JP3226715B2 - 計測装置 - Google Patents

計測装置

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JP3226715B2
JP3226715B2 JP11368094A JP11368094A JP3226715B2 JP 3226715 B2 JP3226715 B2 JP 3226715B2 JP 11368094 A JP11368094 A JP 11368094A JP 11368094 A JP11368094 A JP 11368094A JP 3226715 B2 JP3226715 B2 JP 3226715B2
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    • GPHYSICS
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    • G01FMEASURING VOLUME, VOLUME FLOW, MASS FLOW OR LIQUID LEVEL; METERING BY VOLUME
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    • G01F1/68Measuring the volume flow or mass flow of fluid or fluent solid material wherein the fluid passes through a meter in a continuous flow by using thermal effects
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    • G01F1/6845Micromachined devices
    • GPHYSICS
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は以下に挙げる計測を行な
うことができる計測装置に関する。 ・流体の流量の計測 ・流体の種類の識別 ・流体の温度の計測 ・流体中に含まれる不純物の計測や検出 ・熱的な環境の評価 ・熱的な影響の評価
【0002】
【従来の技術】流量を計測する装置として、サーミスタ
を利用したものが知られている。これは、流体によって
熱量が奪われることによって、サーミスタ部分の温度が
低下することを利用したものである。一般にサーミスタ
部分が流体に接していると、サーミスタ部分から奪われ
る熱量は、流量(または流速)に依存するため、サーミ
スタからの出力と流量とはある相関関係を持つ。このこ
とを利用して、サーミスタの出力より、流量を算出する
ことができる。
【0003】流量は流体の断面積と流速との積で与えら
れる。例えば、内径rの円形パイプ内を流速vの流体が
流れているとするならば、vπr2 が流量になる。以下
においては流量を中心として話を進めるが、流体の断面
積が分かっているのならば、流量と流速は同時に求める
ことができる。
【0004】一般にサーミスタとは、大きな負の温度係
数を有する半導体のことをいう。しかし、本来サーミス
タとは、熱に敏感な抵抗体(Thermally Sensitive Resi
stor)のことであり、特に温度係数の正負や材料によっ
て限定されるものではない。従って、正の温度係数を有
する白金等の金属をサーミスタと称してもよい。
【0005】サーミスタのように、温度によって抵抗が
変化する材料を用いた素子を総称して、測温抵抗体や温
度感知素子、さらには感温素子や抵抗温度計という。逆
に温度によって抵抗が変化する材料のことをサーミスタ
機能を有する材料ということもできる。以下において
は、温度によって抵抗が変化する材料のことを測温抵抗
体という。
【0006】また、上記構成の他には、ジュール熱によ
って発熱させた抵抗発熱体を流体に曝し、流量に依存し
て、当該抵抗発熱体から熱量が奪われることを利用する
方式もある。この方式では、抵抗発熱体に流れる電流を
計測することによって、流量を算出することができる。
【0007】また、流体に接した発熱体から熱量を流体
に奪わせ、流体によって運ばれる熱量を別に設けられた
測温抵抗体(例えば白金サーミスタ)によって計測し、
流量を算出する方式もある。
【0008】これらの方式において、高い感度を得るた
めには、流体によって奪われる熱量を多くすることが有
効である。また、応答速度を高めるためには、測温抵抗
体部分の熱容量を極力小さくすることが必要である。
【0009】上述した構成を用いた流量計測装置は、計
測できる流量の範囲が狭いという問題がある。即ち、ダ
イナミックレンジが狭いという問題がある。具体的に
は、20sccm〜300sccm、200sccm〜
2000sccmといった範囲でしか正確な流量計測が
できないという問題がある。
【0010】これらの問題は、主に以下のような理由に
よるものであると考えられる。 (1)測温抵抗体が熱的に極めて不安定な状態におかれ
ているので、熱に対する応答の線型性が悪く、広い範囲
の熱的変化に追従できない。 (2)上記(1)に関連して、特に加熱の方法が難し
く、広い流量範囲に渡って有効な加熱を行うことができ
ない。 (3)応答速度を速くするために測温抵抗体の熱容量を
小さくすると、大きな熱量を扱うことができない。
【0011】上記(1)の原因は、広い流量範囲に渡っ
て、測温抵抗体から効果的に流体に熱量を奪わせ、同時
に測温抵抗体に効果的に熱量を供給する構造を採ること
が困難であることによる。
【0012】また測温抵抗体は、流量のみではなく、流
体の温度変化や環境の温度変化をも敏感に検出してしま
うので、温度変化がある環境での使用には問題があっ
た。この問題を解決する方法も数々提案されているが、
実際の使用においては、計測環境あるいは流体の温度に
よって流量の計測に大きなバラツキが出てしまうのが現
状である。
【0013】また、バッテリーで駆動することを考えた
場合、その消費電力を極力抑えることが必要となる。例
えば、流量計測装置を家庭のガスメータ等に利用しよう
とする場合、バッテリーを電源として数年以上の動作を
行わす必要がある。このような場合、低い消費電力で動
作する流量計測装置が求められる。しかしながら、消費
電力を下げた場合、計測感度や計測精度が犠牲となり、
必要とする特性が得られないという新たな問題が生じ
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以下に挙げ
る課題の少なくとも一つを解決することを目的とする。 ・高い計測感度や計測精度を有し、かつ消費電力の小さ
い流量計測装置を得る。 ・高い計測感度と低消費電力を有する流量計測装置を得
る。 ・高い計測感度を有する流量計測装置を得る。 ・低消費電力を有する流量計測装置を得る。 ・薄膜材料が受ける熱的な影響を計測する装置におい
て、その計測感度を高くし、その消費電力を小さくす
る。 ・薄膜材料が受ける熱的な影響を計測する装置におい
て、その計測感度を高くする。 ・薄膜材料が受ける熱的な影響を計測する装置におい
て、その消費電力を小さくする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本明細書で開示する主要
な発明は、ダイヤモンド薄膜の表面に熱起電力素子が設
けられており、前記ダイヤモンド薄膜が周囲から受ける
熱的な影響が前記熱起電力素子から出力されることを特
徴とする。
【0016】上記構成において、ダイヤモンド薄膜とし
ては、天然ダイヤモンド、高圧合成法で得られるダイヤ
