JP3238425U - 吸収性物品の個包装体 - Google Patents
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Abstract
【課題】融着部における包装シートの剥離音等の低減と、融着部の視認性向上による異物混入防止の安心感の付与とを同時に実現できる、吸収性物品の個包装体を提供する。
【解決手段】包装シート20同士を接合する複数の融着部4を備え、吸収性物品の長手方向の一端側に位置する包装シートの開封端35が表面に露出した第1面と、該第1面と反対側に位置して露出した第2面とを有し、両側縁部34は、包装シートが吸収性物品を介さずに積層された枚数が最も少ない最小積層領域よりも多い最積層領域36を有し、最積層領域に位置する融着部が、積層した複数の包装シートが連続的・一体的に結合した第1融着部と、第2融着部とを有し、第1融着部は、第2融着部よりも色が濃く、第2融着部は、厚み方向に窪んだ凹部を有し、第1融着部は、外縁を備えた平面形状を有する吸収性物品の個包装体30。
【選択図】図1
【解決手段】包装シート20同士を接合する複数の融着部4を備え、吸収性物品の長手方向の一端側に位置する包装シートの開封端35が表面に露出した第1面と、該第1面と反対側に位置して露出した第2面とを有し、両側縁部34は、包装シートが吸収性物品を介さずに積層された枚数が最も少ない最小積層領域よりも多い最積層領域36を有し、最積層領域に位置する融着部が、積層した複数の包装シートが連続的・一体的に結合した第1融着部と、第2融着部とを有し、第1融着部は、第2融着部よりも色が濃く、第2融着部は、厚み方向に窪んだ凹部を有し、第1融着部は、外縁を備えた平面形状を有する吸収性物品の個包装体30。
【選択図】図1
Description
本考案は、吸収性物品の個包装体に関する。
生理用ナプキン等の吸収性物品は個包装されて販売されることが知られている。例えば、生理用ナプキン等のパッド型の吸収性物品は、通常包装シートによって包まれ、かつ長手方向に折りたたまれて厚み方向に積層されて、個包装体の包装形態にされることが多い。このような個包装体は複数個が更に内装袋に入れられて消費者の手に届けられる。前記個包装体において、包装状態の安定性や、開封性(開封しやすさ)の観点から様々な工夫が提案されている(例えば特許文献1及び2)。
前記個包装体の包装形態において、開封しやすさを考慮しつつ異物混入を防ぐために両側縁部に複数の融着部を設けてシールすることが一般的である。このような個包装体は、前記融着部における包装シートの密封シールを剥離して開封し、吸収性物品が取り出される。この開封の際にシールの剥離音等が発生する。これは吸収性物品の使用を間接的に周囲に知らせるようなものであり、使用者にとってできるだけ他人に聞かれないようにしたいという心理が働く。例えば、前記吸収性物品が生理用ナプキンである場合、使用者が生理期間であることを知られないよう、前述のシール剥離音等を他人に聞かれないように注意しながら、ゆっくりと一旦停止を間に挟みつつ開封操作をすることがある。これは使用者にとって煩わしい操作であり、このような煩わしいことをしなくても、できるだけ剥離音等は小さく抑えられたものであってほしいという要望は、そのような対象物品について高まっている。
しかし、前記個包装体には、その折り畳み構造上、融着部の配される両側縁部に包装シートの最積層領域が含まれており、積層による厚みの増加分だけ他の領域よりも融着が強くなるのは避けられない。融着が相対的に強い最積層領域では、融着部における包装シートのシールを剥離する際に生じる剥離音等が特に大きくなってしまい、この点において改善の余地がある。
また、一般的に包装シートには、外観のデザイン性やそれによる消費者への訴求性を高める等の観点から様々な着色印刷がされている。その着色された領域において前記融着部は加熱ロール間の押圧により成型するため、該融着部では周囲の着色された領域と同様の色が残って目立たず、前記融着部の視認性が低下する。この融着部の視認性は、個包装体内部の吸収性物品に対する封止性、すなわち異物混入を防ぐ衛生保持性の高さを使用者に印象付け得る。しかし、融着部の視認性が低いと、たとえ十分な融着が付与されていても、吸収性物品の衛生保持性に対する使用者の視覚的な安心感が損なわれかねない。
一方で、融着部の視認性は、該融着部における前述のシール剥離音等を使用者に想起させやすい。そのため、この融着部の視認性の向上は、使用者に与える安心感の点で、前述の使用時における実際の剥離音等の抑制と合わせて実現できることが求められ、この点において改善の余地がある。
しかし、前記個包装体には、その折り畳み構造上、融着部の配される両側縁部に包装シートの最積層領域が含まれており、積層による厚みの増加分だけ他の領域よりも融着が強くなるのは避けられない。融着が相対的に強い最積層領域では、融着部における包装シートのシールを剥離する際に生じる剥離音等が特に大きくなってしまい、この点において改善の余地がある。
また、一般的に包装シートには、外観のデザイン性やそれによる消費者への訴求性を高める等の観点から様々な着色印刷がされている。その着色された領域において前記融着部は加熱ロール間の押圧により成型するため、該融着部では周囲の着色された領域と同様の色が残って目立たず、前記融着部の視認性が低下する。この融着部の視認性は、個包装体内部の吸収性物品に対する封止性、すなわち異物混入を防ぐ衛生保持性の高さを使用者に印象付け得る。しかし、融着部の視認性が低いと、たとえ十分な融着が付与されていても、吸収性物品の衛生保持性に対する使用者の視覚的な安心感が損なわれかねない。
一方で、融着部の視認性は、該融着部における前述のシール剥離音等を使用者に想起させやすい。そのため、この融着部の視認性の向上は、使用者に与える安心感の点で、前述の使用時における実際の剥離音等の抑制と合わせて実現できることが求められ、この点において改善の余地がある。
本考案は、融着部における包装シートの剥離音等の低減と、融着部の視認性向上による異物混入防止の安心感の付与とを同時に実現できる、吸収性物品の個包装体に関する。
本考案は、吸収性物品と、該吸収性物品を長手方向に折り畳んだ状態で包被する包装シートとを有する、吸収性物品の個包装体であって、前記個包装体は、前記吸収性物品の幅方向の外方であって前記吸収性物品の長手方向に沿う一対の両側縁部それぞれに、前記包装シート同士を接合する複数の融着部を備え、前記吸収性物品の長手方向の一端側に位置する前記包装シートの開封端が表面に露出した第1面と、該第1面と反対側に位置して露出した第2面とを有し、前記両側縁部は、前記包装シートが前記吸収性物品を介さずに積層された枚数が最も少ない最小積層領域よりも多い最積層領域を有し、前記最積層領域に位置する前記融着部が、積層した複数の前記包装シートが連続的・一体的に結合した第1融着部と、前記第1融着部を囲繞した第2融着部とを有し、前記第1融着部は、前記第1面側からの平面視、前記第2融着部よりも色が濃く、前記第2融着部は、前記第1面側に露出する部分に、厚み方向に窪んだ凹部を有し、前記第1融着部は、第1面側からの平面視、内側に湾曲した曲線よりなる外縁を備えた平面形状を有し、かつ、前記吸収性物品の長手方向に沿う方向に2等分した各領域において、前記内側に湾曲した曲線の交点を2点以上有し、前記交点それぞれを構成する曲線のなす角度が45°未満である、吸収性物品の個包装体を提供する。
