JP3234682B2 - 加熱調理装置 - Google Patents

加熱調理装置

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JP3234682B2
JP3234682B2 JP18621593A JP18621593A JP3234682B2 JP 3234682 B2 JP3234682 B2 JP 3234682B2 JP 18621593 A JP18621593 A JP 18621593A JP 18621593 A JP18621593 A JP 18621593A JP 3234682 B2 JP3234682 B2 JP 3234682B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品を加熱調理する、
例えば家庭用オーブングリルレンジ等の加熱調理装置に
関し、特にその脱臭機能に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、オーブングリルレンジ等では、
調理時に臭気や煙が発生する。最近の住宅は、密閉性が
良くこのような調理中に発生する臭気や煙は、使用者に
不快感を与えるだけでなく、部屋の壁や家具に臭気がこ
びりついてしまうということがあった。この臭気を除去
する方法として、オーブングリルレンジの送気ファンで
臭気を強制的に排気ダクトから送り出して、庫(調理
室)内に新鮮な空気を取り込み、庫内の臭気を除去する
ようにした方法がある。臭気は、排気ダクト中に置かれ
た加熱された脱臭触媒により酸化分解され、無臭化され
た臭気が外部に放出されるようになっている。臭気源は
庫内に置かれた調理加熱中の調理物や内壁に付着した油
や肉汁から発生するガスやミスト成分であるが、新鮮な
空気を送り込むことにより、指数的にその臭気濃度は減
少してゆく。この脱臭触媒としては、白金やパラジウム
などの貴金属触媒などを、セラミックスハニカムやシリ
カペーパーコルゲートに担持させたものや、金属のフォ
ームに担持させたものがある。
【0003】また調理の際に問題となる臭気としては、
調理のときに発生する臭気のほかに、調理後庫内に残留
する臭気がある。これは量は少ないが濃度的には高く、
調理後臭気が残ると、次の調理をする際に、別の食品の
臭気が調理物に付いたりして、使用者に不快感を与えて
いる。
【0004】従来、グリル調理のときは上述の機構によ
って脱臭され、調理は天井部にあるヒータによって食品
の上面からの赤外線の輻射加熱により行われる。またオ
ーブン調理は装置の背面等にある熱風循環用ファンによ
り、ヒータによって暖められた空気を庫内に循環させて
庫内を均一に加熱して調理する。よってオーブン調理時
は庫内の温度を素早く一定にすることが必要になる。こ
のため、オーブン調理の場合は、グリル調理のときに行
われる脱臭方式のように冷えた外気を庫内へ送り込み、
排気ダクトへ庫内の暖かい空気を送って脱臭することは
庫内が冷え、また均一加熱することができなくなるため
望ましくない。このためオーブン調理では一般にこのよ
うな排気ダクト中におかれた触媒により脱臭機能を働か
せることは困難であった。またオーブングリルレンジに
は、通常マグネトロンによって発生するマイクロ波で調
理物を加熱するレンジ機能が付いている。このレンジ調
理のときには、庫内の空気はたかだか60℃レベルまで
にしか上がらず、排気ダクトへは大量のマグネトロンの
冷却空気がいくため、触媒温度も上がらず、触媒の処理
空気量も高くなるため、一般にレンジ調理のときには脱
臭することは困難であった。
【0005】上記のオーブングリルレンジ及びその脱臭
機構を図11を用いてさらに説明する。同図は後述する
図1のA−A面の断面図に相当する。同図において、1
は本体キャビネット、2は調理室を構成するオーブン庫
内、3は調理室の扉、5は取手である。庫内の背面側に
は、オーブン機能のときに庫内2の空気を熱風循環させ
るオーブン用熱風ファン6、モータ7及びオーブン用熱
風ヒータ8が配設されている。9は排気ダクト、10は
