JP3224463B2 - 高熱膨張率硬質酸化物を含むサーメット溶射材料および溶射皮膜をもつハースロール - Google Patents
高熱膨張率硬質酸化物を含むサーメット溶射材料および溶射皮膜をもつハースロールInfo
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- Heat Treatments In General, Especially Conveying And Cooling (AREA)
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は連続焼鈍炉等の熱処理炉
用ハースロールに使用する溶射材料およびそれを用いて
溶射皮膜を施したハースロールに関するものである。
用ハースロールに使用する溶射材料およびそれを用いて
溶射皮膜を施したハースロールに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】一般に、熱処理用ハースロールとしては
高温クリープ強度を重視し、耐熱鋳鋼製ロールが用いら
れている。しかし、特に鋼板の連続焼鈍炉内に配設され
るハースロールにあっては高温の酸化性又は還元性の雰
囲気中に長時間連続して使用されるために、その表面は
摩耗を受けたり、逆に鋼板の付着酸化物又は鉄粉がハー
スロール表面に凝着堆積して、いわゆるビルドアップを
形成したりしている。このような摩耗やビルドアップの
発生があると、鋼板はハースロール上を搬送される間
に、その表面が疵付けられて鋼板の品質が低下する原因
となるので、その発生は極力防止されなければならな
い。
高温クリープ強度を重視し、耐熱鋳鋼製ロールが用いら
れている。しかし、特に鋼板の連続焼鈍炉内に配設され
るハースロールにあっては高温の酸化性又は還元性の雰
囲気中に長時間連続して使用されるために、その表面は
摩耗を受けたり、逆に鋼板の付着酸化物又は鉄粉がハー
スロール表面に凝着堆積して、いわゆるビルドアップを
形成したりしている。このような摩耗やビルドアップの
発生があると、鋼板はハースロール上を搬送される間
に、その表面が疵付けられて鋼板の品質が低下する原因
となるので、その発生は極力防止されなければならな
い。
【０００３】そこで、従来は上記耐熱鋳鋼製ロールにお
けるスケールビルドアップの発生を防止するために、耐
熱鋳鋼製ロールを母材とし、アルミナを母材表面に焼結
せしめたハースロールやアルミナあるいはジルコニアな
どを成分とする溶射材料をもって、母材表面に溶射層を
形成したハースロールや特公昭６０−２２０４７号公報
のように、ＺｒＯ2 ２０〜４０重量％、残部Ａｌ2 Ｏ3
よりなる二元系のセラミックス溶着皮膜を有するビルド
アップ防止に優れた熱処理炉内ロールや特公昭６３−５
０４２８号公報のように、酸化ジルコニウムの安定剤５
重量％未満を含みかつ、ＳｉＯ2 換算で少なくとも２５
重量％を占める酸化硅素をＺｒＯ2 換算の酸化ジルコニ
ウムの合計で８５重量％以上を含有する組成からなる溶
射皮膜を形成させた高温熱処理炉用ハースロールが知ら
れている。
けるスケールビルドアップの発生を防止するために、耐
熱鋳鋼製ロールを母材とし、アルミナを母材表面に焼結
せしめたハースロールやアルミナあるいはジルコニアな
どを成分とする溶射材料をもって、母材表面に溶射層を
形成したハースロールや特公昭６０−２２０４７号公報
のように、ＺｒＯ2 ２０〜４０重量％、残部Ａｌ2 Ｏ3