本考案に係る吸収性物品の個包装体は、融着部における包装シートの剥離音等の低減と、融着部の視認性向上による異物混入防止の安心感の付与とを同時に実現できる。
本考案の吸収性物品の個包装体は、吸収性物品と、該吸収性物品を長手方向に折り畳んだ状態で包被する包装シートとを有する。この包被に関し、前記吸収性物品と前記包装シートとは、該包装シートが外側になるようにして一緒に折り畳んでもよく、前記吸収性物品を折り畳んだ状態のものを前記包装シートで包被してもよい。また、折り畳みの回数は、吸収性物品の長さや個包装体の大きさ等に応じて適宜設定することができる。前記包装シートは、1枚からなるものであってもよく、複数枚からなるものであってもよい。
前記吸収性物品とは、下着などの衣類に固定して着用者の身体に装着し、***物等を吸収保持することができるものをいう。例えば、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)などが挙げられる。
吸収性物品は、個包装を解いて展開させた状態で縦長形状であり、着用者の腹側部、股下部及び背側部に対応する、前方部、中間部及び後方部を有する。この形状において、着用者の腹側部、股下部及び背側部を繋ぐ方向に対応する長手方向と、該長手方向と直交する幅方向とを有する。同様に、包装シートは、個包装を解いて展開させた状態で、長手方向と幅方向とを有する。
個包装体において、前記吸収性物品は前述の通り長手方向に沿って折り畳まれている。前記包装シートも前記吸収性物品の長手方向に沿って折り畳まれている。そのため個包装体において、前記吸収性物品の長手方向に沿う方向は、吸収性物品及び包装シートの折り畳み方向であり、前記折り畳み方向とは逆方向の、個包装体の開封方向でもある。以下において、吸収性物品の長手方向及び幅方向をそれぞれ長手方向Y及び幅方向Xという。長手方向Yに関し、折り畳み方向と開封方向とを区別するとき、折り畳み方向Y1、開封方向Y2ともいう。
吸収性物品は、個包装を解いて展開させた状態で縦長形状であり、着用者の腹側部、股下部及び背側部に対応する、前方部、中間部及び後方部を有する。この形状において、着用者の腹側部、股下部及び背側部を繋ぐ方向に対応する長手方向と、該長手方向と直交する幅方向とを有する。同様に、包装シートは、個包装を解いて展開させた状態で、長手方向と幅方向とを有する。
個包装体において、前記吸収性物品は前述の通り長手方向に沿って折り畳まれている。前記包装シートも前記吸収性物品の長手方向に沿って折り畳まれている。そのため個包装体において、前記吸収性物品の長手方向に沿う方向は、吸収性物品及び包装シートの折り畳み方向であり、前記折り畳み方向とは逆方向の、個包装体の開封方向でもある。以下において、吸収性物品の長手方向及び幅方向をそれぞれ長手方向Y及び幅方向Xという。長手方向Yに関し、折り畳み方向と開封方向とを区別するとき、折り畳み方向Y1、開封方向Y2ともいう。
本考案に係る吸収性物品の個包装体の好ましい一実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。
図1及び2に示すように、本実施形態の個包装体30は、吸収性物品である生理用ナプキン10(以下、単にナプキン10とも言う。)と、ナプキン10を長手方向Yに折り畳んだ状態で包被する包装シート20とを有る。ナプキン10及び包装シート20は、ナプキン10の長手方向Yにおける中間部Cを含む部分を折り畳み中央部31とし、その前後において個装折り線L1及びL2を折り軸とし、長手方向Yに沿って折り畳まれている。その際、包装シート20を外側にして折り畳むことで、ナプキン10が包装シート20に内包され、個包装体30に収納されている。
本実施形態において、折り畳み中央部31の前後の生理用ナプキン10及び包装シート20の積層部分を第1折り畳み端部32、第2折り畳み端部33という。また、折り畳み中央部31、第1折り畳み端部32、第2折り畳み端部33の区分に合わせ、包装シート20は中央包装部21、第1折り包装部22、第2折り包装部23に区分される。本実施形態においては、折り畳み中央部31に対して、第1折り畳み端部32が重なり、その上に第2折り畳み端部33が重ねられている。包装シート20についても、中央包装部21に対して、第1折り包装部22が重なり、その上に第2折り包装部23が重ねられている。
なお、個装折り線は、折り畳みの回数を定めるものであり、前述の通り吸収性物品の長さや個包装体の大きさ等に応じて適宜設定することができる。また、折り畳みの順番は上記形態に限定されるものでなく適宜設定できる。
本実施形態において、折り畳み中央部31の前後の生理用ナプキン10及び包装シート20の積層部分を第1折り畳み端部32、第2折り畳み端部33という。また、折り畳み中央部31、第1折り畳み端部32、第2折り畳み端部33の区分に合わせ、包装シート20は中央包装部21、第1折り包装部22、第2折り包装部23に区分される。本実施形態においては、折り畳み中央部31に対して、第1折り畳み端部32が重なり、その上に第2折り畳み端部33が重ねられている。包装シート20についても、中央包装部21に対して、第1折り包装部22が重なり、その上に第2折り包装部23が重ねられている。
なお、個装折り線は、折り畳みの回数を定めるものであり、前述の通り吸収性物品の長さや個包装体の大きさ等に応じて適宜設定することができる。また、折り畳みの順番は上記形態に限定されるものでなく適宜設定できる。
個包装体30は、ナプキン10の幅方向Xの外方であって、該ナプキン10の長手方向Yに沿う一対の両側縁部34、34それぞれに、包装シート20同士を接合する複数の融着部4を備える。両側縁部34は、ナプキン10が介在せずに上記の折り畳みによって形成された包装シート20の積層部分である。この両側縁34、34に複数の融着部4を配することにより、両側縁部34、34は、個装折り線L1及びL2の垂直方向、すなわちナプキン10の長手方向Yに沿って個包装体30を封止するシール領域をなす。これにより、外部からの異物混入を防止するようにしている。
各融着部4は、包装シート20の部分的な溶融によりシート同士が接合された部分であり、熱エンボスや超音波エンボスなどこの種の物品において通常用いられる方法により形成することができる。各融着部4は、例えば、両側縁部34、34それぞれの延在方向(吸収性物品の長手方向Yに沿う方向)に等間隔で配列されことが、外部からの異物混入防止性を高める観点から好ましい。同様に、両側縁部34,34それぞれにおいて、前述の融着部4の列を複数有することが好ましい。
各融着部4は、包装シート20の部分的な溶融によりシート同士が接合された部分であり、熱エンボスや超音波エンボスなどこの種の物品において通常用いられる方法により形成することができる。各融着部4は、例えば、両側縁部34、34それぞれの延在方向(吸収性物品の長手方向Yに沿う方向)に等間隔で配列されことが、外部からの異物混入防止性を高める観点から好ましい。同様に、両側縁部34,34それぞれにおいて、前述の融着部4の列を複数有することが好ましい。
