JP3212523B2 - 保温衣類 - Google Patents

保温衣類

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ズボン下やシャツ
等の肌着類をはじめとして、パジャマ、スポーツウェ
ア、スェットスーツ、スパッツ、パンティストッキング
等を含んだ衣類に対して、保温機能を持たせるようにし
た保温衣類に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、冬ものの衣類は、生地自体に厚手
のものを用いて製作されたものが殆どであるが、そのた
めに重く、動き難くなるという難点があった。そこで、
例えば実開昭62−180004号公報等には、パジャ
マを例に挙げて、肌着と重ならない部位だけ、即ち、膝
や肘などの関節部や肩等に別生地を縫い付けて二重に
し、全体が重くなりすぎるのを防止しつつ保温すること
が記載されている。
【0003】なお、上記別生地の縫い付け位置は、主と
して関節部等に対応させるようにしていたので、その縫
着には、別生地の全面にわたって格子状又は平行線状の
キルティングを施すのが好適となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来は、
「肌着と重ならない部位」という観点から別生地の縫い
付け部位を決めており、別生地の位置付けに確固たる根
拠があったわけではない。そのため、別生地の大きさや
その位置付けは、製品種やメーカーによってまちまちと
なり、中には十分な保温効果が得られていないものもあ
った。
【0005】なお、上記従来の衣類に関して、保温効果
に対する不満は、年齢が高い者ほど生じ易いという傾向
があった。一方、保温効果が不十分とされた衣類を調べ
てみると、その大半は、別生地を身生地に対してキルテ
ィングによって縫着していたことが判明した。このこと
から、キルティングは縫い目が多く、縫い付け後の全体
厚さが薄くなるために放熱し易いのではないかと推察さ
れる。
【0006】しかし、例えば接着等の方法で別生地の取
り付けを行った場合、その位置付けを関節部に対応させ
ているときには、着心地や動きが悪化するという欠点を
招来することにもなっていた。本発明は、上記事情に鑑
みてなされたものであって、着心地や動きを悪化させる
ことなく、確実な保温ができるようにした保温衣類を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記目的を
達成するために、次の技術的手段を講じた。即ち、本発
明に係る保温衣類では、大腿部を包む左右の筒状部位
(2)を有した衣類において、前記左右の筒状部位
(2)における大腿部の前面部だけに対応してこの左右
の筒状部位(2)の内面部に保温材料を有する生地片か
らなる保温部材(3)を設け、この生地片からなる保温
部材(3)の外周部を縫着することにより、この保温部
材(3)を外から見えない状態にして当該保温部材
(3)と筒状部位(2)の内面部との間に空気層を形成
していることを特徴とするものである(請求項1)。こ
こで本発明において、この保温部材3の位置付けには確
固たる根拠がある。
【0008】すなわち、ヒトは、環境温度が上昇したと
きや運動したとき等に、発汗能と皮膚血流量とを高めて
体温を一定に保っているが、これら発汗能や皮膚血流量
は加齢に伴って低下する。すなわち、このような体温調
節機能の低下は、同時に、環境温度が低下した場合等に
体温の低下を防止しようとする機能の低下乃至鈍化をも
意味することになる。
【0009】図50は、20歳代の男性9名と60歳代
の男性と10名とについて体温保持能力、即ち、寒冷暴
露下での体温調節反応を調べた結果である。環境条件
は、28℃一定に調節した前室で60分間椅座安静状態
(平衡期)を保った後、春又は秋季を想定した室温17
℃、湿度45%R.H.の人工気候室内で60分間暴露
したときと、冬季を想定した室温12℃、湿度45%
R.H.の人工気候室内で60分間暴露したときとの、
二場面を設定した。また、被験者の着衣は、同型の水泳
パンツ一枚とした。そして、結果の判定は、それぞれの
場面について、寒冷暴露後の直腸温及び平均皮膚温を測
定して行った。
【0010】なお、被験者の選出は、心電図、尿検査、
血圧等に異常が認められないことを条件とし、また体脂
肪率と体積表面/質量に群差が生じないように配慮し
た。この図50から歴然であるように、高齢者は若年成
人に比べて体温の保持能力に劣るということが結論づけ
られる。一方、上記のような発汗能や皮膚血流量の低下
は、下肢からはじまり、次いで躯幹(ひらたく言えば胴
体である)の後面、前面へと移行し、そして頭部へ至る
ものとされている。また、下肢の中でも大腿部の放熱効
率が最も高いこと等に起因して、大腿部における皮膚血
流量及び発汗能の低下が若年成人に比べて高齢者で顕著
に生じていることがわかっている。
【0011】なお、図50の文献は、学会誌「Euro
pean Journal ofApplied Ph
ysiology」における「Thermoregul
atory responses of young
and older men to cold exp
osure」、著者名:Yoshimitu Inou
e,Mikio Nakao,Tsutomu Ara
ki,and Hiroyuki Ueda (199
2年 Volume65)である。
【0012】図51は、上記体温保持能力の調査時と同
一の被験者による身体部位差による老化特性を調べた結
果である。また、被験者の着衣も、上記と同一としてい
る。環境条件は、28℃一定に調節した前室で60分間
