JP3211389B2 - 蛍光検出型ゲル電気泳動装置 - Google Patents

蛍光検出型ゲル電気泳動装置

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JP3211389B2
JP3211389B2 JP19789092A JP19789092A JP3211389B2 JP 3211389 B2 JP3211389 B2 JP 3211389B2 JP 19789092 A JP19789092 A JP 19789092A JP 19789092 A JP19789092 A JP 19789092A JP 3211389 B2 JP3211389 B2 JP 3211389B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はDNA塩基配列決定など
に用いる装置であって、蛍光ラベルしたサンプルをゲル
電気泳動させ、泳動方向と直交する方向に蛍光の励起・
受光光学系を走査し、泳動パターンを検出するゲル電気
泳動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】蛍光ラベルしたサンプルとは、プライマ
ー部又はダイデオキシ部に蛍光ラベルし、サンガーの方
法で調製したDNA断片であり、この蛍光ラベルしたサ
ンプルをゲル電気泳動して得られる展開パターンはその
ままDNAの塩基配列を与える。蛍光検出型ゲル電気泳
動装置の一例は特開昭63−313035号公報に記載
されている。その引例の装置は、図14に示されるもの
であり、ガラス板に挾まれて図で紙面垂直方向に延びる
泳動ゲル104に蛍光ラベルしたサンプルが紙面垂直方
向に泳動する。ステージ239はガイドレール233に
案内され、モータ237で駆動される棒ネジ252の回
転によって泳動方向と直交する図の上下方向に走査され
る。ステージ239には集光レンズ260が設けられ、
励起光であるレーザビーム250がミラー251で反射
されてレンズ260に入射し、ステージ239上のミラ
ー255で反射されて泳動ゲル104の測定部分を照射
する。その測定部分から出た蛍光はステージ239に設
けられた集光レンズ221で集光され、干渉フィルタ2
23で分光されてレンズ225を通り、光電子増倍管2
29で検知される。
【0003】図14の装置では、泳動ゲル104と走査
方向(ネジ252とガイドレール233で決まる)、及
び集光レンズ260への励起光の入射方向の三者が全く
平行で、かつ泳動ゲル104の位置は走査のどの場所で
も全く一致していなければならない。この条件はゲル1
04を交換したときでも、常に満たされていなければな
らない。
【0004】図15はこの条件が満たされていない場合
を示したものである。走査のある場所Aでは励起光25
0により照明されたゲル部分は正しく受光光学系の光軸
上にあり、強い信号が得られるが、ゲル104が挾まれ
ているガラス板の厚さが変化したり、ゲル104とネジ
252の平行度が不十分な場合など、走査の別の場所B
では図のように励起光250により照明されたゲル部分
と受光光学系の光軸との間にずれが生じ、信号強度が弱
くなり、はなはだしい場合には信号が検出されなくな
る。このように、信号強度が場所により変化する結果を
生じる。
【0005】レンズ225はこのずれを軽減するために
設けられたものであるが、それでもこの光学系の場合、
入射角θが散乱光を減少させるために20〜35度ぐら
いと小さく設定されているため、ガラス板の厚さの不均
一や平行度の誤差によるゲル104とステージ239と
の距離Dの変動によるゲル104の励起場所と受光光学
系の光軸とのずれを十分補償できるものではない。この
ずれを解消するために励起光のスポット位置を検出し、
光軸を負帰還サーボ機構により動かすことも考えられ
る。しかし、この方法はスポット位置の検出装置が不可
欠であり、複雑となる。
【0006】そこで、本発明者は、図14のように励起
・受光光学系を泳動方向と直交する方向に走査しながら
泳動パターンを検出する装置において、ゲルと走査方向
及び励起光入射方向の厳密な平行関係が保たれない場合