モンド、気相合成法で得られるダイヤモンドを用いるこ
とができる。
【0017】熱起電力素子とは熱起電力効果(ゼーベッ
ク効果)を利用した素子である。熱起電力効果というの
は、2種類の金属を輪につなぎ、2つの継ぎ目を別々の
温度に保つと、この回路内に起電力が生じる現象をい
う。この現象は、特定の金属−金属、または金属−半導
体という組み合わせにおいて生じる。
【0018】熱起電力素子として例えば、図1に示す構
成を挙げることができる。図1に示すのは、プラズマC
VD法で気相合成されたダイヤモンド薄膜101の表面
に白金の薄膜パターン103と鉄の薄膜パターン104
とからなる熱起電力素子である。図1に示す熱起電力素
子は、3段に直列接続されており、単体の場合に比較し
て3倍の起電力を得られる構成となっている。図1に示
す構成においては、白金の薄膜パターンからなる発熱体
102の発熱によって、109で示される複数の接合部
分が加熱され、106で示される複数の接合部分に対し
て高い温度になる。そして、熱起電力が生じることにな
る。
【0019】熱起電力素子の構成としては、Pt−C
r、Ni−Cr、Ni−コンスタンタン、Pt−コンス
タンタン、Pd−Cr、Pd−コンスタンタン等の組み
合わせを挙げることができる。これらの組み合わせは、
極力高い熱起電力を得られる構成とすることが重要であ
る。
【0020】ダイヤモンド薄膜に接して設けられた熱起
電力素子は、ダイヤモンド薄膜の温度変化に従った起電
力を発生する。ダイヤモンド薄膜が受ける熱的な影響
は、ダイヤモンド薄膜の温度変化として現れるから、熱
起電力素子は、ダイヤモンド薄膜が受ける熱的な影響を
起電力として出力することになる。
【0021】ダイヤモンド薄膜は、熱的に極めて高い応
答を示すので、その温度変化は、ダイヤモンド薄膜周囲
の熱的な環境を高い忠実性で反映したものとなる。従っ
て、熱起電力素子からの出力もダイヤモンド薄膜が置か
れている熱的な環境を正確に反映したものとなる。
【0022】このような構成は、流量計測装置、温度計
測装置、流体検出装置(例えばガスセンサー)、湿度セ
ンサー等に利用することができる。
【0023】他の発明の構成は、ダイヤモンド薄膜の表
面に熱起電力素子が設けられており、前記ダイヤモンド
薄膜の温度変化が前記熱起電力素子から電圧変化として
出力されることを特徴とする。
【0024】上記構成は、熱起電力素子の起電力が、ダ
イヤモンド薄膜の温度変化に対応した電圧変化となるこ
とを特徴とするものである。
【0025】他の発明の構成は、ダイヤモンド薄膜の表
面に熱起電力素子が設けられており、前記ダイヤモンド
薄膜は周囲の熱的な影響を検出する素子として機能し、
前記熱起電力素子は前記熱的な影響を出力する素子とし
て機能することを特徴とする。
【0026】ダイヤモンド薄膜は、その置かれた環境か
ら受ける熱的な影響に極めて敏感に応答する。そしてこ
の応答は、ダイヤモンド薄膜の温度変化として現れる。
このような場合、ダイヤモンド薄膜を熱的な受動素子と
て見なすことができる。そして、ダイヤモンド薄膜の温
度変化を検出して熱起電力として出力する熱起電力素子
は、ダイヤモンド薄膜が受けた熱的な影響を出力する素
子と見なすことができる。
【0027】周囲の熱的な影響としては、ダイヤモンド
薄膜に接して流れる流体の流量に依るもの、ダイヤモン
ド薄膜に接する流体の種類の違いに依るもの、ダイヤモ
ンド薄膜に接する流体中に含まれる不純物の濃度の違い
に依るもの、湿度の違いに依るもの等を挙げることがで
きる。
【0028】他の発明の構成は、熱量変化を電圧変化に
変換する機能を有する計測装置であって、ダイヤモンド
薄膜と、前記ダイヤモンド薄膜の表面に形成された熱起
電力素子と、を有し、前記ダイヤモンド薄膜を介して移
動した熱量の変化に対応した出力を前記熱起電力素子か
ら得ることを特徴とする。
【0029】上記構成において、熱量変化を電圧変化に
変換する機能を有する計測装置というのは、ダイヤモン
ド薄膜を介して移動した熱量に対応した出力を、熱起電
力素子から電気信号(電圧変化)として出力する機能を
有するこという。
【0030】ダイヤモンド薄膜を介して移動した熱量と
いうのは、ダイヤモンド薄膜に流入し流出していく熱量
のこという。
【0031】このダイヤモンド薄膜に流入し流出してい
く熱量は、ダイヤモンド薄膜の置かれた環境の熱的な状
況を正確に反映したものであり、この熱量の出入りを定
量的に評価することで、ダイヤモンド薄膜に接して流れ
る流体の流量の計測、ダイヤモンド薄膜に接する流体の
種類の計測(例えばガス検出)、ダイヤモンド薄膜に接
する流体中に含めれる不純物の濃度の違いの計測(例え
ばガス濃度検出)、湿度の計測等を行うことができる
【0032】他の発明の構成は、ダイヤモンド薄膜と、
前記ダイヤモンド薄膜の表面に形成された熱起電力素子
と、を有し、前記ダイヤモンド薄膜の温度変化が前記熱
起電力素子によって電気信号に変換されることを特徴と
する。
【0033】他の発明の構成は、ダイヤモンド薄膜と、
前記ダイヤモンド薄膜の表面に形成された熱起電力素子
と、前記ダイヤモンド薄膜にパルス状の加熱を行う手段
と、前記熱起電力素子からの出力を処理する手段と、を
有し、前記パルス状の加熱を行う手段からの加熱に従う
前記ダイヤモンド薄膜の温度変化が前記熱起電力素子に
よって電気信号に変換されることを特徴とする。
【0034】上記構成において、ダイヤモンド薄膜にパ
ルス状の加熱を行う手段としては、例えばダイヤモンド
薄膜に接して設けられた抵抗発熱体を挙げることができ
る。これは、ダイヤモンド薄膜の表面にスパッタ法や蒸
着法によって、白金等の金属薄膜材料を形成し、該薄膜
に所定の電圧または電流を所定の時間で印加することに
より、パルス状のジュール熱を発生させる構成である。
【0035】パルス状の加熱を行う他の手段としては、
レーザー光や電磁波をダイヤモンド薄膜に照射すること
により、ダイヤモンド薄膜を加熱する構成を挙げること
ができる。このような構成を採用した場合、計測対象や
計測環境の温度によらず、一定の熱量でダイヤモンド薄
膜を加熱することができるという有意性を得ることがで
きる。
【0036】上記構成は、パルス状の加熱を行う手段か
らの加熱に従う前記ダイヤモンド薄膜の温度変化が前記
熱起電力素子によって電気信号に変換されることを特徴
とする。
【0037】ダイヤモンド薄膜に対してパルス状の加熱
を行ったした場合、ダイヤモンド薄膜の温度は急激に上
昇し、加熱終了後に冷却される。これはダイヤモンド薄
膜に対するパルス状の加熱に際して熱量が流入し、加熱
終了後にこの熱量がダイヤモンド薄膜の表面から流出し
ていくプロセスに対応している。
【0038】この加熱と冷却のプロセスは、パルス状の
加熱に対するダイヤモンド薄膜の応答特性を示すものと
いえる。この応答は、図3に示されるような波形として
観察することができる。図3に示すのは、縦軸に熱起電
力素子の出力をアンプで増幅した値(電圧値)fを示
し、横軸は経過時間tを示す。縦軸fの値は、ダイヤモ
ンド薄膜の温度に対応するものであり、fの値が大きい
ことがダイヤモンド薄膜の温度が高いことを示す。図3
に示されているのは、Δt1Sの間に行われたパルス状の
加熱に際して、波形関数f(t)で示されるように、急
激にダイヤモンド薄膜の温度が上昇し、加熱終了後に急
激に冷却される状態が示されている。
【0039】図3のf(t)で示される応答特性は、ダ
イヤモンド薄膜が周囲から受けている熱的な影響を反映
したものである。例えば、ダイヤモンド薄膜に接して流
体(例えば窒素ガス流体)が流れている場合、この流体
