JP3211575B2 - 静電潜像現像用トナー - Google Patents

静電潜像現像用トナー

Info

Publication number
JP3211575B2
JP3211575B2 JP18694794A JP18694794A JP3211575B2 JP 3211575 B2 JP3211575 B2 JP 3211575B2 JP 18694794 A JP18694794 A JP 18694794A JP 18694794 A JP18694794 A JP 18694794A JP 3211575 B2 JP3211575 B2 JP 3211575B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
resin
calcium
amount
fine particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP18694794A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0850370A (ja
Inventor
裕樹 永井
秀昭 植田
一郎 出水
光俊 中村
行夫 谷上
Original Assignee
ミノルタ株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ミノルタ株式会社 filed Critical ミノルタ株式会社
Priority to JP18694794A priority Critical patent/JP3211575B2/ja
Priority to US08/451,861 priority patent/US5604067A/en
Publication of JPH0850370A publication Critical patent/JPH0850370A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3211575B2 publication Critical patent/JP3211575B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真、静電記録お
よび静電印刷等における静電潜像を現像するために用い
られる静電潜像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子写真、静電記録および静
電印刷等における静電潜像を現像するために用いられる
静電潜像現像用トナーは、カーボンブラック等の顔料を
熱可塑性樹脂中に混合溶融混練して一様な分散体にした
後、適当な微粉砕装置によってトナーとして必要な粒径
の粉末に粉砕する、いわゆる粉砕法により製造されてき
た。
【0003】しかしながら、近年、製造コストの低減や
高画質化の観点から粉砕法に代わり、小粒径で比較的粒
径の揃った樹脂微粒子を得ることが可能な、懸濁重合
法、乳化分散法等に代表される湿式中での造粒法が注目
されている。
【0004】懸濁重合法は、重合性単量体、重合開始剤
および着色剤等を成分とする重合組成物を分散媒体中に
懸濁し重合することによって造粒を行うものである。ま
た、乳化分散法は、結着樹脂と着色剤とを適当な有機溶
媒に溶解ないしは分散させて着色樹脂溶液とし、これを
水性分散液に加えて激しく攪拌することにより、樹脂溶
液の液滴を形成させる。そして、加熱して液滴から有機
溶媒を除去することにより造粒を行うものである。
【0005】湿式造粒法によれば、概して小粒径のトナ
ー粒子を形成することが容易であることから高画質化に
充分対応することが可能である。また、収率も良好であ
る。
【0006】通常、このような湿式造粒法においては、
分散媒体中に分散した液滴の凝集を防止し、液滴の分散
状態を安定に保つため、分散媒体中に分散安定剤を添加
するようにしている。
【0007】分散安定剤としては、種々のものが知られ
ているが、特に、分散安定性に優れていることおよび分
散安定剤の除去の容易性に優れていることなどから、リ
ン酸カルシウム等のカルシウム系の難溶性無機塩が好ま
しく用られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
カルシウム系難溶性無機塩を分散安定剤として使用する
湿式造粒法によって製造したトナーは、十分な帯電量を
示さなかったり、帯電不良トナーの量が多かったり、高
温高湿環境に放置すると帯電性が損なわれたり、耐刷時
に帯電量が低下するなどの問題を発生する虞のあること
が判明した。
【0009】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
分散安定剤としてカルシウム系の難溶性無機塩を使用す
る湿式造粒法で製造されたトナーであっても、十分な帯
電量を有し、帯電不良トナー量が少なく、高温高湿環境
に放置しても帯電性が損なわれず、耐刷時にも帯電量が
低下しないトナーを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、カルシウム系の難溶性無機塩を分散安定
剤として使用する湿式造粒法により製造された静電潜像
現像用トナーにおいて、トナーに残存するカルシウム量
を0.2〜10ppmとしたことを特徴とする。
【0011】本発明者らは、種々検討した結果、トナー
に残存するカルシウムが上記問題の一因であることを見
出した。
【0012】一般に、難溶性無機塩を分散安定剤として
使用する湿式造粒法においては、懸濁液中で分散安定剤
である難溶性無機塩が液滴表面を覆うことにより、液滴
どうしの凝集を防いでいる。このため、造粒された樹脂
微粒子の表面にはこの難溶性無機塩が付着する。したが
って、通常は、造粒後に粒子表面に付着している難溶性
無機塩を、塩酸等により溶解しついで水洗浄することに
よって除去するようにしている。
【0013】ところが、カルシウム系の難溶性無機塩を
分散安定剤として使用する場合、分散安定剤に含まれて
いたカルシウムが何らかの形で樹脂粒子表面に付着する
ものと考えられ、単に酸によって溶解し水洗しただけで
は、分散安定剤に含まれていたカルシウムを粒子表面か
ら十分に除去できないことが判明した。そして、トナー
表面に付着していると考えられるカルシウム含有成分が
上記問題の一因となることを見出した。
【0014】トナー表面に付着するカルシウム含有成分
が上記問題の一因となる理由は必ずしも明らかではない
が、このカルシウム含有成分自身がある程度の帯電性を
