JP3204135B2 - 農業用ポリエチレンテレフタレートフイルム - Google Patents

農業用ポリエチレンテレフタレートフイルム

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JP3204135B2 JP33086596A JP33086596A JP3204135B2 JP 3204135 B2 JP3204135 B2 JP 3204135B2 JP 33086596 A JP33086596 A JP 33086596A JP 33086596 A JP33086596 A JP 33086596A JP 3204135 B2 JP3204135 B2 JP 3204135B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農業用ポリエチレ
ンテレフタレートフィルムに関するものである。更に詳
しくは優れた機械的強度と、優れた耐候(光)性と、優
れた防曇持続性を有する農業用ポリエチレンテレフタレ
ートフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムは、高い結晶性、高い融点を示し、優れた耐熱
性、耐薬品性を有し、更に強度、弾性率等の機械的性質
においても、優れた性質を示すことが知られている。こ
のため、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、磁気
テープ用をはじめ、写真用、電気用、メタライズ用、包
装用および農業用等として、広く使用されている。
【0003】しかし、ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムは、表面が疎水性であるために、これを農業用ハウ
ス(温室)の被覆材として使用すると、ハウス内の温
度、湿度等の条件によっては、フィルムのハウス内側表
面に曇りを生じる。この曇りは、フィルムを透過する光
線の量を少なくし、植物の生育を遅くしたり、水滴が栽
培植物に落下することにより、幼芽が害をうけたり、病
害の発生の原因となったり、ハウス内の作業者に不快感
を与えるなど、種々の不都合を生ずる。
【0004】このような不都合を解消するには、フィル
ム表面に防曇性を付与すればよいことが知られている。
フィルム表面に防曇性を付与するには、界面活性剤のよ
うな親水性物質を練り込んでフィルム化する方法、また
はフィルム表面に親水性物質もしくは、水溶性高分子物
質を塗布する方法等が知られている。しかし、前者の方
法はポリエチレンテレフタレートのような硬質の樹脂で
は効果が小さく、後者の方法で防曇性を付与する試みが
されている。
【0005】親水性を付与するものとして、例えば特開
昭51−81877号公報等には、アルミナゾルに界面
活性剤と親水性ポリマーを加えたもの、特開昭57−1
19974号公報、特開昭59−15473号公報等に
は、コロイド状シリカに親水性ポリマーと界面活性剤を
加えたものが開示されている。しかしながら、これら組
成物には無機質水性ゾルとの混和性をだす目的からポリ
ビニルアルコールや水酸基含有アクリル系樹脂等の親水
性ポリマーが配合されているため、形成皮膜は本質的に
耐水性に劣る傾向がある。従って、多湿条件下に常時さ
らされると、無機質水性ゾルが親水性ポリマーと共に流
失したり分散不良を起こし、短期間で防曇性の効力が損
なわれ、実用的に満足できるものではない。
【0006】上記欠点を改良するために、例えば特開昭
55−99976号公報、特開昭55−99987号公
報等には、シリカ/親水性ポリマー/有機ケイ素化合物
からなる無機−有機複合体反応物による防曇性付与の方
法が提案されている。しかし、これらの方法も耐水性が
充分でなく、また防曇性能も満足するまでに至っておら
ず、充分に所期の目的を達成することができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】更に、上記欠点を改良
するために、例えば特公平4−57192号公報には、
疎水性アクリル系樹脂と無機質コロイドゾルからなる防
曇皮膜を表面に形成し、更に、反対面には紫外線を吸収
する皮膜を設けて、屋外での防曇皮膜の耐候劣化、ひい
ては防曇性の低下を防止する試みがなされている。しか
しながら、この方法によると初期の防曇性は良好である
ものの、長期間の屋外暴露による防曇皮膜の経時劣化を
防止するのには充分でなく、安定した防曇持続性を有す
るものではなかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる背
景下にあって、ハウス被覆用等として長期間使用しても
機械的強度が低下せず、優れた耐候(光)性を示し、か
つ、優れた防曇性が長期間持続される農業用ポリエチレ
ンテレフタレートフィルムを提供すべく、鋭意検討した
結果、本発明を完成するに至ったものである。しかして
本発明の要旨とするところは、二軸方向に延伸されたポ
リエチレンテレフタレートフィルムの片面に、ガラス転
移温度が35〜80℃の範囲にある疎水性アクリル系樹
脂(イ)の水分散液及び無機質コロイドゾルを主成分と
する防曇剤組成物に由来する皮膜が形成され、他の片面
に、紫外線吸収剤が配合されてなる厚さ1〜10μmの
アクリル系樹脂(ロ)と飽和ポリエステル系樹脂(B)
を主成分とする熱可塑性樹脂皮膜が形成されてなり、該
アクリル系樹脂(ロ)が架橋アクリル酸エステル系弾性
体(A)の粒子の存在下に、メタクリル酸アルキルエス
テル単量体、またはメタクリル酸アルキルエステル単量
体を主成分とし、これと共重合可能なビニル系単量体と
の混合物を重合して得られる、架橋アクリル酸エステル
系弾性体を幹とするグラフト共重合体を含有しており、
アクリル系樹脂(ロ)中の該弾性体(A)の割合が5〜
80重量%であり、熱可塑性樹脂中の樹脂(B)の割合
が1〜50重量%であり、(A)/(B)の重量比が1
/1〜20/1である農業用ポリエチレンテレフタレー
トフィルムに存する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明にいうポリエチレンテレフタレートとは、共重合
されていないポリエチレンテレフタレート・ホモポリマ
ーのみならず、繰り返し単位の数の85%以上がポリエ
チレンテレフタレート単位よりなり、残りが他の成分で
あるような共重合ポリエチレンテレフタレートや、ポリ
エチレンテレフタレート85重量%以上であり、残りの
15重量%以下が、他の重合体であるポリマーブレンド
物を含む。ブレンドできる他の重合体としては、ポリア
