JP3222435B2 - 走行用履帯のリンク及びピンの固定構造及びその固定方法 - Google Patents
走行用履帯のリンク及びピンの固定構造及びその固定方法Info
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Description
る走行用履帯のリンク及びピンの固定構造とその固定方
法に関する。
やトラクタ等の建設機械等における履帯型車両に使われ
る履帯1には、地面接地用の複数の履板2が無端状のリ
ンクチェーン3にボルト止めにより取り付けられてい
る。同リンクチェーン3は、例えば筒状のブッシュ4及
び両端が外部に露呈した状態で同ブッシュ4に挿入され
た連結用のピン5に左側リンク6及び右側リンク7の各
端部を順次圧入することにより組み立てられ、各リンク
6,7を互いに離間した状態で同リンク6,7の各端部
が前記ピン5により関節的に結合される。
5と前記ブッシュ4との間の内部摩耗を防止するために
図示せぬ潤滑油密閉シール部材及び同シール部材の潰れ
防止用スペーサが配され、前記ピン5の内部に溜められ
た潤滑油が前記ピン5と前記ブッシュ4との間に供給さ
れるようになっている。
利、砕石等の地盤、軟質地盤及び急勾配等の地盤を走行
するために用いられるため、図示せぬ車体の下側ローラ
のツバ部等により各リンク6,7に加えられる軸方向の
外力や、同車体のローラガード等により前記ピン5の端
面に加えられる軸方向の外力等を受けやすい。このた
め、そのピン5が前記外力により軸方向に移動しないよ
うに各リンク6,7の端部を強固に圧入固定する必要が
ある。このピン5の保持力が小さい場合には、ピンずれ
やピン抜け等が生じるために、各リンク6,7の端部に
配された前記潤滑油密閉シール部材及び同シール部材の
前記潰れ防止用スペーサに変形、位置ずれ、破損等が生
じる。
止用スペーサの破損等を生じると、前記潤滑油の消耗が
激しく、前記ピン5と前記ブッシュ4との間に内部摩耗
を生じて同ピン5及びブッシュ4の破損等を急速に招来
させ、前記リンクチェーン3としての機能が失われてし
まうという不具合がある。このピンずれやピン抜けを回
避するため、通常は圧入しろを大きく取り、圧入による
固着を強固なものにしている。しかし、この圧入による
固着強度にも限界があるため、前記ピン5に対する各リ
ンク6,7の圧入に加えて同ピン5の機械的な抜け止め
構造を採用する必要がある。
ば図15に示す如き止め輪タイプのピンの抜け止め構造
や、特開平5−213237号公報に開示されたピンの
抜け止め構造が開発されている。前者にあっては、リン
ク連結用のピン5の一端部に環状溝8を形成し、各リン
ク6,7の端部に当接した状態で前記環状溝8に図示せ
ぬC形抜止部材を係止する構造を採用し、後者にあって
は、図16に示すように、前記ピン5の一端部に断面弧
状の環状溝8を形成し、同環状溝8に対向するように放
射状に配されたパンチ装置9により、各リンク6,7の
ボスの外周の一部を押圧変形させ、同環状溝8中に小さ
な塊を突出させて、同塊を前記環状溝8に係合させるよ
うにしている。なお、同図において符号10は潤滑油密
閉シール部材、符号11は同シール部材10の潰れ防止
用スペーサを示している。
抜けという用語は実際にはリンクがピンに対して抜けて
いく現象をいい、リンクがピンに対して外側に移動する
と、ブッシュとリンクとの間に介装されたシール部材と
ブッシュとの間に隙間が生じ、潤滑油が漏れ出して潤滑
機能が失われ、車両の走行を不能にするいう事態が起こ
る。
は、リンクに作用する上記軸方向の荷重により生じる。
特に、ステアリング時にブッシュとスプロケットとの間
に作用する多方向の外力によってピンの移動を促進させ
る。
る移動、例えば1mmのずれが生じても、前述のように
走行不能を引き起こす。一方、履帯寿命がブッシュの磨
耗で決まることがある。これは、ブッシュとスプロケッ
トとの噛み合いによって起こるものであり、ブッシュと
スプロケットとの噛み合い面のみ磨耗する。そこで、リ
ンクに対してブッシュを所定の角度回転させた状態で、
ブッシュの最も磨耗の激しい位置を前方から後方へと周
方向にずらして、再度リンクに圧入して固定する。この
とき、必要ならば新たな潤滑油密閉シール部材と交換す
る。こうすることで、ブッシュの寿命を実質的に延ばす
ことができる。
入位置を周方向に位相的に変更するには、ピンからリン
クを取り外す必要がある。通常は、既述したとおり圧入
しろを大きく取って、大きな圧入力をもってピンとリン
クとを強力に圧入固定しているため、このピンに圧入固
定されたリンクを引き抜くには、更に大きな引抜き力を
要し、ピンとリンクの圧入面には多数の筋状痕が発生す
る。従って、前述のピンとリンクとの圧入位置を周方向
に変更しようとすると、実質的に固定強度が低下するこ
とはないが、ピンからリンクを抜き取ったのちに前記筋
状痕等の除去作業を行うことが多い。この除去により、
却って圧入強度が低下することが多い。
一般的な圧入固定に加えて、更に同ピンの機械的な抜け
止め構造を採用する。図15に示すピンの抜け止め構造
では、リンク6,7の各端部にC形係止部材を係着させ
