JP3192884U - プレキャストコンクリート製構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】収納容器を並置及び積み上げて形成された収納容器集合体を安定して固定できると共に、保管空間の省スペース化を図ることができるプレキャストコンクリート製構造体を提供する。【解決手段】プレキャストコンクリート製構造体11が固定する対象である、収納容器集合体は、複数の収納容器20が、各蓋部面が水平方向になるように、かつ積層後の蓋部上面が略同一平面を形成すると共に、水平断面形状が全体として略六角形となるように、水平方向と垂直方向に並置及び積み上げられた収納容器集合体である。プレキャストコンクリート製構造体11は、床コンクリート14上に配置された収納容器集合体の蓋部上面と側面とを、複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル12、及び相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネル13で覆う構造体である。【選択図】図1

Description

本考案は、水平方向に並置すると隣接する容器の側面同士が接するように並置できる正多角柱又は略正多角柱からなる複数の収納容器が並置及び積み上げられた収納容器集合体、特にこれらの中でも六方最密充填構造を形成するように並置できる角柱体からなる複数の収納容器を水平と垂直方向に並置及び積み上げられた収納容器集合体、を固定するプレキャストコンクリート製構造体に関するものである。
従来から、放射性汚染物質、廃液等を安全に収納するための収納容器が知られている。例えば、特許文献1には、医療現場にて発生する放射性廃棄物を安全に貯蔵して廃棄処理するために又は放射性物質の保管のための移動式放射線遮蔽容器が記載されている。この移動式放射線遮蔽容器は、放射性廃棄物投入用の容器又は放射性物質の保管用バケツを収納するために鉛等の重金属にて形成した重量の有る放射線遮蔽容器である。放射線遮蔽容器の下部には、放射線遮蔽容器を移動可能とするために、キャスターが取り付けられている。
特許文献2には、壁部の外形が、六角柱又は略六角柱で、該六角柱又は略六角柱の軸方向に沿って延びると共に外側に突出する第1の突出部と、前記軸方向に沿って延びると共に内側に凹む第1の凹部とを備え、前記第1の凹部は他の前記放射性汚染物質収納容器に形成された前記第1の突出部と嵌合可能に形成された放射性汚染物質収納容器が開示されている。該放射性汚染物質収納容器を互いに隣接させて保管する際に、前記第1の突出部と、隣接する他の容器の第1の凹部が嵌合する状態になるので、多量の放射性汚染物質収納容器を垂直方向に積み上げることが可能である。
特開2007−147580号公報 特許5205540号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された移動式放射線遮蔽容器は、大量の放射性汚染物質を保管するためには、多数の容器が必要となる。この場合、保管空間の省スペース化を図るために、容器を積み上げて保管することが求められる。しかしながら、特許文献1に記載された移動式放射線遮蔽容器はキャスター付であるため、容器を安定的に積み上げることは困難である。また、上記特許文献2に開示された収納容器を水平方向と垂直方向に重ねて、3段以上の多段に積層した際に更なる安定性が求められている。
本考案の目的は、水平方向に並置すると隣接する容器の側面同士が接して並置並置できる略角柱体からなる複数の収納容器、特に六方最密充填構造を形成するように並置できる略角柱体からなる複数の収納容器を水平と垂直方向に並置及び積み上げられた収納容器集合体を安定的に固定・保管するためのプレキャストコンクリート製構造体を提供することにある。
本考案者は、上記従来技術に鑑みて、
複数の正多角柱又は略正多角柱を水平方向に並置すると隣接する容器の側面同士が接するように並置できる該正多角柱又は略正多角柱からなる複数の収納容器が、各蓋部面が水平方向になるように、かつ積み上げた後の蓋部上面が略同一平面を形成すると共に、水平断面形状が全体として略多角形となるように、水平方向と垂直方向に並置及び積み上げられた収納容器集合体、
特にこれらの収納容器集合体の中で、正六角柱又は略正六角柱を形成する6つの各側面の少なくともそれぞれの一部の側面を有していて、水平方向に並置すると隣接する容器の側面同士が接して、六方最密充填構造を形成するように並置できる形状とし、かつ、複数の該収納容器の各蓋部面が水平方向になるように、かつ積層後後の蓋部上面が略同一平面を形成すると共に、水平断面形状が全体として略六角形となるように、水平方向と垂直方向に並置及び積み上げられた収納容器集合体を
