JP3224166B2 - 溶融金属浴用部材 - Google Patents

溶融金属浴用部材

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JP3224166B2
JP3224166B2 JP21010093A JP21010093A JP3224166B2 JP 3224166 B2 JP3224166 B2 JP 3224166B2 JP 21010093 A JP21010093 A JP 21010093A JP 21010093 A JP21010093 A JP 21010093A JP 3224166 B2 JP3224166 B2 JP 3224166B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、溶融金属浴用部材に
関し、特に、溶融亜鉛めっき,溶融亜鉛−アルミニウム
合金めっき,溶融アルミニウムめっきなどの分野で用い
られる各種ロール類,軸受け,スリーブ,ブッシュ,め
っき量調整用金具などの溶融金属浴用部材の表面処理技
術についての提案である。
【0002】
【従来の技術】溶融亜鉛めっき、溶融アルミニウムめっ
き、溶融亜鉛−アルミニウム合金めっきなどのめっき層
は、優れた防錆、防食力を発揮することから、古くか
ら、自動車、航空機、車輌、建築、家電製品などの主要
部材に使用されており、現在でもなお、主要な役割りを
果している有用な表面処理技術である。
【0003】一般に、大量に生産されている溶融亜鉛め
っき鋼板のめっき処理は、多くの場合、図1に示すよう
な連続めっき処理によって行われている。この連続式溶
融亜鉛めっき装置には、めっき浴1中に浸漬されている
シンクロール2、めっき浴中の表面近傍に配設されるサ
ポートロール3及びこれらのロールを通過した後のめっ
き鋼板4を案内するガイドロール5、鋼板に付着した過
剰の亜鉛を窒素ガスや水蒸気で吹き飛ばすための噴射ノ
ズル6などが配設されている。このように、この発明の
溶融金属浴用部材というのは、めっき浴中に浸漬される
か、溶融亜鉛が飛散付着しやすい箇所に設置してあり、
また溶融亜鉛が付着した高温の鋼板と接触するように使
われるので、(1) 溶融亜鉛による侵食が起こり難いこ
と、(2) 通板材 (鋼板) と接触しても摩耗しにくいこ
と、(3) 付着した溶融亜鉛の剥離ならびに保守点検が容
易なこと、(4) めっき用部材としての寿命が長く低コス
トであること、(5) 高温の溶融亜鉛浴中に浸漬した際の
熱衝撃によく耐えること、などの性能が要求される。
【0004】このような要求に応えるため、シンクロー
ル用皮膜を例にとれば、(1) 特公昭56−39709 号公報,
特公昭58−11507 号公報,特開昭59−153875号公報,特
開平1−108334号公報,特開昭64−79356 号公報および
特開平2−125833号公報に記載のJIS H8303 (1976)制定
のCo基自溶合金に準拠した合金組成の皮膜を形成したも
の、(2) 特開昭61−117260号公報,特公平3−54181 号
公報および特公平4−27290 号公報に開示のような、Zr
O2とAl2O3 からなる酸化物系セラミックス皮膜を溶射形
成したもの、(3) 特公昭58−37386 号公報,特開平2−
212366号公報,特開平2−180755号公報,特開平3−94
048 号公報,特開平4−13857 号公報および特開平4−
346640号公報に開示のように、炭化物や窒化物,硼化物
などの非酸化物系セラミックスに、CrやNi, Coなどの金
属を共存させてなるサーメット溶射皮膜を形成したも
の、(4) 特開平4−13857 号公報のように、前記(1) と
(3) の技術を組み合わせたもの、(5) さらに、耐溶融金
属を溶接肉盛した特公昭52−22934 号公報や、Wを溶射
成膜した特開昭53−128538号公報、Crを溶射成膜した特
開平4−165058号公報、などが提案されている。上記の
ような技術に対し、発明者らも同種技術の開発研究を行
