JP3252560B2 - 子持ち昆布食品の製造方法 - Google Patents

子持ち昆布食品の製造方法

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JP3252560B2 JP24860793A JP24860793A JP3252560B2 JP 3252560 B2 JP3252560 B2 JP 3252560B2 JP 24860793 A JP24860793 A JP 24860793A JP 24860793 A JP24860793 A JP 24860793A JP 3252560 B2 JP3252560 B2 JP 3252560B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は子持ち昆布食品の製造方
法に係り、特に、トランスグルタミナーゼとカゼイン類
を用いて魚卵類を海藻原料表面に付着させることによ
り、天然産の子持ち昆布と比べて遜色のない優れた外
観、味、風味をもった子持ち昆布食品の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】天然産の子持ち昆布は、ニシンが産卵時
昆布表面に卵を産み付けたもので、珍味なものとして珍
重されている。しかし近年、昆布、ニシンともに乱獲に
よりその資源が減少し、天然産子持ち昆布は生産量が少
なくなり、稀少価値が高まり、非常に高価なものとなっ
ている。
【0003】そのため種々の方法で子持ち昆布の代替品
の製造が試みられてきた。例えば、特開昭52−102
458号公報では、昆布をアルカリ処理し、アルギン酸
を水溶性塩として昆布表面に溶出させ、これを糊料とし
て利用して魚卵(バラ子)を付着させた後、凝固液で処
理して魚卵を昆布に固着させる方法を開示している。ま
た、特公平4−29334号公報では、魚卵に凍結乾燥
した魚肉蛋白質を加えて混練したものを層状に形成し、
真空脱気、すわり工程を経た後、魚肉蛋白質を塩変性さ
せることにより、魚卵類と海藻類を層状に接着させる方
法が開示されている。
【0004】しかしながらこれら従来法においては、昆
布をアルカリ処理する方法では、白い斑点状のものが昆
布表面に付着してしまい外観上好ましくなく、またアル
カリ臭や渋み、苦み等が残ってしまい呈味的にも問題が
あった。また、魚卵に凍結乾燥した魚肉蛋白質を加えて
混練したものを層状に形成し、この魚肉蛋白質を塩変性
させることにより魚卵類と海藻類を層状に接着する方法
では、流水や加熱等によって魚卵類が海藻類から剥離し
やすい等の問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたもので、その目的とするところは、商品価
値の低い魚卵粒(バラ子)などを利用した製造コストの
低廉な、天然産子持ち昆布に比して遜色のない優れた外
観、味、風味をもった子持ち昆布食品を製造する方法を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
例の問題点を解決するために鋭意研究を行った結果、昆
布、ワカメ等の海藻原料表面に、トランスグルタミナー
ゼとカゼイン類とを添加作用させることにより海藻表面
に付着性を付与せしめることができ、そこへ魚卵類を付
着させることによって、外観は天然産の子持ち昆布に類
似し、呈味的にもアルカリ臭、渋み、苦み等がなく、天
然産の子持ち昆布の風味をもった高品質でしかも低廉な
子持ち昆布食品を製造することができるという知見を
得、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明によれば、昆布、ワカメ等
の海藻原料に、トランスグルタミナーゼとカゼイン類と
を添加作用させることにより魚卵類を付着させることを
特徴とする子持ち昆布食品の製造方法が提供される。
【0008】また本発明によれば、前記海藻原料に、ト
ランスグルタミナーゼとカゼイン類に加えてさらにコラ
ーゲンを添加作用させる、上記の子持ち昆布食品の製造
方法が提供される。
【0009】さらに本発明によれば、前記海藻原料を蛋
白質含有溶液にて処理する前工程をさらに含む、上記の
子持ち昆布食品の製造方法が提供される。
【0010】本発明において用いられ得る海藻原料とし