該収納容器集合体の蓋部上面と側面(又は蓋部上面と側面と底面)とを、複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル、及び相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネル(又は、複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル、相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネル、及び相互に連結させてなる複数の底体用プレキャストコンクリートパネル)で覆うことにより上記課題が解決できることを見出し、本考案を完成させた。
即ち、本考案は、以下の(1)〜(6)に記載する考案を要旨とする。
(1)水平方向に並置すると隣接する容器の側面同士が接するように並置できる正多角柱又は略正多角柱からなる複数の収納容器が、各蓋部面が水平方向になるように、かつ積み上げた後の蓋部上面が略同一平面を形成すると共に、水平断面形状が全体として略多角形となるように、水平方向と垂直方向に並置及び積み上げられた収納容器集合体を外表面から覆うことにより固定するプレキャストコンクリート製構造体であって、
(i)該収納容器集合体の上面、及び側面を、それぞれ複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル、及び相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネルで、又は
(ii)該収納容器集合体の上面、側面、及び底面を、それぞれ複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル、相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネル、及び相互に連結させてなる複数の底体用プレキャストコンクリートパネルで、
覆うことにより固定するプレキャストコンクリート製構造体。
(2)正六角柱又は略正六角柱を形成する6つの各側面の少なくともそれぞれの一部の側面を有していて、水平方向に並置すると隣接する容器の側面同士が接して、六方最密充填構造を形成するように並置できる略角柱体からなる複数の収納容器が、各蓋部面が水平方向になるように、かつ積み上げた後の蓋部上面が略同一平面を形成すると共に、水平断面形状が全体として略六角形となるように、水平方向と垂直方向に並置及び積み上げられた収納容器集合体を外表面から覆うことにより固定するプレキャストコンクリート製構造体であって、
(i)該収納容器集合体の上面、及び側面を、それぞれ複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル、及び相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネルで、又は
(ii)該収納容器集合体の上面、側面、及び底面を、それぞれ複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル、相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネル、及び相互に連結させてなる複数の底体用プレキャストコンクリートパネルで、
覆うことにより固定する、前記(1)に記載のプレキャストコンクリート製構造体。
(3)前記収納容器が、その壁部が、前記六角柱又は略六角柱の軸方向に沿って延びると共に外側に突出する第1の突出部と、前記軸方向に沿って延びると共に内側に凹む第1の凹部とを備え、前記第1の凹部は他の前記収納容器に形成された前記第1の突出部と嵌合可能に形成される、有底の収納容器(A)である、前記(2)に記載のプレキャストコンクリート製構造体。
(4)前記収納容器が、外形形状が、7つの同一形状の正六角柱のうちの中央部に位置する1つの正六角柱の6つの側面に、他の6つの正六角柱の各1つの側面を接合させた場合のハニカム形状の集合体に形成される、18の外側面を有する、有底の収納容器(B)である、前記(2)に記載のプレキャストコンクリート製構造体。
(5)前記複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル、及び相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネルにおけるすべてのパネル間、又は
前記複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル、相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネル、及び相互に連結させてなる複数の底体用プレキャストコンクリートパネルにおけるすべてのパネル間が、シール材によりシールされた構造であることを特徴とする、前記(1)から(4)のいずれかに記載のプレキャストコンクリート製構造体。