椅座安静状態(平衡期)を保った後、室温35℃、湿度
45%R.H.の人工気候室内で42℃の湯による下肢
温浴を行うものとした。そして、結果の判定は、下肢温
浴後の血流量及び発汗量を測定して行った。
【0013】この図51から歴然であるように、高齢者
の血流量及び発汗量は、総合的にみて若年成人より少な
いと共に、身体の部位ごとに血流量の低下、発汗量の低
下が起きているということがわかる。なお、この測定時
に得られた一つの考察として、高齢者における発汗量の
低下は、活動汗腺数の減少ではなく、単一汗腺での汗出
力の低下であることが認められている。
【0014】なお、図51の文献は、「大阪ガスグルー
プ福祉財団研究調査報告集8」における「暑熱環境下皮
膚血流量の加齢的低下機序;発汗量と皮膚血流量との対
応関係の身体部位差からの検討」、著者名:井上芳光、
荒木勉、芝崎学、平田耕造(1995年発行)である。
このようなことから、本発明では、第一に、大腿部に対
応させて保温部材を設けているのである。
【0015】なお、従来、別生地を縫い付けた衣類に関
して、保温効果に対する不満が高齢者等で生じ易いとい
う傾向があったことについては、上記した体温調節機能
の低下が加齢によって生じることをもってすれば、容易
に理解されるところとなる。大腿部を包む筒状部位に対
して保温部材を設ける場合、保温部材は、それ自体の保
温効果を直接肌へ伝えられる点において、筒状部位の内
面部に設けるのが好適とされる。また、このようにする
と外側へ向く生地が身生地自体となるので、外観的に、
保温部材を設けたことによる違和感がないという利点も
ある。
【0016】筒状部位に対する保温部材の取り付けは、
縫着でも接着でもよいし、また面ファスナー等を用いて
着脱自在な構造も考えられる。例えば縫着の場合にあっ
てキルティング縫着等を採用すると、保温部材と筒状部
位の内面との間に形成される空気層を細分化してしまう
ことになり、保温性を高めるうえであまり好適とは言え
ないので、本発明では、保温部材の外周部だけで縫着
ているのであり、これによって保温部材は外から見えな
くなるのである。
【0017】更に、本発明においては、生地片からなる
保温部材は長方形状とされていることが推奨される(請
求項2)。また、請求項1又は2において筒状部位の前
半部に対して保温部材が占める幅方向の範囲はおおよそ
150°程度とされていることが推奨される(請求項
3)。
【0018】保温部材を膝に対応する高さまで延長させ
れば、関節痛などに悩む人にとってはその保温効果を一
層高めることができる。一方、本発明は、ズボン型のい
わゆる下物の衣類だけでなく、上半身を包む部位を有し
た、いわゆる上物の衣類においても適用できる。この場
合、保温部材は、肩部の前面から後面にかけて対応する
左右両部位に空気層を形成しつつ設けるようにする。
【0019】すなわち、本発明は、上半身を包む部位
と、少なくとも大腿部を含んだ下半身を包む部位とを一
体又は上下別体で有した衣類において、上半身を包む部
位の衣類は、肩部の前面から後面にかけて対応する左右
両部位の内面部に保温部材を設け、この生地片からなる
保温部材の外周部を縫着することにより、この保温部材
を外から見えない状態にして当該保温部材と左右両部位
の内面部との間に空気層を形成しており、下半身を包む
衣料は、前記請求項1〜3のいずれかに記載の衣料であ
ることを特徴とするものである(請求項4)。また、請
求項4において、左右の前面側部位および左右の後面部
位において保温部材を設ける高さ寸法は、5〜30cm
とされていることが推奨される(請求項5)。上記した
ように皮膚血流量や発汗能の低下は、下肢に次いで躯幹
後面及び躯幹前面へと移行することに鑑み、この範囲で
も比較的、放熱効率が高く、且つ寒さに敏感な肩部(図
51参照)に対応させて保温部材を設けているのであ
る。このようなことから明らかなように、パジャマな
ど、上半身を包む部位とか半身を包む部位とを一体又は
上下別体で有した衣類では、肩部と大腿部との両対応部
位にして、それぞれ空気部位を形成しつつ保温部材を設
けるようにすればよい。このようにすることで、生地が
二重構造となる領域を最小限に抑えられるようになり、
従って重さや、動き易さに関して不具合は生じない。
【0020】従って、高齢者の場合、ただでさえ身体を
動かすのがおっくうになり、また着膨れ等を伴って実質
的に動き難くなる傾向の中で、保温部材によって、更に
運動不足に輪をかけてしまうことがないようにできるも
のである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を説明する。図1は本発明に係る保温衣類1の
第1実施形態を示している。この第1実施形態の保温衣
類1は、大腿部を包む筒状部位2を有した、いわゆる
「下物」に適用したものである。具体的には、肌着の一
種である半ズボンタイプのズボン下としており、上記筒
状部位2は、裾まわりを形成したものである。
【0022】この保温衣類1では、上記左右の筒状部位
2に対して保温部材3が設けられている。この保温部材
3は、縦長の長方形状等の適宜形状をした生地片によっ
て形成されたもので、図2及び図3に示すように筒状部
位2の内面部に対して重ね合わせた状態で取り付けられ
ている。従って、この保温衣類1を身につければ、保温
部材3は外からは見えない。
【0023】筒状部位2に対する保温部材3の取付方法
は、保温部材3の外周部に沿った縫着としてある。筒状
部位2の前半部に対して保温部材3が占める幅方向の範
囲(θ)は、丁度、保温衣類1の股下部に設けられるマ
チ4との前面側継ぎ合わせ部を一方の端縁部として、こ
こからおおよそ150°程度の位置までとされている。