また、個包装体30は、ナプキン10の長手方向Yの一端側に位置する包装シート20の開封端35が露出した第1面30Aと、第1面30Aと反対側に位置して露出した第2面30Bとを有する。ここで言うナプキン10の長手方向Yの一端側は、ナプキン10を折り畳んで長手方向Yの両端を重ねた積層構造において、最表層にある折り畳み端部の側を意味する。本実施形態において、ナプキン10の長手方向Yの一端側は、個装折り線L2にて区画される第2折り畳み端部33に含まれている。第2折り畳み端部33に含まれる包装シート20の第2折り包装部23の端部が個包装体30の開封端35となって露出している。第2折り畳み端部33の開封端35が露出する面が第1面30Aであり、その反対側の折り畳み中央部31が露出する面が第2面30Bである。
このような個包装体30において、開封端35は、ナプキン10の幅方向Xに沿って延在し、両側縁部34、34の一部を含んでいる。言い換えると、両側縁部34,34は、開封端35の一部(具体的には両側部)を含んでいる。個包装体30の開封時、開封端35を引き上げながら、ナプキン10の長手方向Y、すなわち個包装体30の折り畳み方向Y1とは逆方向の開封方向Y2に引っ張る。これにより、長手方向Yに沿って延在する両側縁部34、34の複数の融着部5の融着が剥離されて個包装体30が開封され、内部のナプキン10が露出するようにされる。この個包装体30において、開封性の観点から、開封端35を折り畳み方向Y1に跨るようにしてタブテープ39が配されてもよい。
両側縁部34、34は、包装シート20がナプキン10を介さずに積層された最積層領域36を有する。この最積層領域36は、両側縁部34、34それぞれにおいて、包装20シートの積層枚数が最も少ない最小積層領域よりも積層枚数が多い領域であって、最も包装シート20の積層枚数が多い領域を意味する。例えば、図1に示す実施形態においては、図3(A)に示すように、側縁部34の延在方向(ナプキン10の長手方向Yに沿う方向)に沿う断面において、包装シート20の積層枚数が2枚とされた最小積層領域37、37に対し、その間の開封端35を含む領域が、包装シート20の積層枚数3枚の最積層領域36である。具体的には、最積層領域36は、包装シート20の中央包装部21、第1折り包装部22及び第2折り包装部23が積層された領域である。またこれとは別に、図3(B)に示すように、最積層領域36は、前述の最小積層領域37、37間の領域のうち包装シート20の積層枚数が4枚となる領域であってもよい。具体的には、最積層領域36は、包装シート20の中央包装部21、第1折り包装部22及び第2折り包装部23の3枚積層に、第2折り包装部23の先端が更に折り返された4枚積層領域であってもよい。この最積層領域36における包装シート20の積層枚数は、上記の要件を満たす限り種々設定することができ、包装シート20の折り畳み回数に応じて適宜設定される。また、最積層領域36には、開封端35が含まれていてもよく、含まれていなくてもよい。
最積層領域36に位置する各融着部4は、積層した複数の包装シート20が連続的・一体的に結合した第1融着部6と、第1融着部6を囲繞した第2融着部7とを有する(図4)。第1融着部6において、「連続的」な結合とは、第1融着部6の平面領域全体において非結合部分を含まずに包装シート20が結合されていることを意味する。「一体的」な結合とは、第1融着部6の厚み方向おいて包装シート20の積層構造全体が結合されていることを意味する。第1融着部6において、包装シート20を連続的・一体的に結合していることで、平面領域及び厚み方向において非結合部を含まない均一な融着構造を有する。このような第1融着部6は、最積層領域36に配される融着部4における包装シート20間の結合性の支配的な役割を担う。
このような融着部4が両側縁部34、34の最積層領域36に、吸収性物品の長手方向Y及び幅方向Xに沿う方向それぞれに等間隔で配列されている。
第1面30A側から平面視、両側縁部34、34のうち少なくとも最積層領域36は着色されている。第1融着部6と第2融着部7とはその色の濃さによって区分され、第1融着部6は第2融着部7よりも色が濃くされている。言い換えると、第1融着部6を囲繞する第2融着部7は、第1融着部6よりも色が薄い(場合によっては非着色)。第1融着部6は、各融着部4の第1面30A側の領域内で色が最も濃く、かつ厚み方向Zについて連続的・一体的に包装シート20を結合した領域と定義され、融着部4における結合性の支配的な役割を担う。第2融着部7は、各融着部4の領域内で第1融着部6を除く部分として定義される。第2融着部7においては、結合性の支配的役割を担う第1融着部6よりも融着の程度が弱められており、融着部4の外縁に隣接する部分において、複数の包装シート20が互いに離間した構造を有することが好ましい。第2融着部7の融着構造の好ましい態様については後述する。
両側縁部34、34の最積層領域36において着色された色には、有彩色の他、グレーや黒などの無彩色が含まれる。第1面側30Aの包装シート20に配される着色は、この種の物品において通常用いられる方法により形成することができる。例えば、顔料や染料を用いてフレキソ印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷等によって形成することができる。なお、前記着色された領域は、最積層領域36に限らず、両側縁部34、34全体に配されていてもよい。その際、両側縁部34、34に配される色は一色に限らず、複数の色を有していてもよい。また、両側縁部34、34それぞれが複数の領域に区分されて、該領域毎に色の濃さ等が設定されていてもよい。複数の色を配したり複数の色の濃さを設定したりする場合、最積層領域36とそれ以外とで異ならせるようにしてもよい。
前述のとおり、第1融着部6は、色の濃さが薄い第2融着部7により囲繞されている。すなわち、個包装体30の第1面30A側からの平面視、第1融着部6は、色の薄い第2融着部7によって縁取りされている。これにより、両側縁部34、34の中で包装シート20が最も多く重なり融着強度が最も高くなる最積層領域36内において、融着部4に対する視認性が高められている。
(色の濃さの測定方法)
上記の色の濃さは、具体例には下記に示すように、画像中の着色部分(印刷部分)を構成する網点部分が占める面積の割合を百分率で表した「網点濃度」によって示される。
(1)個包装体30において、包装シート20の側縁部34の最積層領域36うち、複数の融着部4を有する箇所において10mm×10mmの大きさのサンプル片を切り出す。光学顕微鏡(例えば、株式会社キーエンス製VHX-6000(商品名))を用いて、サンプル片の平面視における画像を撮像する。観察倍率は、200倍率とする。
(2)撮像した画像において、第1融着部6及び第2融着部7を規定し(下記規定方法のとおり)、それぞれの融着部において、網点部分の面積が占める面積の割合を百分率であらわしたものを求める。
(3)上記(1)及び(2)により異なる3箇所で網点濃度を測定し、それぞれの平均値を算出して、第1融着部6及び第2融着部7それぞれの網点濃度とする。
