JP3242859U - 断熱保持具 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な断熱性を確保しつつも、指が曲げやすく、様々な調理器具の取っ手や持ち手の形状に柔軟に対応可能な断熱保持具を提供する。【解決手段】人差し指から小指までの4本の指を差し入れる第1の指入手段110と、親指を差し入れる第2の指入手段120とを備えた断熱保持具100において、少なくとも、第1の指入手段の手掌側の、指の外縁又は及び指の関節に対応する位置に、所定の厚みを有する高密度断熱素材10A~10Dを、複数のパーツに分割して、貼り付け又は縫い付けて構成される。【選択図】図2

Description

本考案は、熱した鍋やフライパン、やかん、オーブンのトレー、ホームベーカリーのパンケース、パン焼き型、その他の金属製、陶器製、耐熱ガラス製、セラミック製などの調理器具を手で持つ際に、手を熱から保護するための断熱保持具に関する。
従来の鍋つかみやミトンに代表される断熱保持具は、表面の生地をキルト素材としたり、内部に綿等の断熱性のある素材を利用したりすることで、柔軟性と断熱性を備えた筒状で手袋状の形状、又はミトン型の形状を有するものが多く用いられていた。
特開平07-275139号公報 実用新案登録第3109352号公報
特許文献1には、調理器具等に接する部分に厚めの当接布11などの断熱素材を用いて断熱する技術が開示されている。当接布11の素材自体又は内部に綿などの空気を多めに含む素材を用いることで、調理器具等からの熱伝導や熱輻射を緩和するものである。
また、特許文献2には、表面生地に縫い付けた指入れ部耐熱性シートと裏面生地に縫い付けた裏面耐熱性シートなどの断熱素材によって、断熱性を向上させる技術が開示されている。
しかし、これらの従来の技術では、調理した料理の量や熱した湯や油の量が多い場合や調理器具自体が重い場合など、内容物を含む調理器具全体が重い場合には、熱せられた調理器具の取っ手や持ち手部分を掴んだ際に、調理器具全体の重量や、掴むときの握力によって発生した圧力によって、断熱保持具の断熱素材である内部の綿や外側の当接布(特許文献1および特許文献2参照)、あるいはせっかく設けた耐熱シート(特許文献2参照)が加圧されることで潰れて、その厚みが薄くなるケースが多かった。
例えば、ヒーター式又は及びスチーム式のオーブンで調理した器やトレー、ホームベーカリーのパンケース、パン焼き型、グリルなどは200℃ないし300℃以上の高温になる場合がある。
この場合、まず、物質を介した熱伝導の観点でみると、断熱保持具の断熱素材などが潰れて、断熱素材に含まれる熱伝導率が低い空気が逸脱することや、断熱素材の繊維体積率が上昇して熱伝導率が高くなることにより、断熱保持具の断熱素材である内部の綿や外側の当接布ないし耐熱シートそれ自体が熱を伝導する媒体となり、手指に熱を伝えてしまう。
さらに、熱輻射の点を考慮すれば、熱輻射のエネルギーは距離の2乗に反比例することから、断熱素材などが潰れて、高温の調理器具と手指の距離が近くなることで、調理器具からの赤外放射による熱エネルギーの伝播により、かなり大きな熱量が手に移動するという弊害も生じていた。
このように、従来技術の断熱保持具においては、物質を介した熱伝導と、熱輻射による熱エネルギーの伝播によって、断熱保持具の断熱素材の断熱効果を上回る熱が手に伝わってしまい、火傷するなどの不都合があった。
他方で、綿等の断熱性のある断熱素材の厚みを増大させたり、表面の布地を厚くしたりすると、断熱保持具の全体が厚みを帯びた状態になり、指を柔軟に曲げることができず、しっかりと調理器具を掴むことが困難になるという新たな課題が発生してしまう。
あるいは、特許文献2のように、広い面積で、一様に、耐熱シートなどを重ねて縫い付けたりすると、指を曲げようとしても全体が柔軟に変形せず、どうしても平板な形態にとどまるため、調理器具をしっかり掴めなくなったりして、調理器具を落としてしまうという課題もあった。
また、広い面積で一様に耐熱シートを貼ったり、綿等の断熱性のある断熱素材の厚みを増大させたり、表面の布地を厚くしても、結局、重い調理器具を持つと、その部分の近傍では、綿等の断熱素材や表面の布地が潰れて、その厚みが減少してしまうという不都合があった。
この場合、特許文献2のように、耐熱シートを重ねて縫い付けていたとしても、調理器具と手指との距離が近くなり、距離の2乗に反比例した熱輻射の影響を受けるため、耐熱シートの熱輻射の反射効果はほとんど期待できず、断熱効果がさほど向上しない割に、材料費がかさみ原価が上昇するという不都合もあった。
また、表面の布地を厚くすると、縫製の際に縫い付け作業が困難になるなどの製造上の問題もあった。
以上のように、従来技術では、熱伝導と熱輻射の両方を考慮して、十分な対策を行っていなかったために、安価で、指を柔軟に曲げることができ、物をつかみやすく、かつ効果的な断熱効果を奏する断熱保持具を提供することができなかった。
そこで、本願考案では、調理器具を掴んだ時に、重みや圧力で、断熱素材の厚みが減少することによる熱伝導と熱輻射の両面に及ぼす影響を考慮しつつ、上記のような不都合を回避するため、従来技術のように、断熱保持具の外側や内側の全体に、一様に、厚みのある断熱素材を貼り付けないし縫い付けたり、綿やウレタン等の断熱性のある断熱素材の厚みを増大させたり、表面の布地を厚くしたりするのではなく、関節を曲げ伸ばしに影響がないようにして、柔軟な操作を可能としつつ、高い断熱作用を持たせた断熱保持具を提供することを目的とする。
