JP3191682B2 - 杭打抜機用のチャック装置、および、杭のチャック方法 - Google Patents

杭打抜機用のチャック装置、および、杭のチャック方法

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JP3191682B2 JP16298896A JP16298896A JP3191682B2 JP 3191682 B2 JP3191682 B2 JP 3191682B2 JP 16298896 A JP16298896 A JP 16298896A JP 16298896 A JP16298896 A JP 16298896A JP 3191682 B2 JP3191682 B2 JP 3191682B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、杭を地中に打ち込
みもしくは杭を地中から引き抜くために該杭をチャック
する装置、および、上記の杭をチャックする方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】図5は、杭を打ち込んだり杭を引き抜い
たりする工法を説明するために示したもので、(A)は
工事場の全体を表す模式図、(B)は杭としてのシート
パイルをチャックする状態の模式的な平面図、(C)は
杭としてH型鋼をチャックする状態の模式的な平面図、
(D)は杭としての鋼管もしくはコンクリートパイルを
チャックする状態の模式的な平面図である。杭を打ち込
むには、図5(A)に示すように杭1の頂部を杭チャッ
ク2で把持する。該杭チャック2は起振機3の下方に設
置されている。上記起振機3をクレーンで吊り上げると
前記の杭1は垂直姿勢となる。クレーン4によって前記
の杭1を吊り降ろして地面5の上に立て、起振機3を作
動させて杭1に振動を与えつつ、なお吊り下げてゆく
と、杭1は、杭チャック2および起振機3を含めた重力
荷重によって地中に貫入される。杭を抜くときは、前記
のように起振機3を作動させて杭1に振動を与えつつ、
クレーン4によって吊り上げて引き抜く。
【0003】いま、図5(A)に示したように杭1の打
抜き地点の上方に空中障害物6が有ると、作業可能な空
間の高さが制限される。継ぎ杭の技法を利用するとして
も、毎回の杭打抜き作業における杭1の長さ寸法Lは、
空中障害物6の地上高さ寸法Hよりも小さくなければな
らないのは勿論である。しかし、この図4(A)の例に
おいては、H>Lであっても空中障害物6のために杭1
を吊り上げることができない。クレーンによって杭を吊
り上げることができない場合は、仮想線で示したように
柱状のリーダ7を立て、このリーダ7によって昇降動せ
しめられる起振機8に取り付けられた杭チャック9によ
って杭1をチャックして打抜きすることが考えられる。
【0004】(図5(B)参照)シートパイル11をチ
ャックするには、水平断面が枠形をなすフレーム10に
よって該シートパイル11を緩やかに取り囲み、仮想線
で描いた1対のジョーjによって挟みつける(挟みつけ
るための駆動手段については図6を参照して後述する。
上記のジョーは爪とも呼ばれる)。
【0005】H型鋼12をチャックする場合は図5
(C)のようになり、鋼管杭もしくはコンクリートパイ
ル13を側方からチャックする場合は図5(D)のよう
になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図6は、前掲の図5
(B),(C),(D)に示した爪(別名ジョー)を駆
動する機構の従来例を示し、本図の(A)はレバーを介
して爪を駆動する機構の模式図、本図の(B)および本
図の(C)は1対の爪を油圧シリンダで駆動する機構の
模式的な平面図である。(図6(A)参照)本例の機構
においては、油圧シリンダ14によって傾動せしめられ
るレバー15に可動爪16bが取り付けられており、こ
の可動爪16bと固定爪16aとの間に杭(図示せず)
が挟持されるようになっている。(図6(B)参照)枠
形フレーム10の平行2辺の中央部に、それぞれ、油圧
シリンダ17が内向きに伸縮するように設置されるとと
もに、それぞれの油圧シリンダ17のピストンロッドの
先端に可動爪16bが取り付けられている。(図6
(C)参照)枠形フレーム10の平行2辺の内の片方に
固定ジョー16aが取り付けられるとともに、上記平行
2辺の他方の油圧シリンダ18が設置され、そのピスト
ンロッドの先端に可動爪16bが取り付けられている。
図7は、杭打機用のチャック装置およびチャック方法に
関する従来技術における問題点を説明するために示した
模式図であって、(A)は空中障害物の下方に杭を打設
している状態を描き、(B)は地上構築物にアンカーと
して杭を打ち抜きしている状態を描いてある。
【0007】本図7(A)に示したように、地上高Hの
空中障害物6の下方でリーダ7を立て、該リーダにより
起振機3を介して案内される杭チャック2で杭1を把持
しようとする場合、上記の杭1の長さ寸法を前記地上高
Hよりも僅かに短く設定して矢印Aのように相対的にリ
ーダ7に接近させ、杭チャック2によって杭1を把持し
ようとすると、前掲の図5(B),(C),(D)の構
造から容易に理解できるように杭チャック2を杭1に対
して相対的に上昇させて、その上方から曲線矢印Bのよ
うに嵌め合わさねばならない。ところが、この作業(矢
印B)は空中障害物6と干渉するので遂行が困難であ
る。
【0008】本図7(B)に示すように地上構築物(例
えば既設シートパイル)39をアンカーとし、これをア
ンカーチャック29で強固に把持した状態で圧入シリン
ダ3の伸縮力によって杭1を打ち込み、もしくは引き抜
いている途中で、何らかのアクシデントにより作業を中
断した場合、杭チャック1は杭を放して退避することが
できず、二進も三進も行かない状態に陥ってしまう。
【0009】本発明は上述の事情に鑑みて為されたもの
で、杭の長さ寸法よりも高さ寸法の大きい作業空間を必
要とせず、かつ、杭の打抜作業を中断した場合、迅速容
易に退避することができ、退避状態からの復帰も容易な