上記の色の濃さは、具体例には下記に示すように、画像中の着色部分(印刷部分)を構成する網点部分が占める面積の割合を百分率で表した「網点濃度」によって示される。
(1)個包装体30において、包装シート20の側縁部34の最積層領域36うち、複数の融着部4を有する箇所において10mm×10mmの大きさのサンプル片を切り出す。光学顕微鏡(例えば、株式会社キーエンス製VHX-6000(商品名))を用いて、サンプル片の平面視における画像を撮像する。観察倍率は、200倍率とする。
(2)撮像した画像において、第1融着部6及び第2融着部7を規定し(下記規定方法のとおり)、それぞれの融着部において、網点部分の面積が占める面積の割合を百分率であらわしたものを求める。
(3)上記(1)及び(2)により異なる3箇所で網点濃度を測定し、それぞれの平均値を算出して、第1融着部6及び第2融着部7それぞれの網点濃度とする。
(第1面30A側からの平面視における第1融着部6及び第2融着部7の規定方法)
(1)個々の融着部4の第1面側において、融着部4のうち最も濃い着色がある連続的・一体的な領域の境界を、光学顕微鏡に付属の線描画ツールを用いてなぞる。なぞった境界内の領域を第1融着部6の第1面30A側の領域と定める。
(2)次いで、融着部4の第1面30A側の領域の境界を画定し、該領域のうち上記の第1融着部6の領域を除いた領域を第2融着部7の第1面30A側の領域とみなす。
例えば、図4に示すように、融着部4の第1面30A側の領域は、その外縁となる境界D1で囲まれた領域として示され、第1融着部6の第1面30A側の領域は、その外縁となる境界D2で囲まれた領域として示される。
なお、上記区分方法において、融着部4の第1面30A側の領域の境界D1は、最積層領域36と、該最積層領域36の着色よりも相対的に色の薄い又は非着色の第2融着部7との境界を光学顕微鏡に付属の線描写ツールを用いてなぞることで特定することができる。このとき、描写した境界D1が基本進行方向V1から進行対抗方向V2に進み、進行対抗方向V2に凸な曲線となる場合(例えば、図5(A)に示す第2融着部7の境界D1を部分拡大した図5(B)の一点鎖線E1)、進行対抗方向V2に進む前の地点Q1から基本進行方向V1に平行な直線を、相対的に色の薄い又は非着色の領域の境界と交差する点Q2まで下ろす(例えば、図5(C)に示す境界D1)。そこからまた描写を続けていく。
(1)個々の融着部4の第1面側において、融着部4のうち最も濃い着色がある連続的・一体的な領域の境界を、光学顕微鏡に付属の線描画ツールを用いてなぞる。なぞった境界内の領域を第1融着部6の第1面30A側の領域と定める。
(2)次いで、融着部4の第1面30A側の領域の境界を画定し、該領域のうち上記の第1融着部6の領域を除いた領域を第2融着部7の第1面30A側の領域とみなす。
例えば、図4に示すように、融着部4の第1面30A側の領域は、その外縁となる境界D1で囲まれた領域として示され、第1融着部6の第1面30A側の領域は、その外縁となる境界D2で囲まれた領域として示される。
なお、上記区分方法において、融着部4の第1面30A側の領域の境界D1は、最積層領域36と、該最積層領域36の着色よりも相対的に色の薄い又は非着色の第2融着部7との境界を光学顕微鏡に付属の線描写ツールを用いてなぞることで特定することができる。このとき、描写した境界D1が基本進行方向V1から進行対抗方向V2に進み、進行対抗方向V2に凸な曲線となる場合(例えば、図5(A)に示す第2融着部7の境界D1を部分拡大した図5(B)の一点鎖線E1)、進行対抗方向V2に進む前の地点Q1から基本進行方向V1に平行な直線を、相対的に色の薄い又は非着色の領域の境界と交差する点Q2まで下ろす(例えば、図5(C)に示す境界D1)。そこからまた描写を続けていく。
更に第2融着部7は、第1面30A側に露出する部分に、厚み方向Zに窪んだ凹部71を有する(例えば図6)。第2融着部7の凹部71による陰影の効果により、第2融着部7よりも第2面30B側に奥まった位置にある、色の濃い第1融着部6がより立体的に浮き上がるように見える。これにより、各融着部4における結合性の支配的な役割を担う第1融着部6の視認性が顕著に高められる。これは、単に色の濃淡だけでは得られない極めて高い視認性となる。そのため、たとえ融着部4の外側に着色された領域があり、該領域5と同じ色を第1融着部6が有していても、使用者は確実に第1融着部6の存在を認識することができる。これにより、シール封止性及びそれによる吸収性物品の異物混入防止性(衛生保持性)に対する視覚的な安心感を、使用者に確実に付与することができる。
第2融着部7が有する凹部71は、図6に示すように、融着部4の厚み方向Zに沿った断面視において、第1面30A側から第2面30B側へと窪んだ部分である。より具体的には、凹部71は、第1面30A側の、第2融着部7と第1融着部6との境界D2及び融着部4とその外側との境界D1で区画される第2融着部7の領域内に、周囲よりも第2面30B側に窪んだ底部を有する。このような凹部71は、断面視において極小点を有する枠線で示される箇所であることが、上記視認性をより高める観点から好ましい。また、このような凹部71は、最積層領域36を構成する包装シート20の積層構造において、第1面30A側の最上層の包装シート20にのみ形成されていることが、開封性の観点から好ましい。
加えて、第1融着部6は、第1面30A側からの平面視、図7(A)に示すように、内側に湾曲した曲線61よりなる外縁を備えた平面形状を有する。更に、第1融着部6の第1面30A側の領域をナプキン10の長手方向Yに沿う方向に2等分した各領域6A、6Bにおいて、内側に湾曲した曲線61、61の交点61Pを2点以上有し、交点61Pそれぞれを構成する曲線61、61のなす角度θが45°未満である。
これにより、第1面30A側における第1融着部6と第2融着部7との境界D2でのシート積層間の剥離が段階的に起こり、かつ、より小さな力での剥離を可能にする。その結果、両側縁部34、34の中で包装シート20が最も多く重なり融着強度が最も高くなる最積層領域36において、剥離音等を低減して小さくすることができる。
より具体的には、図7(B)に示すように、境界D2をなす、内側に湾曲した曲線61に対し開封方向Y2に沿った外力Wを加えると、これに対して反対方向の内力(応力)Bが発生する。内力Bを構成する境界対向成分(境界D2に対して直交する成分)B1の大きさは、前述の交点61Pでの角度θに基づき、Bsinθとなる。Bsinθは、第2面30B側における第1融着部6と第2融着部7との境界D2での剥離時に必要な力の大きさに相当し、0°<θ<45°であることで下記式(1)の範囲内に抑えられる。その結果、融着強度が最も高くなる最積層領域36において、Bsinθに相当するより小さな力、すなわち小さな剥離音等で、境界D2でのシート積層間の剥離を可能にする。個包装体30の剥離音等の低減をより効果的にする観点から、2等分した領域6A及び6Bの中で、上記の角度θの要件は少なくとも剥離開始側の領域6Aで満たされることが好ましい。
