JP3252641B2 - 位相差測定装置 - Google Patents

位相差測定装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、同一周波数の2つの
信号の位相差を測定する位相差測定装置に関する。この
種の位相差測定装置は種々の分野に適用可能であるが、
その代表的なものとして、例えばコリオリの力により発
生する配管の上流側と下流側での流体の質量と速度によ
る配管の振動の位相差を検出し、流量を求めるコリオリ
式質量流量計などの工業計器がある。以下、コリオリ式
質量流量計の例について説明する。
【0002】
【従来の技術】図5にコリオリ式質量流量計の原理構成
図を示す。すなわち、21は測定流体が流れるU字配管
で、その先端部には永久磁石22が固定され、U字配管
21の両端は基台23に固定されている。24はU字配
管21を挟むようにして設けられた電磁駆動用コイル、
25は電磁駆動コイル24を保持する支持枠で、この枠
25は基台23にがっちりと固定されている。U字配管
21は音叉のように基台23の部分が振動の節点とな
り、振動エネルギーを失うことが少ない構成となってい
る。1A,1Bは、U字配管の両脚の変位を検出するた
めの電磁ピックアップである。駆動コイル24とこれに
対向するU字配管21に固定された永久磁石22の間に
働く電磁力で、U字配管21をその固有振動数で振動
(sinωt)させると、U字配管内を流れる流体にコ
リオリの力が発生する。
【0003】図6にU字配管の振動の様子を示す。この
コリオリの力の大きさは、U字配管内を流れる流体の質
量とその速度に比例し、力の方向は流体の運動方向と、
U字配管21を励振する角速度のベクトル積の方向に一
致する。また、U字配管21の流量の入力側と出力側と
では流体の方向が正反対となるので、両脚側のコリオリ
力によって、U字配管21に捩じりのトルクが発生す
る。このトルクは励振周波数と同一の周波数で変化し、
その振幅値は流体の質量流量に比例する。図7にこの捩
じりトルクにより発生する振動モードを示す。
【0004】この捩じり振動のトルクの振幅をピックア
ップ1A,1Bで検出すれば質量流量を知ることができ
ることになるが、実際のU字配管の振動は電磁駆動用コ
イル24による励振振動にコリオリ力による捩じれ振動
が重畳された形となり、上流側はsin(ωt−α),
下流側はsin(ωt+α)の形で表現される。したが
って、ピックアップ1A,1Bで検出される信号e1,
e2は図8に示すように位相差(Δt)の生じた波形と
なる。この位相差は配管,励振周波数によって異なる
が、例えばU字配管21の場合、U字配管の共振周波数
を80Hzとすると、最大流量で約120μSの位相差
が生じ、この最大位相差の0.01%の分解能を補償し
なければならない。したがって、12nSの時間計測分
解能が必要となる。
【0005】この位相測定には様々な方法があるが、最
も簡単な手法としては基準クロックによる時間差ゲート
のカウント方法がある。その例を図9に示す。すなわ
ち、上流側ピックアップ信号Pu,下流側ピックアップ
信号Pdを増幅器31で増幅(増幅率:B)した後コン
パレータ32により2値化し、排他論理和回路33でこ
の2値化信号の排他的論理和演算を行ない、上流側,下
流側ピックアップ信号の時間差に相当するパルス幅のゲ
ートパルスPgを得、これをカウンタ34で基準クロッ
ク35により計測するものである。なお、この場合の基
準クロックの周波数は85MHz程度以上が必要であ
る。
【0006】ところで、U字配管を実プラントに用いる
場合、屈曲しているため圧損が大きく、配管の清掃が困
難であるなどの問題がある。このため、直管の配管を用
いる直管式のコリオリ流量計も提案されている。図10
に直管式コリオリ流量計の1例を示す。図10におい
て、41は測定流体が流れる直管で、その中央部には永
久磁石43が固定され、直管41の両端は基台40に固
定されている。42は直管41を挟み込むようにして設
けられた電磁駆動用コイル、44はこの電磁駆動コイル
42を保持する支持枠で、この枠は基台40にがっちり