杭チャックに関する技術を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに創作した本発明の基本的な原理について、その実施
形態に対応する図1(A)を参照して略述すると、従来
は枠状の水平断面形状を有していたフレームを改良して
コの字形フレーム20を構成し、上記コの字形フレーム
のコの字の平行2辺に相当する部分で杭(例えばH型鋼
12)を緩やかに挟み込んで、該杭をフレームの外側へ
突出させることなくコの字形の中空部の中に収納した状
態で、1対の可動つめ16bによって挟圧する。このよ
うに構成すると、断面コの字形の平行2辺に相当する個
所の開口部を通過させて、コの字形フレームと杭と
することが可能になる。ただし、フレームを枠状(ロ
の字形)に形成した従来例(例えば図6(B)),同
(C)参照)に比してフレームの剛性保持が難しいの
で、補強部材21を設けても良い、このような補強部材
の併設によってフレームの「コの字形」が「C字形」に
変化しても、技術的思想の原理は同様である。また、図
1(B)に示したようにコの字形フレームの開口部が拡
開する方向の変形を阻止するように該コの字形平行2辺
に相当する個所の先端同志を連結する補強用掛金23を
設けることもできるが、この補強用部材が杭の通過を妨
げないように、着脱容易もしくは開閉自在であることが
望ましい。
【0011】以上に説明した原理に基づいて、請求項1
の発明の構成は、水平断面において、ほぼ垂直な杭を貫
通せしめ得る中空部と、上記杭を中空部外に出入さしめ
る通路となり得る切目とを有するコの字状ないしC字状
、一体の部材であるフレームを具備するとともに、
記の通路から外側へ突出することなく、コの字状の中空
に収納した状態の杭を把持する1対の爪部材、および、
上記1対の爪部材のよって杭を挟圧する油圧式アクチュ
エータを具備していて、上記の爪部材による杭の挟圧を
解除した状態で、該杭とフレームとを相対的に接近せし
め、前記の通路を通過させて前記の杭を中空部に迎え入
れることができ、かつ、該杭とフレームとを相対的に離
間せしめて該杭を中空部外に放出することができるよう
になっていることを特徴とする。以上に説明した請求項
1の発明によると、杭をほぼ垂直ならしめた状態で、フ
レームが位置している水平面の付近において、該杭とフ
レ^ムとを相対的に接近せしめてフレームの中空部に杭
を貫通させることができる。すなわち、杭チャックに杭
の頂部よりも上方を通過せしめる必要無く、該杭を杭チ
ャックのフレームに貫通させることができる。これによ
り、空中障害物の下方で垂直に保持され、もしくは垂直
姿勢で搬入された杭と杭チャックのフレームとを、上記
空中障害物に干渉する虞れ無く係合することができる。
上記と同様の理由により、杭を杭チャックで把持して地
中に打ち込んでいる途中、もしくは杭を地中から引き抜
いている途中で作業を中断した場合、杭チャックによる
杭の把持を解除して該杭チャックをほぼ水平方向に退避
させることもできる。
【0012】請求鋼2の発明の構成は前記請求項1の発
明に加えて、前記のコの字状ないしC字状のフレーム
が、該フレームによって支持されている杭の中心線とほ
ぼ同心の旋回機構を介して、ショベル系建設車両のアー
ムによって支持されていることを特徴とする。以上に説
明した請求項2の発明によると、チャック装置がショベ
ル系建設車両のアームによって支持されているので、該
建設車両を走行させることにより「杭チャックに支持さ
れている杭」の位置を任意に調節するとともに、そのア
ームを動かして該杭を下方に押し下げたり上方に引き上
げたりすることができる。その上、旋回機構を作動させ
て、支持している杭の垂直軸まわりの回動角位置を任意
に調節することができる。特に、ショベル系建設車両の
走行によって杭チャックをほぼ水平に移動させながら、
杭の把持したり、同じく水平方向に移動させながら杭の
把持を解除して退避することができるので、杭打抜作業
空間の高さ寸法が制限されていても杭に対する接近把持
の操作、および、杭を放しての退避操作が可能である。
【0013】請求鋼3の発明の構成は前記請求鋼1,2
の発明の構成に加えて、前記のコの字状ないしC字状の
フレームが、起振機を介してショベル系建設車両のアー
ムによって支持されていることを特徴とする。以上に説
明した請求項3の発明によると、杭チャックで把持した
杭に対してアーム駆動力による静荷重を与えて打ち抜き
を行なうこともでき、上記の静荷重に加えて起振機によ
る振動荷重を重畳せしめることもできる。
【0014】請求項4の発明の構成は前記請求項1の発
明の構成に加えて、前記のコの字状ないしC字状のフレ
ームが「地上構築物を把持するアンカーチャックを備え
たベース部材」によって支持されるとともに、上記ベー
ス部材に対して前記のフレームをほぼ上下方向に駆動す
る手段を具備していることを特徴とする。以上に説明し
た請求項4の発明によると、地上構築物(例えば既設の
杭)をアンカーとして、これに反力を支持させることに
より杭チャックで把持した杭を地中に圧入したり地中か
ら引き抜いたりすることができる。このように、静止物
体である地上構築物をアンカーとした場合は、ショベル
系建設車両をアンカーとした場合に比して杭打抜機本体
部分の移動が容易でないので、本発明の「接近・退避容
易性」という効果の価値が非常に高い。すなわち、本発
明に係るチャック装置を備えた杭打抜機を予めアンカー
(地上構築物)に取り付けた状態で杭を搬入して該杭チ
ャックに把持させることも容易であり、また、杭の打抜
作業を中断して杭打抜機を退避させることも容易に行な
うことができ、身軽なトラブル対応が可能である。トラ
ブル対応性の向上は、間接的に作業の安全性向上にも有
効であり、また間接的に施工コストの低減や工期の遅延
防止にも有効である。
【0015】請求項5の発明の構成は前記請求項4の発
明の構成に加えて、前記のフレームが、該フレームによ
って支持されている杭とほぼ同心の旋回機構を介して前
記のベース部材に取り付けられていることを特徴とす
る。以上に説明した請求項5の発明によると、杭チャッ
クで把持した杭が例えばシートパイルや継手付鋼管など
のように回動に関する方向性を有している場合、杭チャ
ックを旋回軸まわりに回動させて杭の回動角位置を任意
