JP3213996B2 - フォトクロミック性を有する酸化チタン系化合物およびその製造方法 - Google Patents

フォトクロミック性を有する酸化チタン系化合物およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フォトクロミック性と
いう演色効果を有する塗料、印刷、樹脂着色、化粧料、
光メモリーなどの分野に適した酸化チタン系化合物およ
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、サングラスに代表されるように、
光の強度により可逆的に色が変化するフォトクロミズム
という特異な機能の利用が行われている。フォトクロミ
ズムを発現する化学物質としては、すでにハロゲン化銀
類、スピロピラン系有機化合物が知られている。酸化チ
タンについては鉄、クロム、マンガンなどの金属類の存
在下でフォトクロミズムを示すことが知られており、例
えば特開昭63−132811号公報や国際公開特許W
O−89/12084号公報に開示されている。
【0003】しかしながら上記特許に開示されているよ
うに、酸化チタンにフォトクロミック性を付与する金属
粉自体あるいはその硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩な
どの金属塩や酸化物、水酸化物を単に混合し焼成しただ
けでは、その発現するフォトクロミズムの程度は弱いも
のであり、実際この程度の色度の変化では、各種用途に
おいて他の構成成分と混合使用した場合には、その効果
が希釈されるため色調変化が認められ難く、実用面から
の利用価値は低いものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる事情を鑑み、本
発明者らは実用レベルに供し得るフォトクロミック性を
有する酸化チタンを得るべく鋭意検討した結果、酸化チ
タンに特定量のフォトクロミック性を付与する金属或い
はその金属化合物に特定量の酸化ナトリウムを存在させ
る場合には上記特性を満足する酸化チタン系化合物が得
られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明はチタ
ン化合物を酸化チタン換算で85.0〜98.8重量
%、ナトリウム化合物を酸化ナトリウム換算で1.0〜
7.0重量%及び鉄、クロム、銅、ニッケル、バナジウ
ム及びマンガンの少なくとも一種より成る金属化合物を
金属酸化物換算で0.2〜8.0重量%含有してなるフ
ォトクロミック性を有する酸化チタン系化合物を提供す
るにある。
【0006】また、本発明は有機チタン化合物に鉄、ク
ロム、銅、ニッケル、バナジウムおよびマンガンの少な
くとも一種より成る金属あるいは金属化合物を混合し、
ナトリウム化合物の存在下で焼成することを特徴とする
フォトクロミック性を有する酸化チタン系化合物の製造
方法を提供するにある。
【0007】さらに本発明は、チタニアゾルに鉄、クロ
ム、銅、ニッケル、バナジウム及びマンガンの少なくと
も一種より成る金属あるいは金属化合物を混合し、ナト
リウム化合物の存在下で焼成することを特徴とするフォ
トクロミック性を有する酸化チタン系化合物の製造方法
を提供するものである。
【0008】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発
明の酸化チタン系化合物はチタン化合物を酸化チタン換
算で85.0〜98.8重量%、ナトリウム化合物を酸
化ナトリウム換算で1.0〜7.0重量%及び鉄、クロ
ム、銅、ニッケル、バナジウム及びマンガンの少なくと
も一種より成る金属化合物を金属酸化物換算で0.2〜
8.0重量%含有してなる。酸化チタン系化合物中に
鉄、クロム等の上記金属化合物が金属酸化物換算で0.
