JP3229891B2 - 多孔質プラスチック構造物の製造方法 - Google Patents

多孔質プラスチック構造物の製造方法

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JP3229891B2
JP3229891B2 JP00219092A JP219092A JP3229891B2 JP 3229891 B2 JP3229891 B2 JP 3229891B2 JP 00219092 A JP00219092 A JP 00219092A JP 219092 A JP219092 A JP 219092A JP 3229891 B2 JP3229891 B2 JP 3229891B2
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武彦 小森
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は送風機のモータ或いはフ
ァンが発生する騒音を吸収する吸音材などに使用する多
孔質プラスチック構造物の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、合成樹脂製の多数のペレット
の表面を加熱溶融して粒状態を保持したまま表面相互を
接合することによって連通した多孔質体を構成し、吸音
材等に使用するものがある。
【0003】図3は従来の板状の多孔質プラスチック構
造物を成形する金型を示す説明図である。図において、
21は固定型、22は固定型21のキャビティに挿入さ
れるコアを有する移動型であり、型締めしたときに固定
型21と移動型22との間に成形品の形成が行なわれる
成形空間Cが形成されるようになっている。21aは固
定型21内に形成された加熱チャンバ、21bは冷却水
Wの通水制御を行なうための水冷弁、21cはスチーム
Sの通流を制御するためのスチーム弁、21dは固定型
21の加熱チャンバ21a内にスチームSまたは冷却水
Wを選択的に導入する導入管、21eは加熱チャンバ2
1a内を通流したスチームSまたは冷却水Wを外部に排
出するための排出管、21fはそのドレン弁である。2
2aは移動型22内に形成された加熱チャンバ、22b
は冷却水Wの通水制御を行なうための水冷弁、22cは
スチームSの通流を制御するためのスチーム弁、22d
は移動型22の加熱チャンバ22a内にスチームSまた
は冷却水Wを選択的に導入する導入管、22eは加熱チ
ャンバ22a内を通流したスチームSまたは冷却水Wを
外部に排出するための排出管、22fはそのドレン弁で
ある。
【0004】3は合成樹脂製のペレットPを一時的に貯
蔵し、固定型21と移動型22との間の成形空間Cに送
給するための加圧タンクである。4は加圧タンク3に接
続された供給管、5は加圧タンク3の一端より供給され
るエアAの圧力によって加圧タンクから送出され、供給
管4を通って供給されてきたペレットPを、固定型21
内を貫通する供給路21gから成形空間C内に送給する
ための充填器である。6は固定型21の内部に取付けら
れ、加熱チャンバ21a内のスチームSを成形空間C内
に噴射するためのスチーム噴射口、7は移動型22の内
部に取付けられ、加熱チャンバ22a内のスチームSを
成形空間C内に噴射するためのスチーム噴射口である。
【0005】次に、上記のように構成された従来の方法
による板状の多孔質プラスチック構造物の成形について
説明する。まず、固定型21と移動型22を圧縮代tを
残して型締めした後、充填器5によって加圧タンク3内
のペレットPを成形空間C内に加圧充填する。次いで、
固定型21と移動型22とを完全に型締めしてペレット
Pを過充填状態とする。そして、この状態で、固定型2
