JP3232733B2 - 超電導量子干渉素子 - Google Patents

超電導量子干渉素子

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JP3232733B2
JP3232733B2 JP00159093A JP159093A JP3232733B2 JP 3232733 B2 JP3232733 B2 JP 3232733B2 JP 00159093 A JP00159093 A JP 00159093A JP 159093 A JP159093 A JP 159093A JP 3232733 B2 JP3232733 B2 JP 3232733B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は微小な磁束を検出する超
電導量子干渉素子(以下SQUIDと称する)の高感度
化に関する。
【0002】
【従来の技術】SQUIDは超電導の性質を利用して、
微小な磁束を検出することのできる素子である。一般的
なSQUIDの構造の中でSQUIDの周囲に超電導体
が存在しない素子構造については、例えば、アイ イー
イー イー トランザクションズ オン マグネティ
クス、第17巻、400頁−403頁、1981年(IEE
E Transactions on Magnetics、Mag.17、pp.400-403(19
81))に示されている。また、SQUIDの周囲に超電導
ループを配置した素子構造については、第2回高温超電
導デバイスに関するワークショップ予稿集(新機能素子
研究開発協会、6月7−9日、1989年、北海道、2
19頁−222頁)(2nd Workshop on High Temperatu
re Superconducting Electronics R&D Association for
Future Electron Devices, June 7-9, 1989,in Shi
kabe, Hokkaido, Japan , pp.219-222)に示されてい
る。図8および図9に従来技術におけるSQUIDの上
面図を示す。従来技術においては、図9に示したよう
に、ジョセフソン素子6、および、抵抗体7を含む超電
導体で構成されたインダクタンス部分、すなわち、ワッ
シャコイル1の上部に、図には示されてはいないが絶縁
膜を介してインプットコイル3、4およびフィードバッ
クコイル2、5が配置されていた。SQUIDの周囲に
は図9に示すごとく、他の超電導体が配置されていない
か、もしくは図8に示すごとく線幅が5μm程度の細い
超電導ループ8が配置されていた。この超電導ループ8
は外部の磁場を排除するためのガードリングとして使用
されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】SQUIDを高感度化
するためには、雑音に対する信号の割合(以下S/N比
と記す)を向上させる必要がある。一般的なSQUID
はピックアップコイルで検出した磁束を薄膜トランスで
SQUIDに伝達し、それを電圧信号に変換して出力す
る。従って、S/N比を向上させるためには、ピックア
ップコイルからSQUIDまでの磁束の伝達率を向上さ
せること、および、磁束を電圧に変換する割合(磁束電
圧変換効率)を向上させることが必要である。SQUI
Dの磁束伝達率を向上させるためには、薄膜トランスを
形成するインプットコイルとSQUIDのワッシャコイ
ルとの相互インダクタンスを大きくする必要がある。ワ
ッシャコイルの周囲に何も存在しない場合には、ワッシ
ャコイルの自己インダクタンスは、ワッシャコイルの開
口部の一辺の寸法によって決まる値に、さらに寄生イン
ダクタンスを付加したものになる。また、ワッシャコイ
ルの上部に螺旋上にインプットコイルを形成した場合は
両者の相互インダクタンスは上述のワッシャコイルのイ
ンダクタンスとインプットコイルの巻数の積に比例す
る。従って、相互インダクタンスを大きくして磁束伝達
率を向上させるには、ワッシャコイルのインダクタンス
を大きくするか、もしくは、インプットコイルの巻数を
多くする必要がある。しかし、ワッシャコイルのインダ
クタンスを大きくすると、磁束の変化に対するSQUI
Dの臨界電流値の変化量が低下し、その結果、磁束電圧
変換効率が低下するという問題を引き起こす。また、イ