また、広い面積で、一様に、厚みのある断熱素材を貼り付けたり、縫い付けたりすると、指が曲げにくくなるだけでなく、使用する断熱素材の面積や重量が増えて原価が上昇したり、製造コストが上昇したりするのを抑え、低コストで高い断熱作用を持たせた断熱保持具を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、第1の考案は、人差し指から小指までの4本の指を差し入れる第1の指入手段と、親指を差し入れる第2の指入手段とを備えた断熱用の保持具において、少なくとも、前記第1の指入手段の手掌側の、指の外縁又は及び指の関節に対応する位置に、所定の厚みを有する高密度断熱素材が存在するように、複数のパーツに分割して、貼り付け又は縫い付けた断熱保持具であることが望ましい。
この場合において、所定の厚みを有する高密度断熱素材は、手掌側であれば、断熱保持具の指入手段の内側であって指に当接する部分でもよいし、あるいは当接布の内部、あるいは調理器具に当接する断熱保持具の外側に、貼り付け又は縫い付けてもよい。
また、手掌側に限定する趣旨ではなく、少なくとも手掌側に設けられていれば足りる趣旨であり、別途、手甲側にも設けられていても構わない。この場合、オーブンのトレーの形状によっては、手甲側が熱にさらされることもあるので、その際に手甲部分を熱から保護することに役に立つ。
第2の考案は、前記の高密度断熱素材が矩形状の形状を有し、少なくとも、前記第1の指入手段の手掌側の、指の外縁又は及び指の関節に対応する位置に高密度断熱素材が存在するように、複数のパーツに分割して、貼り付け又は縫い付けた断熱保持具であることが望ましい。
第3の考案は、第1又は第2の考案において、前記の高密度断熱素材を、指の関節部分がそれぞれの高密度断熱素材どうしの境界線となるような位置に高密度断熱素材が存在するように、、複数のパーツに分割して、貼り付け又は縫い付けた断熱保持具であることが望ましい。
第4の考案は、前記の高密度断熱素材を、人差し指から小指の第2関節の位置が、それぞれの高密度断熱素材どうしの境界線となるような位置に高密度断熱素材が存在するように、貼り付け又は縫い付けた断熱保持具であることが望ましい。
これにより、高密度織物素材自体に一定の柔軟性があることに加え、それぞれの高密度織物素材の境界が関節部分に位置するように配置されるので、指の関節の曲げ伸ばしを阻害することなく、調理器具等からの熱を効果的に抑止することが可能となる。
例えば、人差し指から小指にかけて、第2関節付近を中心線として、指先側に1本、指の根元に向けて1本の計2本を、相互に略平行に、貼り付け又は縫い付けることで、関節の曲げ伸ばしを阻害することなく、調理器具等からの熱を効果的に抑止することが可能となる。
あるいは、人差し指から小指にかけて、各指の各関節付近を中心線として、各指に2個、計8個の矩形状等の素材を小分けに貼り付け又は縫い付けても構わない。
この場合、最低限、2本のベルトないしテープ状の縦に長い略長方形の形状の高密度織物素材を貼り付け又は縫い付けるだけで済むので、製造コストを抑えることができる。
第5の考案は、前記の高密度断熱素材が、天然素材又は化学繊維で構成される紡績糸を素材として織り込んで、調理器具等を把持した際の圧力等によって厚みが変化することを防止するように構成した高密度織物素材であることであることが望ましい。
第6の考案は、前記の高密度断熱素材の長手方向からみた幅(W1)が、、人差し指ないし中指の指先から指の第2関節に当接する部分において、その部分の長さに合わせて、例えば、25~60mmであることが望ましい。
高密度断熱素材の厚みは、設定する耐熱温度に応じて適宜調整することができ、手の大きさに応じて幅を調整することができる。
本考案によれば、指を柔軟に曲げることができ、かつ、調理器具などの重みや掴むときの圧力によって、断熱保持具が調理器具と当接する部分の厚み(及び距離)が変化しにくいことにより、高温の調理器具から手指を効果的に保護できる断熱保持具を提供することができる。
また、本考案の構成によれば、安価な材料で高い断熱効果を発揮することが可能となる。
さらに、本考案の技術を活用すれば、調理器具を扱う時だけではなく、各種の製造現場で高温の物体を取り扱う時に、柔軟性があり、断熱性が高い断熱保持具を提供することなど、多様な活用が考えられる。
は、従来技術の一例を示す図である。 は、本考案の構成の一例を示す図である。 は、本考案の構成の変形例の一例を示す図である。 は、図2の構成例における完成後の外観の一例を示す図である。 は、図2の構成例における完成後の断熱保持具を手に装着した状態を示す図である。 は、図2の構成例における完成後の断熱保持具を手に装着した状態を示す図であって、高密度断熱素材と指の関節との位置関係を示す図である。 は、本考案の技術による断熱効果を示す実験結果の一例である。 は、本考案の構成の変形例の一例を示す図である。 は、本考案の構成の変形例の一例を示す図である。 は、図8、図9の構成例における完成後の断熱保持具を手に装着した状態を示す図である。 は、本考案の構成の変形例の一例を示す図である。 は、本考案の構成の変形例の一例を示す図である。 は、図11、図12の構成例における完成後の断熱保持具を手に装着した状態を示す図である。
<用語の説明>
◇調理器具等とは、鍋、やかん、ヒーター式又は及びスチーム式のオーブンで調理した器やトレー、ホームベーカリーのパンケース、パン焼き型、グリルなどの調理器具全般をいう。
◇鍋つかみとは、鍋などの高温になる調理器具を安全に手で持つための断熱性を備えた断熱保持具の総称であり、鍋に限らず、その他の調理器具等を手で持つための道具をいう。
◇鍋つかみの形状としては、親指用と残り4本用の2つの指入れ口を備えた形状(以下「ミトン型」という)、カエルなど動物の口を模した形状(以下「パクパク型」という)、5本の指を別々の指入れ口に分けた5本指型などがある。
◇断熱素材とは、熱伝導や熱輻射を抑制し、断熱性を備えた素材である。後述の低密度断熱素材や高密度断熱素材のほか、耐熱シートや熱反射シートなども含む断熱性を備えた素材の総称である。