なお、角度θは150°≦θ≦360°の範囲が好まし
い。
【0024】また、保温部材3の高さ方向の範囲は、股
下から保温部材3の上端部までをa寸法、この上端部か
ら下端部までをb寸法までとするとき、a寸法として0
〜10cmが好ましく、またb寸法として15〜60c
mが好ましいものである。このとき、a寸法は、衣類1
のサイズ適合者における握りコブシ1個分ぐらいと言い
換えることができ、またb寸法は、衣類1のサイズ適合
者における膝真下位置(膝蓋骨の下位置)に対応するよ
うな寸法と言い換えることができるが、上記の各寸法は
限定されるものではなく、必要に応じてある程度、変更
可能である。
【0025】筒状部位2の内面と保温部材3との間には
空気層が形成されているが、上記のように筒状部位2に
対して保温部材3の外周部だけが縫着されているため、
この空気層は、細分化されることなく、保温部材3の平
面大きさに略匹敵する状態を保持されている。そのた
め、この保持された空気層によって断熱作用が一層高め
られることになって、保温性が維持される。
【0026】保温部材3は、通常繊維(以下、「ベース
繊維」と言う)に保温材料を予め練り込み、この繊維で
生地形態に編み込んだもの、ベース繊維により編成され
た生地(以下、ベース生地」と言う)に保温材料をコー
ティング等によって付着させたもの、保温材料より成る
繊維を単一的又はベース繊維と複合的に用いて生地形態
に編みあげたもの、ベース生地に保温材料で形成したシ
ート材を重ね合わせて縫着したもの等がある。
【0027】保温材料には、セラミックや複合材料等が
用いられる。この保温材料を練り込みや付着に用いる場
合には、粉状、顆粒状に粉砕して用いる。なお、保温材
料としてのセラミックに、AlO3 、MgO、Si
2 、ZrO2 、TiO2 等の遠赤外線放射源となり得
るものを用いると、この保温材料を練り込んだ繊維、又
は付着させた状態の繊維を、遠赤外線繊維とすることが
できるものである。
【0028】保温材料には他に、セルローズ、アクリル
等の繊維を原料として炭化賦活して製造した活性炭を用
いることもできる。従って、この保温材料を練り込んだ
繊維、又は付着させた状態の繊維を活性炭素繊維とする
ことができ、遠赤外線温熱効果だけでなく、抗菌、浄
化、還元、消臭、吸湿、断熱等の効果を得ることも可能
になる。
【0029】ベース繊維には、綿等の天然繊維、羊毛や
絹等の動物性繊維、ナイロンやポリエステル系又は吸水
性アクリル糸をはじめとする合成繊維等の、各種繊維を
用いることができる。また、吸水性アクリルなどの発熱
性繊維は、水分を吸着するときに熱を発する性質を有し
ており、この性質を利用して保温効果を更に高めるよう
にすることができる(発熱性繊維)。
【0030】ベース生地又は保温部材3として編成され
る生地形態は、メリヤス生地、起毛メリヤス生地(マイ
クロ起毛やモチ肌等を含む)、パイル編地等とすること
ができる。また、メリヤス生地としては、図4及び図5
に示すような袋編み又は二重編みに編成したキルト地と
することが可能(実公平1−21797号公報、実公昭
54−34076号公報、実公昭57−45273号公
報等参照)である。
【0031】なお、ベース生地としては、上記ベース繊
維の中の一種(例えば綿)を単独で編成する場合だけに
限らず、複数種(例えば綿と合成繊維)の繊維を交編す
るようなことも可能である。また、袋編み等をする場合
にあって、芯糸6(図5参照)として仮撚加工糸等を用
いたり、又はこの芯糸6を用いないようにしたりも可能
である。
【0032】図6乃至図9は、筒状部位2に対する保温
部材3の取付位置や取付範囲を異ならせた各種の実施形
態を示したものである。保温衣類1として半ズボンタイ
プのズボン下に適用している点、及び保温部材3の取付
方法等は、いずれも第1実施形態と同じである。図6及
び図7に示す第2実施形態では、保温部材3を筒状部位
2の外面側に取り付けるようにしている。その他の構成
及び各種事情、例えば筒状部位2の外面側と保温部材3
との間に空気層を形成することは、第1実施形態と同じ
である。
【0033】図8に示す第3実施形態では、保温部材3
を、筒状部位2に対する前面対応部3a、後面対応部3
b、マチ対応部3cの三部分より成るものとして、その
幅方向取付範囲を、筒状部位2の内面全周としている。
また図9に示す第4実施形態では、保温部材3を、筒状
部位2に対する前面対応部3d、後面対応部3e、マチ
対応部3fの三部分より成るものとして、その幅方向取
付範囲を、筒状部位2の外面全周としている。
【0034】すなわち、これら第3及び第4実施形態で
は、大腿部まわりを保温部材3によって全周的に囲むよ
うにしてある。なお、筒状部位2にマチ4が設けられる
とは限らないので、保温部材3の位置付けや取付範囲
は、マチ4を目安とすることが限定されるものではな
い。従って、図8や図9に示したように筒状部位2の内
・外面に対して保温部材3を全周的に設ける場合、例え
ば保温部材3を周方向に一体にして繋ぎ目を1箇所だけ
にしたり、二分割又は四分割以上にしたりすることも可
能になる。
【0035】図10乃至図12は、筒状部位2に対する
保温部材3の取付方法を異ならせた実施形態を示したも
のである。保温衣類1として半ズボンタイプのズボン下
に適用している点、及び保温部材3の取付範囲等は、い
ずれも第1実施形態と同じである。図10に示す第5実
施形態では、筒状部位2の外面部と保温部材3の裏面部
とに、それぞれ丸ボタン形に形成した面ファスナー7
a,7bを点在状に取り付け、必要に応じて保温部材3
の着脱が自在に行えるようにしてある。
【0036】面ファスナー7a,7bには、カットパイ
