JP3245342B2 - 積層型コンデンサの製法 - Google Patents
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Description
バリウムを主成分とし、Li、Si、Bのうち少なくと
も1種を含有する誘電体層と、ニッケル等の卑金属から
なる内部電極層とを交互に積層してなる積層型コンデン
サの製法に関するものである。
成する電極層と誘電体層とを交互に積層した後、一体焼
成して製造されている。
従来のBaTiO3を主成分とする誘電体材料では、1
300〜1500℃で焼成するため、内部電極材料とし
ては、このような温度で溶融しないPt,Pd等の貴金
属が使用されてきた。
り、高容量化を図るために内部電極数を増加させた場合
にはコストが著しく高くなるという問題があった。そこ
で、近年、安価なニッケル等の卑金属が内部電極材料と
して用いられている。
る内部電極を用いた場合には、内部電極の酸化を防止す
るため還元雰囲気中で焼成しなければならず、そのよう
な雰囲気下で焼成すると、誘電体セラミックスが還元さ
れ絶縁性を失ってしまうという問題があった。
た場合でも、誘電体セラミックスが還元されないよう
な、例えば、塩基性酸化物である(Ba,Ca,Sr)
Oを酸性酸化物であるTiO2に対して化学量論比より
過剰にしたチタン酸バリウム固溶体(Ba,Ca,S
r)(Ti,Zr)O3から成る基本成分と、Li2Oと
SiO2を含む添加成分とを含む誘電体磁器組成物が提
案されている(例えば、特公昭60−20851号公報
等参照)。
ような従来の組成を用いた積層型コンデンサでは、高
温、高電圧の環境下で用いられる場合には製品寿命が短
いという問題があった。即ち、上記従来の組成では、高
温、高電圧の環境下では、誘電体磁器自体の電気伝導性
が高くなり、誘電体としての機能が低下し、誘電体とし
ての寿命が短くなるという問題があった。特に、近年で
は、高容量化のために誘電体層を薄層化する傾向にある
が、誘電体層が薄くなる程、高温、高電圧環境下におい
ては電気伝導性が高くなり易く、誘電体としての機能が
低下し易いという問題があった。
mという薄い場合でも、高温、高電圧の環境下における
寿命を向上することができる積層型コンデンサの製法を
提供することを目的とする。
対して鋭意検討した結果、チタンジルコン酸バリウムを
含有する主成分と、該主成分100重量部に対してL
i、Si、Bのうちの少なくとも一種をそれぞれLi2
O、SiO2、B2O3換算で総量0.4〜1.2重量部
となる仮焼された粒界相成分とを含有する誘電体形成膜
と、卑金属を含有する内部電極膜とを交互に積層した積
層成形体を 作製し、非還元性雰囲気において1200〜
1300℃で焼成し、最高温度から800℃までの降温
速度を20〜40℃/hr以下としたことにより、誘電
体層が薄層であっても高温、高電圧の環境下における寿
命を向上することができることを見い出し、本発明に至
った。
より作製される積層型コンデンサは、チタンジルコン酸
バリウムからなる主結晶相と、このチタンジルコン酸バ
リウム100重量部に対してLi、Si、Bのうちの少
なくとも一種をそれぞれLi2O、SiO2、B2O3換算
で総量0.4〜1.2重量部の割合で含有する偏析相と
を有する誘電体層と、卑金属からなる内部電極層とを交
互に積層してなる積層型コンデンサであって、前記誘電
体層が3〜10μmの厚みを有するとともに、前記誘電
体層の破断面において存在する偏析相数のうち60%以
上が結晶質であることを特徴とする。ここで、偏析相中
の結晶質が、Li,SiおよびBのうち少なくとも2種
を含有する複合酸化物からなることが望ましい。
層の厚みを3〜10μmと薄層化した場合でも、誘電体
としての機能を十分に有し、かつ、高温、高電圧の環境
下においても寿命を長くすることができる。
は誘電体磁器中の粒界相を移動する電子の移動度に影響
されると考えられるが、結晶質の偏析相の方が非晶質の
場合よりも電子の移動度が小さいため、誘電体層中の全
粒界相成分数のうち60%以上を結晶質とすることによ
り、粒界相の電子の移動度を小さくすることができる。
は、チタンジルコン酸バリウムを含有する主成分と、該
主成分100重量部に対してLi,Si,Bのうちの少
なくとも一種をそれぞれLi 2 O、SiO 2 、B 2 O 3 換算
で総量0.4〜1.2重量部となる仮焼された粒界相成
分とを含有する誘電体形成膜と、卑金属を含有する内部
電極膜とを交互に積層した積層成形体を作製し、非還元
性雰囲気 において1200〜1300℃で焼成し、最高
温度から800℃までの降温速度を20〜40℃/hr
としたものであるが、本発明に用いられる誘電体層は、
例えば、Ba(Ti、Zr)O3100モル部に対して
CaTiO3を0.05〜8.0モル部含有する成分
と、該成分100重量部に対して、Nd2O3を0.3〜