においても、正しく蛍光検出を行なうことのできるゲル
電気泳動装置を励起光スポットの位置検出手段なしで実
現することを目的として、ゲルに対し、測定が開始され
る前に較正プロセスを設け、走査を行なって各走査点に
ついてゲルが励起光によって照明された部分が受光光学
系光軸上に来るようにするための較正データを求めてお
き、測定にあたってはその較正データを用いて励起光光
路と受光光学系光軸との相対的位置関係を制御しながら
測定を行なう蛍光検出型ゲル電気泳動装置を提案してい
る(特開平4−36652号公報、米国特許第 5,10
0,529号公報参照)。その提案では励起光によるゲ
ルからの散乱光又は蛍光を受光して走査点での較正デー
タを作成している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前の提案と同
じく、励起・受光光学系を泳動方向と直交する方向に走
査しながら泳動パターンを検出する装置において、ゲル
と走査方向及び励起光入射方向の厳密な平行関係が保た
れない場合においても、正しく蛍光検出を行なうことの
できるゲル電気泳動装置を励起光スポットの位置検出手
段なしで実現することを目的とするものであり、その目
的を前の提案とは異なる手段により実現するものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】図1により本発明を説明
する。サンプルが泳動するゲルを保持するガラス板とし
てゲルよりも蛍光性の強いガラス板を用い、受光光学系
ではゲルからの蛍光のみを受光する大きさの受光視野に
限定する。30は励起・受光光学系の走査場所を検出す
る走査場所検出部、32は励起光光路と受光光学系光軸
との相対的位置関係を変化させる移動手段、34は測定
に用いられるゲルが装着された後でサンプル投入前、又
はサンプル投入後でサンプルが測定部に到着する前の較
正用走査における走査領域内のいくつかの走査場所で移
動手段32を作動させ、信号検出手段34からの蛍光検
出にもとづいてゲルの励起光による照明部分が受光光学
系光軸上にくるときの移動手段32の移動量に関係した
較正データを求め、走査場所データとともに記憶部38
へ記憶させる較正部である。40は測定時に記憶部38
から走査場所に対応した較正データを読み出し各走査場
所ごとに移動手段32の移動量を設定する移動手段制御
部である。
【0009】好ましい態様では、較正部36は、励起光
光路又は受光光学系光軸を、受光光学系光軸と励起光光
路の交点がゲルを支持する励起光源側のガラス板にある
状態と同交点が同光源と反対側のガラス板にある状態の
間で移動させたとき、その移動に対する受光光学系光軸
上の光電変換器の出力が極小を与える移動量に関係した
データを較正データとする。
【0010】蛍光性のガラスは例えばソーダライムガラ
スである。ソーダライムガラスは安価で、しかも製造上
平面精度を高めやすく、スラブゲルのような薄いゲルの
作成に適している。ソーダライムガラスが488nmの
アルゴンレーザビームで励起されて出す520nm付近
の蛍光の強さは、パイレックスガラスの50倍以上、石
英の100倍以上であり、ゲル自身の蛍光よりも強い。
しかし、受光光学系でゲルからの蛍光のみを受光する大
きさの受光視野に限定することにより、ガラス板からの
蛍光とゲルからの蛍光を区別することができる。
【0011】
【作用】測定に用いるゲル4を装着し、サンプルが泳動
して測定点に達するまでの間に走査領域内の一点で励起
・受光光学系の載っている移動ステージ13を止め、そ
こで受光光学系光軸と励起光光路の交点が励起光源側の
ガラス板5a→ゲル4→反対側のガラス板5bと動くよ
うに、励起光光路又は受光光学系光軸を移動させ、その
移動に対して受光光学系出力をとる(図3(A)参
照)。その出力プロットは谷を示す(図3(B)参
照)。谷の位置は受光光学系光軸上に励起光がきてゲル
を照射している位置である。これは、ガラス板5a,5
bよりも蛍光性の弱いゲル4がガラス5a,5b板に挾
まれているからである。検出信号が谷に相当するミラー
3bの位置を移動ステージ13の走査位置とともに記憶
する。以上の操作をサンプルが測定点に泳動してくるま