有しており、これがトナーの帯電性に影響を与えること
によるものと考えられる。
【0015】本発明者らは、上記知見に基づいてさらに
検討を重ねた結果、湿式造粒法によって得た樹脂微粒子
を、分散安定剤の仕込量に応じた量の酸を使用して酸洗
浄し、ついで分散安定剤の仕込量に応じた水量で水洗浄
し、さらに乾燥する前の段階で分散安定剤の仕込量に応
じた水量の脱イオン水によって洗浄するなどの方法によ
り、樹脂微粒子表面に残存するカルシウムの量を所定の
範囲にまで減少させることによって、上記問題を解決す
ることが可能であることを見い出し、本発明に至ったも
のである。
【0016】本発明においては、まず湿式中において造
粒を行う。湿式中におけるトナー粒子の造粒法として
は、例えば、乳化分散法がある。
【0017】乳化分散法においては、結着樹脂と、着色
剤と、必要に応じてその他の添加物とを非水溶性有機溶
媒に溶解ないしは分散させて着色樹脂溶液とし、これを
水性分散媒液中に乳化分散させてO/W型エマルジョン
を形成し、その後O/W型エマルジョンから非水溶性有
機溶媒を除去することにより造粒を行う。なお、O/W
型エマルジョンとは、水性分散液中に油性液体が液滴と
なって分散している状態の懸濁液を指す。
【0018】乳化分散法に用いられる結着樹脂として
は、後述する非水溶性有機溶媒に溶解可能でかつ水に不
溶性あるいは難溶性のものであれば特に限定されず、例
えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチ
レン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系
樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ酢酸ビニル系
樹脂、ポリスルフォン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、尿素樹脂などのような公知の各種の樹脂を単独
あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0019】このような結着樹脂としては、ガラス転移
点(Tg)が50〜70℃、数平均分子量(Mn)が1
000〜50000、好ましくは3000〜2000
0、Mnと重量平均分子量(Mw)との比で表わされる
分子量分布(Mw/Mn)が2〜60であることが望ま
しい。Tgが50℃未満では最終的に得られるトナーの
耐熱性が低下し、Tgが70℃を越えるとトナーの定着
性が低下する。また、Mnが1000未満では高温オフ
セットが発生しやすくなり、50000を越えるもので
あると逆に低温オフセットが発生しやすくなる。さら
に、Mw/Mnが2未満であると非オフセット領域が狭
いものとなる虞があり、60を越えるものであると低温
オフセットが発生しやすくなる。なお、本発明のトナー
をオイル塗布定着用トナーとする場合には、Mw/Mn
は2〜5とすることが望ましく、また、オイルレス定着
用トナーとする場合には、Mw/Mnは20〜50とす
ることが望ましい。
【0020】上記の結着樹脂を溶解するための有機溶媒
としては、水に不溶かあるいは難溶で、上記結着樹脂を
溶解するものであればよく、例えば、トルエン、キシレ
ン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジ
クロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリク
ロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジ
クロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン等を単独あるいは
2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエ
ン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、
1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等
のハロゲン化炭化水素が好ましい。
【0021】トナーに含有される着色剤としては、以下
に示されるような有機ないしは無機の各種、各色の顔料
が使用可能である。
【0022】すなわち、黒色顔料としては、カーボンブ
ラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリン・ブラッ
ク、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、マグ
ネタイトなどがある。
【0023】黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミ
ウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロ
ー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフ
トールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー
10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローG
R、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローN
CG、タートラジンレーキなどがある。
【0024】橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデン
オレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオ
レンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアント
オレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブ
リリアントオレンジGKなどがある。
【0025】赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウム
レッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレ
ッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッ
チングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキ
レッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレー
キ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリア
ントカーミン3Bなどがある。
【0026】紫色顔料としては、マンガン紫、ファスト
バイオレットB、メチルバイオレットレーキなどがあ
る。
【0027】青色顔料としては、紺青、コバルトブル
ー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、
フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、
フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイ
ブルー、インダスレンブルーBCなどがある。
【0028】緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化
クロム、ピグメントグリーンB、マイカライトグリーン
レーキ、ファイナルイエローグリーンGなどがある。
【0029】白色顔料としては、酸化亜鉛、酸化チタ
ン、酸化アンチモン、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、酸化
スズなどがある。
【0030】体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリ
ウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、ア
ルミナホワイトなどがある。
【0031】これらの着色剤は単独あるいは複数組合せ
て用いることができる。着色剤はトナーに含有される結
着樹脂100重量部に対して、1〜20重量部、好まし
くは2〜15重量部使用する。着色剤が20重量部より
多いとトナーの定着性が低下し、1重量部より少ないと
所望の画像濃度が得られない虞がある。
【0032】本発明のトナー中には、上記したような結
着樹脂および着色剤以外にも、例えば、荷電制御剤、磁
性粉、オフセット防止剤などの成分を必要に応じて配合
することができる。
【0033】荷電制御剤としては、摩擦帯電により正ま
たは負の荷電を与え得る物質として各種のものがあり、
正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシンベースEX
(オリエント化学工業社製)などのニグロシン系染料、
P−51(オリエント化学工業社製)、コピーチャージ
PX VP435(ヘキスト社製)などの第4級アン
モニウム塩、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モ
リブデン酸キレート顔料、およびPLZ1001(四国
化成工業社製)などのイミダゾール化合物等が挙げられ
る。
【0034】負荷電制御剤としては、例えば、ボントロ
ンS−22(オリエント化学工業社製)、ボントロンS
−34(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−8
1(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−84
(オリエント化学工業社製)、スピロンブラックTRH
(保土谷化学工業社製)などの金属錯体、チオインジゴ
系顔料、コピーチャージNX VP434(ヘキスト社
製)などの第4級アンモニウム塩、ボントロンE−89
(オリエント化学工業社製)などのカリックスアレーン
化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カーボンなどのフ
ッ素化合物などが挙げられる。なお、負荷電制御剤とな
る金属錯体としては、上記に示したもの以外にもオキシ
カルボン酸金属錯体、ジカルボン酸金属錯体、アミノ酸
金属錯体、ジケトン金属錯体、ジアミン金属錯体、アゾ
基含有ベンゼン−ベンゼン誘導体骨格金属錯体、アゾ基
含有ベンゼン−ナフタレン誘導体骨格金属錯体などの各
種の構造を有したものであってもよい。
【0035】これらの荷電制御剤は、その粒径が10〜
100mμm程度のものであることが、均一な分散を得
る上から望ましい。市販品等として供給される形態にお
いてその粒径が上記範囲の上限値も大きい場合には、ジ
ェットミル等により粉砕を行うなどの公知の方法により
適当な粒径に調整することが望ましい。
【0036】磁性粉としては、マグネタイト、γ−ヘマ
タイト、あるいは各種フェライト等がある。
【0037】オフセット防止剤としては、各種ワック
ス、特に、低分子量ポリプロピレン、ポリエチレン、あ
るいは、酸化型のポリプロピレン、ポリエチレン等のポ
リオレフィン系ワックスなどが挙げられる。
【0038】非水溶性有機溶媒に結着樹脂、着色剤、お
よびその他のトナー成分を溶解ないし分散させるには、
ボールミル、サンドミル、ホモミキサー、超音波ホモジ
ナイザーなどの装置を用いることができる。
【0039】結着樹脂、着色剤、およびその他の添加剤
を非水溶性有機溶媒に溶解ないしは分散させて得た着色
樹脂溶液における固形分濃度は、この着色樹脂溶液を水
性分散液中に乳化分散させてなるO/W型エマルジョン
を加熱して液滴中より非水溶性有機溶媒を除去する際
に、液滴が容易に微粒子へと凝固できるように設定する
必要があり、5〜50重量%、好ましくは10〜40重
量%とする。
【0040】O/W型エマルジョンを形成するために
は、ホモミキサーなどの撹拌装置を用いて、着色樹脂溶
液と水性分散液との混合系を十分に撹拌する方法を採用
することができる。なお、撹拌時間が短すぎるとシャー
プな粒径分布が得られないため、撹拌時間は10分以上
であることが好ましい。
【0041】また、着色樹脂溶液の体積(Vp)と水性
分散液の体積(Vw)との比(Vp/Vw)は、Vp/
Vw≦1、好ましくは0.3≦Vp/Vw≦0.7とす
る。Vp/Vw>1であると、安定なO/W型エマルジ
ョンが形成できず、途中で相転移が生じたり、W/O型
エマルジョンが形成されてしまう虞が大きい。
【0042】O/W型エマルジョンを形成するために使
用する水性分散液としては、水や、水にエマルジョンを
破壊しない程度の水溶性有機溶媒を含んだもの、例え
ば、水/メタノール混液(重量比50/50〜100/
