JP3185648B2 - 心房粗動治療用の誘導導入器 - Google Patents

心房粗動治療用の誘導導入器

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カテーテルの誘導
に用いる導入器、即ち、誘導導入器(guiding introduce
r)に関する。より詳しくは、本発明は心房粗動(atrial
flutter)および心房細動(atrial fibrillation) の治療
のために右心房内で使用するための誘導導入器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】導入器とカテーテルは医療処置に長年使
用されてきた。例えば、その用途の1つは、電気刺激を
体内の特定部位に伝達することである。別の用途は、体
内での診断のために監視と測定を行うことである。カテ
ーテルは、それ以外の方法ではより侵襲性の高い処置を
行わなければ接近不可能な体内部位 (例えば、心臓) に
も到達させることができるので、カテーテルをこのよう
な接近困難な体内の特定部位に位置させておき、その間
に医師はカテーテルを用いて検査、診断および治療を行
うことができる。使用の際、カテーテルは体表面に近い
主要な静脈または動脈に挿入しうる。その後、カテーテ
ルは、体内の動脈または静脈を通してカテーテルを操作
することにより、検査、診断または治療のための所定部
位まで誘導される。
【0003】体内の遠隔かつ到達しにくい部位における
カテーテルの有用性は増してきている。しかし、このよ
うなカテーテルの利用は、カテーテルの先端を体内の所
定部位に正確に配置 (位置決め) する必要があることか
ら往々にして制限される。
【0004】カテーテルの動きを制御して上記の正確な
位置決めを得ることは、カテーテルの固有の構造から困
難である。慣用のカテーテルの本体は長い管状体であ
る。カテーテルの動きを十分に制御するには、その構造
がある程度の剛性 (堅さ) を持つ必要がある。しかし、
カテーテルを所望の特定部位に到達するように静脈、動
脈、または他の体内部分を通して動かすには、カテーテ
ルの屈曲が必要であり、カテーテルの剛性はその屈曲を
妨げるほど高くてはならない。さらに、カテーテルは、
これが体内を動いている間に静脈や動脈を傷つけるほど
剛性が高くてはならない。
【0005】カテーテルが血管を傷つけるほどには剛性
が高くないことが重要である一方で、トルク (回転力)
の制御、即ち、カテーテルの長さ方向にねじり力を伝達
する能力、に見合った十分な剛性をカテーテルが持つこ
とも重要である。十分なトルク制御により、カテーテル
の近接 (手前側) 端部に加えたねじり力がカテーテルに
沿ってその遠方端部(先端部)に伝わることにより、カ
テーテルの制御された操縦が可能となる。より大きなト
ルク制御の必要性は、血管の傷つきを防止するための剛
性の低下の必要性と相いれないことが多い。
【0006】カテーテルは人の心臓に関連する医療処置
にますます使われるようになっている。このような処置
では、カテーテルを一般に静脈または動脈を通して心臓
に到達させた後、心臓内の所定部位に位置させる。典型
的には、カテーテルを患者の脚部、頸部、上胸部または
腕部の動脈または静脈に挿入し、しばしばガイドワイヤ
ーや導入器を利用して、さまざまな動脈または静脈内を
通過させ、カテーテルの先端が心臓内の所望部位に到達
するまで前進させる。
【0007】このような処置に用いられるカテーテルの
遠方端部を、予め所望のカーブ形状に湾曲させておくこ
とがある。それにより、カテーテルをその軸線(長軸)
を回転軸として回転させることで、心臓内または心臓に
付随する動脈または静脈内の所望部位にカテーテルを操
縦することができる。
【0008】例えば、米国特許第4,882,777 号には、人
の右心室での特定の処置に使用するためにその遠方端部
が複雑に湾曲しているカテーテルが開示されている。米
国特許第5,231,994 号には、冠状動脈拡張用のバルーン
カテーテルを誘導するための誘導カテーテルが開示され
ている。米国特許第4,117,836 号には左冠状動脈の選択
的冠状動脈血管造影法のためのカテーテルが開示され、
米国特許第5,215,540号、5,016,640 号および4,883,058
号には右冠状動脈の選択的冠状動脈血管造影法のため
のカテーテルが開示されている。
【0009】米国特許第5,242,441 号は、心室内のアブ
レーション (切断, ablation)処置用の偏向可能なカテ
ーテルを開示している。米国特許第4,033,031 号も参
照。さらに、米国特許第4,898,591 号には、ブレード編
みされた部分を持つ内層と外層からなるカテーテルが開
示されている。この米国特許は、血管内カテーテルの多
様な曲線形状についても開示している。
【0010】このように、一般に心臓または血管系に関
