JP3236251B2 - 特定成分濃度の測定方法 - Google Patents

特定成分濃度の測定方法

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JP3236251B2 JP30071497A JP30071497A JP3236251B2 JP 3236251 B2 JP3236251 B2 JP 3236251B2 JP 30071497 A JP30071497 A JP 30071497A JP 30071497 A JP30071497 A JP 30071497A JP 3236251 B2 JP3236251 B2 JP 3236251B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液状試料に含まれ
る特定成分の濃度、とりわけ人をはじめとする動物から
採取した尿のタンパク値(アルブミン濃度)および糖値
(グルコース濃度)の測定方法および測定装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】尿糖値および尿タンパク値は、健康状態
の一部を反映している。そこで、容易かつ正確にこれら
を測定する方法が求められている。従来、尿検査は、
糖、タンパク質等、個々の検査項目に応じた試薬を含浸
した試験紙を尿に浸し、これの呈色反応を分光測定機等
によって観測することにより行われていた。この方法に
よると、検査項目ごとに異なる試験紙が必要である。ま
た、1回の検査ごとに新たな試験紙が必要である。した
がって、ランニングコストが高い。さらに、省力化のた
めの自動化にも限界がある。家庭において使用される場
合は、素人に試験紙の設定及び交換を要求することにな
る。この作業は、比較的嫌われるため、尿検査装置の家
庭への普及を妨げていた。
【0003】これに対して、国際公開番号第WO97/
18470号公報には、試験紙等の消耗品を必要としな
い尿検査方法が提案されている。グルコースおよびアル
ブミンが旋光性を示すのに対して、その他の尿成分はほ
とんど旋光性を示さない。そこで、この尿検査方法で
は、尿の旋光度を測定することによって尿糖値および尿
タンパク値を求めている。旋光性物質を含む液体に光を
伝搬させると、旋光性物質の濃度に比例して光の偏光方
向が回転する。すなわち、下式が満たされる。 A=L×α (1) 但し、 L:測定光路長 A:旋光度[度] α:旋光性物質の比旋光度
【0004】例えば濃度が100mg/dlのグルコー
ス水溶液中を波長589nmの光が100mm伝搬する
と、光の偏光方向は50×10ー3度回転する。そこで、
このような特性を利用して、上式より尿糖値および尿タ
ンパク値を求めている。20℃におけるグルコース及び
アルブミンの水溶液の比旋光度を表1に示す。
【0005】
【表1】
【0006】液体中に旋光性物質がN種類含まれる場合
には、以下のようになる。 A=L×(α1×C1+α2×C2+・・・+αN×CN) (2) 但し、 L :測定光路長 A :旋光度[度] αn:物質n(但し、nは1〜Nの自然数)の比旋光度 Cn:物質nの濃度[kg/l] αn:物質nの比旋光度
【0007】式(2)より明らかなように、測定で得ら
れる液体の旋光度には、複数の旋光性物質濃度の情報が
含まれる。すなわち、尿の場合には、得られた旋光度に
グルコースによる旋光とアルブミンによる旋光の和が含
まれる。ここで、比旋光度は伝搬させる光の波長により
異なることから、複数の波長の光を用いてそれぞれ旋光
度を測定し、式(2)の連立方程式より、尿糖値および
尿タンパク値を求めている。
【0008】この方法によると、一種類の光源を用いた
場合には、尿糖値および尿タンパク値の一方が既知であ
れば他方を算出することが可能であるが、尿糖値および
尿タンパク値がともに未知の場合には、複数の光源が必
要となる。さらに、表1に示すように、グルコースの比
旋光度の光の波長の変化に対する変化率とアルブミンの
それに大きな差がないことから、複数の光源を用いても
尿糖値および尿タンパク値の高精度の判定は期待できな
い。特に尿タンパク値は尿糖値に比べて一桁小さいこと
から、精度は低い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な問題点を解決し、液状試料の特定成分濃度、とりわけ
タンパク質濃度を精度良く判定することができる尿検査
に最適な方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明では、尿等のタン
パク質を含む液状試料を加熱して白濁化させ、同試料に
光を投射し、試料を透過した光または試料より散乱した
光の強度を測定する。これにより、試料のタンパク質濃
度を精度よく判定することができる。しかしながら、ま
れに加熱しても白濁しにくい試料がある。例えばpHが
異常に高い尿では、尿の白濁すなわちアルブミンの凝結
は起こりにくい。このように加熱によっても白濁しにく
い試料に対しては、加熱する前の試料に2価の金属イオ
ンまたは酸を添加して、加熱による白濁化を促進させ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明では、あらかじめ加熱処理
を加えて白濁化した被検試料に光を投射して、その透過
光または散乱光の強度を測定する。また、タンパク質を
含む液状試料を加熱しながら、同試料に光を投射して、
その透過光または散乱光の強度を測定し、試料温度に対
するこれらの光の強度の変化量からタンパク質濃度を判
定してもよい。透過光または散乱光の強度の測定は、連
続的に行う必要はなく、異なる2つの温度において透過
光または散乱光の強度を測定し、これら2点において得
られた透過光または散乱光の強度の比を用いてもよい。
例えば、60〜80℃のうちの2点において測定し、こ
れら2点における透過光または散乱光の強度の比からタ
ンパク質濃度を判定することができる。タンパク質を含
む試料の白濁化は、温度の上昇とともに進行する。そこ
で、試料を加熱しながら、同時にその透過光または散乱
光を検知することにより、これらの温度に対する変化量
から試料のタンパク質濃度を判定することができる。例
えば、70℃の時の透過光強度と、75℃の透過光強度
の比からタンパク質濃度を算出する。これによって、加
熱前の試料の透過率の影響を排除できる。また、タンパ
ク質以外の物質による散乱等の影響も排除できる。
【0012】また、試料にタンパク質以外の旋光性物質
が含まれる場合、加熱前に試料の旋光度を測定する。こ
れにより、尿検査においては、尿タンパク値とともに尿
糖値を精度良く判定することができる。まず、透過光量
または散乱光量を検量線と比較して尿タンパク値を算出
し、得られた尿タンパク値と尿の旋光度を式(2)に代
入すれば尿糖値が得られる。本発明の特定成分濃度の測
定方法は、尿の他、たとえば培養液などのタンパク質濃
度の判定にも有用である。
【0013】
【実施例】本発明の特定成分濃度の測定方法は、液状試
料のタンパク質濃度を精度良く判定することが可能であ
ることから、とりわけ尿検査に有用である。すなわち、
本発明によると、消耗品を必要とせずに尿タンパク値を
精度良く測定することが可能になる。
【0014】健常な成人は、1日当たり通常1000〜
1500mlの尿を排出する。このうち、総固形分は5
0〜70gである。固形分のうち、およそ25g前後
が、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムを主とする無機
物で、これらはほとんどがイオン化した状態で尿中に溶
解している。残りが有機物で、尿素および尿酸を主とす
るが、リン酸や、僅かながら糖すなわちグルコースやタ
ンパク質も存在する。尿中のタンパク質は基本的にはア
ルブミンである。グルコースは、1日当たり通常、0.