ては、例えば真昆布、ワカメ、浅草ノリ等が挙げられる
が、特に真昆布が最も好適に用いられる。また、生のも
のに限らず塩蔵品若しくはそれを流水等で塩抜きしたも
のを用いてもよい。これら海藻原料は、予め任意の大き
さに切断してから用いてもよく、あるいは魚卵類を付着
させた後、適当な大きさに切断してもよい。なお、用い
る部位は特に限定されないが、天然産のものでは通常、
昆布等の茎部に魚卵類が層状に結着しているものが多い
ことから、特には茎部が好適に用いられる。
【0011】魚卵類としては、例えば数の子(ニシン
卵)およびそのバラ子、シシャモ卵、トビ魚卵、イク
ラ、明太子等が挙げられるが、いわゆる魚類の卵であれ
ばいずれを用いてもよく、特に限定されないが、数の子
のバラ子が最も好適に用いられる。特に、商品価値の低
いバラ子を用いることにより、その有効利用を図ること
ができ、製造コストも低減化できる。これら魚卵類は、
単独で用いてもよいし、2種類以上を混ぜ合わせて用い
てもよい。また、例えば醤油、味噌、旨味調味料等で調
味漬けした魚卵類も用いられ得る。
【0012】トランスグルタミナーゼは、蛋白質のペプ
チド鎖内にあるグルタミン残基のγ−カルボキシアミド
基のアシル転移反応を触媒する酵素であり、特に食品蛋
白質中に含量の多いグルタミン残基とリジン残基間に架
橋構造を形成し、ゲル化させる酵素である。本発明で
は、このトランスグルタミナーゼの作用によりカゼイン
類(後述)の分子間に架橋構造が形成されてゲル化が引
き起こされることを利用し、魚卵類の海藻表面への結着
性の向上を図るものである。
【0013】本発明において用いられ得るトランスグル
タミナーゼとしては、カルシウム非依存性のものとカル
シウム依存性のものとが知られている。カルシウム非依
存性のものとしては、微生物由来のもの(例えば、特開
昭64−27471号)を挙げることができる。カルシ
ウム依存性のものとしては、モルモット肝臓由来のもの
(例えば、特開平1−50382号)、魚類由来のもの
(例えば、関伸夫ら、「昭和63年度日本水産学会秋季
大会講演要旨集」167頁および「平成2年度日本水産
学会春季大会講演要旨集」219頁)等を挙げることが
できる。本発明においては、これらいずれのトランスグ
ルタミナーゼであっても、トランスグルタミナーゼ活性
を有する限り、その起源を問わず、いずれをも用いるこ
とができる。しかし、カルシウム非存在下でも作用させ
ることができるということから、カルシウム非存在性の
ものがより好適に用いられる。
【0014】なお、本明細書中において、トランスグル
タミナーゼ活性は、特に明記しない限り、以下に記載す
る方法により測定したものとする。 (活性測定法)試薬A 0.2Mトリス塩酸緩衝液(pH6.0) 0.1Mヒドロキシルアミン 0.01M還元型グルタチオン 0.03Mベンジルオキシカルボニル−L−グルタミニ
ルグリシン試薬B 3N−塩酸 12%−トリクロロ酢酸 5%FeCl3 ・6H2 O(0.1N−HClに溶解) 上記各成分の1:1:1の混合液を試薬Bとする。
【0015】酵素液0.05mlに試薬A 0.5ml
を加えて混合し、37℃で10分間反応後、試薬Bを加
えて反応停止とFe錯体の形成を行った後、525nm
の吸光度を測定する。対照として、予め熱失活させた酵
素液を用いて同様に反応させたものの吸光度を測定し、
酵素液との吸光度差を求める。これとは別に、酵素液の
代わりにL−グルタミン酸γ−モノヒドロキサム酸を用
いて検量線を作成し、前記吸光度差より生成されたヒド
ロキサム酸の量を求め、1分間に1μmoleのヒドロ
キサム酸を生成する酵素量をトランスグルタミナーゼの
活性単位、1ユニットとする。
【0016】本発明において、トランスグルタミナーゼ
は魚卵蛋白質1gに対して0.01〜50ユニットの割
合で用いるのが好ましく、より好適には1〜15ユニッ
トの割合で用いられる。0.01ユニット未満では海藻
表面への魚卵の結着性が不十分となり、一方、50ユニ
ットを超えると結着性は得られるが、天然産のものに比
してやや柔らかい食感となる。なお、トランスグルタミ
ナーゼの上記量は、トランスグルタミナーゼの活性が1
ユニット/mg(蛋白質)の場合、魚卵蛋白質100重
量部に対して0.001〜5重量部、より好適には0.