ンプットコイルの巻数を増やした場合は、ワッシャコイ
ルの面積も大きくなり、それに伴って寄生インダクタン
スの値が増加するため、結局ワッシャコイルのインダク
タンスが大きくなり、磁束電圧変換効率が低下するとい
う問題を引き起こす。従って、従来構造のSQUIDで
は、磁束伝達率と磁束電圧変換効率を同時に向上させて
SQUIDを高感度化することが困難であった。
【0004】また、SQUIDの周囲に電位の安定した
導体が存在しないために、多チャンネル化やデジタル化
に適していなかった。また、配線にグランドプレーンを
設けていないので、配線のインダクタンスを低下させる
ことができず、配線に電流が流れることにより発生した
磁界がワッシャコイルに影響を及ぼすという恐れがあっ
た。
【0005】一方、図8に示したごとくSQUIDの周
囲に超電導ループが存在する場合は、SQUIDを常伝
導状態から超電導状態に冷却した際に超電導ループとS
QUIDの間に磁束が凝集される恐れがある。その結
果、それらのトラップした磁束によりSQUIDの特性
が変化し安定動作しにくいという問題があった。
【0006】上述のごとく、従来技術においては高感度
で、かつ、安定動作するSQUIDを実現するための十
分な配慮がなされていたとはいえない。
【0007】従って、本発明では上記従来技術の持つ問
題点を解決して、第一に磁束伝達率と磁束電圧変換効率
を同時に向上させて高感度なSQUIDを提供するこ
と、第二に磁束トラップが少なく安定動作するSQUI
Dを提供すること、第三に配線のインダクタンスを低下
させること、および、第四に多チャンネル化やデジタル
化に適したSQUIDを提供すること、を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】磁束伝達率と磁束電圧変
換効率を同時に向上させた高感度なSQUIDを提供す
るという本発明の第一の課題、および、磁束トラップが
少なく安定動作するSQUIDを提供するという第二の
課題、および、配線のインダクタンスを低下させるとい
う第三の課題は、少なくとも、1つ以上のジョセフソン
接合と、前記ジョセフソン接合を含んで閉ループを構成
した超電導体より成るインダクタンス部分と、前記イン
ダクタンス部分に磁束を結合させるための超電導体より
成る入力コイル、からなる超電導量子干渉素子におい
て、前記インダクタンス部分を構成する超電導体の周囲
に、他の超電導体をそれ自身が超電導ループを形成しな
いように配置したグランドプレーンを設け、かつ、前記
超電導量子干渉素子の下部には他の超電導体が存在しな
い構造とすることによって達成できる。
【0009】また、本発明の第四の課題は上記構成に加
えて、前記グランドプレーンを接地することによって達
成することができる。
【0010】
【作用】本発明によるSQUIDは、SQUIDの周囲
に超電導ループを形成しないようにグランドプレーンを
配置している。そのグランドプレーンが、SQUIDの
ワッシャコイルと磁気結合をすれば、グランドプレーン
にミラー電流が流れ、それによって発生した磁束はワッ
シャコイルによる磁束をキャンセルするように働く。そ
の結果、ワッシャコイルの自己インダクタンスは低下す
る。一方、インプットコイルはワッシャコイルが実効的
にミラー電流を作るので磁束の広がりが制御されるため
周囲のグランドプレーンとは磁気結合しない。従って、
ワッシャコイルとインプットコイルの相互インダクタン
スは、ワッシャコイルの自己インダクタンスの低下に影
響を受けない。従って、磁束伝達率を一定に保ったま
ま、ワッシャコイルの自己インダクタンスのみを低下さ
せることができるので、従来のSQUIDに比べて磁束
の変化に対するSQUIDの臨界電流値の変化量を大き
くすることができ、磁束電圧変換効率を向上させること
ができる。従って、磁束伝達率と磁束電圧変換効率を同
時に向上させて高感度なSQUIDを実現することがで
きる。
【0011】また、ワッシャコイルのインダクタンスが
低下する割合は、ワッシャコイルとグランドプレーンの
磁気結合の程度による。ワッシャコイルとグランドプレ
ーンの磁気結合度は、ワッシャコイルの幅、ワッシャコ
イルの開口部、グランドプレーンとワッシャコイルの間
の距離、グランドプレーンの大きさなどによって決ま
る。従って、これらの値を変化させることによって、ワ