(6)前記収納容器が放射性汚染物質収納容器である、前記(1)から(5)のいずれかに記載のプレキャストコンクリート製構造体。
複数の正多角柱又は略正多角柱を水平方向に並置すると隣接する容器の側面同士が接するように並置できる該正多角柱又は略正多角柱からなる複数の収納容器が、各蓋部面が水平方向になるように、かつ積み上げた後の蓋部上面が略同一平面を形成すると共に、水平断面形状が全体として略多角形となるように、水平方向と垂直方向に並置及び積み上げられた収納容器集合体を外表面から覆うことにより固定するプレキャストコンクリート製構造体は、保管空間の省スペース化を図ることができ、また収納容器集合体を安定的に固定できる。
特に、正六角柱又は略正六角柱を形成する6つの各側面の少なくともそれぞれの一部の側面を有していて、水平方向に並置すると隣接する容器の側面同士が接して、六方最密充填構造を形成するように並置できる略角柱体からなる複数の収納容器を保管するために、これらの収納容器の各蓋部面が水平方向になるように、かつ積み上げた後の蓋部上面が略同一平面を形成すると共に、水平断面形状が全体として略六角形となるように、水平方向と垂直方向に並置及び積み上げられた収納容器集合体とすると、保管空間の更なる省スペース化と安定化を図ることが可能になる。
また、上記正六角柱又は略正六角柱を形成する6つの各側面の少なくともそれぞれの一部の側面を有していて、水平方向に並置すると隣接する容器の側面同士が接して、六方最密充填構造を形成するように並置できる略角柱体からなる複数の収納容器を各蓋部面が水平方向になるように、かつ積み上げた後の蓋部上面が略同一平面を形成すると共に、水平断面形状が全体として略六角形となるように、水平方向と垂直方向に並置及び積み上げられた収納容器集合体の蓋部上面と側面(又は、の蓋部上面と側面と底面)とを、複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル、及び相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネル(又は、蓋体用プレキャストコンクリートパネル、相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネル、及び相互に連結させてなる複数の底体用プレキャストコンクリートパネル)で覆うプレキャストコンクリート製構造体を使用することにより、収納容器集合体をより安定的に固定できるので、収納容器集合体を地震等の振動による収納容器の転倒等のリスクを低減させることが可能になると共に、収納容器を放射性汚染物質収納容器として使用すると本考案のプレキャストコンクリート製構造体により、優れた放射線遮蔽効果が得られる。
また、本考案のプレキャストコンクリート製構造体は、建築物と比べ解体・撤去が容易で、移設・転用が可能である。
図1は、複数の収納容器(A)が水平方向と垂直方向に並置及び積み上げられた収納容器集合体の一部と、収納容器集合体が蓋体用プレキャストコンクリートパネルと側壁体用プレキャストコンクリートパネルで覆われたプレキャストコンクリート製構造体の斜視図である。 図2は、収納容器(A)を上面側から見た斜視図である。 図3は、収納容器(A)を底面側から見た斜視図である。 図4は、インナーケースが収納容器(A)に充填された状態を示す平面図である。 図5は、収納容器(A)が水平方向、及び垂直方向に並置及び積み上げられている状態を示す斜視図である。 図6は、収納容器(B)を上面側から見た斜視図である。 図7は、収納容器(B)の底面図である。 図8は、インナーケースが収納容器(B)に充填された状態を示す斜視図である。 図9は、収納容器(B)が水平方向、及び垂直方向に並置及び積み上げられている状態を示す斜視図である。
以下、本考案を図1を用いて説明する。尚、本考案は図1に示すプレキャストコンクリート製構造体に限定されるものではない。
本考案のプレキャストコンクリート製構造体11が固定する対象である、収納容器集合体は、複数の収納容器(A)20が、各蓋部面が水平方向になるように、かつ積層後の蓋部上面が略同一平面を形成すると共に、水平断面形状が全体として略六角形となるように、水平方向と垂直方向に並置及び積み上げられた収納容器集合体である。各収納容器の具体例は後述する。
本考案のプレキャストコンクリート製構造体11は、床コンクリート14上に配置された収納容器集合体の蓋部上面と側面とを、複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル12、及び相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネル13で覆う構造体である。尚、図1に示す床コンクリート14の代わりに、収納容器集合体の底面を相互に連結させてなる複数の底体用プレキャストコンクリートパネルで覆うこともできる(図示せず)。
