JP3215089U - 弾性回転及び塑性回転を有するソーワイヤ付きスプール - Google Patents

弾性回転及び塑性回転を有するソーワイヤ付きスプール Download PDF

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Abstract

【課題】ソーイングプロセスにおいて、優れた加工性を示すソーワイヤ付きスプールを提供する。【解決手段】シャフト706、706′の回転運動により、ワイヤ712′は、1メートル当たりの回転量‘RA’で、その第1軸を中心にねじられる。ワイヤ712″はフライヤーを通って、すなわち空中を通って第2逆転プーリ715′に移動する。そこで、ワイヤ712″は、同一ねじれ方向での、1メートル当たりの第2の回転量RAを受ける。結果として得られるソーワイヤ712″″は1メートル当たり2RA回転を受けている。ワイヤは仮撚機716内に導かれる。仮撚機716は、シャフトと同じ方向ではあるが、1分につき異なる回転数で回転することが可能である。仕上がったソーワイヤはワイヤ712″″として仮撚機716を出て、コアを有するスプール718に巻かれる。【選択図】図7

Description

本発明は、ソーワイヤ付きスプールに関する。このようなスプールは、シリコン、石英、ガリウム、ヒ化物、炭化ケイ素、およびこれに類似の種類の材料等の硬脆材料を切断、すなわちソーイング(sawing)するために使用される。
ワイヤソーは、太陽電池産業や半導体産業で使用されるシリコンウエハ等の硬脆材料の切断に使用する機械である。ワイヤソーでは、1本の長いソーワイヤ(通常200kmより長く、700kmがさらに通例)が、そのワイヤソーの供給側でワイヤウェブに投入される。ワイヤウェブは、溝付きキャプスタン上で渦巻状に導かれる一連のループ(通常100ループ〜1200ループ)により形成される。キャプスタンは、往復運動で(例えば、半導体ウエハ用)、又は一方向に(例えば、太陽電池ウエハの切断用)そのワイヤ全体を走行させる。
ワイヤウェブに、粘性キャリアに研磨粒子を保持している研磨スラリーが注がれる。通常、炭化ケイ素又はダイアモンド粒子を研磨粒子として使用し、そのキャリアとしてポリエチレングリコール(PEG)又はオイルを使用する。ワークピース、例えばシリコンインゴットがそのワイヤウェブに沈められていく。研磨粒子がソーワイヤにより引き込まれてワークピースの材料を摩耗すると、その摩耗された材料は切削物から削り屑として出ることになる。ソーワイヤ自体もプロセス中に摩耗することから、使用済みのソーワイヤをソーマシンの巻き取りスプールで回収しながら、供給側において未使用のソーワイヤの連続補充が必要となる。
適切な理解のために説明すると、ワイヤソーはソーイング用マシンであり、ソーワイヤはそのマシンでソーイングに使用されるワイヤである。「ソーイングワイヤ」は「ソーワイヤ」と同じである。ソーワイヤは、好ましくは非常に細いスチールワイヤである。実際、ソーワイヤが細ければ細いほど材料は摩耗されず、より多くのウエハを同じ材料ブロックから取り出すことができる。しかしワイヤは、ソーイング時には、ワイヤをピンと張り続けるために一定の作動力(通常25N)を維持することができ、かつ研磨材に下向きの圧力をかけることができる必要があるので、スチールワイヤ径の下限は、そのワイヤの引張強度により限定される。従来のソーワイヤは実質的に直線状であり、滑らかな表面を有する。
近年、構造化された(structured)ソーワイヤが導入されてきている。本出願の文脈において「構造化されたソーワイヤ」は、曲り部分(bend)とその間の直線セグメント(straight segment)とを有するスチールワイヤである。即ち、このワイヤの曲率は、直線セグメントの極めて低い値と曲り部分自体でのより高い値の間で変化する。このスチールワイヤの表面は平滑で、断面は丸い。本出願の意味における構造化されたソーワイヤの典型例は、特許文献1に全て基づいた特許文献2に記載されている。両公報ともクリンプ(crimp)を持つスチールフィラメントについて記載しており、そのクリンプは各々にピッチ長や振幅を持ちながら、少なくとも2つの異なる面に配置されている。
この構造化されたソーイングワイヤを使用すると、より速いソーイング、より少ないエネルギー消費、ウエハ切断当たり必要となるワイヤの減少、スラリー使用量の減少につながる。これは、構造化により曲り部分での研磨材の運搬が改善されるという事実に主に起因する。更に、この構造化により、切削物内にオープン空間が設けられるため、削り屑がより多く排出される。又、極微細の使用済みの研磨粒子、つまり残屑もそのワイヤのオープン構造を通過するため、ソーイングを妨げない(非特許文献1参照)。
特許文献3に既に開示のように、上記の特許文献1のワイヤは、1つのクリンプ方向がソーイング中の他のクリンプ方向よりも優位になり始めるという欠点を持っている。これは以下の事実が原因である。つまり構造化されたソーイングワイヤの長手方向軸に沿って観察すると、このワイヤは円対称ではなくリサージュ型軌道が矩形内に形づくられるのである。その結果、このワイヤに優先方向ができるため、ウエハの全体厚みムラ(TTV)の増加、深さの増加、ソーマーク数の増加を生じてしまう。