かつ容易に調節することができる。
【0016】請求項6の発明の構成は前記請求項4,5
の発明の構成に加えて、前記のフレームが、起振機を介
して前記のベース部材に取り付けられていることを特徴
とする。以上に説明した請求項6の発明によると、請求
項4の発明における「杭への接近把持、および杭の放出
退避が容易である」という効果を損なうことなく、これ
に加えて、振動杭打抜工法を静圧杭打抜工法との何れか
を任意に選定することもでき、両工法を併用することも
できる。
【0017】請求項7の発明の構成は前記請求項4,5
の発明に加えて、前記のフレームを上下に駆動する油圧
シリンダを備えており、かつ、上記油圧シリンダを駆動
する油圧回路の他に、作動油を循環流動させる油圧回
路、および、上記循環流動回路を急激に閉塞し得る弁手
段を具備し、油流を急激に閉塞したときに発生する油撃
を前記油圧シリンダ内の作動油圧と重畳せしめる手段を
具備していることを特徴とする。以上に説明した請求項
7の発明によると、油圧シリンダの伸縮力による静荷重
を用いる無振動、無騒音の杭打抜工法を基本とし、必要
に応じて油撃を併用することにより、著しい振動や騒音
を発生することなく、強力な杭打ち、杭抜き作業を遂行
することができる。
【0018】請求項8の発明の構成は前記請求項1〜7
の発明の構成に加えて、前記のコの字状ないしC字状の
フレームが、その開口部を隔てて対向している個所の間
隔寸法が増加しないように補強する部材を固着されてお
り、もしくは、上記間隔寸法が増加しないように対向個
所を拘束する、開閉可能な連結部材を具備していること
を特徴とする。以上に説明した請求項8の発明による
と、フレームをコの字状に構成することによって該フレ
ームの剛性が不足するという弊害を生じる虞れが無く、
杭チャック装置の信頼性、耐久性を維持することができ
る。
【0019】請求項9の発明の構成は、一体のコの字形
フレームを杭側方から接近させて、該コの字形の平行
2辺の間に杭を緩やかに挟み込み、該杭をコの字形フレ
ーム外に突出せしめることなく該コの字形の中空部に収
納し、上記フレームに設けられた1対の爪部材によって
杭を挟圧して把持し、上記フレームに杭の打ち込み方向
の圧力、もしくは引き抜き方向の張力を与えて該杭を地
中に貫入せしめ、もしくは地中から引き抜き、上記の貫
入もしくは引き抜きの後、又は、貫入もしくは引き抜き
途中の随時に、前記の爪による挟圧を解除して、前記の
フレームを杭の側方へ退避させることを特徴とする。以
上に説明した請求項9の発明によると、杭チャック用フ
レームに「杭の上端よりも高い個所」を通過せしめるこ
となく杭に接近せしめて該杭を把持するので、杭打作業
場の上方に空中障害物が有るなどして作業空間の高さ寸
法が制限されていても、該作業空間から上方に逸脱する
ことなく杭を把持して打抜き作業を行なうことができ
る。また、杭の打込み作業の途中、もしくは杭の引抜き
作業の途中で何らかのトラブルを生じて作業を中断しな
ければならなくなった場合(この場合、杭はその下半部
が地中に埋設されるとともに上半部が地上に突出してい
て、動かすことができない)杭チャックによる杭の把持
を解除して該杭チャックを側方へ退避せしめることがで
き、トラブル対応性に優れている。これにより、間接的
ながら作業の安全性が向上し、かつ、トタブル発生に際
して対応処置を講じる場合の自由度が大きい。
【0020】請求項10の発明の構成は前記請求項9の
発明の構成に加えて、前記のフレームを、杭の中心線と
ほぼ同心に回転させて、隣接する2本の杭の片方を回動
させて双方の杭の継手を組み合わせ、もしくは、打設さ
れている杭に対して前記1対の爪部材の位置を調節する
ことを特徴とする。以上に説明した請求項10の発明に
よると、横断面形状が円形でない構造の杭の打ち,抜き
作業のそれぞれに際して、杭チャックの回動に関する角
位置を、杭の回動角位置に対して迅速,容易に整合させ
ることができる。このような機能は、例えばシートパイ
ルのように横断面が非円形の杭の打ち,抜きには是非必
要であり、かつ、例えば鋼管杭のように横断面が円形で
あっても、継手を設けられた杭の打ち,抜きにも必要で
ある。
【0021】請求項11の発明の構成は前記請求項9,
10の発明の構成に加えて、前記のフレームに与える圧
力もしくは張力を、油圧シリンダの伸縮によって与えつ
つ、上記の圧力もしくは張力に加えて振動を与えて、杭
を地中に貫入せしめ、もしくは杭を地中から引き抜くこ
とを特徴とする。以上に説明した請求項11の発明によ
ると、作業条件に応じて(特に、振動公害を発生する虞
れの大小に応じて)、ほとんど完全に無振動無騒音の静
圧杭打抜工法を施工することもでき、振動,騒音を発生
するが著しく高能率の振動杭打抜工法を施工することも
でき、上記双方の工法を併用することもでき、交互に切
り替えてて施工することもできる。
【0022】請求項12の発明の構成は前記請求項9,
10の発明の構成に加えて、地上構築物を把持し得るア
ンカーチャックを備えたベース部材に対して、油圧シリ
ンダを介して前記のフレームを取り付け、上記の油圧シ
リンダを伸縮作動せしめることによって杭を打ち込み、
もしくは引き抜くことを特徴とする。以上に説明した請
求項12の発明によると、請求項9の発明に係るフレー
ムが強固に支持されるとともに、油圧シリンダの伸縮力
によって強力かつ静粛に駆動される。その上、地上構築
物によって杭打抜の反力を支承した場合の一般的な短所
である「杭打抜機本体部分が機動性を欠き、杭の把持操
作と杭の放出操作とが軽快に行なわれず、特に、トラブ
ル発生時の対応性が良くない」という問題点が本発明の
適用によって解消され、反力支持が強固に行なわれると
いう長所が発揮される。
【0023】請求項13の発明の構成は前記請求項9の
構成に加えて、前記油圧シリンダを伸縮作動せしめるこ
とによって杭を打ち込み、もしくは引き抜く際、油圧ポ
ンプから吐出された作動油の圧力を上記油圧シリンダに
供給しつつ、予め、上記油圧ポンプから吐出された作動
油流を上記油圧シリンダと別の油圧回路に循環させてお
き、上記循環回路を急激に閉塞して油撃を発生させ、
記の油撃を前記油圧シリンダに導いて、油圧シリンダ内
の作動油圧に油撃を重畳させることを特徴とする。以上