るために、リンク6,7の各端部と環状溝8との位置合
わせする必要があり、製品に高い寸法精度及び複雑な機
械加工等が要求され、製品ごとのばらつきが生じやすく
不良品の発生も少なくない。その結果、前記リンク6,
7及びピン5の組み立て作業に余分な時間や労力、手間
がかかり、作業が繁雑になりやすく、その組み立て作業
には熟練が必要となる。
によれば、薄肉のリンクボスを外部から押圧して周方向
に複数の塑性変形部分を形成し、ピン5の端部に形成さ
れた環状溝8中に小さな塊を突出させて係止するもので
あるが、前記押圧は単に前記ボスの外周を縮径する方向
に局部的にパンチ加工するだけであるため、ピン5に係
止する箇所が少なく、しかもその係止部分の突出長さや
厚み寸法が小さい。このため、ピン5の軸方向に対する
保持力は小さく、耐久性を期待することはできない。従
って、上述のように、各リンク6,7は車体の下側ロー
ラのツバ部やローラガード等により加えられるスラスト
方向の外力等を受けると、従来の単なる圧入による固定
と同様に各リンク6,7のジョイント部分に配された潤
滑油密閉シール部材10及び同潰れ防止用スペーサ11
に破損等が生じやすい。
ピン5の環状溝8を外から目視することは不可能である
ため、前記環状溝8に確実にボスの内壁から突出する小
さな塊を係止させることは極めて難しく、同リンク6,
7及びピン5の組み立て作業のみならず組み立て作業後
の検査においてさえも、前記環状溝8中に小さな塊が確
実に係合しているか否かを確定することができないとい
う不具合もある。更には、リンクの側面からボスが突出
するため、同ボス部分が外部の障害物や岩石等と干渉し
やすく、ガタツキが発生しやすい。
組み立て作業に用いるリンクプレス機の他に、ボス周辺
に特別の専用パンチ装置を配する必要があり、そのため
ボスの突出量を大きく設定せざるを得ず、材料コストや
設備費、製造費などの高騰を招くことに加えて、上記特
開昭61−184178号公報に開示された固定構造と
比較しても製品ごとにばらつきが生じやすく不良品の発
生も少なくない点や作業が繁雑になりやすい点等でも従
前と変わるところがない。
なされたものであり、その具体的な目的は従来のリンク
のピン圧入孔に対するピンの圧入力を低減させてもリン
ク及びピンの結合を強固にでき、しかもピンの軸方向に
対するリンクの保持力を充分に確保できるばかりでな
く、専用機を用いずに既存のプレス機を利用して、同機
に装着する固定用押し治具によってピン抜け止め構造を
容易に且つ確実に加工することができる履帯のリンク及
びピンの固定構造とその固定方法とを提供することにあ
る。
本件請求項1〜8に記載された各発明により達成され
る。本件請求項1に係る第1発明は、複数のピン及びブ
ッシュを対応するリンクのピン圧入孔及びブッシュ圧入
孔に順次圧入して無端状に連結されてなる走行用履帯の
リンクとピンの固定構造であって、前記ピン又はリンク
の外側固定端面の一部に、軸方向の押圧による塑性変形
部分を有してなることを特徴としている。
ンクの外側固定端面の一部を軸方向に押圧することによ
り、同押圧部分をその押圧方向に変形させる。ピンの端
部外周面又はリンクの圧入孔の内周面の挙動に自由度が
あれば、前記変形に伴って、それらの面には径方向の突
出部分が形成される。いま、ピン又はリンクのいずれか
の外側固定端面の一部を押圧して前記突出部分が形成し
ようとするとき、圧入相手側のリンク又はピンに前記突
出部分の形成を許容すると共に、ピンとリンクとの軸方
向の相対的な移動を阻止する係止空間を形成しておけ
ば、前記端面の押圧により前記突出部分は前記係止空間
に向けて突出して同空間に係止する。このときの係止空
間はピン又はリンクの前記突出部分の形成領域内であれ
ば、任意に形成でき、格別の加工精度は要求されない。
により、ピン及びリンクの軸方向に対する相対的な保持
力が充分な強度をもって確保される。しかも、その保持
力は前記突出部分及びその対応する係止空間の大きさは
任意に設定できるため強大にすることができ、通常の走
行用履帯に作用する外部からの衝撃などによるピンとリ
ンクとの相対的な移動が完全に阻止され、ガタツキも生
じない。従って、上述したように、各リンクは車体の下
側ローラのツバ部及びローラガード等により加えられる
軸方向の衝撃等を受けることがあっても、各リンクのジ
ョイント部分に配された潤滑油密閉シール部材及び同潰
れ防止用スペーサの変形や破損等が防止でき、リンクチ
ェーンとしての耐久性が充分に確保される。
の係止溝を形成して、リンクのピン圧入孔の周縁端面の
一部を押圧して、その押圧端からリンクのピン圧入孔の
内周面にかけて塑性変形による突出部分を形成し、同突
出部分が前記係止溝に係止固定されている場合に、ピン
が磨耗してリンクに対するピンの圧入位置を変更する際
にピンからリンクを引き抜くとき、その引き抜き力を前
記突出部分の剪断強さよりも大きく設定すれば、同引き
抜き時に前記突出部分が切除される。このときの引き抜
き力は、当然に走行用履帯に通常かかる衝撃力などより
も大きい。
の軸方向の押圧してリンクの前記ピン圧入孔の開口端面
周辺部に沿って拡径するときは、前記ピンの端面は硬度
が高くとも容易に塑性変形が可能な形状が採用される。