によってダイヤモンド薄膜のから熱量が奪われる。この
流体によって奪われていく熱量は、流体の流量または流
速に依存する。
【0040】このような状況において、ダイヤモンド薄
膜に対して所定の時間、所定の熱量でパルス状の加熱を
行った場合、図3のf(t)で示されるような応答波形
は、流量に従って異なることになる。例えば、流量が大
きくなると、ダイヤモンド薄膜から流体に奪われていく
熱量がそれだけ多くなるので、図3のf(t)で示され
るような応答波形は小さくなる。これは、ダイヤモンド
薄膜の温度上昇がお抑えられ、同時にその冷却速度が速
くなるからである。
【0041】図3のf(t)で示されるようなパルス状
の加熱に対する応答波形が、流量に依存したものとなる
ことを利用して、流量の計測を行うことができる。例え
ば、f(t)で示される応答波形の面積を計算すること
で流量値を算出することができる。またこの値は、流体
の温度や流体の種類や流体中の不純物濃度等にも対応す
るので、このことを利用して、温度センサーや流体セン
サー(例えばガスセンサー)さらには不純物濃度センサ
ー、さらには湿度センサーを実現することができる。
【0042】図3に示すような応答波形を定量的に評価
するには、熱起電力素子からの出力を処理する手段にお
いて、パルス状の加熱以前に熱起電力素子からの出力の
積算と、パルス状の加熱以後に熱起電力素子からの出力
の積算と、前記2つの積算値の差の算出と、を行う必要
がある。
【0043】上記の演算を行うことで、図3にf(t)
で示す応答波形の面積を正確に算出することができる。
熱起電力素子からの出力を処理する手段としては、例え
ば熱起電力素子からの出力をA/D変換するA/Dコン
バータとA/D変換されたデジタル信号を処理するCP
Uとでなる構成を挙げることができる。勿論、この熱起
電力素子からの出力を処理する手段として、A/Dコン
バータとCPUとが一体となった構成を用いることもで
きる。
【0044】以下に熱起電力素子からの出力を処理する
手段で行われる動作の例を示す。まず、パルス状の加熱
以前に熱起電力素子からの出力の積算を行う。ここで
は、A/D変換された熱起電力素子からの出力f(一般
にはアンプで増幅される)を下記〔数1〕で示される計
算式に従って、CPUで計算する。
【0045】
【数1】
【0046】この演算を行うことで、図3のf(t)で
示される応答波形の面積を算出するための基準を設定す
ることができる。この基準を設定することで、応答波形
のみを評価することができる。
【0047】次にパルス状の加熱以後に熱起電力素子か
らの出力の積算を行う。この演算もA/D変換された熱
起電力素子からの出力f(一般にはアンプで増幅され
る)に対して行われる。この演算は下記〔数2〕を実行
することによって行われる。
【0048】
【数2】
【0049】上記演算は、図3に示されるように、Δt
1Sの時間内に行われるパルス状の加熱の開始直後に行わ
れる。なおt2Sは、t1S<t2Sの条件を満たしているこ
とが必要である。これは、出力にスパイク状のノイズが
現れることを避けるためである。
【0050】上記〔数1〕及び〔数2〕で示される演算
の終了後に、上記2つの積算値の差を算出する。この動
作はCPUにおいて行われる。この演算は、例えば、
(S0S/Δt0S)と(S2S/Δt2S)との差を算出する
ことで行われる。
【0051】上記演算を行うことで、図3のf(t)で
示される応答波形のみを評価することができる。即ち、
ダイヤモンド薄膜のパルス状の加熱に対する熱的な応答
のみを評価することができる。
【0052】他の発明の構成は、ダイヤモンド薄膜の表
面に一導電型を有する層が設けられており、前記一導電
型を有する層に接して金属電極が設けられており、前記
ダイヤモンド薄膜が受ける熱的な影響を、前記一導電型
を有する層と前記金属電極との間で生じる熱起電力によ
って計測することを特徴とする。
【0053】上記構成は、ダイヤモンド薄膜の表面にボ
ロンのイオン注入等により、P型半導体層を形成し、こ
のP型半導体層とその表面に接して形成された金属電極
とで熱起電力素子を構成するものである。この場合、金
属電極として、スパッタ法で形成された白金薄膜等を用
いることができる。
【0054】上記のような構成を採用した場合にも、ダ
イヤモンド薄膜が受ける熱的な影響をP型ダイヤモンド
半導体層と金属電極とで構成される熱起電力素子の熱起
電力として出力することができる。
【0055】上記構成は、本明細書で開示する他の発明
の熱起電力素子の構成として利用することができる。
【0056】他の発明の構成は、その表面に一導電型を
有する層が設けられたダイヤモンド薄膜と、前記一導電
型を有する層に接して設けられた金属電極と、前記ダイ
ヤモンド薄膜に対してパルス状の加熱を行なう手段と、
該手段によるパルス状の加熱に従う前記ダイヤモンド薄
膜の応答特性を前記一導電型を有する層と前記金属電極
との間における熱起電力によって計測する手段と、を有
することを特徴とする。
【0057】上記構成において、パルス状の加熱を行う
手段としては、前述したダイヤモンド薄膜の表面に形成
された抵抗発熱体や、レーザー光の照射による加熱手段
を挙げることができる。
【0058】パルス状の加熱に対するダイヤモンド薄膜
の応答特性は、ダイヤモンド薄膜の表面に形成された一
導電型を有する半導体層(一般にP型半導体層)と該半
導体層上に接して設けられた金属電極とで構成される熱
起電力素子によって熱起電力として出力される。
【0059】他の発明の構成は、薄膜材料を用いた計測
装置であって、前記薄膜材料は、300Kにおけるその
熱伝導率をKS 、比熱をCS 、密度をρS 、その寸法を
L=1mm角として、 τ=(CS ρS 2 /KS π2) で示される時定数τが1ミリ秒以下であり、前記薄膜材
料表面には、熱起電力素子が設けられていることを特徴
とする。
【0060】本明細書において開示する発明において
は、ダイヤモンド薄膜の代わりとして、他の薄膜材料を
用いることも可能である。この場合における薄膜材料と
しては、高熱伝導率を有する材料である単結晶珪素、多
結晶珪素、炭化珪素、窒化アルミニューム、窒化ほう
そ、窒化アルミ等を用いることが原理的には可能であ
る。
【0061】本発明者らの知見によれば、薄膜材料とし
ては、以下に示す条件を満たしているものを用いること
が望ましい。まず、厚さを無視した薄膜材料の加熱に対
する応答時間(時定数)を示す式を下記〔数3〕に示
す。
【0062】
【数3】
【0063】上記〔数3〕は、流体によって熱量を奪わ
れる薄膜材料の温度分布が定常状態になるまでの時間を
評価するパラメータ(τ)を与えるものである。上記
〔数3〕は、2次元モデルを基にして導かれたものであ
り、薄膜材料の厚さはパラメータとして入っていない。
また、その答えが薄膜材料の応答時間を直接示すもので
もない。しかし、各種薄膜材料の加熱に対する相対的な
応答時間を評価する指標として用いることができる。
【0064】上記〔数3〕を用いて各種材料の加熱に対
する応答時間(τ)を求めた一覧表を〔表1〕に示す。
【0065】
【表1】
【0066】〔表1〕に示す各種材料の物性値は、出来
る限り薄膜材料のものを用いてある。しかし、c−BN
のように、薄膜材料の物性値が不明なものは、理論値ま
たはバルク材料のものを用いてある。またその値は基本
的に室温(300K)におけるものを選んである。
【0067】〔表1〕を見ると、ダイヤモンド薄膜と立
方晶窒化ホウ素の応答時間τが桁違いに小さいことが分
かる。しかし、実測された多結晶の立方晶窒化ホウ素熱
伝導率は、600(W/mK)(人造ダイヤモンド技術