13〜0.5g尿中に排出される。これと尿量から、尿
のグルコース濃度すなわち尿糖値を概算すると、平均的
には、およそ50mg/dl以下である。しかし、糖尿
病患者の場合、これが数百mg/dlになり、ときには
数千mg/dlに達することもある。すなわち、通常値
に対して、およそ1〜2桁程度増加する。一方、アルブ
ミンは、通常、グルコースより更に少なく、1日当たり
3〜60mg尿中に排出される。これと尿量から概算す
ると、尿のアルブミン濃度すなわち尿タンパク値は、通
常、およそ6mg/dl以下である。しかし、腎臓疾患
を有する患者の尿タンパク値は、100mg/dl以
上、すなわち通常値に対して10倍以上になることもあ
る。
【0015】尿は、60〜80℃に加熱すると白濁す
る。これは尿に含まれるタンパク質であるアルブミンが
凝結して巨大なコロイドになるためである。アルブミン
以外の尿成分は、いずれも分子量が小さく、これらによ
る光の散乱は無視することができる。また、この程度の
温度に加熱しても、グルコース等の他の成分は変化しな
い。したがって、白濁化した尿に投射した光のうち尿を
透過した光または尿より散乱した光の強度は、尿タンパ
ク値に依存する。尿タンパク値の取りうるアルブミン濃
度範囲においては、透過光の強度はほぼ尿タンパク値に
比例すると考えられる。したがって、白濁した尿に光を
投射し、その散乱光または透過光の強度を測定し、これ
をあらかじめ作成した検量線(すなわち、アルブミン水
溶液の濃度とその散乱光または透過光の強度の関係式)
と比較することにより、尿のアルブミン濃度すなわちタ
ンパク値を判定することができる。
【0016】しかしながら、組成比によっては、まれに
一定量のタンパク質が含まれていながら加熱しても白濁
しない。例えばpHが異常に高い尿は、白濁しにくい。
このような被検試料の場合には、カルシウムイオンやマ
グネシウムイオンなどの2価の金属イオンを添加するこ
とにより、アルブミンの凝結を促すことができる。これ
らは、例えば塩化物の状態で添加する。カルシウムイオ
ンを用いる場合には、試料1dlに対して0.2ミリモ
ル以上添加することが望ましい。マグネシウムイオンを
用いる場合には、被検試料1dlに対して0.1ミリモ
ル以上添加することが好ましい。また、このような2価
金属イオンに代えて酸を被検試料に添加し、被検試料の
pHを低く、好ましくは5.5以下にすることによって
も、同様にアルブミンの凝結を促進させることができ
る。添加する酸としては、例えば酢酸やリン酸を用い
る。
【0017】尿検査に用いる場合には、好ましくは、波
長が500nm以上の光を尿に投射する。旋光性物質の
比旋光度は、旋光分散による異常分散が出現するまで
は、表1に示すように波長が短くなるにつれて大きくな
る。従って、より短い波長の光を用いたほうが、高い精
度での判定が可能になる。しかしながら、一般に、波長
が500nm以下の光は、ウロクローム等の尿成分によ
る吸収が大きくなるため、このような波長の光を用いて
測定すると、精度はかえって悪化する場合がある。ま
た、上記のように、尿の旋光度を測定すると尿に含まれ
る旋光性物質、すなわちグルコースおよびアルブミンの
情報を得ることができる。そこで、あらかじめ尿の旋光
度を測定しておき、その後、上記のように尿を加熱して
白濁させてその白濁の度合いを測定することにより、併
せて尿糖値を精度よく判定することができる。これによ
り、消耗品が不要で、維持管理が容易な尿検査方法を実
現することができる。以下、本発明の実施例を図面を用
いて詳細に説明する。
【0018】《実施例1》本実施例で用いた測定装置の
構成を図1に示す。投射モジュール1は、半導体レーザ
を光源とする光学系と、半導体レーザの駆動回路を備え
る。この投射モジュール1は、波長が670nmで、強
度が5mWの略平行光を、サンプルセル2に投射する。
サンプルセル2は、円筒形で、両端は直径10mmのガ
ラス製で投射モジュール1より投射された光を透過させ
る。このサンプルセル2の実質光路長は50mmであ
る。光センサ3は、投射モジュール1から投射され、サ
ンプルセル2を透過した光を検知する。ロックインアン
プ4は、光センサ3の出力信号を、信号発生器5が投射
モジュール1に発した変調信号を参照して位相敏感検波
し、透過光量に相当する電気信号を出力する。ここで、
信号発生器5は、投射モジュール1に変調信号を供給
し、この信号と同期して投射光をパルス変調させる。
【0019】濃度がそれぞれ100、300および10
00mg/dlのアルブミン水溶液を調製した。つい
で、これら水溶液および純水1dlに塩化カルシウムを
22.2mg(0.2ミリモルに相当)溶解させた。得
られた水溶液をそれぞれ80℃で5分間加熱し、35℃
まで冷却した。加熱処理された水溶液をそれぞれサンプ
ルセル2に注入し、透過光を観測した。得られた透過光
強度を縦軸に、アルブミン濃度を横軸にプロットして、
図2に示す検量線を作成した。
【0020】次に、試験紙を用いて尿タンパク値が10
0mg/dl以上、250mg/dl以下であると判定
されたpHが7.2の尿を80℃で5分間加熱し、35
℃まで冷却した。これを比較例1とする。ついでこの尿
を上記の測定装置のサンプルセル2に注入し、透過光を
観測した。比較例1に用いた尿1dlに塩化カルシウム
を22.2mg溶解させた。ついで、この溶液を80℃
で5分間加熱し、35℃まで冷却した。これを試料Aと
する。この尿をサンプルセル2に注入して同様に透過光
を観測した。
【0021】また、試験紙を用いて尿タンパク値が30