ミド類、ポリオレフィン類、他種のポリエステル類があ
げられる。このポリエチレンレフタレートには、必要に
応じ滑剤、着色剤、安定剤、酸化防止剤等を配合するこ
とができる。
【0010】本発明に係る農業用ポリエチレンテレフタ
レートフィルムは、二軸に延伸されたものである。二軸
延伸フィルムを製造する方法は、特に限定されるもので
はなく、例えば逐次に、又は同時に縦横二軸に延伸す
る、公知の方法を採用すればよい。延伸倍率は二軸方向
に、夫々2.0〜5.0倍、特に2.5〜4.0倍延伸
されたものが好ましい。延伸倍率が2.0倍未満である
と、製品の強度が充分なものとならないので好ましくな
く、5.0倍を越えたものでは、製品の強度は充分なも
のとなるが、製造作業が困難となるので、好ましくな
い。本発明に係る農業用ポリエチレンテレフタレート
は、厚みが0.01〜0.3mmのものがよい。厚みが
0.01mm以下であると製品の強度が充分なものとな
らないので好ましくなく、0.3mm以上ではフィルム
が硬くなり、取り扱い難くなるので、好ましくない。
【0011】本発明に係る農業用ポリエチレンテレフタ
レートフィルムは、その片面に、紫外線吸収剤が配合さ
れたアクリル系樹脂(ロ)と飽和ポリエステル系樹脂を
主成分とする熱可塑性樹脂の皮膜が形成されてなる。本
発明においてアクリル系樹脂(ロ)とは、架橋アクリル
酸エステル系弾性体の存在下に、メタクリル酸アルキル
エステル単量体、又はメタクリル酸アルキルエステルを
主成分とし、これと共重合可能なビニル系単量体との混
合物を重合して得られる架橋アクリル酸エステル系弾性
体(A)を幹とするグラフト共重合体を含有している。
【0012】架橋アクリル酸エステル系弾性体は、乳化
重合法によって製造するのがよい。この際使用できる重
合開始剤は、通常の遊離基発生開始剤である。具体例を
あげると、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無
機過酸化物;キュメンハイドロパーオキサイド、p−メ
ンタンハイドロパーオキサイド、ジターシャリーブチル
ハイドロパーオキサイド等の有機ハイドロパーオキサイ
ド;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサ
イド、キュメンパーオキサイド等の有機過酸化物や、ア
ゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系の開始剤をあ
げることができる。更に、これらと亜硫酸ナトリウム、
酸性亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウ
ムホルムアルデヒドスルフォキシレート、グリコース、
ポリアミン、アスコルビン酸ヒドロキシアセトン等の還
元剤を組み合せた、通常のレドックス系開始剤も使用し
うる。
【0013】使用できる乳化剤は、通常の乳化重合用の
界面活性剤をあげることができる。例えば、炭素数が8
〜20個のアルキル硫酸のナトリウム、カリウム、アン
モニウム塩およびラウリン酸、ステアリン酸、パルミチ
ン酸等の脂肪族カルボン酸のナトリウム、カリウム塩等
の陰イオン界面活性剤や、アルキルフェノール類、脂肪
族アルコール類およびポリプロピレンオキサイド類とエ
チレンオキサイドとの反応生成物等の非イオン界面活性
があげあれる。また、場合によっては、これら界面活性
剤を2種以上併用することもできる。更に、ナフタレン
ホルムアルデヒド縮合スルフォン酸塩等の界面活性剤を
添加することもできる。更に要すれば、アルキルアミン
塩酸塩等の陽イオン界面活性剤を使用することもでき
る。
【0014】乳化重合法によって架橋アクリル酸エステ
ル系弾性体を製造するには、次の方法があげられる。 (1)アクリル酸アルキルエステル単量体、又はアクリ
ル酸アルキルエステルとこれと共重合可能なビニル系単
量体の混合物に、少量の架橋性単量体を加えて、乳化重
合法によって製造する方法。 (2)(1)の方法で得た重合体エマルジョンに、更に
アクリル酸アルキルエステル単量体、又はアクリル酸ア
ルキルエステルとこれと共重合可能なビニル系単量体混
合物を加え、乳化重合法によって製造する方法。 (3)(2)の方法において、単量体又は単量体混合物
に、少量の架橋剤を加え、乳化重合法によって製造する
方法。
【0015】(4)まず、アクリル酸アルキルエステル
単量体又はアクリル酸アルキルエステルとこれと共重合
可能なビニル系単量体の混合物より乳化重合法によっ
て、未架橋弾性体を製造する。次いで、この重合系に更
にアクリル酸アルキルエステル単量体、又はアクリル酸
アルキルエステルとこれと共重合可能なビニル系単量体
の混合物、および少量の架橋性単量体を加えて、乳化重
合法によって製造する方法。 (5)(1)〜(4)の方法で得た重合体エマルジョン
の一種に、更にアクリル酸アルキルエステル単量体、又
はアクリル酸アルキルエステルと共重合可能なビニル系
単量体を加え、架橋性単量体を加えず又は少量加えて、
乳化重合法によって製造する方法。
【0016】架橋アクリル酸エステル系弾性体は、前記
界面活性剤の使用量や、使用する水性媒体の量を加減す
ることによって、架橋弾性体エマルジョン粒子の平均粒
子径を調整し、0.05〜0.30μmの範囲とするこ
とが重要である。0.05μm以下では、皮膜として使
用されるアクリル系樹脂の機械的強度が低下し、0.3
0μmを越えると、応力白化が著しくなり、好ましくな
い。架橋アクリル酸エステル系弾性体は、上のどのよう
な方法で製造したものであっても、次の方法で測定した
ゲル含量が80%以上で、膨潤度が15以下のものがよ
い。
【0017】架橋弾性体を所定量W0 採取し、室温でメ
チルエチルケトンに48時間浸漬した後の膨潤した重量
1 、およびこの試料を減圧乾燥機で乾燥した後の重量
2を測定し、次式により算出する。 ゲル含量=(W2 /W0 )×100(%) 膨潤度=(W1 −W2 )/W0 ゲル含量、膨潤度は、前述の架橋性単量体の種類および
量の調整以外に、弾性体成分を重合する時の温度、開始
剤の種類とその使用量、弾性体成分を構成する単量体の
添加方法、分子量調節剤の有無等の重合諸条件によって
影響されるので、適宜調節するのがよい。ゲル含量が8
0%に満たないときは、その弾性体から得られる皮膜形
成用アクリル系樹脂は、後述する有機溶媒に完全に溶解
し、又は過度に膨潤し、弾性体粒子が変形してしまい、
機械的強度、特に耐衝撃性を改善する機能を失うので、
好ましくない。膨潤度についても、15を越えると応力
白化しやすくなり、好ましくない。