なってきた。すなわち、(6) 特願昭63−49846 号(特開
平1−225761号) で、WCサーメットにおいて、Coを5〜
28%含み、その皮膜の気孔率を1.8 %以下、膜厚を 0.0
40〜0.10mm未満とした溶射皮膜、(7) 特願昭63−192753
号(特開平2−43352 号) において、硼化物またはこれ
にCoを5〜28%含ませた材料を減圧プラズマ溶射法によ
って形成したもの、(8) 特願平1−54883 号(特開平2
−236266号) において、ZrB2, TiB2および各種炭化物に
5〜40%のTa, Nbを含ませた材料を用い、減圧プラズマ
溶射法によって、その皮膜表面粗さRaを 0.01 〜5μm
、気孔率1.8 %以下の皮膜を形成したもの、(9) 実願
平1−124010号(実開平3−63565 号) において、炭化
物を主体とするサーメット溶射皮膜上に、化学的緻密化
法によってCr3O3 を形成した皮膜、(10) 特願平2−201
187号(特開平4−88159 号) において、炭化物溶射皮
膜の一部を硼化処理によって硼化物に変化させた皮膜、
(11) 特願平3−31448 号(特開平4−254571号)にお
いて、各種炭化物、硼化物またはそのサーメット溶射皮
膜にAlまたはAl−Zn合金を加熱拡散することによって、
耐溶融亜鉛性を向上させたもの、(12) 特願平3−31448
号(特開平4−254571号) において、非酸化物系セラ
ミックスの溶射皮膜にAlまたはAl−Znを拡散浸透させた
もの、(13) 特願平3−222425号(特開平4−358055号)
において、非酸化物系セラミック粉末またはこれに金
属を混合してなる粉末に、AlまたはAl−Zn合金を添加し
てなる溶射材料を用いて形成した溶射皮膜、(14) 特願
平3−213143号(特開平5−33113 号) において、非酸
化物系セラミック粉末またはこれに金属を混合してなる
粉末に、Al−Fe合金またはAl−Fe−Zn合金を添加してな
る溶射材料を用いて形成した溶射皮膜、(15) 特願平3
−266874号(特開平5−78801 号) において、鋼製のロ
ールの表面に、Al含有量22%以上のAl−Fe合金層を形成
したもの、などの諸技術および皮膜を提案してきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上の説明から判るよ
うに、従来の溶融亜鉛めっき浴用部材に形成する溶射皮
膜についての研究課題は、耐溶融亜鉛性皮膜材料の選
定、皮膜の密着性向上、皮膜の緻密性向上、皮膜
表面粗さの制御などの皮膜自身の特性の改善が主体であ
り、それぞれに改善の効果があった。しかしながら、溶
融亜鉛めっき鋼板については、最近のような需要拡大に
伴って、めっきプラントの稼動率の向上およびめっき鋼
板の品質向上に対する要求は極めて強くなり、耐溶融亜
鉛性はもとより、めっき浴中に浮遊する微細なドロス成
分 (Zn−Fe, Zn−Fe−Al合金) の溶射皮膜表面への付
着、ひいては付着したそのドロスによって鋼板に極微小
な押傷が発生することさえも嫌忌するような状況となっ
てきた。そこで、この発明は、これらの要求を十分に満
たすことができる、耐溶融金属溶射皮膜を施した溶融金
属浴用部材を提供することを目的とする技術の提案であ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは、種々の実験
研究を行った結果、溶射皮膜中への溶融金属の侵入につ
いては、緻密な炭化物サーメット皮膜を採用することに
よって阻止でき、一方、ドロス成分の付着については、
溶融亜鉛と冶金反応しない窒化物の皮膜を最表層部に被
覆することによって防止し得ることを知見し、この発明
を完成するに到った。すなわち、この発明は、鋼鉄製基
材の表面に、下地層として形成された炭化物サーメット
溶射皮膜、その下地層の表面に、有機質バインダー処
理した窒化物粒子を溶射することにより形成された、
離状態の金属を含まない実質的に窒化物のみからなる溶
射皮膜とからなる、複合溶射皮膜を有することを特徴と