ッシャコイルのインダクタンスの値を任意に設定するこ
とができる。例えば、ワッシャコイルの開口部が50μ
mで幅が200μmであり、周囲のグランドプレーンの
幅が200μmの場合の、ワッシャコイルとグランドプ
レーンの間の距離とSQUIDのインダクタンスの低下
割合の関係を図7に示す。例えば、従来構造のSQUI
Dのインダクタンスに対して90%以下に低下させたけ
れば、ワッシャコイルとグランドプレーンの間の距離を
ワッシャコイルの開口部の寸法の約2倍以下にすれば良
い。また、75%に低下させたければ、ワッシャコイル
とグランドプレーンの間の距離をワッシャコイルの開口
部の寸法の約0.3倍以下にすれば良い。図7に示した
関係はインダクタンスの低下の割合として考えればここ
に示した特定の値に限らず一般的に成りたつことが確認
できた。通常SQUIDのインダクタンスの設計精度は
±5%程度であり、本発明の目的を達成するためにはイ
ンダクタンスを10%以上の割合で低下させるように設
計する必要がある。このためにはワッシャコイルとグラ
ンドプレーンの間の距離をワッシャコイルの開口部の寸
法の約2倍以下にすれば良い。
【0012】また、ワッシャコイルの少なくとも一部分
をグランドプレーンが覆う場合であっても、両者の磁気
結合係数が0.1以上になるようにすれば、同じ効果が
得られ、10%以上の割合でインダクタンスを低下させ
ることができる。従って、一般的な場合でも、ワッシャ
コイルとグランドプレーンの磁気結合係数が0.1以上
になるようにすれば、本発明の目的を達成することがで
きる。
【0013】このように、ワッシャコイルとグランドプ
レーンの間の距離を小さくすることによって、ワッシャ
コイルはそれ自身の対向部分との磁気結合に比べて、グ
ランドプレーンと強く磁気結合するようになるので、S
QUIDのインダクタンスは低下する。ワッシャコイル
とグランドプレーンの間の磁気結合の強さは主としてワ
ッシャコイルとグランドプレーンの間の距離とワッシャ
コイルの開口部の寸法の比に依存するが、ミラー電流の
効果がインダクタンスの低下量を10%より大きくする
ために十分であるためには、グランドプレーンを構成す
る超電導体の幅が、ワッシャコイルの幅の1/4以上、
より望ましくは1/3以上であることが必要である。こ
れはミラー電流のリターン成分の作る磁束が十分に小さ
くなるための条件である。この条件は、ワッシャコイル
の寸法の具体的な値によらず成り立つ。このため、例え
ばワッシャコイルの幅が200μmのSQUIDでは、
グランドプレーンの幅は50μm以上に選ぶことが望ま
しい。
【0014】また、本発明によるSQUIDでは、周囲
に設けたグランドプレーンは超電導ループを形成してい
ない。従って、SQUIDを常伝導状態から超電導状態
に冷却した際にグランドプレーンとSQUIDの間に磁
束がトラップされることがないため、SQUIDの周囲
に超電導ループが存在する従来のSQUIDに比較して
磁束トラップの影響が少なく安定動作させることができ
る。
【0015】また、本発明によるSQUIDでは、SQ
UIDの周囲に存在するグランドプレーンの上部にSQ
UIDの駆動に必要な配線を配置しているため、配線の
インダクタンスを低減することができる。
【0016】またSQUIDを多チャンネル化したりデ
ジタル化する場合には、SQUIDの周囲の電位を安定
させることが必要であるが、本発明のSQUIDでは、
SQUIDの周囲のグランドプレーンを接地することに
より、SQUIDの周囲に安定した電位を供給すること
ができる。従って、本発明のSQUIDは多チャンネル
化やデジタル化に適した構造である。また、周囲のグラ
ンドプレーンとSQUIDを1対1対応とすることによ
り、SQUIDの相互干渉を防止することができるた
め、隣接して複数のSQUIDを配置することができ、
高集積化することができる。SQUIDを高集積化でき
ることは多チャンネル化やデジタル化するために有効で
ある。
【0017】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明す
る。
【0018】図1を用いて本発明の第1の実施例を説明
する。図1は本発明の第1の実施例によるSQUIDの
構造を示す上面図である。この実施例では従来技術にお
けるSQUIDの構成に加えて、その周囲に超電導体の