国際公開第99/28547号 国際公開第2006/067062号 国際公開第2012/069314号
「Structured wire:from single wire experiments to multi−crystalline silicon wafer mass production」、 Solar Energy Materials & Solar Cells 131(2014)58〜63ページ参照。
間に曲げ部分を有するセグメントを含む螺旋形状を有し、ワークピースとそのセグメントとの間に空隙があるため、そこに研磨材を保持できるという構造化されたソーイングワイヤの提供という特許文献3に提案された解決策が、機能すると証明されているが、このようなワイヤの製造効率については障害がある。
よって、本発明者らはこの問題を解決するために他の解決策を探し、以下に開示する解決策を見いだした。
本発明の目的は、ソーワイヤがより良く機能し、より良いウエハ特性が得られるようにソーワイヤ付きスプールを提供することある。本発明の他の目的は、ソーイングプロセスにおいて優れた加工性を示すソーワイヤ付きスプールを提供することである。
本発明の第1の側面によると、ソーワイヤ付きスプールが提供される、即ち、本発明はワイヤを組み合わせたスプールに関する。本発明の存在を、構造化された短いソーワイヤ(例えば1メートルより短い)で特定することは不可能である。この理由については後述で明らかにする。
本ソーワイヤは、スプールのコア上に巻回される。本スプールは通常フランジを有するが、これは明示要件ではない。
本ソーワイヤは、このソーワイヤの全体形状に沿って長手方向軸を有する。スプールのコア上に巻回されているので、この軸は直線から逸脱している場合がある。この場合の長手方向軸はソーワイヤの中心でスプールの広い円をなぞっている。短いワイヤサンプルがスプールから切断される場合にも、このワイヤは、幾分長いレンジの湾曲を示す場合がある。いずれの場合においても、コア径の半分以上である曲率半径であれば、ソーワイヤの長手方向軸の特定を妨げるものではない。
このソーワイヤはスチールワイヤから成る。このスチールワイヤは全体的に丸い断面を有する。ただし、多角形の断面を排除するものではない。このワイヤは60〜300μmの直径を有するが、最も好ましいサイズは70、80、90、100、110、115、120、130、140 及び150μmである。最近最も使用されるものは直径115および120μmのワイヤである。「ブリケッティング」(bricketing)として知られる特殊な応用例においては、より大きいサイズの直径200μm又は250μmの使用が慣例である。「ブリケット化」とは、より大きいインゴットを標準ウエハサイズの正四角形ブロックに切断することである。標準ウエハサイズは100x100mm、125x125mm、又は156x156mmである。
ソーイング時に20〜25Nの作動負荷を維持可能とするために、最小引張強度として1000N/mm(およそ直径200〜300μmのより厚いスチールワイヤに対して)〜4000N/mm(直径90μmのスチールワイヤに対して)が必要である。通常、最も使用されるサイズ100、110、115、及び120μmに対して、最小引張強度はそれぞれ3700、3200、2900、2700N/mmであるが、張力変動を打ち消すために500N/mmにて安全装置が備えられている。
高引張強度は、十分に圧延された高張力のスチールワイヤでのみ到達され得るものである。このようなワイヤの圧延に使用されるスチールは、高炭素鋼として知られ、マイクロアロイ化されてもされなくてもよい。実用のスチール組成は鉄と炭素を含有しているのみならず、多くの他の合金や微量元素をも含有し、これらの中には強度、延性、成形性、耐食性等についてのスチール特性に大きな影響を及ぼすものがある。本出願に関しては、強度が極めて重要であり、本スチールワイヤには以下の元素組成が好ましい。
− 少なくとも0.70wt%の炭素。この上限は、ワイヤを形成する他の合金元素に依存する(以下参照)。
− 0.20〜0.70wt%のマンガン含有量。スチールの製造ではマンガン添加は、炭素と同様、ワイヤの歪硬化となり、脱酸素剤として作用する。
− 0.20〜0.30wt%のシリコン含有量。製造中にスチールを脱酸素するためにシリコンを使用する。炭素同様、スチールの歪硬化の増大に役立つ。
− アルミニウム、硫黄(0.03%未満)、リン(0.30%未満)のような元素の含有は最小値に保つことが望ましい。
− スチールの残りの組成物は鉄と他の元素である。
クロム(0.005〜0.30%wt)、バナジウム(0.005〜0.30%wt)、ニッケル(0.05〜0.30%wt)、モリブデン(0.05〜0.25%wt)及び微量ホウ素の含有は、共析組成(0.80%wtC)を超える炭素含有量に対して粒界セメンタイトの形成を減少させることができることから、ワイヤの成形性を改善する可能性がある。このようなアロイングにより0.90〜1.20%wtの炭素含有量が可能となり、圧延後のワイヤに4000MPaまでに高くなり得る引張強度が得られる。このようなスチールはマイクロアロイド鋼として知られている。