◇低密度断熱素材とは、綿など、比較的密度の低い素材で構成され、空気を多く含むように構成された断熱素材をいう。
◇高密度断熱素材とは、本考案で用いる断熱性を備えた素材であって、調理器具等を持った時の重みや圧力で素材がつぶれて、高温の調理器具との距離が近くなってしまうことを防止するような強度を備えた、所定の密度を有する素材であれば何でもよい。
高密度断熱素材の一例として、天然素材又は化学繊維で構成される紡績糸を素材として織り込んで、調理器具等を把持した際の圧力等によって厚みが変化することを防止するように構成した、所定の厚みを有する高密度織物素材を用いることができる。高密度織物素材における、単位体積当たりの繊維の含有率を示す繊維体積率は、20~90%程度の範囲を取りうるが、織り方や材質によって自由に調整でき、この数値に限定されない。
あるいは、高密度断熱素材の一例として、プラスチック、ウレタン、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂などの樹脂製の素材、天然ゴムやウレタンゴムなどのゴム素材などを用いることができる。
◇熱が伝わる仕組みとしては、対流のほかに、熱伝導と熱輻射がある。断熱保持具の素材などの物質を介して熱が伝わることが熱伝導であり、高温の物体から熱エネルギーが電磁波として放出されることで熱エネルギーが伝播して熱が伝わることが熱輻射である。断熱保持具において、表皮素材としてキルトなど厚手の素材が用いられるのは、空気を含ませることで熱伝導を抑制したり、距離をとることで熱輻射を抑制したりするためである。
◇熱伝導率とは、熱の伝わりやすさを示す指標であり、W/m・Kという単位で表示される。熱伝導率は物質によって異なり、一般に金属が高く、鉄で83.5、木材で0.15~0.25であり、繊維素材は、織り込んでいない繊維単独でコットン(綿)が2.88、ウール(毛)が0.48、ポリエステルが1.26、アクリルが1.02であり、空気の場合は、熱伝導率が0.024と非常に小さいことが知られている(日本繊維機械学会誌39、T-184参照)。
断熱素材は、多くの場合、何らかの繊維素材で構成されている。繊維素材の熱伝導率は、繊維の種類によっても異なり、ウール(毛)の場合、織り方にもよって多少変動するが、一例によれば、繊維体積率が11%の場合、熱伝導率が0.06であるのに対し、繊維体積率が29%の場合、熱伝導率が0.09となっている。コットン(綿)の場合は、繊維体積率が12%の場合、熱伝導率が0.11であるのに対し、繊維体積率が23%の場合、熱伝導率が0.16となっている。
ポリエステルの場合は、一例によれば、繊維体積率が21%の場合、熱伝導率が0.08であるのに対し、繊維体積率が40%の場合、熱伝導率が0.14となっている。
このように、熱伝導率は、どの繊維でも繊維体積率が大きいほど高くなる傾向があるので、断熱素材としては、適度に空気を間に含むように、繊維体積率を少し抑え気味にした低密度断熱素材を用いることが多い。
他方で、繊維体積率を小さくすると、調理器具等を把持した時に断熱素材に掛かる圧力によって、断熱素材が潰れて、厚みが減少することによる熱伝導や熱輻射の影響がかえって大きくなるという弊害が生じる。
そこで、繊維体積率を上げても熱伝導率が0.1~0.2程度にしかならないことに着目し、本考案では、一般的な断熱素材または及び低密度断熱素材で構成された断熱保持具に、高密度断熱素材を効果的に組み合わせて、断熱性を高めるようにする。
◇熱輻射の代表例として、赤外放射があり、波長780nmから1mm程度までの波長の電磁波である。
◇赤外放射は、波長によって「近赤外」「中赤外」「遠赤外」に分けられる。
◇放射率とは、物体が熱輻射で放出する光のエネルギー(放射輝度)を、同温の黒体が放出する光(黒体放射)のエネルギーを 1 としたときの比である。
物質の放射率は熱エネルギーとして放射される赤外線の波長域によって異なることが知られている。
鉄ないし鋳鉄などの金属、陶器、耐熱ガラス、セラミックなどで構成される調理器具は、高温になるほど赤外放射が盛んになり、材質によって放射率などが変わる。
ここで、鉄ないし鋳鉄あるいは鉄合金、あるいは、陶器、耐熱ガラス、セラミックなどは放射率が高く、例えば、アルミニウムでは放射率が0.1程度であるのに対し、鋳鉄、陶器、耐熱ガラスなどは、温度にもよるが、一例では放射率が0.9と比較的高いことが知られている。また、特にセラミックは放射率が0.94と高いことから、ヒーター素材として用いられる。
◇赤外放射と距離の関係については、エネルギー密度は距離の2乗に反比例して減少していくので、「調理器具の取っ手や持ち手部分と、断熱保持具の素材を介した手指との距離」は、赤外放射を低減するうえでも重要なパラメーターの一つになる。
以下、本考案の断熱保持具における実施例について説明する。
なお、説明中の断熱保持具の形状はあくまで例示であって、パクパク型やミトン型、5指型など、各種の形状の断熱保持具にも適用できる。
1.従来の断熱保持具の概要
まず、図1を用いて、従来の一般的な断熱保持具の構成を説明する。
図1に示すように、従来の一般的な断熱保持具は、表面の当接布1と裏面の当接布2の間に綿などの低密度断熱素材3を封入した構造を有している。
当接布は、キルティング生地などのように、それ自体が内部に断熱素材を封入したものを用いる場合もある。
従来技術の場合、断熱効果を上げるためには、当接布や、内部の断熱素材について、全体の厚みを上げるしかなく、一定以上の厚みを持たせると柔軟な操作ができなくなるため、厚みを増すことにおのずと限界があった。
このため、重い調理器具を持った際に掛かる圧力で、当接布1、2や内部の低密度断熱素材3がつぶれてしまい、十分な断熱効果を維持できないという不都合があった。
2.本考案の断熱保持具
2-1.実施例1
次に、本考案の断熱保持具について、図2(1)を用いて説明する。