以下に、本考案の「プレキャストコンクリート製構造体」を、〔1〕収納容器、〔2〕プレキャストコンクリート製構造体の項目で説明する。
〔1〕収納容器
本考案のプレキャストコンクリート製構造体が固定する収納容器集合体を構成する、収納容器は、水平方向に並置すると隣接する容器の側面同士が接するように並置できる正多角柱又は略正多角柱からなる複数の収納容器であれば特に制限されるものではないが、正六角柱又は略正六角柱を形成する6つの各側面の少なくともそれぞれの一部の側面を有していて、水平方向に並置すると隣接する容器の側面同士が接して、六方最密充填構造を形成するように並置できる略角柱体からなる、形状の容器がより好ましい。このような六方最密充填構造を形成する形状の収納容器を水平方向に並置すると水平方向に隣接する収納容器同士で互いに側面が接して、水平方向に互いに六方最密充填構造を形成することにより、安定的に固定できかつ、保管空間の省スペース化を図ることが可能になる。
また、各収納容器の蓋部中央に凸部を設け、上側に積み上げられた収納容器の底部に該凸部と篏合する形状の突出部を設けることが好ましい。収納容器の蓋部と底部にこのような形状を設けることにより、垂直方向に安定的に積み上げることが可能になる。
上記収納容器に収納する収納物は特に限定されるものではないが、収納物として、放射性汚染水と放射性汚染スラリー等の放射性汚染物質、工業排水、めっき廃液、重金属含有廃液、汚泥水、下水、焼却灰、汚染土、ガレキ、汚染草木、汚泥、及び溶融スラグ等を挙げることができるが、これらの中でも放射性汚染物質の収納に好適に使用することができる。これらの収納物をインナーケースに一旦収納し、収納物が収納されたインナーケースを収納容器(A)(又は、収納容器(B))に収納することもできる。
このような収納容器を水平方向と垂直方向に並置及び積み上げた収納容器集合体は、本考案のプレキャストコンクリート製構造体で覆うことにより、長期間安定的に保管する上で好ましい。また、放射性汚染物質を収納容器に収納して、並置及び積み上げた収納容器集合体とすることにより、複数の収納容器による放射線遮蔽効果が得られ、更にプレキャストコンクリート製構造体による遮蔽効果が得られる点からも、本考案のプレキャストコンクリート製構造体は、放射性汚染物質を収納した収納容器の保管に好適に使用することができる。
以下に収納容器の具体例としては、本出願人が先に出願した、特願2012−207384(特許第5205540号公報)で開示した収納容器(A)、及び特願2013−232340で開示した収納容器(B)を例示するが、本考案の対象となる収納容器は、以下に例示する容器に限定されない。
(1)収納容器(A)
前記収納容器の具体例として、前記壁部が、前記六角柱又は略六角柱の軸方向に沿って延びると共に外側に突出する第1の突出部と、前記軸方向に沿って延びると共に内側に凹む第1の凹部とを備え、前記第1の凹部は他の前記収納容器に形成された前記第1の突出部と嵌合可能に形成され、有底の容器本体に、蓋部が取り付けられている収納容器(A)を挙げることができる。
図2に示すように、収納容器(A)20は、収納空間を画定する壁部22と、取り外し可能な蓋部21と、有底の本体部とを備えた略正六角柱体である。一例として、壁部22の外形によって構成される略正六角柱の軸方向長さは約1m、略正六角形の平面において、略正六角形の中心を通る対角線長さは約1m程度とすることができる。耐蝕性、放射性汚染物質等の収納に使用する場合を考慮すると、収納容器(A)の壁部22と底部を含む本体、及び蓋部21はステンレス製が好ましい。
また、図2,3に示すように、本体部の各壁部22には、略六角柱の軸方向に沿って延びる側面突出部23又は軸方向に沿って延びる側面凹部24のいずれか一方が形成されている。収納容器(A)では、側面突出部23又は側面凹部24は、各壁部22の中央に配置され、側面突出部23が形成された側面と側面凹部24が形成された側面とが隣り合うように構成されている。側面突出部23は外側に向かうにつれて幅が狭くなるように形成され、側面凹部24は内側に向かうにつれて幅が狭くなるように形成されていて、複数の収納容器(A)を並置した場合、側面突出部23は他の質収納容器に設けられた側面凹部に嵌合できるように形成されている。