2重量%未満の場合にはフォトクロミック性の発現が乏
しく、他方8.0重量%を越えても存在量に見合うフォ
トクロミック性の発現効果はなく、添加金属自体の色に
よる着色が大きくなり、フォトクロミズムによる変色度
合が相対的に小さくなる。また酸化ナトリウムの存在量
が1.0重量%未満の場合にはフォトクロミック性の発
現が乏しく、他方存在量が7.0重量%を越える場合に
は得られる酸化チタン系化合物がアルカリ性を呈するの
で使用に制限を受けるようになる。
【0009】本発明において、上記組成を有する酸化チ
タン系化合物は特にその形状を限定されるものではな
く、各用途において粒子状、板状または薄片状などの形
状に製造し、使用される。例えば、粒子状のものは塗
料、印刷、樹脂着色などの分野に、一方、板状あるいは
薄片状のものは、酸素や水の透過を遮断する機能を生か
した防錆塗料分野、光の反射や干渉機能を生かした真珠
光沢顔料による塗料、樹脂着色および印刷分野、さらに
は薄片の付着性、展延性という機能を生かした化粧料分
野などに適している。
【0010】またフォトクロミック性という演色効果
は、黒化度が高くかつ退色性が良い場合は塗料、印刷、
樹脂着色、化粧料などの分野に適しており、一方、黒化
度が高くかつ退色性が悪い場合はセンサー、光メモリー
などの分野に適している。それゆえ、各用途において最
良のフォトクロミック性度及び形状を選択し適用すれば
よい。以下に本発明の酸化チタン系化合物の製造方法を
詳述するが、粒子状物は上記組成の混合物を乾燥(静置
乾燥、ドラム乾燥、スプレードライ等をも含む)、焼
成、必要に応じて、粉砕等による公知の製法が容易に考
慮し得るので、ここでは板状、或いは薄片状の酸化チタ
ン系化合物の製造例を挙げる。
【0011】本発明方法の実施に際し、使用する有機チ
タン化合物は一般式 TiO2-x (OX)l (OR)m (OH)n (但し、OXはアシルオキシ基、ORはアルコキシ基を
表し、x=l+m+nであり、xおよびmは>0〜<2
の正数、lおよびnは0〜<2の零を含む正数である)
で表され、就中、TiO2 1モルに対しOXを約0.3
〜0.6モル、ORを約0.05〜0.15モル有する
有機チタン化合物であり、特開昭60−176906号
公報による公知の方法で製造したものが使用できる。
【0012】例えば、チタンのアルコキシド類、特に部
分アシルオキシ化されたチタンアルコキシド類を単独あ
るいは有機溶剤に希釈後、支持基材上に所望の厚みに塗
布し液体の薄膜を形成し、次いで該液体中より溶剤を蒸
発させた後、更に水蒸気と接触させることにより部分加
水分解を行い有機チタン化合物の薄片を形成し、この薄
片を適当な掻き取り操作により掻き取ることができる。
【0013】薄片形成に用いられるチタンのアルコキシ
ド類としては炭素数1〜17のアルコールとのアルコキ
シド類、特に工業的にはテトラ−i−プロポキシチタ
ン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エ
チルヘキソキシ)チタン、テトラステアロキシチタンな
どが市販されており、中でもテトラ−i−プロポキシチ
タンは経済性から好ましい。またこれらのアルコキシド
類は予め加水分解を行い、トリマー、テトラマー、オリ
ゴマーなどの状態で使用することができる。
【0014】部分アシルオキシ基の存在は、形成された
薄膜の支持基材からの剥離性、得られる薄片の形状の制
御性更には薄片の平滑性に効果を与える。
【0015】液膜形成のため使用する有機溶剤は、上記
チタンのアルコキシド類あるいは部分アシルオキシ化さ
れたチタンアルコキシド類を溶解するものであればよい
が、液膜形成における作業性および蒸発除去の点より7