よりなる二元系のセラミックス溶着皮膜を有するビルド
アップ防止に優れた熱処理炉内ロールや特公昭６３−５
０４２８号公報のように、酸化ジルコニウムの安定剤５
重量％未満を含みかつ、ＳｉＯ2 換算で少なくとも２５
重量％を占める酸化硅素をＺｒＯ2 換算の酸化ジルコニ
ウムの合計で８５重量％以上を含有する組成からなる溶
射皮膜を形成させた高温熱処理炉用ハースロールが知ら
れている。
【０００４】また更には、特公昭５６−３４６３２号公
報のように、Ａｌ2 Ｏ3 ，Ｃｒ2 Ｏ 3 ，ＢｅＯ，Ｃａ
Ｏ，ＴｉＯ2 ，Ｎｂ2 Ｏ3 ，ＴｈＯ2 ，ＺｒＯ2 ，Ｓｉ
Ｏ2 ，ＭｇＯ，ＨｆＯ2 ，Ｙ2 Ｏ3 等の金属酸化物２〜
５０ｖｏｌ％未満にＦｅ，Ｃｏ，Ｎｉの総計が合金の少
なくとも４０％重量を占め、かつＡｌ，Ｓｉ及びＣｒの
総計が合金の１０〜４０％重量を占めるサーメット材を
コーテングした物品が知られている。
報のように、Ａｌ2 Ｏ3 ，Ｃｒ2 Ｏ 3 ，ＢｅＯ，Ｃａ
Ｏ，ＴｉＯ2 ，Ｎｂ2 Ｏ3 ，ＴｈＯ2 ，ＺｒＯ2 ，Ｓｉ
Ｏ2 ，ＭｇＯ，ＨｆＯ2 ，Ｙ2 Ｏ3 等の金属酸化物２〜
５０ｖｏｌ％未満にＦｅ，Ｃｏ，Ｎｉの総計が合金の少
なくとも４０％重量を占め、かつＡｌ，Ｓｉ及びＣｒの
総計が合金の１０〜４０％重量を占めるサーメット材を
コーテングした物品が知られている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】上述したアルミナ焼結
によるハースロールにおいては、急激な温度変化によっ
て、アルミナに亀裂を生じ、かけ落ちると言うスポーリ
ング性に問題があり、また、アルミナあるいはジルコニ
アなどを成分とする溶射材料によって溶射層を形成した
ハースロールにおいては、温度変化時においてロール母
材と溶射層との密着性が劣化し、溶射層の剥離をもたら
す。また、二元系であるＺｒＯ2 −Ａｌ2Ｏ3 やＺｒＯ
2 −ＳｉＯ2 系については、いずれも耐熱鋼ロールとの
熱膨張差が大きく、そのために熱衝撃において剥離を起
こすという問題がある。一方、特公昭５６−３４６３２
号公報のように、酸化物５０ｖｏｌ％以下の量において
は量的に不足であり、耐ビルトアップ性を十分改善した
と言うことは出来ない。
によるハースロールにおいては、急激な温度変化によっ
て、アルミナに亀裂を生じ、かけ落ちると言うスポーリ
ング性に問題があり、また、アルミナあるいはジルコニ
アなどを成分とする溶射材料によって溶射層を形成した
ハースロールにおいては、温度変化時においてロール母
材と溶射層との密着性が劣化し、溶射層の剥離をもたら
す。また、二元系であるＺｒＯ2 −Ａｌ2Ｏ3 やＺｒＯ
2 −ＳｉＯ2 系については、いずれも耐熱鋼ロールとの
熱膨張差が大きく、そのために熱衝撃において剥離を起
こすという問題がある。一方、特公昭５６−３４６３２
号公報のように、酸化物５０ｖｏｌ％以下の量において
は量的に不足であり、耐ビルトアップ性を十分改善した
と言うことは出来ない。
【０００６】
【課題を解決するための手段】上述した問題を解決する
ため、発明者らは鋭意研究を重ねた結果、サーメット化
と高熱膨張率セラミックスの組合せで皮膜密着力の向上
を図ると共に、高硬度で熱衝撃に強いビルトアップの少
ない高熱膨張率硬質酸化物を含むサーメット溶射材料お
よびそれを用いて溶射皮膜を施したハースロールを提供
することにある。その発明の要旨とするところは、 （１）高熱膨張率で硬度の高い酸化物セラミックス皮膜