0)、水/エタノール混液(重量比50/50〜100
/0)、水/アセトン混液(50/50〜100/
0)、水/メチルエチルケトン混液(重量比70/30
〜100/0)などが使用可能である。
【0043】水性分散液には、カルシウム系の難溶性無
機塩を分散安定剤として添加する。カルシウム系の難溶
性無機塩としては、水に難溶性のリン酸カルシウム塩
や、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
水に難溶性のリン酸カルシウム塩としては、リン酸三カ
ルシウム、第二リン酸カルシウム、水酸化リン酸カルシ
ウム、ピロリン酸カルシウム、ポリリン酸カルシウムお
よび、これらの混晶や、フッ化カルシウムや塩化カルシ
ウムとの複塩の形態のものを挙げることができる。これ
らの分散安定剤は、単独あるいは2種以上組み合わせて
用いることができる。
【0044】乳化分散法においてリン酸カルシウム塩を
分散安定剤として用いると、トナー表面に凹凸が形成さ
れ、不定形のトナーが得られる。そのため、ブレードク
リーニングを行う画像形成装置においては、良好なクリ
ーニング性を得ることができる。
【0045】分散安定剤としてカルシウム系の難溶性無
機塩を含む水性分散液のpHは、カルシウム系難溶性無
機塩の安定性を考慮して、5〜14、好ましくは6〜1
2に調整することが望ましい。水性分散液のpHを調整
するためには、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム等
のアルカリや、塩酸、リン酸等の酸を添加するなどの方
法を採用することができる。
【0046】分散安定剤としてのカルシウム系の難溶性
無機塩の使用量は、使用する水性分散液の総量に対して
0.5〜10重量%とする。分散安定剤が0.5重量%
未満であると液滴を十分安定な状態で分散させることが
できず、10重量%を超えると、樹脂粒子中への分散安
定剤の取り込みが問題となる虞がある。
【0047】また、着色樹脂溶液の水性分散液への分散
途中あるいは分散終了後に、分散安定剤を追加して添加
するようにしてもよい。このような分散安定剤の再添加
は、液滴あるいは析出した樹脂微粒子の凝集の防止に有
効である。
【0048】液滴の分散安定性を向上させるため、分散
安定剤としてのカルシウム系の難溶性無機塩とともに、
分散安定補助剤を用いてもよい。分散安定補助剤として
は、サポニンなどの天然界面活性剤、アルキレンオキサ
イド系、グリセリン系、グリシドール系などのノニオン
系界面活性剤、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、硫酸
エステル基、リン酸エステル基等の酸性基を含むアニオ
ン系界面活性剤などが挙げられる。特に、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウムやラウリル硫酸ナトリウムな
どのアニオン系界面活性剤が好ましい。
【0049】分散安定補助剤と分散安定剤との混合比率
は、1/1000〜10/100、好ましくは2/10
00〜8/100とする。混合比率が1/1000未満
では、十分な分散安定性を得ることができず、また、1
0/100を超えると乳化が起こりすぎて液滴に凝集が
発生したり、造粒後に分散安定剤および分散安定補助剤
を十分に除去することが困難になるなどの虞がある。
【0050】O/W型エマルジョンから非水溶性有機溶
媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温して、液滴
中の非水溶性有機溶媒を完全に蒸発させる方法や、O/
W型エマルジョンを乾燥雰囲気中に噴霧し、液滴中の非
水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し
合わせて水性分散液を蒸発除去する方法を用いることが
できる。
【0051】乳化分散法には、懸濁重合法などに比べて
使用可能な樹脂の種類が多いという特徴がある。
【0052】湿式中におけるトナー粒子の造粒法として
は、この他に、重合過程を含む造粒法である、懸濁重合
法、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、マイクロカ
プセル法(界面重合法、in−situ重合法等)、非
水分散重合法などが挙げられる。
【0053】懸濁重合法においては、重合性単量体、重
合開始剤、着色剤、および必要に応じて添加される荷電
制御剤、磁性粉、オフセット防止剤などの添加物からな
る重合組成物を、分散媒体中に懸濁させて油滴分散粒子
を形成する。そして、加熱して重合させることにより造
粒を行う。
【0054】懸濁重合法に使用される重合性単量体とし
ては、例えば、スチレン、メチルスチレン、メトキシス
チレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、エチルス
チレン、クロルスチレン等のスチレン系モノマー、アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピ
ル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル
酸ステアリル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリルア
ミド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸
オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸エチル
ヘキシル、メタクリル酸ステアリル等のアクリル酸ある
いはメタクリル酸系モノマー、エチレン、プロピレン、
ブチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル
等が挙げられ、これらを単独あるいは複数組み合わせて
用いることができる。また、これらをプレポリマーの形
にしてから用いてもよい。
【0055】懸濁重合法に使用される重合開始剤として
は、例えば、ベンゾイルーオキサイド、ラウロイルパー
オキサイド、ステアリルパーオキサイドのようなパーオ
キサイド系開始剤や2,2’−アゾビスイソブチロニト
リル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルパレロ
ニトリル)のようなアゾビス系開始剤が挙げられる。
【0056】重合組成物を分散媒体中に懸濁させて油滴
分散粒子を形成するには、ホモミキサーやホモジナイザ
