JP3195897B2 - ステレオ受信機 - Google Patents

ステレオ受信機

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JP3195897B2
JP3195897B2 JP34359495A JP34359495A JP3195897B2 JP 3195897 B2 JP3195897 B2 JP 3195897B2 JP 34359495 A JP34359495 A JP 34359495A JP 34359495 A JP34359495 A JP 34359495A JP 3195897 B2 JP3195897 B2 JP 3195897B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、周波数変調ステレ
オ放送などを受信するステレオ受信機に関する。
【0002】
【従来の技術】周波数変調(以後、「FM」と略称す
る)ステレオ放送などにおいては、放送を受信している
ときに、突発的に発生する雑音であるマルチパス雑音が
混入することがある。マルチパス雑音とは、送信アンテ
ナから受信アンテナに直接到達する直接波、および送信
アンテナから送信された電波が物体で反射されて受信ア
ンテナに至る反射波など、複数の長さの異なる伝送路を
介して伝送された信号を、同時に受信アンテナで受信し
たときに発生する雑音である。
【0003】マルチパス雑音を低減する手法としては、
マルチパス発生時にステレオ放送のチャネルの分離度を
小さくする手法がある。チャネルの分離度とは、ステレ
オ放送を伝送するときに、左または右のチャネルの信号
が右または左のチャネルの信号に漏れて混合される度合
である。分離度を低下させるほど、伝送された信号から
復調され再生される音声の雑音レベルが低下する。また
再生された音声は、聴取者には、モノラル音声に近い音
声として聴取される。図15は、従来技術のステレオ受
信機に付加される分離度制御回路を示すブロック図であ
る。
【0004】ステレオ受信機で受信された受信信号は、
Sメータ回路に与えられる。Sメータ回路は、アンテナ
で受信された受信信号の受信電界強度に対応した電圧の
信号を出力する。Sメータ回路の出力電圧をSメータ電
圧と称する。図16は、Sメータ回路から出力されるS
メータ電圧の時間変化を示すグラフである。受信信号に
マルチパス雑音が重畳されているとき、受信信号の受信
電界強度が増減する。ゆえにSメータ電圧は、マルチパ
ス雑音が重畳されている時間W1,W2の間でだけ増減
する波形となる。
【0005】Sメータ回路から出力されたSメータ電圧
は、増幅回路3において交流成分だけが増幅される。交
流成分が増幅されたSメータ回路からの出力信号と、S
メータ回路から直接出力された出力信号とが加算器4に
おいて加算される。これによって、マルチパス雑音によ
るSメータ電圧の変動部分が増幅される。図17は、加
算器4から出力される出力信号の電圧の時間変化を示す
グラフである。この出力信号の電圧は、図16に示すS
メータ回路のSメータ電圧と比較して、マルチパス雑音
の部分である時間W1,W2での電圧の変動が大きい。
【0006】加算器4から出力された出力信号は、検波
回路7において検波される。検波回路7は、たとえばピ
ークホールド回路などと称される積分回路を有し、加算
器4からの出力信号に対して負の包絡線検波を行う。た
とえば積分回路は、マルチパス雑音が発生すると、その
雑音の発生回数に応じて積分回路のコンデンサからの放
電を行う。マルチパス雑音が発生しなくなると、コンデ
ンサは充電を開始して、マルチパス雑音が発生する前の
レベルまで戻る。
【0007】図18は、検波回路7から出力される分離
度制御信号の制御電圧の時間変化を示すグラフである。
この分離度制御信号は、チャネル分離回路9に与えられ
る。チャネル分離回路9では、分離度に応じて、アンテ
ナで受信された受信信号を周波数弁別して復調する周波
数弁別回路から与えられる音声信号を、左右各チャネル
毎の音声信号にステレオ分離する。分離度は、分離度制
御信号の制御電圧が低下するほど小さくなるように定め
られる。分離度が低下するほど、左または右チャネルの
信号が右または左チャネルの信号に漏れて混合される度
合が大きくなる。また、分離度を低下させるほど、再生
される音声の雑音レベルは低下する。これによって、マ
ルチパス雑音を低減させることができる。
【0008】マルチパス雑音のように突発的に発生する
雑音を軽減するためには、雑音発生と同時に分離度を減
少させる必要がある。ゆえに、検波回路7において分離
度制御信号を生成するとき、マルチパス雑音の発生に応
答して分離度制御信号のレベルを予め定めるレベルに低
下させるまでの時間である作動応答時間W3はできる限
り短く設定される。
【0009】また、分離度を低下させるほど、再生され
た音声は、モノラル音声に近い音声として聴取者に聴取
される。これによって、聴取者に良好なステレオ放送を
提供するには、マルチパス雑音が発生しなくなった後に
は、速やかに分離度を増加させて音声をステレオ音声に
戻す必要がある。モノラル音声とは、左右各チャネルの
音声が同一である音声である。ステレオ音声とは、左右
各チャネルの音声が異なる音声である。
【0010】モノラル音声とステレオ音声とでは、音声
の音象、定位、および左右のスピーカ出力などが異な
る。分離度を頻繁に増減して、ステレオ音声とモノラル
音声とを切換えると、聴取者には、音声の音象、定位お
よび左右のスピーカ出力などが間欠的に変化するように
聴取される。ゆえに、その都度ステレオ音声がモノラル
音声に切換わったように聴取され、音揺れ感が生じる。
したがって、ステレオ放送を聴取するときに違和感が生
じる。ゆえに、検波回路7から出力される分離度制御信
号において、マルチパス雑音が発生しなくなってから分
離度制御信号のレベルをマルチパス雑音発生前のレベル
まで戻すまでの時間である作動解除時間W4は、作動応
答時間W3と比較して充分に長く設定されることが多
い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、マル
チパス雑音が発生したときには音声信号を左右のチャネ
ル毎の音声信号に分離する分離度を速やかに低下させ、
マルチパス雑音の発生が終了したときには聴取者に音揺
れ感などを感じさせない程度に遅く元のレベルまで戻す
ことが好ましい。
【0012】このとき、たとえば2〜3回毎の少数のマ
ルチパス雑音が間欠的に発生するときに分離度を最少レ
ベルまで低下させるようにすると、分離度が低下する回
数が増して、音揺れ感などが感じられやすくなる。ま
た、分離度が低下している間は音声はモノラル音声に近
付いているので、良好なステレオ放送を提供することが
できない。
【0013】さらに、このように少量の雑音が発生した
ときに分離度を急激に変化させると、音声は頻繁にステ
レオ放送の音声からモノラル音声に近い音声に切換わる
ことになり、音揺れ感などが増す。逆に、多数の雑音が
発生したときだけ分離度を低下させると、散発的なマル
チパス雑音を軽減することが困難になる。
【0014】本発明の目的は、聴取者が放送を聴取する
ときに、再生された音声から違和感を感じさせず、かつ
速やかにマルチパス雑音を低減させることができるステ
レオ受信機を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、ステレオ放送
の送信信号を受信する受信手段と、受信手段の出力に応
答し、受信手段から出力される受信信号を復調する復調
手段と、復調手段の出力および分離度制御信号に応答
し、その分離度制御信号のレベルに対応する分離度で、
復調された受信信号を左右チャネル毎の音声信号に分離
して導出するチャネル分離手段と、受信手段の出力に応
答し、受信信号から雑音信号を抽出する雑音抽出手段
と、雑音抽出手段の出力に応答し、抽出された雑音信号
の雑音密度が高いほど、複数の段階的にまたは連続的
に、前記分離度を小さく設定するようにチャネル分離手
段を制御する分離度制御信号を出力する分離度制御手段
とを含むことを特徴とするステレオ受信機である。本発
明に従えば、ステレオ受信機は、FMステレオ音声放送
など、ステレオ放送の送信信号を受信手段で受信する。
受信手段から出力された受信信号は復調手段で復調さ
れ、復調結果から左右チャネル毎の音声信号を分離され
て、ステレオ放送が再生される。左右チャネル毎の音声
信号は、復調手段の後段に設けられるチャネル分離手段