なお、通常、剥離音を気にする使用者は、開封操作時はゆっくりと操作を開始するが、開封操作が進むにつれて剥離操作の速度が速くなる傾向にある。このとき、従来であれば大きな剥離音がすることがある。その際、使用者は一旦剥離操作を止めて、改めてゆっくりと剥離操作を再開するが、直前の大きな剥離音を不快に感じる。これに対し、本実施形態の個包装体30では、第1融着部6の内側に湾曲した曲線の交点61Pが、第1融着部6の中心から外側に向けて位置するため、剥離操作が進行方向Y2に進む際に交点61Pでの剥離に早めに到達し、前述の効果の発現に達する。そのため、使用者は、剥離操作が比較的ゆっくりなために剥離音が発生しにくい第2融着部7での剥離操作後、操作を止めずに剥離操作を行っても剥離操作の途中から剥離音が低減されるので、使用者の不快感を低減することができる。
これにより、第1面30A側における第1融着部6と第2融着部7との境界D2でのシート積層間の剥離が段階的に起こり、かつ、より小さな力での剥離を可能にする。その結果、両側縁部34、34の中で包装シート20が最も多く重なり融着強度が最も高くなる最積層領域36において、剥離音等を低減して小さくすることができる。
より具体的には、図7(B)に示すように、境界D2をなす、内側に湾曲した曲線61に対し開封方向Y2に沿った外力Wを加えると、これに対して反対方向の内力(応力)Bが発生する。内力Bを構成する境界対向成分(境界D2に対して直交する成分)B1の大きさは、前述の交点61Pでの角度θに基づき、Bsinθとなる。Bsinθは、第2面30B側における第1融着部6と第2融着部7との境界D2での剥離時に必要な力の大きさに相当し、0°<θ<45°であることで下記式(1)の範囲内に抑えられる。その結果、融着強度が最も高くなる最積層領域36において、Bsinθに相当するより小さな力、すなわち小さな剥離音等で、境界D2でのシート積層間の剥離を可能にする。個包装体30の剥離音等の低減をより効果的にする観点から、2等分した領域6A及び6Bの中で、上記の角度θの要件は少なくとも剥離開始側の領域6Aで満たされることが好ましい。
なお、通常、剥離音を気にする使用者は、開封操作時はゆっくりと操作を開始するが、開封操作が進むにつれて剥離操作の速度が速くなる傾向にある。このとき、従来であれば大きな剥離音がすることがある。その際、使用者は一旦剥離操作を止めて、改めてゆっくりと剥離操作を再開するが、直前の大きな剥離音を不快に感じる。これに対し、本実施形態の個包装体30では、第1融着部6の内側に湾曲した曲線の交点61Pが、第1融着部6の中心から外側に向けて位置するため、剥離操作が進行方向Y2に進む際に交点61Pでの剥離に早めに到達し、前述の効果の発現に達する。そのため、使用者は、剥離操作が比較的ゆっくりなために剥離音が発生しにくい第2融着部7での剥離操作後、操作を止めずに剥離操作を行っても剥離操作の途中から剥離音が低減されるので、使用者の不快感を低減することができる。
以上の通り、本実施形態の個包装体30は上記構造を有することにより、融着部4における包装シート20の剥離音等の低減と、融着部4の視認性向上による異物混入防止の安心感の付与とを同時に実現できる。
本実施形態の個包装体30において、上記のような第1融着部6及び第2融着部7を有する融着部4は、両側縁部34、34の最積層領域36にある限り、両側縁部34,34の他の領域に配されてもよく、配されなくてもよい。
個包装体30における、第1融着部6及び第2融着部7を有する融着部4は、この種の物品について用いられる通常のエンボス加工において、第1面30A側から押し込むエンボス凸部の先端部面積と第2面30B側から押し込むエンボス凸部の先端面積との間の差を適宜設定したり、第2面30B側から押し込むエンボス凸部を2重凸部形状にしたりすることにより形成できる。その際、第1融着部6と第2融着部7との色の濃さの相違は、例えば、エンボス加工で包装シートにかかる加熱温度領域において、包装シートに固定された状態から溶融して移動しやすくなる着色インクを選定することで形成することができる。すなわち、前記選定によって、エンボス加工前に包装シートにて第2融着部となる領域にて固定されていた着色インクが溶融し、溶融した着色インクが、第2融着部よりも紙面奥側に位置する第1融着部へと重力により移動させるようにする。移動した着色インクが第1融着部にて溶融する着色インクと表面張力によって凝集し、常温に戻ることで第1融着部の位置において再び固定されることによって、前記色の濃さの相違を形成することができる。
個包装体30における、第1融着部6及び第2融着部7を有する融着部4は、この種の物品について用いられる通常のエンボス加工において、第1面30A側から押し込むエンボス凸部の先端部面積と第2面30B側から押し込むエンボス凸部の先端面積との間の差を適宜設定したり、第2面30B側から押し込むエンボス凸部を2重凸部形状にしたりすることにより形成できる。その際、第1融着部6と第2融着部7との色の濃さの相違は、例えば、エンボス加工で包装シートにかかる加熱温度領域において、包装シートに固定された状態から溶融して移動しやすくなる着色インクを選定することで形成することができる。すなわち、前記選定によって、エンボス加工前に包装シートにて第2融着部となる領域にて固定されていた着色インクが溶融し、溶融した着色インクが、第2融着部よりも紙面奥側に位置する第1融着部へと重力により移動させるようにする。移動した着色インクが第1融着部にて溶融する着色インクと表面張力によって凝集し、常温に戻ることで第1融着部の位置において再び固定されることによって、前記色の濃さの相違を形成することができる。
本実施形態の個包装体30において、前述の視認性をより高める観点から、第1面30A側から平面視した第1融着部6の網点濃度S1の、第2融着部7の網点濃度S2に対する比(S1/S2)は、4.0以上が好ましく、6.0以上がより好ましく、8.0以上が更に好ましい。
更に、前記視認性をより高める観点から、第2融着部7の凹部71の、最積層領域36の第1面30A側表面からの深さは、第1融着部6の、最積層領域36の第1面30A側表面からの深さの80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、100%以上が更に好ましい。
また、開封性の観点から、第2融着部7の凹部71の、最積層領域36の第1面30A側表面からの深さは、第1融着部6の、最積層領域36の第1面30A側表面からの深さの160%以下が好ましく、150%以下がより好ましく、140%以下が更に好ましい。
また、開封性の観点から、第2融着部7の凹部71の、最積層領域36の第1面30A側表面からの深さは、第1融着部6の、最積層領域36の第1面30A側表面からの深さの160%以下が好ましく、150%以下がより好ましく、140%以下が更に好ましい。
また、本実施形態の個包装体30において、前述の曲線61、61のなす角度θによる作用をより効果的にする観点から、角度θは、40°以下が好ましく、35°以下がより好ましい。また、角度θは、0°以上が好ましく、より大きければ良い。
本実施形態の個包装体30において、第2融着部7が有する凹部71は、第1面30A側からの平面視、第1融着部6の外縁から融着部4の外縁へと延びた構造を有することが好ましい。例えば、図8(A)に示すように、第1融着部6の四つの角に沿って、第1融着部6の外縁である境界D2から四方に放射状に、融着部4の外縁である境界D1へと凹部71が延びた構造が挙げられる。図8(A)に示す第2融着部7の4つの角領域7E、7F、7G及び7Hにおいて、境界D2へと放射状に延びる構造の凹部71が配されることが好ましい。