1の加熱チャンバ21a及び移動型22の加熱チャンバ
22a内にそれぞれスチームSを投入し、固定型21の
スチーム噴出口6及びスチーム噴出口7から成形空間C
内に噴射して直接及び金型を介して間接にペレットPを
加熱して、ペレットPの融点近辺まで温度上昇させて、
ペレットPの表面を溶融状態にする。すると、このと
き、成形空間C内は加圧充填された状態となっているの
で、ペレットPは相互に押圧されて接合する。
【0006】この後、固定型21側のスチーム弁21c
及び移動型22側のスチーム弁22cを閉じて、固定型
21の加熱チャンバ21a、移動型22の加熱チャンバ
22a及び成形空間C内のスチームSを排出し、続い
て、固定型21側の水冷弁21b及び移動型22側の水
冷弁22bを開いてスチーム噴出口6及びスチーム噴出
口7より冷却水Wを固定型21、移動型22の空胴部及
成形空間C内に噴射して加熱溶融状態にあるペレット
Pを強制的に冷却し、次いで、成形品表面の水分を真空
吸引により排除し、金型を開いて板状に成形された成形
品を取出す。前記成形品はペレットPの表面を溶融し、
型締めによる過充填状態での加圧によってペレットPの
表面相互を溶着したものであるから、連通した多孔質体
となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、吸音材など
に使用される多孔質プラスチック材は、図4に示すよう
に円筒状成形体に形成して使用する場合がある。図4は
円筒状に形成された多孔質プラスチック材により騒音対
策が施された送風機を示す断面図である。図において、
31は円筒状をなす送風機の風胴であり、この風胴31
は発泡性の合成樹脂から製作されて吸音材としての作用
を奏するようになっている。32は風胴31内に設けら
れた一対のモータ、33は各モータ32に取付けられて
回転駆動されるファン、34は前記風胴31の外周面を
覆う外装用板金である。そして、送風機の作動時におい
て、モータ32の作動音或いはファン33の風切音等の
風胴31内で生じた騒音は風胴31にて吸音され、外装
用板金34により外部に漏れるのを防止している。
【0008】上記多孔質プラスチック材からなる円筒状
の風胴31は発泡剤を使用して発泡させて多孔質とする
場合には成形可能である。しかし、吸音効果を十分に挙
げるために前述の板状の成形品のように粒状態を保って
ペレットPの表面相互を加熱溶融して連通してなる多孔
質体を成形するのは困難であった。
【0009】これを図5の円筒状の多孔質プラスチック
構造物の成形金型を示す説明図によって説明する。図に
おいて、1は凹型、2は凹型1のキャビティに挿入され
るコアを有する凸型であり、型締めしたときに凹型1と
凸型2との間に成形品の形成が行なわれる円筒状の成形
空間Cが形成されるようになっている。1aは凹型1内
に形成された加熱チャンバ、1bは冷却水Wの通水制御
を行なうための水冷弁、1cはスチームSの通流を制御
するためのスチーム弁、1dは凹型1の加熱チャンバ1
a内にスチームSまたは冷却水Wを選択的に導入する導
入管、1eは加熱チャンバ1a内を通流したスチームS
または冷却水Wを外部に排出するための排出管、1fは
そのドレン弁である。2aは凸型2内に形成された加熱
チャンバ、2bは冷却水Wの通水制御を行なうための水
冷弁、2cはスチームSの通流を制御するためのスチー
ム弁、2dは凸型2の加熱チャンバ2a内にスチームS
または冷却水Wを選択的に導入する導入管、2eは加熱
チャンバ2a内を通流したスチームSまたは冷却水Wを
外部に排出するための排出管、2fはそのドレン弁であ
る。
【0010】即ち、円筒状の多孔質プラスチック構造物
の場合にはその型抜き構造の点から金型構造は、図のよ