連する特定の医療処置に使用するために考えられた所定
形状のカテーテルを開示している多くの文献がある。心
臓および血管系の生理機能が精密であるため、使用する
カテーテルまたは導入器は、人の心臓および血管系内で
の所定の使用目的に合わせて正確に設計された形状を持
つことがますます重要になる。
【0011】ヒト1型 (タイプ1) 心房粗動のカテーテ
ル・アブレーションは、Feld, G.K.「心臓不整脈の高周
波カテーテル・アブレーション」25章、 459-476頁 (19
95)に説明されている。1型心房粗動の原因は、下大静
脈と三尖弁との間を通る右心房内の反時計方向の再入回
路(reentry circuit) にあると考えられている。Feld博
士は、カテーテルを用いて (但し、形状付与したシース
<鞘>または誘導導入器を使用せずに) 、下大静脈と三
尖弁の間で冠状静脈洞の開口に対して後方または下方の
位置をアブレーションすることにより1型心房粗動を除
去することを提案している。Feld, G.K et al.「ヒト1
型心房粗動の治療のための高周波カテーテル・アブレー
ション」Circulation, Vol. 86, No. 4, pp. 1223-1240
(1992年10月)およびSaoudi, N. et al. 「ヒト1型心
房粗動における心房心筋層のカテーテル・アブレーショ
ン」Circulation, Vol. 81, No. 3, pp. 762-771 (1990
年3月) も参照。
【0012】長い管鞘(vascular sheath) を用いた中隔
横断(transseptal) または後退(retrograde)接近による
付属経路(accessory pathways)のカテーテル・アブレー
ションは、Saul, J.P. et al.,「若年患者の付属房室経
路のカテーテル・アブレーション:長い管鞘を用いた中
隔横断接近及び後退左後方並行接近」J. Amer. Coll.Ca
rd., vol. 21, No. 3, pp. 571-583 (1993. 3. 1)に検
討されている。Swartz, J.F., 「付属房室経路心房挿入
部位の高周波心臓内カテーテル・アブレーション」Circ
ulation, Vol. 87, No. 2, pp. 487-499 (1993年2月)
も参照。
【0013】心房細動は最も普通の持続型不整脈であ
る。これは成人人口のほぼ0.4 %、60歳以上の人口のお
そらく10%程度は起きていると見積もられている。Cox,
J.L.et al., Electrophysiology, Pacing and Arrhyth
mia「心房細動の処置」 Clin.Cardiol., 14, 827-834
(1991) 参照。
【0014】心房性不整脈は、一過性と永続性のいずれ
の場合もある。多くの心房性不整脈は、根底にある別の
形態の心臓病を持つ者に起こるが、一部の心房性不整脈
は独立して起こる。心房性不整脈は、心室性不整脈ほど
には直接死に結びつくことは少ないが、他の多くの疾
患、例えば、発作、血栓症、アテローム性動脈硬化症、
全身および大脳の塞栓症、の危険因子を高め、多くの別
の医療上の問題を引き起こす。
【0015】症候性または生命の危険がある心房性不整
脈の患者の中には、薬剤またはペースメーカー等の医療
機器では十分に治療できない者がいる。その場合には、
手術を含む他の形態の攻撃的な治療が必要となる。例え
ば、メイズ(Maze)法と呼ばれる心房性不整脈の治療のた
めの外科的処置が、Cox, J.L. et al., Electrophysiol
ogy, Pacing and Arrhythmia「心房細動の処置」Clin.
Cardiol. 14, 827-834(1991) に開示されている。心房
性不整脈の他の外科的処置は、例えばMartin,D. et a
l., Atrial Fibrillation, pp. 54-56 (1994)に開示さ
れている。
【0016】ある種の不整脈 (但し、心房細動ではな
い) に対してここ10〜15年ほど使用されてきた別の処置
法は、カテーテル・アブレーションである。この処置法
は、心臓内の心室性不整脈に付随して存在する伝導経路
を中断するか又は変形させるのに使用されてきた。切断
(アブレーション) する具体的な部位は、根底にある心
室性不整脈の種類により異なる。
【0017】アブレーション用カテーテルを用いた右心
房内部位のアブレーションも、前述したように、Feld,
G.K et al.「ヒト1型心房粗動の治療のための高周波カ
テーテル・アブレーション」Circulation, Vol. 86, N
o. 4, pp. 1223-1240(1992 年10月)およびSaoudi, N.
et al.,「ヒト1型心房粗動における心房心筋層のカテ
ーテル・アブレーション」Circulation, Vol. 81, No.