での時間に走査領域内の多数の点で行ない、各走査点に
対して移動手段32に与えられた較正データを表として
記憶部38に記憶する。
【0012】較正データを測定した走査点のピッチより
も狭いピッチで測定を行なうためには、測定した較正デ
ータをもとにして補間法により他の測定点の較正データ
を算出し、それも記憶部38に記憶させておけばよい。
サンプルが泳動して測定点に達する少し前から通常の走
査を行ない、測定を開始する。このときは走査に同期し
て走査の各点で記憶部38から呼び出した較正データに
従って移動手段制御部40が移動手段32を制御し、励
起光光路又は受光光学系光軸を変化させる。較正データ
は走査の各点でゲル4が励起光で照明された場所が受光
光学系光軸上にくるように作成されたもの又はそれをも
とに算出されたものであるので、測定用の走査中は常に
ゲル4の励起光照明場所が受光光学系光軸上にくる条件
が満たされることになり、ずれはなくなる。
【0013】
【実施例】図2と図3により一実施例を示す。泳動ゲル
4は例えば10%ポリアクリルアミド(19:1ビスア
クリルアミド)にてなり、ガラス板5a,5bに挾まれ
て厚さが例えば0.5mmに形成され、幅が260mm
で、試料を注入するウエル62から走査位置までの高さ
が270mmに設定されて、垂直方向に立てられてい
る。ガラス板5a,5bは蛍光性のガラス板であり、一
例としてソーダライムガラス(通称は窓ガラス、厚さ5
mm、屈折率1.51、旭硝子株式会社(東京)の製
品)を使用する。ソーダライムガラスはオートラジオグ
ラムDNAシーケンシングでは最もよく使用されるガラ
スであり、488nmの励起光で励起されると520n
m付近に強い蛍光を発する。DNAの標識蛍光物資とし
て最もよく用いられるFITCも488nmの励起光で
励起されると520nmに蛍光を発することから、ソー
ダライムガラスは蛍光標識によるDNAシーケンシング
ではゲルを挾むガラス板としては用いられていない。泳
動ゲル4には蛍光ラベルしたサンプルが垂直方向に電気
泳動される。サンプルは例えば蛍光物質FITCでラベ
ルされており、488nmのアルゴンイオンレーザで励
起されて520nmの蛍光を発する。
【0014】13は移動ステージであり、クロスローラ
やアリ溝などのガイドレール28により案内され、走査
用モータ15で駆動される棒ネジ14の回転により駆動
されて水平面内で泳動方向と直交する方向に走査され
る。ステージ13上には励起光であるアルゴンイオンレ
ーザビーム1を受ける集光レンズ2が設けられており、
励起光ビーム1は泳動ゲル4及びステージ13の走査方
向に平行に入射し、レンズ2で集光される。レンズ2で
集光された励起光ビーム1を泳動ゲル4に入射させるた
めに、ステージ13上には偏向ミラー3bが設けられて
おり、ミラー3bは励起光ビーム1をゲル4の方向へ反
射させるように面方向が固定されて配置されており、ミ
ラー駆動モータ54によって棒ねじ55が回転してミラ
ー3bをゲル4の方向へ接近及び遠ざかるように移動さ
せられる。モータ54に流す電流によりミラー3bのゲ
ル方向の位置が制御される。受光光学系に入射する散乱
光を減少させるために、ゲル4に対する励起光ビーム1
の入射角は20〜35度ぐらいになるように、励起光学
系と受光光学系が設定されている。
【0015】励起光ビーム1による泳動ゲル4の照明位
置6からの光を集光し検出するために、ステージ13上
には、対物レンズ7、対物レンズ7で集光された光を5
20nmの光を透過させる干渉フィルタ8を経て集光す
る集光レンズ9が設けられており、集光レンズ9で集光
された蛍光をステージ13の外部に設けられた光電子増
倍管10へ導くために光ファイバ束52が設けられてい
る。光ファイバ束52の入口で、ゲル4の像が結像する
位置には、幅が約0.1mmのスリット50が配置され
ている。スリット50は受光視野を狭くするためのもの
である。
【0016】図2で、ゲル4の上端には電極槽60が設
けられて電解液が入れられ、下端にも電極槽64が設け
られて電解液が入れられている。上端の電極槽60はカ
ソードとなり、下端の電極槽64はアノードとなって、