蓋部21には、側面突出部23及び側面凹部24の形状と対応する蓋部突出部25と蓋部凹部26が設けられている。蓋部21の中央には収納容器(A)の外側に突出する蓋部中央凸部27が形成されている。底面凸部28は収納容器(A)の底面に表れる略六角形の角部にそれぞれ形成されている。図3に示すように、収納容器(A)を底面が上になるように配置した位置関係において、底面凸部28は、同一平面上に形成された上面と、収納容器(A)の縁部から中心方向に向かって延びる一対の側壁部と、側面と一体的に形成されている一対の側壁部を備え、また、底面凸部28に囲まれた平面30を備えている。底面凸部28と底面則の平面29によって形成された底面の凹部は、収納容器(A)を積み上げた場合に、収納容器(A)に形成された蓋部中央凸部27と嵌合するように形成されている。
図4に、収納容器(A)20にインナーケース61が収納された状態を平面図で示す。
収納容器(A)の収納空間内に余分な空きスペースを生じさせずに、インナーケース61が収納されるように収納容器(A)の内側に、内壁31と連続する更なる内側壁面32を設けている。
図5に、複数個の収納容器(A)20を並置して、その一部を2段に積み上げた状態の斜視図を示す。収納容器(A)は、壁部22の外形が、略六角柱であるため、収納容器(A)を複数個並置した場合に、隣り合う収納容器(A)を密接させて並置又は積み上げることができる。また、蓋部中央凸部27は上側の収納容器(A)の底面凸部28と篏合した状態で積み上げることができる。
したがって、地中又は地上等に設けられた収納容器(A)を比較的安定的に、かつ保管空間の省スペース化を図ることができる。
(2)収納容器(B)
図6は、容器本体36と、蓋部37とから形成された収納容器(B)35の斜視図であり、図7は、収納容器(B)の底面図である。
図6、7に示すように、収納容器(B)35は、外形形状が、7つの同一形状の正六角柱のうちの中央部に位置する1つの正六角柱の6つの側面に、他の6つの正六角柱の各1つの側面を接合させた場合のハニカム形状の集合体に形成される、18の外側面部38を有する、有底の容器本体36に、開閉部51を有する蓋部37が接合して、又は蓋部が取り外し可能に取り付けられている容器である。又容器本体に対応して蓋部凹部42、蓋部凸部43が設けられている。
容器本体36は、側面凹部39と側面凸部40、及び底部を有している。
図7に示すように、前記蓋部37の表面に、前記容器本体におけるハニカム形状の中央部に位置する1つの正六角柱に相当する位置に略正六角形状の蓋部中央凸部41が設けられており、かつ、前記容器本体の底部外表面に、該容器本体におけるハニカム形状に相当する位置に7つの正六角柱からなるハニカム形状を形成するように連続した底部突出部50が設けられていて、ハニカム形状中央部の略正六角柱形状の突出部が蓋部中央凸部形状と嵌合可能な形状である。
収納容器(B)には、移動・運搬用のワイヤーロープを取り付けるための吊金物44を設けることができる。吊金物44の先端部は、蓋部37に接合して、該吊金物44は、容器本体36内を通って、図7に示すように、吊金物の他方の先端部が底部に接合することができる。このような、蓋部37と底部のそれぞれに接合された構造の吊金物を設けることにより、移動・運搬の際にワイヤーロープ等を取り付け際に収納容器(B)の機械的強度を向上させることができる。
収納容器(B)のサイズとしては、特に制限されるものではないが、例えば、蓋部から底部までの高さが1000〜4000mm程度、相対する側面間の幅が1000〜4000mm程度とすることができる。収納容器(B)の構造の実施態様例として、容器本体と蓋部には板厚6mmのステンレス鋼(SUS316)を使用して、容器のサイズは、幅(相対する側面間の幅)2400mm×高さ(H)2400mm程度、とすることができる。この場合の収納容器質量は約1200kgとなる。また、底部突出部の形状は、例えば厚みが6〜12mmで、高さが100〜300mmで、一辺が300〜600mmの正六角形の形状とすることができる。
収納容器(B)の保管において、収納物質が充填されたインナーケースを収納容器(B)内に複数個収納して保管することが可能である。たとえば、図8に示すように、複数のインナーケース45として、7個からなる、同一形状の、蓋部を有する有底の正六角柱形状体であり、中央部に位置する1つの六角柱形状体の6つの側面に他の6つの正六角柱形状体の各1つの側面が接するように収納することができる。
図9に、複数個の収納容器(B)を並置、及び2段に積み上げた状態の斜視図を示す。収納容器(B)は、水平方向に並置すると隣接する容器の外側面部38同士が接して、六方最密充填構造を形成するように並置でき、蓋部中央凸部41は上側の収納容器(B)の底部突出部50と篏合した状態で積み上げることができるので、地中又は地上等に設けられた収納容器(B)を比較的安定的に、かつ保管空間の省スペース化を図ることができる。
〔2〕プレキャストコンクリート製構造体
プレキャストコンクリート製構造体は、前記収納容器集合体を外表面から覆うことにより固定するプレキャストコンクリート製構造体であって、