ル生地等を利用することができる。なお、面ファスナー
7a,7bの形状は、丸ボタン形に限定されず、多角形
状等としてもよい。筒状部位2や保温部材3に対する面
ファスナー7a,7bの固定は、縫着でもよいし、直接
に塗布した接着剤によって行ってもよいし、両面粘着テ
ープを用いて行ってもよい。
【0037】なお、保温部材3は、筒状部位2の内面側
に取り付けることも可能であるので、面ファスナー7
a,7bを筒状部位2の内面部と保温部材3の表面部と
に取り付けるようにしてもよい。図11に示す第6実施
形態では、帯状に形成した面ファスナー8a,8bを用
いている点を除き、第5実施形態と同じである。
【0038】図示は省略するが、これら第5及び第6実
施形態の面ファスナー方式に変えて、同位置箇所に接着
剤を用いるようにした接着止め方式とすることも可能で
ある。図12に示す第7実施形態では、筒状部位2の外
面部に、三方部を縫着等によって固定したポケット部9
を設け、このポケット部9に対して保温部材3を出し入
れ自在にしている。
【0039】ポケット部9の素材は何ら限定されるもの
ではない。また、ポケット部9は、筒状部位2の内面部
に設けてもよい。ポケット部9に対して自家発熱形式
(手もみカイロ)の保温部材3を入れるようにしてもよ
い。図13乃至図16は、保温衣類1として適用の対象
を異ならせた実施形態を示したものである。
【0040】図13に示す第8実施形態は七分丈タイプ
のズボン下に適用したものであり、図14に示す第9実
施形態は長ズボンタイプのズボン下に適用したものであ
る。また、図15に示す第10実施形態はスパッツ等を
含むパンツ類に適用したものであり、図16に示す第1
1実施形態はパンティストッキングに適用したものであ
る。
【0041】これら第8乃至第11の実施形態でも、筒
状部位2に対する保温部材3の取付位置、取付範囲、取
付方法等は、第1乃至第7実施形態に記載した各種のも
のを採用することができる。ただ、第10実施形態(図
15)や第11実施形態(図16)では、対象とする衣
類の生地特性として、豊富な伸縮性を重要視したものと
されるので、保温部材3としても、その繊維質や太さ、
編成方法等について伸縮性を豊富にするものを採用する
のが好適である。
【0042】また、これら第10及び第11実施形態で
は、筒状部位2だけに対応させて保温部材3を設けた場
合に、この筒状部位2と下腹部に対応する部位10や臀
部に対応する部位11との間で、伸縮性の違いによる皺
等が生じるのを防止する必要があるので、保温部材3は
これら全体の部位2,10,11にわたる広範囲に設け
ることもできるが、なるべくなら筒状部位2の大腿部前
面にだけ設けることが好適とされる。
【0043】図17及び図18は、保温衣類1としての
適用の対象を、上半身を包む部位を有した、いわゆる
「上物」とした第12実施形態を示したものである。具
体的には、肌着の一種である半袖タイプのシャツとして
ある。この保温衣類1は、身生地が綿メリヤス等を基調
に縫製されたもので、その肩部に対応した部位14を中
心として、これより前面側部位15及び後面側部位16
にわたるように保温部材3が設けられている。
【0044】保温部材3は、上記各部位14,15,1
6の内面部に対して重ね合わせた状態で取り付けられて
いるので、この保温衣類1を身につけた場合、外からは
見えない。筒状部位2に対する保温部材3の取付方法
は、保温部材3の外周部に沿った縫着とすることで空気
層を形成している。
【0045】保温衣類1の前面側部位15において保温
部材3を設ける高さ寸法cは、5〜30cmとするのが
好ましく、また後面側部位16において保温部材3を設
ける高さ寸法dも、5〜30cmとするのが好ましい。
これらの寸法は、必要に応じてある程度、変更可能であ
り、場合によってはこの範囲外とすることも可能であ
る。
【0046】保温部材3は、第1実施形態で説明したも
のと同じものを用いてある。なお、この第12実施形態
の保温衣類1では、前身頃をその幅方向中心部で左右に
開閉可能となっており、それらを閉じた状態は、縦方向
に設けた複数の面ファスナー17によって行えるように
してある(実用新案登録第3019174号参照)。
【0047】なお、図示は省略するが、保温衣類1の前
身頃を閉じる方式として、ボタン方式や紐方式にするこ
とも勿論可能であるし、前後の身頃部分を開閉しない筒
形状として形成することも可能である。また、保温部材
3の取付方法は、縫着の他、面ファスナー方式(図10
及び図11参照)や、ポケット方式(図12参照)、或
いは接着止め方式等に置換可能である。
【0048】図19に示す第13実施形態では、肩部前
面側部位15及び後面側部位16に対し、その外面側へ
保温部材3を取り付けるようにしている。その他の構成
及び各種事情(空気層の有無)は、上記第12実施形態
と同じである。図20乃至図26は、保温部材3の取付
位置や取付範囲、或いは保温部材3の形状等を異ならせ
た各種の実施形態を示したものである。保温衣類1とし
ての適用対象は、肌着の一種であるシャツのうち、長袖
タイプとしている。保温部材3の取付方法は、いずれも
第12及び第13実施形態と同じで、縫着方式、面ファ
スナー方式、ポケット方式、接着止め方式等とされてい
る。
【0049】図20及び図21に示す第14実施形態で
は、袖部19に対しても、その内面部に保温部材3が設
けられている。袖部19に対して保温部材3が占める幅
方向の範囲(α)は、おおよそ150°程度とされてい
る。また、この保温部材3の長さ寸法eは、15〜30
cmとするのが好ましい。ただ、これらの数値は必要に
応じてある程度、変更可能であり、場合によってはこの
範囲外とすることも可能である。αは、150°≦α≦