3, pp. 762-771(1990 年3月) に開示されている。
【0018】一般的なアブレーション処置法の一つは、
房室(AV)結節の再入回路による頻拍の治療のためのもの
である。この問題では速いか又は遅い房室結節経路のア
ブレーションが許容される治療法になってきた。Singe
r, I., et al.「不整脈に対するカテーテル・アブレー
ション」Clinical Manual of Electorophysiology(電気
生理学の臨床マニュアル) pp. 421-431 (1993)を参照。
心臓内のアブレーション位置に対するアブレーション用
カテーテルの使用は、例えば、米国特許第4,641,649
号、第5,263,493 号、第5,231,995 号、第5,228,442 号
および第5,281,217号に開示されている。しかし、これ
らはいずれも、誘導導入器を利用してアブレーション用
カテーテルを特定の位置に誘導することを開示していな
い。
【0019】米国特許第4,641,649 号には、頻拍または
不整脈の治療に高周波エネルギーを使用することが開示
されている。心臓組織のアブレーションへの高周波エネ
ルギーの使用については米国特許第5,246,438 号および
第4,945,912 号も参照。さらに、多数の論文に、エネル
ギー、特に高周波エネルギーを用いた心臓内の特定部位
のアブレーションが開示されている。例えば、Gallaghe
r, J.J. et al., 「房室伝導系の閉胸アブレーションの
カテーテル技術」N. Engl. J. Med., Vol. 306, pp. 19
4-200 (1982); Horowitz, L.N.「最新不整脈管理」pp.
373-378 (1991); Falk, R.H. et al.,「心房細動の機構
と管理」pp. 359-374 (1992); およびSinger, I.「電気
生理学の臨床マニュアル」pp. 421-431 (1993)を参照。
【0020】また、中隔横断鞘を用いた左心房内のウル
フ−パーキンソン−ホワイト(Wolff-Parkinson-White)
症候群の治療に高周波アブレーション・エネルギーを用
いることが、Swartz, J.F. et al.,「付属房室経路心房
挿入部位の高周波心臓内カテーテル・アブレーション」
Circulation, Vol. 87, No. 2, pp. 487-499 (1993)に
開示されている。Tracey, C.N.「ペーシングした活性化
順次マッピングを用いた異所性の心房性頻拍の高周波カ
テーテル・アブレーション」J. Am. Coll. Cardiol., V
ol. 21, pp. 910-917 (1993)も参照。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、右心
房内での特定の医療処置のための誘導導入器を提供する
ことである。本発明の別の目的は、右心房内での特定の
電気生理学的処置に用いる誘導導入器を提供することで
ある。本発明のさらに別の目的は、右心房内での特定の
アブレーション処置用の誘導導入器を提供することであ
る。
【0022】本発明のさらに別の目的は、心房粗動の治
療のために右心房内の特定のアブレーション部位に用い
る誘導導入器を提供することである。本発明のさらに別
の目的は、特に心房細動を含む心房性不整脈の治療の1
要素として右心房内で使用するための誘導導入器を提供
することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記およびその他の目的
は、本発明の誘導導入器により達成できる。本発明によ
り、下記 (a)〜(d) からなる右心房内での心房粗動また
は心房細動の診断および治療方法が提供される。
【0024】(a) 長手方向に貫通した管腔と近接端部
(手前側端部) および遠方端部 (先端)とを持つ誘導導入
器を右心房に導入し; (b) この誘導導入器の管腔に、近接端部と遠方端部を持
ち、遠方端部またはその付近に配置された1もしくは2
以上の電極を備えたアブレーションまたはマッピング用
カテーテルを導入し; (c) このカテーテルを、前記誘導導入器を用いて、右心
房内の所定位置に誘導し;そして (d) カテーテルの電極を用いて右心房内で所定の位置ま
たはトラックをマッピングおよび/またはアブレーショ
ンする。
【0025】本発明はまた、心房粗動または心房細動の
マッピングおよび/または治療においてマッピングおよ
び/またはアブレーション用カテーテルと共に使用する
ために特に設計された形状を持つ誘導導入器もまた開示
する。
【0026】普通の人の心臓は、右心室、右心房、左心
室、および左心房を持っている。右心房は上大静脈と下
大静脈とに流体連通している。房室中隔によって心房と
心室とが仕切られている。房室中隔内にある三尖弁によ
り、右心房と右心室とが連通している。房室中隔内にあ
る僧帽弁により左心房と左心室とが連通している。左心