ー等の高速攪拌式の分散機を用いて激しく攪拌すればよ
い。
【0057】重合を行うためには、重合組成物の分散し
た溶液系を重合開始剤の分解温度以上の任意の温度にす
ればよいが、通常40〜150℃とすることが好まし
い。
【0058】分散媒体中には、分散した液滴の凝集を防
ぐために分散安定剤を添加する。分散安定剤としては、
上記の乳化分散法に用いられるものと同様のものを用い
ることができる。
【0059】懸濁重合法においては、樹脂微粒子内のモ
ノマーの残留を極力抑える必要がある。モノマーの残留
量が多いと、洗浄により分散安定剤を除去する際の凝集
の発生、トナーとなってからの臭い、帯電性の不安定
化、軟化温度のばらつき等の原因となる。モノマーの残
留を抑えるためには、反応の前半は低温で(40〜80
℃)重合を行い、反応の後半は高温(80〜150℃)
で重合を行うなどの多段重合法を用いたり、プレポリマ
ーを用いたりすることが望ましい。
【0060】また、重合中や重合終了後に分散安定剤を
追加して添加してもよい。このような分散安定剤の再添
加は、液滴の凝集や、造粒された樹脂微粒子の凝集の防
止に有効である。
【0061】本発明においては、こうして湿式中で製造
された樹脂微粒子を、酸洗浄し、ついで水洗浄し、さら
に乾燥する前の段階で脱イオン水によって洗浄するなど
の方法により、トナーに残存するカルシウム量を0.2
〜10ppmとする。
【0062】トナーに残存するカルシウムの量を測定す
るためには、たとえば、ICP発光分光分析装置、X線
マイクロアナライザー、螢光X線分析装置等の公知の分
析装置を用いることができる。
【0063】酸洗浄の方法としては、例えば、樹脂微粒
子を形成させた後、この樹脂微粒子を含む溶液に、塩
酸、硝酸、硫酸などの酸を添加することにより樹脂微粒
子表面に付着している分散安定剤を溶解するなどの方法
が挙げられる。分散安定剤の溶解を完全なものとするた
め、溶液のpHを1〜2とし、30分間以上攪拌するこ
とが好ましい。また、酸の添加により樹脂微粒子を含ん
だ溶液が発熱し、一旦溶解した分散安定剤が樹脂微粒子
中に取り込まれる虞があるので、樹脂微粒子を含む溶液
の温度を30℃以下に保つことが好ましい。
【0064】酸洗浄後、樹脂微粒子をろ別し、水洗浄を
行うことによって分散安定剤や分散安定補助剤を樹脂微
粒子表面から洗い流す。
【0065】水洗浄は、まず、ろ別した樹脂微粒子を水
道水等を用いて懸洗し、さらに、脱イオン水によって数
回洗浄するなどの方法により行う。こうして、樹脂微粒
子の乾燥を行う前に脱イオン水によって数回洗浄するこ
とにより、分散安定剤、分散安定補助剤、水洗浄に使用
した水道水等に含まれるハロゲンイオン等を十分減少さ
せることができる。脱イオン水としては、電導度が0.
5μS/cm以下であるものを使用すると、洗浄効率が
高く好ましい。
【0066】なお、トナーに残存するカルシウム量を
0.2ppm未満にすると、洗浄時に凝集して粒径分布
がブロードになったり、異形粒子が増えて飛散を引き起
こしたりする虞がある。
【0067】こうして洗浄された樹脂微粒子は乾燥され
た後、さらに、必要に応じて、分級等の工程を経ること
により、平均粒径が2〜15μm、好ましくは4〜10
μmの静電潜像現像用トナーとすることができる。
【0068】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。なお、以下の部数は重量部である。
【0069】<実施例1>ポリエステル樹脂(NE−3
82:花王社製)100部をトルエン400部に溶解し
た。そして、フタロシアニン顔料6部および亜鉛金属錯
体(E−84:オリエント化学工業社製)2部を添加
し、ボールミルに入れて3時間混合して分散させること
により着色樹脂溶液を調製した。
【0070】一方、分散安定剤として4重量%の水酸化
リン酸カルシウムを含有する水溶液1000部に、ラウ
リル硫酸ナトリウム(和光純薬社製)0.1部を溶解さ
せることにより水性分散液を調製した。
【0071】上記の着色樹脂溶液をTKオートホモミク
サー(特殊機化工業社製)を用いてこの水性分散液中に
懸濁させた。この際、ホモミクサーの回転数を調整し、
平均粒径3〜12μmの液滴を形成するようにした。
【0072】こうして得た樹脂懸濁液を、60〜65
℃、70〜140mmHgの条件で5時間放置すること
により、液滴からトルエンを除去し、樹脂微粒子を析出
させた。
【0073】そして、液温を30℃以下に保ちながら溶
液のpHが1.6になるまで1Nの塩酸を徐々に添加し
て水酸化リン酸カルシウムを溶解した。さらに、30分
間攪拌を続けた後、樹脂微粒子をろ別した。
【0074】次に、この樹脂微粒子を5倍量の水道水中
で30分間懸洗し、ろ過する操作を3回繰り返した。続
いて、5倍量の脱イオン水(電導度0.1μS/cm)
で30分間懸洗し、ろ過する操作を3回繰り返した。
【0075】この後、スラリー乾燥装置(ディスパーコ
ート:日清エンジニアリング社製)により粒子の乾燥を
行い平均粒径6μmのトナー1を得た。
【0076】<実施例2>まず、実施例1と同様の手順
により、樹脂懸濁液を調製し、次いで樹脂懸濁液中の液
滴からトルエンを除去し、樹脂微粒子を析出させた。そ
して、この樹脂微粒子を含む溶液に対して、液温を30
℃以下に保ちながら溶液のpHが1.2になるまで1N
の塩酸を徐々に添加して水酸化リン酸カルシウムを溶解
した。さらに、1時間攪拌を続けた後、樹脂微粒子をろ
別した。
【0077】次に、この樹脂微粒子を5倍量の水道水中
で30分間懸洗し、ろ過する操作を3回繰り返した。続
いて、5倍量の脱イオン水(電導度0.1μS/cm)
で30分間懸洗し、ろ過する操作を5回繰り返した。
【0078】この後、スラリー乾燥装置(ディスパーコ
ート:日清エンジニアリング社製)により粒子の乾燥を
行い平均粒径6μmのトナー2を得た。
【0079】<実施例3>まず、実施例1と同様の手順
により、樹脂懸濁液を調製し、次いで樹脂懸濁液中の液
滴からトルエンを除去し、樹脂微粒子を析出させた。そ
して、この樹脂微粒子を含む溶液に対して、液温を30
℃以下に保ちながら溶液のpHが1.5になるまで4N
の塩酸を徐々に添加して水酸化リン酸カルシウムを溶解
した。さらに、1時間攪拌を続けた後、樹脂微粒子をろ
別した。
【0080】次に、この樹脂微粒子を5倍量の水道水中
で30分間懸洗し、ろ過する操作を2回繰り返した。続
いて、5倍量の脱イオン水(電導度0.1μS/cm)
で30分間懸洗し、ろ過する操作を2回繰り返した。