図2(1)は、本考案の断熱保持具100の一実施例を示す図であって、指に当接する部分の構成を示す図である。実際に使用する際には、図2の断熱保持具100の裏側に構成された手の甲の部分をカバーする当接布(図示せず)を折り返して、図4のような態様にして使用する。
図2(1)によれば、本考案の断熱保持具100は、人差し指から小指までの4本の指を差し入れる第1の指入手段110と、親指を差し入れる第2の指入手段120を備えている。また、第1の指入手段110及の手掌側に当接する部分には、高密度断熱素材10Aと10Bが貼り付け、又は縫い付けられている。
ここで、「貼り付け」には、接着剤などで張り付ける場合のほか、加熱して融着させることを含まれ、「縫い付け」には、高密度断熱素材を直接縫い付ける場合のほか、当接布の内部に糸などで編んだ格納エリアを設けて、その格納エリア内に高密度断熱素材を閉じ込めるように保持した場合も含まれる。
なお、図2(1)では、高密度断熱素材10を、指の手掌側に当接する部分に設ける場合の一実施例を示しているが、断熱保持具100の当接布1ないし2の内部、あるいは、当接布1ないし2の調理器具と接する部分(断熱保持具100の外側)に貼り付けないし縫い付けても良い。
外側に設ける場合は、綿や麻等の熱に強い天然繊維の紡績糸を編み込んだものが好ましい。他方、内側に設ける場合は、外側の当接布を綿や麻等の天然繊維で構成し、内側に化学繊維の紡績糸を編み込んだものを用いることができる。
ここで、図2(1)では、高密度断熱素材10Aと10Bは、ベルト状ないしテープ状の形状をしており、両者は相互にほぼ平行に貼り付け、又は縫い付けられている。
そして、高密度断熱素材10Aと10Bの境界が、概ね、人差し指から小指までの4本の指の第2関節部分に対応する位置に、貼り付け、又は縫い付けられている。
これにより、十分に断熱性を高めるために、高密度断熱素材10Aと10Bの材質として、厚みがあり、固めもので変形しにくいものを利用したとしても、指を折り曲げて物を掴む動作を柔軟に行うことができる。
なお、第2関節の位置は指ごとに異なるが、指を曲げた時の第2関節の位置を横から見た時に大きな差はないので、例えば、人差し指から小指までの第2関節の位置を平均した位置に設定すれば、指を柔軟に曲げ伸ばしすることができる。
また、親指を差し入れる第2の指入手段120についても、高密度断熱素材10Cと10Dを備えるなど、同様の構成を備えているが、これは、第1の指入手段110と第2の指入手段120の構成を同じにすることにより、どの指を入れても対応できるようにするために、このような対称性を確保したに過ぎない。
例えば、親指を差し入れる第2の指入手段120は、親指の形状に対応するように、第1の指入手段110よりも小さめに製作して、それに応じて、高密度断熱素材10Cと10Dの形状を適宜調整することができる。あるいは、ベルトないしテープ状の縦に長い略長方形の形状を有する高密度断熱素材10を10Cと10Dの2本を用いずに、親指に合わせて1本で済ませても構わない。
高密度断熱素材10は、一例として、天然素材又は化学繊維で構成される紡績糸を素材として織り込んで、調理器具等を把持した際の圧力等によって厚みが変化するのを防止するように構成した、所定の厚みを有する高密度織物素材を用いることができる。
所定の厚みを有する高密度織物素材としては、手芸店や100円均一ショップなどで販売されている手芸用の安価なテープ素材やベルト用素材を利用することができ、コストを抑制することが可能となる。
高密度織物素材は、綿、麻、パルプなどの自然素材の繊維を高密度で織ったものでもよいし、アクリル、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレンなどの化学繊維を織ったものでもよい。
また、素材として用いる繊維として、細い糸を多数撚り合わせた繊維を利用すれば、より高密度な織物を作成することができ、調理器具の重みや調理器具を把持したときの圧力で変形しにくくなる。
厚みは断熱性を確保するうえで一定の厚みがあることが望ましいが、素材によっても変わるほか、柔軟性をどこまで確保するかによっても変わり、柔軟性を考慮すれば1~7mm程度が望ましいが、これに限定されない。
また、単位体積当たりの繊維の含有率を示す繊維体積率は、20~90%程度の範囲を取りうるが、織り方や材質によって自由に調整でき、この数値に限定されない。
織物の三原組織として、平織、綾織、朱子織などがある。綾織は伸縮性に優れ、朱子織は厚みを持たせやすく柔軟性を出しやすい傾向がある。
指の曲げ伸ばしをしやすく柔軟性を確保するためには、綾織又は朱子織などが好適であるが、平織りでも、用いる繊維を適宜調整することで利用できる。
厚みを持たせる織り方としては、多層構造にすればよく、例えば、とじ織ないし袋とじ織を用いて、2層、3層、4層、・・・と多層に織り込むことで、1~7mm程度の厚みを確保することができる。
また、高密度断熱素材10の素材は、調理器具等を持った時の重みや圧力で素材がつぶれて、高温の調理器具と手指との距離が近くなってしまうのを防止するものであれば何でも良く、高密度織物素材のほか、樹脂製の素材を貼り付けたり、当接布の内部に糸などで編んだ格納エリアを設けて樹脂製の素材を包み込んだりするように構成しても良い。
この場合、柔軟な指の曲げ伸ばしができるように、高密度断熱素材10の形状としては、後述の図2(2)、図3(2)のような矩形状等のパーツを採用することが望ましい。
以上のように、本考案の所定の厚みを有する高密度断熱素材10は、素材が密に構成されているため、調理した料理を含む調理器具全体の重量や、掴むときの握力によって発生した圧力によって潰れたりしないので、断熱効果を確実に発揮することができる。
2-2.実施例2
次に、図2(2)を用いて、図2(1)の変形例について説明する。
