JP3192263B2 - 偏極電子線発生素子 - Google Patents

偏極電子線発生素子

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JP3192263B2 JP2982393A JP2982393A JP3192263B2 JP 3192263 B2 JP3192263 B2 JP 3192263B2 JP 2982393 A JP2982393 A JP 2982393A JP 2982393 A JP2982393 A JP 2982393A JP 3192263 B2 JP3192263 B2 JP 3192263B2
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彊 中西
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スピン方向が偏在して
いる偏極電子線を発生する偏極電子線発生素子の改良に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】スピン方向が2種類のうちの一方に偏在
している電子群から成る偏極電子線は、高エネルギー素
粒子実験分野においては原子核内部の磁気構造を、物性
物理実験分野においては物質表面の磁気構造を調査する
上で有効な手段として利用されている。かかる偏極電子
線は、価電子帯にバンドスプリッティングを有する半導
体光電層を備えた偏極電子線発生素子を用い、その半導
体光電層に励起光を入射させることによって取り出すこ
とが可能であり、偏極電子線発生素子としては、例えば
GaAsP半導体の上に、それよりもバンドギャップが
小さく且つ格子定数が僅かに異なるGaAs半導体を結
晶成長させたストレインドGaAs半導体がある。すな
わち、GaAsP半導体に対して格子定数が異なるGa
As半導体がヘテロ結合させられることにより、そのG
aAs半導体には格子歪が付与されるため、その価電子
帯にバンドスプリッティングが発生してヘビーホールの
サブバンドとライトホールのサブバンドにエネルギー準
位差が生じる一方、両サブバンドの励起によって取り出
される電子のスピン方向は互いに反対向きであるため、
エネルギー準位が高い方すなわち伝導帯とのエネルギー
ギャップが小さい方のサブバンドのみを励起するような
光エネルギーをGaAs半導体に注入すれば、一方のス
ピン方向に偏在した電子群が専ら励起されて放出され、
高い偏極率を備えた偏極電子線が得られるのである。ま
た、上記GaAsP半導体はGaAs半導体よりもバン
ドギャップが大きいためポテンシャル障壁として機能
し、GaAs半導体内で発生した電子がGaAsP半導
体側へ入り込むことが防止され、偏極電子の取出効率が
向上する。偏極電子線発生素子としては、上記ストレイ
ンドGaAs半導体ばかりでなく、他のストレインド化
合物半導体、或いは価電子帯に元々バンドスプリッティ
ングを有するカルコパイライト型半導体など、種々のも
のが考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の偏極電子線発生素子においては必ずしも十分な量
子効率(QE)が得られず、発生電子線量が少ないとい
う問題があった。このため、例えば磁区の観察を行うた
めには、十分な電子線量を得るために長時間励起光を照
射する必要があり、リアルタイムで磁区の動きを観察す
ることは困難であった。なお、半導体光電層を厚くすれ
ば励起される電子線が増えて量子効率は向上するが、半
導体内における散乱などでスピンが変化するため、偏極
率が低下してしまうのである。
【0004】本発明は以上の事情を背景として為された
もので、その目的とするところは、偏極率を損なうこと
なく高い量子効率が得られる偏極電子線発生素子を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための第1の手段】かかる目的を達成
するために、第1発明は、価電子帯にバンドスプリッテ
ィングを有する半導体光電層を備え、その半導体光電層
に励起光が入射されることによりその半導体光電層の表
面からスピン方向が偏在している偏極電子線を発生する
偏極電子線発生素子であって、屈折率が周期的に変化し
且つバンドギャップの最大値が前記半導体光電層のバン
ドギャップより大きくなるように組成が変化させられて
いる化合物半導体にて構成され、その半導体光電層の裏
側に設けられて前記励起光を光波干渉によって反射する
半導体多層膜反射鏡を有することを特徴とする。
【0006】
【第1発明の作用および効果】このような偏極電子線発