する溶射浴用部材である。そして、また、本発明は、鋼
鉄製基材の表面に、炭化物サーメットを溶射して炭化物
の下地層を形成し、その炭化物下地層の表面に、0.01〜
0.1μmの窒化物の1次粒子を有機質バインダーを使って3
〜50μmの2次粒子に調整した窒化物溶射粉末材料を溶射
することにより、遊離状態の金属を含まない実質的に窒
化物のみからなる溶射皮膜を設けてなる、複合溶射皮膜
を形成することを特徴とする溶射浴用部材の製造方法を
提案する。
【0007】
【作用】この発明に適合する複合溶射皮膜は、下地層
(アンダーコート)として炭化物サーメット溶射皮膜を
具え、そのアンダーコートの上に遊離状態の金属を含ま
ない窒化物の溶射皮膜を設けてなるが、このような構成
をとることによって、優れた耐溶融金属性を発揮すると
共に、ドロス成分の付着をも防止することができる。す
なわち、この発明は、炭化物や炭化物サーメットの特性
である溶融亜鉛の内部侵入防止特性と、窒化物が具える
ドロス成分付着防止特性を兼える複合溶射皮膜を有
する溶融金属浴用部材である。
【0008】このような複合溶射皮膜の主要成分は、窒
化物、ならびにサーメットを構成する炭化物と金属であ
り、かかる窒化物としては、TiN, HfN, TaN, NbN,
VN, ZrN, CrN, Si3N4,もしくはAlNなどが有利に適
合し、かかる炭化物としては、TiC, NbC, WC, Cr3C2, B
4C, TaC, BiC, ZrC, HfCもしくはVCなどが有利に適合
し、そして、金属成分としては、CoおよびCo−Al合金が
適している。
【0009】これらの主要成分はそれぞれ、以下に説明
するような特性を有する。炭化物および窒化物は、溶融
金属に対して強い侵食抵抗力, 即ち溶融金属に濡れにく
い特性と溶融金属の内部侵入防止特性とを示す。ただ
し、これらは、それ自体だけでは溶融しにくいために密
着性のよい溶射皮膜を形成することができず、そのため
に従来は、必ず金属成分との共存状態(サーメット状
態)で使用されていた。
【0010】ところで、この発明において、下層に形成
される炭化物の層は、CoおよびCo−Al合金を混合した,
いわゆるサーメットの状態で溶射して成膜される。これ
に対し、最表層部を構成する皮膜は、遊離状態の金属を
含まない窒化物を溶射して成膜される。このことは、最
外層の窒化物の成膜については、金属成分を全く含まな
いために成膜が極めて困難であることを意味する。従っ
て、軟化や溶融現象を明確に示さないかかる窒化物の溶
射には、それなりの工夫が必要となる。この点、本発明
では、溶射する窒化物として、0.01〜0.1 μmの微粒子
(一次粒子)を用い、これを有機質バインダー(例え
ば、酢酸ビニル)を使って3〜50μm粒径の二次粒子に
調整し、これを溶射粉末材料とすることが好適である。
このように調整した溶射粉末材料は、これが溶射熱源と
してのプラズマ中に導入されると、その最表層部にある
微粒子が加熱によって軟化,溶融すると共に、酸化した
り分解したりする。一方で、その内部に存在する微粒子
は、雰囲気ガスと遮断されているために、軟化したり溶
融したりするが、酸化や分解が極力抑制されることとな
る。その結果、前記溶射粉末材料は、被処理体に衝突し
たときに、その最表層部にあって酸化や分解をした粒子
は、周囲に飛散して成膜されないが、内部のものは軟化
や溶融をし、その粒子が被処理体に強固に付着して、強
固な外層皮膜が得られることになる。この発明は、この
ような現象を利用して、皮膜の最表層部を窒化物で溶射
被覆することに特徴がある。なお、有機質バインダーで
調整した二次粒子径が、3μmより小さい場合はプラズ
マ中で熱分解する割合が多く、一方、50μmより大きい
場合には、中心部が充分昇温しないため、ともに本発明
に適した皮膜が形成されない。ここで、複合皮膜の最外
層を形成する窒化物中に遊離状態の金属を全く含まない
こととした理由は、次の通りである。すなわち、金属と
活性な窒素を反応させて生成する窒化物中に、未反応金
属が残存していると、その窒化物の溶射成膜は容易とな