これにより、第2融着部7の凹部71による陰影の視覚的効果が、図8(A)に示す矢印方向のように使用者の視線を誘導し、第1融着部6のより中心側を浮き上がったように見せ、第1融着部6の第1面30A側からの視認性がより高められる。
これにより、第2融着部7の凹部71による陰影の視覚的効果が、図8(A)に示す矢印方向のように使用者の視線を誘導し、第1融着部6のより中心側を浮き上がったように見せ、第1融着部6の第1面30A側からの視認性がより高められる。
更に、前述の、第1融着部6の第1面30A側の平面形状、すなわち、内側に湾曲した曲線61よりなる外縁を備え、内側に湾曲した曲線61、61の交点61Pを構成する曲線61、61のなす角度θ45°未満とする平面形状は、第2面30A側においても同様にあることが好ましい(例えば図8(B))。これにより、上述した第1融着部6と第2融着部7との境界D2で進行する開封での当該平面形状による効果が確実に発現されやすくなる。
本実施形態の個包装体30において、前述の剥離音をより低減する観点から、第1面30A側からの平面視、第1融着部6の面積M1が第2融着部7の面積M3よりも小さいことが好ましい。この面積は、前述の通り、前述の(第1面30A側からの平面視における第1融着部6及び第2融着部7の規定方法)を準用して測定することができる。
第1融着部6の面積M1<第2融着部7の面積M3の関係において、前述の剥離音をより低減する観点から、第1融着部6の面積M1の第2融着部7の面積M3に対する比(M1/M3)は、0.90以下が好ましく、0.85以下がより好ましく、0.80以下が更に好ましい。
また、前述の視認性を確保する観点の観点から、第1融着部6の面積M1の第2融着部7の面積M3に対する比(M1/M3)は、0.50以上が好ましく、0.55以上がより好ましく、0.60以上が更に好ましい。
また、前述の視認性を確保する観点の観点から、第1融着部6の面積M1の第2融着部7の面積M3に対する比(M1/M3)は、0.50以上が好ましく、0.55以上がより好ましく、0.60以上が更に好ましい。
本実施形態の個包装体30において、第1融着部6は第1面30A側からの平面視、最積層領域36の、融着部6が配されていない領域よりも、色が濃いことが好ましい。これにより、最積層領域36のうち、第1融着部6が最も色が濃くなって視認性が最も高くなり、個包装体30のシール封止性を使用者が視覚的により強く認識できる。その結果、個包装体30において、融着部4の視認性向上による異物混入防止の使用者の安心感を更に高めることができる。
上記の色の濃さの相違の程度として、第1面30A側からの平面視において、第1融着部6の網点濃度S1の、最積層領域36の融着部4が配されていない領域の網点濃度S3に対する比(S1/S3)は、1.3以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.0以上が更に好ましい。
また、前記比(S1/S3)は、個包装体30の情緒性の向上の観点から、8.0以下が好ましく、7.0以下がより好ましく、6.0以下が更に好ましい。
上記の色の濃さの相違の程度として、第1面30A側からの平面視において、第1融着部6の網点濃度S1の、最積層領域36の融着部4が配されていない領域の網点濃度S3に対する比(S1/S3)は、1.3以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.0以上が更に好ましい。
また、前記比(S1/S3)は、個包装体30の情緒性の向上の観点から、8.0以下が好ましく、7.0以下がより好ましく、6.0以下が更に好ましい。
更に本実施形態の個包装体30において、第2融着部7は、第2面30B側からの平面視、前述の凹部71を有さず、第1融着部6よりも第2面30B側に位置していることが好ましい(例えば図6及び図8(B))。これにより、第1融着部6と第2融着部7との境界が厚み方向で均一な構造となるので、第1融着部6と第2融着部7との境界で起こる剥離について、厚み方向に同時に進行しやすくなり、剥離音の発生時間を減らしつつ、前述の平面形状特有の開封動作の流れを妨げないようにすることができる。その結果、第1面30A側の最表層の開封端35から開始される剥離操作を厚み方向においても円滑に行うことができ、剥離音等をより小さく低減することができる。
第1融着部6における前述の剥離音等の低減作用をより効果的にする観点から、第2融着部7は、厚み方向Zにおいて次のような融着構造を有することが好ましい。
すなわち図6に示すように、第2融着部7は、厚み方向Zにおいて、最積層領域36の複数の包装シート20が互いに離間したシート集合体72と、シート集合体72に隣接し複数の包装シート20を厚み方向Zに境界なく連続的・一体的に融着(結合)した結合部73とを有することが好ましい。この結合部73は、第1面側からの平面視、第1融着部6の第1面30A側の外縁(内側に湾曲した曲線61)に沿って配されていることが好ましい。シート集合体72は境界D1寄りに位置し、融着部4の中で開封時の剥離のための外力を最初に受ける部位である。これにより、第2融着部7は、結合性の支配的役割を担う第1融着部6よりも融着の程度が弱められている。第2融着部7において、シート集合部72では、融着部4に到達した外力を最初に受けて包装シート20間の距離を素早く広げる力が働く一方、結合部73では自身が融着形成されていることから現位置に留まろうとして前記外力に対向する内力が働き、延いては、この1対の力が厚み方向の引き裂き力となる。これにより、最上層の開封端35を起点とする剥離操作の中で、剥離のための外力が、シート集合体72の最上層を介して結合部73及び第1融着部6の厚み方向Z全体に円滑に素早く伝わる。この外力の伝搬により、前述の第1融着部の第1面30A側の特有の平面融着形状の境界において厚み方向全体に力が加わることで、前述の、厚み方向全体での剥離同時進行の作用を発現させやすくなり、第1融着部6における、前述の剥離音等の低減を実現させる特有の剥離がより円滑に発現されやすくなる。
すなわち図6に示すように、第2融着部7は、厚み方向Zにおいて、最積層領域36の複数の包装シート20が互いに離間したシート集合体72と、シート集合体72に隣接し複数の包装シート20を厚み方向Zに境界なく連続的・一体的に融着(結合)した結合部73とを有することが好ましい。この結合部73は、第1面側からの平面視、第1融着部6の第1面30A側の外縁(内側に湾曲した曲線61)に沿って配されていることが好ましい。シート集合体72は境界D1寄りに位置し、融着部4の中で開封時の剥離のための外力を最初に受ける部位である。これにより、第2融着部7は、結合性の支配的役割を担う第1融着部6よりも融着の程度が弱められている。第2融着部7において、シート集合部72では、融着部4に到達した外力を最初に受けて包装シート20間の距離を素早く広げる力が働く一方、結合部73では自身が融着形成されていることから現位置に留まろうとして前記外力に対向する内力が働き、延いては、この1対の力が厚み方向の引き裂き力となる。これにより、最上層の開封端35を起点とする剥離操作の中で、剥離のための外力が、シート集合体72の最上層を介して結合部73及び第1融着部6の厚み方向Z全体に円滑に素早く伝わる。この外力の伝搬により、前述の第1融着部の第1面30A側の特有の平面融着形状の境界において厚み方向全体に力が加わることで、前述の、厚み方向全体での剥離同時進行の作用を発現させやすくなり、第1融着部6における、前述の剥離音等の低減を実現させる特有の剥離がより円滑に発現されやすくなる。