360°の範囲が好ましい。
【0050】図22に示す第15実施形態では、保温部
材3が袖部19の外面側に設けられている。図示は省略
するが、保温部材3は、袖部19の内面側又は外面側に
対してその全周にわたって設けるようにしてもよい(図
8及び図9参照)。図23及び図24に示す第16実施
形態では、肩部前面側部位15及び後面側部位16に設
けられた保温部材3の形状が、台形状に形成されてい
る。なお、前面側部位15に設ける保温部材3だけを台
形状として、後面側部位16に設ける保温部材3は、図
20に示したような形状にすることも可能である。
【0051】図25及び図26に示す第17実施形態で
は、袖部19に設けた保温部材3の形状が、長丸状に形
成されている。なお、袖部19が上腕側ほど太く形成さ
れている場合には、図26中に二点鎖線で示すように保
温部材3の長手方向一端側を幅広に形成させるようにし
てもよい。図27及び図28は、いわゆる「上物」とし
ての保温衣類1Aと、いわゆる「下物」としての保温衣
類1Bとの組み合わせによって一組の衣類を構成してい
る場合の実施形態を示している。具体的には、パジャマ
としてある。
【0052】図27に示す第18実施形態では、上物の
保温衣類1Aに対しては、肩部前面側部位15乃至後面
側部位16にかけて保温部材3が設けられ、下物の保温
衣類1Bに対しては、筒状部位2の全周に保温部材3が
設けられている。図28に示す第19実施形態では、上
物の保温衣類1Aに対しては、肩部前面側部位15乃至
後面側部位16にかけた部分と、袖部19とに保温部材
3が設けられ、下物の保温衣類1Bに対しては、筒状部
位2の前面部にだけ保温部材3が設けられている。
【0053】これら第18、第19実施形態に関して
も、それまでに説明した各実施形態と同様に、保温部材
3を内面側へ設けたり外面側へ設けたりすることができ
る。また保温部材3の取付範囲、取付方法、保温部材3
の形状等も、上記した各種のものを適宜組み合わせて採
用することができる。ところで、本発明は上記各実施形
態以外にも、例えばスポーツウェアやスェットスーツ等
に対して適用可能である。
【0054】また、いわゆる上物と下物とが一体に繋が
ったような形体の衣類に対しても適用可能である。ま
た、保温部材3の形状は、四角形状や取付部位の形状に
即した形状とする他にも、円形、楕円形、三角形、六角
形、その他の多角形等、任意に変更可能である。
【0055】筒状部位2に保温部材3を設ける場合、保
温部材3は、筒状部位2の前面部と後面部とに別々に設
けるようにしてもよい。
【0056】
【実施例】
〔試験1〕第1実施形態(図1乃至図3参照)で説明し
た本発明の保温衣類1と、保温部材3を設けていない従
来の半ズボン下(形体は図1に示したものと同型)と、
保温部材3を設けていない従来の長ズボン下(形体は図
14に示したものと同型)とを用いて、以下の通り、人
体生理試験を行った。
【0057】環境条件は、図29に示すように室温30
℃、湿度50%R.H.の人工気候室内で60分間の椅
座安静状態(平衡期)を保ち、十分に馴らしを行ってか
ら、室温25℃、湿度50%R.H.を目標に60分を
かけて室温を一定速度で下げてゆき、目標到達後、その
ままの環境を30分間保つようにした。この環境条件
は、秋・冬における外衣と肌着との間の気候を想定した
ものである。
【0058】そして、馴らし時間の中間点(30分経過
後)を開始時点として、ここから15分おきに120分
間にわたって直腸温の測定をし、また開始時点から5分
おきに120分間にわたって末梢皮膚温の測定をし、更
に15分毎に血圧を測定して室温低下に伴う影響を調べ
るようにした。被験者は60歳代の高齢者3名とし、1
人ずつ、本発明の保温衣類1と従来の半ズボン下と従来
の長ズボン下とを着用した。各被験者の共通着衣は、ブ
リーフ、長袖シャツ、靴下(いずれも綿100%)とし
た。
【0059】本発明の保温衣類1においてベースとした
生地及び保温部材3と、従来の半ズボン下に用いた生地
は、いずれも綿糸40番手で編成はスムース(両面編)
によるものとした。また、従来の長ズボン下に用いた生
地は、綿糸30番手で編成はフライス編によるものとし
た。
【0060】靴下には、綿糸24番手で編成がリブ編
(ゴム編)によるものを用いた。直腸温の測定には、株
式会社テクノセブン製のサーミスタ高精度温度データ収
録装置「K731」を用いた。血圧の測定には、オメダ
株式会社製の非観血的連続自動血圧計「2300Fin
apres」を用いた。
【0061】末梢皮膚温の測定には、株式会社テクノセ
ブン製のサーミスタ高精度温度データ収録装置「K73
1」を用いた。図30乃至図32は各種測定の結果を示
したグラフであり、図33は被験者によるアンケート結
果をまとめたものである。また、参考資料1乃至参考資
料5は、各種測定時においてサーモグラフィー(熱測定
画像機):日本アビオニクス株式会社製「サーマルビデ
オシステムTVS−8100(スターリングクーラ
型)」を用いて身体表面の温度分布を調べた結果を示す
ハードコピーである。図30〜図33のいずれでも、本
発明の保温衣類1は「B」、従来の半ズボン下は
「A」、従来の長ズボン下は「C」で表している。
【0062】測定の結果、図30及び図31に示すよう
に直腸温及び末梢皮膚温(手指及び足指)のいずれも、
室温の低下(測定開始後30分から)と共に低下の傾向
を示している。この中で、直腸温は、各衣類の間で大き
な差異は認められなかったものの、末梢皮膚温では、本
発明の保温衣類1が、従来の他の衣類に比して0.2℃
から1℃以上もの良好な保温性能を発揮していることが
明らかである。