をつくるＡｌ2 Ｏ3 −ＺｒＯ2 −ＣｅＯ2 及び／又はＹ
2 Ｏ3 を分散させたサーメット溶射材料から構成され、
酸化物に対するｗｔ％がＡｌ2 Ｏ3 ６０ｗｔ％以下、Ｃ
ｅＯ2 ３５ｗｔ％以下、Ｙ2 Ｏ3 ２０ｗｔ％以下であ
り、かつ酸化物の全ｖｏｌ％が５０％超及びＮｉ，Ｃ
ｏ，Ｃｒ，Ａｌ，Ｓｉ，Ｎｂ，Ｔａ，Ｙの２種以上より
成る高熱膨張率硬質酸化物を含むサーメット溶射材料。
ため、発明者らは鋭意研究を重ねた結果、サーメット化
と高熱膨張率セラミックスの組合せで皮膜密着力の向上
を図ると共に、高硬度で熱衝撃に強いビルトアップの少
ない高熱膨張率硬質酸化物を含むサーメット溶射材料お
よびそれを用いて溶射皮膜を施したハースロールを提供
することにある。その発明の要旨とするところは、 （１）高熱膨張率で硬度の高い酸化物セラミックス皮膜
をつくるＡｌ2 Ｏ3 −ＺｒＯ2 −ＣｅＯ2 及び／又はＹ
2 Ｏ3 を分散させたサーメット溶射材料から構成され、
酸化物に対するｗｔ％がＡｌ2 Ｏ3 ６０ｗｔ％以下、Ｃ
ｅＯ2 ３５ｗｔ％以下、Ｙ2 Ｏ3 ２０ｗｔ％以下であ
り、かつ酸化物の全ｖｏｌ％が５０％超及びＮｉ，Ｃ
ｏ，Ｃｒ，Ａｌ，Ｓｉ，Ｎｂ，Ｔａ，Ｙの２種以上より
成る高熱膨張率硬質酸化物を含むサーメット溶射材料。
【０００７】（２）高熱膨張率で硬度の高い皮膜をつく
るＡｌ2 Ｏ3 −ＺｒＯ2 −ＣｅＯ2 及び／又はＹ2 Ｏ3
を分散させたサーメット溶射材料から構成され、酸化物
に対するｗｔ％がＡｌ2 Ｏ3 ６０ｗｔ％以下、ＣｅＯ2
３５ｗｔ％以下、Ｙ2 Ｏ3 ２０ｗｔ％以下とＮｉ，Ｃ
ｏ，Ｃｒ，Ａｌ，Ｓｉ，Ｎｂ，Ｔａ，Ｙの２種以上より
成るサーメット溶射材料であり、かつ酸化物の全ｖｏｌ
％が５０ｖｏｌ％超である高熱膨張率硬質酸化物を含む
サーメット溶射材料を用いて溶射皮膜を形成させてなる
熱処理用ハースロール。 （３）（１）記載の金属よりなる耐熱サーメット溶射層
を厚さ１５０μｍ以下のボンドコート上に溶射して成る
皮膜をもつ熱処理用ハースロールにある。
るＡｌ2 Ｏ3 −ＺｒＯ2 −ＣｅＯ2 及び／又はＹ2 Ｏ3
を分散させたサーメット溶射材料から構成され、酸化物
に対するｗｔ％がＡｌ2 Ｏ3 ６０ｗｔ％以下、ＣｅＯ2
３５ｗｔ％以下、Ｙ2 Ｏ3 ２０ｗｔ％以下とＮｉ，Ｃ
ｏ，Ｃｒ，Ａｌ，Ｓｉ，Ｎｂ，Ｔａ，Ｙの２種以上より
成るサーメット溶射材料であり、かつ酸化物の全ｖｏｌ
％が５０ｖｏｌ％超である高熱膨張率硬質酸化物を含む
サーメット溶射材料を用いて溶射皮膜を形成させてなる
熱処理用ハースロール。 （３）（１）記載の金属よりなる耐熱サーメット溶射層
を厚さ１５０μｍ以下のボンドコート上に溶射して成る
皮膜をもつ熱処理用ハースロールにある。
【０００８】以下本発明について詳細に説明する。本発
明は耐熱衝撃性を改善するためにサーメットとし、特に
Ｎｉ，Ｃｏ，Ｃｒ，Ａｌ，Ｓｉ，Ｎｂ，Ｔａ，Ｙの２種
以上を含むもので、例えばＣｏ−Ｃｒ合金、Ｃｏ−Ｎｉ
合金、Ｃｒ−Ａｌ合金、Ｃｏ−Ｃｒ−Ａｌ−Ｙ合金など
用いる。このサーメット金属部の成分としては１５〜３
０ｗｔ％Ｃｒ，５〜１５ｗｔ％Ａｌ，残Ｃｏ或いはＮｉ
等を適宜選択添加する。他の成分として１％以下のＹ，
３％以下のＳｉ，１０％以下のＴａ，Ｎｂ等を含むもの
が良い。さらにＡｌ2 Ｏ3 −ＺｒＯ2 −ＣｅＯ2 及び／
又はＹ2 Ｏ3 のセラミックス量を５０ｖｏｌ％超と多く
したことにある。
明は耐熱衝撃性を改善するためにサーメットとし、特に
Ｎｉ，Ｃｏ，Ｃｒ，Ａｌ，Ｓｉ，Ｎｂ，Ｔａ，Ｙの２種