るものの、得られる皮膜は溶融金属に非常に浸食されや
すくなるためである。
【0011】次に、サーメットを構成する金属について
説明する。本発明において、炭化物サーメットに用いる
金属としてCoもしくはそのAl合金を用いる。それは、こ
のCoは、他の溶融金属,例えばめっき浴中の溶融金属と
反応して合金をつくる性質を有し、特に、溶融Alと反応
して高融点のCo−Al合金を形成する(例えば、Co−70%
Al合金で1648℃)。そのため、成膜された溶射皮膜と溶
融金属との接触初期において、Alが比較的早くCo−Al合
金層を形成する。その結果、それ以降のAl侵入速度を極
端に遅くするという特性を有するからである。例えば、
通常の溶融亜鉛浴中には、Alが 0.1〜0.2 %添加されて
いるが、この中にCo溶射皮膜を浸漬すると、浴中のAlが
皮膜の表面で選択的にCo−Al合金を形成し(Al濃度が1
〜5%に濃縮した状態となる)、その結果として、Alは
もとより溶融Znの皮膜への侵入速度も極端に遅くなる。
【0012】最近、広く使用されているZn-55%Al合金浴
の場合、このような合金浴にCo溶射皮膜を浸漬すると、
まずAl含有量の高いCo−Al合金皮膜が形成されることと
なる。この場合、溶融Zn, 溶融Alそれぞれの溶射皮膜内
部への侵入速度がNi, Crなどの金属に比較すると低下す
ることとなる。以上説明したところから明らかなよう
に、Coを含む炭化物の溶射皮膜は、Al溶融金属の内部侵
入の障壁としての機能を発揮するものである。
【0013】なお、下層の炭化物溶射皮膜中にサーメッ
ト皮膜成分としてのCo−Al合金を含有させるこの処理
は、含Al溶融金属中に浸漬した際に、Co表面におけるAl
濃縮現象を、予め早期に再現させておこうとする考え方
であり、それは、Co炭化物サーメットの溶射皮膜と同等
以上の機能と効果を発揮する。なお、上記サーメット成
分としてのCo−Al合金中のAl含有量は、70%以下がよ
く、これ以上含有させても、含Al溶融金属浴中にAlが溶
出していくだけであり、溶融金属の障壁としての機能は
特に向上しないので、必要性は少ない。
【0014】なお、市販の炭化物のなかには、製造条件
によって遊離の炭素を含むことがあり、また炭化物や窒
化物のなかには、化学量論的に過不足なもの(例えば、
W6C2 .54 , Ti N1-Xなど)が含まれていることがあり、
さらにCoあるいはCo−Al合金中にも、C,Si, Mn, P,
S,Fe, Cr, Niその他の不純物を含むことがあるが、こ
れらの成分の混入量については、この発明の目的に対し
て妨げとなる現象が認められないので、特に規定しない
ことを付記しておく。
【0015】この発明において、複合溶射皮膜がその性
能を発揮するための最適厚さは、炭化物サーメット溶射
皮膜:40μm〜300μm、窒化物溶射皮膜:10μ
m〜150μmが適している。炭化物サーメット溶射皮
膜の厚さが40μmより少なければ、溶融金属の内部侵
入を十分に防止することができず、一方300μmより
厚い場合には、その表層部においてチッピング現象が発
生して局部的な剥離が発生しやすく、その上に、窒化物
を形成させる場合、両皮膜の結合力が低下するおそれが
あるからである。また、窒化物溶射皮膜の厚さが10μ
mより少なければ、皮膜に貫通気孔が発生しやすく、こ
のため溶融金属が気孔を通って内部へ侵入するため、ド
ロス成分の付着を防止することができず、一方150μ
mより厚い場合には、皮膜形成に長時間を要するととも
に高価な溶射材料を大量に消費することとなり、経済的
でないからである。
【0016】この発明において、上記複合溶射皮膜の成
膜に当っては、大気中および減圧プラズマ溶射法あるい
は爆発溶射法によって成膜することが好適である。
【0017】さらに、このようにして形成される複合溶
射皮膜は、緻密な状態にすることが大切であり、多孔質
な皮膜では、溶融亜鉛が気孔部を通って内部へ侵入する
ため、如何に耐溶融亜鉛性に優れた溶融材料を用いて成
膜しても、その機能を十分に発揮させることができな