生素子においては、半導体光電層の裏側に励起光を反射
する半導体多層膜反射鏡が設けられているため、半導体
光電層に入射させられた励起光は、その半導体多層膜反
射鏡で反射されるとともに、半導体光電層の表面でも内
側からの光がある程度反射される。このため、半導体光
電層内を励起光が繰り返し通過させられることになり、
その半導体光電層による励起光の吸収量が増加するとと
もに、励起光で励起される電子線量が多くなって量子効
率(QE)が向上する。しかも、半導体光電層を厚くす
る必要がないため、偏極率が損なわれることも殆どない
のである。
【0007】また、上記半導体多層膜反射鏡は、そのバ
ンドギャップの最大値が半導体光電層のバンドギャップ
より大きいためポテンシャル障壁としても機能し、半導
体光電層で発生した電子が反射鏡側へ入り込むことが防
止されて高い取出効率が得られるとともに、ポテンシャ
ル障壁を別個に設ける場合に比較して素子構造が簡単に
なり安価に構成される。
【0008】
【課題を解決するための第2の手段】前記目的を達成す
るために、第2発明は、励起光が入射されることにより
表面からスピン方向が偏在している偏極電子線を発生す
る偏極電子線発生素子であって、(a)化合物半導体に
て構成された基板と、(b)その基板の上に結晶成長さ
せられるとともに、屈折率が周期的に変化するように組
成が変化させられた化合物半導体にて構成され、前記励
起光を光波干渉によって反射する半導体多層膜反射鏡
と、(c)バンドギャップが前記半導体多層膜反射鏡に
おけるバンドギャップの最大値より小さい化合物半導体
にて構成され、その半導体多層膜反射鏡の上に格子歪を
有する状態で結晶成長させられて、前記励起光が入射さ
れることにより表面から前記偏極電子線を発生する半導
体光電層とを有することを特徴とする。
【0009】
【第2発明の作用および効果】すなわち、この第2発明
は、前記ストレインドGaAs半導体のように、格子歪
によって価電子帯にバンドスプリッティングが設けられ
た半導体光電層を有する偏極電子線発生素子に上記第1
発明を適用した場合で、第1発明と同様の作用効果が得
られる。
【0010】ここで、基板としてGaAsを用い、半導
体多層膜反射鏡として混晶比xが周期的に変化するAl
x Ga1-x Asを用い、半導体光電層としてGaAs
1-y y (混晶比y>0)を用いた場合には、GaAs
とAlx Ga1-x Asとの格子定数差は小さいため、A
x Ga1-x Asは基板上に略コヒーレントに結晶成長
させられ、格子不整合に起因する素子寿命や量子効率の
低下が殆ど生じないとともに、半導体光電層にはAlx
Ga1-x AsとGaAs1-y y との格子定数差に基づ
いて格子歪が生じさせられ、かかる格子歪に基づいて価
電子帯にバンドスプリッティングが発生する。Alx
1-x AsがGaAs基板上に完全にコヒーレントに結
晶成長させられている場合には、上記半導体光電層の格
子歪はGaAsとGaAs1-y y との格子定数差に基
づいて生じるとも考えられるが、上記のようにAlx
1-x AsとGaAsとの格子定数差は極めて小さいた
め、半導体光電層に生じる格子歪は実質的に殆ど変わら
ない。
【0011】上記GaAs1-y y は、半導体光電層と
して一般に用いられているGaAsよりもバンドギャッ
プが大きいため、それだけ最大偏極率が得られる励起光
の波長が高エネルギーの短波長側へシフトし、例えば8
15nm程度以下の波長で高い偏極率の偏極電子線を取
り出すことができるようになり、励起光源として小型で
安価な半導体レーザ等の使用が可能となる。因に、従来
のGaAs半導体光電層の場合は860nm程度の波長
の励起光が必要で、「チタン;サファイア」レーザ等の
大掛かりなレーザ発生装置を用いていた。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。図1において、偏極電子線発生素子10
は、基板12の上によく知られたMOCVD(有機金属
化学気相成長)装置により順次結晶成長させられた半導
体多層膜反射鏡14,および半導体光電層16を備えて
いる。基板12は350μm程度の厚みであって、Zn
が不純物としてドープされることによりキャリア濃度が
5×1018(cm-3)程度とされたp−GaAsであ
り、表面は(100)面である。半導体多層膜反射鏡1
4は、厚さが59nmのp−Al0.2 Ga0.8 Asと厚
さが64nmのp−Al0.6 Ga0.4 Asとを交互に3
0ペア積層したもので、p−Al0.2 Ga0.8 Asから
基板12上に交互に積層され、半導体光電層16との境
界部はp−Al0.6 Ga0.4 Asである。これ等2種類