以上を含むもので、例えばＣｏ−Ｃｒ合金、Ｃｏ−Ｎｉ
合金、Ｃｒ−Ａｌ合金、Ｃｏ−Ｃｒ−Ａｌ−Ｙ合金など
用いる。このサーメット金属部の成分としては１５〜３
０ｗｔ％Ｃｒ，５〜１５ｗｔ％Ａｌ，残Ｃｏ或いはＮｉ
等を適宜選択添加する。他の成分として１％以下のＹ，
３％以下のＳｉ，１０％以下のＴａ，Ｎｂ等を含むもの
が良い。さらにＡｌ2 Ｏ3 −ＺｒＯ2 −ＣｅＯ2 及び／
又はＹ2 Ｏ3 のセラミックス量を５０ｖｏｌ％超と多く
したことにある。
【０００９】本発明において、Ａｌ2 Ｏ3 を用いたのは
セラミックスの中でも耐蝕性、耐摩耗性に優れ、かつ耐
ビルドアップ性に優れているからである。しかし、Ａｌ
2 Ｏ 3 は溶射施工時α型からγ型に変態したものが、８
００〜１１００℃程度の使用温度域においてα型Ａｌ2
Ｏ3 にもどるため、Ａｌ2 Ｏ3 単体では体積膨張を伴い
剥離し易く、充分な耐用性を示さない。一方ＺｒＯ2 は
ハースロールが配設される高温雰囲気温度にも十分耐え
られる材料として重要な成分であることからＡｌ2 Ｏ3
−ＺｒＯ2 が考えられる。しかし、耐熱合金や耐熱鋼ロ
ールとの熱膨張差が大きく、熱衝撃試験を行うと剥離を
起こす。他方ＺｒＯ2 −Ｙ2 Ｏ3 やＺｒＯ2 −ＣｅＯ2
をも考えられるが、このいずれも熱膨張率が高いが硬度
が低く、耐摩耗性に劣るために、本発明であるＡｌ2 Ｏ
3 添加で硬度を増し、耐摩耗性を良くし、また、組織緻
密化がＡｌ2 Ｏ3 −ＺｒＯ2 の共晶凝固で可能となり、
皮膜のエロージョン特性を改良することが出来る。
セラミックスの中でも耐蝕性、耐摩耗性に優れ、かつ耐
ビルドアップ性に優れているからである。しかし、Ａｌ
2 Ｏ 3 は溶射施工時α型からγ型に変態したものが、８
００〜１１００℃程度の使用温度域においてα型Ａｌ2
Ｏ3 にもどるため、Ａｌ2 Ｏ3 単体では体積膨張を伴い
剥離し易く、充分な耐用性を示さない。一方ＺｒＯ2 は
ハースロールが配設される高温雰囲気温度にも十分耐え
られる材料として重要な成分であることからＡｌ2 Ｏ3
−ＺｒＯ2 が考えられる。しかし、耐熱合金や耐熱鋼ロ
ールとの熱膨張差が大きく、熱衝撃試験を行うと剥離を
起こす。他方ＺｒＯ2 −Ｙ2 Ｏ3 やＺｒＯ2 −ＣｅＯ2
をも考えられるが、このいずれも熱膨張率が高いが硬度
が低く、耐摩耗性に劣るために、本発明であるＡｌ2 Ｏ
3 添加で硬度を増し、耐摩耗性を良くし、また、組織緻
密化がＡｌ2 Ｏ3 −ＺｒＯ2 の共晶凝固で可能となり、
皮膜のエロージョン特性を改良することが出来る。
【００１０】すなわち、基材と皮膜の熱膨張差を少なく
することが熱衝撃による皮膜剥離を無くするための必須
条件であることから、金属に匹敵する熱膨張率をＹ2 Ｏ
3 添加ないしはＣｅＯ2 添加によって得ようとするもの
である。そのためにはＹ2 Ｏ3 添加量は２０％で、ま
た、ＣｅＯ2 添加量は３５ｗｔ％で十分に高い値とな
る。従って、これらの上限はそれぞれ２０ｗｔ％、３５
ｗｔ％とする。また、基材への膜厚は５０〜２５０μｍ
が良好である。このようにＺｒＯ2 −Ｙ2 Ｏ3 系やＺｒ
Ｏ2 −ＣｅＯ2 系よりも、本発明の３元系はＡｌ2 Ｏ3
−ＺｒＯ2 の共晶反応により、組織が微細化し、かつ、
融点も低くなるので、溶射し易くなる。また、Ｙ2 Ｏ3
やＣｅＯ2 は組織安定化材としても働くものである。
することが熱衝撃による皮膜剥離を無くするための必須
条件であることから、金属に匹敵する熱膨張率をＹ2 Ｏ