い。これがため、溶射成膜時においては、溶射粉末の、
溶射ガンへの供給量を調整して1パス当り3〜30μm の
皮膜厚みが得られるように、複数回の溶射を重ねて所定
の膜厚となるようにするのが好ましい。なお、1パス当
りの膜厚が上述したより薄い場合には、より緻密な皮膜
が得られるものの、実用的な膜厚たとえば100 μm を得
るのに長時間を要し経済的でない。一方、1パス当りの
皮膜厚さが30μm を越える場合には、皮膜の気孔率が高
くなるとともに、皮膜を構成する粒子相互の結合力が弱
くなり、剥離しやすくなる欠点がある。
【0018】
【実施例】
(実施例1)SUS403鋼を直径15mm×長さ150mm の棒状試
験片に加工し、これにプラズマ溶射法によって、下記
(1)〜(7)のこの発明にかかる複合溶射皮膜および下記
(8)〜(13)の比較試験用の溶射皮膜を形成させた後、溶
融亜鉛めっき浴中に浸漬し、皮膜を評価した。
【0019】・この発明にかかる複合溶射皮膜(アンダ
コート/トップコート) (1).40%TiC-50%WC−10%Co 80μm / TiN 80
μm (2).20%Cr3C2-70%WC-8%Co-2%Al 100μm / T
iN 100μm (3).88%WC−12%Co 120μm / TiN 80μm (4).80%WC−15%Co-5%Al 130μm / HfN 80
μm (5).70%WC−28%Co-2%Al 80μm / TiN 80
μm (6).60%WC−28%Co−12%Al 100μm / TaN 10
0μm (7).94%WC-6%Co 100μm / HfN 100μm ・比較試験用の溶射皮膜 (8).自溶合金(JIS H8303(1989) ) MSFCo1 100 μ
m (9).(8)の皮膜上にAl2O3 100 μm (10).(8)の皮膜上に8%Y2O3・ZrO2 200 μm (11).82%WC−12%Co 120μm (12).40%TiC-50%WC−10%Co 80μm (13).73%Cr3C2-20%Ni-7%Cr 120μm ・溶融亜鉛めっき浴中への浸漬条件 (1) 浴組成 0.3%Al−Zn浴 (2) 温 度 480℃ (3) 浸漬時間 7日間 ・皮膜の評価項目 (1) 溶融金属の付着状況 (2) 皮膜の剥離状況
【0020】0.3%Al添加Zn浴中に浸漬し、皮膜
を評価した結果を表1に示す。この結果から明らかなよ
うに、比較例の自溶合金皮膜(No.8)では、皮膜の
剥離は認められないものの、亜鉛と自溶合金が冶金反応
によって強固に結合しているため、膜全体に厚い亜鉛塊
が被覆され実用に供しえないことが認められる。また、
自溶合金皮膜の上にAl(No.9),8%Y
・ZrO(No.10)のような酸化物系セラミ
ックスを被覆した試験片は、いずれも皮膜が剥離すると
ともに、セラミック皮膜が剥離し、自溶合金が直接溶融
亜鉛と接触した部分には、強固な亜鉛が付着していた。
これは、Alや8%Y・ZrOのセラ
ミック皮膜の気孔を通して溶融亜鉛が内部へ侵入し、ア
ンダーコートの自溶合金と反応してその体積を膨張さ
せ、セラミック皮膜の剥離を誘発したためと推察され
る。さらに、WC−Co(No.11),TiC−WC
−Co(No.12),Cr−Ni−Cr(N
o.13)などの炭化物サーメット溶射皮膜のみからな
るものでは、皮膜の剥離は認められなかった、亜鉛お
よびドロスが薄く付着していた。おそらく、これらの炭
化物サーメット溶射皮膜に含まれている金属成分と亜
鉛が反応したためと考えられる。これに対し、炭化物サ
ーメット溶射皮膜の上にトップコートとして窒化物溶射
皮膜を形成したこの発明に係る試験片(No.1〜7)
、皮膜の剥離は全く認められず、また、亜鉛の付着も
局部的に限定され(試験片を亜鉛浴から引き上げた際、
下部へ流れて溜まった亜鉛のみ付着)、しかも、この亜
鉛は冷却後、指で容易に剥離するほど付着力は弱いもの
であった。
【0021】
【表1】
【0022】(実施例2)実施例1で使用したこの発明
にかかる複合溶射皮膜および比較用皮膜を形成した試験