かかる形状の最も典型的な形状は、拡径されるピンの端
部に、その端面に開口し、内周面が底部に向けて漸次縮
径するテーパ面からなる凹陥部を形成する。これによ
り、ピンの軸方向に対して比較的小さな押圧力により容
易にピンの軸方向の保持力を付与可能な拡径部が形成さ
れる。前記凹陥部の断面形状として円形又は多角形等が
採用できる。
として、前記凹陥部の開口周縁部に複数のスリットを形
成してもよい。ピン端面の凹陥部をパンチにて押圧する
とき、更に小さな押圧力によって前記凹陥部の周縁部を
容易に拡径方向に変形させることができるようになり、
しかもスリットを介して周方向に形成される複数の変形
ツバ部分によりスラスト方向の必要な剪断力が確保でき
るため、ピンの軸方向に所要の保持力が確保される。
がリンクのピン圧入孔周縁部又はピンの円周方向に所要
の長さで延びていることを規定している。前記塑性変形
部分を単にポイント状で押圧変形させてもよいが、上記
突出部分の剪断強さを確保するには、本発明のように押
圧面を円周方向に延びる円弧面として形成することが望
ましい。
変形部分がリンクのピン圧入孔周縁部又はピン端面の円
周方向に所定の位相差をもって複数形成されていること
を規定しており、前述のブッシュ磨耗時におけるリンク
との圧入位置換えにあたって、リンクから一旦抜き取っ
たピンにおいて、塑性変形部分を前記位相分だけ回転さ
せることにより、ピンの再利用が可能となる。
が楔状円弧部材を介して形成されている。すなわち、リ
ンクのピン圧入孔周縁部又はピンの端面円周方向に楔状
円弧部材の嵌着空間を形成しておき、同嵌着空間に楔状
円弧部材を嵌着させたのち、同楔状円弧部材をピンの軸
方向に押圧すると、前記嵌着空間に隣接する部分が拡径
又は縮径して突出部分が形成され、同突出部分が上記係
止空間に係止固定される。
リンクとピンの固定方法により、リンクのピン圧入孔に
ピンの端部を迅速に且つ正確に、また同時に強固に固定
できる。その好適な固定方法が、本件の請求項5に係る
発明であり、前記リンクのピン圧入孔にピンを圧入する
こと、固定用押し治具を前記ピン又はリンクの外側固定
端面に対向させて同軸上に配すること、及び前記固定用
押し治具により前記ピン又はリンクの外側固定端面を押
圧することを含み、前記固定用押し治具の押圧により、
前記ピン又はリンクの外側固定端面の一部を塑性変形さ
せることを特徴としている。
圧入孔にピンを圧入したのち、固定用押し治具をピン又
はリンクの外側固定端面に対向させて、前記固定用押し
治具により前記ピン又はリンクの外側固定端面を軸方向
に押圧し、前記ピン又はリンクの外側固定端面の一部を
内部を通して塑性変形させることを基本原理としている
ため、従来のように改めてリンクボスを大きく形成する
必要がなく、更には同リンクボスの周辺に押圧装置類を
配する必要もない。従って、材料費の節減と設備の専有
空間を減少させることができる。
ス機により前記リンクのピン圧入孔にピンを圧入し、そ
のあとで同プレス機に固定用押し治具を装着して同プレ
ス機を作動させ、前記固定用押し治具により前記ピン又
はリンクの外側固定端面を押圧して、前記ピン又はリン
クの外側固定端面の一部をに塑性変形させる。
クの外側固定端面を押圧変形させることもできるが、本
発明の端面変形が、リンクの圧入方向、つまりピンの軸
方向と同一方向の押圧によりなされることから、押圧専
用機を使わずに既存のプレス機を用いて押圧固定を行う
ことができるようになる。本発明にあっては、例えば既
存のリンクプレス機の先端に設けられたプレス用治具を
本発明の固定用押し治具に交換するだけで前記リンクと
ピンとの固定を容易に且つ強固に実施することもでき
る。
の固定方法は、ピン又はリンクの外側固定端面の端面形
状に対応する固定用押し治具を用いることができ、多様
な形態でピンとリンク間を固定できる。例えば、固定用
押し治具の押圧部の外周をテーパ面に形成すると共に、
同テーパ面の周面に沿って凹凸部分を形成すれば、上述
のような単なるスリットではなくピン端面の凹陥部周縁
部をその周縁部に沿って局部的に拡径方向に変形させる
ことができ、更に軸方向の強力な剪断強さが得られる。
クの外側固定端面に楔状円弧部材の嵌入溝を形成するこ
と、前記嵌入溝に楔状円弧部材を嵌着すること、及び前
記固定用押し治具により前記楔状円弧部材をピンの軸方
向に押圧して、前記楔状円弧部材を介して前記ピン又は
リンクの外側固定端面の一部を塑性変形させることを含
んでいる。
リンクの外側固定端面の一部の塑性変形を、プレス機に
装着された固定用押し治具により直接行っているが、本
発明ではピン又はリンクの外側固定端面に形成された嵌
入溝に一旦楔状円弧部材を仮嵌着してから、同楔状円弧
部材をピンの軸方向に押圧してピン又はリンクの外側固
定端面の一部を塑性変形させるようにしているため、押
圧による塑性変形部分の押圧面に楔状円弧部材により埋
められるため、固定後のピンとリンク間に大きな軸方向
荷重が作用しても、前記変形が元に戻ることがなく、例
えばピンのリンクに対する上記圧入位置換え時にピンか
らリンクを抜き出すとき、変形して突出する突出部分が
確実に剪断除去される。本発明における前記楔状円弧部