0〜150℃程度の沸点範囲の溶剤が好ましい。このよ
うな有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、ヘ
プタン、シクロヘキサンなどの炭化水素類やエタノー
ル、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類を単
独あるいは混合して使用できる。工業的にはアルコキシ
ドと同一のアルコールを使用すれば、回収した溶剤の分
離精製が不要で有利である。
【0016】膜を形成させる支持基材は平板でもよい
が、工業的規模での連続生産を行うにはドラムフレーカ
ーやベルト状に加工したエンドレス板が使用される。基
材の材質はガラス、クロム、ニッケルなどの金属類、ア
ルミナ、タングステンカーバイドなどのセラミックス、
不飽和ポリエステル、テフロンなどの樹脂などが使用で
きる。これらの材質の選定に当たっては、形成した薄膜
の剥離性と剥離手段、使用原料の物性より一義的ではな
いが、一般的には金属ドラム、耐薬品性や耐摩耗性を重
要視するならばアルミナ溶射ドラムが好ましい。
【0017】基材上に形成された液膜は、加熱処理によ
り液膜より溶剤を蒸発除去する。液膜からの溶剤の蒸発
除去は、支持基材を内部から加熱する方法、液膜表面に
温風を吹き付ける方法あるいはこれらの併用の何れでも
よいが、過大な加熱は溶剤の沸騰を招き薄片形成を阻害
するので、加熱は液膜を構成する溶剤組成の沸点以下、
温風を使用する場合には吹き付け風量により液膜表面が
平滑性を損わない量で実施することが均一な厚みの薄片
を得る上で好ましい。
【0018】溶剤を加熱除去した支持基材上の液膜は、
次いでスチームなどの加湿空気により強制的に加水分解
し支持基材上で固体膜を形成させる。形成された固体膜
は加水分解の進行に伴い、体積収縮を生じ薄膜にヒビ割
れを生じ薄片化する。支持基材上に形成された薄片状物
質の基材からの剥離方法としては、通常スクレパーなど
で機械的に掻き取る方法が採用されるが、空気や水の吹
き付けによる剥離や超音波振動などでの剥離、更には基
材が柔軟性のあるときは基材を屈曲させて剥離する方法
などが挙げられる。
【0019】また本発明方法の実施に際し、酸化チタン
原料としてチタニアゾルを使用することもできる。該チ
タニアゾルとしては通常薄膜の製造に使用される公知の
ものであればよく特に制限されるものではないが、液膜
形成時の作業性あるいは形成した液膜の乾燥における経
済的揮散分散媒量の点より、一般的には固体濃度5〜4
0重量%、好ましくは10〜30重量%の水系ゾルが使
用される。チタニアゾルを用いての薄片の製造方法は上
述したチタンのアルコキシド類を原料とした薄片の製造
方法に準じて得ることができる。
【0020】本発明に用いるフォトクロミック性を付与
する金属あるいは金属化合物としては、鉄、クロム、
銅、ニッケル、バナジウムおよびマンガンの少なくとも
一種より成る金属あるいは金属化合物であり、より具体
的には鉄、クロム、銅、ニッケル、バナジウムおよびマ
ンガンの金属粉、これらの金属の酸化物、水酸化物ある
いは無定形物、あるいはこれら少なくとも一種の金属よ
り成る硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩などの金属塩水
溶液などあるいは金属化合物ゾルが挙げられるが、チタ
ン化合物との均一な混合が容易であることより金属塩水
溶液あるいは金属化合物ゾルの適用が推奨される。
【0021】就中、鉄は重金属でないことから用途に制
限を受けないので、金属水溶液としては硝酸鉄のような
金属塩水溶液の適用が推奨される。
【0022】チタン化合物(薄片状)に対するこれら金