この排気ダクト中に取り付けられた触媒、11は庫内2
から排ガスを排気ダクト9へ排出する排気口、12は調
理物である食品、13はレンジ調理のときにマイクロ波
発生源であるマグネトロン14を冷却し庫内2に籠った
水蒸気を排出させるための送気ファン、15はその空気
を取り込む吸気ダクトである。送気ファン13は、従来
は、グリルモードのときにも稼働して、緩やかに庫内空
気を排気ダクト9へ送り込み、触媒10で酸化分解する
ようになっている。16は触媒温度が活性化温度に達し
なかった場合に触媒10を加熱する触媒加熱専用ヒータ
である。
【0006】上記のような構成のオーブングリルレンジ
における従来の脱臭機構では、送気ファン13によって
庫内空気を排気ダクト9に送り込まなければ脱臭でき
ず、高温の庫内空気の熱によって調理するオーブン調理
では、庫内温度が下がるためこのような外気を取り込む
ことはできず、そのためオーブン調理では脱臭すること
はできなかった。また、オーブン調理では、庫内温度の
設定が、170℃から、300℃と幅広く、特に調理項
目の多い200〜230℃では、庫内2の空気を触媒1
0に送り込んでも、触媒10を加熱する専用ヒータ16
がなければ触媒10は十分な活性化温度に達することは
できず、脱臭を全ての調理において有効に働かせること
はできなかった。また、このような加熱専用ヒータ16
を点灯することは、余計な電力を必要とし、調理の電力
効率が悪くなると云う欠点があった。また、触媒10は
200℃以上に加熱しないと活性化せず脱臭できない。
このため庫内空気の温度が低いレンジ調理では脱臭はで
きなかった。また一般にレンジ調理の場合この送風量は
大きく、触媒温度はさらに上がらず、また触媒体積に対
して処理風量も多くなるため脱臭は殆んどできなかっ
た。また、触媒加熱ヒータ16に通電して加熱する方法
もあるが、庫内2の温度が高いグリル調理は、低電力で
加熱が可能であるが、温度の低いレンジモードでは、こ
れに通電加熱しても十分高い温度に達することはできな
かった。またこの形式のオーブングリルレンジで、各調
理の調理時間は、一般に、グリル調理15〜30分、オ
ーブン調理15〜60分、レンジ調理1〜10分であ
る。このため使用前常温である脱臭触媒を脱臭可能な活
性化温度に昇温するためには、レンジ調理では短かす
ぎ、脱臭機能を働かせることはできなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来のオーブングリル
レンジにおいて、オーブンを用いた調理でも肉類や魚類
を使用する場合もあり、やはり脱臭されることが好まし
い。しかし、従来の脱臭方法では、庫内に残留した臭気
は、庫外から取り込まれた空気によって薄められて除去
されるが、このように庫外の空気を取り込めないオーブ
ン調理では、庫内に残留する臭気を除去することができ
なかった。また、レンジ調理の場合は、排気ダクトへ大
量のマグネトロン冷却空気がいくため、触媒温度が上ら
ず、触媒の処理空気量も高くなるため一般にレンジ調理
のときには脱臭することが困難であった。しかし、レン
ジ調理でも庫内にラップなしで調理物を入れて加熱した
りすると臭気が籠ったり、とくにレンジ調理では庫内壁
面の温度が低いために臭気が壁面に吸着しやすくなって
おり、これが次の調理のとき脱着して、不快感を与えて
いた。また、このオーブン調理、グリル調理、レンジ調
理では、一般にユーザーはこの脱臭機能の利かないレン
ジ機能の使用頻度が高く、脱臭機能が有効に使われるこ
とは少なかった。また一般にグリル調理では、調理時間
が15分から30分ぐらいの時間があるため、常温から
触媒の機能の働く活性化温度200℃に加熱するための
時間が十分にあるが、レンジ調理は1分から長くても1
0分程度であり、触媒の別のヒータで加熱するにしても
活性化温度に達することはできない。またはかなりの大
電力を必要とし、家庭電化製品に使用するには不適であ
った。また通常このような加熱調理装置の庫内壁面に
は、シリコーン系の耐熱コーティングが施されている
が、このものの吸着作用は僅かであり、調理終了後に臭