1〜1.5重量部に相当するが、酵素の精製度合および
活性の強さによって添加量を加減する。
【0017】カゼイン類は乳蛋白質の一種であり、乳カ
ゼインの他に、カゼインナトリウム、カゼインカルシウ
ム、カゼインカリウム等のカゼイン塩類などが例示さ
れ、特にはカゼインナトリウムが好適に用いられる。か
かるカゼイン類は、上述したようにトランスグルタミナ
ーゼの働きによって分子間中に架橋構造を形成しゲル化
し、これによって魚卵類の海藻表面への結着性を向上さ
せるものである。この作用効果を最も顕しめるには、ト
ランスグルタミナーゼに対してカゼイン類を重量比で2
〜30倍量用いるのが好適であり、より好ましくは5〜
15倍量である。
【0018】また、海藻原料にトランスグルタミナーゼ
とカゼイン類に加えてさらにコラーゲンを添加作用させ
てもよい。コラーゲンを加えることにより、魚卵類の海
藻表面への結着性をより高めることができ、子持ち昆布
食品の食感をより向上させることができる。
【0019】本発明で用いられるコラーゲンは、豚や牛
などから一般的に抽出分離して調製されるものであっ
て、抽出分離後の含水物そのもの、あるいはこれを乾燥
した乾燥粉末として用いることができる。なお、上記含
水物および乾燥粉末はコラーゲン以外の若干の不純物も
含んでいるが、本発明においてはなんら問題なく使用で
きる。通常は、豚皮コラーゲン、牛皮コラーゲンが原料
として用いられる。
【0020】本発明の子持ち昆布食品の製造方法におい
て、トランスグルタミナーゼとカゼイン類、さらに必要
によりコラーゲンを加えたものの作用により、海藻原料
へ魚卵類を結着させる方法は、トランスグルタミナーゼ
によって分子間に架橋構造が形成されてゲル化されたカ
ゼイン類をいわばバインダーとして魚卵類を海藻原料に
付着、固着させることができるものであればいかなる方
法も用いられ得る。具体的には、例えば、トランスグル
タミナーゼとカゼイン類を加え、これらを混ぜ合わせて
粉末混合物としたものを海藻原料(または魚卵類)と混
ぜ合わせ、そこへ魚卵類(または海藻原料)を加えて混
練することによる方法、あるいは、魚卵類とトランスグ
ルタミナーゼとカゼイン類の粉末混合物とを混ぜ合わ
せ、それを海藻表面にシート状に敷き詰めることによる
方法、等が挙げられる。また、上記粉末混合物を水溶液
としたものに海藻原料(または魚卵類)を浸漬させても
よく、あるいはスラリー状としたものを海藻表面(また
は魚卵類)に塗布してもよく、このようにしてトランス
グルタミナーゼとカゼイン類とを作用させた後に、魚卵
類(または海藻)を加えてもよい。あるいは、海藻原料
(または魚卵類)をまずカゼイン類で処理し、その後ト
ランスグルタミナーゼを添加作用させることによりゲル
化し、そこへ魚卵類(または海藻原料)を加えてもよ
い。
【0021】このようにして、海藻原料表面にトランス
グルタミナーゼとの混合によって架橋構造が形成された
カゼイン類のゲル状物が形成され、これが結着剤の働き
をなし、魚卵類が海藻表面に確実且つ安定的に固着され
る。通常は、昆布等の海藻原料表面にトランスグルタミ
ナーゼとカゼイン塩類(例えばカゼインナトリウム)を
1:2〜30、好ましくは1:5〜15の重量比率で配
合した混合物を水でよく混練し、これらを昆布表面に均
一に塗布し、その上に魚卵類を適当量付着し、固着させ
る方法が一般的である。また、魚卵類の水分含有量が多
い場合には、あらかじめ魚卵類をカゼイン塩類で処理し
て水分を除去したり、あるいは魚卵類とトランスグルタ
ミナーゼとカゼイン類とを直接混ぜ合わせ、これらをそ
のまま海藻表面に塗布する。
【0022】トランスグルタミナーゼによる接着作用を
十分発揮せしめるためには、昆布等の海藻原料表面にト
ランスグルタミナーゼとカゼイン類との混合物を添加し
た後、0〜30℃、好ましくは2〜25℃にて10〜1
20分間そのまま放置するのが好ましい。
【0023】なお上記の各添加作用方法の説明におい
て、トランスグルタミナーゼとカゼイン類に、必要に応