材の典型的な断面形態は、楔型、円形、半円形等を挙げ
ることができる。
の固定方法は、本件請求項8に記載しているとおり、前
記ピンの軸方向の押圧による加圧力を検出し、その検出
値が予め設定された目標値に達したとき、前記プレス機
の作動を停止させることも可能にしている。かかる構成
は、前記押し治具の押圧力を適切にピンに伝達すること
が保証され、全てのピンの変形を一律に制御し得るよう
になる。
添付図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の
履帯におけるリンクチェーンの一部を示す構造説明図、
図2は同リンクチェーンの一部を分解して示す分解図で
ある。なお、これらの図にあって、既述した図12〜図
14に示した従来技術と同様の部材等に関しては、同一
の符号が付されている。
には左右一対の複数の無端状のリンク6,7が関節的に
連結され、図7に示した複数の地盤接地用履板2が前記
リンク6,7の履板取付孔20にボルト止めされ、前記
リンクチェーン3及び履板2により図7の履帯1が構成
される。履帯1は図示せぬ建設機械等の履帯型車両の後
部に配された起動輪、同前部に配された遊動輪及び同中
央部に配された下部転輪等からなる走行駆動輪に回動可
能に掛け廻される。
部21に関節的に連結されたリンク組立体を備えてい
る。同リンク組立体は互いに鏡面対称の関係にある左右
一対のリンク6,7、同リンク6,7を連結する本発明
の特徴をなすピン5及び同ピン5に密嵌的に外嵌される
円筒状のブッシュ4を有している。同リンク6,7は中
央部分22を除いた前後両端部に内側及び外側に交互に
それぞれ屈曲された端部部分23,24とを有してい
る。前記中央部分22には前後に2個の窓部25が形成
され、前記履板取付孔20は、前記リンク6,7の外周
に形成された平坦状の取付面26に前後左右の4箇所に
形成され、前記窓部25と連通している。前記ピン5の
長さ寸法は左右リンク6,7間の外幅寸法と略同じ寸法
に設定されている。図2に示すように、前記ブッシュ4
の両端外周縁には段差27を介してリンク圧入用のブッ
シュ係合部28が形成されている。
の各端部24はピン5と結合するためのピン圧入用端部
であり、同ピン圧入用端部24には、前記ピン5の両端
部を圧入するためのピン圧入孔32が形成されており、
各リンク6,7の内側に屈曲した他方の各端部23は前
記ブッシュ係合部28を圧入固定するブッシュ圧入用端
部を構成し、同ブッシュ圧入用端部23には前記ブッシ
ュ4を圧入するためのブッシュ圧入孔36が形成されて
いる。前記ピン圧入用端部24の前後方向の寸法は前記
ブッシュ圧入用端部23の同方向の寸法よりも短く形成
され、これら一対の端部23,24の先端は略半円形状
とされている。
は、前記ピン5の内部に溜められる潤滑油をシールする
ための密閉シール部材10と同シール部材10の潰れ防
止用スペーサ11とが同心上に嵌着される嵌着孔30、
同嵌着孔30に前記シール部材用及び前記スペーサ係止
用の係止段部31を介して形成された、前記嵌着孔30
よりも小径のピン密嵌孔32、及び同ピン密嵌孔32よ
りも大径のピン端部係着孔33を連続して有している。
前記リンク6,7のブッシュ圧入用端部23に形成され
た前記ブッシュ圧入孔34は、前記ブッシュ4を係止す
る係止孔35と、同係止孔35よりも小径の前記ブッシ
ュ係合部用の係合孔36とを有している。
を注入する油注入孔37が形成されると共に、前記ピン
5の軸心上には前記油注入孔37に連通する潤滑油用溜
部38が形成され、前記潤滑油用溜部38とピン5の外
周面とは枝穴若しくは油穴39を介して連通しており、
ブッシュの内周面に潤滑油が供給される。前記油注入孔
37は図示せぬ潤滑油用密封栓によって封止される。
せる本発明の代表的な固定構造を示している。図3はピ
ン5と固定用押し治具43の第1固定構造例を示してお
り、同図に示すように前記ピン5の少なくとも一端部
は、その外周面に約10°前後で先端を小径とするテー
パ面が形成され、同ピン端部の端面中央部分には凹陥部
40が形成されている。この凹陥部40はその底部に向
かって縮径するテーパ形状をなしており、図示せぬ潤滑
油用密封栓によって封止される前記潤滑油用溜部38と
連通している。本発明にあっては、前記凹陥部40の横
断面形状は円形又は多角形など任意である。前記凹陥部
40の開口周縁部41は前記ピン5を軸方向に押圧する
とき変形しやすい形状、例えば図示例のように前記開口
周縁部41を周方向に所定の間隔をおいて複数の放射方
向に延びる切欠きを形成する。
周縁部41をテーパ面をもつ後述する固定用押し治具に
より内側から押圧することにより前記切欠きに隣接する
部分がリンク6,7のピン圧入孔29の周面に向けて拡
径方向に塑性変形され、リンク6,7のピン圧入孔29
の周辺に沿って固定される。このとき、前記変形部分は
開口周縁部41の切欠きを除く全周縁にわたって存在す
るため、従来のごとくピン周面に形成されたリング状の
溝部に、リンクのピン圧入孔29の周縁から外方に突出
するボスの一部を内径方向に局部的に押圧変形させて係
止する場合に較べると、十分な軸方向の剪断力が確保さ