に説明した請求項13の発明によると、基本的にはほと
んど無振動騒音の杭圧入工法を施工しつつ、作業条件
(特に、杭下端部の地層のN値)に応じて杭の貫入力を
増加させることができ、硬さを異にする複数の地層に杭
を貫入せしめる場合に好適である。
【0024】請求項14の発明の構成は前記請求項9の
発明の構成に加えて、前記コの字形フレームによって杭
を緩やかに挟み込み、上記フレームのコの字形平行2辺
の先端に相当する個所を補強用の部材で連結して、拡開
方向の歪みを阻止した後、前記1対の爪部材によって杭
を挟圧し、上記1対の爪部材による杭の挟圧を解消した
後、前記補強部材による連結を解除して、前記のフレー
ムを杭の側方へ退避せしめることを特徴とする。以上に
説明した請求項14の発明によると、コの字形フレーム
の剛性が補強されて、爪部材による挟圧の反力によって
該コの字の平行2辺部が開く形の歪みを生じる虞れが無
く、しかも、杭を把持するために接近する動作や杭を放
出して退避する動作を妨げる虞れも無い。
【0025】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施形態の2例を
示し,(A)および(B)はそれぞれ模式的に描いた水
平断面図である。上記図1(A)の実施形態は、前掲の
図6(B)に示した従来例の杭チャックに本発明を適用
して改良した1例であって、従来例における枠形フレー
ム10をコの字形に改良してコの字形フレーム20を構
成してある。油圧シリンダ17および可動爪16bは従
来例におけると同様ないし類似の構成部材である。両図
を比較して明らかなように、従来例(図6(B))にお
いては1対の可動爪16bが対向している空間部分が枠
形フレーム10で包囲されて外部から遮断されているの
に比して、本実施形態(図1(A))においてはコの字
形フレーム20によって3方を囲まれ1方を開放されて
いるので、外部と連通している。このため、H型鋼12
はコの字形フレーム20の内部空間に、往復矢印a,b
のごとく相対的に出入することができ、本図1(A)に
表されているように、H型鋼(杭)12はフレーム20
の外側にハミ出すことなく、該フレーム20の中空部の
中に収納される。このような機能(出入自在)の具体的
な効果については図2を参照して後に詳述する。従来例
の枠形フレーム10(図6)に比して、実施形態のコの
字形フレーム20(図1)は、油圧シリンダ17の伸長
力の反力に対する剛性が少ないので、剛性を補うために
補強部材(鎖線で示す)21を溶接して一体化してあ
る。これにより、一体化したフレームはコの字形よりも
C字形に近い外見を呈しているが、本発明においてコの
字形とC字形とは原理的に同様である。
【0026】前記図1(B)の実施形態は、前掲の図6
(C)に示した従来例の杭チャックに本発明を適用して
改良した1例であって、従来例における枠形フレーム1
0をコの字形に改良してコの字形フレーム22を構成し
てある。油圧シリンダ17,固定つめ16a,および可
動爪16bは従来例におけると同様ないし類似の構成部
材である。本実施形態(図1(B))においても、フレ
ームがコの字形断面を有しているので、杭(例えばシー
トパイル11)を相対的にコの字形の中空部に、相対的
に自在に出入りせしめることができる。そして、一体の
部材であるコの字形フレームの中に杭(シートパイル)
11を収納して貫通させることができる。フレームをコ
の字形に構成したことによって、従来例の枠形フレーム
10(図6(C)参照)よりも剛性が低いので、該コの
字形の平行2辺部の開口端が拡開する形の変形を生じな
いように、該開口端同志を連結する補強用掛金23が設
けられている。上記の補強用連結部材は着脱容易、もし
くは開閉容易でないと操作が煩雑となり、作業能率を低
下させる。本実施形態においては、前記の補強用掛金2
3を、前記1対の開口端の片方に対して軸23aによっ
て傾動可能に軸着するとともに該補強用掛け金23の自
由端にフック23bを形成し、かつ、前記開口端の他方
に設けられた段付部22aに対して係脱せしめ得るよう
に構成してある。図示を省略するが、フック以外の着脱
自在な係脱機構(例えば止めピンなど)を用いることも
できる。
【0027】図1(B)に示した実施形態のチャック装
置を用いて杭の着脱を実施した形態の1例を示すと、 イ.油圧シリンダ18を収縮させて、固定爪16aと可
動爪16bとの間隔を広げるとともに、補強用掛金23
を図の右回り(時計方向)に回してコの字形フレーム2
2の開口部を開放し、 ロ.シートパイル11をコの字形フレーム22に対し
て、相対的に、矢印cのごとく中空部に進入させ(相対
的にシートパイルを進入させるということは、該シート
パイルを静止させておいてコの字形フレームを接近させ
ても良いということである)、 ハ.補強用掛金23を図の左回り(反時計方向)に回し
てフック23bを段付部22aに係合させるとともに、
油圧シリンダ18を伸長させてシートパイル11を固定
爪16aと可動爪16bとの間に挟圧する。 (注)これによってシートパイル11はコの字形フレー
ム22によって強固に把持され、杭チャックとしての機
能が果たされる。このとき、油圧シリンダ18の伸長力
の反力の一部は補強用掛金23によって支持される。す
なわち、該補強用掛金23には引張応力が発生して上記
の反力を支持するので、コの字形フレーム22のコの字
状の平行2辺に相当する個所に作用する曲げ応力が軽減
される。このため、該平行2辺の先端部(図において下
端部)が拡開する形の変形が防止される。この状態(杭
を把持)で、杭の打ち込み作業,もしくは引き抜き作業
が遂行される。 ニ.油圧シリンダ18を収縮させてシートパイル11の
挟圧を解消し、 ホ.補強用掛金23を図の右回り(時計方向)に回し
て、コの字形フレーム22の中空部を外部に連通せしめ
て開放し、 ヘ.シートパイル11をコの字形フレーム22に対して
相対的に、矢印d方向に放出する(コの字形フレーム2
2が反矢印d方向に退避することと同意である)。
【0028】図2は、本発明に係る杭打抜機用チャック
装置の1実施形態を用いて杭の打抜き作業を遂行してい
る状態を描いた部分断面側面図である。本図2において
