JP3214562U - 電線用磨き器 - Google Patents
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Abstract
【課題】作業品質のバラツキを防止し、簡単且つ安全に電線の金属部分の表面を磨くことのできる電線用磨き器を提供する。【解決手段】電線Wの表面を磨く電線用磨き器600であって、電線Wの表面を磨くための一対の磨き部と、当該磨き部が固定され、当該磨き部を電線Wの周囲で回転駆動するための磨き部駆動歯車210と、外部の回転動力源E2からの回転動力を磨き部駆動歯車210に伝達する外部動力伝達歯車240と、を備えており、さらに、磨き部駆動歯車210の回転軸P4と、外部動力伝達歯車240の回転軸P1は互いに平行であり、磨き部駆動歯車210は、電線Wを挿通させるために、周縁部から中央側に延びる開口部を備え、一対の磨き部は、磨き部駆動歯車210の開口部に挿通された電線Wを両側から挟み込むことが出来るように、互いに近接する方向へ付勢される付勢手段を備えている。【選択図】図11
Description
本考案は、電線の金属部分の表面を磨く電線用磨き器に関する。
従来から、き電線が垂下するのを防止するために、き電線用アーマーロッド(垂下防止金具)が用いられてきた。そして、当該き電線用アーマーロッドをき電線に取り付ける際は、き電線の表面の酸化被膜を除去する必要がある。そして、当該酸化被膜の除去は、ハンドグラインダや電気ドリル等の工具にブラシを取り付けて、作業者がき電線の表面を直接磨くことで行っていた。
しかしながら、当該除去方法では、作業者の熟練度合いに依存するため、作業者によってその仕上がり具合にバラツキが生じ、き電線に傷が付く等の不都合も生じていた。また、高所での作業となるため、出来るだけ簡単且つ安全に作業が行えることが要求されていた。さらに、上記事項は、き電線に限らず、電線の金属部分の表面を磨く一般的な作業においても広く当てはまることである。
そこで、本考案は、上記問題に鑑み、作業品質のバラツキを防止し、簡単且つ安全に電線の金属部分の表面を磨くことのできる電線用磨き器を提供するものである。
上記課題を解決するために、本考案の電線用磨き器は、電線の表面を磨く電線用磨き器であって、電線の表面を磨くための一対の磨き部と、当該磨き部が固定され、当該磨き部を前記電線の周囲で回転駆動するための磨き部駆動歯車と、外部の回転動力源からの回転動力を前記磨き部駆動歯車に伝達する外部動力伝達歯車と、を備えており、さらに、前記磨き部駆動歯車の回転軸と、前記外部動力伝達歯車の回転軸は互いに平行であり、前記磨き部駆動歯車は、前記電線を挿通させるために、周縁部から中央側に延びる開口部を備え、前記一対の磨き部は、前記磨き部駆動歯車の開口部に挿通された電線を両側から挟み込むことが出来るように、互いに近接する方向へ付勢される付勢手段を備えていることを特徴とする。
当該特徴によって、磨き部駆動歯車の開口部に電線を挿通させ、一対の磨き部によって電線を挟み込んだ状態で、回転動力源を回転駆動させれば、一対の磨き部が電線の表面を自動的に均一に磨いていくので、従来の手動による電線表面の磨き作業に比べて、作業品質のバラツキを防止することができる。また、従来のように、作業員が電線の表面を電動工具等で直接磨くことがないので、簡単且つ安全に電線の金属部分の表面を磨くことができるのである。
さらに、外部動力伝達歯車の回転軸と磨き部駆動歯車の回転軸とが互いに平行になっているので、外部動力伝達歯車に連結された回転動力源を電線に沿って移動させつつ、電線の表面を磨いていく動作がスムーズに行える。また、外部動力伝達歯車の回転軸と磨き部駆動歯車の回転軸とが互いに平行になっているので、外部動力伝達歯車と磨き部駆動歯車とが噛み合いやすく、外部動力伝達歯車及び磨き部駆動歯車を含むその周辺の歯車機構の構造が簡素化され、製造コストを抑えることができる。
また、電線を挟み込む機能を、磨き部駆動歯車ではなく、磨き部側に付勢手段として持たせているので、磨き部駆動歯車の構造が簡素化され、製造コストを抑えることができる。
さらに、上記課題を解決するために、本考案の電線用磨き器は、前記磨き部駆動歯車の開口部に挿通された電線を保持する保持部を備えることを特徴とする。