において、復調された受信信号を後述する分離度制御信
号に基づいて演算して分離される。分離度制御信号は、
受信信号の雑音の重畳の有無、および雑音密度に基づい
て生成される。受信信号に重畳された雑音は、雑音抽出
手段において受信信号から抽出される。雑音の原因とし
ては、マルチパス妨害などが挙げられる。マルチパス妨
害によって生じるマルチパス雑音は、突発的に発生し、
受信信号の電界強度を瞬間的に低減させるような雑音で
ある。ステレオ放送を受信し復調するステレオ受信機に
おいて、再生される音響からマルチパス雑音のように突
発的に発生する雑音を低減する手法としては、受信信号
から左右の音声信号を分離する分離度を低下させる手法
がある。分離度を低下させることは、左右チャネルの音
声信号が異なるステレオ音声を、左右チャネルから同一
の音声信号が出力されるモノラル音声に近付けることと
等価である。雑音抽出手段において雑音が抽出される
と、分離度制御手段は、予め定める時間内に発生するマ
ルチパス雑音の数である雑音密度に基づいて、分離度制
御信号を生成する。雑音密度に基づいた分離度制御信号
は、雑音密度が大きいほど分離度が小さく設定されるよ
うな信号である。ステレオ放送では、左右チャネルの音
声信号を加算した和信号と、左右チャネルの音声信号を
減算して差を求めた差信号とが、それぞれ受信信号の変
調周波数の低域側および高域側に含まれる。チャネル分
離回路では、和信号と差信号とから左右両チャネルの音
声信号を求めるに当たって、和信号に対する差信号のレ
ベルの割合を小さくするほど、変調周波数の高域側に含
まれ易い雑音を低減させることができる。マルチパス雑
音などは特に高域側に含まれ易いので、分離度を低下さ
せることによってマルチパス雑音を低減させることがで
きる。雑音密度に基づいた分離度制御信号はチャネル分
離手段に与えられ、雑音密度が大きくなるほど分離度を
小さく設定させる。これによって、雑音が抽出された時
に、左右チャネルの分離度を減少させて、再生される雑
音を軽減させることができる。かつ、雑音抽出時の分離
度は、雑音密度に対応して設定することができる。
【0016】また本発明は、前記受信手段の出力に応答
し、受信信号の電界強度を検出する電界強度検出手段を
さらに含み、電界強度検出手段の出力は、前記雑音抽出
手段の出力に重畳されて前記分離度制御手段に与えら
れ、分離度制御手段は、電界強度が小さくなるほど前記
分離度を小さくするように前記チャネル分離手段を制御
する分離度制御信号を出力することを特徴とする。本発
明に従えば、前記ステレオ受信機は、受信信号の受信電
界強度を検出する電界強度検出手段を有する。たとえば
電界強度検出手段は、受信信号をAM(振幅変調)検波
して、検波出力を受信電界強度として得る。また、受信
信号を平滑化して、その平滑出力を受信電界強度として
もよい。受信信号の受信電界強度が予め定めるレベルか
ら低下することは、受信信号のうち、ステレオ放送の送
信信号の信号レベルが低下したと考えられる。送信信号
の信号レベルが低下すると、送信信号と雑音信号のレベ
ルとが近づき、送信信号と比較して雑音が相対的に大き
くなる。この雑音信号とは、たとえば車両の内燃機関の
点火プラグなどの雑音源から発生し、送信信号に重畳さ
れるものを含む。ゆえに、受信信号の受信電界強度が低
下したときには、チャネル分離手段において分離度を低
下させ、雑音を低減させる必要がある。電界強度検出手
段の出力は、前記雑音抽出手段の出力に重畳されて、前
記分離度制御手段に与えられる。分離度制御手段は、雑
音抽出手段の出力および電界強度検出手段の出力に応答
して、分離度を制御する。すなわち、マルチパス雑音が
発生しているとき、雑音信号の雑音密度が大きくなるほ
ど分離度を小さく設定させる分離度制御信号を生成す
る。雑音が発生していないとき、受信電界強度が小さく
なるほど分離度を小さく設定させる分離度制御信号を生
成する。また、マルチパス雑音が発生し、かつ受信電界
強度が小さくなるときは、雑音だけが発生しているとき
および受信電界強度だけが小さくなるときと比較して、
より分離度を小さく設定させる分離度制御信号を生成す
る。このように、分離度を定めるための2種類の判定要
素を、単一の分離度制御手段に与え、両者を加味して分
離度を設定させる。これによって、分離度の制御がより
的確となる。かつ、2種類の判定要素に対して単一の分
離度制御手段を同時に用いることができるので、構成が
容易である。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1実施形態で
あるステレオ受信機11の電気的構成を示すブロック図
である。
【0025】アンテナ12で受信された受信信号は、同
調回路13において、受信すべき希望波の周波数付近の
信号成分だけが強調され、さらに高周波増幅回路14で
増幅された後、混合回路15に与えられる。この混合回
路15に関連して、局部発振回路16が設けられてい
る。局部発振回路16は、電圧制御型発振器などで実現
され、チューニング回路17からのチューニング電圧に
対応した周波数の局部発振信号を出力する。局部発振回
路16およびチューニング回路17は、フェイズロック
ループ(以後「PLL」と略称する)を形成する。
【0026】チューニング回路7は、分周器、基準信号
源、比較器、およびフィルタを備えて構成されている。
分周器は、マイクロコンピュータなどで実演される制御
回路18から入力される電気信号波の周波数に対応した
分周比Nで、局部発振信号を分周する。基準信号源は、
予め定める基準周波数の基準信号を発生する。チューニ
ング回路7では、基準信号と分周された局部発振信号と
の位相を比較器で比較して、誤差出力を発生させる。発
生された誤差出力は、フィルタによって、直流電圧に平
滑化され、チューニング電圧として局部発振回路6およ
び同調回路3に与えられる。
【0027】したがって、前記受信周波数を変化すると
きには、制御回路18は分周比Nの値を変化させる。ゆ
えに、チューニング電圧は、局部発振信号をその分周比
Nで分周した信号と基準信号との位相差が0となるよう
に変化する。これによって希望波の安定した受信が可能
となる。
【0028】混合回路15は、上述のようにして得られ
た局部発振信号と受信信号とを混合して中間周波数信号
を得る。得られた中間周波数信号は、音声信号が含まれ
る周波数成分だけを濾波することができる狭帯域フィル
タ19を介して中間周波増幅回路20に与えられる。狭
帯域フィルタ19の濾波帯域幅は、たとえばFM放送を
受信するときには、180kHz程度に選ばれる。
【0029】中間周波増幅回路20で増幅された中間周
波信号は、周波数弁別回路21に与えられて周波数弁別
が行われる。これによって、右チャネルおよび左チャネ
ルの音声信号が混合された音声信号が復調される。復調
された音声信号は、チャネル分離回路22において、後
述するように定められる分離度に応じて左右各チャネル
毎の音声信号に分離される。分離された右チャネルの音
声信号および左チャネルの音声信号は、それぞれトーン
制御回路23,24に与えられる。
【0030】トーン制御回路23は、たとえば各チャネ
ル毎にローパスフィルタと加算器、および2つの乗算器
を備えて構成される。トーン制御回路23では、入力さ
れた音声信号のローパスフィルタを介する成分とバイパ
スラインを介する成分との割合を任意に調整することが
できる。ローパスフィルタを介する成分が大きくなるこ
とは、音声信号の高域成分が減衰されてゆくことと等価
である。このトーン制御回路23からの出力は、増幅回
路25で増幅された後、スピーカ27に与えられ、音響
として出力される。
【0031】またトーン制御回路24は、トーン制御回
路23と同様の構成を有する。トーン制御回路24から
の出力は、増幅回路26で増幅された後に、スピーカ2
5に与えられ、音響として出力される。
【0032】Sメータ回路32には、中間周波増幅回路
20からの出力信号が与えられる。中間周波増幅回路2
0の出力信号は、受信信号を周波数変換した信号であ
り、その一部にたとえばマルチパス雑音である雑音信号
が重畳される。Sメータ回路32では、この出力信号を
平滑化して、受信信号の受信電界強度に対応した電圧の
出力信号を出力する。この出力信号の電圧をSメータ電
圧と称する。また受信信号の電界強度は、中間周波増幅
回路20からの出力をAM(振幅変調)検波して求めて
もよい。
【0033】図2は、Sメータ回路32から出力される
出力信号の時間変化を示すグラフである。この出力信号