図2(2)のように、高密度織物素材で構成される高密度断熱素材10は、指ごとに分割された矩形状の形状を有するように構成しても良い。なお、矩形状は一例であって、正方形、長方形、平行四辺形、楕円形など様々な形状を採用することができる(以下「略矩形状の形状」という)。
これにより、指ごとに関節を曲げる角度が異なっていても、より柔軟に対応できるようにすることができる。さらに、図では高密度断熱素材10Aと10Bの境界が、各指で同じラインを描くように構成しているが、各指の関節の位置に合わせて、それぞれ位置を調整しても良い。
この場合、親指を差し入れる第2の指入手段120は、親指の形状に対応するように、第1の指入手段110よりも小さめに製作して、それに応じて、高密度断熱素材10Cと10Dの形状を適宜調整することもできる。あるいは、ベルトないしテープ状の縦に長い略長方形の形状を有する高密度断熱素材10を、10Cと10Dの2本を用いることなく、親指に合わせて1本(又は1個の矩形状等のパーツ)で済ませても構わない。
2-3.実施例3
あるいは、図2(3)のように、指の付け根から指先に向けた方向に、指の位置に合わせてベルトないしテープ状の縦に長い略長方形の形状を有する高密度断熱素材10を用いても良い。この場合、関節の位置に対応した境界を構成しないが、指ごとに高密度断熱素材10を分割して貼りつけているため、各指の曲げ具合に、ある程度柔軟に対応して物をつかむことができる。
また、高密度断熱素材10を配置する箇所は、手掌側に限定する趣旨ではなく、少なくとも手掌側に設けられていれば足りる趣旨であり、別途、手甲側の指に対応する位置にも設けられていても構わない。オーブンのトレーの形状によっては、手甲側が熱にさらされることもあるので、その際に手甲部分を熱から保護することに役に立つからである。
以上のように、少なくとも、第1の指入手段の手掌側の、指又は指の関節に対応する位置に、高密度織物素材を、複数のパーツに分割して、貼り付け又は縫い付けることで、断熱性を確保しつつも、柔軟に物をつかむことができる断熱保持具を提供することが可能となる。
高密度織物素材の幅については、図2(1)(2)のように、関節の位置に境界が来るような態様で使用する場合は、人差し指ないし中指の指先から指の第2関節までの長さに合わせて、例えば、約25mm~60mmの幅のものを使用することができ、図2(3)のように、指の幅に合わせる場合は、例えば、約10~20mmの幅のものを使用することができる。
2-4.実施例4
次に、図3を用いて、さらなる変形例について説明する。
図3は、ミトン型の断熱保持具の一例を示す図である。
図3(1)によれば、本考案の断熱保持具100は、人差し指から小指までの4本の指を差し入れる第1の指入手段110と、親指を差し入れる第2の指入手段120を備えている。
また、第1の指入手段110の手掌側に当接する部分には、高密度断熱素材10Aと10Bが貼り付け、又は縫い付けられている。
ここで、図3(1)では、高密度断熱素材10Aと10Bは、ベルトないしテープ状の縦に長い略長方形の形状を有しており、両者は相互にほぼ平行に貼り付け、又は縫い付けられている。
そして、高密度断熱素材10Aと10Bの境界が、概ね、人差し指から小指までの4本の指の第2関節部分に対応する位置に、貼り付け、又は縫い付けられている。
これにより、十分に断熱性を高めるために、高密度断熱素材10Aと10Bの材質として、厚みがあり、固めもので変形しにくいものを利用したとしても、指を折り曲げて物をつかむ動作を柔軟に行うことができる。
この場合、親指を差し入れる第2の指入手段120における高密度断熱素材10Cと10Dは、2個のパーツを用いずに、親指に合わせて1個の矩形状等のパーツで済ませても構わない。
次に、図3(2)(3)を用いて、図3(1)の変形例について説明する。
図3(2)のように、高密度断熱素材10は、指ごとに分割された矩形状等の形状を有するように構成しても良い。これにより、指ごとに関節を曲げる角度が異なっても、より柔軟に対応できるようにすることができる。さらに、図では高密度断熱素材10Aと10Bの境界が、各指で同じラインを描くように構成しているが、各指の関節の位置に合わせて位置を調整しても良い。
この場合、親指を差し入れる第2の指入手段120は、親指の形状に対応するように、第1の指入手段110よりも小さめに製作して、それに応じて、高密度断熱素材10Cと10Dの形状を適宜調整することもできる。あるいは、ベルトないしテープ状の縦に長い略長方形の形状を有する高密度断熱素材10を10Cと10Dの2個のパーツを用いずに、親指に合わせて1個の矩形状等のパーツで済ませても構わない。
あるいは、図3(3)のように、指の付け根から指先に向けた方向に、指の位置に合わせてベルトないしテープ状の縦に長い略長方形の形状を有する高密度断熱素材10を用いても良い。この場合、関節の位置に対応した境界を構成しないが、指ごとに高密度断熱素材10を分割して貼りつけ、ないし縫い付けるため、各指の曲げ伸ばしに、ある程度柔軟に対応して物をつかむことができる。
また、図3のミトン型の断熱保持具においても、手の甲側の指に対応する位置もしくは、手の甲に当接する位置に、高密度断熱素材10を貼り付け又は縫い付けても良い。
<実施例1~3における本考案の使用状態>
次に、本考案の実施例1~3における使用状態について、図4、図5を用いて説明する。
図4は、図2の構成例における完成後の外観の一例を示す図であって、図2の断熱保持具100を使用するときの態様の一実施例を示す図である。いわゆるパクパク型の断熱保持具として構成した場合の一例である。
図2の断熱保持具100の裏側に構成された手の甲の部分をカバーする部分(図示せず)を折り返すと、図4のような態様になる。
図5は、使用状態の一実施例を示す図であって、図2の構成例における完成後の断熱保持具100を手に装着した状態を示す図である。