薄膜によって構成したグランドプレーン11を設けたこ
とに特徴がある。このグランドプレーン11は、厚さ約
300nmで幅が約200μmのNb薄膜から構成して
ある。このグランドプレーン11は、切り込み10を設
けてあるので超電導の閉ループを構成しない。
【0019】本実施例においてはジョセフソン素子6は
Nb/Al酸化物/Nbのサンドイッチ型であり、この
素子はこれらの3つの材料をスパッタリング法によって
積層後にホトレジストをマスクとしたドライエッチング
によって加工して形成した。ジョセフソン素子を含む超
電導の閉ループを構成するワッシャコイル1には、スパ
ッタリング法によって形成し、ホトレジストをマスクと
したドライエッチングによって加工して形成した厚さ約
300nmのNb薄膜を用いた。ワッシャコイル1の幅
は約200μmであり、中央の開口部分の一辺の長さは
約50μmとした。ワッシャコイル1の縁とグランドプ
レーン11の縁とが近接する部分の間隔は約50μmと
した。
【0020】フィードバックコイル2、5は、超電導体
であるNb薄膜を用いて形成してあり、その厚さは約3
00nmである。Moの薄膜よりなる抵抗体7はジョセ
フソン素子をシャントする目的で設けられている。実際
のSQUIDのチップではこの他にSiO蒸着膜よりな
る層間絶縁膜が設けられているが、図には明示していな
い。入力信号をSQUIDに伝達するために使用するイ
ンプットコイル3、4は、やはりスパッタリング法によ
って形成し、ホトレジストをマスクとしたドライエッチ
ングによって加工して形成した厚さ約300nmのNb
薄膜を用いた。
【0021】このようにして作製したSQUIDを、液
体ヘリウムを用いて徐々に冷却したところ、グランドプ
レーン11から掃き出された磁束は切り込み10からグ
ランドプレーン11の外側に確実に排除される。このた
め、グランドプレーンの内部に磁束がトラップされるこ
とがない。
【0022】このSQUIDの自己インダクタンスは、
周囲にグランドプレーン11を設けたために、周囲にグ
ランドプレーン11が無い場合に比べて約85%に減少
した。その結果として磁束を印加した場合の電流−電圧
特性の変調度は、周囲にグランドプレーン11が無い場
合に比べて約5%増加した。これによって、SQUID
の出力電圧も50%以上改善された。本発明のSQUI
Dでは、SQUID自体の雑音の大きさは周囲にグラン
ドプレーン11が無い場合とほぼ同じであるのに対し
て、出力電圧が50%以上改善されているので、その結
果、信号のS/N比を1.5倍以上に改善することがで
きた。
【0023】一方、インプットコイル3とグランドプレ
ーン11との間には殆ど磁気的な結合が無いために入力
磁束の伝達率はグランドプレーンが無い場合と殆ど変わ
らなかった。従って、本発明のSQUIDによれば磁束
伝達率を最高に保ったまま、出力電圧を大きくして磁束
電圧変換率を向上させて、S/N比のより大きな高感度
なSQUIDを実現することができた。
【0024】本実施例においては、ワッシャコイル1の
幅とグランドプレーン11の幅をほぼ同じに選んだが、
グランドプレーン11にミラー電流が十分に流れる程度
の幅をグランドプレーン11が持てば良いので、グラン
ドプレーン11の幅はワッシャコイル1の幅の約1/4
以上である必要があり、より好ましくは本実施例のごと
く1倍程度の幅を持つことが発明の目的を達するために
必要である。実際のグランドプレーン11の幅はこの範
囲に選んでおけば良く、ここに示した値に限定されるも
のではない。
【0025】また、本実施例ではSQUIDの配線は全
てグランドプレーンの上に、絶縁膜を介して設けられて
おり、グランドプレーンはSQUIDの駆動用の電流を
供給するための配線のアース面として働く。すなわち配
線はマイクロストリップラインの形状を有している。こ
のため配線のインダクタンスはグランドプレーンが無い
場合に比べて半分以下の安定した値に作製できる。ま
た、電流が発生する磁束による干渉やクロストークによ
るSQUIDの誤動作といった問題をなくすことができ
る。
【0026】次に、図2を用いて第2の実施例を説明す
る。図2は本発明の実施例によるSQUIDの上面図で
ある。この実施例では図1に示したSQUIDとは異な
り、グランドプレーン11とワッシャコイル1が空間的