れ、外部からの衝撃に対してもガタを生じることがな
い。
状、同ピン端部形状を加工変形させるのに好適な本発明
の固定用押し治具43の押圧部形状、及び同固定用押し
治具43の押圧による前記ピン端部の変形態様がそれぞ
れ示されている。本実施例にあっては、前記ピン5に対
応する前記固定用押し治具43の形態を適宜選定するこ
とにより履帯のリンク及びピンの良好な固定方法が得ら
れる。
は、前記ピン端部における凹陥部40の開口周縁部41
に60°の位相差をもたせて切り欠かれた複数のスリッ
ト42を有する凹凸形状の前記ピン5の端部に対応し
て、先端部周面がテーパ面45に形成された押圧部44
を有する固定用押し治具43を用いた第1の実施例であ
り、同押圧部44のテーパ面45は同基端部に向かって
漸次大径となる傾斜角度を有している。前記テーパ面4
5の基端部の径は、ピン端面に形成された凹陥部40の
開口寸法よりも大きい。
の作動によって前記固定用押し治具43を前記ピン端面
の凹陥部40の軸方向に押し込み動作させると、図3
(b)に示すように同固定用押し治具43のテーパ面と
された押圧部44が前記ピン凹陥部40の開口周縁部4
1の内壁面を押圧し、そのピン5の前記スリット42の
間にある突出部が半径方向に押し拡げられながら塑性変
形し、前記ピン5の前記開口周縁部41が前記リンク7
のピン圧入孔34の開口周辺部に沿って固定される。こ
のとき、前記スリット42を有していない凹陥部40だ
けのピン5に較べると、小さな押圧力で前記ピン5の開
口周縁部41を容易に加工することができる。
面に形成されるリング状の開口周縁部41を有する凹陥
部40に対して、固定用押し治具43の先端部周面を周
方向にジグザグ形状に形成された波形形状の押圧部44
を有する第2の実施例を示している。周面が波形形状と
された前記押圧部44の凸部46aの外径寸法は前記ピ
ン5の凹陥部40の開口の内径寸法よりも大きく形成さ
れ、同押圧部44の凹部46bの外径寸法は前記凹陥部
40の底部の内径寸法と略同一の寸法に設定されてい
る。従って、図示せぬ既存リンクプレス機等の作動によ
って固定用押し治具43をピン凹陥部40の中央部に押
し込み動作させると、図4(b)に示すように同固定用
押し治具43の押圧部44の凸部46aが前記ピン凹陥
部40の前記開口周縁部41の内周面を押圧変形させ、
同開口周縁部41が略波形に半径方向に押し拡げられ
て、前記リンク7のピン圧入孔34の開口周辺に沿って
固定される。前記第1実施例と較べると、押圧力が分散
されて凹陥部40の開口部周縁41を全周方向に複数の
箇所にわたって局部的に変形させるため、小さなプレス
力をもって効率的に変形させることができる。
例は、図4に示した第2固定構造例と同様にピン端面に
形成されたリング状の開口周縁部41を有する凹陥部4
0に対して、固定用押し治具43の先端に90°の等間
隔で軸方向に4個の突出部47が突設された押圧部44
を有する固定用押し治具43を用いている。同押圧部4
4の外径寸法は前記ピン5の外径寸法よりも大きく形成
され、同押圧部44における前記突出部47の径方向の
寸法は前記ピン端部における前記凹陥部40の開口周縁
部41の径方向の寸法よりも大きく形成されている。
作動によって前記固定用押し治具43を前記ピン凹陥部
40の中央に向かって押し込み動作させると、図5
(b)に示すように固定用押し治具43の複数の前記突
出部47が前記ピン5の凹陥部40の開口周縁部41を
軸方向に押圧し、前記ピン5の前記開口周縁部41を断
続的に押し潰し、ピン5の半径方向に押し拡げてピン端
部を前記リンク7のピン圧入孔34の開口周辺に沿って
固定する。上述の第2固定構造例と較べると、プレス機
によるプレス力が直接にピン端面に作用するため、ピン
5の軸方向のより小さな押圧によって容易にピン5の前
記開口周縁部41を塑性変形させることができる。
造例は、上記第2及び第3固定構造例と同様の形状から
なる凹陥部40を有するピン端部に対して、固定用押し
治具43の先端部が同中心に沿って突設された先細のテ
ーパ形状をもつ第1押圧部48と同第1押圧部48の基
端外周部に90°の位相差をもって突設された第2押圧
部49とを有している。前記第1押圧部48のテーパ面
は前記凹陥部40の内周面の傾斜角度と略等しい傾斜面
を有している。前記第2押圧部49の外径寸法は前記ピ
ン5の外径寸法よりも大きく設定され、前記第1押圧部
48のテーパ面により内径方向の変形を規制しながら、
前記第2押圧部49は前記凹陥部40の開口周縁部41
をピン軸方向に押し潰して半径方向に拡げて変形させ
る。
作動によって前記固定用押し治具43を前記ピン凹陥部
40の底面に向かって押し込み動作させると、図6
(b)に示すように前記固定用押し治具43の前記第1
押圧部48が前記ピン5の凹陥部40の内周面に摺接し
ながら凹陥部40の底面に向かって押し込まれ、このと
き同時に前記第2押圧部49が前記開口周縁部41を前
記ピン5の軸方向に押し潰して、前記ピン5の半径方向
に押し拡げ、ピン端部を前記リンク7のピン圧入孔34
の開口周辺部に沿って固定する。前記第1押圧部48の
テーパ面により前記開口周縁部41の内径方向の変形を