じてコラーゲンが加えられることはもちろんである。
【0024】また、本発明においては、あらかじめ海藻
原料を蛋白質含有溶液にて前処理した後に、この海藻原
料にトランスグルタミナーゼとカゼイン類、さらに必要
によりコラーゲンを加えて添加作用させ、魚卵類を付着
させることによって子持ち昆布食品を製造する。海藻原
料をあらかじめ蛋白質含有溶液にて処理することによ
り、魚卵類の海藻表面への付着および固着がより一層安
定的かつ確実なものとなる。
【0025】ここで、蛋白質含有溶液に含まれる蛋白質
としては、その起源に制約されず、植物性蛋白質、動物
性蛋白質等いかなるものも使用できるが、カゼイン類が
含まれていることが好ましい。植物性蛋白質としては油
糧種子の脱脂物(脱脂大豆)およびそれらより分離した
蛋白質を挙げることができる。また、動物性蛋白質とし
ては、カゼイン類等の乳蛋白質、ゼラチン、コラーゲン
等を例示することができる。これら蛋白質含有溶液によ
る処理は、具体的には原料を溶液中に浸漬、スプレー、
あるいは粉末のまま添加する等の方法が挙げられるが、
これらに限定されるものではない。
【0026】あらかじめ蛋白質含有溶液で処理する方法
としては、例えば昆布等の海藻原料を任意の大きさに切
断し、流水で洗浄後、0.1〜3%のカゼイン塩水溶液
(例えば、カゼインナトリウム水溶液)に2〜30℃に
て5〜60分間浸漬後、トランスグルタミナーゼとカゼ
イン塩(例えば、カゼインナトリウム)の混合物を海藻
原料に対して添加作用させて付着性を付与せしめる。そ
して、このように処理した海藻を魚卵類と混合し、2〜
40℃にて10〜120分間放置して作用させることに
よって、海藻表面に魚卵類を確実且つ安定的に固着せし
める。
【0027】本発明に係る製造方法によって、従来のよ
うなアルカリ臭や苦み、渋み等がなく、しかも魚卵類が
安定的かつ確実に海藻に固着された、呈味的にも外観的
にも天然産のものに近似した高品質な子持ち昆布食品を
低コストで得ることができる。
【0028】
【作用】トランスグルタミナーゼとカゼイン類、さらに
必要によりコラーゲンを加え、これらを昆布、ワカメ等
の海藻原料に添加作用させることにより、海藻原料表面
にトランスグルタミナーゼにより架橋構造が形成されゲ
ル化したカゼイン類が結着剤の役割をなし、ここへ魚卵
類を付着させることにより、魚卵類が海藻表面に確実且
つ安定的に固着される。
【0029】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明する。実施例1 ワカメ500gを10〜20cmの長さにカットし、こ
れをカゼインナトリウム2%水溶液に5℃にて30分間
浸漬後、遠心分離機で余剰のカゼインナトリウムを除去
した。これに、数の子のバラ子300gにトランスグル
タミナーゼ(比活性1ユニット/mg)カゼインナトリ
ウムを重量比で1:10の割合で混合した混合物15g
を粉末混合した。これらを低速の混合機で混練し、ワカ
メの表面に数の子のバラ子を付着させ、冷蔵庫にて5
℃、30分間静置し、本発明による子持ち昆布食品を得
た。なおトランスグルタミナーゼの上記添加量は数の子
のバラ子中の蛋白質1g当たり約45ユニットに相当す
る。
【0030】比較のために、トランスグルタミナーゼと
カゼインナトリウムのいずれも添加しなかった以外は上
記と同様にして処理したものを対照品として得た。
【0031】このようにして得られた実施例品と対照品
とを用いて、専門パネル10名によって、外観、呈味、
魚卵の接着度を評価した。その結果、実施例品は外観、
呈味とも天然産のものに近く、また、魚卵の接着度も強
くワカメ表面から剥れ落ちるものはなかった。一方、対
照品は魚卵がワカメ表面に接着せずにばらけてしまい、
外観、呈味的にも天然産のものに劣った。実施例2 塩蔵昆布300gを流水中で1時間洗浄、脱塩し、この
脱塩昆布を3〜5cmにカットした。このカットされた
昆布250gにトランスグルタミナーゼ(比活性1ユニ