【0081】この後、スラリー乾燥装置(ディスパーコ
ート:日清エンジニアリング社製)により粒子の乾燥を
行い平均粒径6μmのトナー3を得た。
【0082】<実施例4>まず、実施例1と同様の手順
により、樹脂懸濁液を調製し、次いで樹脂懸濁液中の液
滴からトルエンを除去し、樹脂微粒子を析出させた。そ
して、この樹脂微粒子を含む溶液に対して、液温を30
℃以下に保ちながら溶液のpHが1.8になるまで2N
の塩酸を徐々に添加して水酸化リン酸カルシウムを溶解
した。さらに、40分間攪拌を続けた後、樹脂微粒子を
ろ別した。
【0083】次に、この樹脂微粒子を5倍量の水道水中
で30分間懸洗した後、ろ過した。続いて、5倍量の脱
イオン水(電導度0.1μS/cm)で30分間懸洗
し、ろ過する操作を2回繰り返した。
【0084】この後、スラリー乾燥装置(ディスパーコ
ート:日清エンジニアリング社製)により粒子の乾燥を
行い平均粒径6μmのトナー4を得た。
【0085】<実施例5>スチレン−ブチルメタクリレ
ート樹脂(軟化点121℃、Tg65℃、Mn=230
0、Mw/Mn=8.5)100部をジクロルメタン4
00部に溶解した。そして、ジメチルキナクリドン顔料
6部および亜鉛金属錯体(E−84:オリエント化学工
業社製)2部を添加し、ボールミルに入れて3時間混合
して分散させることにより着色樹脂溶液を調製した。
【0086】一方、分散安定剤として1.5重量%の水
酸化リン酸カルシウムを含有する水溶液1000部に、
にラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬社製)0.1部を
溶解させることにより水性分散液を調製した。
【0087】上記の着色樹脂溶液をTKオートホモミク
サー(特殊機化工業社製)を用いてこの水性分散液中に
懸濁させた。この際、ホモミクサーの回転数を調整し、
平均粒径3〜12μmの液滴を形成するようにした。
【0088】こうして得た樹脂懸濁液に対して、5重量
%の水酸化リン酸カルシウムを含む水溶液500部を添
加した後、35〜40℃、常圧の条件下で5時間放置す
ることにより、液滴からジクロルメタンを除去し、樹脂
微粒子を析出させた。
【0089】そして、液温を30℃以下に保ちながら溶
液のpHが2.0になるまで1Nの塩酸を徐々に添加し
て水酸化リン酸カルシウムを溶解した。さらに、30分
間攪拌を続けた後、樹脂微粒子をろ別した。
【0090】次に、この樹脂微粒子を5倍量の水道水中
で30分間懸洗し、ろ過する操作を3回繰り返した。続
いて、5倍量の脱イオン水(電導度0.3μS/cm)
で30分間懸洗した後、ろ過した。
【0091】その後、スラリー乾燥装置(ディスパーコ
ート:日清エンジニアリング社製)により粒子の乾燥を
行い平均粒径7μmのトナー5を得た。
【0092】<実施例6> ・スチレン 100部 ・n−ブチルメタクリレート 35部 ・メタクリル酸 5部 ・2,2−アゾビスイソブチロニトリル 0.5部 ・カーボンブラック顔料(三菱化成工業社製) 8部 ・帯電制御剤(アイゼンスピロンブラックTRH:保土
ケ谷化学社製) 3部 ・低分子量ポリプロピレン(三洋化成工業社製) 3部 上記材料をサンドスターラーで混合することにより重合
組成物を調製した。この重合組成物を、水500部、水
酸化リン酸カルシウム20部、ドデシル硫酸ナトリウム
(和光純薬社製)0.1部を溶解させた水性分散液に投
入しTKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて毎
分8000回転で撹拌しながら、60℃で5時間重合さ
せ、さらに温度を75℃に昇温し1時間重合させて、樹
脂微粒子を析出させた。
【0093】冷却後、液温を30℃以下に保ちながら溶
液のpHが1.0になるまで2Nの塩酸を添加して水酸
化リン酸カルシウムを溶解した。さらに、1時間攪拌を
続けた後、樹脂微粒子をろ別した。
【0094】そして、この樹脂微粒子を5倍量の水道水
中で30分間懸洗し、ろ過する操作を3回繰り返した。
続いて、5倍量の脱イオン水(電導度0.2μS/c
m)で30分間懸洗した後、ろ過した。
【0095】その後、スラリー乾燥装置(ディスパーコ
ート:日清エンジニアリング社製)により粒子の乾燥を
行い平均粒径7μmのトナー6を得た。
【0096】<比較例1>まず、実施例1と同様の手順
により、樹脂懸濁液を調製し、次いで樹脂懸濁液中の液
滴からトルエンを除去し、樹脂微粒子を析出させた。そ
して、この樹脂微粒子を含む溶液に対して、溶液のpH
が2.5になるまで1Nの濃塩酸を添加して水酸化リン
酸カルシウムを溶解した後、樹脂微粒子をろ別した。
【0097】次に、この樹脂微粒子を5倍量の水道水中
で30分間懸洗し、ろ過する操作を3回繰り返した。
【0098】この後、スラリー乾燥装置(ディスパーコ
ート:日清エンジニアリング社製)により粒子の乾燥を
行い平均粒径6μmのトナー7を得た。
【0099】<比較例2>まず、実施例1と同様の手順
により、樹脂懸濁液を調製し、次いで樹脂懸濁液中の液
滴からトルエンを除去し、樹脂微粒子を析出させた。そ
して、この樹脂微粒子を含む溶液に対して、溶液のpH
が3.0になるまで濃塩酸を添加して水酸化リン酸カル
シウムを溶解した後、樹脂微粒子をろ別した。
【0100】次に、この樹脂微粒子を5倍量の水道水中
で30分間懸洗し、ろ過する操作を2回繰り返した。
【0101】この後、スラリー乾燥装置(ディスパーコ
ート:日清エンジニアリング社製)により粒子の乾燥を
行い平均粒径6μmのトナー8を得た。
【0102】<比較例3>まず、実施例1と同様の手順
により、樹脂懸濁液を調製し、次いで樹脂懸濁液中の液
滴からトルエンを除去し、樹脂微粒子を析出させた。そ
して、この樹脂微粒子を含む溶液に対して、液温を30
℃以下に保ちながら溶液のpHが1.0になるまで1N
の塩酸を添加して水酸化リン酸カルシウムを溶解した。
さらに、30分間攪拌を続けた後、樹脂微粒子をろ別し
た。
【0103】そして、この樹脂微粒子を10倍量の水道
水中で30分間懸洗し、ろ過する操作を10回繰り返し
た。続いて、10倍量の脱イオン水(電導度0.5μS
/cm)で30分間懸洗し、ろ過する操作を4回繰り返
した。この水洗工程において樹脂微粒子の凝集が発生し
た。
【0104】この後、スラリー乾燥装置(ディスパーコ
ート:日清エンジニアリング社製)により粒子の乾燥を
行いトナー9を得た。
【0105】<キャリアの製造例>スチレン、メチルメ
タクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、お