房と接する部分の右心房の内壁に凹んだ箇所があり、こ
れが卵円窩である。卵円窩と三尖弁の間には冠状静脈洞
への開口部または口があいている。冠状静脈洞は、心臓
それ自体から右心房に排出される静脈血の大部分を収容
する大きな心臓上(epicardial)静脈である。図1Aおよ
び1Bを参照。
【0027】正常な心臓では、心筋 (心筋層) の収縮と
弛緩は規則正しく起こり、これは電気化学信号が、ヒス
・パーキンジェ(His-Purkinje)系を含む決まった経路を
経て心筋層内を心房組織から心室組織に順に流れる結果
として起こる。最初の電気刺激は洞房(SA)結節で発生
し、房室(AV)結節に伝達される。房室結節は右心房の心
房中隔内の冠状静脈洞の開口部付近にある。ヒス・パー
キンジェ系は房室結節から始まり、膜状の心房中隔に沿
って三尖弁に向かって進み、房室中隔を通って膜状の心
室中隔内に達する。心室中隔のほぼ中間で、ヒス・パー
キンジェ系は左右に枝分かれし、心室中隔の筋肉部の頂
部をまたいでいる。
【0028】不整脈と呼ばれる異常なリズムが心臓で時
に起こる。たとえば、ウルフ−パーキンソン−ホワイト
症候群と診断された患者は不整脈を起こす。この不整脈
の原因は、心房筋組織を心室筋組織に直接つなぐ、即
ち、正常なヒス・パーキンジェ系を迂回するバイパスと
なる、1または2以上の異常な伝導経路の存在にあると
考えられている。これらの異常伝導経路は、心房と心室
をつなぐ繊維組織に通常は位置する。
【0029】最も普通の3種類の心房性不整脈は、異所
性心房性頻拍、心房細動、および心房粗動である。心房
細動は患者に著しい不快感を生じ、時には死に至ること
もある。その理由は、心房細動が次の (1)〜(3) を含む
多くの付随する問題を抱えているからである。(1) 不規
則な心拍数が患者に不快感と不安感を生ずる、(2) 房室
収縮の同期性が失われて心臓の血行が阻害され、多様な
レベルのうっ血性心不全を生ずる、(3) 血行の停止 (う
っ血) により血栓塞栓症の罹患性が増す。
【0030】心房細動の特定の病理学的原因を確定する
ことは困難な場合もあるが、主要なメカニズム (原因)
は左心房および/または右心房内に形成された1つまた
は複数の再入回路であると考えられる。上記の問題を軽
減するための従来の試みとしては、薬理学的な治療の利
用が目立っていた。投薬治療は時には有効であるが、場
合によっては薬剤による治療は効果がなく、また往々に
して、めまい、吐き気、視覚障害その他の症状を含む副
作用に苦しめられる。
【0031】別の種類の心房性不整脈は心房粗動であ
る。心房粗動は、心房中隔および右心房自由壁(atrial
freewall) に付随する右心房内の反時計方向の再入回路
により起こると考えられている。この再入回路は普通は
下大静脈と三尖弁との間を通る。この再入回路は、一般
に低中隔後方(low posteroseptal) 右心房内にある遅い
伝導の部位を含むことが研究で明らかになっている。心
房粗動の治療には心臓内直流エネルギーを用いたアブレ
ーション処置が有効であった。これは、直流電流エネル
ギーが大きな局部的アブレーション部位を形成し、一般
に心房粗動を洞リズムに変換させるためである。上記の
Saoudi, N.らの論文を参照。
【0032】Feld博士は彼の上記論文において、心房粗
動の治療に高周波エネルギーを使用することを提案して
いる。具体的には、Feld博士は、下大静脈と三尖弁の間
の冠状静脈洞の開口に対して後方または下方という2つ
の特定位置でのアブレーションを示唆している。
【0033】ここ数年、心房性不整脈の治療に外科的処
置も利用されるようになってきた。この外科的処置の目
標は、薬理学的治療の場合と同様に、心房性不整脈の自
覚症状の軽減と、心拍出量への規則的な心房の貢献を回
復することによる血行動態の正常化、の両者である。提
案された一つの方法は、外科的処置により左心房を心臓
の残りの部分から孤立させる必要がある。Cox, J.L. et
al.「心房細動の外科的治療」Journal of Thoracic an
d Cardiovascular Surgery, Vol. 101, No. 4,p. 570
(1991)を参照。
【0034】このような手術により最初の切開の後に瘢
痕組織(scar tissue) が残るため、左心房を効果的に孤
立させ、場合によっては患者の自覚症状をいくらか軽減
する。このような軽減は、右心房が十分な洞リズムを維
持している場合に限って起こりうる。この処置法には、
適切な洞リズムの維持の必要性の他にも、血栓塞栓症の
危険性を含む様々な問題が付随する。
【0035】心房性不整脈の別の治療法として、ヒス束
のアブレーションがある。その後、永久ペースメーカー
を埋め込み、規則的な心室拍動を生じさせる。Cox, J.
L. etal.「心房細動の外科的治療」Journal of Thoraci
c and Cardiovascular Surgery, Vol. 101, No. 4, pp.