と固定されている。直管方式では流体の通過する配管の
剛性が高く、U字配管よりもたわみ難いため、前記の時
間差が微小になるという難点がある。
【0007】例えば、直管の共振周波数は1KHz程度
であり、最大流量で約2μSの位相差が生じ、この最大
位相差の0.01%の分解能で測定する必要がある。し
たがって、0.2nSの時間計測分解能が必要となる。
また、カウンタによる測定では5GHzの基準クロック
が必要となって実際には製作不可能であり、また可能と
してもピックアップ信号から時間差信号を得るためにコ
ンパレータを用いると、これには入力信号の不感帯の問
題によるジッターが発生し(コンパレータの出力が
“1”,“0”ではない中途半端なレベルを不感帯と称
し、入力信号がこの不感帯をどれだけ早くよぎるかが大
きく影響する)、0.2nSの精度が得られるかは疑問
である。
【0008】このため、従来は図11の如く構成して測
定を行ない、上流側ピックアップ信号Puと下流側ピッ
クアップ信号Pdとの減算、すなわち、 sin(ωt+α)−sin(ωt−α)=2cosω
t*sinα の計算を差分器(減算器)51により行ない、sinα
を振幅とする微弱(周期が1mSに対して、位相αが
0.1nS)な位相信号を得、これを増幅器52により
高増幅(増幅率:B)するとともに、狭帯域フィルタ5
3により所望の周波数成分のみを抽出し、全波整流・検
波器54でBsinαなる直流レベルを得た後、A/D
変換器55によりsinαのディジタル値を求め、これ
より位相差αを算出するようにしていた。しかし、この
方法では増幅器のオフセット電流および電圧の温度ドリ
フトを受け、特に温度環境の悪いプラントでは指示値の
誤差が大きくなり、最大流量に対して0.01%の精度
が得られなくなる。
【0009】そこで、増幅器等の温度ドリフトの影響を
受け難くすべく、ディジタル信号処理の複素フーリエ変
換により位相差を求める手法も提案されている。図12
はこの種の方式を示すブロック図である。すなわち、上
流側,下流側ピックアップ信号Pu,Pdを増幅器61
で増幅し、これをサンプルホールド回路62でサンプリ
ングし、そのサンプリングレベルをA/D変換器63に
てディジタル化し、データメモリ64に格納する。ディ
ジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)11は、デー
タメモリ64に記憶されている離散化ディジタル値のデ
ータ列に対し、ノイズ成分を除去するディジタルフィル
タリングおよび周波数解析を行ない、各周波数での実部
および虚部の成分を求める複素フーリエ変換を行ない、
電磁コイルにおける励振周波数での実部および虚部によ
る位相を求めることができる。
【0010】かかる複素フーリエ変換による位相測定の
原理につき、以下に説明する。まず、時間関数f(t)
のフーリエ変換をF(U)とすると、F(U)は次の数
1の如く示される。
【数1】
【0011】次に、上記数1の時間tをaだけずらした
時間関数f(t+a)のフーリエ変換をF(U’)とす
れば、これは次の数2の如く示される。
【数2】
【0012】F(U)とF(U’)の関係を図13に示
す。以上のことから、時間軸上での位相の進みは、周波
数域での位相の進みとなることが分かる。従って、 F(U)=A+jB とすると、 F(U‘)=F(U)ejUa =(A+jB)(cosU
a+jsinUa) となり、両者のベクトル成分から位相を求めることが可
能となる。
【0013】ところで、以上の如き位相演算において
は、ベクトル成分の分解能は位相の分解能に影響するの
で、ピックアップ信号のA/D変換器には高ビットのも
のが必要となる。また、検出位相感度はA/D変換器の
ビット数に依存する。例えば、直管の場合での励振周波
数を1KHz、最小位相検出を0.1nSとすると、A
/D変換器の必要ビット数は24となることが指摘され
ている。
【0014】最近は24ビットのA/D変換器も市販さ
れているが、その変換速度は16mSであり、1KHz
のピックアップ信号をサンプリングするには余りにも遅
く、またA/D変換器のフルスケールを10Vとしたと