両電極槽60,64間に高電圧電源66によって泳動電
圧が印加される。ゲル4の上端には蛍光ラベルされたサ
ンプルを注入するためのウエル62が形成されている。
63はサンプルが電気泳動し分離して形成されたDNA
バンドである。
【0017】16はA/D変換器であり、光電子増倍管
10の検出信号をデジタル信号に変換してCPU12
(メモリを含む)に取り込む。ミラー3bはモータ54
によって移動量が制御されるが、その制御信号はCPU
12から与えられる。移動ステージ13は棒ネジ14が
走査用モータ15によって回転することによって走査さ
れるが、走査用モータ15にはエンコーダが取りつけら
れており、ステージ13の走査場所の情報がそのエンコ
ーダからCPU12に取り込まれる。
【0018】図1と図2の対応関係を示すと、移動手段
32はミラー3bとモータ54に対応し、走査機構44
は棒ネジ14と走査用モータ15に対応し、信号検出手
段34は光電子増倍管10に対応し、走査場所検出部3
0、較正部36、記憶部38、移動手段制御部40、信
号処理部42及び走査制御部46はCPU12により実
現される。
【0019】動作の例を説明するにあたり、図3(A)
で走査領域は全部で256mmとし、図で上方から下方
へX=0〜256の座標で表わされるところを走査する
ものとし、受光光学系光軸がX=0〜256の範囲内を
移動するものとする。信号取込み点(測定点)を512
個所とすると、Xの0.5mm移動ごとに蛍光信号がC
PU12に取り込まれる。信号取込み点のX座標をXi
(i=1,2,……512)とおき、その内の4個ごと
の信号取込み点(X4,X8,X12,……X512)が励起
光光軸を動かして励起光照明位置が受光光学系光軸上に
くるように較正データが測定された点であるとする。
【0020】X座標X4,X8,……X512に対して受光
光学系光軸上に励起光照明位置がくるようにミラー3b
の位置を見出す較正プロセスを図4を参照して説明す
る。移動ステージ13を止め、ミラー3bを移動させて
励起光1をEB1,EB2,……と移動させながら光電
子増倍管10の検出信号を記録する。その検出信号は図
3(B)に示されるような形状となり、谷を示す。谷の
位置が受光光学系光軸上に励起光1がきてゲルを照射し
ている位置である。検出信号が谷に相当するミラー3b
の位置をステージ13の走査位置Xiとともに記憶す
る。これが終わると、次にステージ13を動かし、X
(i+4),X(i+8),……の位置で同じ較正操作
を行ない、X512まで行なう。これで較正データが決定
される。
【0021】図5は図4の較正プロセスでまだ決定され
ていない走査位置の較正データを補間法で求める補間プ
ロセスである。図5には線形の補間法が示されている
が、線形でなくても適当な曲線で補間してもよい。
【0022】図6は測定プロセスである。測定点にステ
ージ13を順次動かし、その測定点でミラー3bの位置
を較正プロセスと補間プロセスで求められた較正データ
の位置に設定し、光電子増倍管10からの信号を取り込
む。実際にはミラー3b及びステージ13は慣性をもつ
ので、測定点でステージ13がいちいち止まることはな
く、連続的に走査し、それに同期してミラー3bの位置
設定が行なわれていく。
【0023】図7に較正プロセスにおける光電子増倍管
の検出信号の例を示す。ステージ13とゲル4との平行
度にずれが存在し、ステージ13によってミラー3bの
位置がa,b,c,dと移動することによって、その平
行度のずれが光電子増倍管10の検出信号の谷の位置の
違いとなって現われてくる。この例ではゲルに対するス
キャナの傾きは0.105度(tan-1(0.33mm/180mm))
と見積もることができる。
【0024】図8はFITCで標識したDNAプライマ
ーをゲル中に泳動させたときに検出された蛍光信号を表
わしている。横軸は走査範囲、縦軸は蛍光強度、奥行き
は時間を表わしている。(A)は本発明による較正を行
なわず、すなわちミラー3bを固定した状態でステージ
13を移動させたときのものである。このときはゲルの
中央部で9個の試料が検出されている。一方、この実施
例により較正プロセスを経てミラー3bを最適な位置に