ハンドブック,サイエンスフォーラム)程度であり、こ
の場合、〔表1〕の時定数は1.5(ミリs)程度とな
る。また、気相合成されたダイヤモンド薄膜の熱伝導率
としては、1700(W/mK)(ダイヤモンド薄膜,
産業図書,犬塚著)という大きな値も報告されており、
このようなダイヤモンド薄膜を用いた場合、上記〔表
1〕の時定数はさらに小さなものとなる。
【0068】本明細書で開示する発明の基本的な構成
は、薄膜材料の加熱に対する応答特性を計測することに
ある。従って、薄膜材料の熱的な応答特性の速さ、換言
すれば、薄膜材料の熱に対する反応の速さが重要な要素
となる。
【0069】例えば〔式3〕を用いて求められるτが
0.6(ミリs)以下であれば、本明細書で開示する流
量計測センサーと同程度またはそれ以上の特性を得るこ
とができる。
【0070】一般的には、〔数3〕で示されるτが1
(ミリs)以下の材料であれば、実用上十分な特性を有
する流量計測センサーを得ることができる。しかし、感
度の低下、ダイナミックレンジの低下、消費電力の増
大、計測間隔の増大といった問題を許容するのであれ
ば、τが5(ミリs)以下の材料を用いることができ
る。
【0071】勿論、必要とする特性やコストの問題によ
っては、τの大きなアルミナや窒化珪素を利用できるこ
とはいうまでもない。
【0072】以上の議論より、パルス状の加熱に対する
薄膜材料の応答特性より、当該薄膜材料が周囲から受け
る熱的影響を計測する構成において、当該薄膜材料は、
その寸法を1mm角として、下記〔数3〕で示されるパ
ラメータτが1(ミリs)以下である。との構成が、高
い特性を得るためには重要であるとの結論が導かれる。
【0073】
【数3】
【0074】この〔数3〕を用いた薄膜材料の満足すべ
き規定は、本明細書に開示される他の発明の構成に適用
できることはいうまでもない。
【0075】例えば上記〔数3〕を用いた条件を満足し
た薄膜材料にパルス状の加熱を行う手段を配置し、さら
に該手段によるパルス状の加熱に対する前記薄膜の応答
特性を計測するための熱起電力素子を設ける構成を採る
ことができる。
【0076】そして熱起電力素子からの出力を処理する
手段を備え、該手段において、パルス状の加熱を行う手
段からの加熱以前に行われる熱起電力素子からの出力の
積算と、前記パルス状の加熱を行う手段からの加熱以後
に行われる熱起電力素子からの出力の積算と、前記2つ
の積算値の差の算出と、を行い、図3を用いて前述した
動作を行わすことができる。
【0077】上記動作を行わすことで、当該薄膜材料に
接して流れる流体の流量または流速や、当該薄膜材料に
接する流体の種類や、当該薄膜材料に接する流体中の不
純物濃度や、当該薄膜材料に接する流体の温度等を計測
することができる。
【0078】本明細書で開示する発明においては、被計
測物質として、第一に流体を挙げることができる。流体
としては、気体、液体、霧状の流体、粉体を含んだ気体
や液体を挙げることができる。
【0079】また被計測物質として、固体材料を選ぶこ
ともできる。被計測物質が固体である場合は、この固体
の熱電導率の違いや比熱の違い、さらには熱容量の違い
によって、薄膜材料の加熱に対する当該薄膜材料の温度
変化の仕方が異なるので、このことを利用して、固体材
料の種類の判別やその大きさや体積の違いを計測するこ
とができる。
【0080】他の発明の構成は、α1,α2 ・・・αn
示されるパラメータに依存した第1の応答特性を得る手
段と、α1,α2 ・・・αn+1 で示されるパラメータに依
存した第2の応答特性を得る手段と、前記第1の応答特
性と前記第2の応答特性とを比較しαn+1 で示されるパ
ラメータに依存した出力を得る手段と、を有し、前記第
1の応答特性を得る手段と前記第2の応答特性を得る手
段とは、熱起電力素子を有し、前記第1及び第2の応答
特性は、パルス状の加熱に対するダイヤモンド薄膜の温
度変化として検出されることを特徴とする。
【0081】α1,α2 ・・・αn で示されるパラメータ
に依存した第1の応答特性を得る手段としては、例え
ば、図4の406で示される構成を挙げることができ
る。図4の406は熱起電力素子であり、発熱体405
からのパルス状の加熱に対するダイヤモンド薄膜407
の応答特性をその温度変化として検出する。
【0082】α1,α2 ・・・αn+1 で示されるパラメー
タに依存した第2の応答特性を得る手段としては、例え
ば、図4の402で示される構成を挙げることができ
る。図4の402は熱起電力素子であり、発熱体401
からのパルス状の加熱に対するダイヤモンド薄膜403
の応答特性をその温度変化として検出する。
【0083】第1の応答特性と前記第2の応答特性とを
比較しαn+1 で示されるパラメータに依存した出力を得
る手段としては、図4に示されるCPU410を挙げる
ことができる。CPU410は、各センサーの熱起電力
素子402、406から出力され、アンプ404、40
8で増幅されたダイヤモンド薄膜のパルス状の加熱に対
するそれぞれの応答特性を比較し、αn+1 で示されるパ
ラメータのみに依存した出力を算出する機能を有する。
【0084】上記構成は、同じ特性を有するセンサーを
2つまたはそれ以上用い、その内の少なくとも一つのセ
ンサーでα1,α2 ・・・αn で示されるパラメータに依
存した第1の応答を得、他の少なくとの一つのセンサー
でα1,α2 ・・・αn+1 で示されるパラメータに依存し
た出力を得るものである。なお、nは1,2,3・・・
・・で示される自然数である。
【0085】例えば、流量を計測せんとする場合、パル
ス状の加熱に対するダイヤモンド薄膜の応答特性は、流
量、流体の温度、流体の密度、流体の比熱、流体の動粘
性率、等の諸パラメータに関する情報を含んでいる。一
般に流体に密度、流体の比熱、流体の動粘性率、等のパ
ラメータの影響は小さく、大きな計測公差が許容される
場合は問題とならない。しかし、計測公差が数パーセン
ト以下となる場合には、これら諸パラメータが問題とな
る。
【0086】上記構成は、これら諸パラメータの影響を
2つのセンサーの出力を比較することで打ち消し、必要
とするパラメータのみに関係した出力を得ることを特徴
とする。
【0087】例えば一番簡単な例としては、上記構成に
おいてn=1として、α1 を流体の温度に、α2 を流体
の流量に対応させた場合を挙げることができる。この場
合、1つのセンサーがα1 、即ち流体の温度に依存した
応答を示す。そして、他の1つのセンサーが流体のα1
とα2 、即ち流体の温度と流量とに依存した応答を示
す。そしてこれら2つの応答を比較することで、流体の
流量のみに依存した出力を得ることができる。
【0088】それぞれの応答は、熱起電力素子からの出
力をD/Aコンバータでデジタル信号とし、その出力変
化をCPUで積算することによって評価される。即ち、
応答波形の面積を計算することで応答特性は評価され
る。そして2つの応答の比較は、その応答波形の積算値
の差を計算するか、比を計算するかすればよい。なお、
CPUで行われる計算は、図3を用いて前述した方法に
従って行われる。
【0089】この構成においては、ダイヤモンド薄膜の
代わりに、下記〔数3〕で示される変数τが5ミリ秒以
下、好ましくは1ミリ秒以下の薄膜材料を用いることが
できる。
【0090】
【作用】ダイヤモンド薄膜表面に発熱体と熱起電力素子
とを設けた構成において、発熱体からダイヤモンド薄膜
にパルス状の加熱を行い、その際におけるダイヤモンド
薄膜の温度変化を熱起電力素子で検出することで、パル
ス状の加熱に対するダイヤモンド薄膜の応答特性を低消
費電力でもって正確に評価することができる。そして、