の時間変化は、時間W11の間にマルチパス雑音の雑音
信号が重畳されたFMステレオ放送の電界強度に対応し
ている。実線34に示すように、マルチパス雑音が重畳
されていないとき、Sメータ回路32の出力信号は基準
レベルVsを保つ。マルチパス雑音が重畳されていると
き、出力信号は、基準レベルVsを中心にレベルが増減
する。このように、Sメータ回路32からの出力は、受
信信号の受信電界強度に対応した直流成分と、受信信号
に重畳されている雑音レベルに比例した振幅を有する交
流成分とが重畳された出力である。
【0034】中間周波増幅回路20からの出力信号の電
界強度と、Sメータ回路32から出力される出力信号の
Sメータ電圧とは比例している。ゆえに、図2の実線3
4で示すSメータ回路32からの出力信号のレベル変化
は、アンテナ21で受信された受信信号の受信電界強度
の変化と対応している。
【0035】Sメータ回路32からの出力は、分離度制
御回路38に与えられる。分離度制御回路38では、S
メータ回路32からの出力に応答して、マルチパス雑音
の雑音密度および受信信号の受信電界強度に基づいて、
分離度制御信号を生成する。雑音信号の雑音密度とは、
予め定める単位時間内に雑音が発生した回数を示す。分
離度制御信号とは、チャネル分離回路22において左チ
ャネルおよび右チャネルの音声信号を分離する分離度を
定めるための信号である。ステレオ受信機11では、マ
ルチパス雑音の雑音密度、すなわち予め定める単位時間
内に発生するマルチパス雑音の数が多くなるほど分離度
を低下させる。また、受信信号の電界強度が低下するほ
ど、分離度を低下させる。
【0036】Sメータ回路32からの出力信号は、交流
増幅回路41において交流成分が増幅された後に加算器
43に与えられる。また、Sメータ回路32からの出力
信号はそのまま加算器43に与えられている。加算器4
3では、交流成分が増幅された出力信号と、Sメータ回
路32から出力された出力信号とを加算する。これによ
って、Sメータ回路32からの出力信号の交流成分が増
幅される。加算器43からの出力はトランジスタT1の
ベース端子に与えられる。
【0037】トランジスタT1のコレクタ端子は接地さ
れる。トランジスタT1のエミッタ端子は、抵抗R1の
一方端子と接続される。抵抗R1の他方端子は電流源の
等価回路である抵抗R2の一方端子と接続される。抵抗
R2の他方端子は、予め定めるレベルである基準電圧V
ccの電力が供給される電源ライン45と接続される。
抵抗R1の他方端子には、コンデンサC1の一方端子が
接続されている。コンデンサC1の他方端子は接地され
ている。
【0038】抵抗R1,R2およびコンデンサC1は、
積分回路47を構成する。積分回路47の放電時定数τ
1および充電時定数τ2とは、以下の式で表される。ま
た、放電時定数τ1は充電時定数τ2よりも小さい τ1 = r1・c1 …(1) τ2 = r2・c1 …(2) τ1 < τ2 …(3) 「r1」,「r2」は、抵抗R1,R2の抵抗値であ
る。「c1」は、コンデンサC1の静電容量である。以
後、抵抗Rn(nは整数)の抵抗値を「rn」と表す。
また、コンデンサCn(nは整数)の静電容量を「c
n」と表す。積分回路47の放電時定数τ1および充電
時定数τ2は、それぞれ抵抗Rnの抵抗値rnとコンデ
ンサCnの静電容量cnとの乗算によって求められる。
【0039】トランジスタT1のベース端子に増幅され
た出力信号が与えられたとき、トランジスタT1のイン
ピーダンスは信号レベルが小さくなるほど小さくなる。
ゆえに、このとき、コンデンサC1は、抵抗R1および
トランジスタT1を介して放電する。コンデンサC1の
放電が行われている状態で、Sメータ電圧が基準レベル
Vsに戻ると、トランジスタT1のインピーダンスが増
加して元に戻る。このとき、コンデンサC1は、抵抗R
2を介して電源ライン45から電流が流れ、充電され
る。
【0040】これによって、積分回路47では、図2に
示すSメータ回路32からの出力信号に対して2点鎖線
49で示すように負のピークホールド検波を行い、その
検波出力が出力される。図3は、コンデンサC1の一方
端子の電圧レベルである積分回路47の積分出力の時間
変化を示すグラフである。実線51で示す積分出力は、
受信信号に重畳されるマルチパス雑音の雑音密度が大き
くなるほど、2点鎖線52,53に示すように出力電圧
レベルが低下する。
【0041】積分回路47からの積分出力は、直列に接
続されたダイオードD1,D2によって、予め定める分
離度を設定させることができるレベルにレベル調整され
る。レベル調整された積分出力は、バッファであるトラ
ンジスタT2のベース端子に与えられる。トランジスタ
T2のコレクタ端子は、電源ライン45に接続される。
トランジスタT2のエミッタ端子は、抵抗R3を介して
接地される。ゆえに、エミッタ端子と抵抗R3の一方端
子との接続点p0のレベルは、電源ライン45に印加さ
れている基準電圧Vccを、トランジスタT2のインピ
ーダンスと抵抗R3の抵抗値r3で分圧した値となる。
【0042】トランジスタT2のベース端子に与えられ
る信号のレベルが小さくなると、トランジスタT2のイ
ンピーダンスは増加する。これによって、接続点p0で
の電圧レベルが低下する。電源ライン45からトランジ
スタT2を介して流れる電流は、抵抗R4を介してトラ
ンジスタT3のベース端子に与えられる。
【0043】トランジスタT3のコレクタ端子は接地さ
れる。トランジスタT3のエミッタ端子は、抵抗R5の
一方端子に接続される。抵抗R5の他方端子は、抵抗R
6の一方端子およびコンデンサC2の一方端子に接続さ
れる。抵抗R6の他方端子およびコンデンサC2の他方
端子は、それぞれ電源ライン45に接続される。また、
コンデンサC2の一方端子は、トランジスタT4のベー
ス端子に接続される。
【0044】トランジスタT3は、ベース端子に与えら
れる信号の信号レベルが小さくなるほど、インピーダン
スが小さくなる。これによって、コンデンサC2が抵抗
R5およびトランジスタT3を介して放電する。Sメー
タ電圧が基準レベルVsに戻ると、トランジスタT3の
インピーダンスは元のレベルまで増加して戻る。これに
よって、コンデンサC2は、一方端子の電圧レベルが抵
抗R6の一方端子の電圧レベルと同一レベルになるまで
電源ライン45から充電される。
【0045】抵抗R5,R6およびコンデンサC2は、
積分回路55を形成する。積分回路55の放電時定数τ
3と充電時定数τ4とは以下の式で表される。
【0046】 τ3 = r5・c2 …(4) τ4 = r6・c2 …(5) τ3 < τ4 …(6) また、積分回路55の放電時定数τ3および充電時定数
τ4は、積分回路47の放電時定数τ1および充電時定
数τ2と比較してそれぞれ大きい。
【0047】 τ1 < τ3 …(7) τ2 < τ4 …(8) ゆえに、コンデンサC2の一方端子での電圧レベル変化
である積分回路55の積分出力は、積分回路47の積分
出力と比較して緩やかに減少し、また緩やかに増加す
る。
【0048】積分回路55の積分出力は、バッファであ
るトランジスタT4のベース端子に与えられる。トラン
ジスタT4のコレクタ端子は電源ライン45に接続され
る。トランジスタT4のエミッタ端子は、抵抗R7およ
び抵抗R8を介して接地される。トランジスタT4は、
ベース端子に与えられる信号のレベルが低下すると、イ
ンピーダンスが大きくなる。これによって、電源ライン
45に印加される基準電圧Vccは、トランジスタT4
のインピーダンスおよび抵抗R7と抵抗R8とによって
分圧される。
【0049】抵抗R4とトランジスタT3との間の接続
点p1には、導線57を介してダイオードD3のカソー
ド端子が接続される。ダイオードD3のアノード端子
は、トランジスタT5のベース端子に接続される。ま
た、抵抗R7,R8の間の接続点p2には、導線58を
介してトランジスタT6のベース端子が接続される。ト
ランジスタT5,T6のコレクタ端子はそれぞれ接地さ
れる。トランジスタT5,T6のエミッタ端子は、抵抗
R9を介して電源ライン45と接続される。抵抗R9、
トランジスタT5,T6およびダイオードD3は、比較
部60を構成する。
【0050】比較部60では、接続点p1,p2での信
号レベルである第1および第2の出力電圧のレベルを比
較して、レベルの小さい出力電圧を導出する。第1の出
力電圧が第2の出力電圧よりも少なくともダイオードD
3の順方向電圧と等しいレベル差ΔV1だけ小さいと