第2融着部7の結合部73と第1融着部6との厚み方向Zの断面における境界は、前述のとおり色の濃さによって規定される。この規定方法は前述の(第1面30A側からの平面視における第1融着部6及び第2融着部7の規定方法)及び(厚み方向Zの断面視における第1融着部6の規定方法)を準用して行うことができる。具体的には以下の通りである。断面の光学顕微鏡による撮像画像にて、第1融着部6と第2融着部7との色の濃さの相違に基づいて、第2融着部7の第1面30A側の枠線と、最も第2面30B側に位置する包装シート20の第2面30B側の枠線とをなぞって結ぶ。かつ前記2つの枠線とそれぞれ交点をなす厚み方向に平行な直線を描く。前記2つの枠線と前記直線とによって囲繞された領域を第2融着部7の結合部73(第1融着部6側の領域)とする。結合部73と第1融着部6とが交差する部分において、色の濃さが相違する境界を上記の境界とする。この際、前記直線は、第2融着部7の結合部73が、(i)第1着色部6よりも薄い色で着色されていて(若しくは着色されておらず)、(ii)連続的・一体的に融着(結合)された領域として区分されるように規定する。前記(ii)の要件を満たすように前記直線が規定できない場合は、結合部73は有さないものと解する。
上記の区分において、第2融着部7は、例えば図6に示すように厚み方向Zの断面において、最も第1面30A側に位置する包装シート20(第2折り包装部23)の第1面30A側表面から延出する枠線74、最も第2面30B側に位置する包装シート20(中央包装部21)の第2面30B側表面から延出する枠線75、境界D1を通る厚み方向Zに平行な直線76により画定される。この場合、前述の凹部71は、第1面30A側の枠線74の一部の枠線により特定される部分である。これら枠線74と枠線75とを結ぶ線上に、結合部73と第1融着部6との境界D2(第1面30A側)及び境界D4(第2面30B側)が含まれる。
結合部73は、前述のとおり、融着される複数の包装シート20が厚み方向Zに境界なく連続的・一体的に融着(結合)された部位である。このように定義される結合部73は、例えば図11に示すように厚み方向Zの断面において、第1面30A側の枠線74、第2面30B側の枠線75、厚み方向Zに平行な直線77により画定される。
結合部73は、前述のとおり、融着される複数の包装シート20が厚み方向Zに境界なく連続的・一体的に融着(結合)された部位である。このように定義される結合部73は、例えば図11に示すように厚み方向Zの断面において、第1面30A側の枠線74、第2面30B側の枠線75、厚み方向Zに平行な直線77により画定される。
個包装体30を構成するナプキン10及び包装シート20の形成材料は、この種の物品に用いられるものを特に制限なく用いることができる。
包装シート20としては、融着部4を形成できる種々の材料を特に制限なく用いることができる。例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系のポリマー樹脂などを用いて形成することができる。ポリエチレン〔直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)〕、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EA)、スチレン-イソプレン共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン共重合体(SBS)、オレフィン系エラストマー等の一種又はそれらの混合物が挙げられる。
ナプキン10は、肌当接面側の表面シートと、非肌当接面側の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配された吸収体とを有することが好ましい。
吸収体としては、吸収性物品において通常用いられる種々の形態のものを特に制限なく採用することができる。例えば、親水性繊維の積繊体または親水性繊維と高吸収性ポリマー材との混合積繊体を親水性の被覆シートで覆ったものでもよい。また、親水性繊維からなる2つのシート状の繊維層間に高吸収性ポリマー材を挟持して固定した薄い吸収性シートから構成されていてもよい。吸収性シートの形成にあたっては、高吸収性ポリマー材が湿潤によって発現する粘着力や別に添加した接着剤や接着性繊維等のバインダーを利用して一体化することができる。作製は通常用いられる種々の方法によって行うことができ、湿式、乾式いずれの方式によってもよい。
吸収性シートは厚みを3.0mm以下に抑えながら、高吸収性ポリマー材をシートの平面方向に分散配置させているためゲルブロキングを起こし難く、高い吸収力を有する。例えば、特開平8-246395号公報の段落[0019]~[0131]に記載のものなどが挙げられる。
吸収体としては、吸収性物品において通常用いられる種々の形態のものを特に制限なく採用することができる。例えば、親水性繊維の積繊体または親水性繊維と高吸収性ポリマー材との混合積繊体を親水性の被覆シートで覆ったものでもよい。また、親水性繊維からなる2つのシート状の繊維層間に高吸収性ポリマー材を挟持して固定した薄い吸収性シートから構成されていてもよい。吸収性シートの形成にあたっては、高吸収性ポリマー材が湿潤によって発現する粘着力や別に添加した接着剤や接着性繊維等のバインダーを利用して一体化することができる。作製は通常用いられる種々の方法によって行うことができ、湿式、乾式いずれの方式によってもよい。
吸収性シートは厚みを3.0mm以下に抑えながら、高吸収性ポリマー材をシートの平面方向に分散配置させているためゲルブロキングを起こし難く、高い吸収力を有する。例えば、特開平8-246395号公報の段落[0019]~[0131]に記載のものなどが挙げられる。
吸収体を構成する親水性繊維としては、疎水性の繊維を親水化処理したもの、それ自体が親水性であるものが挙げられる。特に、それ自体が親水性でかつ保水性を有するものが好ましい。後者の親水性繊維としては、天然系の繊維、セルロース系の再生繊維又は半合成繊維が好ましい例として挙げられる。親水性繊維としては、特にパルプ、レーヨンが好ましく、パルプが一層好ましい。更にセルロース繊維の分子内及び/又は分子間を架橋させた架橋セルロース繊維や木材パルプをマーセル化処理して得られるような嵩高性のセルロース繊維を用いてもよい。パルプとしては、針葉樹クラフトパルプ或いは広葉樹クラフトパルプのような木材パルプ、木綿パルプ或いはワラパルプ等の天然セルロース繊維等が挙げられるが、それらに限定されるものではない。これらのパルプは1種又は2種以上を用いることができる。