例えばダイヤモンド薄膜に接して流れる流体の流量を正
確に計測することができる。
【0091】また、ダイヤモンド薄膜の代わりに、〔数
3〕で与えられるτが1ミリ秒以下の薄膜材料を用いる
ことで、ダイヤモンド薄膜を用いる場合と同様な特性を
得ることができる。
【0092】
【実施例】
〔実施例1〕本実施例では、図1に示すセンサーの作製
方法について説明する。このセンサーは気相合成された
ダイヤモンド薄膜の表面に白金(Pt)薄膜とFe
(鉄)とでなる熱起電力素子を形成した構成を有する。
このような構成においては、ダイヤモンド薄膜が周囲環
境の熱的な影響を検出する検出部分として機能する。具
体的にはダイヤモンド薄膜の温度が周囲環境の熱的な影
響を反映したものとなり、このダイヤモンド薄膜の温度
変化が熱起電力素子の出力変化として得られる。
【0093】図1に示すセンサーは、寸法が5mm×5
mmで厚さが5μmの多結晶ダイヤモンド薄膜101の
表面上に白金(Pt)の薄膜よりなる発熱体102と熱起電
力素子を構成する白金103の薄膜パターンと鉄104
の薄膜パターンとが形成されている。また、105と1
06とは発熱体102の電極であり、107と108と
は熱起電力素子の電極である。なお、各パターンの線幅
は100μmであり、電極部分の大きさは600μm角
であり、パターンの直線部分の長さは3mmである。
【0094】図1に示す熱起電力素子は、3段に直列接
続されており、単体の場合に比較して3倍の起電力を得
られる構成となっている。図1に示す構成においては、
白金の薄膜パターンからなる発熱体102の発熱によっ
て、109で示される複数の接合部分が加熱され、この
109で示される複数の接合部分が110で示される複
数の接合部分に対して高い温度になる。そして、107
と108との電極間で熱起電力が生じることになる。
【0095】以下に図1に示すセンサーの作製工程につ
いて説明する。まず、直径4インチの珪素基板を用意す
る。そして、この珪素基板の被形成面表面にダイヤモン
ドパウダーによる傷つけ処理を行う。このダイヤモンド
薄膜上に有磁場マイクロ波CVD法によりダイヤモンド
薄膜を5μmの厚さに気相合成する。この有磁場マイク
ロ波CVD法は、強力な磁場と2.45GHzのマイク
ロ波を用いて、高密度プラズマを形成し、気相合成を行
うものである。
【0096】成膜条件を以下に示す。 基板温度 800度 反応圧力 0.25Torr マイクロ波電力 4KW 反応ガス CH3 OH:H2 =1:4 成膜時間 10時間 膜厚 5μm 珪素基板は875ガウスの磁場強度の位置に配置し成膜
を行った。上記成膜条件で得られたダイヤモンド薄膜
は、多結晶ダイヤモンド薄膜であり、基板から垂直方向
に結晶成長した構造を有していた。
【0097】ダイヤモンド薄膜を得る成膜方法は、上記
方法に限定されるものではなく、他の気相合成法を用い
てもよい。また天然ダイヤモンドや高圧合成したダイヤ
モンドを用いてもよい。またダイヤモンド薄膜中に不純
物をドーピングし、熱特性や電気特性を制御してもよ
い。また結晶構造も多結晶に限定されるものではなく、
単結晶ダイヤモンド薄膜を用いてもよい。
【0098】ダイヤモンド薄膜としては、不純物の含有
量の少ない出来うるかぎり高い熱伝導率を有するものが
好ましい。またダイヤモンド薄膜の厚さは、生産性を考
慮するならば、機械的強度の許す限り薄い方がよい。
【0099】上記珪素基板上に成膜されたダイヤモンド
薄膜は、珪素基板より剥離することで、ダイヤモンド薄
膜単体として得ることができる。この工程は、機械的に
剥離させるか、フッ酸等によって珪素基板を溶かすこと
によって容易に行われる。
【0100】このようにして得られたダイヤモンド薄膜
を5mm角に裁断する。こうして得られたダイヤモンド
薄膜101上にスパッタリング法や蒸着法によって、鉄
の薄膜パターン104を形成し、しかる後にスパッタリ
ング法や蒸着法によって白金の薄膜パターン103を形
成する。また白金の薄膜パターンの形成と同時に発熱体
102を形成する。これらの薄膜は2000Å〜300
0Åの厚さに成膜する。こうして、発熱体の電極105
と106、熱起電力素子の電極107と108、を有す
るセンサーを得ることができる。
【0101】このセンサーの動作について説明する。こ
のセンサーを動作させるのは、発熱体102に電流を流
すことにより発熱させ、109で示される接合部分を1
10で示される接合部分に対して高温状態とする。この
際、109で示される接合部分と110で示される接合
部分との温度差は、ダイヤモンド薄膜101を伝導する
熱量によって決まる。
【0102】ダイヤモンド薄膜が流体に接している場合
には、流体の流量に対応してダイヤモンド薄膜を伝導す
る熱量は決まる。従って、発熱体102を加熱した場合
には、109で示される接合部分と110で示される接
合部分との温度差は、ダイヤモンド薄膜に接して流れる
流体の流量に対応したものとなる。よって電極107と
108との間に生じる熱起電力は、ダイヤモンド薄膜1
01に接して流れる流体の流量(または流速)に対応し
たものとなる。なお流体は、ダイヤモンド薄膜の何方か
一方の面、または両方の面に接して流れていればよい。
【0103】上記の場合は、単に発熱体102から発熱
させる場合の例であるが、計測値としてドリフトの無
い、正確なものを得るためには、発熱体102からパル
ス状の発熱を行わせればよい。この場合、パルス状の加
熱が行われたダイヤモンド薄膜の温度変化は、接合部1
09と110との温度差という形で熱起電力素子に検出
され、電極107と108との間に熱起電力として出力
されることになる。
【0104】発熱体102からのパルス状の加熱に対す
るダイヤモンド薄膜101の温度変化は、パルス状の加
熱に対するダイヤモンド薄膜101の熱的な応答特性で
あると理解することができる。
【0105】図1に示す構成において重要なのは、ダイ
ヤモンド薄膜上に発熱体と熱起電力素子を設け、発熱体
よりの加熱(特にパルス状の加熱)に対するダイヤモン
ド薄膜の応答特性を、熱起電力素子から熱起電力として
出力する点である。
【0106】また、熱起電力素子の形状や材料の組み合
わせ、さらには発熱体の材料や形状、さらにはそれらの
配置は、実施態様に合わせて適時変更可能である。
【0107】本実施例に示すように、ダイヤモンド薄膜
の熱的な応答特性を検出するための素子として、熱起電
力素子を用いることにより、消費電力を大きく低減させ
ることができる。
【0108】上記においては図1に示すセンサーを流量
センサーとして用いる場合を示したが、他に温度センサ
ー、ガスセンサー等に利用することができる。
【0109】〔実施例2〕本実施例は、図1に示すセン
サーの動作方法に関する。本実施例で説明する動作方法
は、ダイヤモンド薄膜に対してパルス状の加熱を行い、
このパルス状の加熱に対するダイヤモンド薄膜の温度変
化をダイヤモンド薄膜表面に形成された熱起電力素子で
検出することを特徴とする。
【0110】本実施例のような構成を採用した場合、パ
ルス状の加熱に対するダイヤモンド薄膜の温度変化がダ
イヤモンド薄膜が周囲環境から受ける熱的な影響を反映
したものとなる。従って、ダイヤモンド薄膜の温度変化
に対応した熱起電力素子の出力よりダイヤモンド薄膜が
周囲から受ける熱的な影響を知ることができる。パルス
状の加熱に対するダイヤモンド薄膜の温度変化は、ダイ
ヤモンド薄膜のパルス状の加熱に対する応答特性である
と理解することができるので、上記のような動作は、ダ
イヤモンド薄膜のパルス状の加熱に対する応答特性か
ら、ダイヤモンド薄膜が周囲から受ける熱的な影響を計