き、ダイオードD3に電流が流れる。これによって、ト
ランジスタT5,T6は第1の出力電圧によって規定さ
れるインピーダンスとなる。このとき、電源ライン45
の基準電圧Vccは、抵抗R9の抵抗値とトランジスタ
T5のインピーダンスとによって分圧される。
【0051】トランジスタT5,T6は、ベース端子に
与えられる信号レベルが小さくなるほどインピーダンス
が小さくなる。ゆえに、第1の出力電圧が低下すると、
トランジスタT5のインピーダンスが小さくなり、抵抗
R9とトランジスタT5,T6のコレクタ端子との間の
接続点p3での電圧レベルが低下する。このように、第
1の出力電圧が第2の出力電圧よりもレベル差ΔV1以
上に小さくなると、比較部60からは、第1の出力電圧
に対応し、第1の出力電圧が低下するとそれに伴って低
下する出力電圧が出力される。
【0052】第1の出力電圧が第2の出力電圧よりもレ
ベル差ΔV1未満だけ小さいとき、および第1の出力電
圧が第2の出力電圧と比較して大きいときは、ダイオー
ドD3に電流が流れない。ゆえに、トランジスタT5は
オフ状態となる。このときトランジスタT6は、第2の
出力電圧が小さくなるほどインピーダンスが小さくな
る。これによって、トランジスタT6と抵抗R9との間
の接続点p3の電圧レベルは、第2の出力電圧に応答
し、第2の出力電圧が小さくなるほど小さくなる。この
ように、第1の出力電圧が第2の出力電圧よりもレベル
差ΔV1未満だけ小さいとき、または第1の出力電圧が
第2の出力電圧よりも大きいときは、比較部60からは
第2の出力電圧に応答した出力が出力される。
【0053】比較部60からの出力は、トランジスタT
7のベース端子に与えられる。トランジスタT7のコレ
クタ端子は電源ライン45に接続される。トランジスタ
T7のエミッタ端子は抵抗R10を介して接地される。
トランジスタT7のエミッタ端子と抵抗R10との接続
点p4には導線61が接続されている。これによって、
電源ライン45の基準電圧Vccは、トランジスタT7
のインピーダンスと抵抗R10の抵抗値とによって分圧
される。
【0054】トランジタT7は、ベース端子に与えられ
る比較部60からの出力が予め定めるレベルから低下す
ると、インピーダンスが大きくなる。ゆえに、比較部6
0からの出力レベルが低下すると、接続点p4の電圧レ
ベルが低下する。接続点p4からの出力は、分離度制御
信号として導線61を介してチャネル分離回路22に与
えられる。
【0055】図4は、チャネル分離回路22の具体的構
成を示すブロック図である。チャネル分離回路22は、
周波数弁別回路21において復調された受信信号から、
左右チャネル毎の音声信号を分離する。分離度は、左ま
たは右チャネルの発生信号が右または左チャネルに漏洩
して右または左チャネルの発生信号に混入する度合いを
示す。分離度は次式で表される。
【0056】 分離度 = 20・log10(R/ΔR) ≒ 20・log10(L/ΔL) …(9) 「R」「L」は、それぞれ右チャネルおよび左チャネル
の音声信号を示す。「ΔR」,「ΔL」は、それぞれ左
チャネルへ漏洩した右チャネルの音声信号、右チャネル
へ漏洩した左チャネルの音声信号を示す。
【0057】チャネル分離回路22には、周波数弁別回
路21から導線66を介して右チャネルと左チャネルと
の音声信号が加算されて構成される和信号(L+R)が
与えられる。また、周波数弁別回路21から導線67を
介し、左信号から右信号を減算した差信号(L−R)が
与えられる。
【0058】和信号(L+R)は、加算器69に与えら
れる。また和信号(L+R)は、導線70を介して減算
器71に与えられる。
【0059】差信号(L−R)は、係数乗算回路72に
おいて係数k1が乗算された後に減算器71に与えられ
る。また差信号(L−R)は、係数乗算回路68におい
て係数k1が乗算された後に、導線73を介して加算器
69にもまた与えられる。
【0060】係数乗算回路68,72は分離度制御回路
38と導線61を介して接続され、制御されている。係
数乗算回路68,72は、係数k1の値を分離度制御回
路38からの分離度制御信号の制御電圧に応じて決定
し、差信号および和信号に乗算する。
【0061】加算器69では、和信号(L+R)と係数
k1が乗算された差信号〔k1(L−R)〕とが加算さ
れ、その出力が、導線74を介してトーン制御回路23
に与えられる。減算器71では、和信号(L+R)から
係数k1を乗算した差信号〔k1(L−R)〕が減算さ
れ、その出力が導線75を介してトーン制御回路23に
与えられる。すなわち、トーン制御回路23には導線7
4,75を介してそれぞれ以下に示す信号が与えられ
る。
【0062】 (k1+1)L−(k1−1)R …(10) −(k1−1)L+(k1+1)R …(11) 「R」「L」は、それぞれ右チャネルおよび左チャネル
の音声信号を示す。係数k1は、分離度制御回路34か
ら導線61を介して与えられる分離度制御信号の制御電
圧に比例して決定される値であり、分離度と対応するも
のである。
【0063】図5は、係数k1と分離度制御信号の制御
電圧との関係を示すグラフである。実線77に示すよう
に、制御電圧が0〜Vmaxまでの間は、係数k1は制
御電圧に比例して大きくなる。制御電圧が予め定める電
圧Vmax以上となると、係数k1は1に保たれる。係
数k1は、0〜1の間のいずれかの値をとる。
【0064】すなわち、係数k1が1であるときには、
導線74,75からはそれぞれ左および右チャネルの音
声信号だけが出力される。係数k1が0であるときに
は、導線74,75からは、左チャネルの音声信号から
右チャネルの音声信号を減算した信号および右チャネル
の音声信号から左チャネルの音声信号を減算した信号が
出力される。係数k1が0以上1未満の値であるときに
は、係数に応じて、左チャネルおよび右チャネルに係数
に応じた割合だけ右チャネルおよび左チャネルの音声信
号が混入した状態の信号が出力される。
【0065】以上のような回路構成によって、Sメータ
回路32からの出力に基づいて、すなわちマルチパス雑
音の雑音密度および受信電界強度に基づいて、チャネル
分離回路22の係数乗算回路68,72が制御される。
【0066】前述したように、分離度制御回路38の積
分回路47の放電時定数τ1は、積分回路55の放電時
定数τ3よりも小さい。ゆえに、Sメータ回路32から
出力される出力信号に交流成分が加わったとき、すなわ
ちアンテナ12で受信された受信信号にマルチパス雑音
が加わったときには、接続点p1から出力される第1の
制御電圧は、接続点p2から出力される第2の制御電圧
よりも早くレベルが低下する。
【0067】図6は、マルチパス雑音の雑音密度が小さ
いときの第1の制御電圧および第2の制御電圧を示すグ
ラフである。実線78は第1の制御電圧の時間変化を示
す。2点鎖線79は第2の制御電圧の時間変化を示す。
たとえば雑音発生時間W11の間に2〜3回のマルチパ
ス雑音が発生する程度の小さな雑音密度であったとき、
第1の制御電圧はマルチパス雑音が発生するたびに大き
く低下する。またマルチパス雑音が発生しなくなると、
即座に元のレベルまで戻る。第2の制御電圧は、雑音が
発生し始めてから緩やかに低下し、時間W11を過ぎて
雑音が全く発生しなくなると再び緩やかに増加して元の
レベルに戻る。このとき、第2の制御電圧の最低レベル
は、第1の制御電圧の最低レベルよりも大きい。
【0068】図7は、マルチパス雑音の雑音密度が図6
で示したときと同程度であり、かつ雑音発生時間W12
が雑音発生時間W11よりも長いときの第1および第2
の制御電圧の時間変化を示すグラフである。実線81
は、第1の制御電圧の時間変化を示す。2点鎖線82は
第2の制御電圧の時間変化を示す。このとき、第2の制
御電圧は、第1の制御電圧と比較して緩やかに低下し、
時間W12が経過し終わるときに第1の制御電圧の最低
レベルと同程度のレベルまで低下する。
【0069】図8は、マルチパス雑音の雑音密度が図6
および図7で示したときよりも大きいときの第1および
第2の制御電圧の時間変化を示すグラフである。実線8
4は第1の制御電圧の時間変化を示す。2点鎖線85
は、第2の制御電圧の時間変化を示す。図6および図7
で示すときよりも雑音密度が大きくなったとき、第1の
制御電圧は雑音が発生し始めてから雑音が全く発生しな
くなるまでほぼ最低レベルを保つ。これは、積分回路4
7において、雑音が発生してレベルを最低レベルまで低
下させた後に雑音発生が一時終了し、レベル元のレベル