ット/mg)0.4gとカゼインナトリウム4.5gと
を加えてよく混練し、さらに水15mlを加えてよく分
散させた。これに脱塩したスケトウタラのバラ子250
gを加えてよく混合し、2℃にて1時間放置し、本発明
による子持ち昆布食品を得た。なお、トランスグルタミ
ナーゼの上記添加量は、スケトウタラのバラ子中の蛋白
質1g当たり約15ユニットに相当する。
【0032】比較のために、トランスグルタミナーゼと
カゼインナトリウムのいずれも添加しなかった以外は上
記と同様にして処理したものを対照品として得た。
【0033】このようにして得られた実施例品と対照品
とを用いて、専門パネル10名によって、外観、呈味、
魚卵の接着度を評価した。その結果、実施例品は外観、
呈味とも天然産のものに近く、また、魚卵の接着度も強
く昆布表面から剥れ落ちるものはなかった。一方、対照
品は魚卵が昆布表面に接着せずにばらけてしまい、外
観、呈味的にも天然産のものに劣った。実施例3 数の子のバラ子300gにトランスグルタミナーゼ(比
活性1ユニット/mg)0.2gとカゼインナトリウム
3gとの混合物を粉末添加し、よく混練した。塩蔵昆布
250gを流水中で1時間洗浄して脱塩し、この脱塩昆
布に上記混練物を0.5〜1cmの厚さでシート状に敷
き詰め、2℃にて30分間放置し、昆布に結着させた。
これを5cm×10cmの大きさにカットし、真空包装
後、30分間85℃にて加熱処理して、本発明による子
持ち昆布食品を得た。なお、トランスグルタミナーゼの
上記添加量は、数の子のバラ子中の蛋白質1g当たり約
7ユニットに相当する。
【0034】比較のために、トランスグルタミナーゼと
カゼインナトリウムのいずれも添加しなかった以外は上
記と同様にして処理したものを対照品として得た。
【0035】このようにして得られた実施例品と対照品
とを用いて、専門パネル10名によって、外観、呈味、
魚卵の接着度を評価した。その結果、実施例品は外観、
呈味とも天然産のものに近く、また、魚卵の接着度も強
く昆布表面から剥れ落ちるものはなかった。一方、対照
品は魚卵が昆布表面に接着せずにばらけてしまい、外
観、呈味的にも天然産のものに劣った。実施例4 あわせ調味漬けした数の子のバラ子300gにカゼイン
ナトリウムの粉末12gを添加、混合し、水分をよく吸
収させた。このバラ子にトランスグルタミナーゼ(比活
性1ユニット/mg)0.5gとカゼインナトリウム5
gを加え、混合した。ここで、トランスグルタミナーゼ
の上記添加量は、数の子のバラ子中の蛋白質1g当たり
約15ユニットに相当する。
【0036】次に、流水中で1時間洗浄、脱塩した昆布
150gに、上記混合後のバラ子を添加し、よく混ぜ合
わせた。これを5℃にて1時間放置し、本発明による子
持ち昆布食品を得た。
【0037】比較のために、トランスグルタミナーゼと
カゼインナトリウムのいずれも添加しなかった以外は上
記と同様にして処理したものを対照品として得た。
【0038】このようにして得られた実施例品と対照品
とを用いて、専門パネル10名によって、外観、呈味、
魚卵の接着度を評価した。その結果、実施例品は外観、
呈味とも天然産のものに近く、また、魚卵の接着度も強
く昆布表面から剥れ落ちるものはなかった。一方、対照
品は魚卵が昆布表面に接着せずにばらけてしまい、外
観、呈味的にも天然産のものに劣った。実施例5 早煮昆布100gを5%乳酸(ミツカン酢(株)製、
「MHV」)溶液200mlに30分間浸漬・微沸して
軟化させた後、脱水処理し、ローラーに通して昆布表面
にザラつきを付けたものを原料昆布として得た。次に、
塩蔵数の子のバラ子1700gを流水中で1時間脱塩
後、遠心分離機を用いて脱水し、脱塩バラ子を得た。こ
のバラ子にトランスグルタミナーゼ(比活性1ユニット
/mg)3gとカゼインナトリウム30gの混合物を添
加し、よく混ぜ合わせた。この混ぜ合わせたものを、上
記のようにして得た原料昆布の表面に塗布して成型し
た。室温で1時間放置後、冷凍し、本発明による子持ち