片を用い、610 ℃に保持した45%Zn−55%Al合金浴中に
5日間浸漬した後、浴から引き上げ、溶融金属の付着状
況および皮膜の剥離状況を観察した。
【0023】表2はこれらの結果を要約したものであ
る。この結果から明らかなように、比較用の皮膜は、皮
膜と冶金反応を起こした合金が全面にわたって強固に付
着したり(No.8)、酸化物系セラミック皮膜の気孔部を
通して内部へ侵入した合金とアンダコート皮膜の自溶合
金が反応して、体積を膨張することによって、トップコ
ートのセラミック皮膜を剥離させたり(No.9, 10)、ま
た、炭化物サーメット皮膜では、皮膜の剥離は認められ
ないものの、Zn−Al合金が全面にわたって付着するなど
の現象が観察された(No.11 〜13)。これに対しこの発
明にかかる複合溶射皮膜は、皮膜の剥離が全く認められ
ず、また、Zn−Al合金の付着も浸漬皮膜面積の12%〜18
%程度と非常に少なく、しかも、その合金の付着力も指
によって容易に剥離できる程弱いものであった。
【0024】
【表2】
【0025】(実施例3)実施例1で使用したSUS-403
鋼の試験片に、下記(1)〜(7)のこの発明にかかる複合溶
射皮膜を形成させた後、溶融アルミニウムめっき浴中に
浸漬し、その皮膜性能を調べた。さらに、この試験で
は、アンダコートとしてJIS H 8303(1889)規定の各種自
溶合金を用い、下記(8)〜(14)の溶射皮膜を形成させた
後、その耐溶融アルミ性を比較検討した。
【0026】・この発明の複合溶射皮膜(アンダコート
/トップコート) (1).40%TiC-50%WC−10%Co 150μm / TiN 8
0μm (2).20%Cr3C2-70%WC-8%Co 80μm / TiN 10
0μm (3).88%WC−12%Co 130μm / TiN 80μm (4).80%WC−15%Co 130μm / HfN 80μm (5).70%WC−15%Co-5%Al 80μm / TiN 80
μm (6).60%WC−28%Co-2%Al 100μm / TaN 80
μm (7).94%WC-6%Co 110μm / HfN 80μm ・比較試験用の溶射皮膜(アンダコート/トップコー
ト) (8).自溶合金(JIS H8303(1989) ) MSFNi1 150 μ
m / TiN 80μm (9).同上規格 MSFNi2 150 μm / TiN 80μm (10).同上規格 MSFNi3 150 μm / TaN 80μm (11).同上規格 MSFNi4 150 μm / HfN 80μm (12).同上規格 MSFNi5 150 μm / TiN 80μm (13).同上規格 MSFCo1 150 μm / TaN 80μm (14).同上規格 MSFCo2 150 μm / HfN 80μm ・溶融アルミニウムめっき浴中への浸漬条件 (1) 浴組成 10%Si−Al浴 (2) 温 度 660℃ (3) 浸漬時間 3日間 ・皮膜の評価項目 (1) めっき浴中への浸漬開始後、1日毎に試験片を引き
上げ、皮膜の外観観察を行った。
【0027】表3は試験片皮膜の外観観察結果を要約し
たものである。この結果から明らかなように、トップコ
ートに窒化皮膜を形成していても、アンダコート皮膜に
耐溶融アルミ性がなければ、皮膜は1日(24時間)で簡
易に崩壊した(No.8〜12)。この原因は、窒化皮膜に存
在する微細な気孔部を通って溶融アルミが内部へ侵入
し、Ni基系の自溶合金皮膜と激しく反応してこれを溶損
させたためと思われる。従って、実施例1の溶融亜鉛浴
中では、窒化物皮膜に多少の気孔が存在していても、良
好な耐溶融金属性を示したが、溶融アルミ浴に対して
は、窒化物皮膜の気孔をさらに減少させる必要性がうか
がえる。一方、Co基系の自溶合金をアンダコートした皮
膜(No.13 〜14)では、幾分溶融アルミに対する抵抗が
認められ、皮膜が完全に破壊されるのに 2.5日間(60時
間)を要した。これに対し、この発明にかかる炭化物を
アンダコートした皮膜(No.1〜7)は全て、3日間(12
