JP3231199B2 - 被鋳ぐるみ部材の表面処理法 - Google Patents

被鋳ぐるみ部材の表面処理法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は被鋳ぐるみ部材の表面処
理法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、各種部材の表面処理法としては金
属溶射法が知られている。この場合、溶射層表面の酸化
膜はショットブラスト法により除去される(例えば、特
開昭53−6238号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】金属溶射法において
は、圧縮空気により溶融金属を霧化してその微小滴状物
を部材に吹付けるものであるから、微小滴状物が酸化さ
れ易く、その結果、溶射層表面に酸化膜が形成されるだ
けでなく、溶射層内部にも酸化物が存在する。
【0004】このような溶射層にショットブラスト法を
施した場合、その表面に存する酸化膜は除去されるが、
溶射層内部に存する酸化物を除去することはできない。
【0005】被鋳ぐるみ部材において、その溶湯との接
触面に金属溶射法の適用下で形成される接合層は、被鋳
ぐるみ部材と溶湯、したがって鋳造体との接合媒体とし
て機能するものであるから、前記のように接合層内部に
酸化物が存在していたのでは、その接合層自体が低強度
となり、その結果、被鋳ぐるみ部材および鋳造体間の接
合強度が低下する、といった問題を生じる。
【0006】本発明は前記に鑑み、接合層内部に存する
酸化物をも除去することのできる、前記被鋳ぐるみ部材
の表面処理法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る被鋳ぐるみ
部材の表面処理法は、被鋳ぐるみ部材の溶湯との接触面
に、その溶湯に対し溶着性を持つ金属材を溶射して接合
層を形成し、次いで前記接合層を前記金属材の融点未満
の温度に加熱して、その接合層表面の酸化膜を軟化させ
ると共に接合層内部の酸化物をその表面側に移行させ、
その後軟化酸化膜および移行酸化物をブラッシングによ
除去することを特徴とする。
【0008】
【作用】溶射による接合層表面の酸化膜は、常温下にお
いて高い硬さを有するが、接合層に前記温度にて加熱処
理を施すと、その接合層を溶融流出させることなく酸化
膜を軟化させると同時に、溶射に起因して接合層内部に
存する酸化物拡散現象により接合層表面側に移行させ
ることができる。
【0009】このような軟化酸化膜および移行酸化物
は、ワイヤブラシ、回転ワイヤブラシ、砥粒入り合成樹
脂ブラシ等によるブラッシングによって容易に除去され
る。
【0010】前記処理後の接合層は、その表面の酸化膜
が除去されていることから溶湯に対する溶着性が良好で
あり、また内部の酸化物が除去されていることから接合
層自体の高強度化が達成され、これにより被鋳ぐるみ部
材および鋳造体間の接合強度を向上させることができ
る。
【0011】
【実施例】図1,2において、内燃機関用シリンダブロ
ック1は鋳造体であるAl合金製シリンダブロック本体
2と、そのシリンダブロック本体2に鋳ぐるまれた4つ
の鋳鉄製シリンダライナ(被鋳ぐるみ部材)3とよりな
る。
【0012】シリンダブロック本体2と各シリンダライ
ナ3との接合性を高めるため、図3に示すように、鋳造
に先立って、各シリンダライナ3におけるAl合金組成
の溶湯との接触面である外周面4には下地層5を介して
接合層6が形成される。
【0013】その接合層6は、Al合金組成の溶湯に対
し溶着性を持つ金属材、例えばAl合金系ろう材よりな
る。下地層5はシリンダライナ3および接合層6に対し
て良好な接合性を有するもので、例えばNi系合金より
なる。
【0014】接合層6は次のような表面処理法により形
成される。 (1) 図4(a)に示すように、シリンダライナ3の
外周面4にブラスト処理を施してその外周面4を粗面化
する。 (2) 図4(b)に示すように、シリンダライナ3の
外周面4に金属溶射処理を施して下地層5を形成する。 (3) 図4(c)に示すように、下地層5の表面に金
属溶射処理を施して接合層6を形成する。
【0015】この接合層6はAl合金系ろう材を構成材
料とする溶射層であるから、その表面には酸化膜7が形
成され、また内部には酸化物が存在する。そのため、接
合層6表面はセラミック質の梨子地を呈し、金属光沢を
持たない。 (4) 接合層6に加熱処理を施す。常温下において、
接合層6表面の酸化膜7は高い硬さを有するが、接合層
6に加熱処理を施すと酸化膜7は軟化する。それと同時
に、接合層6内部に存する酸化物は拡散現象により接合
層6表面側に移行する。 (5) 図4(d)に示すように、加熱下にある接合層
6表面にワイヤブラシ、回転ワイヤブラシ、砥粒入り合
成樹脂ブラシ等によるブラッシングを施すと、軟化酸化
膜7および移行酸化物は接合層6より容易に除去され
る。この軟化酸化膜7等の除去は、接合層6表面が金属
光沢を持つことによって判断される。
【0016】前記処理後の接合層6は、その表面の酸化
膜7が除去されていることから溶湯に対する溶着性が良
好であり、また内部の酸化物が除去されていることから
接合層6自体の高強度化が達成され、これによりシリン
ダライナ3およびシリンダブロック本体2間の接合強度
を向上させることができる。
【0017】Al合金系ろう材は、鋳鉄、合金鋼、炭素
鋼、焼結合金等の鉄系材料よりなる被鋳ぐるみ部材に対
する付着性、強度、金属溶射法適用下における融点、A
l合金組成を持つ溶湯との相溶性、熱膨脹係数、等の諸
点を考慮した場合、接合層6の構成材料として最適であ
る。
【0018】金属溶射法としては、フレーム溶射法、ア
ーク溶射法、プラズマ溶射法等が適用される。この場
合、圧縮空気に代えて、圧縮した不活ガス、例えば窒素
ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等を用いると、接合