気を吸着除去することは殆んどできない。また、この耐
熱コーティングは、庫内温度が上がり、庫内壁面の温度
が上がると、臭気をほぼそのまま脱着して放出するた
め、脱臭の効果は乏しかった。
【0008】一方、低温下で吸着性を有する触媒とし
て、従来、冷蔵庫の除霜ヒータの近傍に設置されたもの
がある。これは、低温時吸着性を有し、加熱すると臭気
を脱着し、それと同時にその触媒によって分解し、吸着
作用を再生するものである。除霜ヒータは通常数日に1
回の割合で30分程度通電される。このときには、冷蔵
庫内の循環ダクトからの空気流は停止し、実質庫内の脱
臭はできない。即ちこの場合の脱臭はあくまで無機担体
の吸着作用によってのみ行われており、触媒として同時
に分解して脱臭しているものではない。即ち除霜時には
脱臭は行われず、この方式をそのままオーブングリルレ
ンジに採用した場合、どの調理モードでも脱臭機能を発
揮させるということはできない。
【0009】そこで、本発明は、グリル調理は勿論のこ
と、オーブン調理、レンジ調理でも脱臭することが可能
な高効率の触媒脱臭機能を具備した加熱調理装置を提供
することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、第1に、庫内の調理物を加熱調理する調
理用ヒータと、前記庫内にマイクロ波を供給し調理物を
誘電加熱するマイクロ波発生源とを有する加熱調理装置
において、少なくとも前記調理用ヒータで加熱される庫
内壁面に、マンガン系触媒として二酸化マンガンを5〜
40重量%,ゼオライト系吸着剤としてゼオライトを3
〜20重量%とを含有する耐熱性シリコーン系塗膜層を
形成してなることを要旨とする。
【0011】
【0012】第2に、上記第1の構成において、前記耐
熱性シリコーン系塗膜層の上に、弗素系塗膜層を20μ
m以下の厚さに形成してなることを要旨とする。
【0013】
【0014】
【0015】
【作用】上記構成において、第1に、マンガン系触媒と
ゼオライト系吸着剤とを含有する耐熱性シリコーン系塗
膜層は、100℃程度以下の温度では物理吸着性を有す
る。これは含有されるマンガン系触媒とゼオライトの作
用による。即ち、これらの無機物質の多孔質性による。
この吸着は物理吸着であるため、吸着容量を越えると吸
着ができなくなってしまうが塗膜層を施してある庫内壁
面を加熱することによって吸着物質を放出することが可
能である。このとき、取り込まれた臭気はマンガン系触
媒によって酸化分解され、無臭化される。このように、
庫内壁面の温度が低いレンジ調理、グリル調理及び低温
設定のオーブン調理中の臭気は、塗膜層の吸着作用によ
って脱臭され、加熱することで再生が可能となる。ま
た、庫内壁面の温度が高くなる高温設定のオーブン調理
のときには、塗膜層の触媒作用のみによっても、臭気を
分解することで脱臭が可能となる。即ち、吸着作用と触
媒作用の2つの脱臭機能によって全ての調理モードでの
脱臭が高効率で可能となる。また、マンガン系触媒は二
酸化マンガンとして5〜40重量%含有により、常温
での臭気吸着性、加熱時の臭気脱着性及び分解性能の有
効な作用が得られ、且つ実用上の塗膜性能が得られる。
さらに、ゼオライト系吸着剤はゼオライトとして3〜2
0重量%の含有により、常温時の優れた臭気吸着性が得
られ、且つ実用上の塗膜性能が得られる。
【0016】
【0017】第2に、耐熱性シリコーン塗膜層の上に、
弗素系塗膜層を20μm以下の厚さで施すことにより、
脱臭性能に悪影響を与えることなく、耐擦傷性の向上が
得られる。
【0018】
【0019】
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1乃至図9に基づ
いて説明する。本実施例は家庭用オーブングリルレンジ
に適用されている。なお、図1乃至図3において前記図
11における機器及び部材等と同一ないし均等のもの
は、前記と同一符号を以って示し、重複した説明を省略
する。図1乃至図3において、4はガラスバリアであ
り、本実施例では、前述の排気ダクトでの触媒脱臭シス