0mg/dl以上、500mg/dl以下であると判定
されたpHが7.0の尿1dlに塩化カルシウムを2
2.2mg溶解させた。ついで、この尿を80℃で5分
間加熱し、35℃まで冷却した。これを比較例2とす
る。さらに、この尿をサンプルセル2に注入し、上記の
測定装置を用いて透過光を観測した。比較例2に用いた
尿1dlに塩化カルシウムを22.2mg溶解させた。
ついで、この溶液を80℃で5分間加熱し、35℃まで
冷却した。これを試料Bとする。この尿をサンプルセル
2に注入して透過光を観測した。
【0022】以上の各尿の透過光強度を図2に示す。な
お、図中矢印で示す範囲は、試験紙を用いて得られた尿
タンパク値範囲を示す。図2より、比較例1および比較
例2は、加熱による白濁化の度合いが小さく、得られた
透過光強度が検量線から大きく外れていることがわか
る。試料Aおよび試料Bのアルブミン濃度を検量線より
求めると、それぞれ120mg/dlおよび400mg
/dlとなる。これらはそれぞれ試験紙を用いて得られ
た値と一致する。次に、塩化カルシウムの添加量に対す
る尿の白濁化の度合いを目視により観察した。その結
果、塩化カルシウムの添加量を大きくすると、尿がより
白濁化することが確認された。このとき、尿1dlに対
する塩化カルシウムの添加量が0.2ミリモルを超える
と、白濁化の度合いはほとんど変化しなかった。これよ
り、尿1dlに対して塩化カルシウムを0.2ミリモル
以上添加することにより、尿中のアルブミンをすべて凝
結させることができると考えられる。以上のように、加
熱によっても白濁しにくい尿の場合にも塩化カルシウム
を添加することによって尿中のアルブミンを凝結させる
ことができ、精度よく尿タンパク値を判定することがで
きる。特に、高精度の測定を行うためには、尿1dlに
対して塩化カルシウムを0.2ミリモル以上添加するこ
とが好ましい。
【0023】また、上記と同様の尿に塩化マグネシウム
を添加して行った同様の検討により、塩化マグネシウム
を添加しても、同様に尿中のアルブミンの凝結が促進さ
れることが確認された。このとき、尿1dlに対する塩
化マグネシウムの添加量が9.5mg(0.1ミリモル
に相当)を超えると、白濁化の度合いはほとんど変化し
なかった。これより、尿1dlに対して塩化マグネシウ
ムを0.1ミリモル以上添加することによって、より高
精度で測定できることがわかる。実際に尿1dlに対し
て塩化マグネシウムを9.5mg溶解させ、これを用い
て上記と同様に透過光を観測した。その結果、塩化マグ
ネシウムを用いた場合にも精度よく測定できることが確
認された。以上のように、2価の金属イオンを添加する
ことによって、白濁しにくい尿においても精度よく尿タ
ンパク値を判定することができる。ただし、これら2価
の金属イオンを添加することにより、無添加の場合と比
べて検量線が変動する。たとえば、尿1dlに対して塩
化カルシウムを0.2ミリモル以上添加した場合にも、
若干ではあるが塩化カルシウムの添加量に応じて検量線
は変動する。したがって、いずれの場合にも、測定しよ
うとする尿に添加する量と同量の2価金属イオンを溶解
させたアルブミン水溶液を用いて検量線を作成する必要
がある。
【0024】《実施例2》本実施例では、加熱しても白
濁化しにくい尿に対して酸を添加する。尿に酢酸等の酸
を添加して尿のpHを低下させても、アルブミンの凝結
を促進することができる。上記実施例で比較例2に用い
たものと同様の尿1dlに濃度が1%の酢酸水溶液を
0.1ml添加して、尿を白濁させた。酢酸水溶液の添
加により尿のpHは5.5になった。ついで、これを8
0℃で5分間加熱し、35℃まで冷却した。これを試料
Cとする。一方、濃度がそれぞれ100、300および
1000mg/dlのアルブミン水溶液を調製した。こ
れら水溶液および純水1dlに上記と同様の酢酸水溶液
を0.1ml添加した。ついで、これら水溶液をそれぞ
れ80℃で5分間加熱し、35℃まで冷却した。加熱処
理された尿および水溶液をそれぞれサンプルセルに注入
し、実施例1と同様に透過光量を測定した。その結果を
図3に示す。図に示すように、2価金属イオンに代えて
酸を添加した場合にも、精度よく尿タンパク値を判定す
ることができる。また、酢酸の添加量を増やして、尿の
pHをさらに低くしても同様に精度よく尿タンパク値を
判定することができることが確認された。また、酢酸に
代えてリン酸を用いてpHを5.5以下に調整しても同
様の効果が得られた。
【0025】《実施例3》本実施例では、液状試料から
の散乱光を観測することにより、試料中のタンパク質濃
度を測定する方法について説明する。本実施例で用いた
測定装置の概略を図4に示す。実施例1と同様に、投射
モジュール11より、投射光をサンプルセル12に投射
する。信号発生器15は、投射モジュール11に変調信
号を供給し、この信号と同期して投射モジュール11の
投射する光をパルス変調させる。サンプルセル12中に
はタンパク質を含む液状試料が注入される。光センサ1
3は、投射モジュール11から投射され、サンプルセル
12中の試料を伝搬する際に散乱した光を検知し、検知
した光の強度に相当する信号を出力する。ロックインア
ンプ14は、光センサ13の出力電圧を、信号発生器1
5が投射モジュール11に発した変調信号を参照して、
位相敏感検波する。
【0026】あらかじめ尿試験紙によってアルブミン濃
度が10mg/dl以下と判定された尿を溶媒として、
濃度100、300および1000mg/dlのアルブ
ミン溶液を調製した。ついで、得られたアルブミン溶液
および溶媒に用いた尿1dlに塩化マグネシウムを9.