吸収体を構成する高吸収性ポリマー材としては、例えば、アクリル酸又はアクリル酸塩を主成分とし、場合によって架橋剤を添加してなる水溶性のエチレン性不飽和モノマーを重合させて得られるヒドロゲル材料が挙げられる。また、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、スルホン化ポリスチレン及びポリビニルピリジンの架橋物、デンプン-ポリ(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合物のケン化物、デンプン-ポリ(メタ)アクリル酸グラフト共重合物、デンプン-ポリ(メタ)アクリルエステルグラフト共重合物の加水分解物などが挙げられる。これらの高吸収性ポリマー材は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。高吸収性ポリマー材は、自重の20倍以上の液を吸収・保持できゲル化し得るものが好ましい。
高吸収性ポリマー材の形状は、吸収体に用いられる種々ものを特に制限なく用いることができる。例えば、球状、粒状、繊維状、俵状、塊状などが挙げられる。
高吸収性ポリマー材の形状は、吸収体に用いられる種々ものを特に制限なく用いることができる。例えば、球状、粒状、繊維状、俵状、塊状などが挙げられる。
表面シートは、液透過性を有する種々のものを用いることができる。肌触りの良さを考慮すると、親水性の不織布が好ましく、サーマルボンド不織布がより好ましく、エアスルー不織布が特に好ましい。親水化処理された熱可塑性樹脂繊維であり、かつ、該繊維が2次クリンプ又は3次クリンプのような立体捲縮がなされた繊維であることが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、及びこれらの複合繊維を作成し、所定の長さにカットしてステープルを形成する前の段階で、各種親水化剤を塗工する。親水化剤としては、αオレフィンスルホン酸塩に代表される各種アルキルスルホン酸塩、アクリル酸塩、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、エステルアミド、エステルアミドの塩、ポリエチレングリコール及びその誘導物、水溶性ポリエステル樹脂、各種シリコーン誘導物、各種糖類誘導物、及びこれらの混合物など、通常用いられる親水化剤による親水化処理を用いることができる。
裏面シートとしては、防漏性を有する種々のものを用いることができる。例えば、非透湿性若しくは透湿性フィルム単独、又はフィルムと不織布とを貼り合わせたもの、撥水性の不織布(SMSやSMMS等)を用いることができる。コスト面やズレ止め粘着剤とのマッチングなどから、非透湿性フィルム単独を防漏材として用いることが最も好ましい。
10 生理用ナプキン
20 包装シート
30 個包装体
30A 第1面
30B 第2面
34 側縁部
35 開封端
36 最積層領域
4 融着部
6 第1融着部
61 内側に湾曲した曲線
61P 交点
6A、6B 第1融着部の第2面側を吸収性物品の長手方向に沿う方向に2等分した領域
7 第2融着部
71 凹部
72 シート集合体
73 結合部
X 幅方向
Y 長手方向
Y1 折り畳み方向
Y2 開封方向
20 包装シート
30 個包装体
30A 第1面
30B 第2面
34 側縁部
35 開封端
36 最積層領域
4 融着部
6 第1融着部
61 内側に湾曲した曲線
61P 交点
6A、6B 第1融着部の第2面側を吸収性物品の長手方向に沿う方向に2等分した領域
7 第2融着部
71 凹部
72 シート集合体
73 結合部
X 幅方向
Y 長手方向
Y1 折り畳み方向
Y2 開封方向
Claims (5)
- 吸収性物品と、該吸収性物品を長手方向に折り畳んだ状態で包被する包装シートとを有する、吸収性物品の個包装体であって、
前記個包装体は、前記吸収性物品の幅方向の外方であって前記吸収性物品の長手方向に沿う一対の両側縁部それぞれに、前記包装シート同士を接合する複数の融着部を備え、前記吸収性物品の長手方向の一端側に位置する前記包装シートの開封端が表面に露出した第1面と、該第1面と反対側に位置して露出した第2面とを有し、
前記両側縁部は、前記包装シートが前記吸収性物品を介さずに積層された枚数が最も少ない最小積層領域よりも多い最積層領域を有し、
前記最積層領域に位置する前記融着部が、積層した複数の前記包装シートが連続的・一体的に結合した第1融着部と、前記第1融着部を囲繞した第2融着部とを有し、
前記第1融着部は、前記第1面側からの平面視、前記第2融着部よりも色が濃く、前記第2融着部は、前記第1面側に露出する部分に、厚み方向に窪んだ凹部を有し、
前記第1融着部は、第1面側からの平面視、内側に湾曲した曲線よりなる外縁を備えた平面形状を有し、かつ、前記吸収性物品の長手方向に沿う方向に2等分した各領域において、前記内側に湾曲した曲線の交点を2点以上有し、前記交点それぞれを構成する曲線のなす角度が45°未満である、吸収性物品の個包装体。 - 前記第2融着部が有する前記凹部は、前記第1面側からの平面視、前記第1融着部の外縁から前記融着部の外縁へと延びた構造を有する、請求項1記載の吸収性物品の個包装体。
- 前記第1面側からの平面視、前記第1融着部の面積が前記第2融着部の面積よりも小さい、請求項1又は2記載の吸収性物品の個包装体。
- 前記第1融着部は、前記第1面側からの平面視、前記最積層領域の、前記融着部が配されていない領域よりも、色が濃い、請求項1又は2記載の吸収性物品の個包装体。
- 前記第2融着部は、前記第2面側からの平面視、前記凹部を有さず、前記第1融着部よりも第2面側に位置する、請求項1又は2記載の吸収性物品の個包装体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022001713U JP3238425U (ja) | 2022-05-24 | 2022-05-24 | 吸収性物品の個包装体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022001713U JP3238425U (ja) | 2022-05-24 | 2022-05-24 | 吸収性物品の個包装体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3238425U true JP3238425U (ja) | 2022-07-22 |
Family
ID=82448804
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022001713U Active JP3238425U (ja) | 2022-05-24 | 2022-05-24 | 吸収性物品の個包装体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3238425U (ja) |
-
2022
- 2022-05-24 JP JP2022001713U patent/JP3238425U/ja active Active
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