3 添加ないしはＣｅＯ2 添加によって得ようとするもの
である。そのためにはＹ2 Ｏ3 添加量は２０％で、ま
た、ＣｅＯ2 添加量は３５ｗｔ％で十分に高い値とな
る。従って、これらの上限はそれぞれ２０ｗｔ％、３５
ｗｔ％とする。また、基材への膜厚は５０〜２５０μｍ
が良好である。このようにＺｒＯ2 −Ｙ2 Ｏ3 系やＺｒ
Ｏ2 −ＣｅＯ2 系よりも、本発明の３元系はＡｌ2 Ｏ3
−ＺｒＯ2 の共晶反応により、組織が微細化し、かつ、
融点も低くなるので、溶射し易くなる。また、Ｙ2 Ｏ3
やＣｅＯ2 は組織安定化材としても働くものである。
【００１１】
【作用】このようにセラミックス部の酸化物は５０ｖｏ
ｌ％超とし、その上でサーメット化しているため、セラ
ミックスのみの場合より、皮膜強度及び密着力ともに２
倍以上の向上が図られる。従って密着力向上により、熱
衝撃性も改善され、金属皮膜に匹敵する耐熱衝撃性を有
する。また、通板材のＦｅ，ＦｅＯ，Ｆｅ2 Ｏ3との反
応性の少ないＺｒＯ2 、Ａｌ2 Ｏ3 、ＣｅＯ2 、Ｙ2 Ｏ
3 を含有させるのでビルドアップ性に優れ、特にセラミ
ックス含有量を５０ｖｏｌ％超とすることによって顕著
な効果が得られる。
ｌ％超とし、その上でサーメット化しているため、セラ
ミックスのみの場合より、皮膜強度及び密着力ともに２
倍以上の向上が図られる。従って密着力向上により、熱
衝撃性も改善され、金属皮膜に匹敵する耐熱衝撃性を有
する。また、通板材のＦｅ，ＦｅＯ，Ｆｅ2 Ｏ3との反
応性の少ないＺｒＯ2 、Ａｌ2 Ｏ3 、ＣｅＯ2 、Ｙ2 Ｏ
3 を含有させるのでビルドアップ性に優れ、特にセラミ
ックス含有量を５０ｖｏｌ％超とすることによって顕著
な効果が得られる。
【００１２】更には、ＣｅＯ2 、Ｙ2 Ｏ3 はＺｒＯ2 の
変態を無くするので熱膨張差による金属部との界面ミク
ロ割れの発生を押さえ緻密な皮膜を作ることと、熱膨張
の高いセラミックスを使用するため、熱応力の発生も小
さく、耐熱衝撃性も向上するものである。また、耐摩耗
性についてもセラミックスのみの皮膜のみに見られるエ
ロージョンが少なく、柔らかい金属組織と硬いセラミッ
クス組織の生成比率を適切にするので、セラミックスの
みの皮膜より耐摩耗性は時に優れている。
変態を無くするので熱膨張差による金属部との界面ミク
ロ割れの発生を押さえ緻密な皮膜を作ることと、熱膨張
の高いセラミックスを使用するため、熱応力の発生も小
さく、耐熱衝撃性も向上するものである。また、耐摩耗
性についてもセラミックスのみの皮膜のみに見られるエ
ロージョンが少なく、柔らかい金属組織と硬いセラミッ
クス組織の生成比率を適切にするので、セラミックスの
みの皮膜より耐摩耗性は時に優れている。
【００１３】更に第２の発明として基材と皮膜との密着
性を良くるために、ボンドコートを下盛りすることによ
って、耐剥離性をより向上させるものである。そのボン
ドコート材としてはＣｏ，Ｎｉ，Ｃｒ，Ａｌ，Ｓｉ，
Ｙ，Ｔａ，Ｙ，Ｎｂ，Ｃの２種以上を含む耐熱合金を１
５０μｍ以下下盛りするか、または傾斜溶射等の方法を
用い、セラミックス部の濃度差を付けても良い。
性を良くるために、ボンドコートを下盛りすることによ
って、耐剥離性をより向上させるものである。そのボン
ドコート材としてはＣｏ，Ｎｉ，Ｃｒ，Ａｌ，Ｓｉ，
Ｙ，Ｔａ，Ｙ，Ｎｂ，Ｃの２種以上を含む耐熱合金を１
５０μｍ以下下盛りするか、または傾斜溶射等の方法を
用い、セラミックス部の濃度差を付けても良い。
【００１４】次に溶射法としては、例えば高速ガス溶
射、爆発溶射法、プラズマ溶射法などがあり、また、パ
ウダー製法としては特に制限しないが、造粒焼結法、溶
融粉石率法、コーテング粉等で良い結果が得られる。更
にはクロム酸、金属アルコキシドアルコール液等による
封孔処理を使用することも可能であり、その場合には封
孔後３００℃以上で焼成し、安定酸化物化すると良い。
射、爆発溶射法、プラズマ溶射法などがあり、また、パ
ウダー製法としては特に制限しないが、造粒焼結法、溶
融粉石率法、コーテング粉等で良い結果が得られる。更
にはクロム酸、金属アルコキシドアルコール液等による
封孔処理を使用することも可能であり、その場合には封
孔後３００℃以上で焼成し、安定酸化物化すると良い。
【００１５】
実施例１ 連続焼鈍炉において２５％Ｃｒ−２０％Ｎｉ耐熱合金鋼
ロール表面に表１に示す各種セラミックス組成となる被
覆材料を１２５μｍ以下の粒度に調整した後プラズマ溶
射装置で溶射皮膜を被覆した場合の硬度及びヒートチェ
ク回数並びに耐ビルドアップ性について示す。評価とし
てのビルドアップ試験は発生したビルドアップの面積を
画像処理の手法を用いて測定した後、ビルドアップの面
積をロール表面積で除した値をビルドアップの発生比
率、単位は％とし、発生面積率の値が低い程、ビルドア
ップが発生しにくい溶射皮膜と評価する。その結果を表
１に示すように、本発明例の１〜５は硬度を高くするこ
とが出来、特に耐ビルドアップ性は顕著に向上すること
が可能となった。これに対して比較例１〜３は硬度及び
耐ビルドアップ性において劣ることが判る。
ロール表面に表１に示す各種セラミックス組成となる被
覆材料を１２５μｍ以下の粒度に調整した後プラズマ溶
射装置で溶射皮膜を被覆した場合の硬度及びヒートチェ
ク回数並びに耐ビルドアップ性について示す。評価とし
てのビルドアップ試験は発生したビルドアップの面積を
画像処理の手法を用いて測定した後、ビルドアップの面
積をロール表面積で除した値をビルドアップの発生比
率、単位は％とし、発生面積率の値が低い程、ビルドア
ップが発生しにくい溶射皮膜と評価する。その結果を表
１に示すように、本発明例の１〜５は硬度を高くするこ
とが出来、特に耐ビルドアップ性は顕著に向上すること
が可能となった。これに対して比較例１〜３は硬度及び
耐ビルドアップ性において劣ることが判る。
【００１６】
【表１】
【００１７】実施例２ 実施例１と同一条件で耐熱合金鋼ロール表面にＣｏ−Ｃ
ｒ合金を４０μｍ厚さに下地溶射層を施し、引続き６５
ｖｏｌ％（３８Ａｌ2 Ｏ3 −５８ＺｒＯ2 −４Ｙ
2 Ｏ3 ）−ＣｏＮｉＣｒＡｌＹ−Ｔａ−ＮｂＣを１００
μｍ厚溶射した皮膜を形成し、研磨仕上げしたロールを
連続焼鈍炉に取付け使用したところ、２０ケ月経過後に
も何等のビルドアップも認められず、被覆層の亀裂や剥
離も全くなく、表１に示す比較例の被覆ロールに比べ
て、４倍以上の耐用寿命を得ることが出来た。
ｒ合金を４０μｍ厚さに下地溶射層を施し、引続き６５
ｖｏｌ％（３８Ａｌ2 Ｏ3 −５８ＺｒＯ2 −４Ｙ
2 Ｏ3 ）−ＣｏＮｉＣｒＡｌＹ−Ｔａ−ＮｂＣを１００
μｍ厚溶射した皮膜を形成し、研磨仕上げしたロールを
連続焼鈍炉に取付け使用したところ、２０ケ月経過後に
も何等のビルドアップも認められず、被覆層の亀裂や剥
離も全くなく、表１に示す比較例の被覆ロールに比べ
て、４倍以上の耐用寿命を得ることが出来た。
【００１８】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によるサーメ