「26,27(杭チャック)」と示した構成部分は、前
掲の図1(A)に示した杭チャック26であっても良
く、同図1(B)に示した杭チャック27であっても良
い。本図2に示した「20,22(コの字形フレー
ム)」も同様の意であって、杭チャック26においては
コの字形フレーム20が、杭チャック27においてはコ
の字形フレーム22が、それぞれ用いられる。図示の2
4はショベル系建設車両の1例としてのショベルカーで
あって、第1アーム24aを起伏傾動可能かつ垂直軸ま
わり旋回可能に支持しており、上記第1アーム24aの
先端に第2アーム24bが垂直面内回動可能に支持され
ている。上記第1アームをブームと呼び、第2アームを
単にアームと呼ぶこともあって、その呼称は慣習的に必
ずしも定着していないが、本発明において「アーム」と
は、これら各種のアーム類を総称するものである。
【0029】前記第2アーム24bの先端に旋回機構2
5を介して起振機8が支持されており、該起振機8の下
方に本発明に係るコの字形フレーム20,22を有する
杭チャック26,27が装着されている。上記の杭チャ
ック26,27は、前掲の図1を参照して説明したよう
に、該杭チャックが位置している水平面h−h内におい
て杭(シートパイル11f)に対して接近・把持した
り、把持解除・退避したりすることができる。すなわ
ち、シートパイル11fの頂部から嵌め合わせたり、シ
ートパイル11fの頂部よりも上方へ抜き出したりする
ことなく把持,退避操作が可能である。前記の旋回機構
25は、図において垂直な仮想の軸のまわりに、少なく
とも180度の往復旋回が可能なように構成されてい
る。詳しくは、杭チャック26,27と同心になってい
て、把持されているシートパイル11fを、その中心線
まわりに180度往復回動し得る機能を有している。こ
の機能は技術的な意味について次に述べると、図3は、
6個のシートパイルを並べて、それぞれの継手を係合せ
しめた状態を表す模式的な平面図に、両端のシートパイ
ルのそれぞれに対応するコの字形フレームの位置を付記
した図である。列設される6個のシートパイル11a〜
11fのうち、隣接する2個のシートパイル相互(例え
ばシートパイル11aと同11b、および、シートパイ
ル11eと同11f)は、その姿勢が継手部に関して点
対称をなしている。すなわち、180度反転している。
【0030】このようにシートパイルを列設して順次に
打ち込む場合、および、このように列設されたシートパ
イルを順次に引き抜く場合、これらのシートパイルを把
持する杭チャックは180度反転回動することが望まし
い。杭チャックが反転回動できなければ(図2参照)シ
ョベルカー24を走行させてシートパイルの回動角位置
を調節しなければならないが、このような操作は非常に
煩わしい上に危険であり、作業能率を著しく低下させ
る。図3は6個のシートパイルを真直に列設する場合を
表しているが、シートパイルの列設線は必ずしも真直で
はなく、工事計画書に従って屈曲しなければならないの
が通例である。こうした事情により、杭チャックを支持
している基盤部材を静止させたままで、杭チャックを少
なくとも180度回動せしめ得ることが望ましい。図2
に示した旋回機構25は、上記のような必要に応じて垂
直軸まわりの回動を可能ならしめるための構成部分であ
る。これにより(図3参照)実線で描いたコの字形フレ
ーム20Aによってシートパイル11aを凸字状に支持
したり、鎖線で描いたコの字形フレーム20Bによって
シートパイル11fを凹字状に支持したりしながら、迅
速かつ容易に多数のシートパイルを相互に連結しながら
打ち込むこと、および、連結して打設されているシート
パイルを引き抜くことができる。図3はシートパイルが
列設されている状態を示したが、継手を有しない円柱状
の杭以外の各種の杭について同様の問題が有り、本実施
形態(図2)によって解決される。
【0031】(図2参照)この実施形態においては油圧
式のショベルカー24を操作して、第1アーム24aと
第2アーム24bとを連動させ、シートパイル11fを
圧下して、これを地盤内へ貫入させることができる。し
かし、地盤が複数の地層によって構成されている場合、
比較的軟弱な地層にはシートパイル11fを圧入するこ
とができても、比較的硬い地層の中へは圧入できないな
ど、種々の状態が有り得る。そこで、前記のような静圧
だけでは圧入できない場合、起振機8を作動させて前記
の静圧による荷重に振動荷重を重畳させることにより、
強力に貫入させることができる。
【0032】図2において、鎖線で示した11a〜11
eは既設のシートパイルである。杭チャック26,27
によるシートパイル11fの打込み、引抜きは、ショベ
ルカー24によって機動的に支持して実施することもで
きるが、例えば既設シートパイル11a〜11fのよう
な地上構築物をアンカーとして、これに反力を支持させ
て打込み,引き抜きを行なうこともできる。上記のよう
に既設の地上構築物(例えば既設のシートパイル)をア
ンカーとして本発明に係る杭チャック25,27の反力
を支持させるには、本図2に鎖線で描いたように、既設
シートパイル11a〜11dの内の一部のシートパイル
を把持するアンカーチャック29を備えたベース部材2
8によってコの字形フレーム20,22を支持するとと
もに、上記のベース部材28に対してコの字形フレーム
20,22を上下に駆動する圧入シリンダ30を設け
る。アンカーチャック29によって既設のシートパイル
を把持すると、ベース部材28が地面5に対して固定さ
れる。このように固定されたベース部材に反力を支持さ
せ、圧入シリンダ30を伸長させてコの字形フレーム2
0,22を下降方向に駆動するとシートパイル11fが
地中に圧入される。また、前記圧入シリンダ30を収縮
させてコの字形フレーム20,22を上昇方向に駆動す
るとシートパイル11fが地中から引き抜かれる。上述
のように地上構築物に反力を支持させて圧入シリンダ3
0によって杭を地中に打ち込んだり地中から引き抜いた
りする場合、上記圧入シリンダ30の伸張力による静荷
重もしくは該圧入シリンダ30の収縮力による静荷重に
重畳せしめて、起振機8による振動荷重を加えて強力に