な重なり部分31を持つことが特徴である。dcSQU
IDそのものやグランドプレーン11の形成方法は図1
に示したSQUIDと同じで良い。図3は図2に示した
SQUIDのAA断面を示す断面図である。この図から
わかるようにSi単結晶からなる厚さ450μmの基板
30の上に、グランドプレーン11とワッシャコイル1
が空間的な重なり部分31を持って配置されている。図
3にはインプットコイルを明示していない。重なり部分
31の大きさおよびその範囲は、グランドプレーン11
とインプットコイル3が磁気的な結合を持たない程度に
選べば良く、具体的にはグランドプレーン11とインプ
ットコイル3の間の距離を、ワッシャコイル1とインプ
ットコイル3の層間絶縁膜厚の3倍以上、より好ましく
は5倍以上に選べば発明の目的を達することができる。
本実施例においても、SQUIDの冷却時にはグラン
ドプレーン11から掃き出された磁束は切り込み10か
らグランドプレーン11の外側に確実に排除される。こ
のため、グランドプレーンの内部に磁束がトラップされ
ることがない。
【0027】このSQUIDの自己インダクタンスは、
周囲にグランドプレーン11を設けたために、周囲にグ
ランドプレーン11が無い場合に比べて約65%に減少
した。その結果として磁束を印加した場合の電流−電圧
特性の変調度は、周囲にグランドプレーン11が無い場
合に比べて約30%増加した。これによって、SQUI
Dの出力電圧は80%以上改善された。本発明のSQU
IDでは、SQUID自体の雑音の大きさは周囲にグラ
ンドプレーン11が無い場合とほぼ同じであるのに対し
て、出力電圧が80%以上改善されているので、その結
果信号のS/N比が1.8倍以上に改善することができ
た。
【0028】一方、インプットコイル3とグランドプレ
ーン11との間には殆ど磁気的な結合が無いために入力
磁束の伝達率はグランドプレーンが無い場合と殆ど変わ
らなかった。従って、本発明のSQUIDによれば磁束
伝達率を最高に保ったまま、出力電圧を大きくして磁束
電圧変換率を向上させて、S/N比のより大きな高感度
なSQUIDを実現することができた。
【0029】本実施例では、重なり部分31はワッシャ
コイル1の周囲のほぼ全体に設けたが、これを一部分の
みにしても、本発明の目的を達することができる。その
際には、SQUIDのインダクタンスの対称性を保つよ
うに線対称、もしくは点対称の配置になるように重なり
部分31を設けることがのぞましい。
【0030】つぎに、図4を用いて本発明の第3の実施
例を説明する。図4は本発明の実施例によるSQUID
の上面図である。この実施例では図1に示したSQUI
Dとは異なり、グランドプレーン11に2つの切り込み
10を設けたことが特徴である。作製方法等は本発明の
最初の実施例と同じで良い。
【0031】このようにして作製したSQUIDを、液
体ヘリウムを用いて徐々に冷却したところ、グランドプ
レーン11から掃き出された磁束は切り込み10からグ
ランドプレーン11の外側に確実に排除される。このた
め、グランドプレーンの内部に磁束がトラップされるこ
とがない。
【0032】このSQUIDの自己インダクタンスは、
周囲にグランドプレーン11を設けたために、周囲にグ
ランドプレーン11が無い場合に比べて約85%に減少
した。その結果として磁束を印加した場合の電流−電圧
特性の変調度は、周囲にグランドプレーン11が無い場
合に比べて約5%増加した。これによって、SQUID
の出力電圧も50%以上改善された。本発明のSQUI
Dでは、SQUID自体の雑音の大きさは周囲にグラン
ドプレーン11が無い場合とほぼ同じであるのに対し
て、出力電圧が50%以上改善されているので、その結
果、信号のS/N比を1.5倍以上に改善することがで
きた。これらの改善は本発明の最初の実施例と殆ど同じ
である。つまり、ワッシャコイル1の周囲に設けるグラ
ンドプレーン11の配置は必ずしも全体である必要は無
く、これを一部分のみにしても、本発明の目的を達する
ことができる。その際には、SQUIDのインダクタン
スの対称性を保つように線対称、もしくは点対称の配置
になるように切り込み10を設けることがのぞましい。
【0033】一方、インプットコイル3とグランドプレ
ーン11との間には殆ど磁気的な結合が無いために入力
磁束の伝達率はグランドプレーンが無い場合と殆ど変わ