当該特徴によって、磨き作業中の電線用磨き器の位置姿勢がより安定しやすく、作業性が良いのである。
さらに、上記課題を解決するために、本考案の電線用磨き器は、前記磨き部は、前記磨き部駆動歯車を挟んで、前記保持部の反対側に設置されており、前記外部動力伝達歯車と前記回転動力源との連結部は、前記保持部側へ配置されていることを特徴とする。
当該特徴によって、連結部に連結される回転動力源は、磨き部側ではなく、反対の保持部側へ配置されることになる。そのため、回転動力源を操作する作業員が、回転駆動する磨き部に触れる危険性が少なく、安全性が高いのである。
さらに、上記課題を解決するために、本考案の電線用磨き器は、前記電線は、き電線であり、前記電線用磨き器を操作するためのハンドル部を備えていることを特徴とする。
当該特徴によって、き電線の表面の酸化被膜を磨く作業時に、電線用磨き器を取り扱いやすく作業性が良いのである。特に、き電線の表面を磨く作業は、一般的に、夜間等の電車の運行休止時に、き電線に電気を供給していない状態で行う。そのため、本考案の電線用磨き器によれば、き電線の表面を磨く際、作業員が感電する心配が無いので、安心してハンドル部を操作でき、作業効率がより上がるのである。
上記の本考案によれば、作業品質のバラツキを防止し、簡単且つ安全に電線の金属部分の表面を磨くことのできる電線用磨き器を提供できる。
210 磨き部駆動歯車
212 開口部
240 外部動力伝達歯車
310 磨き部
320 磨き部
W 電線
P1、P4 回転軸
E2 回転動力源
600 電線用磨き器
212 開口部
240 外部動力伝達歯車
310 磨き部
320 磨き部
W 電線
P1、P4 回転軸
E2 回転動力源
600 電線用磨き器
以下に、本考案の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本考案は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
図1は、本考案の電線用磨き器600の本体部100の平面図である。この本体部100は、所定の厚さの板材に歯車収容部(110から140)、及びハンドル部150を形成したものである。この歯車収容部110は、後述する円形の磨き部駆動歯車210(図2参照)を収容できるように、円形に窪んだ形状をしている。同様に、歯車収容部120は後述する円形の中間歯車220(図2参照)を、歯車収容部130は後述する円形の中間歯車230(図2参照)をそれぞれ収容できるように、円形に窪んだ形状をしている。歯車収容部120の中心には、中間歯車220の中心の軸孔221を挿入可能な軸部121が、歯車収容部130の中心には、中間歯車230の中心の軸孔231を挿入可能な軸部131が形成されている。また、歯車収容部140も、後述する円形の外部動力伝達歯車240を収容できるように、円形に窪んだ形状をしている。
さらに、ハンドル部150は、人の指を通すことのできる大きさの貫通孔151により形成されている。当該貫通孔151の縁部には、人の指で握りやすい太さのにぎり部152が形成されている。
では次に、図2に、本体部100へ磨き部駆動歯車210等を収容した状態を示す。なお、この図2は、本体部100の平面図である。
図2に示すように、磨き部駆動歯車210は、歯車収容部110内に収容されており、歯車収容部110の内側で回転出来るようになっている。この歯車収容部110には、後述する磨き部ユニット300の軸部330の先端を固定する固定孔211が形成されている。また、歯車収容部110には、電線を挿通させるために、周縁部から中央側に延びる開口部212が形成されている。
図2に示すように、磨き部駆動歯車210の周縁部には歯が連続して形成されており、当該磨き部駆動歯車210の歯と中間歯車220の歯とが、互いに噛み合っている状態である。この中間歯車220は、歯車収容部120内に収容されており、軸部121を中心に回転できるようになっている。同様に、磨き部駆動歯車210の歯と中間歯車230の歯とが、互いに噛み合っている状態であり、この中間歯車230は、歯車収容部130内に収容されて、軸部131を中心に回転できるようになっている。