きの最小ビットでのレベルは0.6μVで、特にノイズ
環境の良くないプラントでは到底そのレベルを低減する
ことができず、実際には0.1nSの分解能で位相差を
測定することは不可能である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】以上、詳述したように
圧損が少なく清掃が容易な直管式コリオリ流量計におい
て、温度ドリフトの影響を少なくするため、ディジタル
信号処理の複素フーリエ変換により位相差を求める手法
では、その実用上の検出分解能が低く(約5nS)、1
%の精度を保証することができないという問題を持つこ
とになる。したがって、この発明の課題は検出分解能を
向上させることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るため、請求項1の発明では、同一周波数の2つの信号
の差を求める演算手段と、この演算手段からの出力信号
および前記2つの信号をそれぞれ量子化する量子化手段
と、これら量子化された3つの信号から前記2つの信号
と同じ周波数成分のみをそれぞれ抽出する帯域フィル
タ手段と、その出力信号をフーリエ変換演算し、前記
2つの信号の位相差を下記演算式にもとづいて演算する
位相差演算手段とを設けたことを特徴としている。 (記) α=sin -1 [Csin[θc−(θa+θb−π)/2]/(A+B)] 但し、A,θa:同一周波数の2つの信号のうち一方の
信号についての振幅, 位相 B,θb:同一周波数の2つの信号のうち他方の信号に
ついての振幅, 位相 C,θc:前記2つの信号の差として求められる信号に
ついての振幅, 位相 である。
【0017】前記量子化手段を、前記2つの信号の一方
の振幅を2値化するコンパレータと、このコンパレータ
出力の整数倍の周波数信号を生成するPLL回路と、こ
のPLL回路の出力をタイミングとして前記演算手段か
らの出力および前記2つの信号を量子化するA/D変換
手段とから構成することを特徴としている(請求項2の
発明)。また、上記請求項1の発明では、前記2つの信
号の和または差を求める演算手段にゲイン切換機能を持
たせ、検出すべき位相差に応じてその検出レンジと分解
能を切り換え可能とすることができる(請求項3の発
明)。
【0018】また、上記請求項1または2の発明では、
前記量子化手段は、前記2つの信号および前記演算手段
からの出力をそれぞれサンプルホールドするサンプルホ
ールド手段を含むことができ(請求項4の発明)、また
は、前記2つの信号の少なくとも一方の信号の振幅を変
化させる振幅可変手段と、その2つの信号の振幅が変化
した場合の補正データを求め、そのデータにもとづき前
記位相差を補正する補正手段とを付加することができ
(請求項5の発明)、もしくは、前記2つの信号の振幅
差を検出する信号振幅差検出手段と、その検出された振
幅差にもとづき前記2つの信号の一方の信号の振幅を他
方の信号の振幅に一致させるゲインコントロールアンプ
とを付加することができる(請求項6の発明)。
【0019】
【作用】同一周波数の2つの信号の他に、これらを加算
または減算した信号を加えた3種類の信号の振幅と位相
を利用することにより、上記2つの信号だけを利用する
従来方法よりも、A/D変換器の必要ビット数を少なく
し、高精度に2つの信号の位相差を検出し得るようにす
る(0.01%の精度=0.2nSの分解能を得るの
に、A/D変換器の必要ビット数は14〜16ビットで
十分である。)。また、特に同一周波数の2つの信号の
信号振幅を2値化するコンパレータと、その出力の整数
倍の周波数信号を生成するPLL回路とを利用すること
により、ディジタルフィルタ演算で使用するプログラム
中の定数を変化させることなく、信号周波数の変化に応
じて、ディジタルフィルタのカットオフ周波数を変えら
れるようにし、高精度化を図る。
【0020】さらに、前記2つの信号の和または差を求
める演算手段にゲイン切換機能を持たせ、検出すべき位
相差に応じてその検出レンジと分解能を切り換えられる
ようにし、かつ、前記量子化手段に、前記2つの信号お
よび前記演算手段からの出力をそれぞれサンプルホール
ドするサンプルホールド手段を含め、原信号を忠実に再
現できるようにする。加えて、前記2つの信号の振幅を
変化させる振幅可変手段と、その1対の信号振幅が変化
した場合の補正データを求め、このデータにもとづき前
記位相差を補正する補正手段とを付加するか、または2
つの信号の振幅差を検出する信号振幅差検出手段と、そ
の検出された振幅差にもとづき前記1対の信号の信号振
幅を一致させるゲインコントロールアンプとを付加する
ことにより、2つの信号に振幅差が生じても対処し得る
ようにする。
【0021】
【実施例】図1はこの発明の実施例を示すブロック図で
ある。同図において、1A,1Bは上流側,下流側の電
磁ピックアップ、2は加算回路、3はコンパレータ、4
は位相同期ループ(Phase Lock Loop:
PLL)、5A,5B,5Cはアンチェリアスフィル
タ、6A,6B,6Cはサンプルホールド回路、7A,
7B,7CはA/D変換器、8A,8B,8Cはバンド
パスフィルタ、9A,9B,9Cはディスクリート・フ
ーリエ・トランスファー(DFT)、10は位相計算部
である。なお、バンドパスフィルタ8A,8B,8C、
DFT9A,9B,9Cおよび位相計算部10などによ
り、DSP11が構成されている。
【0022】上流側の電磁ピックアップ1Aからは、A
sin(ωt−α)なる信号が、また、下流側の電磁ピ
ックアップ1Bからは、−Bsin(ωt+α)なる信
号がそれぞれ得られる。したがって、図示の如き加算回
路2を用いる場合は下流側ピックアップ信号は、流量0
のα=0のときに上流側ピックアップ信号と180度位
相差となるように、上流側,下流側の各電磁ピックアッ
プの配線を逆にしてある。減算回路を使用する場合は、
上流側,下流側の電磁ピックアップ配線を逆にする必要
はない。
【0023】加算回路2の出力は、 Asin(ωt−α)−Bsin(ωt+α) =−2Asinαcosωt+(A−B)sin(ωt+α) …(1) となる。このとき、ゲイン切換機能を有する加算回路2
の出力は、 k{−2Asinαcosωt+(A−B)sin(ω
t+α)} と表わされるが、この定数kを調整可能とすることで、
A/D変換器7Bにおける検出分解能を変え、位相差検
出分解能も変えることができる。
【0024】いま、上流側ピックアップ信号をAベクト
ル、下流側ピックアップ信号をBベクトル、加算回路出
力をCベクトルとすると、これら各ベクトルは図2のよ
うになる。流量0(α=0)のとき、回路系の遅れや、
複素フーリエ変換に使用する波形の開始位置などによ
り、Aベクトルは図2のx軸(sinωt)方向とは一
致しない。
【0025】そのずれ角度をθdとすると、角度θdは
Aベクトル,Bベクトルの回路基準の遅れ軸からの角度
θa,θbより、次式のように表現できる。 (θa−θd)+(θb−θd)=π θd=(θa+θb−π)/2 …(2) 従って、Cベクトルのx軸となす角度θeは、角度θ
a,θb,θcより次式のように求められる。 θe=θc−θd=θc−(θa+θb−π)/2 …(3)
【0026】一方、図2において、Cベクトルのy軸成
分についての等式を立てると、次式のようになる。 Csinθe=2Asinα−(A−B)sinα …(4) よって、上流側と下流側の位相差αは、 α=sin-1[Csin{θc−(θa+θb−π)/2}/(A+B)] …(5) となる。
【0027】 (5)式は、Aベクトル,Bベクトルお
よびCベクトルの振幅と位相から、質量流量に比例する
αを求められることを示している。すなわち、(5)式
右辺に示す正弦関数が「1」となる場合を通常状態
(これが成り立つ十分条件はA=Bであり、これは上流
と下流の2つのセンサの信号振幅が同じ状態であること
を示す)と呼び、その場合は単に各ベクトルの大きさ
(振幅)からαを求めることができ、このことから、A
ベクトル,Bベクトルのみを利用して位相差を求める従
来方式よりも比較的容易に求めることができ、A/D変
換器のビット数を少なくできるというわけである。
【0028】上記3つの信号の振幅と位相を求めるに当