(i)該収納容器集合体の上面、及び側面を、それぞれ複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル、及び相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネルで、又は
(ii)該収納容器集合体の上面、側面、及び底面を、それぞれ複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル、相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネル、及び相互に連結させてなる複数の底体用プレキャストコンクリートパネルで、
覆うことにより固定する構造体である。
プレキャストコンクリート製構造体が固定・保管する収納容器として、上記収納容器(A)を使用した例を図1を用いて説明する。図1において、プレキャストコンクリート製構造体11は、床コンクリート14上に配置された、収納容器(A)を並置及び積み上げた収納容器集合体を固定化する構造体である。このような収納容器集合体は、図1に示すように該収納容器集合体の蓋部上面と側面とを、本願考案のプレキャストコンクリート製構造体を形成する、複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル、及び相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネルで覆うことにより固定化される。
図1で、収納容器集合体は、床コンクリート14上に配置されているが、床コンクリート14の代わりに底体用プレキャストコンクリートパネルを用いて、収納容器集合体の底面を相互に連結させてなる複数の底体用プレキャストコンクリートパネルで覆うこともできる。
収納容器集合体は、水平方向には収納容器が隣接する容器の側面同士が接して、六方最密充填構造を形成し、かつ、水平断面形状が全体として略六角形となるように並置され、また、垂直方向には各蓋部面が水平方向になるように、かつ蓋部上面が略同一平面を形成するように積み上げられていている。
尚、プレキャストコンクリート製構造体が固定・保管する収納容器として、上記収納容器(B)を使用した場合も同様に説明することができる。
これらのプレキャストコンクリートパネルは、鉄筋コンクリートとすることが好ましい。側壁体用プレキャストコンクリートパネルの厚みは、例えば収納容器(A)のサイズが略正六角柱の軸方向長さ約1mで、略正六角形の中心を通る平面方向の対角線長さ約1m程度であり、これらの収納容器(A)の収納容器集合体が図1に示すように略正六角形の各辺方向に9個並置し、垂直方向に4個積み上げた場合に、側壁体用プレキャストコンクリートパネルの厚みは約0.25mで、下部の床コンクリートに沿って外部方向への突出している長さは約2mとすることができる。また、蓋体用プレキャストコンクリートパネルの厚みは約0.29mとすることができる。
側壁体用プレキャストコンクリートパネル間は該パネルに埋め込まれた接続金物等を利用して相互に連結することが可能である。蓋体用プレキャストコンクリートパネルは相互に連結させることもできる。また、これらのプレキャストコンクリートパネル間は必要に応じてシール構造とすることができる。
プレキャストコンクリートパネル間のシール材としては、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂等を使用することができる。シール構造とすることにより、プレキャストコンクリート製構造体を長期的に使用することができる。
固定・保管する対象の収納容器は、移動、移設、運搬等が比較的容易であり、また、収納容器集合体を設置する床工事は、転圧砂利と耐圧盤スラブで可能になり、設置時間の短縮と、設置費用を大幅に削減することが可能になる。
プレキャストコンクリートパネルは予め工場等で製造された、高品位のパネルを使用することが可能であり、該パネルの型枠として木製型枠の代わりに鋼製型枠を使用することにより森林資源の浪費を抑えることができる。また、プレキャストコンクリートパネルは、品質・供給の安定化、工程管理・施工効率の向上を図ることができる。
本考案のプレキャストコンクリート製構造体は、収納容器集合体を地震等に対して安定的に固定できると共に、保管空間の省スペース化を図ることができることから、放射性汚染物質の保管等に極めて有用である。また、本考案のプレキャストコンクリート製構造体は、建築物と比べ解体・撤去が容易で、移設・転用が可能である。
11 プレキャストコンクリート製構造体
12 蓋体用プレキャストコンクリートパネル
13 側壁体用プレキャストコンクリートパネル
14 床コンクリート
20 収納容器(A)
21 蓋部
22 壁部
23 側面突出部
24 側面凹部
25 蓋部突出部
26 蓋部凹部
27 蓋部中央凸部
28 底面凸部