の半導体は、何れもZnが不純物としてドープされるこ
とによりキャリア濃度が5×1018(cm-3)程度とさ
れている。また、半導体光電層16は850Å程度の厚
みであって、Znが不純物としてドープされることによ
りキャリア濃度が5×1018(cm-3)程度とされたp
−GaAs0.870.13である。なお、図1における各半
導体の厚さは必ずしも正確な割合で示したものではな
い。
【0013】ここで、GaAsとAl0.6 Ga0.4 As
/Al0.2 Ga0.8 Asとの格子定数差は最大0.08
%程度と小さいため、半導体多層膜反射鏡14は基板1
2上に略コヒーレントに結晶成長させられ、格子不整合
に起因する素子寿命や量子効率の低下が殆ど生じない。
これに対し、Al0.6 Ga0.4 As/Al0.2 Ga0.8
AsとGaAs0.870.13との格子定数差は0.6〜
0.7%程度であるため、半導体光電層16は、それ等
の格子定数差に基づく格子歪を有する状態で半導体多層
膜反射鏡14上に結晶成長させられる。半導体多層膜反
射鏡14がGaAs基板12上に完全にコヒーレントに
結晶成長させられている場合には、上記半導体光電層1
6の格子歪はGaAsとGaAs0.870.13との格子定
数差に基づいて生じるとも考えられるが、上記のように
Al0.6 Ga0.4 As/Al0.2 Ga0.8 AsとGaA
sとの格子定数差は極めて小さいため、半導体光電層1
6に生じる格子歪は実質的に殆ど変わらない。そして、
この格子歪により半導体光電層16の価電子帯にバンド
スプリッティングが発生し、ヘビーホールとライトホー
ルのサブバンドにエネルギー準位差が生じる一方、両サ
ブバンドの励起によって取り出される電子のスピン方向
は互いに反対向きであるため、エネルギー準位の高い方
のサブバンドのみを励起するような光エネルギーが半導
体光電層16に注入されると、一方のスピン方向に偏在
した電子群が専ら励起されて表面18から放出される。
【0014】具体的には、GaAs0.870.13の格子定
数はGaAsより小さいため、半導体光電層16には偏
極電子線の取出し方向すなわち膜厚方向において圧縮応
力が作用させられ、ライトホールのサブバンドの方がエ
ネルギー準位が高くなり、そのライトホールのサブバン
ドのみを励起するような光エネルギーを有する円偏光レ
ーザ光を照射すれば良い。かかるストレインドGaAs
0.870.13半導体光電層16に照射するレーザ光の波長
と、取り出される偏極電子線の偏極率との関係を調べる
と、波長が約815nm程度で偏極率が最も高くなる。
したがって、このような本実施例の偏極電子線発生素子
10を用いて偏極電子線を取り出す場合には、波長が8
15nm程度の円偏光レーザ光を励起光として用いれば
良く、小型で安価な半導体レーザ等の使用が可能であ
る。
【0015】一方、前記半導体多層膜反射鏡14は光波
干渉によって上記励起光を反射するためのもので、その
半導体多層膜反射鏡14を構成しているAl0.2 Ga
0.8 AsおよびAl0.6 Ga0.4 Asの膜厚は、それ等
の屈折率および励起光の波長に基づいて定められてい
る。すなわち、Alx Ga1-x Asの屈折率n(x)は
次式(1)に従って求められ、n(0.2)=3.45
2,n(0.6)=3.196であるため、波長λ=8
15nmとして次式(2)に従って、Al0.2 Ga0.8
Asの膜厚t=59nm,Al0.6 Ga0.4 Asの膜厚
t=64nmとされているのである。なお、Al0.6
0.4 AsよりもAlの混晶比xが大きなAlx Ga
1-x Asを用いれば、屈折率差が大きくなって反射率が
高くなるが、混晶比xが0.6より大きくなるとZnの
高濃度ドープが困難となり、導電率が低下して好ましく
ないのである。
【0016】
【数1】 n(x)=3.59−0.71x+0.09x2 ・・・(1) t=λ/4n ・・・(2)
【0017】このような半導体多層膜反射鏡14が半導
体光電層16の裏側に設けられることにより、表面18
から半導体光電層16に入射させられた励起光は、その
半導体多層膜反射鏡14で反射されるとともに、半導体
光電層16の表面18でも内部からの光が30%程度の
反射率で反射される。このため、半導体光電層16内を
励起光が繰り返し通過させられることになり、その半導
体光電層16によって吸収される光エネルギー量が増加
するとともに、その光エネルギーで励起される電子線量
が多くなって量子効率(QE)が向上する。しかも、半
導体光電層16の膜厚を厚くする必要がないため、偏極
率が損なわれることもない。
【0018】ここで、半導体多層膜反射鏡14と表面1