5mg添加して溶解させた。これらをそれぞれ、80℃
で5分間加熱した後、35℃まで冷却した。ついで、こ
れらの溶液をサンプルセル12に注入し、その散乱光を
観測した。この結果、すなわちロックインアンプ14の
出力電圧を図5に示す。ここで、出力電圧を縦軸に対数
で示し、アルブミン溶液の濃度を横軸に示す。濃度0は
溶媒単独すなわち尿を表している。このように、散乱光
の測定においても、出力電圧は、アルブミン濃度に対し
て直線で近似される。したがって、この直線を検量線と
することによって、尿中アルブミン濃度すなわち尿タン
パク値を判定することができる。
【0027】あらかじめ尿試験紙によってアルブミン濃
度が100mg/dl以上、かつ250mg/dl以下
と判定された尿を、本装置を用いて検査した。その結
果、ロックインアンプ64の出力電圧は、0.12Vで
あった。図5に示す検量線からアルブミン濃度を求める
と、120mg/dlとなった。これは試験紙による結
果と一致する。また、この装置を用いて、尿試験紙によ
ってアルブミン濃度が300mg/dl以上、500m
g/dl以下と判定された尿を検査した。その結果、ロ
ックインアンプ14の出力信号強度は0.35Vを示
し、図5に示す検量線から求めたアルブミン濃度は40
0mg/dlとなった。これは試験紙による結果と一致
する。
【0028】以上のように、本実施例のように、散乱光
を観測することによっても、尿タンパク値を精度よく判
定することができる。なお、塩化マグネシウムに代えて
塩化カルシウムを添加しても、同様に尿中のアルブミン
の凝結が促進されることが確認された。以上のように、
試料に2価の金属イオンを添加し、その散乱光を観測す
ることによっても、同様に試料中のタンパク質濃度を測
定することができる。また、試料に酢酸等の酸を添加し
てそのpHを5.5以下に調整してもタンパク質の凝結
を促進することができ、同様に試料中のタンパク質濃度
を測定することができる。
【0029】《実施例4》本実施例で用いた測定装置の
構成を図6に示す。本実施例では、尿などのタンパク質
を含む液状試料を加熱し、さらにその温度を測定しなが
ら、試料を透過する光の強度を測定する。実施例1で用
いたものと同様に、投射モジュール21は光をサンプル
セル22に投射する。サンプルセル22中には試料が注
入される。光センサ23は、投射モジュール21から投
射された後、サンプルセル22中の試料を伝搬した光を
検知する。ここで、信号発生器25は、投射モジュール
21に変調信号を供給し、この信号と同期して投射光を
パルス変調させる。ロックインアンプ24は、光センサ
23の出力信号を、信号発生器25が投射モジュール2
1に発した変調信号を参照して、位相敏感検波する。こ
のロックインアンプ24の出力電圧が透過光強度に相当
する。サンプルセル22の周囲には、サンプルセル22
内の試料を加熱するためのソレノイドコイル状のヒータ
28が配されている。このヒータ28はエナメル線を5
00回巻いて構成されている。コイル状のヒータドライ
バ29は、コンピュータ27からの指示に従ってヒータ
28に最大5Aの電流を流す。熱電対20は、サンプル
セル22に密着して設置してあり、実質的にサンプルセ
ル22内の試料の温度を検知する。温度指示計26は、
熱電対20が検知した試料の温度を表示するとともに、
この値をコンピュータ27に送る。ロックインアンプ2
4の出力すなわち透過光強度を示す値も、コンピュータ
27に送られる。これにより、コンピュータ27は、あ
らかじめ設定されたプログラムにしたがって、試料を加
熱し、同時にその温度と透過光の強度を測定する。
【0030】以下、本実施例の測定方法について説明す
る。あらかじめ尿試験紙によってアルブミン濃度が10
mg/dl以下であると判定された尿を溶媒として、濃
度が100、300および1000mg/dlのアルブ
ミン溶液をそれぞれ調製した。得られたアルブミン溶液
および溶媒に用いた尿にそれぞれ濃度1重量%の酢酸水
溶液を0.1ml添加した。酢酸の添加によりこれらの
pHは、いずれも約5.5になった。ついで、これら
を、それぞれサンプルセル22に注入し、35℃から8
0℃まで、加熱速度を2℃/分として加熱した。試料を
加熱しながら、6秒おきに透過光を測定した。その結果
を図7に示す。ここで、試料の温度を横軸に、各試料の
透過光強度に対応したロックインアンプの出力電圧を縦
軸に表す。また、下式で定義する各アルブミン濃度の溶
液に対する70℃の透過光強度と75℃の透過光強度の
比Rを図8に示す。 R=(75℃での透過光強度)/(70℃での透過光強度) (3) ここで、Rは縦軸に対数表示している。図8より明らか
なように、Rとアルブミン濃度の関係は直線で近似され
る。したがって、この直線を検量線とすることによっ
て、試料のタンパク質濃度を判定することができる。本
実施例の測定方法によると、加熱しながら、異なる2点
の温度における透過光強度の比に基づいてタンパク質濃
度を判定することから、加熱前の試料の透過率等の妨害
要因を除くことができ、実施例1よりさらに高精度の測
定が可能になる。
【0031】あらかじめ尿試験紙によって、アルブミン
濃度が100mg/dl以上、かつ250mg/dl以
下と判定された尿を上記測定装置を用いて判定した。そ
の結果、Rは、0.89となった。これと図8の検量線
からアルブミン濃度を求めると、120mg/dlとな
った。これは試験紙による結果と一致する。また、尿試
験紙によって、アルブミン濃度が300mg/dl以
上、かつ500mg/dl以下と判定された尿を同様に
検査した。その結果、Rは0.67となり、これを用い
て図8の検量線からアルブミン濃度を求めると、400
mg/dlとなった。これは試験紙による結果と一致す
る。以上のように、本実施例のように、互いに異なる温
度における透過光の強度の比を用いても、尿タンパク値