テムはついていないが、庫内壁面にマンガン系触媒(M
nO2 として、30%)とゼオライト8%を含有する耐
熱性シリコーン系塗膜層17が施してある。18はグリ
ル調理のときに用いるグリルヒータであり、マイカ絶縁
体19に挟んで天井に固定してある。20はレンジ調理
のときに使用するターンテーブル、21はこれを駆動す
るモータである。
【0021】次に、オーブングリルレンジの脱臭作用を
説明する。まず200℃設定以上の高温オーブン調理で
あるが、オーブンの場合庫内2に角皿を入れ、その上に
クッキーやケーキなどの調理物を置くが、このときには
熱風ファン6はフル稼働し、熱風ヒータ8に通電され、
庫内空気を加熱する。庫内壁表面は、200〜400℃
に達し、このため耐熱性シリコーン系塗膜層17中の触
媒は5分ほどで触媒活性に必要な150℃に達し、庫内
空気を循環させてこの触媒に接触させることで、脱臭す
ることができる。
【0022】次いで、グリル調理であるが、グリルヒー
タ18への通電により、天井部分の塗装面は、グリル調
理時400〜450℃になる。このため天井部分では、
耐熱性シリコーン系塗膜層17に含まれる触媒体によっ
て臭気を分解することができる。しかし、グリル調理で
は、庫内に食品を乗せる角皿をいれ、しかも加熱は、天
井部分からの輻射によるので、庫内の下半分の温度はほ
とんど上がらず60〜90℃ぐらいであり、底部は吸着
による脱臭も行われる。またこのとき熱風ファン6は、
停止、もしくは緩やかに稼働させる。これにより、吸着
速度を速める効果がある。フル回転させた場合には、グ
リル調理の場合食品が乾燥してしまうためである。
【0023】次にレンジ調理であるが、この場合は触媒
は最高30〜40℃ぐらいしか上がらず、十分な吸着性
能を発揮させることができる。この吸着による脱臭性能
を測定した結果を図4に示す。オーブンは外乱を避け、
有意差を得られやすいように、送気ファン13を停止
し、各吸排気口を塞いで、ほぼ密閉状態にして測定して
いる。まず、レンジ調理を想定して、壁面温度が30℃
のときの臭気(代替物質エタノール)の減少量で、従来
の耐熱コーティング(c特性)と、本実施例による耐熱
性シリコーン系塗膜層(a,b特性)との比較を熱風フ
ァン6の稼働状態を変えて測定した。まず常温での臭気
吸着性能であるが、従来の耐熱コーティング(c特性)
については、初期濃度(150ppm )に対して、30分
で、20%の減少がみられる。これに対し本実施例での
耐熱性シリコーン系塗膜層では、急激に吸着減少し、3
0分で、90%近く除去されていることが分る。またこ
のとき熱風ファン6(熱風ヒータ8はOFF)を稼働さ
せると、さらに吸着速度が増加していることが分る(b
特性)。これは、熱風ファン6を駆動することで、臭気
の拡散速度が増し、臭気が庫内壁面に接触する頻度が高
くなるためである。
【0024】次にグリル調理を想定してグリルヒータ1
8をつけて測定した。これによると、従来の耐熱コーテ
ィングは、吸着した臭気が脱着し、放出されていること
が分る。さらに温度が上がると、ガスの熱膨張と、熱に
よる分解で、次第に濃度は減少していく。これに対し
て、本実施例の耐熱性シリコーン系塗膜層では、加熱と
同時に触媒が活性化するまで、臭気の脱着がみられる
が、その後急激に減少し、脱臭されていることが分る。
またこの加熱と臭気物質(エタノール)の触媒による酸
化中間生成物であるアセトアルデヒドが、僅かではある
が発生しており、触媒反応が有効に働いていることがこ
れによっても確認される。またこのアセトアルデヒド
も、次第に触媒作用によって、さらに酸化され、二酸化
炭素まで分解されることがこの結果から分る。従来の耐
熱コーティングではこのアセトアルデヒドの発生はほと
んどみられず、熱分解によって、次第に増えてきてい
る。
【0025】次に高温のオーブン調理のように耐熱性シ
リコーン系塗膜層17の触媒による酸化分解作用によっ
て脱臭した場合の脱臭性能を図5に示す。これは、庫内
を同様に密閉しオーブンモードで180℃及び250℃
に設定し、庫内温度が到達したときにエタノールを注入