さらに、外部動力伝達歯車240は歯車収容部140内に収容されており、歯車収容部140の内側で回転できるようになっている。そして、この外部動力伝達歯車240の周縁部の歯は、中間歯車220の周縁部の歯と、中間歯車230の周縁部の歯に噛み合っている状態である。
次に、図3に、本体部100に収容された磨き部駆動歯車210等を、薄板状のカバー160によって覆った状態を示す。なお、この図3は、本体部100の平面図である。また、ハンドル部150はカバー160によって覆われていない。
図3に示すように、本体部100の表面は、板状のカバー160によって覆われ、カバー160は本体部100に固定されている。磨き部駆動歯車210は、その周縁部の歯がカバー160によって覆われ、その他の部分は、円形状に切りかかれた窓161から露出している。そのため、磨き部駆動歯車210は、歯車収容部110とカバー160とで挟まれて、本体部100から外部へ抜け落ちることなく、歯車収容部110内で回転することができるのである。また、この窓161から、固定孔211が外部へ露出しており、後述する磨き部ユニット300を固定することができるようになっている。
さらに、磨き部駆動歯車210の開口部212が、窓161から外部へ露出している。そして、この開口部212に電線を挿通させられるように、カバー160の上縁部から窓161まで延びるように切りかかれた挿通開口163が形成されている。
また、中間歯車220は、全体がカバー160によって覆われている。そのため、中間歯車220は歯車収容部120とカバー160とで挟まれ、本体部100から外部へ抜け落ちることなく、歯車収容部120内で回転することができるのである。同様に、中間歯車230も、全体がカバー160によって覆われている。そのため、中間歯車230は歯車収容部130とカバー160とで挟まれ、本体部100から外部へ抜け落ちることなく、歯車収容部130内で回転することができるのである。
外部動力伝達歯車240は、その周縁部の歯がカバー160によって覆われ、外部動力伝達歯車240の中心に設けられた連結孔241は、円形状に切りかかれた窓162から露出している。そのため、外部動力伝達歯車240は、歯車収容部140とカバー160とで挟まれて、本体部100から外部へ抜け落ちることなく、歯車収容部140内で回転することができるのである。なお、連結孔241は外部に露出しているので、後述する外部の回転動力源に連結された連結部を、当該連結孔241に容易に接続することができる。
そして、連結孔241に連結された回転動力源により、外部動力伝達歯車240が回転すると、中間歯車(220、230)を介して、磨き部駆動歯車210も回転する。具体的には、外部動力伝達歯車240が、外部動力伝達歯車240の中心の回転軸P1周りに左方向に回転すると、外部動力伝達歯車240と噛み合っている中間歯車220は、中間歯車220の中心の回転軸P2周りに右方向へ回転する。それと同時に、外部動力伝達歯車240と噛み合っている中間歯車230は、中間歯車230の中心の回転軸P3周りに右方向へ回転する。そして、磨き部駆動歯車210は、中間歯車(220、230)に噛み合っているので、中間歯車(220、230)の回転に同期して、磨き部駆動歯車210の中心の回転軸P4周りに左方向へ回転するのである。
なお、磨き部駆動歯車210の歯と中間歯車220の歯の噛み合い位置Xから、磨き部駆動歯車210の歯と中間歯車230の歯の噛み合い位置Yまでの、磨き部駆動歯車210の円周上の区間Nは、磨き部駆動歯車210の円周上の開口部212が存在する区間Mよりも大きくなっている。例えば、磨き部駆動歯車210が回転してゆき、開口部212が中間歯車230に面する側に差し掛かると、開口部212には歯が無いので、中間歯車230から磨き部駆動歯車210へは回転動力が伝達されない。しかしながら、区間Nが、区間Mより大きくなっているので、開口部212が中間歯車230に面している間は、中間歯車220が磨き部駆動歯車210に必ず噛み合っており、中間歯車220から磨き部駆動歯車210へ回転動力が伝達されるのである。つまり、区間Nが、区間Mより大きくなっているので、磨き部駆動歯車210の開口部212の位置に関係なく、中間歯車220又は中間歯車230のいずれか一方が、必ず磨き部駆動歯車210に噛み合っており、回転動力を常に伝達できるようになっているのである。