よび、メタクリル酸からなるスチレン−アクリル系共重
合体(1.5:7:1.0:0.5)80部と、ブチル
化メラミン樹脂20部とをトルエンで希釈することによ
り、固形分比2重量%のスチレン−アクリル樹脂溶液を
調製した。
【0106】芯材として焼成フェライト粉(F−30
0:平均粒径50μm、嵩密度2.53g/cm3 :パ
ウダーテック社製)を用い、上記スチレン−アクリル樹
脂溶液をスピラーコーター(岡田精工社製)により塗布
し、乾燥した。得られたキャリアを熱風循環式オーブン
中にて140℃で2時間放置して焼成した。冷却後、フ
ェライト粉バルクを目開き210μmと90μmのスク
リーンメッシュを取り付けたフルイ振盪器を用いて解砕
し、樹脂コートされたフェライト粉とした。この樹脂コ
ートフェライト粉に対して、塗布、焼成、解砕の各処理
をさらに3回繰り返して樹脂被覆キャリアを得た。
【0107】こうして得られたキャリアの平均粒径は5
2μm、電気抵抗は約3×1010Ωcmであった。
【0108】<諸特性の評価>上記の実施例1〜6およ
び比較例1、2のトナーについて、以下のようにして諸
特性の評価を行った。 (1)トナー中のカルシウム量 約2mgのトナー粒子をとり、精秤した後、濃硝酸5m
lに溶解させ、乾固し、さらに残留物を濃硝酸5mlに
溶解させ、加熱して約2mlまで濃縮した。この液を純
水で100mlになるように希釈し、ついでろ過するこ
とにより測定用試料を得た。
【0109】こうして得た試料のカルシウム濃度を、I
CP発光分光分析装置(SPS−7000:セイコー電
子社製)により測定した。そして測定された濃度値か
ら、測定に供したトナー粒子中の全カルシウム量を算出
し、トナー重量に対するカルシウム重量の比を求めて、
トナー中の残存カルシウム量とした。なお、比較例3の
トナーについても同様にして測定を行ったところ、残存
カルシウム量は0.1ppmであった。
【0110】(2)帯電量 実施例1〜6および比較例1〜2において得られたトナ
ー100部に対して、疎水性シリカ0.3部(H−20
00:ワッカー社製)および疎水性酸化チタン(T−8
05:日本アエロジル社製)0.5部を添加し、ヘンシ
ェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rp
mで1分間、後処理した。そして、この後処理を行った
トナーと上記のキャリアとを5:95の重量比率で混合
することによって評価用の現像剤を調製した。
【0111】この現像剤30gを容量50mlのポリエ
チレン瓶にいれ、1200rpmで90分間回転するこ
とにより現像剤を攪拌した。そして、所定の帯電量に帯
電させたフィルムに接触させ、フィルムに付着するトナ
ー重量を測定することによりトナーの帯電量を求めた。
また、30℃、湿度85%の環境下で24時間保管した
後、同様に現像剤を攪拌してその帯電量を測定した。な
お、帯電量は常温常湿環境(25℃、湿度60%)にお
いて測定した。
【0112】(3)帯電不良トナー量 上記の帯電量の測定と同様の手順で調製、撹拌を行った
現像液3gを、直径310mmのマグネットロール上に
載せた。次に、精秤した対向電極をセットし、トナー極
性と逆極性にバイアス電圧1kVをかけ、マグネットロ
ールを1000rpmで1分間回転させた。そして、対
向電極を再度精秤して初期値との差をとることにより対
向電極に付着した分離トナー、すなわち帯電不良トナー
の重量を算出した。こうして、測定に供した全トナー重
量に対する帯電不良トナー重量の割合を帯電不良トナー
量とした。また、30℃、湿度85%の環境下で24時
間保管した後、同様の手順によりその帯電不良トナー量
を測定した。なお、測定は常温常湿環境(25℃、湿度
60%)において行った。
【0113】(4)耐刷後の帯電量 上記の帯電量の測定と同様の手順で調製した現像剤を、
市販のカラー複写機(CF−80:ミノルタカメラ社
製)の現像器にセットして、1000枚の連続コピーを
行った。その後、現像器より現像剤を取り出し、上記の
帯電量の測定と同様の手順で帯電量を測定した。以上の
測定結果を表1にまとめて示した。
【0114】
【表1】
【0115】表1に示したように、実施例1〜6のもの
は、充分な帯電量を発揮し、また帯電不良トナーの発生
も極めて少なく、高温高湿環境に放置した場合も帯電量
の低下や帯電不良トナー量の増大を招かず、連続コピー
をおこなった後の帯電量の落ち込みも少ないものであっ
た。これに対して、残存カルシウム量の多い比較例1〜
2のものでは充分な帯電量が得られず、帯電不良トナー
の発生も多く、特に、高温高湿環境に放置するとこれら
が顕著であった。また、連続コピーを行った時の帯電量
の落ち込みも大きく、実用上使用不可であった。また、
比較例3のものは洗浄時に粒子の凝集が発生し、所望の
粒径のトナーが得られなかった。
【0116】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のトナー
は、カルシウム系の難溶性無機塩を分散安定剤として使
用する湿式造粒法により製造された静電潜像現像用トナ
ーであって、トナーに残存するカルシウムを所定量まで
減少させたものであるので、充分な帯電量が確保でき、
帯電不良トナーの発生が極めて少なく、高温高湿環境に
放置した後も十分な帯電性を示し、帯電不良トナー量が
増大することがなく、耐刷後も十分な帯電量を発揮でき
る。
【0117】また、本発明のトナーは、カルシウム系の
難溶性無機塩を分散安定剤として使用する湿式造粒法に
より製造された静電潜像現像用トナーであって、トナー
に微量のカルシウムを含有するようにしたものであるの
で、トナーの製造時であって樹脂微粒子を洗浄する際に
樹脂微粒子が凝集するのを防止できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷上 行夫 大阪市中央区安土町二丁目3番13号 大 阪国際ビル ミノルタ株式会社内 審査官 淺野 美奈 (56)参考文献 特開 平2−64652(JP,A) 特開 平7−333894(JP,A) 特開 平7−333895(JP,A) 特開 平5−88409(JP,A) 特開 平2−2577(JP,A) 特開 昭61−184554(JP,A) 特開 昭63−53563(JP,A) 特開 平7−219271(JP,A) 特開 平7−271099(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08 - 9/087