を精度よく判定することができる。
【0032】《実施例5》本実施例で用いた測定装置の
構成を図9に示す。本実施例では、実施例4と同様に液
状試料を加熱し、液状試料の温度を測定しながら、液状
試料に光を投射し、その散乱光を観測する。実施例1と
同様に、投射モジュール31より、投射光をサンプルセ
ル32に投射する。サンプルセル32中には液状試料が
注入される。光センサ33は、投射モジュール31から
投射された後、サンプルセル32中の液状試料を伝搬す
る際に散乱した光を検知する。ロックインアンプ34
は、光センサ33の出力信号を、信号発生器35が投射
モジュール31に発した変調信号を参照して、位相敏感
検波し、散乱光強度に相当する信号を出力する。ここ
で、信号発生器35は、投射モジュール31に変調信号
を供給し、この信号と同期して投射光をパルス変調す
る。サンプルセル32の周囲には、実施例3と同様のヒ
ータ38が配されている。コイル状のヒータドライバ3
9は、コンピュータ37からの指示に従ってヒータ38
に最大5Aの電流を流す。熱電対30は、サンプルセル
32に密着して設置されており、実質的にサンプルセル
32内の液状試料の温度を検知する。温度指示計36
は、熱電対30が検知した液状試料の温度を表示すると
ともに、この値をコンピュータ37に送る。ロックイン
アンプ34の出力すなわち散乱光の強度を示す値も、コ
ンピュータ37に送られる。これにより、コンピュータ
37は、あらかじめ設定されたプログラムにしたがっ
て、液状試料を加熱し、同時に液状試料の温度と散乱光
強度を測定する。
【0033】以下、本測定装置を用いた尿検査方法につ
いて説明する。あらかじめ尿試験紙によってアルブミン
濃度が10mg/dl以下と判定された尿を溶媒とし
て、濃度100、300、1000mg/dlのアルブ
ミン溶液を調製した。ついで、これらのアルブミン溶液
および溶媒に用いた尿に塩化カルシウムを22.2mg
(0.2ミリモルに相当)添加して溶解させた。これら
を、それぞれサンプルセル32に注入して35℃から8
0℃まで加熱速度2℃/分で加熱した。このとき、6秒
ごとに散乱光強度を測定した。このときのアルブミン濃
度に対する70℃における散乱光強度と75℃における
散乱光強度の比rを図10に示す。ただし、以下、rは
下式のように定義する。 r=(75℃での散乱光強度)/(70℃での散乱光強度) (3) ここで、縦軸にrを対数表示している。図10より明ら
かなように、rは、アルブミン濃度に対して直線で近似
される。したがって、この直線を検量線とすることによ
って、未知の尿のアルブミン濃度すなわち尿タンパク値
を測定することができる。
【0034】あらかじめ尿試験紙によってアルブミン濃
度が100mg/dl以上、かつ250mg/dl以下
と判定された尿を上記測定装置を用いて検査した。その
結果、rは、4.6を示した。これを用いて、図10に
示す検量線からアルブミン濃度を求めると、120mg
/dlとなった。これは試験紙による結果と一致する。
また、尿試験紙によって、アルブミン濃度が300mg
/dl以上、かつ500mg/dl以下と判定された尿
を同様に検査した。その結果、Rは13.3を示し、こ
の値と図10に示す検量線からアルブミン濃度を求める
と、400mg/dlとなった。これは試験紙による結
果と一致する。
【0035】以上のように、本尿検査方法によれば、尿
タンパク値を精度よく判定することができる。また、試
験紙等の消耗品を使用することない。さらに、本実施例
の検査方法によると、加熱前の尿の透過率等の影響を受
けないため、実施例4よりもさらに高精度の測定が可能
になる。
【0036】《実施例6》本実施例では、液状試料を加
熱する前に、常温下でその旋光度を測定する。ついで、
加熱しながら、液状試料の温度とそれを透過する光の強
度を測定する。旋光度を測定することにより、試料内の
旋光性物質についての情報を得ることができる。とりわ
け尿検査においては、尿タンパク値と併せて尿糖値を算
出することが可能になる。すなわち、上記のように尿の
旋光は尿中のグルコースに起因するものとアルブミンに
起因するものの和と考えられることから、尿を白濁化さ
せることにより得られた尿タンパク値と旋光度から、尿
糖値を算出することができる。
【0037】本実施例で用いた測定装置を図11に示
す。本装置の旋光度測定の基本原理は、ファラデー効果
を利用した偏光面振動による光学零位法である。投射モ
ジュール41は、実施例1で用いたものと同様で、波長
670nm、強度5mWの略平行光を投射する。偏光子
53は、投射された光のうち、特定の方向成分のみを透
過する。サンプルセル42は実施例1で用いたものと同
様であり、その中に注入された尿は、この透過光の偏向
方向を光ファラデー効果によって微少幅変調させる。検
光子54は偏光子53に対して直交ニコルの状態に配置
されており、偏光子53の透過軸を回転軸として回転さ
せることができる。ここで、偏光子53および検光子5
4が理想的なものであれば、すなわち消光比が無限大で
あれば、透過光は光センサ43に到達しない。しかし、
実際には偏光子および検光子の消光比は無限大にはなら
ない。本実施例で使用した偏光子53および検光子54
の消光比は約5000のため、約1μW程度の透過光が
光センサ43に到達する。この光の強度は、透過光強度
を測定するのに十分である。
【0038】ロックインアンプ44は、光センサ43の
出力信号を、信号発生器45が投射モジュール41に発
した変調信号を参照して、位相敏感検波する。スイッチ
55は、旋光度測定の際は端子a側に接続され、信号発
生器45の信号を磁場変調信号としてコイル状のヒータ
ドライバ49に供給する。また、透過光測定の際は端子
b側に接続され、信号を投射光の変調信号として投射モ
ジュール41に供給する。ヒータードライバ49は、コ