本ソーワイヤは2つ以上のクリンプを持つスチールワイヤであり、この2つ以上のクリンプは各々にクリンプ方向を有し、そのクリンプ方向は各々長手方向軸に垂直であり、互いに異なる方向である。
本出願で言う「クリンプ変形」(crimp deformation)は塑性変形であり、ワイヤは、ワイヤ長にわたる交互に左右の永続的な曲り部分の付与により、クリンプ方向に繰り返しの波形すなわちジグザグ形状を得ている。クリンプ方向は長手方向軸に垂直である。本出願の文脈において、「投影」について述べるときは常に、ソーワイヤの中心線の投影を意味する。「中心線」はスチールワイヤの垂直断面に形成される円の中心点を連結することにより形成される。特定のクリンプ変形の「平行投影」は、長手方向に平行な面、およびその面に垂直に見たときの特定のクリンプ方向に平行な面へのソーワイヤの中心線の投影を意味する。「長手方向投影」では、長手方向に沿って見たとき、長手方向軸に垂直な面へのソーワイヤの中心線の投影を意味する。「陰影投影」は、あたかも無限に遠い光源から照射されているかのようなワイヤ全体の投影である、即ち、スチールワイヤ本体を含んでいる。
ソーワイヤに1つのみクリンプ変形がある場合、そのソーワイヤは1つの面内に波形を示す。この面はクリンプ方向と長手方向軸に平行である、即ち、このワイヤの形状は平面状である。このクリンプ変形の平行投影は明らかに波形を示す。
2つのクリンプ変形が2つの異なるクリンプ方向に設けられる場合は、両クリンプ方向は長手方向軸に垂直な1つの面内にあり、1つのクリンプ変形のみが存在する場合の平面形状とは対照的に空間形状を取る。この空間形状において、スチールワイヤは、その長手方向軸から、ソーワイヤの長手方向軸に垂直な2つの異なるクリンプ方向に逸脱する。しかし、特定のクリンプ変形の平行投影はその特定方向にそのクリンプ形状を示すだけで、他のクリンプ変形は現れない。2つのクリンプ方向のみが存在するときは、ソーワイヤの長手方向投影が平行四辺形形状を示す。
この手順を3つのクリンプ変形に拡張することができる。この場合も、第1、第2又は第3のクリンプの平行投影はそれぞれ第1、第2又は第3のクリンプのみを示すが、他のクリンプ変形は現れない。3つのクリンプ方向が関与している場合、その長手方向投影は平行な対向辺を持つ不規則な六角形を示す。この手順を4つ、5つ、又はさらに多くのクリンプ方向に拡張することができる。
ソーワイヤ付きスプールの特徴は、弾性回転方向に加えられる、単位長さ当たり任意の数の弾性回転を含むことである。本出願で言う「回転」は、ソーワイヤの長手方向軸を中心とするワイヤの空間形状の回転をいう。「弾性回転」は、これらの回転はソーワイヤにより永久に得られるものではないということを意味する。ソーワイヤ付きスプールでは、1メートル当たり少なくとも0.5〜10弾性回転があることが好ましい。弾性回転数は、例えば、1メートル当たり0.5〜5回転、又は1メートル当たり1〜3回転でソーワイヤ長にわたって変化していてもよい。本ソーワイヤ付きスプールでの弾性回転は、容易に形成できる。回転可能に固定されたワイヤ端を保持しながら、本ソーワイヤ付きスプールからソーワイヤの長さLを引っ張り出すと、両端が自由に回転できないため、その弾性回転はワイヤ内に留まる。そこでワイヤ端を放すと、弾性回転が解放され、このワイヤ端は回転する。この解かれたワイヤの長さLで区切られたワイヤ端で作られた回転数が、単位長さ当たりの弾性回転数である。少なくとも1完全回転が解放されるように長さLを選択する。例えば、1完全回転が2mのワイヤにわたって解放されるとき、1メートル当たりの回転数は0.5回転/メートルである。この回転は、回転が加えられた回転方向とは反対側の回転方向で解放される。ここで留意すべきは、弾性回転の存在は、両端がサンプリング時に回転可能に保持固定されなかった場合には、そのソーワイヤのサンプル上で確証できないということである。
本発明の動作を以下に記載する。ワイヤソーの正常状態でソーワイヤがスプールから巻き戻されると、ワークピースが提供され、ソーワイヤは、固定点、例えばインゴットの入口を通過する際にその長手方向軸を中心に回転する。入口で単位時間当たりに得られる回転数は、ワイヤの速度に単位長さ当たりの弾性回転数を乗じたものに等しい。巻き出しスプールと巻き取りスプール両方ともソーワイヤの回転を妨げる固定点であるので、巻き出しスプールと巻き取りスプールとの間の弾性回転数は、ほぼ一定に留まり、単位長さ当たりの弾性回転数にワイヤソーを通る線路の長さを掛け合わせたものに等しい。
ソーワイヤに2つ以上のクリンプ変形があると、切削物を通過する研磨粒子の運搬が改善される。ソーイング中、ソーワイヤは主にクリンプの曲り部分でワークピースを削り摩耗させ、その曲り部分がワークピースに対して研磨粒子を押し付ける一方、曲り部分間にある直線セグメントはワークピースを摩損しない。結果として、ワイヤとワークピースとの間の摩耗表面が減少するため、ワークピースからワイヤを引抜く力は遥かに小さくなる。加えて、直線セグメントとの間に挟まれた空間を通って、削り屑や残屑が通過するため、まだ動作中である研磨粒子を妨害することもない。