では次に、電線の表面を磨く磨き部310について、図4を参照して説明する。なお、図4(a)は、一対の磨き部310及び磨き部320からなる磨き部ユニット300の全体斜視図、図4(b)は磨き部ユニット300の平面図、図4(c)は磨き部320の平面図である。
図4(a)及び(b)に示すように、磨き部ユニット300は、一対の磨き部310及び磨き部320から構成されており、当該磨き部310及び磨き部320は、軸部330によって開閉可能に連結されている。この磨き部310及び磨き部320は、電線を両側から挟み込むことできるように、略円弧状に形成されている。そして、磨き部310及び磨き部320の内側には、電線の表面を磨くための金属製のブラシ311及びブラシ321がそれぞれ取り付けられている。また、図4(c)に示すように、ボルト等の取付部材322をブラシ321の一部に貫通させて、取付部材322の先端を取付孔323に固定することで、ブラシ321は磨き部320へ着脱可能に取り付けられているので、消耗品であるブラシ321を容易に交換することができる。なお、磨き部310のブラシ311も、この磨き部320のブラシ321と同じ構造となっている。
また、軸部330にはバネ331が取り付けられており、このバネ331の付勢力によって、磨き部310と磨き部320は、閉じる方向、すなわち、磨き部310と磨き部320とが互いに近接する方向(図4(b)の矢印参照)へ付勢されている。そのため、付勢された一対の磨き部310及び磨き部320によって、電線を両側から挟み込むことができ、その挟み込んだ状態で、後述するように磨き部ユニット300が回転駆動して、電線の表面を磨くことができるのである。
なお、本実施形態では、磨き部310と磨き部320とを互いに近接する方向へ付勢する付勢手段としてバネ331を採用したが、これに限定されず、ゴム等の弾性体など、磨き部310と磨き部320とを互いに近接する方向へ付勢する付勢手段であれば、任意の手段を採用してもよい。
では次に、磨き部ユニット300を本体部100に取り付けた状態を図5に示す。なお、この図5は、本体部100に磨き部(310及び320)を取り付けた状態の平面図である。
図5に示すように、一対の磨き部310及び磨き部320を連結している軸部330の先端が、磨き部駆動歯車210の固定孔211に固定されている。そのため、磨き部駆動歯車210に固定された磨き部(310及び320)は、磨き部駆動歯車210が回動すると、当該磨き部駆動歯車210と共に、回転軸P4を中心に回動するのである。
また、一対の磨き部310及び磨き部320は、バネ331の付勢力によって、互いに近接する方向へ付勢されている。そのため、図5に示すように、磨き部310の先端315と磨き部320の先端325は当接している。この先端315及び先端325は傾斜しているので、開口部212から電線Wを押し込むようにして挿通させた際に、先端315及び先端325は電線Wを傾斜面に沿って誘導し、互いに離間する方向へ、つまり開く方向へスムーズに押し広げられるのである。そして、回転軸P4まで電線Wを挿通させると、磨き部310及び磨き部320は、バネ331の付勢力によって、再び互いに近接する方向へ付勢されて元の状態に戻る。すると、磨き部310及び磨き部320は、電線Wの周囲を両側から挟み込む状態となるのである。そして、後述するように、外部の動力源によって外部動力伝達歯車240が回動すると、外部動力伝達歯車240から中間歯車220及び中間歯車230へ回転動力が伝達される。次に、中間歯車220及び中間歯車230から、磨き部駆動歯車210へ回転動力が伝達される。この磨き部駆動歯車210が回転駆動することで、磨き部駆動歯車210に固定された磨き部310及び磨き部320も、電線Wを挟み込んだまま電線Wの周囲を回転し、電線Wの表面を磨くのである。
では次に本体部100の裏側の構造について、図6を参照して説明する。なお、この図6は、本体部100の背面図である。また、裏側とは、図5に示すように、磨き部駆動歯車210に磨き部(310及び320)を固定した側を表側とした場合に、磨き部駆動歯車210を挟んで、その反対側を意味する。