打ち込んだり強力に引き抜いたりすることができる。こ
の場合、圧力シリンダ30は杭の打ち込みにも引き抜き
にも用いられる(その名称のように圧入機能のみに限定
されるものではない)。
【0033】杭チャック26,27のコの字形フレーム
20,21に対して圧入シリンダ30の静荷重を加える
場合、これに油撃による衝撃荷重を重畳させて強力な打
抜きを行なうこともできる。図4は、圧入シリンダの伸
長による杭の圧入力に油撃を重畳せしめるように構成し
た実施形態を示す油圧系統図である。油圧ポンプ31の
吐出油は調圧弁32によって調圧され、チェック弁33
および操作弁34を介して圧入シリンダ30の圧力室3
0aに供給される。圧力室30aに圧力油を供給された
圧入シリンダ30は伸長し、コの字形フレーム20,2
1を介してシートパイル11fを圧下する。圧入シリン
ダ30の伸長が硬質の地層で阻止されると、電磁開閉弁
36を開弁する。油圧ポンプ31の吐出油は該電磁開閉
弁36を経て作動油タンク37に還流する。本実施形態
においては、油圧ポンプ31の吐出側管路の圧力が、電
磁開閉弁36の開弁中においてもオリフィス40によっ
て保持される。さらに、圧入シリンダ30の圧力室30
a内の圧力はパイロット付チェック弁35によって保持
される。前記の電磁開閉弁36を急激に閉じると、矢印
e方向の油撃が発生し、矢印f,矢印gのように分岐し
て音速で伝播する。矢印f方向に分岐した油撃が油圧ポ
ンプ31を損傷させないように、チェック弁33とアキ
ュムレータ38とによって2重に保護されている。分岐
して矢印g方向に進行した油撃は、操作弁34およびパ
イロット付チェック弁35を経て圧入シリンダ30の圧
力室30aに到達する。先に説明したように、該圧力室
30aの中には調圧弁32の調圧々力に相当する圧力油
が閉じこめられており、かつ、油圧ポンプ31の吐出側
管路には圧力が立っている(ほぼ調圧弁32の調圧々力
に等しい)。こういう状態で、圧力室30a内の圧力油
に油撃が重畳されるので、圧入シリンダ30の伸長力が
瞬間的に増大し、シートパイル11fが強力に圧下され
る。上記シートパイル11fの下端が硬質の地層の中へ
微小寸法でも貫入されると、いわゆる「摩擦が切れる」
現象を生じて、引き続いて貫入が進行する(この貫入進
行に必要な圧力油は油圧ポンプ31の吐出油によって供
給されるので、前記の油撃は瞬間的なピーク圧で足り
る)。
【0034】
【発明の効果】以上に実施形態を挙げてその構成・機能
を明らかならしめたように、請求項1の発明によると、
杭をほぼ垂直ならしめた状態で、フレームが位置してい
る水平面の付近において、該杭とフレームとを相対的に
接近せしめてフレームの中空部に杭を貫通させることが
できる。すなわち、杭チャックに杭の頂部よりも上方を
通過せしめる必要無く、該杭を杭チャックのフレームに
貫通させることができる。これにより、空中障害物の下
方で垂直に保持され、もしくは垂直姿勢で搬入された杭
と杭チャックのフレームとを、上記空中障害物に干渉す
る虞れ無く係合することができる。上記と同様の理由に
より、杭を杭チャックで把持して地中に打ち込んでいる
途中、もしくは杭を地中から引き抜いている途中で作業
を中断した場合、杭チャックによる杭の把持を解除して
該杭チャックをほぼ水平方向に退避させることもでき
る。
【0035】請求項2の発明によると、チャック装置が
ショベル系建設車両のアームによって支持されているの
で、該建設車両を走行させることにより「杭チャックに
支持されている杭」の位置を任意に調節するとともに、
そのアームを動かして該杭を下方に押し下げたり上方に
引き上げたりすることができる。その上、旋回機構を作
動させて、支持している杭の垂直軸まわりの回動角位置
を任意に調節することができる。特に、ショベル系建設
車両の走行によって杭チャックをほぼ水平に移動させな
がら、杭の把持したり、同じく水平方向に移動させなが
ら杭の把持を解除して退避することができるので、杭打
抜作業空間の高さ寸法が制限されていても杭に対する接
近把持の操作、および、杭を放しての退避操作が可能で
ある。
【0036】請求項3の発明によると、杭チャックで把
持した杭に対してアーム駆動力による静荷重を与えて打
ち抜きを行なうこともでき、上記の静荷重に加えて起振
機による振動荷重を重畳せしめることもできる。請求項
4の発明によると、地上構築物(例えば既設の杭)をア
ンカーとして、これに反力を支持させることにより杭チ
ャックで把持した杭を地中に圧入したし地中から引き抜
いたりすることができる。このように、静止物体である
地上構築物をアンカーとした場合は、ショベル系建設車
両をアンカーとした場合に比して杭打抜機本体部分の移
動が容易でないので、本発明の「接近・退避容易性」と
いう効果の価値が非常に高い。すなわち、本発明に係る
チャック装置を備えた杭打抜機を予めアンカー(地上構
築物)に取り付けた状態で杭を搬入して該杭チャックに
把持させることも容易であり、また、杭の打抜作業を中
断して杭打抜機を退避させることも容易に行なうことが
でき、身軽なトラブル対応が可能である。トラブル対応
性の向上は、間接的に作業の安全性向上にも有効であ
り、また間接的に施工コストの低減や工期の遅延防止に
も有効である。
【0037】請求項5の発明によると、杭チャックで把
持した杭が例えばシートパイルや継手付鋼管などのよう
に回動に関する方向性を有している場合、杭チャックを
旋回軸まわりに回動させて杭の回動角位置を任意かつ容
易に調節することができる。請求項6の発明によると、
請求項4の発明における「杭への接近把持、および杭の
放出退避が容易である」という効果を損なうことなく、
これに加えて、振動杭打抜工法と静圧杭打抜工法との何
れかを任意に選定することもでき、両工法を併用するこ
ともできる。請求項7の発明によると、油圧シリンダの
伸縮力による静荷重を用いる無振動,無騒音の杭打抜工
法を基本とし、必要に応じて油撃を併用することによ
り、著しい振動や騒音を発生することなく、強力な杭打
ち,杭抜き作業を遂行することができる。請求項8の発
明によると、フレームをコの字状に構成することによっ
て該フレームの剛性が不足するという弊害を生じる虞れ
が無く、杭チャック装置の信頼性、耐久性を維持するこ