本発明の第1の効果は、弾性回転から生じる回転運動によって、スラリーも回転攪拌されることである。これは、削り屑と残屑の除去に寄与する。本発明の第2の効果は、1つのクリンプ変形が1つまたは複数の他のクリンプ変形より優位になり、ワイヤがその方向を維持する場合にも、ソーワイヤの回転運動のせいでワイヤが好ましい方向を見出すチャンスは得られないということである。これが起きると直ぐに、ワイヤのトルクが十分に高くなってソーワイヤが再び回転させられるまで、切削物の手前で回転が形成される。第1と第2の効果の両方とも、切り出されるウエハの表面品質の向上という結果になる。
本発明のさらなる改良において、クリンプ変形の回転をソーワイヤの長手方向に沿って永続させることができる。すると、ソーワイヤの2つ以上のクリンプ方向の全てが、長手方向軸に沿って塑性回転方向に回転し、単位長さ当たりの任意の数の塑性回転を有する。このクリンプの回転は塑性的であり、即ち、永続的である。従って、ソーワイヤのスプールからソーワイヤが1本切断され、両端部が回転自在に自由になっても尚、そのワイヤは長さに沿ってクリンプ方向の回転を示す。
この塑性回転数は1メートル当たり0.5〜10回転が好ましく、1メートル当たり0.5〜5回転、又は0.5〜1回転が更に好ましい。
付与する弾性回転の回転方向と塑性回転とは長手方向軸に沿って逆である場合がある。例えば、塑性回転は時計回り方向に、弾性回転は反時計回り方向に付与することできる。このような設定は可能であるが、これらの回転は互いに打ち消し合うのであまり好ましくない。
塑性回転方向と弾性回転方向が等しければ、より好ましい。こうすることで、切削物の入口における回転効果はさらに改善される。
塑性回転数と弾性回転数の和は1メートル当たり0.5〜20回転の間が最良である。この合計は、固有の記号で計算される。即ち、反対方向はお互いから差し引きされ、同様の方向は加算される。この合計が1メートル当たり0.5回転未満である場合には、ソーイング中に何の有利な効果も見いだされない。この合計が1メートル当たり20回転を超える場合には「飛ばし」(jump-overs)のリスクがある。ワイヤウェブにおいて、ワイヤの1本がその溝を出て隣の溝に入ると、ソーイング中に飛ばしが発生する。より具体的な範囲は、1メートル当たり0.8〜10回転、又は1メートル当たり0.8〜5回転であり、又は1メートル当たり0.8〜2回転である。
本発明の好ましい一実施形態において、単位長さ当たりの塑性回転数は、単位長さ当たりの弾性回転数より小さく、例えば、ワイヤの10回転のうち3回転未満が塑性回転であり、残りの回転は弾性回転である。更なる好ましい一実施形態において、塑性回転数は弾性回転数にほぼ等しい。ほぼ等しいとは、10回転のうち3〜7回転は弾性回転であり、残りの回転は塑性回転であることを意味する。
好ましい一実施形態において、クリンプ方向数は2に等しい。この2つのクリンプ方向は、互いに対して70°〜110°の角度であることが好ましい。この角度がこれより小さい場合、長手方向投影は扁平な平行四辺形を示す。このような形状では、結果としてソーマークに対するリスクが増大し、ソーワイヤの回転を制限してしまう。この角度が90°の場合、長手方向投影は矩形形状を示す。尚、クリンプ間の角度は局所的に、即ち、例えば10から100波長以内で測定される必要がある。というのは、2つのクリンプの全体の向きが、弾性回転が存在する場合にはソーワイヤの長さに沿って回転する可能性があるからである。
クリンプ変形の各々は、その1つのクリンプ変形の平行投影において1つのクリンプ波長(crimp wavelength)を示す。一般の実用で言うクリンプ波長とは、軸の同じ側で連続する2つのピーク間の平均軸方向距離である。好ましくは、少なくとも30波長の平均が取られる。更に好ましくは、クリンプ波長は互いに異なり、互いの重複はない。波長が互いに素である場合は、更に好ましい。波長が等しい、すなわち互いの重複がある場合、その両クリンプは単一のクリンプに合体するというリスクがある。
2つのクリンプ方向に2つのクリンプ変形を有する具体的ケースでは、より大きい波長を持つクリンプ変形を第1のクリンプ変形と名付け、より小さい波長を持つクリンプ変形を第2のクリンプ変形と名付けることができる。好ましくは、第1のクリンプ変形は第2のクリンプ波長よりも厳に大きい波長を有し、第1のクリンプ波長は第2のクリンプ波長の2倍よりも厳に小さい。第1波長が、第2波長の1.10倍以上であり、第2波長の1.5倍以下である場合はなお一層好ましい。