まで戻そうとする途中で次の雑音が発生し、再びレベル
を低下させる動作が起こっていると考えられる。このと
き第2の制御電圧は、第1の制御電圧よりも緩やかに低
下し、かつ最低レベルが雑音密度が図6および図7に示
されるレベルであったときよりも早く低下する。
【0070】図9は、図1のステレオ受信機11におい
て、雑音密度の小さいマルチパス雑音が重畳されたFM
ステレオ放送の送信信号が受信されたときのSメータ回
路32からの出力信号、第1および第2の制御電圧、お
よび分離度制御信号の制御電圧の時間変化を示す波形図
である。第1の制御電圧は、接続点p1での電圧レベル
である。第2の制御電圧は、接続点p2での電圧レベル
である。分離度制御信号の制御電圧は、接続点p4での
電圧レベルである。図9では、マルチパス雑音の発生時
間が短く、雑音密度が小さい状態を示す。
【0071】Sメータ回路32から出力される出力信号
には、図9(1)の実線91に示すように、時間W15
に間に2〜3回の雑音が発生する程度の雑音密度である
マルチパス雑音が間欠的に重畳される。
【0072】時刻t1からマルチパス雑音が発生する。
マルチパス雑音が発生すると、積分回路47のコンデン
サC1は放電を開始する。このときコンデンサC1は、
時刻t1から時刻t2までの時間W16のうちに全ての
電荷を放出する。これによって第1の制御電圧は、図9
(2)の実線92に示すように、時刻t1からマルチパ
ス雑音が発生していないときの定常レベルVmからレベ
ルが低下し始め、時刻t2において最低レベルV0、た
とえば0Vとなる。
【0073】積分回路55の放電時定数τ2は、積分回
路47の放電時定数τ1よりも大きい。ゆえに図9
(3)の実線93で示す第2の制御電圧のレベルは第1
の制御電圧のレベルよりもゆるやかに減少しする。これ
によって、第2の制御電圧のレベルは、時刻t1から時
間W5が経過する間に、定常レベルVmから微小レベル
ΔVmだけ低下する。
【0074】時刻t1から時間W5が経過した時刻t3
において、マルチパス雑音発生が終了する。マルチパス
雑音がなくなり、Sメータ電圧が予め定めるレベルVs
に戻ると、積分回路47のコンデンサC1は充電を開始
する。コンデンサC1は、予め定める増加時間W17の
間に、第1の制御電圧が最低レベルV0から定常レベル
Vmに戻るように充電される。ゆえに第1の制御電圧
は、マルチパス雑音の発生終了時刻t3から時間W17
が経過した後の時刻t4において定常レベルVmに戻
る。
【0075】積分回路55のコンデンサC2は、マルチ
パス雑音の発生終了時刻t3においても、まだ全ての電
荷を放電し終わってはいない。ゆえに、時刻t3におけ
る第2の制御電圧の電圧レベルは第1の制御電圧の電圧
レベルよりも大きい。積分回路55は、第1の制御電圧
のレベル変化に応答して充電を開始する。このときコン
デンサC2がマルチパス雑音が発生した間に放出された
分だけ電荷を蓄え、電圧レベルが定常レベルVmに戻る
までには、時間W18が必要とされる。これによって、
第2の制御電圧は時刻t3から時間W18後の時刻t5
に定常レベルVmに戻る。
【0076】このように、雑音密度の小さいマルチパス
雑音が発生したときには、第1の制御電圧だけが最低レ
ベルV0まで低下し、第2の制御電圧はほとんど変化し
ない。比較部60では、第1および第2の制御電圧を比
較して、レベルの小さい制御電圧の信号に応じた分離度
制御信号を生成する。分離度制御信号の制御電圧は、図
9(4)に示すように、時刻t1から急激に低下し、時
刻t2よりも少し前で予め定める電圧Vddに至る。
【0077】トランジスタT5と接続点p1との間には
ダイオードD3が介在されているので、接続点p1の電
圧レベルが最低レベルV0よりもレベル差ΔV1だけ大
きいレベル(V0+ΔV1)以下に低下しても、トラン
ジスタT5のベース端子の電圧はレベル(V0+ΔV
1)以下には低下しない。これによって、接続点p4の
電圧レベルである分離度制御信号の制御電圧は、マルチ
パス雑音が発生しない定常レベルVmaxから、レベル
(V0+ΔV1)に対応した予め定めるレベルVddま
で低下する。電圧レベルVddの分離度制御信号が与え
られたとき、チャネル分離回路22では、分離度が約1
0dBとなるように係数K1の値を決定して、音声信号
のステレオ分離を行う。
【0078】時刻t3においてマルチパス雑音の発生が
終了すると、分離度制御信号の制御電圧は、第1の制御
電圧に応じて増加する。時刻t4が経過した後に、第1
および第2の制御電圧のレベル差がレベル差ΔV1以上
であってかつ第2の制御電圧が第1の制御電圧よりも大
きくなると、比較部60からは第2の制御電圧に対応し
た出力が出力される。ゆえに、分離度制御信号の制御電
圧は、第2の制御電圧に対応した挙動を示し、時刻t4
から時刻t5まで緩やかに増加して元の電圧レベルに戻
る。
【0079】このように、マルチパス雑音の雑音密度が
小さいとき、および雑音の発生時間が短いときなどは、
分離度制御信号は、積分回路47からの積分出力に応答
している第1の制御電圧によって規定される。分離度制
御信号の制御電圧が定常レベルVmaxから予め定める
レベルVddまで低下する作動応答時間W19は、第1
の制御電圧において電圧レベルが定常レベルVmから最
低レベルV0まで低下する時間W16、すなわち積分回
路47の放電時定数によって決定される。このとき分離
度は、マルチパス雑音が発生すると即座に約10dBま
で低下する。
【0080】また、低下した分離度が元の分離度まで戻
る作動解除時間W20は、第2の制御電圧において、電
圧レベルが定常レベルVmに戻るまでの時間W18と等
しい。このとき制御電圧の電圧レベルは、マルチパス雑
音の発生が終了した時刻t3から第1の制御電圧の低下
した電圧レベルが定常レベルVmまでに戻るまでの時間
W17の間に、レベルVddから定常レベルVmaxに
近いレベルまで戻される。ゆえに、時刻t4から時刻t
5の間では、分離度制御信号の制御電圧の電圧レベルの
変化も微量である。
【0081】これによって、雑音レベルが小さいときお
よび雑音発生時間が短いときにおける分離度の復帰動作
は、ほぼ第1の制御電圧によって規定される。ゆえに、
分離度が定常レベルVmax近くまで復帰するまでの時
間は、積分回路47の充電時定数τ2によって規定され
る。このように、雑音密度が小さいときおよび雑音発生
時間が短いときには、分離度制御信号は第1の制御電
圧、すなわち積分回路47の挙動に対応して電圧レベル
が変動する。積分回路47の放電時定数τ1および充電
時定数τ2は、積分回路55の放電時定数τ3および充
電時定数τ4よりも小さい。すなわち雑音密度が小さい
マルチパス雑音が発生すると、分離度は即座に約10d
Bまで低下する。雑音発生が終了すると、分離度は即座
に定常レベルまで戻る。
【0082】分離度を最大値から約10dBまで低下さ
せたとき、ステレオ受信機11からの再生されたステレ
オ放送を聴取している聴取者には、ステレオ音声の左右
チャネルに反対側のチャネルの音声信号が混入してモノ
ラル音声に近くなると感じるステレオ感の大幅な変化は
感じない。ゆえに、音揺れ感などが生じない。単発的な
マルチパス雑音および雑音密度の低いマルチパス雑音で
は、分離度を10dB程度まで減少させれば、十分に雑
音低減を図ることができる。
【0083】これによって、単発的なマルチパス雑音ま
たは雑音密度の低いマルチパス雑音が発生したときに
は、分離度を雑音発生が終了するとほぼ同時に定常レベ
ルに復帰させても、音揺れ感が生じない。ゆえに、分離
度が低下している時間を短縮することができる。したが
って、聴取者に対し、音揺れ感などを感じさせないまま
マルチパス雑音を低減させるとともに、ステレオ放送を
提供する時間を長くすることができる。雑音密度が低い
ときとは、2〜3ミリ秒間に数回のマルチパス雑音が発
生する程度の密度であるときである。
【0084】図10は、図1のステレオ受信機11にお
いて雑音密度の高いマルチパス雑音が重畳されたFMス
テレオ放送の送信信号が受信されたときのSメータ回路
32からの出力信号、第1および第2の制御電圧ならび
に分離度制御信号の制御電圧の時間変化を示す波形図で
ある。
【0085】雑音密度の高いマルチパス雑音は、たとえ
ば時間21の間に多数回のマルチパス雑音が発生するよ
うな雑音である。時間21は、図9で示した雑音密度の
低いマルチパス雑音の発生時間W15よりも長い。この
とき、Sメータ回路32から出力される出力信号のSメ