測することと理解することができる。
【0111】ダイヤモンド薄膜が周囲から受ける熱的な
影響としては、当該ダイヤモンド薄膜に接して流れる流
体の流量または流速によるものを挙げることができる。
この場合、当該ダイヤモンド薄膜に接して流れる流体の
流量によって、ダイヤモンド薄膜から奪われていく熱量
が異なるので、ダイヤモンド薄膜の受ける熱的な影響が
流量によって異なり、それに対応してパルス状の加熱に
対するダイヤモンド薄膜の応答特性が異なることにな
る。
【0112】この場合、ダイヤモンド薄膜に接して流れ
る流体の流量に従って、パルス状の加熱に対するダイヤ
モンド薄膜の温度変化、即ちパルス状の加熱に対するダ
イヤモンド薄膜の応答特性が異なることとなる。従っ
て、この応答特性を定量的に評価することによって、流
量を算出することができる。
【0113】図2に流量計測を行うシステム(流量計測
装置)を示す。図2において23で示されるのがダイヤ
モンド薄膜であり、その表面に熱起電力素子24と発熱
体22とが設けられている。センサー自体の構造は図1
に示すものと同様である。即ち、熱起電力素子24と発
熱体22との構成は、図1に示すものと同様である。
【0114】発熱体22によるパルス状の加熱に従うダ
イヤモンド薄膜の応答特性(ダイヤモンド薄膜の温度変
化)は、熱起電力素子24によって起電力に変換され、
電圧変化として出力される。この出力はアンプ25によ
って電圧増幅され、さらにD/Aコンバータ26によっ
て、デジタル信号に変換される。このデジタル信号をC
PU27において所定の演算処理方法に従って演算処理
する。演算処理された信号はD/Aコンバータ28にお
いてアナログ信号に変換され、計測した流量値に対応し
た値として出力される。
【0115】D/Aコンバータ21は、発熱体22から
パルス状の発熱をさせるためのもので、CPU27によ
って制御される。このD/Aコンバータ21は、発熱体
22に必要とされるタイミングで所定の電圧または電流
を所定の時間で加える機能を有する。
【0116】以下に図2のシステムの動作例を示す。ま
ずダイヤモンド薄膜が流体に接した状態とする。この場
合、流体がダイヤモンド薄膜のいずれか一方の面または
両方の面に接する状態とすればよい。流体としては、気
体、液体、気体と流体の混合流体、粉体を含んだ気体、
霧状の流体等を対象とすることができる。
【0117】図3に一回の動作におけるアンプ25から
の出力変化を示す。アンプ25からの出力fは、ダイヤ
モンド薄膜23の温度を示すパラメータといえる。よっ
て図3に示すのは、一回の動作において、ダイヤモンド
薄膜の温度がどのように変化するのかを示したものとい
える。
【0118】まず、ダイヤモンド薄膜に流体が接してい
る状態において、A/Dコンバータ26でデジタル信号
に変換されたアンプ25の出力fをCPU27において
下記の〔数1〕に従って演算処理する。
【0119】
【数1】
【0120】上記演算は、一回の動作における計測の基
準点を決めるために行われる。これは時間の経過に従う
ダイヤモンド薄膜の温度変化(温度ドリフト)を計測の
度にキャンセルするために行われる。
【0121】次に、A/Dコンバータ21から発熱体2
2に対してΔt1Sの時間で電圧を供給し、発熱体22を
Δt1Sの時間においてパルス状の発熱をさせる。このパ
ルス状の発熱を発熱体22にさせることによって、ダイ
ヤモンド薄膜23は急速に加熱され、加熱終了後は流体
によって急速に冷却される。このダイヤモンド薄膜23
の温度変化は、熱起電力素子24によって検出され、電
圧変化として出力される。熱起電力素子24からの出力
はアンプ25によって電圧増幅され出力fとなる。この
場合、ダイヤモンド薄膜の温度変化に対応して、図3に
示すような形でアンプ26からの出力fは変化する。
【0122】発熱体22からの加熱開始直後にA/Dコ
ンバータ26でデジタル信号に変換されたアンプ25の
出力fをCPU27において下記の〔数2〕に従って演
算処理する。
【0123】
【数2】
【0124】上記演算処理において、Δt1S<Δt2S
する。これは、Δt1S=Δt2Sとすると、出力fにノイ
ズが現れるからである。
【0125】次に上記〔数1〕の積算値S0Sと〔数2〕
の積算値S2Sとの差を算出する。この演算は、(Δt0S
/Δt2S)S2S−S0S、または(Δt2S/Δt0S)S0S
−S2Sを行うことによって行われる。これらの演算は、
その差を求めることが重要であるので、その順序は逆で
もよい。
【0126】上記積算値S0Sと積算値S2Sとの差を求め
ることで、図3の斜線で示す応答波形の面積を求めるこ
とができる。図3の斜線部分で示すのは、Δt1Sにおけ
るパルス状の加熱に対するダイヤモンド薄膜23の応答
のみに依存するものであり、この面積を求めることで、
ダイヤモンド薄膜の正確な応答を評価することができ
る。
【0127】この応答波形の面積の値は、ダイヤモンド
薄膜に接して流れる流体の流量に依存するものであり、
この値からダイヤモンド薄膜に接して流れる流体の流量
を算出することができる。
【0128】〔実施例3〕本実施例は、図2に示す構成
を基本的に利用した温度補償が可能な流量計測装置の構
成に関する。
【0129】図2に示す装置において、ダイヤモンド薄
膜23に接する流体の流量が変化せずに、流体の温度の
みが変化した場合、装置の出力もまた変化してしまう。
これは、発熱体22の抵抗が流体の温度によって変化
し、その発熱量が流体に温度に依存して変化してしまう
ことに起因する。
【0130】上記問題を解決するためには、流体および
/または計測環境の温度変化によらず、発熱体22から
の発熱量が変化しない構成とすればよい。本発明者らの
知見によれば、ダイヤモンド薄膜に一定の流量を供給す
るならば、パルス状の加熱に対してダイヤモンド薄膜が
示す応答特性は、流体の温度に依らず流体の流量または
流速のみにほぼ依存する。
【0131】上記の構成を図2に示す構成で実現するに
は、発熱体として、その抵抗値の温度依存性が極力小さ
い材料(温度係数が極力小さい材料)を用いればよい。
このような材料としては、コンスタンタン(ニッケル4
5%−銅55%の合金)を挙げることができる。コンス
タンタンは、その温度係数(温度変化に対して変化する
抵抗値の割合)が極めて小さいので、流体および/また
は計測環境の温度変化において、その抵抗値がほとんど
変化しない。従って、一定の電圧を一定の時間で加えた
場合、流体および/または計測環境の温度の影響に依ら
ず、ほとんど一定の発熱量を得ることができる。
【0132】従って、発熱体22からのパルス状の加熱
に際して得られるダイヤモンド薄膜23の温度変化(応
答特性)は、ダイヤモンド薄膜23に接して流れる流体
の流量にほぼ正確に依存したものとなる。
【0133】本実施例の構成を採用した場合の装置の動
作方法(計測方法)は、実施例2において示した方法と
全く同様である。
【0134】〔実施例4〕本実施例は、図2に示す構成
を基本的に利用した温度補償が可能な流量計測装置の構
成に関する。図4の本実施例の概略のブロック図を示
す。図4に示すのは、同じ構成を有した2つのセンサー
を容易し、一方のセンサーを流量計測センサー(Sで表
記される)として用い、他方のセンサーを温度計測セン
サー(Rと表記される)として用い、両者の出力を比較
することで、正確な流量計測を行う構成に関する。
【0135】それぞれのセンサーは、図1に示すものと
同様な構成を有しているものを用いることができる。ま
た個々のセンサーの動作も実施例2において説明したも
のと同様である。
【0136】図4に示す構成で重要なのは、温度計測セ