上記2つ以上のクリンプ変形の各々はクリンプ振幅を有する。本出願の目的で言うクリンプ変形のクリンプ振幅とは、中心ワイヤの平行投影にある、そのクリンプの低ピークと高ピーク間の距離「ピーク・トゥ・ピーク」である。このクリンプ振幅は、陰影投影の片側において、頂部と底部との間でクリンプ変形の平行陰影投影に見られる高さの差に等しい。クリンプ振幅間でのその差が大きすぎると、最大クリンプ振幅を持つクリンプ変形が優位になり、切削物内でワイヤの回転を停止させるというリスクがある。従って、2つ以上のクリンプ変形の全てのクリンプ振幅は、2つ以上のクリンプ振幅の平均値の+/−40%以内であることが最良であり、+/−30%以内であることがさらに望ましく、2つ以上のクリンプ振幅の平均値の+/−15%以内であることがさらに望ましい。
スチールワイヤ本体の存在によって、クリンプ方向での直径比は減じられる。本出願の目的で言う「ノギス直径」(calliper diameter)とは、ソーワイヤの長手方向軸に垂直な面内の特定方向で測定され、ソーワイヤに接触する2つの平行面間の距離である。これらの面は、クリンプの最大波長の2倍は少なくともカバーすることが望ましい。任意の方向に対するノギス直径を決定することにより、最小ノギス直径と最大ノギス直径とを決定することができる。ソーワイヤの最大ノギス直径と最小ノギス直径との差は、この最大と最小のノギス直径の平均値の10%未満に留まることが望ましい。この差がその平均値の8%より小さい値に留まる場合、又その平均値の6%より小さい値に留まる場合は更に望ましい。
ソーワイヤに2つ以上のクリンプ変形があると、複数の曲り部分を持つスチールワイヤとなる。この曲り部分の間に、引き続いて連続する曲り部分を接続するセグメントが存在する。曲り部分において、中心線の曲率半径はこのセグメントのそれよりも遥かに小さい、即ち、曲り部分での曲率は、このセグメントのそれよりも遥かに大きい。したがって、ソーワイヤの軸長に沿って移動するとき、曲り部分がこの曲率のピークと見なされる。連続する曲り部分の間の平均距離は、測定長L(例えば100mm以上)にわたって曲り部分の数をカウントし、この長さをカウントした曲り部分の数で割れば測定できる。ここで留意すべきは、1つの波長が2つの曲り部分を示すため、曲り部分間の距離はクリンプ変形の波長とは一致しないということである。
長手方向軸に沿って連続する曲り部分間の平均距離は、スチールワイヤのワイヤ径dの20倍よりも小さく、同じスチールワイヤ径の3倍よりも大きいことが望ましい。曲り部分間の距離が大きすぎると、クリンプでの研磨材運搬能力が損なわれる。曲り部分間の距離が小さすぎると、十分な研磨材が運ばれず、削り屑や研磨残屑を除去できない。曲り部分間の平均距離はスチールワイヤの直径の3倍から10倍であることがなお一層好ましい。
スプール上における弾性ねじれを維持するために、ソーワイヤの外端、即ち、スプールの外側で利用可能な端部をスプールに回転自在に固定して弾性回転の解放を防止することが推奨される。
図1a、図1b及び図1cは、測定結果として、相互に垂直方向にある2つのクリンプ変形を有する、先行技術によるソーワイヤが描いたトレースを示す。 図2a、図2b及び図2cは、上記先行技術によるソーワイヤが描いたトレースを示すが、第1及び第2のクリンプ変形を可視化するために回転したものを示す。 図3a、図3b及び図3cは、ソーワイヤに弾性ねじれ及び/又は塑性ねじれを持つ、本発明によるソーワイヤを示す。 図4は、上記先行技術によるソーワイヤの長手方向陰影投影を示す。 図5は、本発明によるソーワイヤの長手方向陰影投影を示す。 図6は、どのようにスプール上で弾性回転を測定することができるかを示す。 図7は、どのように塑性回転及び弾性回転を備えたソーワイヤ付きスプールを作製することができるかを示す。
従来の先行技術による構造化(structured)されたソーワイヤは、130μmの細く高張力のスチールワイヤを連続する2対のクリンパーホイールを通して導くことにより作製される。このスチールワイヤは、相互に垂直な方向の2つの連続するクリンプ形成工程(crimping operation)で形成される。第1のクリンプ形成工程において、ワイヤは第1のクリンプ変形、すなわちジグザグ形状を与えられる。このとき、1つの直線セグメント(straight segment)が反対方向にある2つの曲り部分を接続する。第1のクリンプ変形の方向は、このジグザグ形状により形成される面内にあり、構造化されたソーイングワイヤの長手方向軸に垂直である。この平面状の波形は、次に、第2のクリンプ形成工程でこの波形の面に垂直な方向に実質的にクリンプされる。第1及び第2のクリンプ変形は互いに異なる振幅と波長を有することができる。こうして得られる構造化されたソーイングワイヤは、第1のクリンプ方向と長手方向軸により形成される面上での平行投影に第1のクリンプ変形を、及び第2のクリンプ方向と長手方向軸により形成される面上での平行投影に第2のクリンプ変形を示す。