【0018】アクリル酸アルキルエステルとしては、ア
ルキル基の炭素数が1〜8のものが好ましく、直鎖状で
も分岐鎖状のいずれでもよい。その具体例としては、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピ
ル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸オクチル等があげられ、これらは混合し
て使用することもできる。これらアクリル酸アルキルエ
ステルと共重合可能なビニル系単量体としては、メタク
リル酸およびメタクリル酸のアルキルエステル(アルキ
ル基の炭素数1〜12)、イタコン酸のジアルキルエス
テル(アルキル基の炭素数1〜10)、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン、スチレン、核アルキル置換スチレン、α−メチルス
チレン等があげられる。これら単量体は、40重量%以
下、好ましくは25重量%以下とするのがよい。
【0019】架橋性単量体としては、通常多官能性化合
物として使用されているものでよく、具体例としては、
エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレ
ングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリ
コールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタ
クリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジ
プロピレングリコールジメタクリレート、ジビニルベン
ゼン、ジビニルアジペート、ジアリルフタレート、ジア
リルマレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレ
ート、トリアリルシアヌレート等があげられ、これらは
2種以上を併用してもよい。上記架橋アクリル酸エステ
ル系弾性体にグラフトさせる単量体は、メタクリル酸ア
ルキルエステル、又はメタクリル酸アルキルエステルを
主成分とし、これを共重合可能なビニル系単量体との混
合物である。
【0020】グラフトさせるメタクリル酸アルキルエス
テルとしては、アルキル基の炭素数が1〜8のものが好
ましく、直鎖状でも分岐鎖状のいずれでもよい。その具
体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタ
クリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル
等があげられ、これらは混合して使用することもでき
る。メタクリル酸アルキルエステルと共重合可能なビニ
ル系単量体としては、アクリル酸アルキルエステルと共
重合可能なビニル系単量体と同様であり、弾性体(A)
製造の際に使用されると例示したものの中から選んでよ
い。
【0021】この場合、グラフトさせる単量体成分から
得られる重合体又は共重合体自体のガラス転移温度(T
g)が、50℃以上となるように単量体の種類、組み合
せを選ぶことが重要である。Tgが50℃に満たないと
きは、このグラフト重合体を含むアクリル系樹脂を含有
する皮膜を形成したポリエチレンテレフタレートフィル
ムの耐ブロッキング性が悪くなる(ブロッキングしやす
い)ので、好ましくない。グラフト重合反応は、乳化重
合法によって遂行するのがよいが、溶液重合法によって
もよい。乳化重合法によるときは例えば、架橋アクリル
酸エステル系弾性体のエマルジョンに、グラフトさせる
単量体を加え、必要があれば乳化剤、重合開始剤、分子
量調節剤、水等を加えて、通常の乳化重合の条件を選ん
で、遂行することができる。
【0022】グラフト重合反応を遂行する際の架橋弾性
体とグラフトさせる単量体との割合は、架橋弾性体エマ
ルジョンを重合体固形分として10〜90重量部、グラ
フトさせる単量体90〜10重量部の範囲から選ぶのが
よい。アクリル系樹脂中に含まれる弾性体(A)の割合
は5〜80重量%であり、好ましくは10〜70%の範
囲とするのがよい。弾性体の割合が5重量%に満たない
ときは、機械的強度が劣り、80重量%を越えるとき
は、これを皮膜として有するフィルムの耐ブロッキング
性が悪くなり、好ましくない。
【0023】本発明で用いる飽和ポリエステル系樹脂
(B)としては、酸成分がテレフタル酸を主成分とし、
その他に、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フ
タル酸、イソフタル酸等の二塩基酸又はその酸無水物等
からなり、グリコール成分がエチレングリコールを主成
分とし、その他に1,2−プロパンジオール、1,2−
ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブ
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチ
ルグリコール、トリメチルヘキサンジオール等からな
り、これらからなる重合体で、分子量はMwで5000
〜50000のものである。
【0024】皮膜熱可塑性樹脂(以下「皮膜樹脂」とい
う)中に含まれる飽和ポリエステル系樹脂(B)の割合
は1〜50重量%であり、好ましくは5〜30重量%の
範囲とするのがよい。飽和ポリエステル系樹脂(B)の
割合が1重量%に満たないときは形成される皮膜のポリ
エステルフィルム基材に対する密着力が不充分で、50
重量%を越えるときは、耐候性が劣るので好ましくな
い。アクリル系樹脂(ロ)中の弾性体(A)と飽和ポリ
エステル系樹脂(B)の配合割合は重量比で、1/1〜
20/1の範囲である。(A)/(B)の重量比が1/
1に満たないときは機械的強度が充分でなく、20/1
を越えると基材との密着力が低下して好ましくない。
【0025】これらアクリル系樹脂(ロ)と飽和ポリエ
ステル系樹脂(B)とからなる皮膜樹脂には、これらと
相溶性があり、Tgが50℃以上で透明な熱可塑性樹脂
例えば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、カーボネー
ト系樹脂等を混合してもよい。上記皮膜樹脂には、紫外
線吸収剤を配合して、基体フィルムの片面に皮膜を形成
する。
【0026】これら皮膜樹脂に配合される紫外線吸収剤
の種類は、従来公知の紫外線吸収剤、例えばサリチル酸
系化合物、シアノアクリレート系化合物、ベンゾフェノ
ン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等があげられ
る。これらの中で皮膜樹脂への溶解性、ポリエチレンテ
レフタレートフィルムに塗布して農業用として使用する
際の耐候性等の観点から評価すると、シアノアクリレー
ト系化合物の中のエチル−2−シアノ−3,3−ジフェ
ニルアクリレート、ベンゾフェノン系化合物の中の2,
4−ジヒドロキシンベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ
−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキ
シ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンが好ましく、
ベンゾトリアゾール系化合物の中の2−(2’−ヒドロ
キシ−5’−ターシャリーブチルフェニル)ベンゾトリ
アゾールが特に好ましい。これらは一種の使用でも、二
種以上の併用であってもよい。
【0027】皮膜樹脂に配合される紫外線吸収剤の量
は、余り少なすぎると本発明の目的が達成されないし、
余り多すぎるとブリード・アウトの問題がある。好まし
い配合量は、皮膜樹脂100重量部に対して、10〜2
5重量部の範囲である。これら紫外線吸収剤を含有する
熱可塑性樹脂の皮膜の厚さは1〜10μmであり、1μ
m未満であると本発明の目的が達成されず、10μmを
越えると皮膜が剥離し易いという問題が生ずる。皮膜樹
脂に配合される紫外線吸収剤の量、ポリエチレンテレフ
タレートの片面に形成される皮膜の厚さは、種々変更し
うるが、フィルム一定面積当りの紫外線吸収剤の量を1
50〜1000mg/m2 の範囲とすると特に好まし
い。
【0028】本発明に係る農業用ポリエチレンテレフタ
レートフィルムを製造するには、まず、二軸に延伸した
ポリエチレンテレフタレートを製造する。次いで、この
二軸に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルム
の片面に、メチルエチルケトンのようなケトン類、ベン
ゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、
酢酸メチル、酢酸エチル等の酢酸エステル類などの一種
又は二種以上を混合した有機溶媒に、皮膜樹脂、紫外線
吸収剤を溶解した溶液を塗布し、有機溶媒を揮散させ
て、紫外線吸収剤入り熱可塑性樹脂皮膜を形成させる。
塗布方法は、通常行なわれているグラビアコーティング
法、リバースコーティング法、スプレー法などが好適で
ある。
【0029】本発明に係る農業用ポリエチレンテレフタ
レートフィルムは、反対面に防曇皮膜が形成されてい
る。本発明において用いられる防曇剤組成物中の疎水性
アクリル系樹脂(イ)は、ガラス転移温度が35〜80
℃の範囲にあればいずれでもよいが、(メタ)アクリル
酸アルキルエステルまたは(メタ)アクリル酸アルキル
エステルとアルケニルベンゼンとの混合物を100〜6
0重量%、及びこれらと共重合可能なα,β−エチレン
性不飽和単量体0〜40重量%を重合して得られた単独
重合体または共重合体が好ましい。
【0030】(メタ)アクリル酸アルキルエステルと
は、アクリル酸のまたはメタクリル酸のアルキルエステ
ルであり、前述した中から選べばよい。アルケニルベン
ゼンとしては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、
ビニルトルエン等があげられる。アルケニルベンゼン
と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの混合物を
用いる場合には、α,β−エチレン性不飽和単量体の使
用量によっても異なるが、通常(メタ)アクリル酸アル
キルエステルの使用割合を10重量%以上とするのがよ
く、また、疎水性アクリル系樹脂中に占めるアルケニル
ベンゼンを70重量%以下の範囲で含有されているもの
がよい。
【0031】本発明で用いる疎水性アクリル系樹脂
(イ)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、また
はこれとアルケニルベンゼンとの混合物を、少なくとも
60重量%含有するものであって、60重量%に満たな
いときは形成皮膜の耐水性が充分でなく好ましくない。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、またはこれ
とアルケニルベンゼンとの混合物と共重合可能なα,β
−エチレン性不飽和単量体としては、例えばアクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ
ル酸、クロトン酸、イタコン酸等のα,β−エチレン性
不飽和カルボン酸類;エチレンスルホン酸のようなα,
β−エチレン性不飽和スルホン酸類;2−アクリルアミ
ド−2−メチルプロパン酸;α,β−エチレン性不飽和
ホスホン酸類;アクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキ
シエチル等の水酸基含有ビニル単量体;アクリロニトリ
ル類;アクリルアマイド類;アクリル酸又はメタクリル
酸のグリシジルエステル類等がある。これら単量体は、
単独で用いても、又は2種以上の併用でもよく、0〜4
0重量%の範囲で使用できる。
【0032】これら単量体から疎水性アクリル系樹脂
(イ)を重合する方法としては、従来から知られている
種々な乳化剤、例えば陰イオン系界面活性剤、陽イオン
系界面活性剤、非イオン系界面活性剤の中から選ばれる
1種もしくは2種以上の存在下、水系媒質中で、乳化重
合させる方法、反応性乳化剤を用いて重合させる方法、
乳化剤を含有せずオリゴソープ理論にもとづて重合させ
る方法等によって得られる。乳化剤の存在下による重合
方法の場合、これら乳化剤は、単量体の仕込み合計量に
対し0.1〜10重量%の範囲で使用される。この範囲
外であると、重合速度の調整が難しく、また合成される
樹脂の分散安定性が劣るので好ましくない。
【0033】疎水性アクリル系樹脂(イ)の製造に当っ
て用いられる重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモ
ニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、アセチルパーオ
キサイド、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物等があげ
られる。これらは、単量体の仕込み合計量に対して0.
1〜10重量%の範囲で使用される。本発明における疎
水性アクリル系樹脂(イ)は、そのガラス転移温度(T
g)が35〜80℃の範囲内のものでなければならな
い。このようなTgのものは、使用する単量体の種類及
び使用量(配合量)の選択によって得られる。しかし
て、使用するアクリル系樹脂のTgが80℃を超えると
透明性のある均一な皮膜が得られにくい。また、Tgが
35℃に満たないときは、無機質コロイド粒子が数次凝
集して不均一な分散状態をとりやすく、又無機質コロイ
ド粒子の塗布基材に対する固着が充分でないので、時間
の経過とともに無機質コロイド粒子が基材表面から脱落
・流失するなどして防曇性能を損ねる。
【0034】本発明の防曇剤組成物の成分である疎水性
アクリル系樹脂(イ)の水系分散液は、各単量体を水系
媒質中での重合によって得られた水系エマルジョンをそ
のまま使用しても、更にこのものに液状分散媒を加えて
稀釈したものでもよく、また上記のような重合によって
生じた重合体を分別採取し、これを液状分散媒に再分散
させて水系分散液としたものでもよい。
【0035】無機質コロイドゾルは、表面平滑性の優れ
たポリエチレンテレフタレートフィルム表面に塗布する
ことにより、フィルム表面に凹凸を付与する機能を果た
すものである。無機質コロイドゾルとしては、例えばシ
リカ、アルミナ、水不溶性リチウムシリケート、水酸化
鉄、水酸化スズ、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機質
水性コロイド粒子を、種々の方法で、水又は親水性媒体
中に分散させた、水性ゾルがあげられる。中でも好まし
いのは、シリカゾルとアルミナゾルである。これらは、
単独で用いても併用してもよい。使用する無機質コロイ
ドゾルとしては、その固体平均粒子径が5〜100mμ
の範囲のものが好ましい。この範囲内にあれば、平均粒
子径の異なる2種以上のコロイドゾルを組合せて用いて
もよい。平均粒子径が100mμを超えると、皮膜が白
く失透して透明性が低下するため好ましくない。また、
5mμに満たないときは、無機質コロイドゾルの安定性
に欠ける恐れがある。
【0036】無機質コロイドゾルは、その配合量を固形
分重量比でアクリル系樹脂(イ)に対して0.5以上4
以下にすることが好ましい。0.5に満たないときは、
ブロッキングを防止する性能が充分発揮できず、また、
4を超えるときは、フィルムが透明な場合は、塗布後に
形成される皮膜が白濁化し光線透過率を低下させ、ま
た、皮膜が粗雑でぜい弱になり易くなるので好ましくな
い。
【0037】防曇剤組成物には、架橋剤を配合するのが
好ましい。架橋剤によってアクリル系樹脂(イ)同士が
架橋し、皮膜強度を向上させることができる。架橋剤と
しては、フェノール樹脂類、アミノ樹脂類、アミン化合
物類、アジリジン化合物類、アゾ化合物類、イソシアネ
ート化合物類、エポキシ化合物類、シラン化合物類等が
あげられるが、特にアミン化合物等、アジリジン化合物
類、エポキシ化合物類が好適である。
【0038】アミン化合物類としては、ジエチレントリ
アミン、トリエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジア
ミン等の脂肪族ポリアミン;3,3’−ジメチル−4,
4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジ
アミン等の脂環式アミン;4,4’−ジアミノジフェニ
ルメタン、m−フェニレンジアミン等の芳香族アミンが
使用される。アジリジン化合物類としては、トリス2,
4,6−(1−アジリジニル)−1,3,5トリアジ
ン、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニル
プロピオネート、トリス〔1−(2−メチル)アジリジ
ニル〕ホスフィンオキシド、ヘキサ〔1−(2−メチ
ル)−アジリジニル〕トリホスファトリアジン等が使用
される。
【0039】エポキシ化合物類としては、ビスフェノー
ルA又はフェノールFとエピクロルヒドリンとの反応生
成物、フェノール(又は置換フェノール)とホルムアル
デヒドとの樹脂反応生成物とエピクロルヒドリンの反応
により生成されるエポキシ化ノボラック樹脂、エピクロ
ルヒドリン及び脂肪族多価アルコール例えばグリセロー
ル、1,4−ブタンジオール、ポリ(オキシプロピレ
ン)グリコール又は類似の多価アルコール成分から生成
される樹脂状反応生成物及び過酢酸を用いるエポキシ化
により得られる樹脂等が使用される。エポキシ化合物類
では、さらに三級アミン類や四級アンモニウム塩類を触
媒として併用すると好ましい。
【0040】これら架橋剤は、その添加量がアクリル系
樹脂(イ)固形分に対して0.1〜30重量%の範囲で
使用できる。特に、0.5〜10重量%の範囲が好まし
い。しかして、防曇剤組成物は、通常液状で使用され
る。液状分散媒としては、水を含む親和性ないし水混合
性溶媒が含まれ、水:メチルアルコール、エチルアルコ
ール、イソプロピルアルコール等の一価アルコール類:
エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリ
ン等の多価アルコール類:ベンジルアルコール等の環式
アルコール類:セロソルブアセテート類:ケトン類等が
あげられる。
【0041】これらは単独で用いても併用してもよい
が、用いる組成物の分散安定性、フィルム表面に塗布し
た後の濡れ性、液状分散媒除去の難易及び経済性を勘案
して決めるのが好ましい。防曇剤組成物は、疎水性アク
リル系樹脂(イ)、無機質コロイドの固形分として一般
に0.5〜50重量%の濃度で調製され、普通1〜20
重量%の濃度で調製し、これを稀釈して使用することが
多い。
【0042】本発明で調製される防曇剤組成物には更に
必要に応じて、水溶性無機塩素化合物、消泡剤、可塑
剤、造膜助剤、増粘剤、顔料、顔料分散剤等の添加剤を
混合することができる。防曇皮膜は、その組成物をフィ
ルムの表面に塗布し、強制乾燥または自然乾燥し、液状
分散媒を揮散させることで皮膜を形成する。
【0043】強制乾燥する方法としては、熱風乾燥法、
赤外線輻射法等が採用できる。強制乾燥するときの加熱
温度は、塗布された防曇剤組成物によって決定される
が、50〜250℃、好ましくは70〜200℃の範囲
である。塗布方法は、公知の如何なる方法によってもよ
く、具体的には前述した中から選べばよい。
【0044】フィルムの表面に防曇剤組成物を塗布し、
液状分散媒を乾燥、揮散させた後の固形物の付着量は、
通常0.01〜10g/m2 、好ましくは0.1〜5g
/m 2 の範囲である。フィルム表面と、本発明で用いる
防曇剤組成物に由来する皮膜との接着性が充分でない場
合には、組成物を塗布する前に、フィルム表面にプラズ
マ処理を施すとか、もしくはコロナ放電処理を施す等の
方法によってフィルム表面を改質してもよい。本発明の
農業用ポリエチレンテレフタレートフィルムを農業用被
覆材として展張使用する場合には、紫外線吸収剤を有す
る皮膜の設けられた側をハウスまたはトンネル等の外側
となるようにして使用する。
【0045】
【発明の効果】本発明に係る農業用ポリエチレンテレフ
タレートフィルムは、透明性及び耐候性に優れ、かつ、
防曇皮膜と紫外線吸収剤を含有する熱可塑性樹脂皮膜と
を有することで、その優れた防曇性が長期間持続するの
で、農業用フィルムとしての利用価値は極めて大きい。
【0046】
【実施例】以下、本発明を実施例にもとづいて詳細に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の例
に限定されるものではない。 実施例1〜9、比較例1〜8 (1)基体ポリエチレンテレフタレートフィルム 縦、横それぞれ3.5倍に延伸され、密度が1.392
g/cm3 、厚みが150μmのもの。
【0047】(2)熱可塑性樹脂皮膜 1.熱可塑性樹脂溶液(X、Y、Z、W1 〜W4 )の調
製 1−1 皮膜樹脂溶液Xの調製 架橋弾性体の製造 重合缶中に、脱イオン水300重量部(以下、単に
「部」と表示するのは「重量部」を意味する。)、過硫
酸カリ0.3部、燐酸二ナトリウム12水塩0.5部、
燐酸水素ナトリウム2水塩0.3部を仕込み、充分窒素
置換を行なったのちに、内温を70℃に昇温した。内温
をこの温度に保持し、攪拌しながら、スチレン19.8
部、アクリル酸ブチル69.3部、メタクリル酸アリル
0.9部、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム(乳
化剤)2.5部からなる混合物を、2時間を要して連続
的に添加した。
【0048】添加終了後直ちに、t−ブチルパーオキシ
−2−エチルヘキサノエート1.0部、スチレン2.2
部、アクリル酸ブチル7.7部、アクリル酸アリル0.
1部からなる混合物を加えた。加え終わってから30分
間経過してから、内温を90℃に昇温し、この温度で3
時間反応を続け、架橋弾性体のエマルジョンを得た。こ
の架橋弾性体の平均粒子径は0.20μmであり、ゲル
含量は97.1%、膨潤度は7.2であった。
【0049】 グラフト共重合体の製造 重合缶に、上記で得た架橋弾性体エマルジョン400
部を仕込み、攪拌しながら、窒素置換したのち、内温を
80℃に昇温した。内温をこの温度に保持し、攪拌しな
がら脱イオン水3.0部のナトリウムフォルムアルデヒ
ドスルホキシレート0.15部を溶解した液を添加して
からメタクリル酸メチル30.0部、n−オクチルメル
カプタン0.03部、パラメンタンハイドロパーオキサ
イド(50%溶液)0.15部の混合物を、30分間を
要して連続的に添加した。添加終了後、更に30分間重
合反応を継続し、グラフト共重合体エマルジョンを得
た。得られたグラフト共重合体エマルジョンは、常法に
従って塩析し、重合体を濾別し、水洗し、乾燥して、グ
ラフト共重合体(a)の粉末を得た。
【0050】 樹脂溶液Xの調製 上で得たグラフト共重合体(a)6.5部に、メタクリ
ル樹脂(メタクリル酸メチル/メタクリル酸エチルが9
6/4の割合の共重合体)(b)のビーズ11.5部と
飽和ポリエステル樹脂(東洋紡(株)製バイロン200
(分子量15,000〜20,000))2.0部を混
合し、この混合物をメチルエチルケトン64部とトルエ
ン16部とよりなる混合溶媒中に入れて、攪拌しつつ溶
解し、固形分が20重量%の樹脂溶液Xを調製した。
【0051】1−2 皮膜樹脂溶液Yの調製 1−1で得たグラフト共重合体(a)5.0部にメタク
リル樹脂(b)のビーズ10.0部と飽和ポリエステル
樹脂(東洋紡(株)製バイロン103(分子量18,0
00〜20,000))5.0部を混合し、この混合物
をメチルエチルケトン64部とトルエン16部とよりな
る混合溶媒中に入れて、攪拌しつつ溶解し、固形分が2
0重量%の樹脂溶液Yを調製した。
【0052】1−3 皮膜樹脂溶液Zの調製 架橋弾性体の製造 重合缶中に、脱イオン水250部、ジオクチルスルホコ
ハク酸ナトリウム2.0部、ナトリウムフォルムアルデ
ヒドスルホキシレート0.05部を仕込み、充分窒素置
換を行なった。この重合缶の内容物を攪拌しつつ、メタ
クリル酸メチル1.6部、アクリル酸ブチル8部、1,
3−ブチレンジメタクリレート0.4部、メタクリル酸
アリル0.1部、キュメンハイドロパーオキサイド0.
04部からなる混合物を仕込んだ。重合缶内温を70℃
に昇温し、この温度で60分間反応を継続した。続い
て、この重合缶にメタクリル酸メチル1.5部、アクリ
ル酸ブチル22.5部、1,3−ブチレンジメタクリレ
ート1.0部、メタクリル酸アリル0.25部およびこ
れら単量体混合物に対して0.05重量%の量のキュメ
ンハイドロパーオキサイドを加えた混合物を60分を要
して添加した。得られた架橋弾性体は、平均粒子径が
0.12μm、ゲル含量は90%、膨潤度は10であっ
た。
【0053】 グラフト共重合体の製造 上のの架橋弾性体エマルジョンを含む重合缶に、イオ
ン水3部にナトリウムフォルムアルデヒドスルホキシレ
ート0.01部を溶解した液を添加してから、メタクリ
ル酸メチル5部、アクリル酸ブチル5部、アクリル酸ア
リル0.1部およびこれら単量体に対して0.03重量
%の量のキュメンハイドロパーオキサイドを加えた混合
物を30分要して、連続的に添加した。添加終了後、更
に30分間重合反応を継続した。
【0054】この重合缶に、イオン水3部にナトリウム
フォルムアルデヒドスルホキシレート0.05部を溶解
した液を添加してから80℃に昇温し、メタクリル酸メ
チル52.25部、アクリル酸ブチル2.75部、パラ
メンタンハイドロパーオキサイド(50%溶液)0.1
3部よりなる混合物を30分を要して添加した。この添
加終了後、80℃で30分間重合反応を継続し、グラフ
ト共重合体エマルジョンを得た。得られたグラフト共重
合体エマルジョンは、常法に従って塩析し、重合体を濾
別し、水洗し、乾燥して、グラフト共重合体(c)の粉
末を得た。
【0055】 樹脂溶液Zの調製 上で得たグラフト共重合体15部と飽和ポリエステル樹
脂(東洋紡(株)製バイロン103(分子量18,00
0〜20,000))5.0部を、メチルエチルケトン
64部とトルエン16部とよりなる混合溶媒中に入れて
攪拌し、固形分が20重量%の樹脂溶液Zを調製した。
【0056】1−4 樹脂溶液W1 1−1で得たグラフト共重合体(a)6.5部に同メタ
クリル樹脂(b)のビーズ13.5部を混合し、この混
合物をメチルエチルケトン64部とトルエン16部とよ
りなる混合溶媒中に入れて、攪拌しつつ溶解し、固形分
が20重量%の樹脂溶液W1を調製した。 1−5 樹脂溶液W2 1−1で得たグラフト共重合体(a)2.0部、同
(b)のビーズ17.0部、バイロン200を1部混合
し、この混合物をメチルエチルケトン64部とトルエン
16部とよりなる混合溶媒中に入れて、攪拌しつつ溶解
し、固形分が20重量%の樹脂溶液W2を調製した。
【0057】1−6 樹脂溶液W3 前記メタクリル樹脂(b)のビーズ11.5部、バイロ
ン103を8.5部混合し、この混合物をメチルエチル
ケトン64部とトルエン16部とよりなる混合溶媒中に
入れて、攪拌しつつ溶解し、固形分が20重量%の樹脂
溶液W3を調製した。 1−7 樹脂溶液W4 前記グラフト共重合体(c)5部とバイロン103を1
5部混合し、この混合物をメチルエチルケトン64部と
トルエン16部とよりなる混合溶媒中に入れて、攪拌し
つつ溶解し、固形分が20重量%の樹脂溶液W4を調製
した。
【0058】2.紫外線吸収剤入り皮膜の形成 上記1.に記載の方法に従って調製した樹脂溶液に、第
1表に示した種類の紫外線吸収剤を、同表に記載した割
合(樹脂固形分に対する割合を意味する。)で添加し
た。添加後の各溶液をポリエチレンテレフタレートフィ
ルムの片面に、グラビアコート法によって塗布し、塗布
面を加温して溶媒を揮散させて、紫外線吸収剤入り皮膜
を形成させた。この皮膜の厚さ、フィルムの単位面積当
りの紫外線吸収剤の量を、第1表に示した。なお、比較
例2のフィルムは、基材フィルムに紫外線吸収剤を配合
した。
【0059】(3)防曇皮膜 1.アクリル系樹脂(A〜F)の調製 四ツ口フラスコにポリオキシエチレンラウリルエーテル
2重量部及び水80重量部を仕込んで窒素ガス気流下に
60℃まで加熱し、ここに過硫酸アンモニウム0.5重
量部を添加し、更に第2表に示した各単量体の混合物1
00重量部を3時間にわたって滴下した。この際の反応
温度は60〜70℃の範囲に保持するが、滴下終了後も
同温度範囲に2時間保持してから冷却し、アクリル系樹
脂エマルジョンを得た。各樹脂のガラス転移温度は、第
2表に示すとおりであり、次式により算出した値であ
る。
【0060】
【数1】(1/Tg)=(W1 /Tg1 )+(W2 /T
2 )+…+(Wn /Tgn ) (式中、 Tg:疎水性アクリル系樹脂のガラス転移温度(k) Tg1 、 Tg2 …Tgn :各成分1,2…nのホモポリ
マーのガラス転移温度(k) W1 ,W2 …Wn :各成分1,2…nの重量分率を各々
示す。)
【0061】2.防曇皮膜の形成 1.で得られたアクリル系樹脂エマルジョンに第3表に
示した種類及び量の無機質コロイドゾル、その他を配合
し、防曇剤組成物を調製した。 (2)で得られたポリエチレンテレフタレートフィルム
の皮膜を形成した面の反対面上に、各防曇剤組成物をバ
ーコート法によって、乾燥後の塗布量が固形分として
0.5g/m2 となるように塗布し、80℃の熱風中に
1分間滞留させ溶媒を飛散させた。
【0062】(4)ポリエチレンテレフタレートフィル
ムの評価 (3)で得られた各ポリエチレンテレフタレートフィル
ムについて次に記載した方法で各種の性質を評価し、各
結果を第3表に示した。 1.防曇皮膜の密着性 各フィルムの防曇皮膜を形成した面にセロハンテープを
接着し、このセロハンテープを剥した時に、皮膜の剥離
状況を肉眼で観察した。評価基準は、次のとおりであ
る。 ○ ;塗膜が全く剥離せず、完全に残ったもの。 ○x;塗膜の2/3以上が剥離せず残ったもの。 △ ;塗膜の1/3以上が剥離したもの。 × ;塗膜が完全に剥離したもの。
【0063】2.防曇性試験 各フィルムを名古屋市内の試験圃場に設置した片屋根式
の防曇試験槽(間口1m、奥行5m、棟高1.3m、屋
根勾配30°)に皮膜を設けた面を試験槽の内側にして
被覆し、定期的に肉眼で防曇性を評価した。評価基準は
次のとおりである。 ○ ;水が薄膜状に付着しているが、わずかに大粒の水
滴が認められる状態。 ○x;水が薄膜状に付着しているが、部分的に大粒の水
滴の付着が認められる状態。 △ ;部分的に細かい水滴の付着が認められる状態。 × ;フィルムの内面全体に細かい水滴の付着が認めら
れる状態。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】*1 水系エマルジョン中の重合体固形物
量を示した *2 無機質粒子量を示した *3 相互薬工(株)製アジリジン系化合物 *4 大日本インキ(株)製ビスフェノールAタイプエ
ポキシ化合物
フロントページの続き (72)発明者 高澤 孝 愛知県名古屋市中村区岩塚町大池2番地 三菱化学エムケーブイ株式会社名古屋 事業所内 (72)発明者 大林 厚 愛知県名古屋市中村区岩塚町大池2番地 三菱化学エムケーブイ株式会社名古屋 事業所内 (56)参考文献 特開 昭60−178049(JP,A) 特開 平8−58044(JP,A) 特開 昭63−153134(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 A01G 9/14 A01G 13/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸方向に延伸されたポリエチレンテレ
    フタレートフィルムの片面に、ガラス転移温度が35〜
    80℃の範囲にある疎水性アクリル系樹脂(イ)の水分
    散液及び無機質コロイドゾルを主成分とする防曇剤組成
    物に由来する皮膜が形成され、他の片面に、紫外線吸収
    剤が配合されてなる厚さ1〜10μmのアクリル系樹脂
    (ロ)と飽和ポリエステル系樹脂(B)を主成分とする
    熱可塑性樹脂皮膜が形成されてなり、該アクリル系樹脂
    (ロ)が、架橋アクリル酸エステル系弾性体(A)の粒
    子の存在下に、メタクリル酸アルキルエステル単量体、
    又はメタクリル酸アルキルエステル単量体を主成分と
    し、これと共重合可能なビニル系単量体との混合物を重
    合して得られる、架橋アクリル酸エステル系弾性体を幹
    とするグラフト共重合体を含有しており、アクリル系樹
    脂(ロ)中の該弾性体(A)の割合が5〜80重量%で
    あり、熱可塑性樹脂中の樹脂(B)の割合が1〜50重
    量%であり、(A)/(B)の重量比が1/1〜20/
    1である農業用ポリエチレンテレフタレートフィルム。
  2. 【請求項2】 紫外線吸収剤が、熱可塑性樹脂100重
    量部に対して10〜25重量部配合されてなる請求項1
    記載の農業用ポリエチレンテレフタレートフィルム。
  3. 【請求項3】 飽和ポリエステル系樹脂が、テレフタル
    酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグ
    リコール成分とする重合体である、請求項1または2記
    載の農業用ポリエチレンテレフタレートフィルム。
  4. 【請求項4】 疎水性アクリル系樹脂(イ)が、(メ
    タ)アクリル酸アルキルエステルまたは(メタ)アクリ
    ル酸アルキルエステルとアルケニルベンゼンとの混合物
    を100〜60重量%、及びこれらと共重合可能なα,
    β−エチレン性不飽和単量体0〜40重量%を重合して
    得られた単独重合体または共重合体である、請求項1な
    いし3のいずれかの項に記載の農業用ポリエチレンテレ
    フタレートフィルム。
  5. 【請求項5】 防曇剤組成物中の無機質コロイドゾルの
    固体平均粒子が、5〜100mμである請求項1ないし
    4のいずれかの項に記載の農業用ポリエチレンテレフタ
    レートフィルム。
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