図6に示すように、本体部100の裏側には、カム板用孔101及び固定ピン用孔102が形成されている。また、本体部100に取り付けられている磨き部駆動歯車210には、可動ピン用孔213が形成されている。さらに、本体部100の裏側には、外部動力伝達歯車240の連結孔241が露出している。そのため、連結孔241に連結された外部の回転動力源から回転動力が伝達されると、先に述べたように、中間歯車220及び中間歯車230を介して、磨き部駆動歯車210が回動するのである。
では、図6に示す本体部100に、磨き部(310及び320)の位置決めを行う位置決め構造400を取り付けた状態について、図7を用いて説明する。なお、図7(a)及び(b)は、本体部100の背面図である。
図7(a)に示すように、位置決め構造400は、カム板410、可動ピン420、及び固定ピン430とから構成されている。カム板410は、回転軸411がカム板用孔101(図6参照)に固定されており、当該回転軸411の周りに回動可能となっている。また、カム板410はバネ415によって、回転軸411を中心に時計回りに付勢されている。また、可動ピン420は、磨き部駆動歯車210の可動ピン用孔213に固定されており、磨き部駆動歯車210と共に回動する。さらに、固定ピン430は、固定ピン用孔102(図6参照)に固定されている。
では、位置決め構造400の動作について説明する。まず、図7(a)に示すように、磨き部駆動歯車210の開口部212が本体部100の上縁部に位置している場合は、当該開口部212から電線Wを挿通させることができる。次に、図7(b)に示すように、磨き部駆動歯車210が時計回りに約一周していくと、可動ピン420が、カム板410の先端413に接触する。そして、可動ピン420が先端413をそのまま押し込んでくと、カム板410は回転軸411を中心に反時計回りに回転する。このカム板410が回転したことで、可動ピン420はカム板410の先端413を通過でき、磨き部駆動歯車210は引き続き時計回りに回転できるのである。さらに、回転したカム板410は、バネ415によって時計回りに付勢されているので、可動ピン420が先端413を通過した後に、図7(a)に示す位置に戻るのである。なお、カム板410の末端414は固定ピン430に当接するので、カム板410は、回転軸411を中心にそれ以上時計回りには回転しない。
ここで、挿通させた電線Wを本体部100から取り外したい場合は、再び、磨き部駆動歯車210の開口部212が本体部100の上縁部に位置するように、磨き部駆動歯車210を回転させて位置決めを行う必要がある。そこで、磨き部駆動歯車210を反時計回りに逆転させると、図7(a)に示すように、可動ピン420が先端413に当接する。すると、カム板410は、回転軸411を中心に時計回りに回転しようとするが、カム板410の末端414が固定ピン430に当接するので、それ以上時計回りに回転できない。そのため、可動ピン420がカム板410の先端413に当接してロックされているので、磨き部駆動歯車210はそれ以上反時計回りに逆転できないのである。そして、図7(a)に示すように、磨き部駆動歯車210の逆回転がロックされたところで、磨き部駆動歯車210の開口部212が本体部100の上縁部にちょうど位置するように、位置決めされることになるのである。
なお、カム板410、可動ピン420、及び固定ピン430は、図7(a)に示すように、磨き部駆動歯車210の逆回転がロックされた際に、磨き部駆動歯車210の開口部212が本体部100の上縁部にちょうど位置するような位置関係に配置されている。
では次に、磨き部駆動歯車210の開口部212に挿通された電線Wを保持する保持部500の構成について、図8を参照して説明する。なお、図8(a)は、保持部500の平面図、図8(b)は、保持部500の正面図、図8(c)は、保持部500の側面図、図8(d)は保持部500のロック部530の平面図、図8(e)は保持部500の取付板520にロック部530を取り付けた状態の正面図である。
図8(a)から(c)に示すように、保持部500は、筒状体を縦方向に半分にしたような半筒形状の収容体510と、当該収容体510の末端に連結された取付板520とから構成されている。この収容体510は、電線を収容可能な長尺状の収容部511と、後述するロック部530を係止させて固定するための係止部512を備える。係止部512は、ロック部530の連結部533を挿通させることができる溝513と、ロック部530の先端部532の内面534が当接して係止する当接面514と、先端部532の上面535が当接する突起部515を備える。この突起部515は、当接面514よりも側方へ突出している。