調整しながらステージ13を移動させることにより、
(B)に示されるように全ての試料が検出されている。
図8の例からわかるように、本発明では励起光によるゲ
ルの照明位置が受光光学系の光軸からずれると、(A)
の両端部分のようにベースラインが大きくなる。これは
ガラス板5a,5bからの蛍光が受光光学系に入射する
からである。
【0025】この実施例では視野を制限するスリット5
0として幅が0.1mmのものを使用している。このス
リット50により図9に示されるように視野Xが0.1
5mmに制限される。この視野の大きさはゲル4が励起
光1で照射される理論的長さ(対物レンズ7から見た長
さ)に対応し、ガラス板5a,5bはその視野の範囲で
は励起光で照射されない。もしスリット50の幅を広げ
ると、光電子増倍管10はガラス基板5a,5bからの
強いバックグラウンドを受けることになり、光電子増倍
管10の検出信号の谷は不明瞭なものとなる。しかし、
スリット50を約0.2mmに広げても、またゲル4を
約0.4mmの薄いものに変えても、その程度ではS/
N比はあまり大きく減少しない。本発明ではサンプルか
らの蛍光を検出する際に、ガラス基板5a,5bからの
蛍光が混入しないようにするためには、スリット50な
どにより視野を制限することが重要である。
【0026】図10は他の実施例を表したものである。
図10の実施例を図3の実施例と比較すると、励起光学
系と受光光学系が相違している。図10では、レンズ2
で集光された励起光ビーム1を泳動ゲル4に入射させる
ために、ステージ13上にはミラー3が設けられてお
り、ミラー3はガルバノスキャナ(例えばGeneral Scan
ning社のG120Dなど)11により回転角を変化させ
ることができるようになっている。ガルバノスキャナ1
1に流す電流によりミラー3の回転角が制御される。ガ
ルバノスキャナ11の制御信号はマイクロコンピュータ
(CPU)12から与えられる。
【0027】励起光ビーム1による泳動ゲル4の照明位
置6からの光を集光し検出するために、ステージ13上
には、対物レンズ7、対物レンズ7で集光された光を5
20nmの干渉フィルタ8を経て集光するために集光レ
ンズ9が設けられており、集光レンズ9の焦点位置に視
野を制限するスリット50が設けられている点は図2の
ものと同じであるが、図10では集光レンズ9で集光さ
れた蛍光を検出するための光電子増倍管10もステージ
13上に設けられている。図10では較正データはステ
ージ13の走査位置に対するミラー3の回転角度として
得られる。ミラー3を回転させて較正データを得る操作
は特開平4−36652号公報に記載のものと全く同じ
であるので、説明は省略する。
【0028】図11はミラー3bを移動させる他の手段
の例を示したものである。図2及び図3ではミラー3b
をモータで移動させているが、図11ではミラー3bを
圧電素子26に取りつけ、圧電素子26に電圧を与えて
ミラー3bを移動させる。圧電素子26としては例えば
トーキン社のLANシリーズの製品などを用いることが
できる。
【0029】図12は励起光光路を移動させる他の実施
例を表わしたものであり、ミラー3cを固定し、励起光
ビーム1を音響光学素子27を介してミラー3cに入射
させるようにしたものである。音響光学素子27に印加
される電圧によりゲル4に入射する励起光光路が変化す
る。
【0030】図13はさらに他の実施例を表わしたもの
である。図10の実施例と比較すると、図13では光電
変換部が移動ステージ13外にあり、励起光光路の方向
を変えるためのミラー3aもステージ13外にあり、走
査用及びミラー角度を設定するための走査・制御用マイ
クロコンピュータ12aと、信号取込み用のマイクロコ
ンピュータ12bとが別になっている点が相違してい
る。
【0031】励起光ビーム1はガルバノミラー3aに反
射されてマスク21を通り、ステージ13へ入射する。
ステージ13上には凸レンズの一部を切断したレンズ2
aが設けられており、励起光ビーム1はこのレンズ2a
で偏向され集光されてゲル4を照明する。凸レンズ2a
の焦点は受光光学系光軸とゲル4のおおよその交点にあ
る。凸レンズの切断品2aの代りに図3や図10のよう