属あるいは金属化合物の配合量は、金属酸化物換算で約
0.2〜8重量%の範囲である。チタン化合物と金属あ
るいは金属化合物との混合は、乾式、湿式の何れでも制
限されないが、これら混合物は続く焼成過程でナトリウ
ム化合物の存在下で焼成するので、先ずチタン化合物を
水に分散し、これに水溶性金属塩あるいは金属化合物ゾ
ルを溶解あるいは分散し、次いで水酸化ナトリウムや炭
酸ナトリウム等のナトリウム化合物を添加してチタン化
合物上に該水溶性金属塩あるいは金属化合物ゾルを金属
水酸化物として析出させこれをスラリーのまま乾燥、焼
成する方法が推奨される。
【0023】焼成に際し存在させるナトリウム化合物
は、焼成後の酸化チタン化合物中に酸化ナトリウムとし
て約0.1重量%〜約7.0重量%になればよく、特に
ナトリウム化合物の種類、形状、固体、液体等の性状に
制限されないが、例えば、ナトリウム化合物として水酸
化ナトリウムを適用する場合には、フォトクロミック性
を付与する目的でチタン化合物と混合した金属あるいは
金属化合物に対して金属換算で1〜20モル比の範囲で
使用される。この場合、水酸化ナトリウムは固体、液体
の何れの形態で存在させてもよい。
【0024】上記方法等により調製されたチタン化合
物、フォトクロミック性を付与せしめる金属化合物およ
びナトリウム化合物よりなる混合物は次いで約500〜
約750℃、好ましくは約550〜約700℃の温度で
約1時間以上焼成される。焼成後の粒子状、板状あるい
は薄片状のチタン化合物は、そのままあるいは必要に応
じ中和処理や粉砕、篩別し所望形状に調整して各種用途
に向けられる。本発明で得られる薄片の形状は特に制限
されないが、通常厚さ約4μm以下、好ましくは約0.
1μm〜約3μm、大きさ約3〜200μmで、アスペ
クト比(大きさ/厚さ)約5〜約50程度のものが一般
に製造される。
【0025】このようにして得られた酸化チタン系化合
物は、実質的に酸化チタンであり一部チタン酸ナトリウ
ムよりなるチタン化合物を酸化チタンに換算して約8
5.0〜98.8重量%、実質的に酸化ナトリウムとチ
タン酸ナトリウムよりなるナトリウム化合物を酸化ナト
リウムに換算して約1.0〜7.0重量%及び鉄、クロ
ム、銅、ニッケル、バナジウム及びマンガンの少なくと
も一種より成る金属化合物を金属酸化物換算で約0.2
〜8.0重量%含有してなるフォトクロミック性を有す
る酸化チタン系化合物である。
【0026】本発明により得られた酸化チタン系化合物
が何故フォトクロミック性に優れているのかその理由は
詳らかでないが、一般にフォトクロミズムの発現機構
は、先ず酸化チタン結晶中に格子欠陥の存在することが
必須であり、この格子欠陥と結晶中にドープされた金属
イオンとの間で紫外線〜低波長可視光線の照射による酸
化/還元反応がフォトクロミズムを生起するとされてい
る。従来法で原料として用いられている結晶化した酸化
チタンは、格子欠陥が元々少ない上に格子欠陥の近傍に
金属イオンが存在しにくいのに対し、本発明方法である
チタン化合物に金属あるいは金属化合物を混合し、これ
をナトリウム化合物の存在下で焼成する場合には、より
多くの格子欠陥が形成されまた該欠陥部の近傍に多くの
金属イオンが存在し得るため、優れたフォトクロミック
性が発現されるものと推測される。
【0027】本発明により得られた酸化チタン系化合物
は、他の物質と混合あるいは希釈されて用いられても、
フォトクロミズムによる変色度合を明確に識別できる1
0以上の色差△Eを有しており、極めて利用価値の高い
ものである。
【0028】
【発明の効果】以上詳述したように本発明方法により、
粒子状、板状あるいは薄片状のフォトクロミック性を有