うに、凹型1のキャビティにより円筒状成形品の内周面
を、凸型2のコアにより円筒状成形品の外周面を形成す
る構成となる。
【0011】ところで、ペレットPを加熱して粒状態で
溶融結合して連通した多孔質体の成形において、所要の
ペレットPの相互間の接合強度を得るためには、加熱に
よる膨脹力のみによっては十分な接合強度は得られず、
更に外部から加圧する必要がある。ところが、この円筒
状成形品の金型は、上記のように成形品の外周面、内周
面相当部分に対して内外から加圧するスライド金型機構
を設けることは金型構造が複雑化し、製作が困難であ
る。もちろん、前記板状成形体と同様に圧縮代tを設け
て過充填させることはできるが、型締め方向に形成され
る受圧面積は円筒端面のリング部分aしかとれず、十分
な面圧を得ることはできず、従って、所要の接合強度を
得るための加圧力が得られない。
【0012】そこで、本発明は、簡易な金型構造によっ
て、円筒状等任意の形状の成形品に対応して、ペレット
相互を表面において溶融接合した多孔質体を成形できる
多孔質プラスチック構造物の製造方法の提供を課題とす
るものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる多孔質プ
ラスチック構造物の製造方法は、内部に微細な気泡が混
入されているだけで発泡剤等は含有されていない合成樹
脂製の多数のペレットを凹型と凸型との間の成形型内に
過充填状態に充填する充填工程と、前記成形型内に充填
したペレットを加熱溶融するスチームを、凹型の加熱チ
ャンバ及び凸型の加熱チャンバ内に送入することにより
間接的に加熱して前記ペレットの表面を溶融する加熱工
程と、所定時間加熱し、前記ペレットの表面を溶融した
状態で成形型内を真空吸引によって負圧状態に保持する
真空吸引工程とを具備し、成形型 内を負圧状態として、
前記ペレット内の気泡の膨脹を促進し、前記ペレット相
互の圧接力を増大させて溶着強度を増大させたものであ
る。
【0014】
【作用】本発明においては、成形型内に多数のペレット
を充填した後、前記ペレットを加熱し、表面が軟化溶融
した状態で成形金型内を真空吸引することによって、強
制的にペレット内に混入している気泡が膨脹し、相互間
が加圧されるので、加熱による膨脹力だけでペレット相
互間を接合した場合と比較して接合強度が向上し、多孔
質構造物として十分な剛性が付与されるとともに、粒状
態で表面相互が接合しているために連通した細長い空隙
が得られる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例を円筒状の多孔質プ
ラスチック構造物を成形する場合につき図1に基づいて
説明する。図1は本発明の一実施例による多孔質プラス
チック構造物の製造方法の成形金型を示す説明図であ
る。図中、図3及び図5と同一符号は従来の構成部分と
同一または相当する部分である。
【0016】図において、1は凹型、2は凹型1のキャ
ビティに挿入されるコアを有する凸型であり、型締めし
たときに凹型1と凸型2との間に成形品の形成が行なわ
れる円筒状の成形空間Cが形成されるようになってい
る。1aは凹型1内に形成された加熱チャンバ、1bは
冷却水Wの通水制御を行なうための水冷弁、1cはスチ
ームSの通流を制御するためのスチーム弁、1dは凹型
1の加熱チャンバ1a内にスチームSまたは冷却水Wを
選択的に導入する導入管、1eは加熱チャンバ1a内を
通流したスチームSまたは冷却水Wを外部に排出するた
めの排出管、1fはそのドレン弁である。2aは凸型2
内に形成された加熱チャンバ、2bは冷却水Wの通水制
御を行なうための水冷弁、2cはスチームSの通流を制
御するためのスチーム弁、2dは凸型2の加熱チャンバ