0.8重量部、MnO2を0.1〜0.2重量部含有さ
せて、主成分が構成される。
のモル比で表される三角図において、(Li2O,Si
O2,B2O3)で示す、A(20,80,0)、B(7
0,30,0)、C(80,0,20)、D(40,2
0,40)の4点で囲まれる組成範囲の粒界成分を90
0℃以上の温度で仮焼し、Li、Si、Bのうち少なく
とも2種を含有する複合酸化物を作製する。そして、こ
のLi、Si、Bを含有する複合酸化物を上記主成分1
00重量部に対して、総量0.4〜1.2重量部添加含
有してなるものである。誘電体層中に、不純物としてA
l2O3、Fe2O3、ZrO2等が混入する場合がある。
対してLi、Si、Bのうちの少なくとも一種をそれぞ
れLi2O、SiO2、B2O3換算で総量0.4〜1.2
重量部の割合で含有せしめたのは、Li、Si、Bが
0.4重量部よりも少ない場合には、高温、高電圧の環
境下における寿命が低下するからであり、また、1.2
重量部よりも多い場合には容量が低下するからである。
は、Li,Si,BをそれぞれLi2O、SiO2、B2
O3換算で総量0.4〜1.2重量部含有すれば良く、
3種類の成分を必須成分とするものでもなく、2種でも
良い。これらのうちLiとSiの組み合わせは誘電率向
上という観点から特に望ましい。
ば、Ni、Co、Cu等からなるものである。
したのは、誘電体層の厚みが3μmより薄いと誘電体層
の作製が困難であるからであり、厚みが10μmよりも
厚くなると、高容量化を図ることができなくなるからで
ある。本発明の誘電体層の厚みは、高容量化および誘電
体層の作製の容易性という観点から5〜8μmであるこ
とが望ましい。
i、Si、Bを含有する複合酸化物からなる偏析相は、
例えば、(3Li2O・B2O3+Li4SiO4)、(L
i4SiO4)、(Li4SiO4+Li2O)のように表
現されるようなものがあり、このような偏析相が結晶質
であり、誘電体層中に存在する偏析相の個数の内、結晶
質である割合を一定に制御することにより、上記に示し
たように粒界相の電子の移動度を制御し、高温、高電圧
の環境下における製品寿命を長くすることができるので
ある。
おいて、存在する偏析相の個数の内、60%以上が結晶
質であることが必要である。結晶質である偏析相の存在
の割合が60%よりも低い場合には、高温、高電圧下で
の寿命が顕著に短くなる。
割合を60%以上とするためには、焼成時において最高
温度から800℃までの降温速度を20〜40℃/hr
とすることが必要である。これは、降温速度を20〜4
0℃/hrとすることにより、偏析相の結晶化を促進
し、結晶質の偏析相の存在の割合を60%以上とするこ
とができるのである。
ず、例えば、上記した誘電体磁器組成物に所定のバイン
ダー、可塑剤を添加し誘電体層用のスリップを作製する
とともに、例えば、Niに所定のバインダー、可塑剤を
添加し内部電極用のスリップを作製する。そして、台板
上に、誘電体層用のスリップをドクターブレード法によ
り複数回塗布し、所定厚みの誘電体成形膜を形成し、こ
の誘電体成形膜の表面に内部電極用スリップをスクリー
ン印刷して所定形状の内部電極膜を形成する。
返した後、該積層体を酸素分圧が3×10-5〜3×10
-3Paの非還元性雰囲気において1200〜1300℃
で1〜5時間一体焼成し、この最高温度から800℃ま
での降温速度を20〜40℃/hrとする。この後、窒
素雰囲気において900〜1100℃で2〜7時間熱処
理することにより、本発明の積層型コンデンサを得る。
均粒径0.5μmのBa(Ti、Zr)O3粉末を用
い、このBa(Ti、Zr)O3100モル部に対して
平均粒径1.0μmのCaTiO3を0.05モル部添
加した成分を作製し、この成分100重量部に対してN
d2O3を0.5重量部、MnO2を0.2重量部添加
し、混合して主成分を作製する。この主成分100重量
部に対して、Li2O、SiO2、B2O3のモル比が表1
に示す比となる仮焼した粒界相成分を、表1に示す量だ
け添加し、ZrO2ボールにより混合し、バインダー、
可塑剤を加え、誘電体層用スリップを得た。
l2O3ボールにより混合し、バインダー、可塑剤を加
え、内部電極層用スリップを得た。
ターブレード法により複数回塗布して、焼成後の厚みが
表1の厚みとなるように誘電体成形膜を作製し、この誘
電体成形膜の上面に、内部電極層用スリップをクシ型構
造となるようにスクリーン印刷し、誘電体成形膜の形成
から電極膜の形成までの工程を20回繰り返し、誘電体
成形膜を20層有する積層成形体を作製した。この積層
成形体を熱圧着後、酸素分圧が3×10-4Paの非還元
性雰囲気において1250℃で2時間焼成し、800℃
までの降温速度を表1に示す速度として冷却した後、窒
素雰囲気中において1000℃で5時間熱処理した。こ
の後、該焼結体の両端面に、Cuからなる外部電極を形
成し、本発明の積層型コンデンサを得た。