した酸化チタン系化合物を得ることができる。一実施形
態である本発明で得られた薄片状酸化チタンは、従来の
薄片状酸化チタンの持つ白色度および隠蔽性、形状によ
る薄片の層状配列や付着性という機能は勿論のこと、フ
ァンデーションのような化粧料に適用した場合には、従
来の化粧料が呈した室内で仕上げた化粧が明るい太陽光
線下では白さが浮き上がり過ぎるという欠点を、その優
れたフォトクロミック性により、室内で合わせた化粧肌
の色が太陽光線下において素早く反応変色して、戸外に
おいても化粧肌の色の白さが目立たず、自然で美しく見
えるメークアップ化粧料の提供を可能とするものであ
る。また、看板、ディスプレーなどに使用すると、照明
に応じて白さが代わり周囲との調和の取れた白さを演出
できるなど、各種化粧料や塗料、樹脂充填材などに適用
可能であり、その工業的価値は頗る大なるものである。
【0029】
【実施例】以下本発明を実施例により説明するが、本発
明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0030】なお、本発明におけるフォトクロミズムの
評価方法は、フォトクロミズムを有する粒子状、板状あ
るいは薄片状の酸化チタン化合物0.3gをニトロセル
ロースラッカー(ニトロセルロース濃度17%)2.7
g中に均一に分散させた塗料を作製し、この塗料を紙の
上に75μmの厚さで均一に塗布した後、乾燥し暗所に
12時間以上保管しフォトクロミズムが発現していない
状態にしておき、次いでこの塗布膜に2mW/cm2
強度で紫外線を1時間照射し、紫外線照射前後の色を測
色器で測定し、色差(CIELAB表色系による色差△
E)を求めた。
【0031】本発明で得られた酸化チタン系化合物中の
金属酸化物および酸化ナトリウムの定量分析は、日立製
作所製原子吸光度測定装置Z−8000により測定し
た。
【0032】実施例1 500リットルのSUS槽にトルエン80kg、イソプ
ロパノール50kg、テトライソプロポキシチタン50
kgを仕込み、攪拌しながら1.6kgの水を徐々に滴
下し、テトライソプロポキシチタンをダイマーにまで縮
合し、次いで酢酸6.3kgを仕込み部分アセチル化を
行い薄片化原液を作製した。
【0033】この原液を90℃に加熱した回転している
直径1m、幅1mのクロム鍍金ドラム上にゴムロールを
介して展着させ、液膜を形成した後溶剤を蒸発除去し、
次いでスチームを接触させることにより部分加水分解を
起こさせた。原液は固体状態に変化し、加水分解が進行
するにつれてヒビ割れが生じ薄片が形成された。
【0034】次いでドラム上の薄片は掻き取り刃により
掻き取り、このあとドラム表面に再び薄片化原液を展着
して、連続的に薄片を生産した。得られた薄片の大きさ
及び厚さは、目標に応じて液の展着量、加水分解の程度
により制御される。
【0035】得られた薄片状の有機チタン化合物は、組
成分析の結果、チタン1モルに対してアセチルオキシ基
が約0.4モル、イソプロポキシ基が約0.1モル加水
分解を受けずに残っており、700℃での焼成残量より
推定すると、酸化チタンとしては65%の組成であっ
た。
【0036】このようにして得られた薄片状有機チタン
化合物250kgを、水580kgおよび硝酸第一鉄9
水塩4.2kgと1m3 混合槽に投入し攪拌混合した
後、これに15%水酸化ナトリウム水溶液45kgを攪
拌しながら滴下し、次いでこのスラリーをそのままドラ
ムドライヤーで乾燥し、更に電気炉で660℃の温度で
1時間焼成した。得られた薄片中には過剰の水酸化ナト
リウムが残存しているので、再度水中に分散して中和処
理を行い乾燥し、平均の大きさ5μm、平均の厚さ0.