【0063】またこのことは、参考資料1〜5を見て
も、本発明の保温衣類1において肩から胸部及び上腕部
へかけた範囲、手首から手背及び指先にかけた範囲、大
腿、足首から足背及び足指にかけた範囲で、従来の他の
衣類よりも広範で且つ高温となる分布を示していること
からも一目瞭然である。すなわち、本発明の保温衣類1
では、室温が低下することによっても皮膚温の低下は少
ないので、皮膚温低下をもたらす血管収縮による心臓の
負担、即ち、血圧の上昇も抑えられているという結果が
得られた(図32参照)。
【0064】そして、従来の半ズボン下や長ズボン下を
着用したいずれの被験者も、環境温変化時の感想として
涼感を訴えたのに対し、本発明の保温衣類1を着用した
被験者からは、寒さを殆ど感じなかったという答えが得
られた(図33参照)。このことも、上記各種測定結果
を裏付けている。 〔試験2〕第1実施形態(図1乃至図3参照)で説明し
た本発明の保温衣類1と、保温部材3を設けていない従
来の長ズボン下(形体は図14に示したものと同型)と
を用いて、以下の通り、保温性能試験を行った。
【0065】環境条件は、図34に示すように室温24
℃、湿度40%R.H.の人工気候室内で60分間の椅
座安静状態(平衡期)を保ち、十分に馴らしを行ってか
ら、室温15℃、湿度40%R.H.を目標に90分を
かけて室温を一定速度で下げてゆくと共に、このうち後
半の30分間は、被験者に間欠的エルゴメータ運動を課
した。この環境条件は、秋・冬における環境温(スポー
ツウェアの外側の環境)を想定したもので、椅座安静状
態は日常生活における室内を想定し、また間欠的エルゴ
メータ運動状態は外出歩行時を想定している。
【0066】また、この試験2では、実際の着衣生活条
件に近づけるため、被験者に対する共通着衣としてジャ
ージ生地のフード無しスポーツウェア上・下を着用させ
た。そして、馴らし時間経過時点を開始時点として、こ
こから可及的に短い間隔で90分間にわたって各種デー
タの採取をした。被験者は5名とし、それぞれ各人が本
発明の保温衣類1を着用した場合と、従来の長ズボン下
を着用した場合と、これらに対応する衣類を着用しなか
った場合とで、試験に臨んだ。
【0067】被験者の平均年齢は70.2±4.7
(歳)、平均身長は162±7(cm)、平均体重は5
4.9±7.5(kg)、平均皮下脂肪厚は9.6±
4.0(mm)であった。本発明の保温衣類1において
ベースとした生地及び保温部材3は、いずれも綿糸40
番手で編成はスムース(両面編)によるものとした。
【0068】また、従来の長ズボン下に用いた生地は、
綿糸30番手で編成はフライス編によるものとした。靴
下には、綿糸24番手で編成がリブ編(ゴム編)による
ものを用いた。スポーツウェア上・下には、綿糸40番
手で編成がスムース(両面編)によるものを用いた。
【0069】衣服内温度の測定には、株式会社テクノセ
ブン製のサーミスタ高精度温度データ収録装置「K73
1」を用いた。体温及び各部皮膚温の測定には、株式会
社テクノセブン製のサーミスタ高精度温度データ収録装
置「K731」を用いた。血圧の測定には、オメダ株式
会社製の非観血的連続自動血圧計「2300Finap
res」を用いた。
【0070】図35乃至図47は各種測定の結果を示し
たグラフであり、図48及び図49は被験者によるアン
ケート結果をまとめたものである。また、参考資料6乃
至参考資料8は、各種測定時においてサーモグラフィー
(熱測定画像機):日本アビオニクス株式会社製「サー
マルビデオシステムTVS−8100(スターリングク
ーラ型)」を用いて足背表面の温度分布を調べた結果を
示すハードコピーである。図35〜図47のいずれで
も、本発明の保温衣類1は「H」、従来の長ズボン下は
「L」で表している。また「N」は、ズボン下に対応す
る下物肌着を未着の場合を表している。
【0071】測定の結果について考察すると、まず図3
5は、衣服内温度の測定結果であり、これらから室温に
並行した低下の傾向が見られ、秋・冬特有の温度勾配で
あることが確認されると同時に、胸部では衣類の種類や
有無による偏差はあまり生じていないことが読み取れ
る。しかし、これに対して大腿部では、衣類の種類や有
無により保温効果に大きな開きが出ていることが明らか
となっている。
【0072】また、図36は直腸温の測定結果である
が、ここでも室温と並行した低下の傾向が見られ、秋・
冬特有の温度勾配であることが確認されると同時に、衣
類の種類による偏差はあまり生じていないことが読み取
れる。一方、図37は身体全体の熱量を表した平均体温
の推移であり、図38は、図39乃至図45に示した身
体各部の皮膚温測定データから求めた平均皮膚温の推移
である。図39乃至図45を見ると、下腿皮膚温(図4
4参照)を除く他の全ての部位で、本発明の保温衣類1
を着用した場合の皮膚温低下が抑えられていることが判
る。
【0073】なお、下腿皮膚温において、本発明の保温
衣類1を着用した場合よりも従来の長ズボン下を着用し
た場合の方が保温効果が高いのは、皮膚を包んだ面積の
差が出ているものと推測される(従来の長ズボン下のみ
が下腿部を覆っているための断熱効果)。しかし、本発
明の保温衣類1を着用した場合は、末梢部(手指、足
指)の皮膚温が高いことから長ズボン下及び未着用時に
較べ、身体全体の血行が良くなっていることが分かり、
更に従来の長ズボン下を着用した場合に比べて運動機能
は良く、下物肌着未着用の場合とは数段に優れた保温効
果を発揮しているということは言える。
【0074】このようなことから、図37及び図38に
よる総合評価として、本発明の保温衣類1を着用した場
合は、従来の長ズボン下を着用した場合や、下物肌着未