に通常の凸レンズとミラーを組み合わせたり、凸レンズ
とウェッジプリズムを組み合わせるようにしてもよい。
【0032】ステージ13上にはゲル4又はガラス板5
a,5bからの光を取り込む対物レンズ7と、対物レン
ズ7で平行光とされた光をステージ13外へ導くミラー
20が設けられている。ステージ13の外部には、ミラ
ー20から導かれた平行光の向きを変えるミラー21、
蛍光用干渉フィルタ8、集光レンズ9、視野を制限する
スリット50及び集光された蛍光を光電変換する光電子
増倍管10が設けられている。16はA/D変換器であ
り、A/D変換器16を経てマイクロコンピュータ12
bに取り込まれた信号は外部のコンピュータ22に導か
れて塩基配列決定のデータ処理が行なわれる。
【0033】走査・制御用マイクロコンピュータ12a
は走査用モータ15に対し駆動に必要な駆動信号を与え
る。走査領域の両端にはセンサ23,24が設けられて
いる。走査領域の端部のセンサ23,24からの信号が
マイクロコンピュータ12aに取り込まれ、走査領域の
端部に来たら駆動信号により駆動方向を変える。走査用
モータ15にはエンコーダが設けられており、エンコー
ダ信号がマイクロコンピュータ12aにフィードバック
されてモータ15の回転速度が一定に保たれる。マイク
ロコンピュータ12bはもっぱら光電子増倍管10の信
号を取り込むA/D変換器16の制御に用いられる。こ
の場合、特にA/D変換器16のクロックと、走査用モ
ータ15のクロックとは同期しているわけではなく、単
に走査の初めと終わりを示す信号がセンサ23,24の
出力としてマイクロコンピュータ12bに与えられるに
すぎない。実際にはこのような構成でも差し支えなく、
マイクロコンピュータを12aと12bに分離すること
により、プログラムはずっと容易になる。
【0034】図13の実施例の動作は図10のものとほ
とんど同じである。相違点は、較正時にはガルバノミラ
ーを回転する角度(ストローク)は図10のものより小
さくてよいが、回転角の精度はより高くなければならな
い点である。較正プロセスと補間プロセスではマイクロ
コンピュータ12aと12bが同時に働き、計算し、記
憶するが、測定プロセスではマイクロコンピュータ12
aと12bが全く独立の動作をする。較正データθiの
値は走査位置Xiとともにマイクロコンピュータ12a
のメモリに記憶され、マイクロコンピュータ12aの制
御下で走査と同期してガルバノミラー3aの角度θを変
える。それと並列にマイクロコンピュータ12bでは光
電子増倍管10の信号出力を取り込み、外部コンピュー
タ22に電送して泳動パターンを得る。図13の実施例
が図10の実施例より優れている点は、ステージ13上
の部品点数が少なく軽量化できる点と、マイクロコンピ
ュータを分離したことによりプログラムが楽になる点で
ある。
【0035】実施例では励起光光路と受光光学系光軸と
の相対的な位置関係を変化させる移動手段として、いず
れも励起光光路を変化させるものを示しているが、励起
光光路を固定し、受光光学系光軸を移動させる方式にす
ることもできる。その方式としては、例えば走査点で移
動台を走査方向に移動させたり、図10に鎖線で示され
るように、受光光学系光軸にガラスブロック29を配置
し、これを回転させるようにする方式がある。
【0036】
【発明の効果】本発明ではゲル電気泳動装置に装着され
たゲルに対し、測定が開始される前に較正プロセスを設
け、走査を行なって各走査点についてゲルが励起光によ
って照明された部分が受光光学系光軸上に来るようにす
るための較正データを求めておき、測定にあたってはそ
の較正データを用いて励起光光路と受光光学系光軸との
相対的位置関係を制御しながら測定を行なうようにした
ので、加工誤差、組立て誤差、調整誤差によって必然的
に起こり得る受光光学系光軸と励起光照明位置とのずれ
が根本的に解消され、感度ムラもなくなる。また、ゲル
を保持するガラス板を交換しても全く差し支えない。し
たがって、逆に加工誤差や組立て誤差、調整誤差が存在
しても性能上は全く問題がないことになり、加工、組立
て、調整が楽になり、装置コストも低下する。受光光学