ンピュータ47からの指示に従ってヒータ48に最大5
Aの電流を流す。ただし、旋光度を測定する際は、ヒー
タ48及びヒータドライバ49は、コンピュータ47の
指示によって、サンプルセル42中の液状試料に磁場を
印加し、この磁場を変調しながら掃引する機能も果たす
ことができる。すなわち、本装置において、ヒータ48
は、旋光度測定の際には、試料に磁場を印加する機能を
果たし、試料を加熱する際にはヒータ本来の機能を果た
すことになる。熱電対40は、サンプルセル42に密着
して設置されており、実質的にサンプルセル42内の試
料の温度を検知する。温度指示計46は、熱電対40が
検知した試料の温度を表示するとともに、この値をコン
ピュータ47に送る。以上の構成において、コンピュー
タ47の指示により、まず、試料の旋光度を測定し、そ
の後、試料を加熱しながらその温度と透過光の強度を測
定する。
【0039】以下、本測定装置を用いた尿検査方法につ
いて説明する。あらかじめ尿試験紙によってアルブミン
濃度が10mg/dl以下であると判定された尿を溶媒
として、濃度が100、300および1000mg/d
lのアルブミン溶液をそれぞれ調製した。ついで、これ
らの溶液および溶媒に用いた尿に塩化カルシウムをそれ
ぞれ22.2mg添加した。これらを、それぞれサンプ
ルセル22に注入して35℃から80℃まで加熱した。
このとき、加熱速度を2℃/分に設定して、6秒ごとに
透過光強度を測定した。溶液の各濃度おける70℃と7
5℃の透過光強度の比Rを実施例2と同様に算出した。
このRを、各濃度に対してプロットすると図12の様に
なる。ここで、縦軸はRを対数表示したものである。こ
の図12の曲線を検量線とすることによって、尿中アル
ブミン濃度すなわち尿タンパク値を測定することができ
る。なお、尿中を伝搬する直線偏光の偏光度は、濁り度
が高くなるに伴って、小さくなる。すなわち散乱による
偏光解消が発生する。したがって、この偏光解消の影響
で、図12の検量線は実施例4で得られた図8に示す検
量線のような直線にならない。
【0040】次に、尿試験紙によってグルコース濃度が
50mg/dl以下で、アルブミン濃度が100mg/
dl以上、かつ250mg/dl以下と判定された尿
を、本装置を用いて上記と同様の方法で検査した。ま
ず、旋光度を測定し、 A=−19.8×10-3[度] を得た。次に、尿を加熱して、透過光強度を測定した。
これより、 R=0.85 を得た。このRと図12に示す検量線より、アルブミン
濃度は120mg/dlと判定される。このアルブミン
濃度とAを用いて式(2)を解くことによって、グルコ
ース濃度=30mg/dlが得られた。これは試験紙に
よる結果と一致する。
【0041】また、尿試験紙によって、グルコース濃度
が100mg/dl以上、かつ250mg/dl以下、
アルブミン濃度が300mg/dl以上、かつ500m
g/dl以下と判定された尿を本装置を用いて検査し
た。まず、旋光度を測定した。その結果、 A=−56×10-3[度] を得た。次に尿を加熱して透過光強度を測定し、 R=0.62 を得た。このRと図12に示す検量線より、アルブミン
濃度は400mg/dlと判定される。このアルブミン
濃度とAより式(2)を解くことによって、グルコース
濃度=150mg/dlが得られた。これは試験紙によ
る結果と一致する。
【0042】以上のように、本実施例によれば、尿の旋
光度を測定した後に、尿を加熱して白濁化させ、その白
濁度合いを測定することにより、尿タンパク値と尿糖値
を同時に検査することができる。これにより、試験紙等
の消耗品を使用することなく、尿タンパク値,尿糖値を
検査することができる。
【0043】《実施例7》本実施例の測定方法につい
て、図13を用いて以下に詳細に説明する。本実施例に
おいても、まず液状試料の旋光度を測定し、その後に試
料を加熱しながら、その温度と透過光強度を測定する。
本装置の旋光度測定の基本原理は、実施例6と同様であ
る。実施例6と同様に、偏光子73は、投射モジュール
61より投射された略平行光のうち、特定の方向成分の
みを透過する。サンプルセル62は実施例6で用いたも
のと同様であり、その中に注入された試料に旋光性物質
が含まれると、試料を透過する光の偏向方向が光ファラ
デー効果によって微少幅変調される。また、偏光子73
および検光子74は直交ニコルの状態に配置されてい
る。スイッチ75は、旋光度測定の際は端子a側に接続
され、信号発生器65の信号を磁場変調信号としてコイ
ル状のヒータドライバ69に供給する。また透過光測定
の際は端子b側に接続され、同信号を投射光の変調信号
として投射モジュール61に供給する。ビームサンプラ
78は、試料を透過した光の一部を取り出す。光センサ
76は、取り出された光を検知し、その光の強度に応じ
た信号を発する。スイッチ77は、スイッチ75と同期
しており、旋光度測定の際は、光センサ63の出力信号
をロックインアンプ64に供給し、透過光測定の際は光
センサ76の出力信号をロックインアンプ64に供給す
る様に切り替える。また、旋光度を測定する際は、ヒー
タ68及びヒータドライバ69は、コンピュータ67の
指示によって試料に磁場を印加し、この磁場を変調しな
がら掃引する機能も果たすことができる。熱電対60
は、サンプルセル62に密着して設置されており、実質
的にサンプルセル62内の試料の温度を検知する。温度
指示計66は、熱電対60が検知した試料の温度を表示
するとともに、この値をコンピュータ67に送る。本実
施例では、実施例6と同様に、液状試料の旋光度を測定
した後、試料を加熱しながらその温度と透過光の強度を
測定する。しかし、本実施例の場合、実施例6と異な
り、偏光解消の影響を受けない。したがって、直線状の
検量線が得られる。実際、実施例6と同様のアルブミン
溶液を用いて検査した結果、直線の検量線が得られた。