この構造化されたソーワイヤの形状は、国際公開公報第95/16816号に開示されている例などのKEYENCE LS3100処理装置を組み合わせたKEYENCE LS3034レーザ走査システム(「トレーススキャナー」と呼ばれる)を用いて測定することができる。このシステムでは、長さ約20cmの構造化されたソーワイヤが1±0.2Nの圧力で張設される。このサンプルは2つの同期回転可能なドリルチャック間に固定される。ワイヤの搭載時に、曲げやねじれ変形を加えないように注意を払う必要がある。搭載すると、ダイオードレーザヘッドがこのワイヤをその長手方向軸(Z軸)に沿って走査し、ワイヤの上縁部および下縁部が長さ「z」の関数として記録される。この2つの値の平均が、「z」の関数、即ち、x(z)として「Z軸」に垂直なX軸方向のワイヤ中心線の位置を示す。次に、固定点を90°回転して、上記走査を繰り返す。こうして得られる数値が「z」座標の関数、即ち、y(z)としてY軸方向のワイヤ中心線の位置となる。よって、このパラメータ関数{x(z),y(z),z}が3次元でのソーワイヤの中心線の形状を定義する。この配列を集計表プログラム又は他のいずれか適切なデータ分析プログラムに搭載することにより、そのトレースを拡大図にして可視化することができる。これはトレースの刻み目がかなり小さい場合に必要である。そのトレースに回転変換を加えることにより、バーチャルにトレースを回転することができる、つまり所望の角度から投影を観察することができる。
図1は、測定結果として、先行技術によるソーワイヤの中心線が描いたトレースを示している。図1aは、角度0°で、即ちサンプルをドリルチャック間に搭載する自由選択角度で観察される方向でみた図である。図1bは、同一サンプルを示しているが、第2の走査がなされるときに90°回転されたものを示す。図1cは、同じソーワイヤの長手方向投影を示す。図1a及び図1bは、どのクリンプの識別もできないトレースを示している。波形の平均波長は、図1aと図1bについてそれぞれ3.598mm(0.377mmの標準偏差)と3.542(0.800mmの標準偏差)である。図1cから、2つの相互に垂直なクリンプが存在するというヒントが得られる。ここで留意すべきは、Z軸に沿う長手方向の長さはミリメートルで表される一方、垂直軸(X、又はY)はマイクロメートルで表される、即ち、クリンプは微細であるということである。
図2aに示すように、ワイヤをバーチャルに回転することにより、30.5°の角度で、波長3.617mm及び最低標準偏差0.098mmを有する第1のクリンプ変形が見える。更に回転していくと、図2bに示すように、123°の角度で、波長3.078mm及び最低標準偏差0.048mmを有する第2のクリンプ変形が見える。これらの図は2つのクリンプ変形を示す2つの平行投影である。両クリンプ変形間の角度は、123°〜30.5°又はほぼ垂直に近い92.5°である。このようにして、ワイヤが有する複数のクリンプ変形の重なりを分解することができる。30.5°と123°の回転角で、長手方向投射(図2c)は、第1及び第2のクリンプのクリンプ方向に位置合わせした矩形によって境界の定められるリサージュ型の図を示す。第1のクリンプの振幅は38μmであり、第2のクリンプの振幅は30μmである。
図4は、先行技術によるワイヤの長手方向陰影投影を示す。この投影において、130μmの直径を持つスチールワイヤ本体406を計測した。ソーワイヤの外包を402で示している。スチールワイヤ全体がこの外包内にある。この中心線の長手方向投影を404で示している。異なるノギス直径D0及びD1が図示されている。中央の矩形形状は、外周のノギス直径に大きな差異を示す外包形状に反映されている。D0は、最小ノギス直径168.0μmであり、D1は、最大ノギス直径185.6μmである。これら最大径及び最小径の差はそれらの平均値の10%である。このようなワイヤはソーイング時、特定の切断長さの間に好ましい方向で間欠的に詰まる場合がある。全体の厚みムラやソーマークなどのウエハパラメトリックスは、この現象により悪影響を受けてしまう。
この欠点を克服するために、本発明者らはソーワイヤ付きスプールを作製した。このスプール上に巻回されたソーワイヤには、弾性ねじれ、あるいは弾性及び塑性ねじれが組み入れられている。
スプール上のソーワイヤに弾性回転又は塑性回転を設けるために、本発明者らは、図7に示す工程を使用した。図7は、堅固な台708上に作られ、モータ704により同期駆動される2つの回転シャフト706及び706′を含むダブルツイスタ700を示す。2つの回転シャフト706、706′は、回転シャフト706、706′間で回転自在に支持され、かつ、この回転シャフトが指示方向(矢印)に回転する際には静止状態で吊り下げられる作業台702を有している。直線状のワイヤ712を備えた巻き戻しスプール710が作業台702に取り付けられ、第1の対のクリンパーホイール714に導かれている。そこで、ワイヤは、第1のクリンプ方向に第1のクリンプ変形を得る。こうして出来上がった平面波形付きワイヤは、第2の対のクリンパーホイール714′内に導かれる。この第2の対のクリンパーホイールの軸は第1の対のクリンパーホイールの軸に垂直に組み立てられている。得られたワイヤ712′は、互いに垂直なクリンプ方向を持つ2つのクリンプ変形を示す。