570-572 (1991) を参照。しかし、心房細動はなお続く
ことがあり、正常な心臓血行動態は回復せず、血栓塞栓
症の危険性はなお残る。
【0036】ギロドン(Guiraudon) が1985年に提案した
心房性不整脈の治療のためのより新しい外科的処置は、
洞房(SA)結節と房室(AV)結節との間に狭い回廊(corrido
r)の形成を生ずる。Guiraudon, G.M., et al.,「組合わ
せ洞房結節/房室結節の分離: 心房細動患者におけるヒ
ス束切断に代わる外科的処置Circuration 72: (pt-2)
III-220 (1985) を参照。この処置は、狭い回廊を残り
の心房筋肉組織から孤立させるものであり、場合によっ
ては、心房性不整脈に付随する幾つかの問題を緩和でき
る。
【0037】より最近では、「メイズ(Maze)」法と呼ば
れる、より複雑な外科的処置が、心房性不整脈、特に心
房細動の治療に提案されている。Cox, J.L. et al.「心
房細動の外科的治療」Journal of Thoracic and Cardio
vascular Surgery, Vol. 101, pp. 569-83 (1991) を参
照。この処置法では、最も普通の再入回路を生ずる心房
内の領域の伝導経路を中断するような適切な位置で心筋
層の心房切開を行う。この処置はまた、洞刺激を洞結節
から特定の経路に沿って房室結節に向けるようにも意図
される。また、処置後に心房心筋層全体 (左右の心耳と
肺静脈を除く)が洞房結節と房室結節との間の主要伝導
経路から外れた複数のブラインドアレイ(blind alleys)
を与えることにより電気的に活性になり、こうして手術
後の心房の輸送機能を保存するようにも意図される。こ
の処置法は一部の患者では良好な治療結果を与えたが、
広い範囲を手術することから潜在的な危険性が大きい。
【0038】「メイズ」法の有効性は、心房の収縮がな
お可能で、正常な房室伝導に戻ることができるようにし
ながら、再入回路の形成を防止するために特定の線、即
ちトラックに沿って心房内の組織を破壊することに依存
する。同様の成功を、心房内で行うアブレーション処置
を用いて、侵襲性の手術を行わずに達成することができ
ることが判明した。しかし、このアブレーション処置を
行うには、アブレーション用カテーテルを心房内の所定
位置に正しく配置して、心房内の所定の位置またはトラ
ックをアブレーションし、それにより再入回路の形成に
対する自然障壁を形成することが必要となる。心房内の
明確な所定位置にアブレーション・トラックを形成する
ことが必要である上、適正な経壁傷(transmural lesio
n) 、即ち、瘢痕を形成するには、アブレーション用カ
テーテルの電極とアブレーションを受ける心臓組織との
間に十分な接触圧を維持することが重要である。
【0039】このアブレーション処置に用いるアブレー
ション用カテーテルは、心房内の所定位置に瘢痕組織を
生ずる。組織の傷つけ又はアブレーションに必要なエネ
ルギーは、多くの多様な供給源から供給できる。初期に
は直流電流を利用してアブレーション処置用のエネルギ
ーを得ていた。より最近は、好ましいエネルギー供給源
として高周波(R.F.)エネルギーが選択されるようになっ
てきた。レーザー、マイクロ波、超音波、ならびに低エ
ネルギー直流、高エネルギー直流およびフルグトロナイ
ゼーション(fulgutronization)を含む直流電流エネルギ
ーも、アブレーション処置に利用または考慮されてき
た。本発明のアブレーション処置に対する好ましいエネ
ルギー供給源は高周波エネルギーである。
【0040】しかし、アブレーションのエネルギーを個
々に適用しても、再入回路の阻止が不成功に終わること
が多く、アブレーション処置を数回反復しなければなら
ないこともある。その原因の1つとして考えられるの
は、カテーテルの電極がエネルギー適用の開始時に正し
い位置にないか、またはアブレーションを試みた間に動
いてしまうことである。別の考えられる原因は、カテー
テルの電極が正しい位置にあっても、アブレーションを
受ける心臓内組織と電極との間の接触圧が、この組織を
適正にアブレーションするのに十分な電流が組織内に容
易に流れるようにするには不足していることである。ア
ブレーション処置に非常に時間がかかることもある。ま
た、欠陥があるか、選択が不適切であったカテーテルを
取り替えるため、カテーテルの交換が必要となることも
ある。心房組織を効果的にアブレーションするには、ア
ブレーション用カテーテルを心房内の所定位置に正しく
配置し、エネルギーを適用する間ずっと心房組織と接触
状態に保持しなければならない。かかる処置では、アブ
レーション用カテーテルのアブレーション電極を、場合
によっては心房組織と長時間接触したままに保持する必
要がある。
【0041】右心房内にアブレーション用カテーテルを
配置するための現在最も普通の接近方法は、使用する医
療器具を右大腿静脈に導入し、下大静脈内を上行させて
右心房まで進めるものである。上方からの右心房への接