層6における酸化膜7および酸化物の発生を大幅に抑制
することが可能である。
【0019】接合層6の加熱処理において、その加熱温
度Tは、シリンダライナ3を構成する鋳鉄が軟化してそ
の耐摩耗性が損われるおそれがある温度よりも低い温
度、つまりT≦650℃に設定される。また加熱温度T
は、接合層6、したがってAl合金系ろう材の融点をm
pとしたとき、接合層6の溶融流出を防止すべく、T<
mp、つまりAl合金系ろう材の融点未満の温度でなけ
ればならない。
【0020】例えば、Al−Si合金系ろう材を用いた
場合、その融点mpは580℃≦mp≦592℃である
から、加熱温度Tは400℃≦T≦450℃に設定され
る。また加熱時間tは5分間≦t≦60分間が適当であ
る。
【0021】以下、具体例について説明する。 (1) JIS FC 250よりなる鋳鉄製シリンダ
ライナ3の外周面4に、1次および2次ブラスト処理を
施してその外周面4を粗面化した。1次ブラスト処理に
おいては吹付け材としてサンドが、また2次ブラスト処
理においては吹付け材としてホワイトアランダムがそれ
ぞれ用いられた。両処理において、吹付け圧は3〜5kg
f/cm2 に、また吹付け時間は2〜10sec /dm2 に、
さらにノズルとシリンダライナ間の距離は200mmにそ
れぞれ設定された。 (2) 溶射材としてNi−5重量%Al合金を用いた
プラズマ溶射法を適用して、シリンダライナ3の外周面
4に厚さ50μmの下地層5を形成した。 (3) 溶射材として、融点mp=580〜592℃の
Al−Si合金系ろう材(9〜11重量%Si、残部A
l)を用いたアーク溶射法を適用して、下地層5の表面
に厚さ100μmの接合層6を形成した。この接合層6
の表面は、そこに酸化膜7が存在することからセラミッ
ク質の梨子地を呈し、金属光沢を持っていなかった。 (4) シリンダライナ3を加熱炉内に設置して、その
接合層6に、加熱温度T=450℃、加熱時間t=10
分間の条件で加熱処理を施した。 (5) 加熱下にある接合層6表面を、その表面が金属
光沢を呈するまでワイヤブラシによりブラッシングし
て、接合層6表面の軟化酸化膜7および移行酸化物を除
去した。 (6) 接合層6を備えた4つのシリンダライナ3を4
50℃に加熱して、30〜35℃のシリンダブロック鋳
造用砂型内に設置し、溶湯組成 JIS AC4C、溶
湯温度 720℃の条件で重力鋳造を行い、シリンダブ
ロック1の例1を得た。
【0022】また接合層6の加熱処理における加熱温度
TをT=230℃に変更した点以外は前記と同一条件に
てシリンダブロック1の例2を鋳造した。
【0023】表1はシリンダブロック1の例1,2にお
けるシリンダライナ3とシリンダブロック本体2との接
合強度を示す。
【0024】
【表1】 表1から明らかなように、例1は例2に比べて接合強度
が高い。これは次のような理由による。即ち、例1の接
合層6においては、その加熱温度Tが最適であったため
酸化物の拡散移行が十分に行われ、その結果、接合層6
内には酸化物が殆ど残存していなかった。ところが、例
2の接合層6においては、その加熱温度Tが低かったた
め酸化物の拡散移行が不十分であり、その結果、接合層
6内に若干の酸化物が残存していた。
【0025】接合層6に加熱処理を施さずにブラッシン
グを行った場合、酸化膜7が残っていると、シリンダラ
イナ3とシリンダブロック本体2とが全然接合せず、一
方、酸化膜7を除去しても接合層6内部の酸化物が除去
されていないことから、両者3,2の接合強度は87kg
f/cm2 といったように低いものであった。
【0026】また接合層6の加熱温度Tを、その融点m
p以上の温度、例えばT=600℃に設定したところ、
ブラッシング時に接合層6が溶融流出し、またその溶融
物がワイヤブラシに付着する、といった不具合を生じ
た。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、前記のように特定され
た手段を採用することによって、溶湯との溶着性が良好
で、且つ高強度な接合層を備えた被鋳ぐるみ部材を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリンダブロックの斜視図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】シリンダライナの要部破断斜視図である。
【図4】表面処理工程の説明図である。
【符号の説明】
3 シリンダライナ(被鋳ぐるみ部材) 4 外周面(接触面) 6 接合層 7 酸化膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 紀人 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭50−1922(JP,A) 特開 昭53−6238(JP,A) 特開 平7−124738(JP,A) 特開 平6−179068(JP,A) 特開 平5−31567(JP,A) 特開 昭59−30464(JP,A) 特公 昭43−1753(JP,B1) 特公 昭34−5857(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 19/00 B05D 1/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被鋳ぐるみ部材(3)の溶湯との接触面
    (4)に、その溶湯に対し溶着性を持つ金属材を溶射し
    て接合層(6)を形成し、次いで前記接合層(6)を
    記金属材の融点未満の温度に加熱して、その接合層
    (6)表面の酸化膜(7)を軟化させると共に接合層
    (6)内部の酸化物をその表面側に移行させ、その後軟
    化酸化膜(7)および移行酸化物をブラッシングにより
    除去することを特徴とする被鋳ぐるみ部材の表面処理
    法。
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