【0044】あらかじめ尿試験紙によって、グルコース
濃度が50mg/dl以下で、アルブミン濃度が100
mg/dl以上、かつ250mg/dl以下と判定され
た尿をこの装置を用いて検査した。まず、旋光度を測定
し、 A=−19.8×10-3[度] を得た。次に尿を加熱して透過光強度を測定し、 R=0.89 を得た。このRと得られた検量線より、アルブミン濃度
は120mg/dlであると判定された。このアルブミ
ン濃度とAより式(2)を解くことによって、グルコー
ス濃度=30mg/dlが得られた。これは試験紙によ
る判定結果と一致する。
【0045】また、尿試験紙によって、グルコース濃度
が100mg/dl以上、かつ250mg/dl以下
で、アルブミン濃度が300mg/dl以上、かつ50
0mg/dl以下と判定された尿を同様に検査した。ま
ず、旋光度を測定し、 A=−56×10-3[度] を得た。次に尿を加熱して透過光強度を測定し、 R=0.67 を得た。このRと得られた検量線より、アルブミン濃度
は400mg/dlであると判定された。このアルブミ
ン濃度とAより式(2)を解くことによって、グルコー
ス濃度=150mg/dlが得られた。これは試験紙に
よる結果と一致する。
【0046】以上のように、本実施例によれば、尿の旋
光度を測定した後に、尿を加熱し、尿の透過光強度を測
定することにより、白濁度合いを求め、尿タンパク値と
尿糖値を同時に検査することができる。これにより、試
験紙等の消耗品を使用することなく、尿タンパク値およ
び尿糖値を検査することができる。特に、本実施例によ
ると、直線の検量線が得られるため、Rからアルブミン
濃度への換算がより容易になる。
【0047】《実施例8》本実施例では、尿の旋光度を
測定した後に、尿を加熱しながら、尿の温度と、尿の散
乱量を測定する。本実施例の測定装置を図14に示す。
偏光子93は、実施例1で用いたものと同様の投射モジ
ュール81より投射された略平行光のうち、特定の方向
成分のみを透過する。サンプルセル82は実施例1で用
いたものと同様であり、その中に注入された尿は、この
透過光の偏向方向を微少幅変調させる。偏光子93およ
び検光子94は、サンプルセル82を挟んで投射モジュ
ール81の光軸方向に直交ニコルの状態で配置されてい
る。サンプルセル82の周囲にはコイル状のヒータ88
が配されている。スイッチ95は、旋光度測定の際は端
子a側に接続され、信号発生器85の信号を磁場変調信
号としてコイル状のヒータドライバ89に供給する。ま
た、散乱光測定の際は端子b側に接続され、同信号を投
射光の変調信号として投射モジュール81に供給する。
光センサ96は、投射モジュール81から投射された
後、サンプルセル82中の液状試料を伝搬する際に散乱
した光を検知する。スイッチ97は、旋光度測定の際
は、光センサ83の出力信号をロックインアンプ84に
供給し、散乱光測定の際は光センサ96の出力信号をロ
ックインアンプ84に供給する様に切り替える。熱電対
80は、サンプルセル82に密着して設置されており、
実質的にサンプルセル82内の試料の温度を検知する。
温度指示計86は、熱電対80が検知した試料の温度を
表示するとともに、この値をコンピュータ87に送る。
これによって、尿検査においては、実施例6と同様に尿
の旋光度を測定した後、尿を加熱しながら尿の温度と散
乱光強度を測定することができる。
【0048】次に、尿試験紙によって、グルコース濃度
が50mg/dl以下で、アルブミン濃度が100mg
/dl以上、250mg/dl以下と判定された尿を本
装置を用いて検査した。まず、旋光度を測定し、 A=−19.8×10-3[度] を得た。次に尿を加熱して散乱光強度を測定し、 r=4.6 を得た。このrと得られた検量線より、アルブミン濃度
は120mg/dlと判定された。このアルブミン濃度
とAより式(2)を解くことによって、グルコース濃度
=30mg/dlが得られた。これは試験紙による結果
と一致する。
【0049】また、尿試験紙によって、グルコース濃度
が100mg/dl以上250mg/dl以下、アルブ
ミン濃度が300mg/dl以上、500mg/dl以
下と判定された尿を同様に検査した。まず、旋光度を測
定し、 A=−56×10-3[度] を得た。次に尿を加熱して散乱光強度を測定し、 r=13.7 を得た。このrと得られた検量線より、アルブミン濃度
は400mg/dlと判定された。このアルブミン濃度
とAより式(2)を解くことによって、グルコース濃度
=150mg/dlが得られた。これは試験紙による結
果と一致する。
【0050】以上のように、本実施例によれば、尿の旋
光度を測定した後に、尿を加熱して白濁させ、その白濁
度合いを測定することにより、尿タンパク値と尿糖値を
同時に検査することができる。これにより、試験紙等の
消耗品を使用することなく、尿タンパク値および尿糖値
を検査することができる。特に、本実施例によると、実
施例7の測定装置のように複数の光センサを用いる必要
がない。以上のように、尿を白濁させ、透過光または散
乱光の強度よりその白濁化の度合いを求めることによっ
て、尿タンパク値を求めることができる。また、白濁化
する前に、尿の旋光度を測定することにより、尿タンパ
ク値とともに、尿糖値を求めることができる。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、試験紙等の消耗品を使
用することのない尿検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例で用いた測定装置の構成を示
す概略図である。
【図2】同実施例において得られたロックインアンプの
出力信号と試料のアルブミン濃度の関係を示す特性図で
ある。
【図3】本発明の他の実施例において得られたロックイ
ンアンプの出力信号と試料のアルブミン濃度の関係を示