2a内にスチームSまたは冷却水Wを選択的に導入する
導入管、2eは加熱チャンバ2a内を通流したスチーム
Sまたは冷却水Wを外部に排出するための排出管、2f
はそのドレン弁である。
【0017】8は凸型2の一部を構成し、成形空間Cの
内周部を形成するコアとなるものであるとともに、凸型
2の一部を構成する固定されたベース型9に対してシリ
ンダ10を介して前後方向にスライド可能なスライド型
であって、成形後、成形収縮によってスライド型8の外
周面に収縮緊合している成形品を、ベース型9で支持す
ることによって脱型可能とするものである。11は本発
明による真空吸引機構を構成する真空吸引管であり、一
端はベース型9内を貫通して成形空間C内に開口してお
り、図示しない真空ポンプによって成形空間C内を約7
6Torrまで真空状態とすることが可能である。12は真
空吸引管11の途中に設けられた開閉弁である。
【0018】PはABS樹脂からなる球状の多数のペレ
ットで、直径が1〜2mm程度であり、製造時に内部に微
細な気泡が混入されているだけで発泡剤等は含有されて
いない。なお、このときの成形空間Cの内容積に対する
ペレットPの容積の比率、即ちペレットPの充填率は6
5〜70%程度とする。
【0019】次に、上記のように構成された本実施例の
多孔質プラスチック構造物の製造方法による円筒状の多
孔質成形品の成形について説明する。まず、凹型1と凸
型2とを10〜15mm程度の圧縮代tを残して型締めし
た後、充填器5によって加圧タンク3内のペレットPを
成形空間C内に加圧充填する。次に、完全に型締めして
成形空間C内を気密状態にするとともに、凸型1のキャ
ビティのリング部分aの面圧によってペレットPを僅か
に過充填状態とする。
【0020】その後、この状態で、凹型1の排出管1e
のドレン弁1f及び凸型2の排出管2eのドレン弁2f
を閉じるとともに、凹型1の導入管1dのスチーム弁1
c及び凸型2の導入管2dのスチーム弁2cを開いて凹
型1の加熱チャンバ1a及び凸型2の加熱チャンバ2a
内にスチームSを投入し、それぞれの加熱チャンバ内を
130〜180℃程度に加熱して間接的に成形空間C内
のペレットPを加熱し、ペレットPの融点温度近くまで
温度上昇させてペレットPの表面を溶融状態にする。す
ると、ペレットPは内部に混入した気泡の膨脹に伴って
膨脹し、更に、成形空間C内は加圧充填された状態とな
っていることによりペレットPの相互が圧接されて表面
同士は僅かに溶着する。
【0021】スチームSにより凹型1と凸型2とを介し
てペレットPを100〜300秒間加熱した後、この加
熱状態を継続しつつ、真空吸引管11の開閉弁12を開
いて気密状態にある成形空間C内を10〜30秒間真空
吸引して0.7〜0.9気圧まで低下させ、負圧状態と
する。すると、成形空間C内を負圧状態としたことによ
り、ペレットP内の気泡の膨脹が促進され、ペレットP
相互の圧接力が増大し、加熱だけの場合と比較して溶着
強度が増す。
【0022】次に、成形空間C内を所定時間真空吸引し
た後、真空吸引管11の開閉弁12を閉じ、更に、凹型
1のスチーム弁1c及び凸型2のスチーム弁2cを閉
じ、ドレン弁1f、ドレン弁2fを開いて凹型1の加熱
チャンバ1a、凸型2の加熱チャンバ2a、成形空間C
内のスチームSを排出し、次いで、ドレン弁1f、ドレ
ン弁2fを閉じた後、水冷弁1b及び水冷弁2bを開い
て冷却水Wを凹型1の加熱チャンバ1a及び凸型2の加
熱チャンバ2a内に通流し、凹型1と凸型2を冷却する
ことによって間接的に加熱溶融状態にあるペレットPを
冷却する。
【0023】この時点では、金型構造上、円筒状の成形
品は熱収縮によって内径が縮小して凸型2のスライド型