5μmの薄片状酸化チタン化合物を得た。このものの色
差を測定した結果、△E16.2であった。またFe2
3 およびNa2 O含有量は、各々0.9%、1.4%
であった。
【0037】実施例2〜7 硝酸第一鉄9水塩の添加量を表1に示すように変動さ
せ、また薄片状有機チタン化合物のフォトクロミック性
付与工程を100gのスケールで行った以外は実施例1
と同様の方法で薄片状酸化チタンを得、このものの△
E、Fe2 3 およびNa2 O含有量を測定した。その
結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】実施例8〜11 水酸化ナトリウムの添加量を表2に示すように変動さ
せ、また薄片状有機チタン化合物のフォトクロミック性
付与工程を100gのスケールで行った以外は実施例1
と同様の方法で薄片状酸化チタンを得、このものの△
E、Fe2 3 およびNa2 O含有量を測定した。その
結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】実施例12〜17 焼成温度を表3に示すように変動させ、また薄片状有機
チタン化合物のフォトクロミック性付与工程を100g
のスケールで行った以外は実施例1と同様の方法で薄片
状酸化チタンを得、このものの△E、Fe2 3 および
Na2 O含有量を測定した。その結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】実施例18〜21 実施例1の方法においてフォトクロミック性を付与する
金属化合物として表4に示す金属塩を焼成後の金属化合
物量が金属酸化物換算で0.7重量%、水酸化ナトリウ
ムを焼成後のNa2 O換算で1.3重量%になるよう添
加し、薄片状酸化チタンを得、このものの△Eを測定し
た。その結果を表4に示す。
【表4】
【0044】実施例22 500リットルのSUS槽にn−ブタノール160k
g、テトラブトキシチタン80kgを仕込み、攪拌しな
がら酢酸15kgを仕込み70℃で2時間攪拌し、部分
アセチル化を行い薄片化原液を作製した。この原液を7
0℃に加熱した回転している直径1.2m、幅1mのア
ルミナコートドラム上にゴムロールを介して展着させ、
液膜を形成した後、実施例1と同様に連続的に薄片を生
産した。
【0045】得られた薄片状の有機チタン化合物は、組
成分析の結果、チタン1モルに対してアセチルオキシ基
が約0.6モル、n−ブチル基が約0.1モル加水分解
を受けずに残っていた。
【0046】このようにして得られた薄片状有機チタン
化合物250kgを、水580kgおよび硝酸第一鉄9
水塩4.2kgと1m3 混合槽に投入し攪拌混合した
後、これに15%水酸化ナトリウム水溶液45kgを攪
拌しながら滴下し、次いでこのスラリーをそのままドラ
ムドライヤーで乾燥し、更に電気炉で660℃の温度で
1時間焼成した。得られた薄片中には過剰の水酸化ナト
リウムが残存しているので、再度水中に分散して中和処
理を行い乾燥し、平均の大きさ5μm、平均の厚さ0.
5μmの薄片状酸化チタン化合物を得た。このものの色
差を測定した結果、△E15.8であった。またFe2
3 およびNa2 O含有量は、各々0.9%、1.5%
であった。
【0047】実施例23 10リットル槽にチタニアゾル(石原産業株式会社製C
N−S、チタニア含有量28.6%)3.5kgを仕込
み、攪拌しながら水3.4kgを滴下し、次いで硝酸第
一鉄9水塩51gと水68gより成る溶液を滴下して薄
片化原液を作製した。
【0048】この原液を50℃に加熱した回転している
直径50cm、幅20cmのアルミナ溶射ドラム上にゴ
ムロールを介して展着、液膜を形成した後、水を蒸発除
去した。液膜は固体状態になり、体積収縮を生起するに
従い膜がヒビ割れ薄片が形成された。
【0049】次いでドラム上の薄片は掻き取り刃により
掻き取り、この後ドラム表面には再び薄片化原液を展着
して、連続的に薄片を生産した。得られた薄片の大きさ
及び厚さは、目標に応じて液の展着量、乾燥速度の程度
により制御される。
【0050】このようにして得られた薄片1.2kgを
水酸化ナトリウム27gを溶解した水6kgに含浸さ
せ、このスラリーをそのままドラムドライヤーで乾燥
し、更に700℃の電気炉で1時間焼成した。得られた
薄片中には過剰の水酸化ナトリウムが残存しているの
で、再度水中に分散して塩酸水溶液を加えて中和処理を
行った後、水洗乾燥し平均の大きさ5μm、平均の厚さ
0.6μmの薄片状酸化チタン化合物を得た。このもの
の色差を測定した結果、△E22.0であった。またF
2 3 およびNa2 O含有量は、各々0.9%、1.