ータ電圧は、図10(1)の実線96に示すように、マ
ルチパス雑音発生時刻t11からマルチパス雑音の大き
さに応じた振幅でレベルが増減する。
【0086】このようなSメータ電圧の出力信号が与え
られると、積分回路47のコンデンサC1は放電を開始
する。これによって、接続点p1の電圧レベルである第
1の制御電圧は、図10(2)の実線97に示すよう
に、定常レベルVmから低下し始める。第1の制御電圧
は、時刻t11から低下時間W16の経過した後の時刻
t12において最低レベルV0まで低下される。
【0087】また第1の制御電圧が低下し始めると、積
分回路55のコンデンサC2は放電を開始する。これに
よって、接続点p2の電圧レベルである第2の制御電圧
は、図10(3)の実線98に示すように、定常レベル
Vmから低下し始める。第2の制御電圧は、時刻t11
から低下時間W22が経過した時刻t14において最低
レベルV0まで低下される。
【0088】積分回路55の放電時定数τ3は、積分回
路47の放電時定数τ1よりも大きい。ゆえに、積分回
路55のコンデンサC2は、積分回路47のコンデンサ
C1よりもコンデンサC2に蓄えられる全ての電荷を放
出する時間が長い。これによって、第2の制御電圧の低
下時間W22は、第1の制御電圧の低下時間W16より
も長い。ゆえに、第2の制御電圧が最低レベルV0に至
る時刻t13は、第1の制御電圧が最低レベルV0に至
る時刻t12よりも遅い。
【0089】時刻t15においてマルチパス雑音の発生
が終了すると、Sメータ回路32からの出力信号のレベ
ルはマルチパス雑音発生前のレベルVsに戻る。このよ
うなSメータ電圧の出力信号が与えられると、積分回路
47のコンデンサC1は充電を開始する。コンデンサC
1は、増加時間W17の間に第1の制御電圧が定常レベ
ルVmとなるまで電荷を蓄える。これによって、第1の
制御電圧は、時刻t15から増加時間W17が経過した
時刻t16において定常レベルVmに戻る。
【0090】積分回路47のコンデンサC1が充電を開
始すると、積分回路55のコンデンサC2もまた充電を
開始する。第2の制御電圧は、時刻t15から時間W2
3が経過した時刻t17において定常レベルVmに戻
る。
【0091】積分回路55の充電時定数τ4は、積分回
路47の充電時定数τ2よりも大きい。ゆえに、第2の
制御電圧が定常レベルVmとなるまで増加時間W23
は、第1の制御電圧の増加時間W17よりも長い。すな
わち、コンデンサC2がマルチパス雑音が発生していな
いときの状態に戻るまでの時間は、コンデンサC1がマ
ルチパス雑音が発生していないときの状態に戻るまでの
時間よりも長い。ゆえに、第2の制御電圧が定常レベル
Vmに復帰する時刻t17は、第1の制御電圧が定常レ
ベルVmに復帰する時刻t16よりも長い。
【0092】このような第1および第2の制御電圧が比
較部60にそれぞれ与えられる。比較部60では、第1
および第2の制御電圧の電圧レベルを比較して、電圧レ
ベルが低い方の制御電圧に応じた出力を導出し、図10
(4)の実線99に示すような分離度制御信号を生成さ
せる。
【0093】時刻t11でマルチパス雑音が発生し始め
ると、第1および第2の制御電圧は低下し始める。この
とき、第1の制御電圧は第2の制御電圧と比較して早く
最低レベルV0に達する。ゆえに、第1および第2の制
御電圧が低下し始めてから第1の制御電圧が予め定める
レベルVdに至るまで、常に第1の制御電圧は第2の制
御電圧よりも低い。
【0094】これによって、分離度制御信号は、まず時
刻t1から第1の制御電圧の電圧レベルに基づいて生成
される。すなわち、マルチパス雑音が発生し始めてから
分離度が約10dBのレベルまで低下するための作動応
答時間W25は、第1の制御電圧が定常レベルVmから
最低レベルV0までに低下する低下時間W16よりも短
い。
【0095】接続点p1とトランジスタT5のベース端
子との間にはダイオードD3が介在されているので、第
1の制御電圧が予め定めるレベルVd以下に低下したと
きは、ダイオードD3に電流が流れず、接続点p3のレ
ベルはレベルVdを保つ。ゆえに、第1の制御電圧がレ
ベルVd以下に低下したとき、生成される分離度制御信
号の制御電圧は、レベルVddを保つ。
【0096】第1の制御電圧が予め定める最低レベルV
0まで低下した後、第2の制御電圧は徐々に最低レベル
V0に近づくように低下し、時刻t19において予め定
めるレベルVdに至る。このとき、第1の制御電圧は既
に最低レベルV0まで低下している。これによって、第
1の制御電圧と第2の制御電圧とのレベル差が予め定め
るレベル差(Vd−V0)未満となる。これによって、
時刻t19以後は、比較部60からは第2の制御電圧に
基づいたレベルに出力が導出される。ゆえに、分離度制
御信号が、第2の制御電圧のレベル変化に基づいてさら
に低下される。時刻t19は、時刻t12と時刻t13
との間の時刻である。
【0097】時刻t13になると、第2の制御電圧が予
め定める最低レベルV0に至る。これによって、分離度
制御信号の制御電圧のレベルもまた最低レベルに達す
る。最低レベルの分離度制御信号が与えられると、チャ
ネル分離回路22は、分離度を最低分離度に設定してス
テレオ分離を行う。最低分離度は、たとえば0dBであ
る。
【0098】このように最低分離度まで分離度を低下さ
せることによって、チャネル分離回路22において、分
離度を制御して雑音を軽減する能力を最大とすることが
できる。また、分離度を約0dBまで低下させると、聴
取者の聴感上、左右チャネルに音声が分離していること
を感じない。したがって分離度を最低レベルまで低下さ
せた後に急激に元の最大分離度まで復帰させると、モノ
ラル音声とステレオ音声とが切換わったように感じら
れ、音揺れ感が生じる。ゆえにこのときには、分離度を
時間経過に従って徐々に増加させる。
【0099】時刻t15においてマルチパス雑音の発生
が終了すると、第1の制御電圧は、増加時間W17後の
時刻t16までに、最低レベルV0から定常レベルVm
まで増加する。このとき第2の制御電圧は、増加時間W
23後の時刻t17までに、緩やかに定常レベルVmま
で復帰する。このとき第2の制御電圧の電圧レベルは、
第1の制御電圧の電圧レベルよりも常に小さい。ゆえ
に、比較部60からは、常に第2の制御電圧に対応した
出力が導出される。これによって、分離度制御信号の制
御電圧は、第2の制御電圧のレベル変化に対応してレベ
ル変化する。したがって、分離度制御信号の作動解除時
間W26は、第2の制御電圧の増加時間W23と等し
い。また、分離度制御信号の制御電圧は、図9(4)に
示す雑音密度が小さいときと比較して、緩やかに増加す
る。
【0100】このように雑音密度が高いときおよび雑音
の発生時間が長いとき、分離度制御信号の制御電圧は第
1の制御電圧の挙動に応答して、即座に分離度を約10
dBまで低下させることができるレベルVddまで低下
する。またさらに雑音発生が続くと、分離度制御信号の
制御電圧はレベルVddからさらに低下して最低レベル
に至る。これによって、雑音密度の大きいときチャネル
分離回路27における雑音の除去能力が最大となるレベ
ルまで分離度を低下させることができる。さらに、雑音
発生が終了すると、分離度は作動解除時間W26の間に
緩やかに増加する。このように、時間をかけて緩やかに
分離度を復帰させることによって、ステレオ音声とモノ
ラル音声とが急激に切換わったと聴取者に感じさせ、音
揺れ感が生じることを防止することができる。
【0101】前述した図9(2)および図10(2)に
示す第1の制御電圧のレベルの低下時間W16は、積分
回路47の放電時定数τ1において規定される。放電時
定数τ1は、たとえば1m秒以下に設定される。また、
図10(3)に示す第2の制御電圧のレベル低下時間W
22は、積分回路55の放電時定数τ3によって規定さ
れる。放電時定数τ3は、たとえば20m秒〜30m秒
に設定される。また、第2の制御電圧の復帰時間W23
は、積分回路55の充電時定数τ4によって規定され
る。充電時定数τ4は、たとえば2秒〜3秒に設定され
る。
【0102】アンテナ12で受信された受信信号にマル
チパス雑音が重畳されていないとき、第1および第2の
制御電圧は、定常レベルVmをそれぞれ保つ。このと
き、第1の制御電圧と第2の制御電圧に予め定めるレベ
ル差(Vd−V0)だけの差が生じないので、トランジ
スタT5はオフ状態となる。ゆえにこのときには、第2
の制御電圧に基づいた出力が比較部60から導出され、