たり、この実施例では各信号をアンチェリアスフィルタ
と呼ばれる一種の低域フィルタ(LPF)5A,5B,
5Cに与えてノイズ成分を除去し、その出力をサンプル
ホールド回路6A,6B,6Cによりサンプルホールド
する。このときのタイミングを作るのがコンパレータ3
およびPLL4で、ここでは基本周波数の例えば8倍の
タイミングでサンプリングするようにしている。
【0029】これは、サンプリングによって原信号を再
生するには、原信号の2倍以上の周波数でサンプリング
すれば良いという原理にもとづいている。従って、この
場合のPLL4は周波数逓倍回路として機能しているこ
とになる。また、この場合のサンプリングは、検出すべ
き位相差の精度を上げるために、高ビット(16ビッ
ト)で行なうこととする。なお、この例ではコンパレー
タ3およびPLL4を電磁ピックアップ1B側に設けた
が、電磁ピックアップ1A側に設けても良いことはいう
までもない。
【0030】サンプルホールド回路6A,6B,6Cの
出力は、A/D変換器7A,7B,7Cでディジタル化
された後DSP11に入力され、バンドパスフィルタ8
A,8B,8Cで基本周波数成分のみが抽出され、DF
T9A,9B,9Cで基本周波数成分の振幅と位相を求
める。DFTは所望の周波数成分の振幅と位相を高速に
求めるために設けられるもので、全周波数成分を求める
のならばFFT(高速フーリエ変換器)を用いるように
しても良い。位相計算部10は、DFT9A,9B,9
Cの出力から、上記(5)式の演算をしてαを求める。
【0031】 なお、ここで用いるバンドパスフィルタ
A,B,Cは、基本周波数の8倍でサンプリング
されたデータに対して作用するようになっているが、流
体の密度等によって基本周波数が変化しても、それに応
じてサンプリング周波数が変わり、バンドパスフィルタ
の通過帯域に追従するようになっているので、プログラ
ム中のフィルタ定数などを変化させる必要はないもので
ある。
【0032】以上の如くすることにより、αを高精度に
求められるはずであるが、実際には3つの信号をディジ
タル化する回路の遅れ時間の違いや、加算回路の遅れな
どによりその影響を受けてしまう。その影響とは、例え
ば上流側と下流側の振幅差の変化が生じたときに、先の
(5)式で計算されるαが変化するという現象である
(振幅差が一定の場合はαの一定オフセットとして処理
されるので、簡単な補正によって対処できる)。このよ
うな影響を受けないようにするため、具体的には以下に
示す2つの方法が考えられる。
【0033】1)上流側と下流側の振幅差を故意に変更
し、そのときのデータより補正係数を求める方法(図3
参照)。上流側と下流側の振幅差の変化が生じたときに
(5)式のαが変化するのは、同式のsinの角度に一
定誤差を含んでいるからであり、その原因は主に加算回
路2の遅れに起因している。そこで、可変ゲインアンプ
(ゲインコントロールアンプ)12A,12Bによっ
て、上流側と下流側に振幅差を生じさせたときDFT9
Bを介して得られる加算回路2の出力θcに対して、位
相補正部13で位相差の補正(進ませる)を行なうこと
で、回路上生じてしまう加算回路2の遅れをなくすよう
にしている。
【0034】このような補正で使用する係数(プログラ
ム上どの程度進ませるか)を求めるために、上流側と下
流側の位相差が一定の時、位相補正データ検索アルゴリ
ズム14から可変ゲインアンプ12A,12Bのゲイン
を変えることにより、上流側または下流側の振幅を故意
に変化させて振幅差を生じさせ、そのときのαの変化を
記録する。位相θcを補正するための定数を変え、その
変化が小さくなるよう補正する定数を求める操作を繰り
返して、補正するための定数を求める。このとき、上流
側と下流側の振幅変化が1%以内で、最大流量に対し
0.01%の精度で測定するためには、位相θcに与え
る補正定数は0.005度〜0.008度の精度で合わ
せ込む必要がある。また、可変ゲインアンプはその振幅
差を変化させても位相差が発生しないようにすることが
肝要である。
【0035】2)上流側と下流側の振幅差を常に一定に
するためのゲインコントロールアンプを利用する方法