続いてワイヤ712′は、逆転プーリ715に掛けられる。シャフト706、706′の回転運動により、ワイヤ712′は、1メートル当たりの回転量‘RA’で、その第1軸を中心にねじられる。この回転量は、シャフト706、706′が1分当たりに回転する回転数をワイヤの線速度で割った数に等しい。ワイヤ712″はフライヤーを通って、すなわち空中を通って第2逆転プーリ715′に移動する。そこで、ワイヤ712″は、第1の量に等しく同一ねじれ方向での、1メートル当たりの第2の回転量RAを受ける。よって、結果として得られるソーワイヤ712″″は1メートル当たり2RA回転を受けている。
任意で、ワイヤは仮撚機(false twister device)716内に導かれる。仮撚機716は、シャフトと同じ方向ではあるが、1分につき異なる回転数で回転することが可能である。仕上がったソーワイヤはワイヤ712″″として仮撚機716を出て、コアを有するスプール718に巻かれる。これが本出願によるソーワイヤ付きスプールである。
ワイヤに一定量の弾性ねじれを導入するためには、ワイヤに誘起される回転量2RAが、スチールワイヤの回転弾性限界を大きく下回わっている必要がある。「回転弾性限界」RELは、ワイヤをねじった時にそのワイヤから弾性的に解放もされる最大回転数である。よって、RELより大きい任意の回数の回転がワイヤに誘起されても、解放時には、そのワイヤからREL回転だけが解放される。それ故、2RA<RELである限り、ソーワイヤで見られる弾性回転数は2RAである。
ソーワイヤ付きスプールが弾性回転を組み入れる(incorporates)か否かについては、図6に示されているように容易に確認(established)可能である。ソーワイヤ付きスプール610を巻き出し台に搭載する。試験者620は、親指と人差し指の間にワイヤ端を固定しながら、ソーワイヤ612を長さLだけスプールから取り出す。1〜3メートルの長さLがあれば十分な精度が得られる。鉤部分614をソーワイヤ端に作っておく。指を放すと、解放される回転量616は、直近の4分の1回転となる。回転数が1より小さい場合には、回転数が1より大きくなるまで測定長Lを延長する。数えた回転数(含4分の1回転)をソーワイヤの長さLで割ると、1メートル当たりの回転数が得られる。
与えられる回転数2RAがRELよりも大きい場合、REL回転は弾性回転としてソーワイヤに存在する一方、2RA−REL回転数が塑性回転として残る。しかし、極めて微細で高張力のスチールワイヤに対して、REL値は非常に高く(1メートル当たり90回転より大きい)、結果としてソーワイヤからの90弾性回転を上回る回転が生じる。これは使用に容認できる値ではない。この弾性残留ねじれを弱めるために、仮撚機716が導入される。仮撚機716は、塑性領域で1メートル当たりのFT仮撚回転数でワイヤを過度に撚り、その後同一の弾性回転数FTを取り出す。これにより、仮撚機の速度によって制御された任意の塑性回転数と任意の弾性回転数とを有するソーワイヤが得られる。付加される仮撚数FTがRELに等しい場合、結果として得られるソーワイヤに弾性回転はない。FTがRELより小さいときは、塑性回転の方向と同じ方向に、加えられた弾性回転が残る。FTがRELより大きいときは、塑性回転の方向と反対方向に、加えられた弾性回転が残る。
図3a及び図3bは、1メートル当たり3.5塑性回転が誘起された、図1及び図2と同様のクリンプ変形を有するワイヤの投影を示す。これらの投影は、互いに直交するX−Z及びY−Z投影である。この長手方向投影(X−Y面上)は、100mmの測定長にわたる矩形特徴を示していない。100mmは、切削物内におけるワイヤ長さの代表例である。このワイヤの長手方向陰影投影を図5に示す。この場合も、中心ワイヤ504の長手方向投影と、スチールワイヤ506の外包502の陰影投影とが示されている。185.6μmの最大ノギス直径D1と175.3μmの最小ノギス直径D0が示されている。最大ノギス直径と最小ノギス直径と間の差異は、ここでは平均径の5.7%である。即ち、ワークピースは、より円いソーワイヤに対面する。陰影投影への弾性回転の影響は塑性回転の影響に等しい。
ソーワイヤが図3a、図3b及び図3cで示した例などの塑性回転を含むか否かは、トレーススキャナにより記録されるトレースを基にして確認(establish)可能である。z=0にある端部を固定し、z=100mmにある端部を裏返すことにより、バーチャルなバックツイストをワイヤに与えると、ワイヤトレースの完全長にわたって任意の数の塑性回転が均一に繰り出される。図3a、図3b及び図3cのトレースを裏返すと、図1cのトレースが現れる。その長手方向投影から、第1及び第2のクリンプ変形の特徴を導き出すことは可能である。よって、ソーワイヤに与えられる塑性回転数を確認(establish)することが可能である。この場合、輪郭を1ミリメートル当たり1.26°裏返す必要があった。
従来の、弾性回転及び塑性回転のないダブルクリンプ構造のソーイングワイヤ(「先行技術」)と弾性回転(1メートル当たり約1回転)及び塑性回転(1メートル当たり0.25回転)のあるワイヤ(「本発明」)との両方を、2種類の異なるソーイング試験(「ケース1」、「ケース2」)でテストした。テスト中、テーブル速度を段階的に最大値まで増加した。最大許容テーブル速度を表1に示す。