系の視野を制限することにより、ゲルを支持するガラス
板として、従来の蛍光ラベル法では使用できなかった蛍
光性のガラス板を使用するようにしたので、ソーダライ
ムガラスのように安価で、しかも平面性も優れたガラス
板を使用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を示すブロック図である。
【図2】一実施例を示す概略斜視図である。
【図3】同実施例の要部平面図(A)と較正時に得られ
る蛍光検出信号を示す図である。
【図4】同実施例の動作における較正プロセスを示すフ
ローチャート図である。
【図5】同実施例の動作における補間プロセスを示すフ
ローチャート図である。
【図6】同実施例の動作における測定プロセスを示すフ
ローチャート図である。
【図7】同実施例の動作における較正時に得られる蛍光
検出信号の具体的な例を示す図である。
【図8】同実施例の動作における試料泳動により得られ
る蛍光検出信号の具体的な例を示す図であり、(A)は
較正を行なわなかった場合、(A)は本発明により較正
を行なった場合である。
【図9】同実施例における励起光光路と視野の関係を示
す平面図である。
【図10】他の実施例を示す要部平面図である。
【図11】さらに他の実施例における励起光光路の移動
手段を示す概略平面図である。
【図12】さらに他の実施例における励起光光路の移動
手段を示す概略平面図である。
【図13】さらに他の実施例を示す概略平面図である。
【図14】従来のゲル電気泳動装置を示す概略平面図で
ある。
【図15】図14のゲル電気泳動装置の問題点を示す要
部平面図である。
【符号の説明】
1 励起光ビーム 3,3a,3b ミラー 4 泳動ゲル 5a,5b ガラス板 11 ガルバノスキャナ 12,12a,12b マイクロコンピュータ(C
PU) 13 ステージ 14 走査機構の棒ネジ 15 走査用モータ 30 走査場所検出部 32 移動手段 34 信号検出手段 36 較正部 38 記憶部 40 移動手段制御部 42 信号処理部 44 走査機構 46 走査制御部 50 スリット 52 棒ネジ 54 モータ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛍光ラベルしたサンプルをゲル電気泳動
    させ、泳動方向と直交する方向に蛍光の励起・受光光学
    系を走査して泳動パターンを検出する装置において、 サンプルが泳動するゲルを保持するガラス板として前記
    ゲルよりも蛍光性の強いガラス板を用い、 受光光学系ではゲルからの蛍光のみを受光する大きさの
    受光視野に限定し、 励起・受光光学系の走査場所を検出する走査場所検出部
    と、 励起光光路と受光光学系光軸との相対的位置関係を変化
    させる移動手段と、 測定に用いられるゲルが装着された後サンプル投入前、
    又はサンプル投入後でサンプルが測定部に到着する前の
    較正用走査における走査領域内のいくつかの走査場所で
    前記移動手段を作動させ、信号検出手段からの蛍光検出
    信号にもとづいてゲルの励起光による照明部分が受光光
    学系光軸上にくるときの前記移動手段の移動量に関係し
    た較正データを求め、走査場所データとともに後記記憶
    部へ記憶させる較正部と、 前記較正データを走査場所データとともに記憶する記憶
    部と、 測定時に前記記憶部から走査場所に対応した較正データ
    を読み出し各走査場所ごとに前記移動手段の移動量を設
    定する移動手段制御部とを備えた蛍光検出型ゲル電気泳
    動装置。
  2. 【請求項2】 較正部は、励起光光路又は受光光学系光
    軸を、受光光学系光軸と励起光光路の交点がゲルを支持
    する励起光源側のガラス板にある状態と同交点が同光源
    と反対側のガラス板にある状態の間で移動させたとき、
    その移動に対する受光光学系光軸上の光電変換器の出力
    が極小を与える移動量に関係したデータを較正データと
    する請求項1に記載の蛍光検出型ゲル電気泳動装置。
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