着用の場合に比べて良好な保温性能を発揮しているとい
うことが言える。勿論、これらの要因となっているの
は、保温部材3による大腿の保温によるものである。な
お、一つの考察として、大腿は下腿に比べて冷点の感受
性が高いことが判っているため、脳への「暖かい」とい
う入力に対する効果は、保温部材3と空気層による大腿
皮膚温での保温性が大きな要因になっていると言える。
すなわち、このような脳への効果的な入力により、体幹
部(図39参照)や上肢(図40参照)はもとより、末
梢部、即ち、手指(図41参照)や足背(図45参照)
にまでもわたって、皮膚血管の収縮を抑制する命令が出
ていると考えられる。
【0075】参考資料6〜8を見ても、足背の皮膚温が
低下してゆく度合が、従来の長ズボン下を着用した場合
(参考資料8)や下物肌着未着用の場合(参考資料6)
に比べて、本発明の保温衣類1で部分保温した場合(参
考資料7)では格段に抑制されている、即ち、保温され
ていることが一目瞭然である。図46及び図47は、循
環系の指標として脈拍及び平均血圧を測定した結果であ
る。図46において、脈拍として衣類の種類や有無によ
る差異はあまり認められないものの、図47では、血圧
に関し、本発明の保温衣類1を着用した場合に低い値を
示していることが判る。
【0076】これは、本発明の保温衣類1を着用した場
合に皮膚温の低下が少ないので、皮膚温低下をもたらす
血管の収縮による心臓の負担、即ち、血圧の上昇が抑え
られた結果であると推測できる。そして、図48及び図
49に示すアンケート結果からも明らかなように、被験
者による試験中の感想として、本発明の保温衣類1を着
用した場合では殆ど寒さを感じなかったという答えが、
各種測定結果を裏付けている。なお、各被験者によれ
ば、本発明の保温衣類1において、履きにくさ、動き難
さ、着用時の重荷感、脱ぎにくさ等といった特別なマイ
ナスイメージはなく、むしろ、長ズボン下に比べれば、
これらいずれの観点でも、本発明の保温衣類1の方が勝
っていたとの感想を得ている。 〔試験3〕保温部材3を設けていない従来のパジャマ上
・下(形体は図27に示したものと同型)と、第18実
施形態(図27参照)で説明した本発明の保温衣類1
A,1Bと、この第18実施形態に対し更にその上物の
保温衣類1Aの袖部19にも保温部材3を設けたもの
(図28に示す第19実施形態参照)との3種のパジャ
マを用いて、以下の通り、保温効果を調べた。
【0077】環境条件は、室温30℃、湿度50%R.
H.の人工気候室(A室)で60分間の椅座安静状態
(平衡期)を保ち、その後、室温20℃、湿度50%
R.H.の人工気候室(B室)に移動して椅座安静状態
で皮膚温の経時的変化を観察した。被験者は69歳1
名、70歳3名の計4名の高齢者とした。また、各人と
も、共通の一般的な肌着(ブリーフ、シャツ)及び靴下
を着用した。
【0078】試験結果は、サーモグラフィー(熱測定画
像機)を用いて顔面、手背、足の表面温度分布を調べる
ことによって判断した。参考資料9は、その結果を示す
ハードコピーである。この参考資料9において、従来の
パジャマ着用状態を、第18実施形態のパジャマ着用
状態を、第18実施形態に袖部の保温部材3を追加し
たパジャマの着用状態をで示す。
【0079】この参考資料9から明らかなように、本発
明の保温衣類1(及び)では、手首から手背及び指
先にかけた範囲や、足首から足背及び足指にかけた範囲
で、従来のパジャマよりも広範で且つ保温状態となる分
布になっていることが一目瞭然である。
【0080】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
係る保温衣類では、着心地や動きを悪化させることな
く、確実な保温ができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る保温衣類の第1実施形態を示す正
面図である。
【図2】図1中の主要部(一方の筒状部位)を示す斜視
図である。
【図3】図1のA−A線拡大断面図である。
【図4】保温部材の一例を示す斜視図である。
【図5】図4のB−B線拡大断面図である。
【図6】第2実施形態の主要部を図2に対応させて示し
た斜視図である。
【図7】第2実施形態の主要部を図3に対応させて示し
た平面断面図である。
【図8】第3実施形態における主要部を図3に対応させ
て示した平面断面図である。
【図9】第4実施形態における主要部を図3に対応させ
て示した平面断面図である。
【図10】第5実施形態の主要部を図2に対応させて示
した分解斜視図である。
【図11】第6実施形態の主要部を図2に対応させて示
した分解斜視図である。
【図12】第7実施形態の主要部を図2に対応させて示
した分解斜視図である。
【図13】第8実施形態を示す正面図である。
【図14】第9実施形態を示す正面図である。
【図15】第10実施形態を示す正面図である。
【図16】第11実施形態を示す斜視図である。
【図17】第12実施形態を示す正面図である。
【図18】図17のC−C線拡大断面図である。
【図19】第13実施形態の主要部を図18に対応させ
て示した側断面図である。
【図20】第14実施形態について左半部を正面図とし
右半部を背面図として示した図である。
【図21】図20のD−D線拡大断面図である。
【図22】第15実施形態の主要部を図21に対応させ
て示した断面図である。
【図23】第16実施形態について左半部を正面図とし
右半部を背面図として示した図である。
【図24】第16実施形態に用いる肩部用保温部材を示
す斜視図である。
【図25】第17実施形態について左半部を正面図とし
右半部を背面図として示した図である。