昆布食品1500gを得た。なおトランスグルタミナー
ゼの上記添加量は、数の子のバラ子の蛋白質1g当たり
約20ユニットに相当する。
【0039】この得られた子持ち昆布食品を、天然産の
子持ち昆布と比較して評価したところ、外観、食感、呈
味性のいずれにおいても良好であった。実施例6 調味漬明太子のバラ子300gにコラーゲン粉末(湘南
ゼラチン(株)製、「コラーゲンGP」)を15g添加
したものにトランスグルタミナーゼ(比活性1ユニット
/mg)0.5gとカゼインナトリウム5gとの混合物
を粉末添加し、よく混練した。なおトランスグルタミナ
ーゼの上記添加量は、調味漬明太子のバラ子中の蛋白質
1g当たり約15ユニットに相当する。
【0040】次に、上記のようにして得た混練物を型枠
に注入し、両側に脱塩昆布100gを巻き込み、2℃に
て60分間放置して、昆布に調味漬明太子を結着させ
た。これを3cm×7cmの大きさにカットし、包材に
充填後、65℃にて45分間加熱処理を行い、本発明に
よる子持ち昆布食品を得た。
【0041】この得られた子持ち昆布食品を、天然産の
子持ち昆布と比較して評価したところ、外観、食感、呈
味性のいずれにおいても良好であった。実施例7 乾燥昆布700gを流水でよく水洗した後、0.2%の
乳酸溶液に1時間浸漬した。この浸漬後の昆布1000
gに粉末コラーゲン50gを添加し、さらに、トランス
グルタミナーゼ(比活性1ユニット/mg)3gとカゼ
インナトリウム30gとの混合物を粉末添加してよく混
ぜ合わせ、昆布表面全面に塗布した。
【0042】一方、数の子のバラ子3500gにトラン
スグルタミナーゼ2gとカゼインナトリウム25gとの
混合物を粉末添加し、よく混練した。この混練物を上記
塗布後の昆布の表面に置き、型枠に充填した後、室温に
て30分間放置した。これを5cm×10cmの大きさ
にカットし、包材に充填後5℃にて45分間加熱処理を
行い、本発明による子持ち昆布食品を得た。なおトラン
スグルタミナーゼの上記添加量は、数の子のバラ子中の
蛋白質1g当たり約13ユニットに相当する。
【0043】この得られた子持ち昆布食品を、天然産の
子持ち昆布と比較して評価したところ、外観、食感、呈
味性のいずれにおいても良好であった。
【0044】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、昆
布、ワカメ等の海藻原料に、トランスグルタミナーゼと
カゼイン類を添加作用させ、魚卵類を付着させることに
より、天然産の子持ち昆布と比べて遜色のない優れた外
観、味、風味をもった子持ち昆布食品を安価に製造する
ことができるという効果を奏する。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/337 JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 昆布、ワカメ等の海藻原料に、トランス
    グルタミナーゼとカゼイン類とを添加作用させることに
    より、魚卵類を付着させることを特徴とする、子持ち昆
    布食品の製造方法。
  2. 【請求項2】 海藻原料に、トランスグルタミナーゼと
    カゼイン類に加えてさらにコラーゲンを添加作用させる
    ことを特徴とする、請求項1記載の子持ち昆布食品の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 海藻原料を蛋白質含有溶液にて処理する
    前工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1または
    2記載の子持ち昆布食品の製造方法。
JP24860793A 1993-09-10 1993-09-10 子持ち昆布食品の製造方法 Expired - Fee Related JP3252560B2 (ja)

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