また、取付板520の裏面側は、本体部100の裏面側に固定できるようになっている。そして、取付板520には、電線Wを挿通できるように上端から下方へ延びる開口部521が形成されている。この開口部521と収容部511は、図8(b)に示すように連続して配置されており、電線Wを開口部521側から挿入し、収容部511の長尺方向に沿って挿通させることができる。
また、図8(d)に示すように、ロック部530は、基端部531と、当該基端部531と連結部533を介して連結された先端部532を備える。先端部532は、連結部533よりも幅が広くなっている。また、先端部532は、先端部532に内蔵されたバネ536によって、連結部533に沿って前後にスライドできるようになっている。
そして、図8(e)に示すように、ロック部530は、回転軸537の先端が取付板520の固定孔522に固定されて、回転軸537を中心に回動できるように、取付板520に固定されている。取付板520の開口部521から挿通された電線Wが外部に抜け出ないように、収容体510の収容部511に電線Wを収容する際は、ロック部530を下方へ回動させて、基端部531の内面と収容部511とで電線Wを囲い込む。そして、先端部532が突起部515を乗り越えるように、先端部532を側方へ引っ張ってスライドさせる。そして、先端部532を離せば、バネ536の復元力によって、先端部532は基端部531へ近接する方向へスライドして戻る。すると、先端部532の内面534が、収容体510の当接面514に当接して係止する。同様に、先端部532の上面535が、収容体510の突起部515に当接して係止する。したがって、ロック部530の先端部532が収容体510の係止部512に係合するので、ロック部530が固定されて回動しない。これにより、ロック部530の基端部531と収容体510の収容部511とで電線Wを囲い込む状態が強固に維持されるので、保持部500は電線Wを強固に保持することができるのである。
次に、保持部500を本体部100に取付けて、完成した本願の電線用磨き器600を図9に示す。なお、この図9は、電線用磨き器600の背面図である。
図9に示すように、電線用磨き器600は、本体部100の裏面側に保持部500が取り付けられており、保持部500の開口部521と、保持部500の収容部511と、磨き部駆動歯車210の開口部212が直線状に整列している。また、磨き部310及び磨き部320は、本体部100の表側へ突出するように、磨き部駆動歯車210に固定されている。そして、保持部500は、本体部100の裏面側に取り付けられているので、保持部500は、磨き部駆動歯車210を挟んで、磨き部(310及び320)の反対側に設置された状態となっている。
それでは次に、この電線用磨き器600の使用態様について、図10及び図11を参照して説明する。なお、図10及び図11は、本願の電線用磨き器600の側面図である。
図10に示すように、作業者はハンドル部150を手で持ち、作業対象の電線Wの下側から、電線用磨き器600の開口部212及び開口部521を電線Wに向けて宛がう。そして、作業者は、電線Wに向けて電線用磨き器600を押し当てれば、一対の磨き部310及び磨き部320が互いに離間する方向へ押し広げられて、電線Wが下方へと挿入されていく。そして、作業者は、電線Wが保持部500の収容部511に当接するまで電線用磨き器600を押し込んだ後、図11に示すように、保持部500のロック部530を下方へ回動させて、ロック部530と収容部511とで電線Wを囲い込む。すると、電線Wは磨き部駆動歯車210の開口部212に挿通され、磨き部駆動歯車210の前側では、一対の磨き部310及び磨き部320が電線Wを挟み込み、磨き部駆動歯車210の後側では、保持部500が電線Wを保持している状態となる。