8の外周面に緊合して離型できないので、シリンダ10
を介してスライド型8を後方に移動させることにより成
形品の端面を固定されている凸型2のベース型9に押圧
してスライド型8と一体化して移動するのを阻止し、ス
ライド型8から離脱する。そして、円筒状に成形された
成形品を取出す。
【0024】このようにして成形された成形品は隣接す
るペレットPの相互が強固に溶着して全体の剛性が向上
し、風胴等の吸音材としての所要の強度を有する。成形
後のペレットP相互の溶着状態を図2に示す。図2は加
熱及び真空吸引後のペレット表面の溶着状態を示す拡大
図である。図において、BはペレットP内の気泡であ
り、加熱及び真空吸引後、成形空間C内の全てのペレッ
トPは溶着により一体化され、かつ、各ペレットPは完
全には溶融されずに略球状の原形を保っているので、成
形品内には連通する細長い空隙Tが形成される。なお、
溶着後、ペレットPの充填率は70〜85%程度まで増
加する。
【0025】このように製造された円筒状の成形品は、
内部に所要の強度を有するので、これ自体で風胴31を
形成し、また、内部に細長い空隙Tが形成されているの
で、送風機に用いた場合には、モータの作動音及びファ
ンの風切音等の風胴31内で生じた騒音を風胴31の内
周面で吸収できる。
【0026】なお、成形品の空隙率は真空吸引時間、真
空度等の条件を変えることによって所定の範囲内で変化
させることができ、吸音率は空隙率が大きくなるに従っ
て増大する。しかし、それにつれて成形品自体の強度は
低下するので、成形品の設計においては所要の吸音率と
製品強度とを比較して最適値を選定することが必要であ
る。
【0027】このように、上記実施例の多孔質プラスチ
ック構造物の製造方法は、内部に気泡が混入した合成樹
脂製の多数のペレットPを凹型1と凸型2との間の成形
空間C内に充填する充填工程と、前記成形空間C内に充
填したペレットPをスチームSを凹型1の加熱チャンバ
1a及び凸型2の加熱チャンバ2a内に送入することに
より間接的に加熱してペレットPの表面を溶融する加熱
工程と、所定時間加熱し、ペレットPの表面を溶融した
状態で成形空間C内を真空吸引によって負圧状態に保持
する真空吸引工程とからなるものである。
【0028】したがって、上記実施例によれば、成形空
間C内に充填されたペレットPは、スチームSによる加
熱と真空吸引による負圧との相乗効果によって、各ペレ
ットPの表面を溶融し、内部の気泡を膨脹させて隣接す
るペレットP相互の圧接力を増し、強固に溶着すること
ができる。これは、金型の圧縮代を設けても成形品の形
状からくる金型構造の点から所要の面圧をとれず、過充
填として十分な加圧力を得ることが困難な場合に特に顕
著な効果を奏する。
【0029】そして、成形品内はペレットPが略球状の
原形を保持した状態で溶着していることによって連通す
る細長い空隙Tが形成されることから、円筒状に成形し
て送風機の風胴31に使用した場合には、良好な吸音効
果を奏する。更に、成形品は、特に、真空吸引の付加に
より各ペレットP相互の溶着力を強固にできるため、こ
れ自体で風胴31を形成することができ、また、ペレッ
トPを膨脹させるための発泡剤等を添加することなく成
形できるので、簡単かつ安価に吸音材を提供することが
できる。加えて、その多孔質構造により、上記成形品は
吸音材としてだけでなく、断熱材、保温材等各種用途に
適用され得る。
【0030】ところで、上記実施例では、凹型1と凸型
2とによって形成される成形空間C内のペレットPの充
填率を65〜70%程度とし、加熱時における凹型1の
加熱チャンバ1a及び凸型2の加熱チャンバ2a内の温
度を130〜180℃程度、真空吸引までの加熱時間を
100〜300秒、真空吸引による負圧を0.7〜0.