【図26】第17実施形態に用いる袖部用保温部材を示
す平面図である。
【図27】第18実施形態を示す正面図である。
【図28】第19実施形態を示す正面図である。
【図29】試験1の実施手順を説明した図である。
【図30】試験1による直腸温の測定結果を示したグラ
フである。
【図31】試験1による末梢部皮膚温の測定結果を示し
たグラフである。
【図32】試験1による血圧への影響を調べた結果のグ
ラフである。
【図33】試験1によるアンケート結果をまとめたグラ
フである。
【図34】試験2の実施手順を説明した図である。
【図35】試験2による衣服内温度の測定結果を示した
グラフである。
【図36】試験2による直腸温の測定結果を示したグラ
フである。
【図37】試験2から得られた平均体温の推移を示した
グラフである。
【図38】試験2から得られた平均皮膚温の推移を示し
たグラフである。
【図39】試験2による体幹部皮膚温の測定結果を示し
たグラフである。
【図40】試験2による上肢皮膚温の測定結果を示した
グラフである。
【図41】試験2による手指皮膚温の測定結果を示した
グラフである。
【図42】試験2による下肢皮膚温の測定結果を示した
グラフである。
【図43】試験2による大腿皮膚温の測定結果を示した
グラフである。
【図44】試験2による下腿皮膚温の測定結果を示した
グラフである。
【図45】試験2による足背皮膚温の測定結果を示した
グラフである。
【図46】試験2による脈拍の測定結果を示したグラフ
である。
【図47】試験2による平均血圧の測定結果を示したグ
ラフである。
【図48】試験2によるアンケート結果をまとめたグラ
フである。
【図49】試験2によるアンケート結果の続きである。
【図50】若年成人と高齢者との体温保持能力の違いを
示すグラフである。
【図51】身体部位差による老化特性を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 保温衣類 2 大腿部を包む筒状部位 3 保温部材 14 肩部に対応する部位 15 肩部の前面側に対応する部位 16 肩部の後面側に対応する部位
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 淳 京都府綾部市井倉新町石風呂1番地 グ ンゼ株式会社 京都研究所内 (72)発明者 豊島 義昭 大阪府大阪市北区中崎西二丁目4番12号 グンゼ株式会社 アパレル事業本部内 (72)発明者 西村 晴長 京都府宮津市惣262番地 グンゼ株式会 社 アパレル事業本部内 (72)発明者 清水 俊幸 京都府宮津市惣262番地 グンゼ株式会 社 アパレル事業本部内 (72)発明者 長谷川 恵一 大阪府大阪市北区中崎西二丁目4番12号 グンゼ株式会社 アパレル事業本部内 (72)発明者 尾崎 和人 大阪府大阪市北区中崎西二丁目4番12号 グンゼ株式会社 アパレル事業本部内 (72)発明者 土肥 高博 大阪府大阪市北区中崎西二丁目4番12号 グンゼ株式会社 アパレル事業本部内 (56)参考文献 特開 昭62−170501(JP,A) 実開 平7−40706(JP,U) 実開 昭61−7503(JP,U) 実開 昭63−7103(JP,U) 実開 昭62−180004(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A41B 9/02 - 9/12 A41B 17/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大腿部を包む左右の筒状部位(2)を有
    した衣類において、前記左右の筒状部位(2)における
    大腿部の前面部だけに対応してこの左右の筒状部位
    (2)の内面部に保温材料を有する生地片からなる保温
    部材(3)を設け、この生地片からなる保温部材(3)
    の外周部を縫着することにより、この保温部材(3)を
    外から見えない状態にして当該保温部材(3)と筒状部
    位(2)の内面部との間に空気層を形成していることを
    特徴とする保温衣類。
  2. 【請求項2】 生地片からなる保温部材(3)は長方形
    状とされていることを特徴とする請求項1に記載の保温
    衣類。
  3. 【請求項3】 筒状部位(2)の前半部に対して保温部
    材(3)が占める幅方向の範囲(θ)はおおよそ150
    °程度とされていることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の保温衣類。
  4. 【請求項4】 上半身を包む部位と、少なくとも大腿部
    を含んだ下半身を包む部位とを一体又は上下別体で有し
    た衣類において、上半身を包む部位の衣類は、肩部の前
    面から後面にかけて対応する左右両部位(14,15,
    16)の内面部に保温材料を有する生地片からなる保温
    部材(3)を設け、この生地片からなる保温部材(3)
    の外周部を縫着することにより、この保温部材(3)を
    外から見えない状態にして当該保温部材(3)と左右両
    部位(14,15,16)の内面部との間に空気層を形
    成しており、下半身を包む衣料は、前記請求項1〜3の
    いずれかに記載の衣料であることを特徴とする保温衣
    類。
  5. 【請求項5】 左右の前面側部位(15)および左右の
    後面部位(16)において保温部材(3)を設ける高さ
    寸法(c)(d)は、5〜30cmとされていることを
    特徴とする請求項4に記載の保温衣類。
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