近も採用できるが、本発明の誘導導入器の目的には、下
大静脈を通す下方からの接近が必要である。
【0042】アブレーションおよびマッピング用カテー
テルを単に右心房に導入しただけでは、再入回路のアブ
レーション処置を効果的かつ効率的に行うには十分でな
い。一般に、医療従事者は、カテーテルの導入とその血
管系内での前進状況をX線透視装置によって監視する。
このようなX線透視装置は、一般に心臓の具体的形態、
特に決定的に重要な右心房の構造を容易には識別するこ
とができないので、アブレーション電極の配置 (位置決
め) は困難となる。この位置決めは、拍動する心臓が常
に動いているため特に困難である。さらに、処置の間ず
っと心臓から血液がポンプ作用により送りだされている
ため、カテーテルは右心房内で常に動いている。その
上、カテーテルを適正に配置することが難しいため、X
線透視装置への露出時間が長くなりがちである。しか
し、そのような過剰なX線照射は当然望ましくない。
【0043】
【発明の実施の形態】本発明の誘導導入器システムは、
この問題に対処して、これを解決するものである。以
下、本発明の誘導導入器の各種の態様を添付図面を参照
しながら説明する。
【0044】まず、図3A、3B、3Cを参照すると、
心房粗動の治療 (さらに心房細動の治療) のために右心
房内で使用するための本発明の誘導導入器は、第1、第
2、第3の三つの領域からなる。但し、各領域は別々に
分離してはおらず、誘導導入器全体が一体部分となるよ
うに一体に構成することが好ましい。しかし、本発明の
誘導導入器を三つの別個の領域に区分して説明する方
が、その全体形状をよりよく説明することができる。
【0045】この誘導導入器は三つの図面で示されてい
る。解析を容易にするため、各図面において、誘導導入
器は、これを慣用のサイドポート管(side port tubing)
およびストップコック (停止栓) に取り付けるためのバ
ルブに装着された状態で示してある。このような各配置
において、誘導導入器とその各領域の形状を、誘導導入
器の近接端部をサイドポート管に装着した時のサイドポ
ートおよびサイドポート管に対する位置関係で説明す
る。第1の図面 (図3A) では、サイドポート管は誘導
導入器の第1領域の後ろ側に見えている。第2の図面
(図3B) では、誘導導入器は、その第1領域を回転軸
として、誘導導入器の近接端部の方から見て時計方向に
回転させてある。第3の図面 (図3C) では、誘導導入
器はその遠方端部を回転軸として上方に回転させてあ
る。
【0046】この誘導導入器の第1領域は、普通のほぼ
まっすぐな細長い中空領域であって、患者への導入と、
挿入地点から心臓内の特定の所望位置への操縦とに十分
な長さを持つ。なお、図3Aおよび3Bに示した第1領
域の全長は、見やすいように短かくしてある。
【0047】誘導導入器の第1領域の遠方端部につなが
るのが第2領域である。第2領域はほぼC型に湾曲した
領域である。即ち、図3Bに示す位置でまず左方に湾曲
した後、右方に湾曲して、第1領域を延長したとして、
その延長線にぶつかる地点まで戻る。図3Bを参照。こ
の第2領域の目的は、第1領域と第3領域の一部が下大
静脈の血管壁の片側に当たる時に、同時に第2領域が下
大静脈の血管壁の反対側に当たるようにすることであ
る。その全体の形状は特に重要ではない。
【0048】しかし、好適態様では、この第2領域は第
1、第2、第3の3部分からなる。第1部分は、約0.75
〜1.75in(1.9〜4.5cm)、好ましくは約1.00〜1.50in (2.
54〜3.81cm) の半径で、図3Bに示す位置で左方に湾曲
した曲線部 (第1曲線部) を形成する。この曲線部の円
弧の大きさは円弧角度で約30〜90°、好ましくは約30〜
60°である。この左方への曲線部の湾曲に続いて、第2
領域の第1部分は右方に戻るように約0.75〜1.75in(1.9
〜4.5cm)、好ましくは約1.00〜1.50in (2.54〜3.81cm)
の半径で湾曲して第2曲線部を形成する。この曲線部の
円弧の大きさも円弧角度で約30〜90°、好ましくは約30
〜60°である。好適態様では、この第2領域の第1部分
の第1曲線部と第2曲線部はいずれも、ほぼ同一平面
(同一平面から15°以内)にある。
【0049】この第2領域の第1部分の遠方端部からそ
の第2部分が始まり、これは長さ約0.1〜2.0in(0.25〜
5.1cm)、好ましくは約 0.1〜0.5in(0.25〜1.3cm)の直線
部分である。この第2部分の直線の全長は重要ではな
く、実際、所望によっては省略してもよい。誘導導入器
の第1領域を延長したとすると、この直線の第2部分と
第1領域の延長線上との離間距離は約 0.5〜2.0in (1.3
〜5.1cm)、好ましくは約0.5〜1.5in (1.3〜3.8cm)とな
ろう。好ましくは、この直線の第2部分も第1部分と同
一平面にある。
【0050】この直線の第2部分の遠方端部から第2領
