZrO2 が全ZrO2 結晶の90%
    以上である請求項1乃至3のいずれかに記載の焼結体材
    料。
  5. 【請求項5】Zrイオン、Mg、Ca、Y及び希土類の
    少なくとも1種のイオン並びにAlイオンが原子レベル
    で均一に固溶した水酸化物又は酸化物からなる原料粉末
    を20〜200MPaの加圧下1050〜1300℃で
    焼成することを特徴とする酸化ジルコニウム系高強度・
    高靱性焼結体材料の製造方法。
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