とができる。
【0038】請求項9の発明によると、杭チャック用フ
レームに「杭の上端よりも高い個所」を通過せしめるこ
となく杭に接近せしめて該杭を把持するので、杭打作業
場の上方に空中障害物が有るなどして作業空間の高さ寸
法が制限されていても、該作業空間から上方に逸脱する
ことなく杭を把持して打抜き作業を行なうことができ
る。また、杭の打込み作業の途中、もしくは杭の引抜き
作業の途中で何らかのトラブルを生じて作業を中断しな
ければならなくなった場合(この場合、杭はその下半部
が地中に埋設されるとともに上半部が地上に突出してい
て、動かすことができない)杭チャックによる杭の把持
を解除して該杭チャックを杭の側方へ退避せしめること
ができ、トラブル対応性に優れている。これにより、間
接的ながら作業の安全性が向上し、かつ、トラブル発生
に際して対応処置を講じる場合の自由度が大きい。
【0039】請求項10の発明によると、横断面形状が
円形でない構造の杭の打ち,抜き作業のそれぞれに際し
て、杭チャックの回動に関する角位置を、杭の回動角位
置に対して迅速,容易に整合させることができる。この
ような機能は、例えばシートパイルのように横断面が非
円形の杭の打ち,抜きには是非必要であり、かつ、例え
ば鋼管杭のように横断面が円形であっても、継手を設け
られた杭の打ち,抜きにも必要である。請求項11の発
明によると、作業条件に応じて(特に、振動公害を発生
する虞れの大小に応じて)、ほとんど完全に無振動無騒
音の静圧杭打抜工法を施工することもでき、振動,騒音
を発生するが著しく高能率の振動杭打抜工法を施工する
こともでき、上記双方の工法を併用することもでき、交
互に切り替えてて施工することもできる。
【0040】請求項12の発明によると、請求項9の発
明に係るフレームが強固に支持されるとともに、油圧シ
リンダの伸縮力によって強力かつ静粛に駆動される。そ
の上、地上構築物によって杭打抜の反力を支承した場合
の一般的な短所である「杭打抜機本体部分が機動性を欠
き、杭の把持操作と杭の放出操作とが軽快に行なわれ
ず、特に、トラブル発生時の対応性が良くない」という
問題点が本発明の適用によって解消され、反力支持が強
固に行なわれるという長所が発揮される。請求項13の
発明によると、基本的にはほとんど無振動無騒音の杭圧
入工法を施工しつつ、作業条件(特に、杭下端部の地層
のN値)に応じて杭の貫入力を増加させることができ、
硬さを異にする複数の地層に杭を貫入せしめる場合に好
適である。請求項14の発明によると、コの字形フレー
ムの剛性が補強されて、爪部材による挟圧の反力によっ
て該コの字の平行2辺部が開く形の歪みを生じる虞れが
無く、しかも、杭を把持するために接近する動作や杭を
放出して退避する動作を妨げる虞れも無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の2例を示し、(A)および
(B)はそれぞれ模式的に描いた水平断面図である。
【図2】本発明に係る杭打抜機用チャック装置の1実施
形態を用いて杭の打抜き作業を遂行している状態を描い
た部分断面側面図である。
【図3】6個のシートパイルを並べて、それぞれの継手
を係合せしめた状態を表す模式的な平面図に、両端のシ
ートパイルのそれぞれに対応するコの字形フレームの位
置を付記した図である。
【図4】圧入シリンダの伸長による杭の圧入力に油撃を
重畳せしめるように構成した実施形態を示す油圧系統図
である。
【図5】杭を打ち込んだり杭を引き抜いたりする工法を
説明するために示したもので、(A)は工事場の全体を
表す模式図、(B)は杭としてのシートパイルをチャッ
クする状態の模式的な平面図、(C)は杭としてのH型
鋼をチャックする状態の模式的な平面図、(D)は杭と
しての鋼管もしくはコンクリートパイルをチャックする
状態の模式的な平面図である。
【図6】前掲の図5(B),(C),(D)に示した爪
(別名ジョー)を駆動する機構の従来例を示し、本図の
(A)はレバーを介して爪を駆動する機構の模式図、本
図の(B)および本図の(C)は1対の爪を油圧シリン
ダで駆動する機構の模式的な平面図である。
【図7】杭打機用のチャック装置およびチャック方法に
関する従来技術における問題点を説明するために示した
模式図であって、(A)は空中障害物の下方に杭を打設
している状態を描き、(B)は地上構築物にアンカーと
して杭を打ち抜きしている状態を描いてある。
【符号の説明】
1…杭、2…杭チャック、3…起振機、4…クレーン、
5…地面、6…空中障害物、7…リーダ、8…起振機、
9…杭チャック、10…枠形フレーム、11…シートパ
イル、11a〜11f…シートパイル、12…H型鋼、
13…鋼管杭もしくはコンクリート杭、14…油圧シリ
ンダ、15…レバー、16a…固定爪、16b…可動
爪、17…油圧シリンダ、20…コの字形フレーム、2
0A…反転させていない角位置のコの字形フレーム、2
0B…反転させた角位置のコの字形フレーム、21…補
強部材、22…コの字形フレーム、22a…係合部とし
ての段付部、23…補強用掛金、23a…軸、23b…
フック、24…ショベル系建設車両としてのショベルカ
ー、24a…第1アーム(別名ブーム)、24b…アー
ム、25…旋回機構、26…杭チャック、27…杭チャ
ック、28…ベース部材、29…アンカーチャック、3
0…圧入シリンダ、31…油圧ポンプ、32…調圧弁、
33…チェック弁、34…操作弁、35…パイロット付
チェック弁、36…電磁開閉弁、37…作動油タンク、
38…アキュムレータ、39…地上構築物、40…オリ
フィス。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 7/00 - 13/10

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水平断面において、ほぼ垂直な杭を貫通
    せしめ得る中空部と、上記杭を中空部外に出入せしめる
    通路となり得る切目とを有するコの字状ないしC字状
    の、一体の部材であるフレームを具備するとともに、上記の通路から外側へ突出することなく 前記中空部を貫