域の第3部分が始まる。この第3部分は好ましくはは第
1部分の鏡像であり、図3Bに示す位置ではまず右方
に、次いで左方に戻るように湾曲している。この第3部
分の円弧の半径と大きさ (円弧角度) は、第2領域の第
1部分とほぼ同じであり、ただ反対向きにしただけであ
る。この第2部分の遠方端部で、誘導導入器は、その第
1領域を延長したとして、ほぼ第1領域の延長線上に相
当する位置に戻っている。
【0051】第2領域の第1部分の手前側 (近接) 端部
から第2領域の第3部分の先端 (遠方端部) までの直線
距離 (第2領域の全直線長さ) は、長さ約 2.0〜7.0in
(5.1〜17.8cm) 、好ましくは約 3.5〜5.0in (8.9〜12.7
cm) である。この第2領域の全長は特に重要ではない。
好適態様では、第2領域の第1、第2および第3部分は
いずれもほぼ同一平面 (同一平面から約15°以内) にあ
るが、第1、第2および第3部分が互いに異なる平面上
にあってもよい。
【0052】この第2領域の全体形状は、第2領域の一
部が、第1領域を延長したとして、その延長線から約
0.5〜2.0in (1.3〜5.1cm)、好ましくは約 0.5〜1.5in
(1.3〜3.8cm)離間している限り、特に重要ではない。前
述したように、この第2領域の目的は、誘導導入器の第
1領域と第3領域の一部が下大静脈の片側の血管壁に当
たっている時に、下大静脈の反対側の血管壁に当たるよ
うにすることであり、それにより誘導導入器が下大静脈
内にある間にそれを支持するサポートとなる。図2A参
照。
【0053】第2領域は、短い直線部分を挟んで両側に
一対の曲線部分がくる形状が好ましいが、代わりに、互
いに円弧の角度および半径が同じか異なる3またはそれ
以上の個々の曲線部分を、場合により1または2以上の
直線部分と組合わせて、または直線部分を全く組合わせ
ずに用いて、第2領域を構成することもできる。但し、
個々の曲線部分と場合により直線部分とを組合わせた結
果、図2Aに示すように、下大静脈の両側の血管壁に当
たるような器具 (誘導導入器)が形成されるようにす
る。
【0054】第1領域と第2領域はほぼ同一平面 (同一
平面から約15°以内) にあることが好ましい。本発明の
誘導導入器の第3領域も、第1、第2および第3の3部
分に区分される。
【0055】第3領域の第1部分は、長さ約 0.1〜3.0i
n(0.25〜7.6cm)、好ましくは約 0.1〜0.5 in(0.25 〜1.
3cm)の直線部で始まることが好ましい。第2領域の直線
部分の長さおよび第2領域の全長に応じて、第3領域の
第1部分のこの最初の直線部の長さは大きく変化させる
ことができる。実際、この最初の直線部は全く存在させ
なくてもよい。第1部分は次いで、約 0.2〜1.0in(0.51
〜2.5cm)、好ましくは約 0.3〜0.7in(0.76〜1.8cm)の半
径で、好ましくは図3Aに示すように第1領域と第2領
域が作る平面から外れて右方に湾曲する。この湾曲した
曲線部の円弧の大きさ (角度) は約20〜90°、好ましく
は約40〜60°である。
【0056】第3領域の第1部分の遠方端部から第3領
域の第2部分が始まり、ここで誘導導入器は図3Bおよ
び3Cに示すように左方に湾曲する。この第2部分の湾
曲曲線は、半径が約 0.5〜1.5in (1.3〜3.8cm)、好まし
くは約 0.8〜1.2in (2.0〜3.0cm)、曲線の円弧角度約45
〜135 °、好ましくは約70〜110 °であり、その最後は
第3領域の第3部分につながる。
【0057】第3領域の第3部分は長さ約 0.1〜2.0in
(0.25〜5.1cm)、好ましくは約 0.2〜1.0in(0.51〜2.5c
m)の直線部分であって、その最後が誘導導入器の遠方端
部 (先端) になる。誘導導入器の他の直線部分と同様
に、この直線の第3部分の全長も大きく変化させること
ができ、さらには所望によっては削除してもよい。
【0058】誘導導入器の第2領域と同様に、誘導導入
器の第3領域の好適態様である上記の湾曲部分と直線部
分の代わりに、複数の曲線部分と直線部分とを組合わせ
て第3領域を構成することもできるが、この複数の曲線
部分と直線部分との組合わせが上述した第3領域の全体
の湾曲形状をほぼ同じ形状を作るようにする。
【0059】誘導導入器の先端 (遠方端部) には、拡張
器との移行がうまくいくようにテーパーをつけてもよ
く、好ましくはそのようにする。このテーパーは10°未
満が好ましく、より好ましくは約4〜7°である。誘導
導入器は好ましくは、その先端付近に1または複数の放
射線不透過性のチップマーカーバンド (先端表示帯) を
有していてもよい。
【0060】この誘導導入器はまた、1個または複数
個、好ましくは3個または4個の小孔(ベント) をその
先端付近に有することが好ましい。これらの小孔は、好
ましくは誘導導入器の先端から約1.00 in(2.54 cm)以
内、より好ましくは約0.10〜1.00in(0.25〜2.54 cm)の