この出力に対応した分離度制御信号が生成されてチャネ
ル分離回路22に与えられる。
【0103】また、このステレオ受信機11が、たとえ
ば車両などの移動体に搭載されているときには、車両が
移動するとともにステレオ受信機11の受信位置が変化
する。これによって、受信した受信信号の受信電界強度
の全体のレベルが低下することがある。すなわち、Sメ
ータ回路32から出力されるSメータ電圧の直流成分、
すなわち定常レベルVsのレベルが変化することがあ
る。
【0104】Sメータ回路32から出力される出力信号
の直流成分の電圧レベルが低下すると、トランジスタT
1は直流成分の変化分にも応じてインピーダンスを変化
させる。これによって、積分回路47のコンデンサC1
が放電を開始して第1の制御電圧が低下する。また、第
1の制御電圧が低下することによって、積分回路55の
コンデンサC2が放電を開始して第2の制御電圧もまた
低下する。これら第1および第2の制御電圧を比較部6
0で比較して、第1の制御電圧が第2の制御電圧よりも
予め定めるレベル差(Vd−V0)以上大きいときだ
け、第1の制御電圧に基づいた出力が導出される。そう
でないときには第2の制御電圧に基づいた出力が導出さ
れる。比較部60から導出された出力に基づいて分離度
制御信号が生成され、チャネル分離回路22に与えられ
る。
【0105】このように、分離度制御回路38では、マ
ルチパス雑音の発生の有無だけでなく、受信信号の受信
電界強度の変動に応じても分離度を低下させるような分
離度制御信号を生成することができる。たとえば、受信
電界強度の低下とマルチパス雑音の発生とが同時に生じ
たときには、受信電界強度の低下分とマルチパス雑音の
雑音密度とをともに加味した信号を導出することができ
る。すなわちSメータ回路32は、マルチパス雑音を抽
出して分離度制御回路38に与える構成と、受信信号の
受信電界強度を検出して分離度制御回路38に与える構
成とを兼ねる。
【0106】これによって、分離度制御回路38には、
マルチパス雑音を示す成分と受信電界強度の変動を示す
成分とを重畳させた信号が入力されることとなる。分離
度制御回路38は、この重畳された信号に基づいて、分
離度制御信号を生成する。このように分離度制御回路3
8は、異なる2つの判定要素を同時に考慮して分離度を
制御することができる。したがって、マルチパス雑音を
雑音密度に基づいて分離度制御信号を生成する構成と、
受信電界強度に基づいて分離度制御信号を生成する構成
を同一の構成とすることができる。ゆえに構成を簡略化
することができる。
【0107】図11は、本発明の第2実施形態であるス
テレオ受信機101の電気的構成を示すブロック図であ
る。ステレオ受信機101は図1のステレオ受信機11
と類似の構成を有し、同一の動作を行う構成要素には同
一の符号を付し説明を省略する。本実施形態のステレオ
受信機101では、第1の制御電圧と第2の制御電圧と
を比較する構成を簡略化する。
【0108】アンテナ12で受信された受信信号は、同
調回路13で希望波だけが強調された後に増幅され、混
合回路15で発振信号と混合されて中間周波数信号に変
換される。中間周波数信号は狭帯域フィルタ19で所望
の音声信号の周波数成分だけを濾波された後に、中間周
波数増幅回路20で増幅されて周波数弁別回路21とS
メータ回路32とに与えられる。周波数弁別回路21で
は、中間周波数信号を周波数弁別して左右チャネルの音
声信号が混合された音声信号を復調する。この音声信号
は、チャネル分離回路22において、後述する分離度に
応じて左右チャネル毎の音声信号にステレオ分離され
る。分離された左右各チャネルの音声信号は、トーン制
御回路23,24においてトーン制御された後に増幅回
路25,26で増幅されてスピーカ27,28からそれ
ぞれ右チャネルの音響および左チャネルの音響として出
力される。
【0109】Sメータ回路32は、中間周波数信号から
受信信号の受信電界強度に対応したSメータ出力の出力
信号を分離度制御回路38aに与える。この出力信号
は、交流増幅回路41および加算器43で交流成分が増
幅された後にトランジスタT1のベース端子に与えられ
てトランジスタT1のインピーダンスを変化させる。ト
ランジスタT1のインピーダンスの変化に応じて、積分
回路47のコンデンサC1が放電を開始する。積分回路
47の積分出力は、ダイオードD1,D2においてレベ
ル調整された後にトランジスタT2のベース端子に与え
られてトランジスタT2のインピーダンスを変化させ
る。これによって電源ライン45に印加される基準電圧
Vccが、トランジスタT2のインピーダンスと抵抗R
3の抵抗値との比に応じて分圧され、抵抗R4を介して
第1の制御電圧が生成され出力される。
【0110】図12は、第1の制御電圧の時間変化を示
すグラフである。このときアンテナ12には、雑音密度
の高いマルチパス雑音が重畳された受信信号が受信され
ているものとする。このとき第1の制御電圧は時刻t2
1からマルチパス雑音が発生するたびに即座に定常レベ
ルVmから最低レベルV0まで低下する。
【0111】第1の制御電圧が低下し始めると、トラン
ジスタT3のインピーダンスが第1の制御電圧に応じて
変化する。これによって、積分回路55のコンデンサC
2が放電を開始する。積分回路55の積分出力は、トラ
ンジスタT4のベース端子に与えられてトランジスタT
4のインピーダンスを変化させる。これによって、電源
ライン45に印加される基準電源Vccがトランジスタ
T4のインピーダンスおよび抵抗R7の抵抗値の和と抵
抗R8の抵抗値との比に応じてによって分圧され、第2
の制御電圧が生成され出力される。図13は、第2の制
御電圧の時間変化を示すグラフである。時刻t21から
マルチパス雑音が発生すると、第2の制御電圧は第1の
制御電圧よりも緩やかに低下する。
【0112】時刻t22においてマルチパス雑音の発生
が終了すると、積分回路47のコンデンサC1および積
分回路55のコンデンサC2はそれぞれ充電を開始す
る。これによって第1の制御電圧は、即座に定常レベル
Vmまで戻る。また、第2の制御電圧は、時刻t22か
ら緩やかに増加して、定常レベルVmまで戻る。
【0113】第1の制御電圧が出力される接続点p1
は、導線57aを介してトランジスタT11のベース端
子と接続される。また、第2の制御電圧が出力される接
続点p2は、導線58aを介してトランジスタT11の
エミッタ端子に接続される。トランジスタT11のコレ
クタ端子は接地されている。さらに、トランジスタT1
1のエミッタ端子には導線61aの一端が接続される。
導線61aの他端は、チャネル分離回路22に接続され
る。
【0114】トランジスタT11は、たとえばエミッタ
端子に与えられる第2の制御電圧の電圧レベルとベース
端子に与えられる第1の制御電圧の電圧レベルとに予め
定めるレベル差ΔV2以上のレベル差が生じると、ベー
ス端子に与えられた電圧レベルに応じたインピーダンス
でオン状態となる。すなわち、第2の制御電圧をチャネ
ル分離回路22に与えるための導線58a,61aに、
第1の制御電圧の電圧レベルに応じてインピーダンスが
変化するトランジスタT1がバイパスされていることと
等しい。
【0115】第1の制御電圧および第2の制御電圧は、
チャネル分離回路22の係数乗算回路68,72におい
て定められる係数k1を所望の値とすることができる所
望レベルに予め調整されている。このレベル調整は、第
1の制御電圧では抵抗R3,R4において行われる。ま
た第2の制御電圧では、抵抗R7,R8において行われ
る。これらの抵抗R3,R4,R7,R8の抵抗値を予
め調整しておくことによって、積分回路47,55の積
分出力に基づいてトランジスタT2,T4のインピーダ
ンスを変化させ、このインピーダンスに基づいて基準電
圧Vccを分圧した分圧出力である第1および第2の制
御電圧が、そのままチャネル分離回路22で与えられる
分離度制御信号となるように調整される。
【0116】第1の制御電圧が第2の制御電圧よりも予
め定めるレベル差ΔV2以上小さくなったとき、トラン
ジスタT11は第1の制御電圧に応じてインピーダンス
が決定されるオン状態となる。このとき第2の制御電圧
が与えられる導線58aは、トランジスタT11によっ
てバイパスされて、第2の制御電圧の一部がバイパスさ
れる。これによって導線61aに与えられる分離度制御
信号は、第1の制御電圧と同一のレベルとなる。
【0117】また、第2の制御電圧の電圧レベルがさら
に低下して、第1の制御電圧と第2の制御電圧とのレベ