8との間で励起光が共振するように両者間の寸法を設定
したとき、多重反射の際の励起光の打ち消し合いが防止
され、共振する波長の近傍の励起光の吸収が増長されて
高い量子効率が得られる。すなわち、量子効率の向上効
果は、図2に示されているように表面18と反射鏡14
との間の距離d、すなわち半導体光電層16の膜厚によ
って異なり、励起光の共振条件を満足する距離dn ,d
n+1 ,dn+2 ,・・・において高い量子効率が得られる
ため、その距離dn ,dn+1 ,dn+2 ,・・・或いはそ
の近傍の寸法となるように、励起光の波長および半導体
の屈折率に基づいて距離dを設定するのである。具体的
には、半導体光電層16の膜厚をt、屈折率をnとした
場合、2tnが励起光の波長の略整数倍となるようにす
れば良い。なお、厳密には、半導体多層膜反射鏡14内
への光のしみ込み距離も考慮して共振条件を定める必要
がある。
【0019】一方、上記半導体多層膜反射鏡14を構成
しているAlx Ga1-x AsのバンドギャップEg
(x)は、x≦0.45では次式(3)に従って求めら
れるとともに、x≧0.45では次式(4)に従って求
められ、Al0.2 Ga0.8 AsのバンドギャップEg
(0.2)は1.673eV、Al0.6 Ga0.4 Asの
バンドギャップEg(0.6)は2.198eVで、P
の混晶比yにより次式(5)に従って求められるGaA
0.870.13のバンドギャップ1.577eVより何れ
も大きい。このため、かかる半導体多層膜反射鏡14は
ポテンシャル障壁としても機能し、半導体光電層16で
発生した電子が半導体多層膜反射鏡14側へ入り込むこ
とが防止され、高い取出効率が得られる。特に、本実施
例ではバンドギャップが大きいAl0.6 Ga0.4 Asが
半導体光電層16に隣接しているため、電子の入り込み
が効果的に防止されるのである。図3は、かかる本実施
例の偏極電子線発生素子10のバンド構造を示す図であ
る。
【0020】
【数2】 Eg(x)=1.424+1.247x ・・・(3) Eg(x)=1.424+1.247x+1.147(x−0.45)2 ・・・(4) Eg(y)=1.424+1.150y+0.176y2 ・・・(5)
【0021】また、上記のように半導体多層膜反射鏡1
4がポテンシャル障壁を兼ねていることから、その半導
体多層膜反射鏡14と半導体光電層16との間に、Ga
As0.870.13よりもバンドギャップが大きいGaAs
0.740.26等のポテンシャル障壁を別個に設ける場合に
比較して、素子構造が簡単で安価に構成される利点があ
る。
【0022】このように、本実施例の偏極電子線発生素
子10は、偏極率を損なうことなく高い量子効率が得ら
れるようになり、発生電子線量が多くなって磁区観察等
の実験が容易になるとともに、高い取出効率を維持しつ
つ素子構造が簡略化され、安価に構成される。また、8
15nm程度の波長で最大偏極率が得られるため、励起
光源として小型で安価な半導体レーザ等の使用が可能と
なり、上記発生電子線量の増加と相俟って実用的価値が
大幅に向上する。
【0023】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、本発明は他の態様で実施することも
できる。
【0024】例えば、前記実施例では基板12としてG
aAsが用いられていたが、AlGaAs等の他の化合
物半導体やSi基板等を用いることも可能である。半導
体多層膜反射鏡14や半導体光電層16についても、そ
れ等の半導体の組成(Al,Pの混晶比)や種類、膜厚
等は適宜変更され得、半導体光電層としては、例えばG
aAsやInGaAs,InGaAsP等のストレイン
ド化合物半導体、或いは価電子帯に元々バンドスプリッ
ティングを有するカルコパイライト型半導体等を用いる
ことも可能である。各半導体のキャリア濃度、すなわち
不純物のドーピング量や、ドーピングする不純物の種類
についても適宜変更できる。
【0025】また、前記実施例では半導体光電層16の
格子定数が基板12より小さく、膜厚方向において圧縮
応力が作用させられるようになっていたが、基板や半導
体多層膜反射鏡よりも半導体光電層の方が相対的に格子
定数が大きく、引っ張り応力によって格子歪が生じさせ
られるようにすることもできる。
【0026】また、前記実施例の半導体多層膜反射鏡1
4は、GaAs0.870.13よりバンドギャップが大きい
Al0.2 Ga0.8 As/Al0.6 Ga0.4 Asにて構成
されていたが、少なくともバンドギャップの最大値が半
導体光電層16のバンドギャップより大きければ良く、
Alの混晶比は適宜変更され得る。半導体光電層16に