29 底面側の平面
30 平面
31 内壁
32 内側壁面
35 収納容器(B)
36 容器本体
37 蓋部
38 外側面部
39 側面凹部
40 側面凸部
41 蓋部中央凸部
42 蓋部凹部
43 蓋部凸部
44 吊金物
45 インナーケース
50 底部突出部
51 開閉部
61 インナーケース

Claims (6)

  1. 水平方向に並置すると隣接する容器の側面同士が接するように並置できる正多角柱又は略正多角柱からなる複数の収納容器が、各蓋部面が水平方向になるように、かつ積み上げた後の蓋部上面が略同一平面を形成すると共に、水平断面形状が全体として略多角形となるように、水平方向と垂直方向に並置及び積み上げられた収納容器集合体を外表面から覆うことにより固定するプレキャストコンクリート製構造体であって、
    (i)該収納容器集合体の上面、及び側面を、それぞれ複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル、及び相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネルで、又は
    (ii)該収納容器集合体の上面、側面、及び底面を、それぞれ複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル、相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネル、及び相互に連結させてなる複数の底体用プレキャストコンクリートパネルで、
    覆うことにより固定するプレキャストコンクリート製構造体。
  2. 正六角柱又は略正六角柱を形成する6つの各側面の少なくともそれぞれの一部の側面を有していて、水平方向に並置すると隣接する容器の側面同士が接して、六方最密充填構造を形成するように並置できる略角柱体からなる複数の収納容器が、各蓋部面が水平方向になるように、かつ積み上げた後の蓋部上面が略同一平面を形成すると共に、水平断面形状が全体として略六角形となるように、水平方向と垂直方向に並置及び積み上げられた収納容器集合体を外表面から覆うことにより固定するプレキャストコンクリート製構造体であって、
    (i)該収納容器集合体の上面、及び側面を、それぞれ複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル、及び相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネルで、又は
    (ii)該収納容器集合体の上面、側面、及び底面を、それぞれ複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル、相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネル、及び相互に連結させてなる複数の底体用プレキャストコンクリートパネルで、
    覆うことにより固定する、請求項1に記載のプレキャストコンクリート製構造体。
  3. 前記収納容器が、その壁部が、前記六角柱又は略六角柱の軸方向に沿って延びると共に外側に突出する第1の突出部と、前記軸方向に沿って延びると共に内側に凹む第1の凹部とを備え、前記第1の凹部は他の前記収納容器に形成された前記第1の突出部と嵌合可能に形成される、有底の収納容器(A)である、請求項2に記載のプレキャストコンクリート製構造体。
  4. 前記収納容器が、外形形状が、7つの同一形状の正六角柱のうちの中央部に位置する1つの正六角柱の6つの側面に、他の6つの正六角柱の各1つの側面を接合させた場合のハニカム形状の集合体に形成される、18の外側面を有する、有底の収納容器(B)である、請求項2に記載のプレキャストコンクリート製構造体。
  5. 前記複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル、及び相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネルにおけるすべてのパネル間、又は
    前記複数の蓋体用プレキャストコンクリートパネル、相互に連結させてなる複数の側壁体用プレキャストコンクリートパネル、及び相互に連結させてなる複数の底体用プレキャストコンクリートパネルにおけるすべてのパネル間が、シール材によりシールされた構造であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のプレキャストコンクリート製構造体。
  6. 前記収納容器が放射性汚染物質収納容器である、請求項1から5のいずれかに記載のプレキャストコンクリート製構造体。
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