0 時間)後でも、ほぼ健全な状態を維持しているのが認
められた。また、皮膜の表面に付着している溶融アルミ
の量も比較例に比べ非常に少ないという特徴が認められ
た。なお、トップコートの窒化物皮膜は、溶融アルミと
の反応が全く認められなかった。
【0028】
【表3】
【0029】(実施例4)実施例1で使用した棒状試験
片に、88%WC−12%Coを 100μm溶射した後、その上
に、80%TiN-20%TaN または90%TiN-10%HfN からなる
混合窒化物を80μm厚に成膜した。このようにして溶射
皮膜を形成させた試験片を、以下に示す条件にて溶融金
属中に浸漬し、皮膜の変化を調べた。 (1).0.3 %Al−Zn浴、480 ℃、7日間(実施例1の浸
漬条件) (2).45%Zn−55%Al浴、610 ℃、5日間(実施例2の
浸漬条件) (3).10%Si−90%Al浴、660 ℃、3日間(実施例3の
浸漬条件)
【0030】その結果、この発明の複合溶射皮膜は、い
ずれも溶融金属の付着が非常に少なく、しかも、付着し
ている溶融金属も指によって容易に剥離除去できる程そ
の付着力は弱いものであった。この結果から明らかなよ
うに、トップコートとして窒化物を溶射する場合、複数
の窒化物を混合状態として用いても、その効果に悪影響
を与えないことが判明した。
【0031】以上の実施例から明らかなように、炭化物
サーメット溶射皮膜をアンダーコートとし、その上に、
遊離状態の金属を含まない窒化物の溶射皮膜形成した
この発明にかかる複合溶射皮膜は、溶融亜鉛,溶融亜鉛
―アルミニウム合金および溶融アルミニウムに対して優
れた耐溶融金属性を発揮し、ドロス成分の付着を防止す
ることが判明した。この結果、実際のめっき作業におい
ても、めっき鋼板の品質向上に大きな効果を発揮するこ
とが期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融亜鉛めっき浴槽およびそれに付属する各種
ロールその他の配設状態を示す模式図である。
【符号の説明】 1 溶融亜鉛浴 2 シンクロール 3 サポートロール 4 めっき用鋼板 5 ガイドロール 6 噴射ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 4/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼鉄製基材の表面に、下地層として形成
    された炭化物サーメット溶射皮膜、その下地層の表面
    に、有機質バインダー処理された窒化物粒子を溶射する
    ことにより形成された、遊離状態の金属を含まない実質
    的に窒化物のみからなる溶射皮膜とからなる、複合溶射
    皮膜を有することを特徴とする溶射浴用部材。
  2. 【請求項2】 遊離状態の金属を含まない上記窒化物
    が、TiN、HfN、NbN、TaN、VN、ZrN、CrN、Si3N4およびA
    lNのうちから選ばれたいずれか1種以上のものからなる
    請求項1に記載の溶融金属浴用部材。
  3. 【請求項3】 上記炭化物サーメット溶射皮膜を構成す
    る炭化物成分が、TiC、NbC、WC、TiC、Cr3C2、B4C、Zr
    C、HfCおよびVCのうちから選ばれたいずれか1種以上で
    あり、金属成分が、CoもしくはそのAl合金である請求項
    1に記載の溶融金属浴用部材。
  4. 【請求項4】 鋼鉄製基材の表面に、炭化物サーメット
    を溶射して炭化物の下地層を形成し、その炭化物下地層
    の表面に、0.01〜0.1μmの窒化物の1次粒子を有機質バ
    インダーを使って3〜50μmの2次粒子に調整した窒化物
    溶射粉末材料を溶射することにより、遊離状態の金属を
    含まない実質的に窒化物のみからなる溶射皮膜を設けて
    なる、複合溶射皮膜を形成することを特徴とする溶射浴
    用部材の製造方法。
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