    通している状態の杭を把持する1対の爪部材、および、
    上記1対の爪部材によって杭を挟圧する油圧式アクチュ
    エータを具備していて、 上記の爪部材による杭の挟圧を解除した状態で、該杭と
    フレームとを相対的に接近せしめ、前記の通路を通過さ
    せて前記の杭を中空に迎え入れ、該杭の一部を通路から
    外側に突出せしめることなく中空部内に」収納して該中
    空部を貫通せしめることができ、かつ、該杭とフレーム
    とを相対的に離間せしめて該杭を中空部外に放出するこ
    とができるようになっていることを特徴とする、杭打抜
    機用のチャック装置。
  2. 【請求項2】 前記のコの字状ないしC字状のフレーム
    が、該フレームによって支持されている杭の中心線とほ
    ぼ同心の旋回機構を介して、ショベル系建設車両のアー
    ムによって支持されていることを特徴とする、請求項1
    に記載した杭打抜機用のチャック装置。
  3. 【請求項3】 前記のコの字状ないしC字状のフレーム
    が、起振機を介してショベル系建設車両のアームによっ
    て支持されていることを特徴とする、請求項1もしくは
    請求項2に記載した杭打抜機用のチャック装置。
  4. 【請求項4】 前記のコの字状ないしC字状のフレーム
    が「地上構築物を把持するアンカーチャックを備えたベ
    ース部材」によって支持されるとともに、上記ベース部
    材に対して前記のフレームをほぼ上下方向に駆動する手
    段を具備していることを特徴とする、請求項1に記載し
    た杭打抜機用のチャック装置。
  5. 【請求項5】 前記のフレームが、該フレームによって
    支持されている杭とほぼ同心の旋回機構を介して前記の
    ベース部材に取り付けられていることを特徴とする、請
    求項4に記載した杭打抜機用のチャック装置。
  6. 【請求項6】 前記のフレームが、起振機を介して前記
    のベース部材に取り付けられていることを特徴とする、
    請求項4もしくは請求項5に記載した杭打抜機用のチャ
    ック装置。
  7. 【請求項7】 前記のフレームを駆動する手段が油圧シ
    リンダであり、かつ、油圧ポンプの吐出油流を上記油圧
    シリンダに導く油圧回路以外に該吐出油流の一部を循環
    流動させる油圧回路、および上記の循環流動回路を急激
    に閉塞し得る弁手段を具備し、 かつ、 油流を急激に閉塞したときに発生する油撃を前記
    油圧シリンダ内の作動油圧に重畳せしめる手段を具備し
    ていることを特徴とする、請求項4もしくは請求項5に
    記載した杭打抜機用のチャック装置。
  8. 【請求項8】 前記のコの字状ないしC字状のフレーム
    が、その開口部を隔てて対向している個所の間隔寸法が
    増加しないように補強する部材を固着されており、 もしくは、上記間隔寸法が増加しないように対向個所を
    拘束する、開閉可能な連結部材を具備していることを特
    徴とする、請求項1ないし請求項7に記載した杭打抜機
    用のチャック装置。
  9. 【請求項9】 一体のコの字形フレームを杭の側方から
    接近させて、該コの字形の平行2辺の間に杭を緩やかに
    挟み込み、該杭をコの字形フレーム外に突出せしめるこ
    となく該コの字形の中空部に収納して貫通させ、 上記フレームに設けられた1対の爪部材によって杭を挟
    圧して把持し、 上記フレームに杭の打ち込み方向の圧力、もしくは引き
    抜き方向の張力を与えて該杭を地中に貫入せしめ、もし
    くは地中から引き抜き、 上記の貫入もしくは引き抜きの後、又は、貫入もしくは
    引き抜き途中の随時に、前記の爪による挟圧を解除し
    て、前記のフレームを杭の側方へ退避させることを特徴
    とする、杭のチャック方法。
  10. 【請求項10】 前記のフレームを、杭の中心線とほぼ
    同心に回転させて、 隣接する2本の杭の片方を回動させて双方の杭の継手を
    組み合わせ、 もしくは、打設されている杭に対して前記1対の爪部材
    の位置を調節することを特徴とする、請求項9に記載し
    た杭のチャック方法。
  11. 【請求項11】 前記のフレームに与える圧力もしくは
    張力を、油圧シリンダの伸縮によって与えつつ、 上記の圧力もしくは張力に加えて振動を与えて、杭を地
    中に貫入せしめ、もしくは杭を地中から引き抜くことを
    特徴とする、請求項9もしくは請求項10に記載した杭
    のチャック方法。
  12. 【請求項12】 地上構築物を把持し得るアンカーチャ
    ックを備えたベース部材に対して、油圧シリンダを介し
    て前記のフレームを取り付け、 上記の油圧シリンダを伸縮作動せしめることによって杭
    を打ち込み、もしくは引き抜くことを特徴とする、請求
    項9もしくは請求項10に記載した杭のチャック方法。
  13. 【請求項13】 前記油圧シリンダを伸縮作動せしめる
    ことによって杭を打ち込み、もしくは引き抜く際、 油圧ポンプから吐出された作動油の圧力を上記油圧シリ
    ンダに供給しつつ、予め、上記油圧ポンプから吐出された作動油流を上記油
    圧シリンダと別の油圧回路に循環させておき、上記循環
    回路を急激に閉塞して油撃を発生させ、 上記の油撃を前記油圧シリンダに導いて、油圧シリンダ
    内の作動油圧に油撃を重畳させ ることを特徴とする、請
    求項9に記載した杭のチャック方法。
  14. 【請求項14】 前記コの字形フレームによって杭を緩
    やかに挟み込み、 上記フレームのコの字形平行2辺の先端に相当する個所
    を補強用の部材で連結して、拡開方向の歪みを阻止した
    後、前記1対の爪部材によって杭を挟圧し、 上記1対の爪部材による杭の挟圧を解消した後、前記補
    強用部材による連結を解除して、前記のフレームを杭の
    側方へ退避せしめることを特徴とする、請求項9に記載
    した杭のチャック方法。
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