し、その庫内温度の変化から、脱臭性能を測定したもの
である。これによると、非常に高い脱臭性能を発揮して
いることが分る。
【0026】以上のように本実施例の脱臭方式は、従来
の耐熱コーティングと比較して、全てのモードの場合に
脱臭することが可能である。また、この脱臭方式は、前
述のように庫内に残留し、次の調理のときに他の食品に
移ったりする残留臭の除去に対して特に有効である。特
に、レンジ調理では、調理中は前述のように、耐熱性シ
リコーン系塗膜層17の吸着脱臭性能によって脱臭する
が、庫内の水蒸気によるガラスバリア4の曇りを防止す
るため、送気ファン13が稼働するために、調理中は若
干の調理臭がダクト9を通じて外部に出てしまう可能性
もあることはやむをえないが、調理終了後は、ファン1
3は停止し、庫外空気を取り込むことはないので、脱臭
効果を有効に出すことができる。具体的に各機構部分の
稼働方法を説明する。レンジ調理中は前述のように送気
ファン13が稼働して、庫内の水蒸気を排出するように
なっている。このとき、熱風ファン6も稼働させて臭気
を吸着除去する。この場合、風量が多すぎて調理性能に
影響を与える場合には、ファン6は緩やかに回すように
しても良い。そして調理終了後は、送気ファン13を停
止するため、庫内の空気は外に出ず、さらに1〜2分フ
ァン6を回転させ続けることによって、庫内に残った臭
気を耐熱性シリコーン系塗膜層17に吸着除去すること
ができる。この塗膜層17に吸着した臭気は、吸着能力
が大きいため、低温ではほとんど脱着しないので、従来
のように庫内壁に吸着した臭気が、次の使用時に脱着し
て調理に不都合を与えることはない。この場合の脱臭効
果を官能評価によって測定した結果を図6に示す。これ
は、従来の耐熱コーティング(e特性)と、本実施例の
耐熱性シリコーン系塗膜(d特性)を施した電子レンジ
で、それぞれレンジモードで、カレーを2分温めし、そ
の後カレーを取り出し、扉を閉じた状態で、2時間後、
庫内の臭気を6段階臭気強度法によって嗅ぎ分けてもら
ったものである。これによると本実施例では臭気強度が
1.5ランク下がっていることが分る。この効果は他の
食品臭でも確認できた。次にオーブン調理であるが、調
理中は前述のように庫内壁面の触媒が活性化して、臭気
を酸化分解し脱臭するが、調理終了後も暫く熱風ファン
6を回すことによって、まだ十分に活性化しているた
め、脱臭機能を継続させておくことができる。また、調
理終了後もファン6を駆動させることで、耐熱性シリコ
ーン系塗膜層に含まれる触媒体及び吸着体を早く冷却
し、次に行うレンジ調理などで、吸着による脱臭をいち
はやく行わせることができるようになる。また吸着によ
る脱臭で、臭気が飽和している場合でも、たまにオーブ
ン調理を行うことで、触媒体の吸着した臭気を脱着し、
触媒体の無機担体の吸着能力を再生させる役割も果た
す。また、低温設定のオーブン調理では、庫内壁面は、
80〜150℃しか上がらず、吸着による脱臭が行われ
る。次にグリル調理であるが、調理中は、熱風ファン6
をフル回転させておくと、食品が乾燥するため、緩やか
に駆動させて臭気を吸着除去し、調理終了後フル回転さ
せることで、庫内に残った臭気を吸着除去することがで
きる。
【0027】次に吸着能力の再生の仕方である。吸着に
よる脱臭を続けていると、吸着容量が飽和すると、臭気
の除去効率が悪くなってくる。そこで定期的にまた任意
のときにこの再生モードを稼働させて脱臭能力を復活再
生させるものである。方法は、熱風ファン6を緩やかに
回転させ、熱風ヒータ8に通電して庫内壁面を急激に加
熱する。このことによって耐熱性シリコーン系塗膜から
臭気は脱着し、それと同時に臭気を触媒で分解し、無臭
化させることができる。また、庫内に臭気強度の強い食
品を調理したときに除去仕切れずに付いた臭気を任意の
ときに除去することも可能である。これは、庫内壁面に
付いた油や食品滓から発せられる場合が多く、このた
め、これらを焼き切ることが重要になる。そのため、こ
の脱臭モードでは、まず熱風ヒータ8をつけ、庫内と触