ついても、Pの混晶比は半導体多層膜反射鏡14の格子
定数やバンドギャップを考慮して適宜変更され得る。
【0027】また、前記実施例の半導体多層膜反射鏡1
4は屈折率が異なる2種類の半導体を交互に積層したも
のであったが、その組成を連続的に変化させるようにし
ても良い。
【0028】また、前記実施例の偏極電子線発生素子1
0は基板12,半導体多層膜反射鏡14,および半導体
光電層16によって構成されていたが、所定の基板上に
GaAs半導体を結晶成長させて、その上に半導体多層
膜反射鏡14および半導体光電層16を積層するなど、
素子構造は必要に応じて適宜変更され得る。
【0029】また、前記実施例では最大偏極率が得られ
る励起光の波長が815nm程度であったが、半導体光
電層16を構成しているGaAsPのPの混晶比を大き
くして更に短波長側へシフトさせることも可能で、例え
ば630〜640nm程度で大きな偏極率が得られるよ
うにすれば、He−Neレーザ等の使用も可能となる。
【0030】また、前記実施例では表面18側から励起
光を照射するようになっていたが、GaAs基板12を
エッチング等により切り欠いたり透明基板を用いたりし
て、基板側から励起光を入射させるようにすることも可
能である。
【0031】また、前記実施例ではMOCVD法を用い
て半導体多層膜反射鏡14および半導体光電層16を形
成した場合について説明したが、MBE(分子線エピタ
キシー)法等の他のエピタキシャル成長技術を用いるこ
とも勿論可能である。
【0032】その他一々例示はしないが、本発明は当業
者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である偏極電子線発生素子の
構成を説明する図である。
【図2】図1の偏極電子線発生素子における表面から反
射鏡までの距離と量子効率との関係を示す図である。
【図3】図1の偏極電子線発生素子のバンド構造を示す
図である。
【符号の説明】
10:偏極電子線発生素子 12:基板 14:半導体多層膜反射鏡 16:半導体光電層 18:表面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 俊宏 愛知県春日井市中央台8丁目7番地の4 (72)発明者 中西 彊 愛知県名古屋市昭和区川名山町128−4 (72)発明者 堀中 博道 大阪府吹田市内本町2−5−25 (56)参考文献 特開 平4−329235(JP,A) 特開 平5−47326(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 1/34 H01J 37/075

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 価電子帯にバンドスプリッティングを有
    する半導体光電層を備え、該半導体光電層に励起光が入
    射されることにより該半導体光電層の表面からスピン方
    向が偏在している偏極電子線を発生する偏極電子線発生
    素子であって、 屈折率が周期的に変化し且つバンドギャップの最大値が
    前記半導体光電層のバンドギャップより大きくなるよう
    に組成が変化させられている化合物半導体にて構成さ
    れ、該半導体光電層の裏側に設けられて前記励起光を光
    波干渉によって反射する半導体多層膜反射鏡を有するこ
    とを特徴とする偏極電子線発生素子。
  2. 【請求項2】 励起光が入射されることにより表面から
    スピン方向が偏在している偏極電子線を発生する偏極電
    子線発生素子であって、 化合物半導体にて構成された基板と、 該基板の上に結晶成長させられるとともに、屈折率が周
    期的に変化するように組成が変化させられた化合物半導
    体にて構成され、前記励起光を光波干渉によって反射す
    る半導体多層膜反射鏡と、 バンドギャップが前記半導体多層膜反射鏡におけるバン
    ドギャップの最大値より小さい化合物半導体にて構成さ
    れ、該半導体多層膜反射鏡の上に格子歪を有する状態で
    結晶成長させられて、前記励起光が入射されることによ
    り表面から前記偏極電子線を発生する半導体光電層とを
    有することを特徴とする偏極電子線発生素子。
  3. 【請求項3】 前記基板はGaAsで、前記半導体多層
    膜反射鏡は混晶比xが周期的に変化するAlx Ga1-x
    Asで、前記半導体光電層はGaAs1-y y(混晶比
    y>0)である請求項2に記載の偏極電子線発生素子。
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