らなかった。従って、本発明のSQUIDによれば磁束
伝達率を最高に保ったまま、出力電圧を大きくして磁束
電圧変換率を向上させて、S/N比のより大きな高感度
なSQUIDを実現することができた。
【0034】本実施例においては、ワッシャコイル1の
幅とグランドプレーン11の幅をほぼ同じに選んだが、
グランドプレーン11にミラー電流が十分に流れる程度
の幅をグランドプレーン11が持てば良いので、グラン
ドプレーン11の幅はワッシャコイル1の幅の約1/4
以上である必要があり、より好ましくは本実施例のごと
く1倍程度の幅を持つことが発明の目的を達するために
必要である。実際のグランドプレーン11の幅はこの範
囲に選んでおけば良く、ここに示した値に限定されるも
のではない。
【0035】つぎに、図5を用いて本発明の第4の実施
例を説明する。この実施例では図4に示したSQUID
を4個並べて配置してあることが特徴である。その際、
個々のワッシャコイル51〜54にはそれぞれグランド
プレーン55〜58がそれぞれ1対1に対応するように
設けてあり、電気的には接続しないような形状に選んで
ある。これは、グランドプレーンに流れる磁気遮蔽電流
によって別のSQUID同士が磁気的に結合して、特性
が変化してしまうことを防止する効果がある。このよう
な構成をとることによって、高感度なSQUIDを多数
並べて集積化して使用することができる。また、SQU
IDの配線は全てグランドプレーンの上に、絶縁膜を介
して設けられており、マイクロストリップラインの形状
を有している。このため配線のインダクタンスはグラン
ドプレーンが無い場合に比べて半分以下の安定した値に
作製できる。また、電流の発生する磁束による干渉やク
ロストークによるSQUIDの誤動作といった問題をな
くすことができる。
【0036】つぎに、図6を用いて本発明の第5の実施
例を説明する。図6は本発明の実施例によるSQUID
の上面図である。この実施例では図1に示したSQUI
Dとは異なり、ワッシャコイル1を二つ有するダブルワ
ッシャタイプのSQUIDによって本発明を実施してい
る。作製方法等は本発明の最初の実施例と同じで良い。
その際、個々のワッシャコイル1にはそれぞれグランド
プレーン11が1対1に対応するように設けてあり、し
かも切り込み10によってそれらは電気的には接続しな
いような形状に選んである。これは、グランドプレーン
に流れる磁気遮蔽電流によって別のワッシャコイル同士
が磁気的に結合して、正しい測定ができなくなることを
防止する効果がある。このような構成をとることによっ
て、高感度なSQUIDを多数並べて集積化して使用す
ることができる。また、本実施例でもSQUIDの配線
は全てグランドプレーンの上に、絶縁膜を介して設けら
れており、マイクロストリップラインの形状を有してい
る。このため配線のインダクタンスはグランドプレーン
が無い場合に比べて半分以下の安定した値に作製でき
る。また、電流の発生する磁束による干渉やクロストー
クによるSQUIDの誤動作といった問題をなくすこと
ができる。
【0037】以上に述べた本実施例では超電導体として
Nbを用いたがこれに限るものではなく、Nbの金属間
化合物、NbN、Pb−5wt%In合金等のPb合
金、あるいは酸化物超電導材料等を用いても良いことは
言うまでもない。
【0038】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、磁束
伝達率と磁束電圧変換効率を同時に向上させた高感度な
SQUIDを提供すること、多チャンネル化やデジタル
化に適したSQUIDを提供すること、磁束トラップが
無く安定に動作するSQUIDを提供すること、および
配線のインダクタンスを低下させることのできる効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のSQUIDの構造を示す上面図であ
る。
【図2】本発明のSQUIDの構造を示す上面図であ
る。
【図3】SQUIDのAA断面図である。
【図4】本発明のSQUIDの構造を示す上面図であ
る。
【図5】本発明のSQUIDの構造を示す上面図であ
る。
【図6】本発明のSQUIDの構造を示す上面図であ
る。
【図7】ワッシャコイルとグランドプレーンの間の距離
とSQUIDのインダクタンスの関係である。
【図8】従来のSQUIDの構造を示す上面図である。