ンサーを流体の流れに接しない状態とし、流量計測セン
サーを流体の流れに直接接する状態とする点である。こ
のような構成とした場合、温度計測センサーからの出力
と、流量計測センサーからの出力との違いは、流体の流
れに触れているか否かということになる。
【0137】このことは以下のように考えることができ
る。即ち、温度計測センサーからの出力は、諸々のパラ
メータα1,α2 ・・・αn に依存し、流体計測センサー
からの出力は、諸々のパラメータα1,α2 ・・・αn+1
に依存すると考えることができる。ここでパラメータα
n+1 が流体の流れ、即ち流量に対応するパラメータであ
る。
【0138】即ち、2つのセンサーは同じものであり、
その置かれている状況が、流体の流れに接しているかど
うか、換言すれば流体の流れの影響を受けているかどう
かという点のみが異なるのであるから、この流れに対応
するパラメータαn+1 に関してのみ、それぞれのセンサ
ーの出力は異なるということである。
【0139】上記において諸々のパラメータというの
は、流体の流量や流速、流体の粘性、流体の密度、流体
の比熱、流体の動粘性率等々の流体に関する数々のパラ
メータのことである。
【0140】ここで、2つのセンサーの出力を比較する
と、αn+1 に関する出力のみが打ち消されずに残ること
になる。即ち、諸々のパラメータの値には関係なく、流
量に対応する出力のみを得ることができる。
【0141】上記2つのセンサーの出力の比較は、それ
ぞれのセンサーからの出力の差やそれぞれのセンサーか
らの出力の比をとればよい。
【0142】図4に示す構成において、流量計測センサ
ーは、ダイヤモンド薄膜403上に形成された熱起電力
素子402と発熱体401とを有している。温度計測セ
ンサーからの出力(即ち、熱起電力素子402からの出
力)は、アンプ404で増幅される。
【0143】温度計測センサーは、ダイヤモンド薄膜4
07上に形成された熱起電力素子406と発熱体405
とを有している。温度計測センサーからの出力(即ち、
熱起電力素子406からの出力)は、アンプ408で増
幅される。
【0144】2つのセンサーからの出力は、スイッチ4
00を経て、A/Dコンバータ409に入力される。A
/Dコンバータ409では入力された信号をデジタル信
号に変換する。デジタル信号に変換された信号は、CP
U410に入力され、所定の演算が行われる。この所定
の演算は、実施例2に示したものと基本的に同じであ
る。また、温度計測センサーの動作と流量計測センサー
の動作は同じものとし、またその出力の処理方法も全く
同じものとする。
【0145】図4に示す構成における動作において、実
施例2に示した場合と異なるのは、1回の流量計測にお
いて、温度計測センサーからの出力を処理する動作と、
流体計測センサーからの出力を処理する動作とを行う点
である。即ち、実施例2の場合と比較して、2倍の処理
を行う点である。
【0146】またD/Aコンバータ412は、流量計測
センサーの発熱体401と流量計測センサーの発熱体4
05とに適時電流を流すために機能する。なお、各発熱
体に流す電流は定電流モードとすることが好ましい。こ
れは、温度の上昇に伴って、発熱量を多くし、計測感度
を高めるためである。
【0147】CPU410は、2つのセンサーからの出
力を比較して、流量計測センサーに接して流れる流体の
流量のみに依存した出力を算出する。そして、D/Aコ
ンバータ411から流量に対応したアナログ出力を得
る。
【0148】本実施例の構成を採用した場合、流体の温
度変化や含有する不純物の変化に係わらず、正確な流量
計測を行うことができる。例えば、空調ダクト中を流れ
る空気の流量を計測するような場合、ダクト中を流れる
空気の温度や湿度に左右されずにその流量を計測するこ
とができる。
【0149】〔実施例5〕本実施例は、実施例4に示し
た構成を実際に流体が流れるパイプに配置した構成を示
す。図5に本実施例の概略の構成を示す。図5に示す構
成は、等価的に図4に示すものと同じである。図5に示
すのは、プラスチックや金属のパイプ502内を流れる
流体の流れ503の流量を計測するためのものである。
パイプ502の一部には、流量計測センサーを構成する
ダイヤモンド薄膜403が嵌め込まれている。また50
4に示すように一部の流体は501で外部から密閉され
ている空間505に流入する構成となっている。従っ
て、温度計測センサーを構成するダイヤモンド薄膜40
7は流体の流れには接しないが、流体には接することと
なる。
【0150】図5に示すような構成を採用することによ
り、流量計測センサーからの出力と温度計測センサーか
らの出力とにおいて、異なるのは、流量に対応する成分
のみとなる。
【0151】即ち、それぞれのセンサーが検出する熱的
な影響で異なるのは、流体の流れに関するもののみのと
することができる。
【0152】なお、ダイヤモンド薄膜403と407
は、熱的に絶縁物と見なせる材料で保持する必要があ
る。
【0153】〔実施例6〕本実施例は、実施例2で示し
た流量計測装置を温度補償が行えるように改良した構成
に関する。流体および/または計測環境の温度が変化す
ると、発熱体の抵抗値もまた変化するので、発熱量が変
化し、正確な流量計測が行えなくなってしまう。この問
題を解決するには、実施例3に示したように、ダイヤモ
ンド薄膜にパルス状の加熱を行う発熱体として、温度依
存性の極力小さい材料を用いる方法がある。本実施例
は、流体および/または計測環境の温度に対応させて、
発熱体に供給する電圧を変化させ、常に一定に熱量、ま
たは前記温度に対応した熱量をダイヤモンド薄膜に供給
できる構成を提供するものである。
【0154】温度に依存せず常に一定に熱量を供給する
という概念と、温度に対応した熱量を供給するという概
念とは、互いに矛盾するものであるが、本発明者らの知
見によれば、何れの考え方に従っても、一定レベル以上
の計測精度を得ることができる。これは、流体の諸パラ
メータについて全てを考慮した形で理論が完成されてい
ないためであると考えられる。
【0155】図6に本実施例の概略の構成を示す。図6
において、流量を計測するのは、ダイヤモンド薄膜40
3の表面に図1に示すような形状で発熱体401と熱起
電力素子402とが形成された構成を有する流量計測セ
ンサーである。この流量計測センサーの発熱体401
は、ダイヤモンド薄膜501の表面に形成された発熱体
401と同じ材料で構成された測温抵抗体502と抵抗
503〜505で構成されるブリッジの出力によって駆
動される。また、測温抵抗体502が形成されたダイヤ
モンド薄膜501は、流体に接する必要がある。この場
合、流体の流れに直接接しているのでもよく、また図5
に示す温度計測センサーのような形で流体に接している
のでもよい。
【0156】熱起電力素子502の出力はアンプ404
で増幅され、A/Dコンバータ409に入力される。A
/Dコンバータ409でデジタル信号に変換された信号
は、CPU410で所定の演算処理がなされる。そし
て、D/Aコンバータ411から流量値または流量に対
応したアナログ信号として出力される。CPU410で
行われる演算は、実施例2において示したのと同じであ
る。
【0157】図6に示す構成でどのように温度補償がな
されるか説明する。例えば、発熱体401と測温抵抗体
502とが白金の薄膜で構成されている場合において、
流体の温度が上昇した状況を考える。この場合、測温抵
抗体502の抵抗が流体の温度の上昇に従って上昇す
る。するとアンプ506で増幅される電圧もそれに従っ
て大きなものとなる。一方、発熱体401の抵抗は流体