第1の指入手段110には、人差し指から小指までの4本の指を差し入れると共に、第2の指入手段120には、親指を差し入れる様子が示されている。
この場合、各指と、高温になった調理器具との間には、当接布や、当接布と一体化した綿などの低密度断熱素材、あるいは高密度織物素材などで構成された高密度断熱素材10、などが存在し、断熱効果を発揮することができる。
図6は、図2の構成例における完成後の断熱保持具100を手に装着した状態を示す図であって、指と当接する高密度断熱素材10の位置関係を示す図である。
図6によれば、人差し指から小指までの4本の指を差し入れる第1の指入手段110において、高密度断熱素材10Aと10Bの境界が、ちょうど人差し指などの第2関節の平均的な位置にくるように構成されており、人差し指から小指までの指の曲げ伸ばしに柔軟に対応できることがわかる。
また、親指を差し入れる第2の指入手段120において、高密度断熱素材10Cと10Dの境界が、親指の第1関節又は第2関節の位置にくるように構成されており、親指の曲げ伸ばしに柔軟に対応できることがわかる。
なお、図6では、所定の厚みを有する高密度断熱素材を、断熱保持具の指入手段の内側であって指に当接する部分に設けた例を示したが、当接布の内部、あるいは調理器具に当接する断熱保持具の外側に、貼り付け又は縫い付けてもよい。
2-5.実施例5
次に、図8~図10を用いて、さらなる変形例について説明する。
なお、実施例5も、少なくとも、前記第1の指入手段の手掌側の、指の外縁又は及び指の関節に対応する位置に、複数のパーツに分割して、貼り付け又は縫い付けたことは実施例1~4と同様である。
図8は、大きく分けて、3つの高密度断熱素材を用いた場合の本考案の断熱保持具100の一実施例を示す図であって、指に当接する部分の構成を示す図である。
図8は、実施例1の図2(1)の変形例の一つであり、図2(1)の10Bおよび10Cを一つにまとめたような構成となっている。このため、説明の便宜上、中央の高密度断熱素材の符号を「10B、10C」と記載することとした。
ここで、図8において、高密度断熱素材10Aは、ベルトないしテープ状のやや縦に長い略長方形の形状を、高密度断熱素材10B、10Cは、略長方形の形状をそれぞれ有しているが、平行四辺形、楕円形など様々な略矩形状の形状を採用することができる。例えば、略長方形の4隅は90度でなくてもよく、また曲線であっても構わない。
図8によれば、高密度断熱素材10Aと、高密度断熱素材10B、10Cとの境界(矢印イ)が、概ね、人差し指から小指までの4本の指の第2関節部分に対応する位置になるように、それぞれ貼り付け、又は縫い付けられていることが分かる。
また、高密度断熱素材10Dと、高密度断熱素材10B、10Cとの境界(矢印ロ)は、親指の第2関節部分に対応する位置になるように、それぞれ貼り付け、又は縫い付けられていることが分かる。
これらの構成により、指を折り曲げて物をつかむ動作を柔軟に行うことができる。
なお、中央の高密度断熱素材10B、10Cは、図2(1)の実施例1と異なり、1枚の素材を構成しているため、一見、手を挿入して物を掴む時に、曲げにくいようにも思われる。しかし、指の関節を折り曲げるのではなく、手のひらの略中央部分(図10のCT)で折り曲げるため、この部分には、高密度断熱素材の境界部分を設けなくても、特に問題はない。要するに指の関節部分に対応して高密度断熱素材の境界部分を設ければ十分である。
図9は、図8の変形例の一つであり、図8の中央の高密度断熱素材10B、10Cの部分を左右に2つに分割した態様の一例を示す図である。高密度断熱素材10B、10Cの部分を左右に2つに分割することで、この部分の折り曲げに対する剛性ないし強度が低下し、手のひらの略中央部分(図10のCT)で折り曲げる際に、折り曲げやすくなる効果がある。同様に、この部分を3つ、4つ、・・・に分解した構成を採用することもできる。
なお、図9において、高密度断熱素材10Aの長手方向から見た幅W1と、高密度断熱素材10B、10Cの長手方向から見た幅W3を同じにすれば、同一の素材を利用することもできる。例えば、所定の幅を有するテープ状の高密度断熱素材を適当な長さに切断して使用する等である。
図10は、図8、図9の構成例における完成後の断熱保持具100を手に装着した状態を示す図であって、指と当接する高密度断熱素材10の位置関係を示す図である。
図10によれば、人差し指から小指までの4本の指を差し入れる第1の指入手段110において、高密度断熱素材10Aと、高密度断熱素材10B、10Cとの境界が、ちょうど人差し指などの第2関節の平均的な位置にくるように構成されており、人差し指から小指までの指の曲げ伸ばしに柔軟に対応できることがわかる。
また、親指を差し入れる第2の指入手段120において、高密度断熱素材10B、10Cと、高密度断熱素材10Dとの境界が、親指の第1関節又は第2関節の位置にくるように構成されており、親指の曲げ伸ばしに柔軟に対応できることがわかる。
なお、図10では、所定の厚みを有する高密度断熱素材を、断熱保持具の指入手段の内側であって指に当接する部分に設けた例を示したが、当接布の内部、あるいは調理器具に当接する断熱保持具の外側に、貼り付け又は縫い付けてもよい。
高密度織物素材10Aの幅W1については、例えば、図8、図9の高密度織物素材10Aのように、関節の位置(矢印イ)に境界が来るような態様で使用する場合は、人差し指ないし中指の指先から指の第2関節までの長さに合わせて、例えば、約25mm~60mmの幅のものを使用できる。
また、図8、図9の高密度織物素材10B、10Cの幅W2については、図の上下方向の長さでみて、人差し指ないし中指の第2関節から親指の第2関節までの長さに合わせて、例えば、約60~100mmの幅のものを使用することができる。
また、図9の高密度織物素材10B、10Cの幅W3については、人差し指~小指までの長さの約半分に合わせて、例えば、約25~60mmのものを使用することができる。