次に、外部動力伝達歯車240の連結孔241に差し込まれている連結部E1に、図11に示すように、回転動力源E2の先端を固定する。この連結部E1は、保持部500側へ突出するように配置されているので、連結部E1に連結固定される回転動力源E2は、保持部500側へ配置されることになる。回転動力源E2は、既存の電動工具等で、人が手で持って扱えるものである。
次に、作業員が回転動力源E2の電源を入れる。すると、回転動力源E2の先端が回転し、回転動力源E2に連結された連結部E1を介して、外部動力伝達歯車240が、回転軸P1周りに回転する。この外部動力伝達歯車240が回転すると、磨き部駆動歯車210は中間歯車220を介して、回転軸P4周りに回転する。そして、この磨き部駆動歯車210に固定された一対の磨き部310及び磨き部320も回転軸P4周りに回転して、電線Wの周囲を周回しながら、電線Wの表面を磨いていくのである。そして、作業員は、回転動力源E2を電線Wに沿って前方又は後方にスライドさせて、電線用磨き器600を移動させ、異なる電線の箇所を引き続き磨いていくのである。
このように、本考案の電線用磨き器600によれば、磨き部駆動歯車210の開口部212に電線Wを挿通させ、一対の磨き部310及び磨き部320によって電線Wを挟み込んだ状態で、回転動力源E2を回転駆動させれば、一対の磨き部310及び磨き部320が電線Wの表面を自動的に均一に磨いていくので、従来の手動による電線表面の磨き作業に比べて、作業品質のバラツキを防止することができる。また、本考案の電線用磨き器600によれば、従来のように、作業員が電線Wの表面を電動工具等で直接磨くことがないので、簡単且つ安全に電線Wの金属部分の表面を磨くことができるのである。
さらに、外部動力伝達歯車240の回転軸P1と磨き部駆動歯車210の回転軸P4とが互いに平行になっているので、外部動力伝達歯車240に連結された回転動力源E2を電線Wに沿って移動させつつ、電線Wの表面を磨いていく動作がスムーズに行えるのである。
また、外部動力伝達歯車240の回転軸P1と磨き部駆動歯車210の回転軸P4とが互いに平行になっているので、外部動力伝達歯車240と磨き部駆動歯車210とが噛み合いやすく、外部動力伝達歯車240及び磨き部駆動歯車210を含むその周辺の歯車機構の構造が簡素化され、製造コストを抑えることができる。具体的には、例えば、外部動力伝達歯車240の回転軸P1と磨き部駆動歯車210の回転軸P4とが互いに垂直に交わる構成の場合は、傘歯車等を用いて、回転動力の伝わる向きを変更しなければならず、それだけ歯車機構の構造が複雑になる。しかしながら、本考案では、外部動力伝達歯車240の回転軸P1と磨き部駆動歯車210の回転軸P4とが互いに平行になっているので、回転動力の伝わる向きを変更しなくても、回転動力が伝達されるのである。そのため、外部動力伝達歯車240及び磨き部駆動歯車210を含むその周辺の歯車機構の構造が簡素化され、製造コストを抑えることができるのである。
さらに、電線Wを挟み込む機能を、磨き部駆動歯車210ではなく、磨き部(310及び320)側に付勢手段として持たせているので、磨き部駆動歯車210の構造が簡素化され、製造コストを抑えることができる。例えば、磨き部駆動歯車210自体が電線Wを挟み込む場合は、磨き部駆動歯車210を、一対の磨き部310及び磨き部320のような開閉する構造としなければならない。ただ、磨き部駆動歯車210は、他の歯車から回転動力が伝達される部分であるから、当該部分に開閉機構を採用すると、構造が複雑化し、製造コストが高くなるのである。しかしながら、本考案では、電線Wを挟み込む機能を、磨き部駆動歯車210ではなく、磨き部(310及び320)側に付勢手段として持たせているので、磨き部駆動歯車210の構造を簡素化でき、それだけ製造コストを抑えることができるのである。
さらに、本考案の電線用磨き器600によれば、磨き部駆動歯車210の開口部212に挿通された電線Wを保持する保持部500を備えているので、磨き作業中の電線用磨き器600の位置姿勢がより安定しやすく、作業性が良いのである。具体的には、回転動力源E2の回転動力によって、電線用磨き器600は、回転動力源E2に連結された回転軸P1周りに回転しようとする。しかし、磨き部駆動歯車210及び磨き部(310及び320)が電線Wを把持しているので、電線用磨き器600が回転軸P1周りに回転することを防止している。ただ、磨き部駆動歯車210及び磨き部(310及び320)は、回転する部分であることや開閉機構を備えているので、回転軸P4周りの位置姿勢がズレる場合がある。その場合は、電線用磨き器600を電線Wに沿って移動させにくくなり、磨き作業の作業性が悪くなるのである。そこで、磨き部駆動歯車210の開口部212に挿通された電線Wを保持する保持部500を備えたことで、磨き作業中の電線用磨き器600の位置姿勢がより安定しやすくなり、作業性が良くなるのである。