ット化と高熱膨張率セラミックスの組合せによる皮膜に
よって、皮膜密着力の向上を図り、耐剥離性および耐熱
衝撃性を大きく向上させることが出来ると共に、硬度を
高くし、耐摩耗性を向上させることが出来た。また、高
融点ＺｒＯ2 の効果によりＦｅＯ，Ｆｅなどのビルドア
ップを極力少なくし、かつ、Ｙ2 Ｏ3 及びＣｅＯ2 によ
るＺｒＯ2 部の正方晶化及び立方晶化を助け、組織安定
化を可能とした極めて優れた効果を奏するものである。
ット化と高熱膨張率セラミックスの組合せによる皮膜に
よって、皮膜密着力の向上を図り、耐剥離性および耐熱
衝撃性を大きく向上させることが出来ると共に、硬度を
高くし、耐摩耗性を向上させることが出来た。また、高
融点ＺｒＯ2 の効果によりＦｅＯ，Ｆｅなどのビルドア
ップを極力少なくし、かつ、Ｙ2 Ｏ3 及びＣｅＯ2 によ
るＺｒＯ2 部の正方晶化及び立方晶化を助け、組織安定
化を可能とした極めて優れた効果を奏するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 広重 宗利 千葉県君津市君津１番地 日鉄ハード株 式会社 君津事業所内 (56)参考文献 特開 平４−17625（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−145470（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) C23C 4/06 C21D 1/00 C21D 9/56 C23C 4/10 C23C 26/00
Claims (3)
- 【請求項１】 高熱膨張率で硬度の高い酸化物セラミッ
クス皮膜をつくるＡｌ2 Ｏ3 −ＺｒＯ2 −ＣｅＯ2 及び
／又はＹ2 Ｏ3 を分散させたサーメット溶射材料から構
成され、酸化物に対するｗｔ％がＡｌ2 Ｏ3 ６０ｗｔ％
以下、ＣｅＯ2 ３５ｗｔ％以下、Ｙ2 Ｏ3 ２０ｗｔ％以
下であり、かつ酸化物の全ｖｏｌ％が５０％超及びＮ
ｉ，Ｃｏ，Ｃｒ，Ａｌ，Ｓｉ，Ｎｂ，Ｔａ，Ｙの２種以
上より成る高熱膨張率硬質酸化物を含むサーメット溶射
材料。 - 【請求項２】 高熱膨張率で硬度の高い皮膜をつくるＡ
ｌ2 Ｏ3 −ＺｒＯ2 −ＣｅＯ2 及び／又はＹ2 Ｏ3 を分
散させたサーメット溶射材料から構成され、酸化物に対
するｗｔ％がＡｌ2 Ｏ3 ６０ｗｔ％以下、ＣｅＯ2 ３５
ｗｔ％以下、Ｙ2 Ｏ3 ２０ｗｔ％以下とＮｉ，Ｃｏ，Ｃ
ｒ，Ａｌ，Ｓｉ，Ｎｂ，Ｔａ，Ｙの２種以上より成るサ
ーメット溶射材料であり、かつ酸化物の全ｖｏｌ％が５
０ｖｏｌ％超である高熱膨張率硬質酸化物を含むサーメ
ット溶射材料を用いて溶射皮膜を形成させてなる熱処理
用ハースロール。 - 【請求項３】 請求項１記載の金属よりなる耐熱サーメ
ット溶射層を厚さ１５０μｍ以下のボンドコート上に溶
射して成る皮膜をもつ熱処理用ハースロール。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP29185193A JP3224463B2 (ja) | 1993-11-22 | 1993-11-22 | 高熱膨張率硬質酸化物を含むサーメット溶射材料および溶射皮膜をもつハースロール |
Applications Claiming Priority (1)
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