す特性図である。
【図4】本発明のさらに他の実施例で用いた測定装置の
構成を示す概略図である。
【図5】同実施例において得られたロックインアンプの
出力信号と試料のアルブミン濃度の関係を示す特性図で
ある。
【図6】本発明のさらに他の実施例で用いた測定装置の
構成を示す概略図である。
【図7】同実施例において得られたロックインアンプの
出力信号と試料の温度の関係を示す特性図である。
【図8】同実施例において得られたR(75℃における
透過光強度と70℃における透過光強度の比)と試料の
アルブミン濃度の関係を示す特性図である。
【図9】本発明のさらに他の実施例で用いた測定装置の
構成を示す概略図である。
【図10】同実施例において得られたr(75℃におけ
る散乱光強度と70℃における散乱光強度の比)と試料
のアルブミン濃度の関係を示す特性図である。
【図11】本発明のさらに他の実施例で用いた測定装置
の構成を示す概略図である。
【図12】同実施例において得られたRと試料のアルブ
ミン濃度の関係を示す特性図である。
【図13】本発明のさらに他の実施例で用いた測定装置
の構成を示す概略図である。
【図14】本発明のさらに他の実施例で用いた測定装置
の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1、11、21、31、41、61、81 投射モジュ
ール 2、12、22、32、42、62、82 サンプルセ
ル 3、13、23、33、43、63、83 光センサ 4、14、24、34、44、64、84 ロックイン
アンプ 5、15、25、35、45、65、85 信号発生器 26、36、46、66、86 温度指示計 27、37、47、67、87 コンピュータ 28、38、48、68、88 ヒータ 29、49、69、89 ヒータドライバ 30、40、60、80 熱電対 53、73、93 偏光子 54、74、94 検光子 55、75、95 スイッチ 76、96 光センサ 77 スイッチ 78 ビームサンプラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭3−170396(JP,A) 特開 平4−214767(JP,A) 特開 平8−113593(JP,A) 特開 平9−138231(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/48 - 33/98

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンパク質を含む液状試料に2価の金属
    イオンを添加する工程と、前記液状試料を加熱して白濁
    化させる工程と、白濁した液状試料に光を投射する工程
    と、投射された光のうち前記液状試料を透過した光また
    は前記液状試料より散乱した光を検知する工程と、検知
    した光の強度に基づいて前記液状試料のタンパク質濃度
    を判定する工程を含む特定成分濃度の測定方法。
  2. 【請求項2】 タンパク質を含む液状試料に2価の金属
    イオンを添加する工程と、前記液状試料を加熱ししなが
    ら、同液状試料に光を投射する工程と、投射された光の
    うち前記液状試料を透過した光または前記液状試料より
    散乱した光を検知する工程と、検知した光の強度に基づ
    いて前記液状試料のタンパク質濃度を判定する工程を含
    む特定成分濃度の測定方法。
  3. 【請求項3】 加熱する前の前記液状試料の旋光度を測
    定する工程、および前記旋光度および前記タンパク質濃
    度に基づいて前記液状試料のグルコース濃度を判定する
    工程を含む請求項1または2に記載の特定成分濃度の測
    定方法。
  4. 【請求項4】 60〜80℃のうちの互いに異なる2点
    の温度においてそれぞれ前記液状試料に光を投射し、得
    られた透過光または散乱光の強度の比より前記液状試料
    のタンパク質濃度を判定する請求項2記載の特定成分濃
    度の測定方法。
  5. 【請求項5】 前記2価の金属イオンがカルシウムイオ
    ンまたはマグネシウムイオンである請求項1または2に
    記載の特定成分濃度の測定方法。
  6. 【請求項6】 前記カルシウムイオンを前記液状試料1
    dlに対して0.2ミリモル以上の比で添加する請求項
    5記載の特定成分濃度の測定方法。
  7. 【請求項7】 前記マグネシウムイオンを前記液状試料
    1dlに対して0.1ミリモル以上の比で添加する請求
    項5記載の特定成分濃度の測定方法。
  8. 【請求項8】 前記カルシウムイオンまたはマグネシウ
    ムイオンが塩化物として前記尿に添加される請求項5記
    載の特定成分濃度の測定方法。
  9. 【請求項9】 タンパク質を含む液状試料に酸を添加
    し、同液状試料のpHを5.5以下に調整する工程と、
    前記液状試料を加熱して白濁化させる工程と、白濁した
    液状試料に光を投射する工程と、投射された光のうち前
    記液状試料を透過した光または前記液状試料より散乱し
    た光を検知する工程と、検知した光の強度に基づいて前
    記液状試料のタンパク質濃度を判定する工程を含む特定
    成分濃度の測定方法。
  10. 【請求項10】 前記酸が酢酸またはリン酸である請求
    項9記載の特定成分濃度の測定方法。
  11. 【請求項11】 前記液状試料が尿である請求項1、2
    または9に記載の特定成分濃度の測定方法。
  12. 【請求項12】 前記光の波長が500nm以上である
    請求項11記載の特定成分濃度の測定方法。
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