また、高密度織物素材10Aの図の横方向の長さLについては、人差し指~小指までの長さに合わせて、例えば、約60~110mmの幅のものを使用することができる。
2-6.実施例6
次に、図11~図13を用いて、さらなる変形例について説明する。
なお、実施例6も、少なくとも、前記第1の指入手段の手掌側の、指の外縁又は及び指の関節に対応する位置に、複数のパーツに分割して、貼り付け又は縫い付けたことは実施例1~5と同様である。
図11は、実施例3の図2(3)の全体を図示した図であって、指の付け根から指先に向けた方向に、指の位置に合わせてベルトないしテープ状の縦に長い略長方形ないし略矩形状の形状を有する高密度断熱素材10を用いた場合の一例を示す図である。
この例では、高密度断熱素材10どうしの間で、関節の位置に対応する境界を構成しないが、隙間ニ~へを介して、指ごとに高密度断熱素材10A~10Dを分割して貼りつけているため、折り曲げに対する剛性ないし強度を適度に抑えることができ、各指の曲げ具合に、ある程度柔軟に対応して物をつかむことができる。
この場合において、人差し指から小指までの4本の指を差し入れる第1の指入手段110と、親指を差し入れる第2の指入手段120を区別なく扱えるように、高密度断熱素材10A~10Dを、すべて略同一の長さにしてもよいし、人差し指から小指までの4本の指を差し入れる第1の指入手段110と、親指を差し入れる第2の指入手段120を特定して、親指に当接する部分(例えば10A)を除く、10B~10Dの部分は、図の半分の長さまでに留めるようにしてもよい。
図12は、図11の変形例の一つであり、高密度断熱素材10Aと10Bを一つのパーツに、高密度断熱素材10Cと10Dを一つのパーツにし場合の一例を示す図である。高密度断熱素材を左右に2つに分割することで、この部分の折り曲げに対する剛性ないし強度が低下し、指の関節部分や手のひらの略中央部分で折り曲げる際に、折り曲げやすくなる効果がある。
図13は、図11、図12の構成例における完成後の断熱保持具100を手に装着した状態を示す図であって、指と当接する高密度断熱素材10の位置関係を示す図である。
図13においては、指の関節部分に対応する高密度断熱素材どうしの境界は見受けられないが、指と指の間に対応する境界が設けられているので、高密度断熱素材の折り曲げに対する剛性ないし強度を適度に抑えることができ、各指の曲げ具合に、ある程度柔軟に対応して物をつかむことができる。
以上、実施例1~6の実施例について説明したが、これに限定されるものではなく、様々な変形例を適用可能である。
なお、すべての実施例について、高密度断熱素材どうしの隙間は、適宜調整可能であり、例えば、1~5mm程度を採用しうるが、素材どうしが分割されていれば足り、ほぼ密着していても構わない。
高密度織物素材の幅については、図11のように、指の幅に合わせる場合は、例えば、約10~20mmの幅のものを使用できる。また、図12のように指2本ごとにまとめる場合は、例えば、約20~40mmの幅のものを使用できる。
3.効果の測定(実験結果)について
次に、図7を用いて、本考案の断熱保持具100の断熱効果について説明する。
図7は、本考案の技術による断熱効果を示す実験結果の一例である。
調理器具としては、オーブンのトレー(項番1)、鉄鍋(項番2)、グラタン皿(項番3)を使用した。オーブンのトレー及び鉄鍋の材質は鉄、グラタン皿の材質はセラミックであり、いずれも放射率が0.9以上と高いものを使用した。熱輻射が大きい素材を用いることで、断熱効果の相違が顕著に表れるようにするためである。
また、測定結果は、高密度断熱素材10として、厚さ2mmのポリエステル製の繊維を編み込んだ高密度織物素材を用いた場合の結果を示した。
このほか、綿等の天然素材の繊維や、アクリル、ナイロンなどの他の化学繊維を用いた場合でも、同様の結果が得られている。
厚さは4mm、6mm、8mm、10mmと増していくほど、断熱効果は高まるが、1~4mm程度の厚みがあれば十分な断熱効果を有することが判明している。他方で、余り厚くしすぎると、柔軟性が低下していくので、柔軟性と断熱効果のバランスから2~4mm程度の厚さが好ましいが、耐熱温度の設定に応じて、1~7mm程度の範囲で厚さを調整することができる。
実験は、調理器具の持ち手部分等の表面温度、把持して5秒経過したときの高密度断熱素材10ないし指の表面温度、把持して10秒経過したときの指の表面温度、をそれぞれ測定した。
調理器具を15秒以上把持する必要がある場面はさほど多くはないことから、図示はしなかったが、把持後15秒後、30秒後と一定の時間経過までは、温度が上昇し続け、調理器具等の放熱が進んだ1~2分後までは温度が上昇することが判明している。
図7(1)は、従来品の断熱保持具(以下「従来品」と略す)の測定結果を示すデータであり、把持して5秒後と10秒後の温度上昇の数値も算出した。
図7(2)は、本考案の断熱保持具100(以下「考案品」と略す)の測定結果を示すデータであり、把持して5秒後と10秒後の温度上昇の数値も算出した。
図7(1)の従来品の測定結果によれば、例えば、項番1のオーブンのトレーの場合(表面温度222℃)、把持10秒経過後には、指の表面温度の測定値が、56℃まで上昇してしまうことがわかる。この場合、被験者毎の感じ方による多少の相違もあるが、総じて、「熱くて持ち続けることはできない」という状況になっている。
これは、調理器具を把持した時の圧力等により、当接布や内部の綿等の低密度断熱素材が潰れて厚みを失い、調理器具からの距離が近くなることで、高温の調理器具からの熱伝導と熱輻射の影響を強く受けてしまうことによるものである。
他方、図7(2)の考案品の測定結果によれば、項番1のオーブンのトレーの場合(表面温度222℃)、把持10秒経過後でも、指の表面温度の測定値が、わずか32℃と低く、被験者のすべてが「あまり熱さを感じない」という結果になった。