規制しながら、前記第2押圧部49により前記ピン5の
軸方向に押し潰すため、前記開口周縁部41の外径方向
に確実に変形させることができ、ピン軸方向の保持力が
確実に且つ充分に与えられる。
6,7との固定構造を採用して、ピン5とリンク6,7
とを組み立てるにあたり、本実施例では前記ブッシュ4
には前記ピン5がその両端を外部に露出させた状態で予
め内挿され、ピン・ブッシュ組立体として組み立てられ
ている。このピン・ブッシュ組立体とリンク6,7のピ
ン圧入孔29及びブッシュ圧入孔34を同軸上に配し
て、図示せぬ既存のリンクプレス機の左側圧入治具及び
同右側圧入治具の間に前記ピン・ブッシュ組立体をセッ
トする。次いで、前記左側圧入治具及び同右側圧入治具
を作動させ、図示せぬ1組目の左右側マスタリンク(ブ
ッシュ側のみの判割りリンク)の各ブッシュ圧入孔を前
記ピン・ブッシュ組立体の前記ブッシュ4に圧嵌させ
る。このとき、前記ピン・ブッシュ組立体の前記ピン5
は前記左右側マスタリンクの各ブッシュ圧入孔34から
外方に露呈される。そうして、1組目の前記左右側マス
タリンクを送り出し、前述と同様の操作により次位のピ
ン・ブッシュ組立体をセットする。
面26を上側にした状態で、予め潤滑油の前記密閉シー
ル部材10がピン圧入孔29の嵌着孔30に嵌着された
次位の右側リンク7を前記リンクプレス機の右側圧入治
具にセットする。そして、前記密閉シール部材潰れ防止
用スペーサ11を前記1組目の右側マスタリンクから突
出する前記ピン5の端部に外嵌させた後、前記リンクプ
レス機の左側圧入治具を作動させ、同右側圧入治具に対
して同左側圧入治具を押圧することにより、次位の前記
右側リンク7のピン圧入孔29に前記右側マスタリンク
のブッシュ圧入孔34から外部に露呈した前記ピン5の
端部を圧入する。これと同時に、同次位の右側リンク7
のブッシュ圧入孔34に次位の前記ピン・ブッシュ組立
体のブッシュ4を圧入する。このとき、次位の前記ピン
・ブッシュ組立体のピン端部は次位の前記右側リンク7
のブッシュ圧入孔34から外方に露呈される。
作と同様の操作で、前記シール部材10を取り付けた次
位の左側リンク6を前記左側圧入治具にセットし、同様
に前記1組目の前記左側マスタリンクの前記ピン5に前
記スペーサ11を取り付けた後、前記右側圧入治具を作
動させ、前記左側圧入治具に対して同右側圧入治具を押
圧することにより次位の前記左側リンク6のピン圧入孔
29に前記左側マスタリンクにおける前記ブッシュ圧入
孔34から外部に露呈した前記ピン5の端部を圧入する
と同時に、次位の前記左側リンク6のブッシュ圧入孔3
4に次位の前記ピン・ブッシュ組立体のブッシュを圧入
する。このとき、次位の前記ピン・ブッシュ組立体の前
記ピン端部は次位の前記左側リンク6のブッシュ圧入孔
34から外方に露呈されている。これにより2組目の左
右リンク6,7の組み立てが終了する。
の左右リンク6,7の組み立て数に達した後、最終リン
クとしての図示せぬ左右マスタリンク(ピン側のみの判
割りリンク)のピン圧入孔を先位の前記左右リンク6,
7の各ブッシュ圧入孔34から外部に露呈した前記ピン
の端部に圧嵌させる。こうして、最終リンクを左右の前
記マスタリンクに組み付けて、全てのピンとリンクとの
圧入操作が終了し、リンクチェーンが作られる。
の固定方法が、以下のように実施される。なお、本実施
形態にあっては、ピン5とリンク6,7とを固定するに
あたり、複数の上記ピン・ブッシュ組立体を各リンク
6,7に圧入させて上述のごとくリンクチェーンを組み
立てたのちに、本発明に従ってピン5とリンク6,7と
を固定する場合について説明するが、本発明にあっては
各ピン・ブッシュ組立体を先位と次位の左右2組のリン
ク6,7に圧入して組み立てたのち、続いて本発明によ
る前記ピン5とリンク6,7との固定方法を実施するこ
ともできる。
の履帯のリンク及びピンの固定操作に移行する。先ず、
前記リンクプレス機の先端に設けられた右側圧入治具を
取り外して本発明の固定用押し治具43を装着する。次
に、前記リンクプレス機の左側圧入治具及び右側の前記
固定用押し治具43の間に、前記右側リンク7のピン5
を前記固定用押し治具43と同軸上に位置決めして固定
する。前記リンクプレス機により前記固定用押し治具4
3を作動させ、前記左側圧入治具を受け側として前記ピ
ン5の右側端面に形成された凹陥部40に前記固定用押
し治具43を押し込んでピン5の軸方向に押圧し、同凹
陥部40の開口周縁部41を前記右側リンク7のピン圧
入孔29の開口周辺に沿って拡径させる。
前記右側リンク7の前記ピン5を送り出し、次位の右側
リンク7のピン5の固定操作を同様に行う。このとき、
例えば予め設定された制御データ、例えば目標値データ
と実際に検出された前記ピン5の軸方向の押圧力とを比
較し、その検出値が閾値内にあるとき図示しない制御装
置によって前記リンクプレス機を自動的に停止させるよ
うに制御する。
したように、本発明にあっては前記ピン5の少なくとも
一方の端面を前記ピン圧入孔29の開口周辺部に沿って
拡径させ、前記右側リンク7を前記ピン5の端部に固定
する。この固定操作をリンクごとに順次繰り返して前記