ル差が予め定めるレベル差ΔV2未満となったときに
は、トランジスタT11がオフ状態となる。これによっ
て、導線58aを介して与えられる第2の制御電圧はそ
のまま分離度制御信号として導線61aを介しチャネル
分離回路22に与えられる。また、第2の制御電圧が第
1の制御電圧よりも小さくなったときにもまたトランジ
スタT11はオフ状態となり、第2の制御電圧がそのま
ま分離度制御信号としてチャネル分離回路22に与えら
れる。
【0118】図14は、導線61aに印加される分離度
制御信号の制御電圧の時間変化を示すグラフである。時
刻t21においてマルチパス雑音が発生し始めると、分
離度制御信号は、第1の制御電圧に応じた挙動を示し、
即座に予め定めるレベルVddまで低下する。時刻t2
2において、第2の制御電圧の電圧レベルが予め定める
レベルVd以下に低下すると、以後、分離度制御信号は
第2の制御電圧に応じた挙動を示して最低レベルまで低
下する。
【0119】時刻t23において雑音の発生が終了する
と、第1および第2の制御電圧は定常レベルVmに復帰
する。このとき、第1の制御電圧の復帰時間は第2の制
御電圧の復帰時間よりも長く、かつ第2の制御電圧は常
に第1の制御電圧よりも低いレベルを保つ。ゆえに分離
度制御信号は、第2の制御電圧と同様の挙動を示し、緩
やかに増加して定常レベルVmaxに戻る。このよう
に、分離度を予め定めるレベルと最低レベルとの2段階
に分けて低下させるとき、第1の制御電圧と第2の制御
電圧とを比較する構成を簡略化することができる。ゆえ
に、装置の構成が容易となる。
【0120】第1および第2実施形態のステレオ受信機
11,101では、第1の制御電圧を出力する構成およ
び第2の制御電圧を出力する構成は、縦列接続されてい
る。図1および図11に示すステレオ受信機11,10
1のうち、2点鎖線110において囲まれた構成は、従
来技術の分離度制御回路と等しい構成を有する。この構
成は、たとえば集積回路として一般的に使用されてい
る。本実施形態のステレオ受信機では、従来から用いら
れている構成には何ら手を加えることがなく、その構成
から出力される制御信号に基づいて以後の構成を制御す
る。このように、本実施形態のステレオ受信機11,1
01は実施することが容易である。
【0121】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、ステレオ
受信機では、受信信号を受信し復調して、分離度に応じ
て左右チャネルの音声信号を分離し、各チャネルの音声
を再生する。チャネルの分離度は、雑音信号の雑音密度
に応じて変更される。これによって、雑音密度が小さく
雑音が離散的に発生しているときと、雑音密度が大きく
雑音が恒常的に多数発生しているときとにおいて、分離
度をそれぞれの場合に応じた値に設定することができ
る。したがって、雑音の発生回数や発生間隔などに応答
して、発生した雑音を低減することができる。
【0122】また雑音信号の雑音密度が小さいとき、出
来る限りステレオ感を保つことができる程度の分離度
で、音声信号を分離することができる。したがってステ
レオ音声がモノラル音声に頻繁に切換わるように、聴取
者に感じさせることを防止することができる。
【0123】また本発明によれば、前記ステレオ受信機
は、受信信号の受信電界強度を検出して低下したときに
は、チャネル分離手段において分離度を低下させ、雑音
を低減させる必要がある。電界強度検出手段の出力は雑
音抽出手段の出力に重畳されて、前記分離度制御手段に
与えられる。分離度制御手段は、雑音信号の雑音密度と
受信信号の受信電界強度とを同時に考慮して分離度を制
御する。これによって、単一の分離度制御手段を用い
て、2つの判断要素をを同時に判断する事ができる。ゆ
えに構成が簡略化される。
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるステレオ受信機1
1の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】図1のステレオ受信機11のSメータ回路32
から出力される出力信号の時間変化を示すグラフであ
る。
【図3】図1のステレオ受信機11の積分回路47の積
分出力の時間変化を示すグラフである。
【図4】図1のステレオ受信機11のチャネル分離回路
22の具体的構成を示すブロック図である。
【図5】図4のチャネル分離回路22の係数乗算回路6
8,72における係数k1と分離度制御信号の制御電圧
との関係を示すグラフである。
【図6】マルチパス雑音の雑音密度が小さいときの第1
および第2の制御電圧の時間変化を示すグラフである。
【図7】マルチパス雑音の雑音密度が小さく雑音発生時
間W12が雑音発生時間W11よりも長いときの第1お
よび第2の制御電圧の時間変化を示すグラフである。
【図8】マルチパス雑音の雑音密度が大きいときの第1
および第2の制御電圧の時間変化を示すグラフである。
【図9】図1のステレオ受信機11において雑音密度の
小さいマルチパス雑音が重畳されたFMステレオ放送の
送信信号が受信されたときのSメータ回路32からの出
力信号、第1および第2の制御電圧、および分離度制御
信号の制御電圧を示す波形図である。
【図10】図1のステレオ受信機11において雑音密度
の大きいマルチパス雑音が重畳されたFMステレオ放送
の送信信号が受信されたときのSメータ回路32からの
出力信号、第1および第2の制御電圧ならびに分離度制
御信号の制御電圧を示す波形図である。
【図11】本発明の第2実施形態であるステレオ受信機
101の電気的構成を示すブロック図である。
【図12】ステレオ受信機101の第1の制御電圧の時
間変化を示すグラフである。
【図13】ステレオ受信機101の第2の制御電圧の時
間変化を示すグラフである。
【図14】導線61aに印加される分離度制御信号の制
御電圧の時間変化を示すグラフである。
【図15】従来技術のステレオ受信機に付加される分離
度制御回路を示すブロック図である。
【図16】図15の分離度制御回路のSメータ回路から
出力されるSメータ電圧の時間変化を示すグラフであ
る。
【図17】図15の分離度制御回路の加算器4から出力
される出力信号の電圧の時間変化を示すグラフである。
【図18】図15の分離度制御回路の検波回路7から出
力される分離度制御信号の制御電圧の時間変化を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
11,101 ステレオ受信機 12 アンテナ 20 中間周波増幅回路 21 周波数弁別回路 22 チャネル分離回路 23,24 トーン制御回路 27,28 スピーカ 32 Sメータ回路 38,38a 分離度制御回路 45 電源ライン 47,55 積分回路 57,58 導線 60 比較部 T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7;T11
トランジスタ C1,C2 コンデンサ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステレオ放送の送信信号を受信する受信
    手段と、 受信手段の出力に応答し、受信手段から出力される受信
    信号を復調する復調手段と、 復調手段の出力および分離度制御信号に応答し、その分
    離度制御信号のレベルに対応する分離度で、復調された
    受信信号を左右チャネル毎の音声信号に分離して導出す
    るチャネル分離手段と、 受信手段の出力に応答し、受信信号から雑音信号を抽出
    する雑音抽出手段と、 雑音抽出手段の出力に応答し、抽出された雑音信号の雑
    音密度が高いほど、複数の段階的にまたは連続的に、前
    記分離度を小さく設定するようにチャネル分離手段を制
    御する分離度制御信号を出力する分離度制御手段とを含
    むことを特徴とするステレオ受信機。
  2. 【請求項2】 前記受信手段の出力に応答し、受信信号
    の電界強度を検出する電界強度検出手段をさらに含み、 電界強度検出手段の出力は、前記雑音抽出手段の出力に
    重畳されて前記分離度制御手段に与えられ、 分離度制御手段は、電界強度が小さくなるほど前記分離
    度を小さくするように前記チャネル分離手段を制御する
    分離度制御信号を出力することを特徴とする請求項1記
    載のステレオ受信機。
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