これは、調理器具を把持した時の圧力等により、当接布や内部の綿等の低密度断熱素材がある程度潰れても、高密度断熱素材10が潰れずに、高温の調理器具等との距離を確保することで、熱伝導と熱輻射による温度上昇を効果的に抑制していることによるものである。
また、図7(1)と(2)の把持5秒後の温度と把持10秒後の温度の差である温度上昇の数値を比較してみると、従来品では10~13℃上昇するのに対し、考案品では3~5℃しか上昇せず、特に、長く持つ必要があるような調理器具の場合には、大きな断熱効果の恩恵を受けることができる。
例えば、ホームベーカリーのパンケースから、焼きあがった直後のパンを外す際には、パンケース底部のパンをこねるスクリュー部分からパンが外れにくく、パンケースを何度も振って、時間をかけてパンを外す必要があるので、本考案による効果を一層実感することができる。
図7(3)は、従来品と考案品の絶対値としての温度測定の結果で性能を比較した表である。
図7(3)によれば、項番1のオーブンのトレーでは、表面温度が222℃となっている中で、把持5秒後の指の表面温度が、従来品で43℃であるのに対し、考案品では29℃と人肌より低いレベルに抑えられていることが分かる。また、このことから、従来品と考案品の性能差は14℃であることになる。
また、把持10秒後の指の表面温度が、従来品は56℃と持っているのが困難なほど高い温度であるのに対し、考案品では32℃であり依然として人肌より低いレベルに抑えられていることが分かる。また、このことから、従来品と考案品の性能差は16℃であることになる。
このほか、項番2の鉄鍋やグラタン皿などの測定結果によれば、従来品と考案品の性能差は把持5秒後で10~14℃、把持10秒後で15~17℃と、時間が経過するほど、大きな差になっていることが分かる。
従来品では、断熱素材に多くの空気を含ませることで断熱効果を生じさせようとして、断熱素材の繊維体積率を抑え気味にしていたため、調理器具等を把持した際に断熱素材に掛かる圧力によって、断熱素材が潰れて、厚みが減少することによる熱伝導や熱輻射の影響がかえって大きくなっていた。
これに対し、本願考案では、把持した時の状態を重視し、一般的な断熱素材または及び低密度断熱素材で構成された断熱保持具に、高密度断熱素材を効果的に組み合わせることにより、調理器具等を把持した際に圧力が掛かった場合でも一定の厚みを確保することで、熱伝導や熱輻射の影響を抑制することが可能となった。
また、厚みのある高密度断熱素材を用いながらも、高密度断熱素材を指の外縁や指の関節に対応する位置に、複数のパーツに分割して配置することで、柔軟性を確保することができた。
また、厚みのあり、かつ所定の面積を有する高密度断熱素材を用いたことで、点で熱が伝わるのを防止し、面積で熱を分散する効果を発揮し、熱伝導を効果的に抑制することができた。
4.小括
以上のように、放射率の高い材質の調理器具を使った場合、従来品では、熱伝導と熱輻射による温度上昇が顕著であるのに対し、本考案によれば、温度が高くなればなるほど、調理器具等を持つ時間が長くなればなるほど断熱効果を発揮して、熱伝導と熱輻射による温度上昇を効果的に抑制していることが分かった。
本考案の断熱保持具は、調理器具等の保持のほか、様々な物の製造過程において、高温になるものを保持する際にも用いることができる。
1 当接布
2 低密度断熱素材(綿など)
3 当接布
10 所定の厚みを有する高密度断熱素材
100 断熱保持具
110 第1の指入手段
120 第2の指入手段

Claims (6)

  1. 人差し指から小指までの4本の指を差し入れる第1の指入手段と、親指を差し入れる第2の指入手段とを備えた断熱用の保持具において、
    少なくとも、前記第1の指入手段の手掌側の、指の外縁又は及び指の関節に対応する位置に、
    所定の厚みを有する高密度断熱素材が存在するように、複数のパーツに分割して、貼り付け又は縫い付けたこと、
    を特徴とする断熱保持具。
  2. 前記の高密度断熱素材が矩形状の形状を有し、少なくとも、前記第1の指入手段の手掌側の、指の外縁又は及び指の関節に対応する位置に高密度断熱素材が存在するように、複数のパーツに分割して、貼り付け又は縫い付けたこと、
    を特徴とする請求項1に記載の断熱保持具。
  3. 前記の高密度断熱素材を、指の関節部分がそれぞれの高密度断熱素材どうしの境界線となるような位置に高密度断熱素材が存在するように、複数のパーツに分割して、貼り付け又は縫い付けたこと、
    を特徴とする請求項1又は2のいずれか1つに記載の断熱保持具。
  4. 前記の高密度断熱素材を、人差し指から小指の第2関節の位置が、それぞれの高密度断熱素材どうしの境界線となるような位置に高密度断熱素材が存在するように、複数のパーツに分割して、貼り付け又は縫い付けたこと、
    を特徴とする請求項3に記載の断熱保持具。
  5. 前記の高密度断熱素材が、天然素材又は化学繊維で構成される紡績糸を素材として織り込んで、調理器具等を把持した際の圧力等によって厚みが変化することを防止するように構成した高密度織物素材であること、
    を特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の断熱保持具。
  6. 前記の高密度断熱素材の長手方向からみた幅(W1)が、人差し指ないし中指の指先から指の第2関節に当接する部分において、25~60mmであること、
    を特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の断熱保持具。


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