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシウム系の難溶性無機塩を分散安定
    剤として使用する湿式造粒法により製造された静電潜像
    現像用トナーにおいて、トナーに残存するカルシウム量
    が0.2〜10ppmであることを特徴とする静電潜像
    現像用トナー。
JP18694794A 1994-05-27 1994-08-09 静電潜像現像用トナー Expired - Fee Related JP3211575B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18694794A JP3211575B2 (ja) 1994-08-09 1994-08-09 静電潜像現像用トナー
US08/451,861 US5604067A (en) 1994-05-27 1995-05-26 Toner for electrostatic latent image developing and manufacturing method of same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18694794A JP3211575B2 (ja) 1994-08-09 1994-08-09 静電潜像現像用トナー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0850370A JPH0850370A (ja) 1996-02-20
JP3211575B2 true JP3211575B2 (ja) 2001-09-25

Family

ID=16197515

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18694794A Expired - Fee Related JP3211575B2 (ja) 1994-05-27 1994-08-09 静電潜像現像用トナー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3211575B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3721915B2 (ja) 2000-02-02 2005-11-30 日本ゼオン株式会社 電子写真用現像剤、その製法及び該現像剤を用いた画像形成方法
EP1176474B1 (en) 2000-07-28 2005-11-23 Canon Kabushiki Kaisha Toner, toner production process and image forming method
JP4175177B2 (ja) * 2002-05-31 2008-11-05 コニカミノルタホールディングス株式会社 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、画像形成方法及び画像形成装置
JP2008191697A (ja) * 2008-05-15 2008-08-21 Nippon Zeon Co Ltd 電子写真用重合法トナー
JP5077118B2 (ja) * 2008-07-17 2012-11-21 コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 静電荷像現像用トナー
JP2013200523A (ja) * 2012-03-26 2013-10-03 Fuji Xerox Co Ltd 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法
JP6020230B2 (ja) * 2013-02-13 2016-11-02 富士ゼロックス株式会社 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
JP6085230B2 (ja) * 2013-07-26 2017-02-22 株式会社沖データ トナー製造方法、トナー、現像装置及び画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0850370A (ja) 1996-02-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH05119529A (ja) 静電荷像現像用トナー
US5547794A (en) Toner for electrostatic latent image developing
JP3211575B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JPH07333901A (ja) 静電潜像現像用トナー
JPH07319205A (ja) 静電潜像現像用トナー
JPH0389361A (ja) 重合トナーの製造方法
JP3063913B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JPS5849863B2 (ja) 静電荷像現像用トナ−の製造方法
US5604067A (en) Toner for electrostatic latent image developing and manufacturing method of same
JPH09218532A (ja) 静電潜像現像用トナー
US5928831A (en) Method for manufacturing toner for developing electrostatic latent image
JP4165349B2 (ja) 静電荷像現像用トナー及びその製造方法
JP4126855B2 (ja) 電子写真用トナー
JP2000214631A (ja) 静電潜像現像用トナ―
JP3407521B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP2912662B2 (ja) 電子写真用乾式トナー
JP2766540B2 (ja) 着色微粒子およびこれを用いてなる静電荷像現像用トナー
JP3799127B2 (ja) トナー粒子の製造方法
JPH07333890A (ja) 静電潜像現像用トナーおよびその製造方法
JP3456327B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JPH10142835A (ja) 電子写真用トナー
JP3530904B2 (ja) 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
JPH07325430A (ja) 静電潜像現像用トナーおよびその製造方法
JP2000267345A (ja) 電子写真用トナーおよびその製造法
JP2809737B2 (ja) 重合トナーの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080719

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080719

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090719

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090719

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100719

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110719

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120719

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120719

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130719

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees