JP3199128B2 - 音声の符号化方法 - Google Patents

音声の符号化方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、音声のスペクトル包
絡特性を表すフィルタを、音源ベクトルで駆動して音声
を合成する予測符号化することにより、音声の信号系列
を少ない情報量でディジタル符号化する高能率音声符号
化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ディジタル移動体通信において電波を効
率的に利用したり、音声蓄積サービス等で記憶媒体を効
率的に利用するために、高能率音声符号化方法が用いら
れる。現在、音声を高能率に符号化する方法として、原
音声をフレームと呼ばれる5〜50ms程度の一定間隔の区
間に分割し、その1フレームの音声を、周波数スペクト
ルの包絡特性を表す線形フィルタの特性と、そのフィル
タを駆動するための駆動音源信号との2つの情報に分離
し、それぞれを符号化する手法が提案されている。この
手法において、駆動音源信号を符号化する方法として、
駆動音源信号を音声のピッチ周期(基本周波数)に対応
すると考えられる周期成分と、それ以外の成分(非周期
成分)とに分離して符号化する方法が知られている。こ
の駆動音源情報の符号化法の例として、符号駆動線形予
測符号化(Code-Excited Linear Prediction:CELP)があ
る。上記技術の詳細については、文献M.R.Schroeder an
d B.S.Atal,"Code-Excited Linear Prediction(CELP):
High-Quality Speech at Very Low Bit Rates",IEEE Pr
oc.ICASSP-85,pp.937-940,1985に記載されている。
【0003】図8に上記符号化方法の構成例を示す。入
力端子1に入力された原音声は、線形予測分析部2にお
いて、原音声の周波数スペクトル包絡特性を表す線形予
測パラメータが計算される。得られた線形予測パラメー
タは、線形予測パラメータ符号化部3において符号化さ
れて線形予測パラメータ復号化部4に送られる。線形予
測パラメータ復号化部4では、受け取った符号からフィ
ルタ係数を再生し、合成フィルタ11および歪み計算部
12に送る。なお、線形予測分析の詳細および線形予測
パラメータの符号化例については、例えば、古井貞煕著
“ディジタル音声処理”(東海大学出版会)に記載され
ている。ここで、線形予測分析部2、線形予測パラメー
タ符号化部3、線形予測パラメータ復号化部4、および
合成フィルタ11は、非線形な分析および非線形なフィ
ルタに置き換えてもよい。
【0004】適応符号帳5からは、バッファに記憶され
た、直前の過去の駆動音源ベクトル(既に量子化された
直前の1〜数フレーム分の駆動音源ベクトル)を、ある
周期に相当する長さで切り出し、その切り出したベクト
ルをフレームの長さになるまで繰り返すことによって、
音声の周期成分に対応する時系列ベクトルの候補が出力
される。
【0005】雑音符号帳6からは、音声の非周期成分に
対応する1フレーム分の長さの時系列符号ベクトルの候
補が出力される。これらの候補は通常白色ガウス性雑音
を基調とし、入力音声とは独立に、符号化のためのビッ
ト数に応じてあらかじめ指定された数の候補ベクトルが
記憶されている。適応符号帳5および雑音符号帳6から
出力された各時系列ベクトルの候補は、乗算部8、9に
おいて、それぞれ重み作成部7において作成された重み
a,rが乗算され、加算部10において加算されて、
駆動音源ベクトルの候補となる。
【0006】合成フィルタ11は、線形予測パラメータ
復号化部4の出力をフィルタの係数とする線形フィルタ
で、加算部10の出力である駆動音源ベクトル候補を入
力として、再生音声の候補を出力する。合成フィルタ1
1の次数すなわち線形予測分析の次数は、一般に10〜
16次程度が用いられることが多い。なお、既に述べた
ように、合成フィルタ11は非線形なフィルタでもよ
い。
【0007】上記手順によって、一つの再生音声候補が
作られる様子を、図9に模式的に示す。歪み計算部12
では、合成フィルタ11の出力である再生音声の候補
と、入力音声との歪みを計算する。この歪みの計算は、
例えば聴覚重み付けなど、合成フィルタ11の係数、ま
たは量子化してない線形予測係数を考慮に入れて行うこ
とが多い。
【0008】符号帳検索制御部13では、各再生音声候
補と入力音声との歪みが最小となるような、周期符号、
雑音符号および重み符号を選択し、そのフレームにおけ
る駆動音源ベクトルを決定する。符号帳検索制御部13
において決定された、周期符号、雑音符号、重み符号
と、線形予測パラメータ符号化部3の出力である線形予
測パラメータ符号は、符号送出部14に送られ、利用の
形態に応じて、記憶されるか、または受信側へ送られ
る。
【0009】図10に、復号化方法の構成例を示す。復
号化方法は、符号帳の検索をしないで、受信した符号か
ら音声を再生する点が符号化方法と異なるが、基本的に
は符号化方法と同一の構成となる。符号受信部21は、
伝送路あるいは記憶媒体から線形予測パラメータ符号、
周期符号、雑音符号と重み符号を受け取る。線形予測パ
ラメータ符号は線形予測パラメータ復号化部22に送ら
れ、フィルタ係数に変換される。
【0010】適応符号帳23は、バッファに記憶されて
いる前フレームの駆動音源ベクトル(既に復号化された
直前の1〜数フレーム分の駆動音源ベクトル)と受け取
った周期符号から、直前の過去の駆動音源ベクトルを周
期符号で指定される周期に相当する長さで切り出し、そ
の切り出したベクトルをフレームの長さになるまで繰り
返すことによって、音声の周期成分に対応する時系列ベ
クトルを出力する。
【0011】雑音符号帳24は、あらかじめ決められた
数だけ記憶された1フレーム分の長さの時系列ベクトル
のなかから、受け取った雑音符号で指定される時系列ベ
クトルを出力する。重み作成部25は、受け取った重み
符号から、適応符号帳23および雑音符号帳24より出
力される符号ベクトルに乗ずるべき重みの値を出力す
る。
【0012】上記各符号ベクトルは、それぞれ乗算部2
6、27において、重みの値が乗算される。重みが乗算
された両ベクトルは、加算部28において加算され、駆
動音源ベクトルとなる。合成フィルタ29は、線形予測
パラメータ復号化部22の出力をフィルタ係数とする線
形フィルタで、加算部28より駆動音源ベクトルを受け
取って、音声を再生する。符号化方法の項でも述べた
が、合成フィルタ29として非線形なフィルタが用いら
れることもある。
【0013】再生音声は端子30より出力される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】このような符号化方法
において、適応符号帳の果たす役割は大きい。有声部な
ど、音声の周期成分が大きい部分では、適応符号帳の出
力である適応符号ベクトルに乗算される重みga の値は
一般に大きな(1に近い)値に符号化される。一方、無
声部など、音声に周期成分が少ないところでは、重みg
a の値は小さな(0に近い)値に符号化される。しか
し、音声に周期性がある部分でも、例えばその周期性が
非定常な場合や、適応符号帳のモデルで十分にその周期
性が表現できない場合には、歪み計算部12において計
算された歪みが最小になるように符号帳検索制御部13
で重み符号=重みga の値を決定すると、ga の値が小
さく符号化されてしまい、再生音声の品質が著しく低下
する。この発明の目的は、音声の周期性が非定常な部分
や、適応符号帳のモデルで十分に周期性を表現できない
場合でも、適応符号帳による符号化部分を改善すること
によって、低ビットで、聴覚的に高品質な音声の符号化
方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明では、音声の周
期性が非定常な部分や、適応符号帳のモデルで十分に周
期性を表現できない場合に、入力音声を適応符号帳のモ
デルに合った形に変形した後、適応符号帳の周期符号と
重み符号=重みga とを符号化することによって、重み
a の値を大きく符号化して高能率な符号化を実現する
とともに、変形による聴覚的な品質の劣化を最小限に抑
えるために、変形そのものを聴覚的に影響のほとんどな
い範囲で行うか、または変形によって生じた劣化を補償
する処理を復号化処理の中で行うことによって、低ビッ
トで、聴覚的に高品質な音声の符号化方法を実現する。
【0016】
【実施例】図1にこの発明による符号化方法の構成例を
示し、図8と対応する部分に同一符号を付けてある。端
子1より入力された原音声は、この発明では前処理部3
1において、適応符号帳5のモデルでより表現しやすい
信号に変形され、歪み計算部12に送られる。この前処
理は入力音声に含まれる、連続的またはゆらぎ的に変化
している、ピッチ周期およびピッチ周期に対応する長さ
の波形を単位として定義される音声の成分を、フレーム
内で定常な信号になるように変化することであり、その
具体例は後述する。歪み計算部12では、前処理音声と
各再生音声候補との歪みを計算し、符号帳検索制御部1
3において歪みが最小となる各符号が選択される。
【0017】前処理の方法によっては、前フレームの駆
動音源ベクトルを利用して前処理を行う場合もある。ま
た、変形した前処理音声が聴覚的にほとんど劣化を生じ
ないない場合には、修復のための符号を伝送する必要は
なく、復号化でも、図10に示した従来の復号化方法を
そのまま用いることができる。一方、符号化の能率を大
幅に向上させるためには、聴覚的に劣化を生じるような
前処理が必要になることがある。この場合には、前処理
部31での処理に対応した修復符号を符号送出部14か
ら送出し、図2に図10と対応する部分に同一符号を付
けて示す復号化方法によって、合成フィルタ29で再生
された音声に対して、修復処理部32において変形によ
る品質の劣化を修復符号により補償するような修復処理
を施す。ただし、修復符号を用いなくても、あらかじめ
決められた処理によって前処理による劣化を補償できる
場合には、修復符号を送る必要はない。
【0018】図2の復号化方法では、修復処理部32を
合成フィルタ29の後に入れているが、加算部28と合
成フィルタ29の間に入れてもよい。また、図1の符号
化方法では、原音声に前処理を施して歪み計算に用いて
いるが、歪み計算部12に入力するリファレンス音声は
原音声のままで、加算部10の出力である駆動音源ベク
トル候補に変形を加えることによっても、等価な処理を
行うことができる。
【0019】図1、図2において破線で示してある部分
は、必要に応じて用いることを示す。符号駆動線形予測
符号化(CELP)において、リファレンス(入力)音
声ベクトルをx、適応符号ベクトルをe、適応符号ベク
トルに乗ずる重みをga ,雑音符号ベクトルをc、雑音
符号ベクトルに乗ずる重みをgr ,合成フィルタ11の
インパルス応答を要素とする行列を
【0020】
【数1】 とすると、歪みEは一般に次のように定義される。 E=‖x−gaHe−grHc‖2 ただし、聴覚重み付け等の項は省略した。聴覚重み付け
を考慮する場合でも、xおよびHに若干の変更を加える
のみで、上式と同じ形で表現できる。上式において、E
が最小になるように、ga , e,gr ,cを探索する。
しかし一般的には、現実的な演算量で探索するため、先
に grHc=0 としてEが最小になる、ga ,eを決定したのち、
a ,eの値(またはベクトル)を固定してgr ,cを
決定することが多い。上記手法によるとga の最適値
は、 ga=(xtHe)/‖He‖2 歪みは、 E=‖x‖2−(xtHe)2/‖He‖2 で与えられる。ただし、eは未知ベクトルで、適応符号
帳のモデルによって最適なベクトルを探索する。このと
き、有声部であるにもかかわらず、上記ga の値が小さ
いと、一般に再生音声の品質は悪い。そこで、ベクトル
xに変形を加える前処理によってga を大きくとれれ
ば、符号化の能率が向上し、再生音声の品質の向上につ
ながる。
【0021】次に、図1における前処理部31の具体的
な実施例を示す。まずピッチ周期について前処理する例
を図3に模式的に示す。(a)は入力音声に合成フィル
タ11の逆フィルタをかけた残差信号である。音声は非
定常な信号であるので、ピッチ周期を1ピッチ波形ごと
に正確に測ると、同じフレーム内でもピッチ周期が
2 ,L3 と微妙に変化していることがある。これは一
般に「ゆらぎ」と呼ばれるものの他に、アクセント等に
よるピッチ変化によって、徐々に変化している場合があ
る。このようなピッチ周期の変化は、適応符号帳5のモ
デルでは表現しきれないため、その結果上記ga の値が
小さくなる。そこで、図3(b)に示すようにピッチ周
期を等間隔L4 =(L2 +L3 )/2に変換する。ある
いは図3(c)に示すように、L5 =(L1 +L2 +L
3 )/3の等間隔とする。また、CELPでは、適応符
号帳のラグ(繰り返し単位)が実際のピッチ周期の2倍
や3倍になることがあるので、図3(d)に示すよう
に、L6 =L 0 とし、L7 =(L1 +L2 +L3
0 )/2として適応符号帳のラグで繰り返したときに
最適となるように間隔の変換を行ってもよい。(d)は
ピッチ周期の2倍の場合を示したが、3倍、4倍の場合
にも容易に拡張できる。
【0022】これらの処理は、図4Aに示すように、原
音声をピッチ周期分析部33において1ピッチ波形ごと
の正確なピッチ周期を分析しながら、ピッチ周期変換部
34で音声波形の変形処理をする。また、図3では前の
フレームも現在のフレームも残差で処理する様子を示し
たが、過去のフレームは前フレームの駆動音源信号を用
いて処理してもよい。この場合には、ピッチ間隔分析部
33では、前フレーム前の駆動音源信号を用いて分析を
行う。上記処理において、ピッチ周期の変換量がわずか
な場合には、処理によって聴覚的な劣化はほとんど生じ
ないため、復号化の過程で前処理の補償処理を行わなく
ても大きな問題はない。しかし、復号化の過程で、再び
ピッチ周期がなめらかな変化となるような処理をすれば
なお良い。
【0023】ピッチ周期の分析方法の例を図5に示す。
図5(a)は入力音声に合成フィルタ11の逆フィルタ
をかけた残差信号を表す。まず現在のフレームの残差で
の最大点を見つけ、その最大点を中心として1ピッチ長
の残差波形を切り出す。この切り出した波形を図5
(b)に示す。このときの1ピッチ長は、例えば変形相
関法等を用いて算出した、フレーム内の平均ピッチ周期
を用いればよい。また、切り出す長さは、必ずしも1ピ
ッチ長でなくてもよく、任意の長さでよい。一般に1ピ
ッチ長の70〜80%程度の長さにすることも多い。
【0024】次に、切り出した波形をマッチドフィルタ
の係数として、残差波形上で移動させながら図5(c)
に示すような相関値系列を計算する。このとき、波形を
切り出した最大点の時刻では、相関の値は1となる。正
確なピッチ間隔を決める基準位置は、この相関値のピー
クを検出することにより決定する。決定された基準位置
を図5(d)に示す。このようにして決定されたピッチ
基準位置の間隔をもってピッチ周期(間隔)とし、上記
基準位置は以後の変形処理においても利用される。上記
処理において、図5(a)に示される残差は、過去のフ
レームについては、既に量子化された駆動音源信号で置
き換えてもよい。また、現在のフレームの残差について
は、逆フィルタの内部状態を、既に量子化された駆動音
源信号で置き換えて計算してもよい。
【0025】また、ピッチ周期(間隔)を変換する方法
の例を図6に示す。図6(a)は残差を、図6(b)は
上記方法で求めたピッチ基準位置とする。ピッチ間隔の
変換は、基準位置の間隔が指定された値になるように、
図6(b)に示されるピッチ基準位置を図6(c)に示
すように移動させる。まず、図6(b)の各基準位置に
おいて、図6(d)に示すように重みが1、隣接する基
準位置において重みが0となる窓関数をつくり、この窓
関数を図6(a)の残差信号にかけて切り出す。次に切
り出した波形を、図6(e)に示すように、図6(c)
の基準位置の移動に合わせてずらし、ずらした各波形を
再度重ね合わせることによって、ピッチ間隔の変換され
た残差を生成する。このとき、フレームをまたいで変形
処理をする場合には、音声の先読みを行って、残差図6
(a)をバッファに蓄えておかなければならない。な
お、図6では、窓関数として三角窓を用いたが、基準位
置付近の波形の保存を重視する場合には、ハニング窓等
を用いるとよい。
【0026】ピッチ間隔変換の上記実施例は、波形の重
ね合わせの手法によっているが、図7に示すように、基
準位置から基準位置までの波形を伸縮することによって
ピッチの間隔を変換してもよい。また、最も簡単な方法
としては、基準位置と基準位置の中間の波形を、ピッチ
を短くする場合には削除し、長くする場合には、0を挿
入する方法によってもよい。処理音声は、変形された残
差を合成フィルタに通すことによって作成する。
【0027】次にピッチ周期に対応する長さの波形を単
位として定義される音声の成分として振幅(ピッチゲイ
ン)について前処理する例を図3(e),(f)に模式
的に示す。図3(e)は入力音声に合成フィルタ11の
逆フィルタをかけた残差信号である。音声は非定常な信
号であるので、ピッチ周期に相当する時間遅れた波形の
相関(ピッチゲイン)を1ピッチ波形ごとに正確に測る
と、同じフレーム内でも相関値が微妙に変化しているこ
とがある。つまりピーク値がわずか異なっている。この
ような場合にも、適応符号帳のモデルで十分に表現でき
ない。そこで、図3(f)に示すように、ピッチゲイン
をフレーム内で一定になるように変形し、同一ピーク
(振幅)すれば、適応符号帳による予測精度が上がり、
その結果適応符号ベクトルに乗ずる重みの値を大きくと
ることができる。
【0028】この処理は、図4Bに示すように、ピッチ
ゲイン分析部35でフレーム内のピッチゲインを正確に
分析しながら、ピッチゲイン変換部36で変形処理を行
う。この処理でも、ピッチゲイン分析部35での分析の
際に前フレームの駆動音源ベクトルを用いると量子化レ
ベルに応じた最適な処理を行うことができる。ピッチゲ
インの変換方法については、残差領域での各1ピッチ波
形にある値を乗ずる方法などによる。この処理の場合に
は、前処理によって若干の品質劣化を伴うことがあるの
で、必要があれば復号化の過程で、前後のフレームの情
報からピッチゲインがなめらかに変化するように補償処
理をすることが望ましい。ただし、修復のための情報に
ビットを割り当てて、修復符号として特に伝送する必要
性が生じることは少ないと考えられる。
【0029】次に、前記ピッチ周期に対応する長さの波
形を単位として定義される音声の成分として、周波数ス
ペクトルの位相特性について前処理する例を図3
(g),(h)に示す。図3(g)は、残差信号から1
ピッチ波形を切り出した波形を模式的に示したものであ
る。残差波形は一般に白色のパワースペクトルを持つ
が、位相特性に関しては非定常的に変化している。例え
ば、図3(g)の波形は、パワースペクトルを維持した
ままで図3(h)に示すように位相のみを変えることが
できる(様子を模式的に示した)。フレーム内で位相が
変化している場合はもちろん、既に量子化した前フレー
ムの駆動音源信号と位相が異なっていても適応符号帳の
モデルで十分表現することができないため、品質の劣化
となる。
【0030】そこで、図4Cに示すように位相分析部3
7において原音声の位相を1ピッチごとに分析しなが
ら、位相変換部38において変形処理を行う。また、位
相分析部37で、前フレームの駆動音源信号の位相も併
せて分析しながら、前フレームの位相に合わせる等の最
適な処理を行うと効果が大きい。なお、図3(h)は図
3(g)の波形をパルスが急峻になるような波形に変形
処理をしているが、この発明における変形では位相の変
化は任意である。人間の聴覚特性は、位相情報の変化に
対して鈍感であるので、この処理において極端な品質劣
化が生じることは少ない。しかし、一般に位相が単調に
なると、再生音声がブザー音的になり、いわゆる「合成
音的で自然性に欠ける音」になりやすい。そこで、伝送
または記憶のためのビットに余裕がなければ補償処理を
しなくても特に問題は生じないと考えられるが、修復の
ための情報にいくらかビットを割り当てるとより自然な
再生音が得られる。
【0031】上述した3つの前処理は、全部を同時に行
ってもよいし、任意のものを組み合わせて用いてもよ
い。より適応符号帳のモデルを満たすためには、適応符
号帳が過去の駆動音源ベクトルをある周期で繰り返すよ
うに、これから符号化すべき波形も、ある位置から切り
出した波形を、ある周期で繰り返した波形に変形すると
よい。この場合にも、上記の各前処理の手法を併用でき
る。この処理の場合には、入力(リファレンス)音声が
極めて単調な波形になるため、いわゆる「合成音的で自
然性に欠ける音」でも情報量が優先されるような応用分
野で効果があると考えられる。しかし、ある程度の自然
性を必要とする場合には、処理音声と原音声との変化分
を適当なビット数で符号化して、修復符号として伝送す
る必要がある。
【0032】このほか、前述のga の値を大きくする直
接的な前処理として、ダイナミックプログラミングの手
法を用いて入力xを変形してもよい。なお、この発明
は、CELPだけでなく、適応符号帳のモデルに基づく
すべての符号化方式に対して適応される。また、ピッチ
フィルタと呼ばれるピッチ周期をタップ位置とするフィ
ルタによって音声の周期性を表現するタイプの符号化方
式にも適用される。
【0033】
【発明の効果】以上述べたように、この発明により、適
応符号帳のモデルによって音声の表現が容易になり、そ
の結果適応符号ベクトルに乗算される重みの値(量子化
値)を大きくとることができ、一層符号化による歪みを
小さくすることができる。一方、変形処理を修復するた
めの伝送または記憶する情報がないか、もしくはわずか
で良いような前処理をすることにより、伝送または記憶
するための情報量を増加させることなく、より高品質な
符号化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の符号化方法の構成を示すブ
ロック図。
【図2】この発明の実施例の復号化方法の構成を示すブ
ロック図。
【図3】この発明における前処理の各種例を説明するた
めの波形図。
【図4】前処理部31の各種構成例を示すブロック図。
【図5】ピッチ間隔を分析する一実施例において、ピッ
チ基準位置が決定される様子を模式的に示した図。
【図6】ピッチ間隔を変換する一実施例を模式的に示し
た図。
【図7】ピッチ間隔を変換する一実施例において、基準
位置から基準位置までの波形の変形方法の一例を模式的
に示した図。
【図8】符号駆動線形予測符号化法の符号化方法の一般
的構成例を示すブロック図。
【図9】符号駆動線形予測符号化法において、適応符号
帳と雑音符号帳から再生音声候補が作られる様子を模式
的に表した図。
【図10】符号駆動線形予測符号化法の復号化方法の一
般的構成例を示すブロック図。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−61891(JP,A) 特開 平6−27996(JP,A) 特開 平3−119398(JP,A) 特開 平4−344699(JP,A) 特開 昭61−150000(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10L 19/08 G10L 19/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フレーム単位に、適応符号帳から取り出
    した、過去の駆動音源ベクトルをピッチに対応する周期
    で繰り返して作成した時系列ベクトルと、 雑音符号帳から取り出した時系列ベクトルとで、 フィルタを駆動して音声を再生することを用いて入力音
    声を符号化する音声の符号化方法において、 入力音声に含まれる、連続的またはゆらぎ的に変化して
    いる、ピッチ周期およびピッチ周期に対応する長さの波
    形を単位として定義される音声の成分を、 フレーム内で定常な信号になるように変形したものをあ
    らためて符号化のための入力音声とする、 ことを特徴とする音声の符号化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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