9気圧、真空吸引時間を10〜30秒としたが、本発明
を実施する場合には、必ずしもこれらの範囲内で設定す
る必要はない。したがって、成形品の寸法、形状等に応
じて前記した各値を任意に設定することができる。
【0031】また、上記実施例では、ペレットPの加熱
にスチームSを利用しているが、本発明を実施する場合
には、これに限定されるものではなく、加熱によりペレ
ットPの表面を溶融させるとともに、内部の気泡により
膨脹させることができるものであれば、他の方法でもよ
い。したがって、例えば、ペレットPをヒータにて加熱
するようにしてもよい。加えて、上記実施例のペレット
Pの加熱後の冷却には、冷却水Wを使用しているが、こ
れに限定されることなく、エアを送入して空冷により行
なってもよい。
【0032】更に、上記実施例のペレットPは、ABS
樹脂からなる直径1〜2mm程度の球状体としているが、
本発明を実施する場合には、これに限定されるものでは
なく、表面が溶融して互いに溶着したときに空隙Tを形
成できるものであればよい。したがって、例えば、他の
種類の合成樹脂からなるペレットを使用したり、直径の
異なるペレットを用いたり、多面体状をなすペレットを
使用してもよい。但し、ペレットを球状体とした場合に
は、充填密度が揃い易く、定量を充填できるという効果
がある。
【0033】
【発明の効果】以上のように、本発明の多孔質プラスチ
ック構造物の製造方法は、内部に微細な気泡が混入され
ているだけで発泡剤等は含有されていない合成樹脂製の
多数のペレットを凹型と凸型との間の成形型内に過充填
状態に充填する充填工程と、前記成形型内に充填したペ
レットを加熱溶融するスチームを、凹型の加熱チャンバ
及び凸型の加熱チャンバ内に送入することにより間接的
に加熱してペレットの表面を溶融する加熱工程と、所定
時間加熱し、ペレットの表面を溶融した状態で成形型内
を真空吸引によって負圧状態に保持する真空吸引工程と
を具備し、成形型内を負圧状態として、ペレット内の気
泡の膨脹を促進し、ペレット相互の圧接力を増大させて
溶着強度を増大させたものである。したがって、成形空
間内に充填されたペレットは、加熱と真空吸引による負
圧の作用によって、各ペレットの表面を溶融し、内部の
気泡を膨脹させて隣接するペレット相互の圧接力を増
し、強固に溶着することができるため、金型の圧縮代を
設けても成形品の形状からくる金型構造の点から所要の
面圧をとれず、過充填として十分な加圧力を得ることが
困難な場合にも成形することができる。しかも、成形品
内はペレットが略球状の原形を保持した状態で溶着して
いることによって連通する細長い空隙が形成されている
ことから十分な吸音効果を奏し、また、真空吸引の付加
により各ペレット相互の溶着力を強固にできるため、こ
れ自体で多孔質構造物を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例による多孔質プラスチ
ック構造物の製造方法の成形金型を示す説明図である。
【図2】図2は加熱及び真空吸引後のペレット表面の溶
着状態を示す拡大図である。
【図3】図3は従来の板状の多孔質プラスチック構造物
を成形する金型を示す説明図である。
【図4】図4は円筒状に形成された多孔質プラスチック
材により騒音対策が施された送風機を示す断面図であ
る。
【図5】図5は円筒状の多孔質プラスチック構造物の成
形金型を示す説明図である。
【符号の説明】
1 凹型 1a,2a 加熱チャンバ 2 凸型 3 加圧タンク 5 充填器 11 真空吸引管 B 気泡 C 成形空間 P ペレット S スチーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−145424(JP,A) 特開 昭63−317323(JP,A) 実開 昭57−26511(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 44/00 - 44/60 B29C 67/20 F24F 1/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部に微細な気泡が混入されているだけで
    発泡剤等は含有されていない合成樹脂製の多数のペレッ
    トを凹型と凸型との間の成形型内に過充填状態に充填す
    る充填工程と、 前記成形型内に充填したペレットを加熱溶融するスチー
    ムを凹型の加熱チャンバ及び凸型の加熱チャンバ内に送
    入することにより間接的に加熱して前記ペレットの表面
    を溶融する加熱工程と、 所定時間加熱し、前記ペレットの表面を溶融した状態で
    成形型内を真空吸引によって負圧状態に保持する真空吸
    引工程とを具備し、成形型内を負圧状態として、前記ペ
    レット内の気泡の膨脹を促進し、前記ペレット相互の圧
    接力を増大させて溶着強度を増大させたことを特徴とす
    る多孔質プラスチック構造物の製造方法。
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