【図9】従来のSQUIDの構造を示す上面図である。
【符号の説明】
1 ワッシャコイル、2 フィードバックコイル、3
インプットコイル、4 インプットコイル、5 フィー
ドバックコイル、6 ジョセフソン素子、7 抵抗体、
8 ガードリング、10 切り込み 11 グランドプレーン、30 基板、31 重なり部
分、51〜54 ワッシャコイル、55〜58 グラン
ドプレーン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 39/22 - 39/24 H01L 39/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも、1つ以上のジョセフソン接合
    と、前記ジョセフソン接合を含んで閉ループを構成した
    超電導体より成るインダクタンス部分と、前記インダク
    タンス部分に磁束を結合させるための超電導体より成る
    入力コイルとからなる超電導量子干渉素子において、前
    記インダクタンス部分を構成する超電導体の周囲に、他
    の超電導体をそれ自身が超電導ループを形成しないよう
    に配置したグランドプレーンを設け、かつ、前記超電導
    量子干渉素子の下部には他の超電導体が存在しない構造
    とし、前記インダクタンス部分と前記グランドプレーン
    は磁気結合係数が0.1以上で磁気結合していることを
    特徴とする超電導量子干渉素子。
  2. 【請求項2】少なくとも、1つ以上のジョセフソン接合
    と、前記ジョセフソン接合を含んで閉ループを構成した
    超電導体より成るインダクタンス部分と、前記インダク
    タンス部分に磁束を結合させるための超電導体より成る
    入力コイルとからなる超電導量子干渉素子において、前
    記インダクタンス部分を構成する超電導体の周囲に、他
    の超電導体をそれ自身が超電導ループを形成しないよう
    に配置したグランドプレーンを設け、かつ、前記超電導
    量子干渉素子の下部には他の超電導体が存在しない構造
    とし、前記インダクタンス部分と前記グランドプレーン
    間の距離は、前記インダクタンス部分の構成する閉ルー
    プの径の2倍以下であることを特徴とする超電導量子干
    渉素子。
  3. 【請求項3】少なくとも、1つ以上のジョセフソン接合
    と、前記ジョセフソン接合を含んで閉ループを構成した
    超電導体より成るインダクタンス部分と、前記インダク
    タンス部分に磁束を結合させるための超電導体より成る
    入力コイルとからなる超電導量子干渉素子において、前
    記インダクタンス部分を構成する超電導体の周囲に、他
    の超電導体をそれ自身が超電導ループを形成しないよう
    に配置したグランドプレーンを設け、かつ、前記超電導
    量子干渉素子の下部には他の超電導体が存在しない構造
    とし、前記超電導量子干渉素子を構成する前記インダク
    タンス部分が少なくとも2つ以上の主要なインダクタン
    ス部分に分けて構成されており、前記そ れぞれのインダ
    クタンス部分の中央を基準として、線対称、または点対
    称となるように前記グランドプレーンを配置したことを
    特徴とする超電導量子干渉素子。
  4. 【請求項4】少なくとも、1つ以上のジョセフソン接合
    と、前記ジョセフソン接合を含んで閉ループを構成した
    超電導体より成るインダクタンス部分と、前記インダク
    タンス部分に磁束を結合させるための超電導体より成る
    入力コイルとからなる超電導量子干渉素子において、前
    記インダクタンス部分を構成する超電導体の周囲に、他
    の超電導体をそれ自身が超電導ループを形成しないよう
    に配置したグランドプレーンを設け、かつ、前記超電導
    量子干渉素子の下部には他の超電導体が存在しない構造
    とし、前記超電導量子干渉素子と前記グランドプレーン
    は1対1対応となるように組み合わせて構成され、さら
    にその周囲に複数の前記超電導量子干渉素子を並べて配
    置したことを特徴とする超電導量子干渉素子。
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