(図4参照)。これは、電磁ピックアップ1A,1Bの
後段に可変ゲインアンプ12A,12Bと、その出力の
ピーク値を保持するピークホールド部15A,15B
と、両ピーク電圧値の差をとる減算回路16と、その差
からノイズ成分を除去するための低域フィルタ(LP
F)17とを設けて構成される。
【0036】すなわち、減算回路16の出力である、上
流側と下流側の両ピーク電圧値の差に応じて可変ゲイン
アンプ12A,12Bのゲイン調整を行なうことによ
り、上流側と下流側の振幅差の影響を無くすものであ
る。なお、可変ゲインアンプ12A,12Bはそのゲイ
ンを変更しても、その入出力間で位相差が生じないよう
にすることが必要となる。また、ここでは可変ゲインア
ンプ12Aのゲインを可変とし、可変ゲインアンプ12
Bのゲインを固定とするようにしているが、この関係を
逆にしても良いことは勿論である。以上では、主として
コリオリ式質量流量計の例について説明したが、この発
明はこれに限らず、同一周波数の2つの信号の位相差を
測定する装置一般に適用することが可能である。
【0037】
【発明の効果】この発明によれば、上流側ピックアップ
信号、下流側ピックアップ信号および減算回路(演算回
路)の出力信号の各振幅と位相とから上述の演算式にも
とづいて上流側、下流側信号の位相差を求めるようにし
たので、上流側、下流側ピックアップ信号の位相だけを
利用する手法よりもA/D変換器のビット数を少なくし
つつ高い精度で上流側、下流側信号の位相差を求めるこ
とが可能となる利点が得られる。因に、この発明によれ
ば、最大流量に対し0.01%の精度=0.2nSの分
解能を得るのに、A/D変換器の必要ビット数は14〜
16で十分である。
【0038】また、1対の検出器からの信号振幅を2値
化するコンパレータと、その出力の整数倍の周波数信号
を生成するPLL回路とを利用することにより、ディジ
タルフィルタ演算で使用するプログラム中の定数を変化
させることなく、流体密度変化による配管振動周波数の
変化に応じて、ディジタルフィルタのカットオフ周波数
を変えることができ、高精度化を図ることが可能とな
る。その上、上記演算手段にゲイン切換機能を持たせれ
ば、検出すべき位相差に応じてその検出レンジと分解能
を切り換えることができ、加えて、上記量子化手段に、
上記2つの信号および上記演算手段からの出力をそれぞ
れサンプルホールドするサンプルホールド手段を含めれ
ば、原信号を忠実に再現できる。
【0039】さらに、前記上流側,下流側のピックアッ
プ信号の振幅を変化させる振幅可変手段と、その1対の
検出器の出力信号の振幅が変化した場合の補正データを
求めそのデータにもとづき前記位相差を補正する補正手
段とを付加するか、または、前記上流側,下流側のピッ
クアップ信号の振幅差を検出する信号振幅差検出手段
と、その検出された振幅差にもとづき前記1対の検出器
の信号振幅を一致させるゲインコントロールアンプとを
付加するなどにより、上流側,下流側の各ピックアップ
信号に振幅差が生じても、安定かつ高精度に上流側,下
流側信号の位相差を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す構成図である。
【図2】図1の動作を説明するためのベクトル図であ
る。
【図3】この発明の他の実施例を示すブロック図であ
る。
【図4】この発明のさらに他の実施例を示すブロック図
である。
【図5】U字配管式コリオリ質量流量計の原理構成図で
ある。
【図6】U字配管の振動の様子を説明するための説明図
である。
【図7】U字配管のコリオリ力の捩じりトルクにより発
生する振動モードの説明図である。
【図8】U字配管にコリオリ力が発生した場合のピック
アップ信号例を示す波形図である。
【図9】カウンタ方式による位相差検出回路を示すブロ
ック図である。
【図10】直管式コリオリ質量流量計の1例を示す構成
図である。
【図11】差動増幅方式の位相差検出回路を示すブロッ
ク図である。
【図12】高速フーリエ変換方式の位相差検出回路を示
すブロック図である。
【図13】複素フーリエ変換による位相差検出原理を説