に対して、誘電体層厚みを走査型電子顕微鏡(SEM)
にて観察、測定するとともに、誘電体層中の粒界相成分
の存在状態を透過電子顕微鏡(TEM)にて観察した。
結晶質であるかどうかの確認は、個々の偏析相に対して
電子解析像が得られるかを確認することにより行い、任
意に選択した誘電体層中の50個の偏析相に対する結晶
質の偏析相数の割合(%)を求めた。
kHz、入力信号レベル1Vrmsという条件で測定
し、誘電体層一層当たりの容量に換算して求めた。
に対して8V/μmの電圧を印加し、ショート故障に至
るまでの時間(寿命)を測定し、この結果を表1に示
す。
50nF以上の高容量であり、また、150℃、8V/
μmの電圧を印加した場合でも、ショート故障に至るま
での時間が185時間以上と長く、高温、高電圧の環境
下であっても、信頼性が高く長寿命であることが判る。
ンサの断面をTEMにて5000倍に拡大した結果を示
す。図において、符号1は誘電体層、符号2は内部電極
層、符号3は(Ba,Ca)(Ti,Zr)O3からな
るセラミック粒子、符号4は偏析相を示す。さらに、こ
の試料の誘電体磁器の断面をTEMにて10万倍に拡大
した結果を図2に示す。図において、符号3は(Ba,
Ca)(Ti,Zr)O3からなるセラミック粒子、符
号4は偏析相を示す。
チタンジルコン酸バリウムを含有する主成分と、該主成
分100重量部に対してLi,Si,Bのうちの少なく
とも一種をそれぞれLi 2 O、SiO 2 、B 2 O 3 換算で総
量0.4〜1.2重量部となる仮焼された粒界相成分と
を含有する誘電体形成膜と、卑金属を含有する内部電極
膜とを交互に積層した積層成形体を作製し、非還元性雰
囲気において1200〜1300℃で焼成し、最高温度
から800℃までの降温速度を20〜40℃/hrと
し、誘電体層の破断面において、Li,SiおよびBの
うち少なくとも2種を含有する複合酸化物からなり、6
0%以上の結晶質を有する偏析相を生成させることか
ら、誘電体の厚みを3〜10μmと薄層化した場合で
も、誘電体としての機能を十分に有し、かつ、高温、高
電圧の環境下においても寿命を長くすることができる。
Mにて5000倍に拡大した図である。
器の断面をTEMにて10万倍に拡大した図である。
Claims (1)
- 【請求項1】チタンジルコン酸バリウムを含有する主成
分と、該主成分100重量部に対してLi,Si,Bの
うちの少なくとも一種をそれぞれLi2O、SiO2、B
2O3換算で総量0.4〜1.2重量部となる仮焼された
粒界相成分とを含有する誘電体形成膜と、卑金属を含有
する内部電極膜とを交互に積層した積層成形体を作製
し、非還元性雰囲気において1200〜1300℃で焼
成し、最高温度から800℃までの降温速度を20〜4
0℃/hrとしたことを特徴とする積層型コンデンサの
製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34225195A JP3245342B2 (ja) | 1995-12-28 | 1995-12-28 | 積層型コンデンサの製法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP34225195A JP3245342B2 (ja) | 1995-12-28 | 1995-12-28 | 積層型コンデンサの製法 |
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---|---|
JPH09186045A JPH09186045A (ja) | 1997-07-15 |
JP3245342B2 true JP3245342B2 (ja) | 2002-01-15 |
Family
ID=18352280
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34225195A Expired - Fee Related JP3245342B2 (ja) | 1995-12-28 | 1995-12-28 | 積層型コンデンサの製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000269066A (ja) * | 1999-03-19 | 2000-09-29 | Taiyo Yuden Co Ltd | 積層セラミックコンデンサ |
JP4200792B2 (ja) | 2003-03-12 | 2008-12-24 | 株式会社村田製作所 | 積層セラミックコンデンサ |
-
1995
- 1995-12-28 JP JP34225195A patent/JP3245342B2/ja not_active Expired - Fee Related
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