Figure 0003215089
本発明のワイヤで、遥かに高いソーイング速度が得られた(テーブル速度は切断速度に相当する)。ワイヤ供給速度は、先行技術のソーイングと本発明のソーワイヤの間で違いはなかったため、先行技術のワイヤよりも本発明のワイヤによってより多くのウエハを切り出すことができる。加えて、単位時間当たり切り出すウエハ数は増加する、即ち、処理量が増加する。
さらに、全てのウエハのウエハパラメトリックスが、先行技術のソーワイヤと比較して本発明のワイヤのほうで優れていた。
− 最大ソーマーク深さ範囲は、先行技術のワイヤの[21μm;48μm]から、本発明によるソーワイヤの[16μm;27μm]に低下する
− ウエハの全体厚さムラは、先行技術のワイヤの[2.8;31.5]μmの間から、本発明によるワイヤの[3.1;13.6]μmの間に変化する
このデータから、弾性回転及び塑性回転を有するソーワイヤ付きスプールを使用すると、処理量の増加とより少ないワイヤ使用量とを併せて、ウエハパラメトリックスの実質的改善が得られることがわかる。

Claims (15)

  1. ソーワイヤを巻回したコアを含み、
    前記ソーワイヤは、長手方向軸を持ち、かつ2つ以上のクリンプ変形を有するスチールワイヤを含み、
    前記2つ以上のクリンプ変形の各々は、前記長手方向軸に垂直かつ互いに異なるクリンプ方向を有する、ソーワイヤ付きスプールであって、
    前記ソーワイヤは、前記長手方向軸を中心に単位長さ当たりに任意の数の弾性回転を、前記弾性回転の方向に与えられて含むことを特徴とする、ソーワイヤ付きスプール。
  2. 前記弾性回転の数は1メートル当たり0.5回転から10回転の間である、請求項1に記載のソーワイヤ付きスプール。
  3. 前記ソーワイヤの前記2つ以上のクリンプ方向の全てが、前記長手方向軸に沿って塑性回転方向に回転し、単位長さ当たり任意の数の塑性回転を有する、請求項1または2に記載のソーワイヤ付きスプール。
  4. 前記単位長さ当たり任意の数の塑性回転は、1メートル当たり0.5回転から10回転の間である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のソーワイヤ付きスプール。
  5. 前記塑性回転方向と前記弾性回転方向とは逆向きである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のソーワイヤ付きスプール。
  6. 前記塑性回転方向と前記弾性回転方向とは同じである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のソーワイヤ付きスプール。
  7. 前記塑性回転数と前記弾性回転数の和は1メートル当たり0.5回転から20回転の間である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のソーワイヤ付きスプール。
  8. 前記クリンプ変形数は2である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のソーワイヤ付きスプール。
  9. 前記2つのクリンプ方向は、互いに70°から110°の間の角度を有する、請求項8に記載のソーワイヤ付きスプール。
  10. 前記2つ以上のクリンプ変形は各々にクリンプ波長を有し、前記クリンプ波長の各々は互いに異なるものである、請求項1〜9のいずれか1項に記載のソーワイヤ付きスプール。
  11. 前記クリンプ変形数は2であり、第1のクリンプ波長は第2のクリンプ波長より大きく、且つ前記第1のクリンプ波長は前記第2のクリンプ波長の2倍より小さい、請求項10に記載のソーワイヤ付きスプール。
  12. 前記2つ以上のクリンプ変形の各々はクリンプ振幅を有し、前記クリンプ振幅の各々は、前記2つ以上のクリンプ変形の前記クリンプ振幅の平均値の+/−40%以内である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のソーワイヤ付きスプール。
  13. 前記ソーワイヤの最大ノギス直径と最小ノギス直径と間の差異は、前記最大ノギス直径および前記最小ノギス直径の平均値の10%未満である、請求項12に記載のソーワイヤ付きスプール。
  14. 前記スチールワイヤはワイヤ径を有し、前記2つ以上のクリンプ変形がセグメントを間に挟んで曲り部分を呈しており、前記長手方向軸に沿った前記曲り部分間の平均距離は前記ワイヤ径の3倍から20倍の間である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のソーワイヤ付きスプール。
  15. 前記ソーワイヤは外端を有し、前記外端は回転可能に固定されて前記弾性回転の解放を防止する、請求項1〜14のいずれか1項に記載のソーワイヤ付きスプール。
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