明するための説明図である。
【符号の説明】
1A,1B…電磁ピックアップ、2…加算回路、3,3
2…コンパレータ、4…PLL(位相同期ループ)、5
A,5B,5C…アンチェリアスフィルタ、6A,6
B,6C,62…サンプルホールド回路、7A,7B,
7C,55,63…A/D変換器、8A,8B,8C…
バンドパススフィルタ、9A,9B,9C…DFT(デ
ィスクリート・フーリエ・トランスファー)、10…位
相計算部、11…DSP(ディジタル・シグナル・プロ
セッサ)、12A,12B…可変ゲインアンプ、13…
位相補正部、14…位相補正データ検索アルゴリズム、
15A,15B…ピークホールド回路、16…減算回
路、17…低域フィルタ、21…U字配管、22,43
…永久磁石、23,40…基台、24,42…電磁駆動
用コイル、25,44…支持枠、31,52,61…増
幅器、33…排他論理和回路、34…カウンタ、35…
基準クロック、41…直管、51…差分器、53…狭帯
域フィルタ、54…全波整流・検波器、64…データメ
モリ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 25/00 G01F 1/84

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同一周波数の2つの信号の差を求める演
    算手段と、この演算手段からの出力信号および前記2つ
    の信号をそれぞれ量子化する量子化手段と、これら量子
    化された3つの信号から前記2つの信号と同じ周波数
    成分のみをそれぞれ抽出する帯域フィルタ手段と、その
    出力信号をフーリエ変換演算し、前記2つの信号の
    相差(α)下記演算式にもとづいて演算する位相差演
    算手段とを設けたことを特徴とする位相差演算装置。 (記) α=sin -1 [Csin[θc−(θa+θb−π)/2]/(A+B)] 但し、A,θa:同一周波数の2つの信号のうち一方の
    信号についての振幅, 位相 B,θb:同一周波数の2つの信号のうち他方の信号に
    ついての振幅, 位相 C,θc:前記2つの信号の差として求められる信号に
    ついての振幅, 位相 である。
  2. 【請求項2】 前記量子化手段を、前記2つの信号の一
    方の振幅を2値化するコンパレータと、このコンパレー
    タ出力の整数倍の周波数信号を生成するPLL回路と、
    このPLL回路の出力をタイミングとして前記演算手段
    からの出力および前記2つの信号を量子化するA/D変
    換手段とから構成することを特徴とする請求項1に記載
    の位相差測定装置。
  3. 【請求項3】 前記2つの信号の差を求める演算手段に
    ゲイン切換機能を持たせ、検出すべき位相差に応じてそ
    の検出レンジと分解能を切り換え可能とすることを特徴
    とする請求項1に記載の位相差測定装置。
  4. 【請求項4】 前記量子化手段は、前記2つの信号およ
    び前記演算手段からの出力信号をそれぞれサンプルホー
    ルドするサンプルホールド手段を含むことを特徴とする
    請求項1または2に記載の位相差測定装置。
  5. 【請求項5】 前記2つの信号の少なくとも一方の信号
    の振幅を変化させる振幅可変手段と、その2つの信号の
    振幅が変化した場合の補正データを求め、そのデータに
    もとづき前記位相差を補正する補正手段とを付加したこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の位相差測定装
    置。
  6. 【請求項6】 前記2つの信号の振幅差を検出する信号
    振幅差検出手段と、その検出された振幅差にもとづき前
    記2つの信号の一方の信号の振幅を他方の信号の振幅に
    一致させるゲインコントロールアンプとを付加したこと
    を特徴とする請求項1または2に記載の位相差測定装
    置。
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