右側リンク7と前記ピン5との固定操作を終了する。か
くて、前記リンクチェーン3が完成する。
5の前記油注入孔37から前記潤滑油用溜部38に潤滑
油を注入し、前記油注入孔37を前記潤滑油用密封栓に
よって閉鎖して前記潤滑油を封入する。次で、図示せぬ
履体取付用インパクトレンチ等を用いて図示せぬ取付け
ボルト等により前記リンク6,7の履板取付孔20を介
して前記リンクチェーン3に前記履板2をそれぞれ取り
付け、前記履帯1を完成させる。
施形態による履帯と同履帯のリンク及びピンの固定方法
によれば、ピンの外周面に亙ってピンの端部を一体に拡
径させることができることに加えて、同外周面の拡径部
分の幅や厚さ寸法等を大きくすることができるため、ピ
ンの軸方向に対する保持力を正確に且つ充分に与えるこ
とができる。しかも、ピンの全周縁においてピンがリン
クに固定されるため、ピンの軸方向の保持力は強力なも
のとなり、仮に外部からの衝撃を受けてもピンの軸方向
の移動を完全に阻止することができる。
バ部及びローラガード等により加えられる軸方向の外力
等を受けることがあっても、各リンクの潤滑油密閉シー
ル部材及び同潰れ防止用スペーサの変形や破損等が防止
でき、リンクチェーンとしての耐久性を充分に確保でき
る。
において、前記ピンの端部における塑性加工時のピンの
破損等を防止することができることに加えて、前記ピン
に対する前記リンクの圧入方向と同一のピン軸方向に前
記ピンの端面部を加圧変形することが可能であるため、
既存のプレス機の先端に設けられたプレス用治具に本発
明の固定用押し治具を交換するだけで履帯のリンク及び
ピンの固定が実施可能である。
及びピンの固定方法は、ピン形状及び固定用押し治具の
先端部形状等に応じて前記固定用押し治具の加圧力を制
御装置により制御することによって、より的確な固定が
なされる。
リンク側で行う本発明の代表的な固定構造例とその固定
方法を示している。なお、以下の説明において上記実施
例と実質的に同一の構成を備えた部材に対してはそれら
の符号を付して説明する。
7の第5の固定構造例とその固定方法によれば、ピン5
の圧入端部の周面にはリング状の係止溝51が形成さ
れ、このピン端部が右側リンク7のピン圧入孔29に圧
入されたのち、固定用押し治具43により前記ピン圧入
孔29の端面開口周縁部の同一円周上を所要の間隔をお
いて局部的にピン5の軸方向に沿って押圧する。この場
合の固定用押圧治具43は、ピン5の外径より大きな径
をもち、その外周に沿った一端面に所定の位相差(図示
例では30°)をもって複数の楕円形断面をもつ突起が
形成されている。この固定用押圧治具43を図示せぬ履
帯の組立用プレス機に装着して、同プレス機により前述
の押圧操作を行う。
ク7のピン圧入孔29の開口周縁部を押圧して同周縁部
を局部的に変形させると、ピン5の上記係止溝51に相
対するリンク7のピン圧入孔29の内周面の一部が前記
係止溝51に局部的に突出して嵌入係止する。このとき
の突起52の大きさや形状、或いは数は必要とする剪断
力により任意に変更できる。
とその固定手順を示している。ピン5の圧入端部の周面
には連続してリング状の係止溝51が形成されており、
右側リンク7のピン圧入孔29の開口端周囲には間欠的
に複数の突出片29aが水平に突設されている。ピン5
の圧入端部が右側リンク7の前記ピン圧入孔29に圧入
され、前記係止溝51の上に前記突出片29aが位置し
た段階(図10(b) )で、固定用押し治具43をもって
ピン5の中心線に沿って押圧する。この場合の固定用押
圧治具43は、右側リンク7の前記突出片の9の外径よ
り大きな径をもち、内側に狭まる内周面をもつ凹陥部4
3aの形成された押圧端を有している。
29aの外径側のリンク端面を同一円周上で連続的に或
いは間欠的に押圧すると、前記突出片29aが固定用押
し治具43の内周面ににより押圧されて内径側に屈曲変
形して、同突出片29aが、同図(c) に示すようにピン
5の端部に形成された前記係止溝51に嵌入し係止固定
する。
いる。リンク7の固定端面のピン圧入孔20の開口周縁
部に予め連続する側壁面が略平行である楔状部材圧入円
周溝53が形成してある。また、一方のピン5の圧入端
部の外周面には断面が直角三角形状をもつリング状の溝
部54が形成されている。前記形態を有するリンク7の
前記ピン圧入孔29にピン5が圧入されたのち、複数個
の円弧状の楔状部材55を所定の位相差をもってリンク
7の前記楔状部材圧入円周溝53に嵌入させる。
プレス機に装着された固定用押圧治具43により前記円
弧状楔部材54をピン5の軸線に沿って押圧する。その
結果、前記円弧状楔部材55が嵌入された前記楔状部材
圧入円周溝53の内周側の一部が中心方向に変形して突
出し、ピン5の端部に形成された上記リング状の溝部5
4に嵌着係止する。このときの円弧状楔部材55の断面
形状は略梯形を呈している。
おり、この固定構造例では前記円弧状楔部材55が断面
円形を呈している。リンク7の構成は、前記第6固定構
造例と実質的に同じである。ただし、本固定構造例では
ピン5の端部にリング状の連続する凹陥没部56が形成
されている。前記径断面の円弧状楔部材55をリンク7
の楔状部材圧入円周溝53に予め嵌着したのち、同円弧