さらに、本考案の電線用磨き器600によれば、磨き部(310及び320)が、磨き部駆動歯車210を挟んで、保持部500の反対側に配置され、連結部E1は保持部500側へ配置されているので、連結部E1に連結される回転動力源E2は、磨き部(310及び320)側ではなく、反対の保持部500側へ配置されることになる。そのため、回転動力源E2を操作する作業員が、回転駆動する磨き部(310及び320)に触れる危険性が少なく、安全性が高いのである。なお、保持部500、及び磨き部(310及び320)の配置は、図11に示す配置に限定されることはなく、逆の配置としてもよい。
さらに、本考案の電線用磨き器600によれば、電線用磨き器600の作業対象となる電線Wがき電線であり、電線用磨き器600を操作するためのハンドル部150を備えているので、き電線の表面の酸化被膜を磨く作業時に、電線用磨き器600を取り扱いやすく作業性が良いのである。特に、き電線の表面を磨く作業は、一般的に、夜間等の電車の運行休止時に、き電線に電気を供給していない状態で行う。そのため、本考案の電線用磨き器600によれば、き電線の表面を磨く際、作業員が感電する心配が無いので、安心してハンドル部150を操作でき、作業効率がより上がるのである。
なお、本考案の電線用磨き器は、き電線の表面を磨くだけでなく、一般的な電線の表面を磨くこともできる。また、本考案の電線用磨き器は、上記の実施例に限定されず、実用新案登録請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせも本考案の範囲に含むものである。
Claims (4)
- 電線の表面を磨く電線用磨き器であって、
電線の表面を磨くための一対の磨き部と、当該磨き部が固定され、当該磨き部を前記電線の周囲で回転駆動するための磨き部駆動歯車と、外部の回転動力源からの回転動力を前記磨き部駆動歯車に伝達する外部動力伝達歯車と、を備えており、
さらに、前記磨き部駆動歯車の回転軸と、前記外部動力伝達歯車の回転軸は互いに平行であり、
前記磨き部駆動歯車は、前記電線を挿通させるために、周縁部から中央側に延びる開口部を備え、
前記一対の磨き部は、前記磨き部駆動歯車の開口部に挿通された電線を両側から挟み込むことが出来るように、互いに近接する方向へ付勢される付勢手段を備えていることを特徴とする電線用磨き器。
- 前記磨き部駆動歯車の開口部に挿通された電線を保持する保持部を備えることを特徴とする請求項1に記載の電線用磨き器
- 前記磨き部は、前記磨き部駆動歯車を挟んで、前記保持部の反対側に設置されており、
さらに、前記外部動力伝達歯車と前記回転動力源との連結部は、前記保持部側へ配置されていることを特徴とする請求項2に記載の電線用磨き器。
- 前記電線は、き電線であり、
さらに、前記電線用磨き器を操作するためのハンドル部を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電線用磨き器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017005037U JP3214562U (ja) | 2017-11-06 | 2017-11-06 | 電線用磨き器 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN109119946A (zh) * | 2018-09-28 | 2019-01-01 | 中科院合肥技术创新工程院 | 一种线缆电动剥皮装置 |
-
2017
- 2017-11-06 JP JP2017005037U patent/JP3214562U/ja active Active
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