の温度上昇に伴って大きくなる。結果として、発熱体4
01で発熱される熱量は流体の温度によらず概略同じも
の、あるいは流体の温度に対応したものとすることがで
きる。
【0158】〔実施例7〕本実施例は、ダイヤモンド薄
膜表面に半導体と金属とを用いた熱起電力素子を設ける
例に関する。熱起電力素子は、金属−半導体という組合
せを用いても実現することができる。本実施例は、シリ
コン珪素半導体と白金との組合せを示す。
【0159】まず実施例1に示した方法によりダイヤモ
ンド薄膜を用意し、このダイヤモンド薄膜表面にアモル
ファスシリコン半導体膜をプラズマCVD法で形成す
る。アモルファスシリコン半導体膜は、図1の104で
示されるようなパターンに形成すればよい。アモルファ
スシリコン半導体膜の変わりに結晶性を有する結晶性シ
リコン半導体膜を用いることは有用である。
【0160】そして、白金の薄膜を図1の103で示さ
れるようなパターンに形成する。さらにこの際、発熱体
102も白金の薄膜によって構成する。こうして、シリ
コン半導体と白金とで構成される熱起電力素子が構成さ
れる。
【0161】〔実施例8〕本実施例は、ダイヤモンド薄
膜表面にP型の半導体層を形成し、該半導体層と白金と
で熱起電力素子を構成する例である。まず実施例1で示
したようにプラズマCVD法によりダイヤモンド薄膜を
用意する。そして、イオン注入法またはプラズマドーピ
ング法により、B(ボロン)のイオン注入を行い、ダイ
ヤモンド薄膜の表面にP型のダイヤモンド半導体層を形
成する。
【0162】このP型の半導体層は、図1の104で示
されるようなパターンに形成する。そして、103で示
されるようなパターンに白金薄膜を形成し、同時に10
2で示される発熱体を白金薄膜で構成する。こうして、
P型のダイヤモンド半導体と白金とでなる熱起電力素子
を有したセンサーを得ることができる。
【0163】〔実施例9〕本実施例は、図1に示すよう
なセンサーとは異なるパターンで熱起電力素子を構成し
た例である。なお特に断らない限り、図1に示すものと
同一の符号は同一の箇所を示す。
【0164】図7に第1の例を示す。この例では、11
0で示される接合部分が109で示される接合部分に対
して、接合箇所が1ヶ所少ない点が図1に示す構成との
相違点である。また図8に他の一例を示す。この例で
は、熱起電力素子を構成するパターンが簡単になるとい
う特徴を有する。
【0165】
【発明の効果】熱起電力素子を用いてダイヤモンド薄膜
の温度変化を検出することで、ダイヤモンド薄膜を用い
た熱的なセンサーの消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のセンサーの構成を示す。
【図2】 実施例の流量計測装置の構成を示す。
【図3】 実施例の流量計測装置の動作における出力波
形を示す。
【図4】 実施例の流量計測装置の構成を示す。
【図5】 実施例の流量計測装置の構成を示す。
【図6】 実施例の流量計測装置の構成を示す。
【図7】 実施例のセンサーの構成を示す。
【図8】 実施例のセンサーの構成を示す。
【符号の説明】
101・・・・・・・ダイヤモンド薄膜 102・・・・・・・発熱体 103・・・・・・・白金の薄膜パターン 104・・・・・・・鉄の薄膜パターン 105、106・・・電極 107、108・・・電極 109・・・・・・・接合部分 110・・・・・・・接合部分 400・・・・・・・スイッチ 502・・・・・・・パイプ 503・・・・・・・流体の流れ 502・・・・・・・測温抵抗体 503〜505・・・抵抗 506・・・・・・・アンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−115125(JP,A) 特開 昭62−231174(JP,A) 特開 平3−283601(JP,A) 特開 平3−97201(JP,A) Sensor Applicatio ns for Synthetic P olycrystalline Thi n−Film Diamand,Sen sors and Material s,2,6(1991)p329−346 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01P 5/10 G01F 1/68 - 1/699

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体に接すべく設けられたダイヤモンド
    薄膜と、 前記ダイヤモンド薄膜上に設けられた発熱体と、 前記ダイヤモンド薄膜上に設けられた前記発熱体から発
    生した熱を電力に変換する熱起電力素子とを有し、 前記ダイヤモンド薄膜は前記発熱体によりパルス状に加
    熱されることを特徴とする計測装置。
  2. 【請求項2】 流体に接すべく設けられた薄膜材料と、 前記薄膜材料上に設けられた発熱体と、 前記薄膜材料上に設けられた前記発熱体から発生した熱
    を電力に変換する熱起電力素子とを有し、 前記薄膜材料は、300Kにおけるその熱伝導率を
    s、比熱をCs、密度をρs、その寸法をL=1mm角
    として、 τ=(Csρs2/Ksπ2) で示される時定数τが5ミリ秒以下であり、 前記発熱体によりパルス状に加熱されることを特徴とす
    る計測装置。
  3. 【請求項3】 前記薄膜材料は、ダイヤモンド薄膜、単
    結晶シリコン、炭化珪素、立方晶窒化ホウ素または窒化
    アルミであることを特徴とする請求項2に記載の計測装
    置。
  4. 【請求項4】 流体に接すべく設けられた薄膜材料と、 前記薄膜材料上に設けられた発熱体と、 前記薄膜材料上に設けられた前記発熱体から発生した熱
    を電力に変換する熱起電力素子とを有し、 前記薄膜材料は、300Kにおけるその熱伝導率を
    s、比熱をCs、密度をρs、その寸法をL=1mm角
    として、 τ=(Csρs2/Ksπ2) で示される時定数τが1ミリ秒以下であり、 前記発熱体によりパルス状に加熱されることを特徴とす
    る計測装置。
  5. 【請求項5】 前記薄膜材料は、ダイヤモンド薄膜また
    は立方晶窒化ホウ素であることを特徴とする請求項4に
    記載の計測装置。
  6. 【請求項6】 前記熱電力素子はPt−Cr、Ni−C
    r、Ni―コンスタンタン、Pt―コンスタンタン、P
    d―Cr、Pd―コンスタンタンまたは半導体―Ptの
    組み合わせにより形成されていることを特徴とする請求
    項1乃至5のいずれか一に記載の計測装置。
  7. 【請求項7】 前記計測装置は流量計測装置または温度
    計測装置であることを特徴とする請求項1乃至6のいず
    れか一に記載の計測装置。
  8. 【請求項8】 前記パルス状の加熱以前に前記熱起電力
    素子からの出力を積算し、前記パルス状の加熱以後に前
    記熱起電力素子からの出力を積算し、 前記2つの積算値の差を算出することを特徴とする請求
    項1乃至7のいずれか一に記載の計測装置。
  9. 【請求項9】 α1、α2、・・・αnで示されるパラメ
    ータに依存した前記パルス状の加熱に対する薄膜材料の
    温度変化と、α1、α2、・・・αn+1で示されるパラメ
    ータに依存した前記パルス状の加熱に対する薄膜材料の
    温度変化とを計測し、αn+1で示されるパラメータに依
    存した出力を得ることを特徴とする請求項1乃至7のい
    ずれか一に記載の計測装置。
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