状楔部材55を図示せぬプレス機に装着した固定用押圧
治具43により前記楔状部材圧入円周溝53の内部に圧
入する。この圧入により前記楔状部材圧入円周溝53の
内周面側の一部がピン5の前記凹陥部56に膨出して係
止する。
おり、この固定構造例によれば前記円弧状楔部材55と
して上記第7固定構造例と同様に断面円形の円弧状部材
が用いられる。リンク7の楔状部材圧入円周溝53は内
周部分53aの自由端がリンク7の端面より僅かに内側
に入り込むように短く形成されている。そして、ピン5
の端部には、上記第6固定構造例と同様に前記円弧状楔
部材55の圧入により内径方向に変形する楔状部材圧入
円周溝53の内周面側の一部が円弧状で嵌入係止するリ
ング状溝部54が形成されている。
態にあっても、上記図1〜図6に示した実施形態と同等
の本発明に特有の作用効果を奏し、リンクに形成される
ピン圧入孔の圧入しろを従来より少なくしてピンを従来
よりも低い値の圧入力をもって圧入した場合にも、リン
クとピンとの結合を強固にでき、しかもピンの軸方向に
対するリンクの保持力を充分に確保できるばかりでな
く、専用機を用いずに既存のプレス機を利用して、同機
に装着する固定用押し治具によってピン抜け止め構造を
容易に且つ確実に加工することができると共に、リンク
をピンから外すときも前記保持力を越える剪断力をもっ
て容易に且つピン周面及びリンクのピン孔内面に摺動痕
を残すことなく容易に抜き取ることができるため、リン
クに対するピンの固定位相換え操作も容易になし得るも
のである。
本発明は上記実施形態に限定されるものでは、本発明の
精神を逸脱しない範囲において多様な設計変更が可能で
ある。
示す構造説明図である。
である。
す説明図である。
説明図である。
説明図である。
説明図である。
を示すピンとリンクの固定手順を示す説明図である。
固定端面を示す正面図である。
を示すピンとリンクの固定端面を示す縦断面図である。
を示す説明図である。
ク及び固定用押し治具の構造例を示す説明図である。
リンク及び固定用押し治具の構造例を示す説明図であ
る。
リンク及び固定用押し治具の構造例を示す説明図であ
る。
図である。
図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 複数のピン及びブッシュを対応するリン
クのピン圧入孔及びブッシュ圧入孔に順次圧入して無端
状に連結されてなる走行用履帯のリンクとピンの固定構
造であって、 前記ピン又はリンクの外側固定端面の少なくとも一部
に、軸方向の押圧による塑性変形部分を有し、リンク又
はピンの前記塑性変形部分に対応する部位に前記塑性変
形部分が塑性変形により嵌入係止する係止部を有してな
ることを特徴とする走行用履帯のリンクとピンの固定構
造。 - 【請求項2】 前記塑性変形部分がリンクのピン圧入孔
周縁部又はピンの円周方向に所要の長さで延びてなる請
求項1記載の走行用履帯のリンクとピンの固定構造。 - 【請求項3】 前記塑性変形部分がリンクのピン圧入孔
周縁部又はピン端面の円周方向に所定の位相差をもって
複数形成されてなる請求項1記載の走行用履帯のリンク
とピンの固定構造。 - 【請求項4】 前記塑性変形部分が楔状円弧部材を介し
て形成されてなる請求項1記載の走行用履帯のリンクと
ピンの固定構造。 - 【請求項5】 複数のピン及びブッシュを対応するリン
クのピン圧入孔及びブッシュ圧入孔に順次圧入して無端
状に連結される走行用履帯のリンクとピンの固定方法で
あって、 前記リンクのピン圧入孔にピンを圧入すること、 固定用押し治具を前記ピン又はリンクの外側固定端面に
対向させて同軸上に配すること、 前記固定用押し治具により前記ピン又はリンクの外側固
定端面を押圧すること、 前記固定用押し治具の押圧により、前記ピン又はリンク
の外側固定端面の少なくとも一部を塑性変形させるこ
と、及びこの一部の塑性変形部分を前記リンク又はピン
に予め形成された係止部に嵌入係止させること、 を特徴とする走行用履帯のリンクとピンの固定方法。 - 【請求項6】 プレス機により前記リンクのピン圧入孔
にピンを圧入すること、 同プレス機に固定用押し治具を装着すること、及び同プ
レス機を作動させて前記固定用押し治具により前記ピン
又はリンクの外側固定端面を押圧することを含んでなる
請求項5記載の走行用履帯のリンクとピンの固定方法。 - 【請求項7】 前記ピン又はリンクの外側固定端面に楔
状円弧部材の嵌入溝を形成すること、及び前記嵌入溝に
楔状円弧部材を嵌着すること、 前記固定用押し治具をピン軸方向に押圧することによ
り、前記楔状円弧部材を介して前記ピン又はリンクの外
側固定端面の少なくとも一部を塑性変形させること、及
びその塑性変形する部分を前記係止部に嵌入係止するこ
と、 を含んでなる請求項5記載の走行用履帯のリンクとピン
の固定方法。 - 【請求項8】 前記固定用押し治具による押圧力を検出
し、その検出値が予め設定された目標値に達したとき、
前記プレス機の作動を停止させる請求項6記載の走行用
履帯のリンクとピンの固定方法。
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