媒を加熱して脱臭すると共に、その後グリルヒータ18
をつけ、とくに汚れやすい天井付近を焼き切り、この臭
気を触媒で分解することで、庫内に残った臭気を完全に
除去することが可能になる。
【0028】次に、耐熱性シリコーン系塗膜層のマンガ
ン系触媒及びゼオライト系吸着剤の含有量について説明
する。このうちマンガン系触媒は含有量が多いほど常温
での臭気吸着量が増加し、しかも加熱時の臭気脱着性お
よび分解性能は向上する。しかし、必要以上にいれる
と、塗膜層中のフィラー成分が増加して塗膜層が脆くな
り、実用に供し得なくなる。この状態を図7(a)に示
す。これは、40ミクロンの塗膜層で吸着できるエタノ
ール量を示している。これによると、マンガン系触媒量
を増やすと、吸着容量が増加していく。しかし、ある程
度以上になると、有効に作用しない塗膜深部の二酸化マ
ンガン量が増加するため、増加率は鈍くなる。また、4
0mg/m2 吸着させた塗膜層を250℃まで20deg
/minの昇温速度で加熱したとき、放出される臭気物
質の吸着総量に対する割合(ピーク時)は、二酸化マン
ガン含有量が増加すると減少していくことが分る。所が
この含有量を増加していくと、塗膜層の性能が悪くなっ
ていく。その評価方法として、碁盤目カットクロステス
トを行い、テープ引き剥がしによる密着力テストを行っ
た。その結果、含有量40%を越えると、その密着性が
悪くなっていくことが分る。次に常温時の吸着能力を向
上させるゼオライトであるが、これは二酸化マンガンよ
り密度が低いため、図7(b)に示すように、少量の添
加で塗膜層の性能が低下することが分る。以上のことか
ら脱臭性能塗膜性能を両立させるために、マンガン系触
媒は二酸化マンガンとして5〜40重量%、ゼオライト
は3〜20重量%含有させることが望ましい。
【0029】また耐熱性シリコーン系塗膜層の膜厚と吸
着容量との関係を図8に示す。膜厚は厚いほど吸着容量
は高くなるが、必要以上に厚くなると、塗膜層深部では
吸着能力を発揮することはできないため、吸着容量は飽
和してくることが分る。また余り厚くなると、塗膜層の
クラック発生の原因となる。このことから塗膜層の厚さ
としては、20〜80ミクロン程度にすることがベスト
である。
【0030】また耐熱性シリコーン系塗膜層17は、通
常の耐熱コーティングと比較して、この塗膜層17上に
付着した油などの有機物を、含有する触媒の酸化作用に
よって、自己分解し、クリーニングする自己浄化機能も
有しており、庫内を清掃する手間を省くことができる。
また耐熱性シリコーン系塗膜層17の表面に弗素系塗膜
層を2〜10ミクロン程度の厚さに施すことによって、
ひどい汚れの場合拭きとりやすくすることも可能であ
る。弗素系塗膜層は、このほかにも庫内にいれる角皿な
どとの接触の滑りを良くする効果もある。ただし、壁面
温度が300℃以上になる部分には、耐熱性の悪いこの
ような弗素系塗膜層は適応できないため、実際のオーブ
ン内の塗装では、適宜塗り分ける必要はある。しかし、
あまり厚くなると、耐熱性シリコーン系塗膜層表面が覆
われ、脱臭効果が乏しくなるため、この膜厚としては、
2〜10ミクロン程度にすることが好ましい。この膜厚
と、吸着容量との関係を図9に示す。これによると、2
0ミクロン以上になると、吸着容量の著しい低下が起っ
ていることが分る。また30ミクロンになると、弗素系
塗膜層にクラックが発生することも認められた。すなわ
ち、この程度の膜厚であれば、一般に弗素系塗膜層は分
子レベルの穴が多数あいているため、脱臭性能に悪影響
を与えることは少ない。また図10に、実際のオーブン
に耐熱性シリコーン系塗膜層を施し、この上に弗素系塗
膜層を施さない場合と(g特性)、温度の比較的に低い
内側面に弗素系塗膜層を3ミクロン程度の厚さに施した
場合(f特性)の脱臭効果を前記図4で示した方法で測
定した。これをみると、弗素系塗膜層による悪影響は出
ていないことが分る。また、角皿との滑り性、耐擦傷性
についてもこの厚さの弗素系塗膜層で十分であることは
確認されている。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