5%であった。
【0051】実施例24〜27 実施例23と同様の方法で硝酸第一鉄9水塩と水酸化ナ
トリウムの添加量を表5のように変動させ、薄片状酸化
チタン化合物を得、このものの△E、Fe2 3 および
Na2 O含有量を測定した。その結果を表5に示す。
【0052】
【表5】
【0053】比較例1〜比較例3及び実施例28〜実施
例30 市販の酸化チタン及び結晶化させた薄片状酸化チタン
〔比較例1;R−830(石原産業株式会社製)、比較
例2;P−25(デグッサ社製)、比較例3;薄片状酸
化チタン 商品名 ルクセレン(住友化学工業株式会社
製)、実施例28;R−830(石原産業株式会社
製)、実施例29;P−25(デグッサ社製)及び実施
例30;薄片状酸化チタン 商品名 ルクセレン(住友
化学工業株式会社製)〕に表6に示すFe2 3 量、N
2 O量になるよう黄色酸化鉄並びに水酸化ナトリウム
を添加混合し焼成してフォトクロミズムを付与させた
後、このもののΔEを測定した。その結果を表6に示
す。
【0054】
【表6】
【0055】比較例4及び比較例5 実施例1の方法において焼成後のナトリウム化合物をN
2 O換算で1.4重量%、鉄化合物を全く加えず、薄
片状酸化チタン化合物を得、このものの△Eを測定し
た。その結果を比較例4として表6に示す。また実施例
1のチタン化合物にナトリウム化合物及び鉄化合物を全
く加えず薄片状酸化チタン化合物を得、このものの△E
を測定した。その結果を比較例5として表6に示す。
【0056】
【表7】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 23/00 C09K 9/00 CA(STN)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン化合物を酸化チタン換算で8
    5.0〜98.8重量%、ナトリウム化合物を酸化ナト
    リウム換算で1.0〜7.0重量%及び鉄、クロム、
    銅、ニッケル、バナジウム及びマンガンの少なくとも一
    種より成る金属化合物を金属酸化物換算で0.2〜8.
    0重量%含有してなるフォトクロミック性を有する酸化
    チタン系化合物。
  2. 【請求項2】 チタニアゾルに鉄、クロム、銅、ニッ
    ケル、バナジウム及びマンガンの少なくとも一種より成
    る金属あるいは金属化合物を混合し、ナトリウム化合物
    の存在下で焼成することを特徴とするフォトクロミック
    性を有する酸化チタン系化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】 有機チタン化合物に鉄、クロム、銅、
    ニッケル、バナジウムおよびマンガンの少なくとも一種
    より成る金属あるいは金属化合物を混合し、ナトリウム
    化合物の存在下で焼成することを特徴とするフォトクロ
    ミック性を有する酸化チタン系化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】 有機チタン化合物が、アシルオキシ基
    を有するチタンアルコキシドから製造されたことを特徴
    とする請求項3記載のフォトクロミック性を有する酸化
    チタン系化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】 鉄、クロム、銅、ニッケル、バナジウ
    ムおよびマンガンの少なくとも一種より成る金属あるい
    は金属化合物が、水溶性金属塩または金属化合物ゾルで
    あることを特徴とする請求項2および請求項3記載のフ
    ォトクロミック性を有する酸化チタン系化合物の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 焼成温度が500〜750℃であるこ
    とを特徴とする請求項2および3記載のフォトクロミッ
    ク性を有する酸化チタン系化合物の製造方法。
  7. 【請求項7】 ナトリウム化合物が水酸化ナトリウム
    であることを特徴とする請求項2および請求項3記載の
    フォトクロミック性を有する酸化チタン系化合物の製造
    方法。
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