第1に、少なくとも調理用ヒータで加熱される庫内壁面
に、マンガン系触媒として二酸化マンガンを5〜40重
量%,ゼオライト系吸着剤としてゼオライトを3〜20
重量%を含有する耐熱性シリコーン系塗膜層を形成した
ため、庫内壁面の温度が低いレンジ調理、グリル調理及
び低温設定のオーブン調理中の臭気は、塗膜層の吸着作
用によって脱臭され、庫内壁面の温度が高くなる高温設
定のオーブン調理のときは塗膜層の触媒作用のみによっ
ても臭気を分解することで脱臭が可能となって、グリル
調理は勿論のことオーブン調理、レンジ調理の全ての調
理モードで高効率の脱臭をすることができる。また、従
来除去しにくかった庫内残留臭に対しても脱臭すること
ができ、さらには塗膜層を加熱しても臭気は脱着せず、
分解して放出されるので、臭気が次の調理のときに再び
発生することがない。また、低温時の優れた臭気吸着
性、加熱時の臭気脱着性及び分解性能の有効な作用が得
られるとともに実用上十分な塗膜性能が得られる。
【0032】
【0033】第2に、耐熱性シリコーン系塗膜層の上
に、弗素系塗膜層を20μm以下の厚さに形成したた
め、脱臭性能に悪影響を与えることなく耐擦傷性を向上
させることができる。
【0034】
【0035】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る加熱調理装置の実施例を示す外観
図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】上記実施例におけるレンジ調理、グリル調理で
の脱臭性能を比較例とともに示す特性図である。
【図5】上記実施例におけるオーブン調理での脱臭性能
を示す特性図である。
【図6】上記実施例において調理終了後庫内に残る臭気
の吸着除去の官能評価結果を比較例とともに示す図であ
る。
【図7】上記実施例において耐熱性シリコーン塗膜層中
の二酸化マンガン及びゼオライトの含有量に脱臭性能、
塗膜性能の評価結果を示す特性図である。
【図8】上記実施例において耐熱性シリコーン塗膜の厚
さと吸着容量の関係を示す図である。
【図9】上記実施例において弗素系塗膜層に厚さと吸着
効率との関係を示す特性図である。
【図10】上記実施例において弗素系塗膜層を施した場
合と施さない場合の脱臭効果を示す特性図である。
【図11】従来のオーブングリルレンジの平断面図であ
る。
【符号の説明】
2 オーブン庫内 6 熱風ファン 8 オーブン用熱風ヒータ 12 調理物 14 マグネトロン(マイクロ波発生源) 17 耐熱性シリコーン系塗膜層 18 グリルヒータ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−106317(JP,A) 特開 平4−114720(JP,A) 特開 昭63−137733(JP,A) 特開 平2−293535(JP,A) 特開 平7−8387(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F24C 7/02 511 F24C 15/00 F24C 7/02 541

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 庫内の調理物を加熱調理する調理用ヒー
    タと、前記庫内にマイクロ波を供給し調理物を誘電加熱
    するマイクロ波発生源とを有する加熱調理装置におい
    て、少なくとも前記調理用ヒータで加熱される庫内壁面
    に、マンガン系触媒として二酸化マンガンを5〜40重
    量%,ゼオライト系吸着剤としてゼオライトを3〜20
    重量%含有する耐熱性シリコーン系塗膜層を形成してな
    ることを特徴とする加熱調理装置。
  2. 【請求項2】 耐熱性シリコーン系塗膜層の上に、弗素
    系塗膜層を20μm以下の厚さに形成してなることを特
    徴とする請求項1記載の加熱調理装置。
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