位置に設ける。これらの小孔の大きさは、直径が約0.04
〜0.06 in(0.10〜0.15 cm)の範囲内となるようにすべき
である。
【0061】これらの小孔は、万一この誘導導入器の遠
方端部 (先端) が閉塞した場合に、誘導導入器に挿入さ
れていたカテーテルの引き抜きにより空気が誘導導入器
内に流入するのを防ぐためのものである。例えば、誘導
導入器の先端が心筋層にあたるように位置している時に
誘導導入器内に挿入されていたカテーテルを引き抜く
と、小孔を設けていなければ誘導導入器内が減圧状態と
なることがある。このような減圧状態になると、誘導導
入器の管腔内にカテーテルを再挿入することにより誘導
導入器に空気が逆流して流れ込むことがある。このよう
な空気流入は、卒中や心臓発作の可能性その他の、空気
塞栓症で普通に起こりうる問題を含む重篤な問題を患者
に引き起こすことがある。誘導導入器の遠方端部の付近
に小孔を設けておくと、カテーテルが誘導導入器から引
き抜かれるとすぐに、誘導導入器の管腔の中に流体 (恐
らく血液) が引き込まれて上記の減圧状態になることが
避けられる結果、誘導導入器に空気が流入するのを防ぐ
ことができる。
【0062】誘導導入器は、所望の三次元形状からの変
形およびこの形状への実質的な復帰を可能にする形状記
憶性を持った、人体内での使用に適合した任意の素材か
ら作製しうる。制限ではなく例示のために具体的寸法を
示すと、誘導導入器の内径は約6〜12フレンチ (1フレ
ンチは1/3 mm) の範囲でよい。そのような誘導導入器は
拡張器と適当なガイドワイヤーとを受け入れることがで
きる。これより大きいか、または小さい拡張器またはカ
テーテルを本発明の誘導導入器に組合わせて使用する場
合には、誘導導入器の寸法と形状に変更を加えることが
できることは当然である。
【0063】誘導導入器の寸法および形状の変更は小児
科での使用を包含するためにも必要であるが、本発明の
誘導導入器は大人の心臓に使用する方が好ましい。周知
のように、小児科用の場合、誘導導入器の各領域、特に
第1領域の寸法を縮小する必要があるが、その形状また
は湾曲には著しい変更を加える必要がない。また、誘導
導入器の寸法または形状の変更は、肥大または回転した
心臓を持つ患者に時に見られる特殊な状況に使用する場
合にも必要となることがある。
【0064】処置に際して、右大腿静脈へのカテーテル
の挿入には修正セルディンガー法が普通採用される。ま
ず、針の穿刺により適当な血管にアクセスする。次い
で、適当な寸法のガイドワイヤーの柔軟な先端を、この
針を通して針より少し先まで、血管内に挿入する。ガイ
ドワイヤーをその位置にしっかり保持したまま針を取り
出す。次いでガイドワイヤーを静脈を通して下大静脈ま
で進めた後、右心房内に入れる。ガイドワイヤーをその
位置に保持したまま、次に拡張器をガイドワイヤーの周
りに配置し、この拡張器の周りに本発明の誘導導入器を
配置する。拡張器と誘導導入器は、一般に組立体 (アセ
ンブリ) を形成し、一緒にガイドワイヤーに沿って右心
房内まで進める。この組立体を右心房内に挿入した後、
ガイドワイヤーと拡張器を引き抜く。次に、心房粗動ま
たは心房細動の治療に用いるカテーテルを、誘導導入器
の管腔を通して進め、右心房内の適切な位置に配置す
る。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、X線透視法を組合わせ
て誘導導入器を動かすことにより、誘導導入器の先端部
分を操縦して、その管腔内に挿入したカテーテルの先端
(遠方端部) を右心房内の特定の内面に向けることがで
きる。また、十分な剛性を付与することにより、誘導導
入器の遠方端部を、適切な処置の実施が可能となるよう
に、心臓内構造のその固定位置または表面位置に保持す
ることができる。
【0066】感知処置も含まれる場合には、誘導導入器
を所望位置に配置する。その地点で、その位置に固有の
心臓の電気的活動度を、誘導導入器内に配置した電気生
理学的カテーテルを用いて正確に測定することができ
る。
【0067】さらに、本発明の誘導導入器によりカテー
テルの正確な配置が可能となるので、例えば、高周波、
熱、マイクロ波、レーザー、または直流電流 (低エネル
ギー直流電流、高エネルギー直流電流、もしくはフルグ
トロナイゼーション処置) 等のエネルギーを用い心臓
組織破壊のための正確な位置にアブレーション用カテ
ーテルを配置することもできる。
【0068】心房粗動のアブレーションのためのアブレ
ーション処置は、図1Aおよび1Bに最もよく示され
る。各図において、本発明の誘導導入器による誘導によ
って、アブレーション用カテーテルは、三尖弁の下方部
の縁 (リップ)から、三尖弁と下大静脈との間の組織の
峡部を横切って下行し、収縮性心筋層と下大静脈の血管
壁との間の遷移点を過ぎて下大静脈に入るように向けら
れている。このアブレーション処置により、右心房内の
反時計回りの再入回路内にブロックが形成され、心房粗
動を引き起こすと考えられているこの再入回路が除去さ
れる。
【0069】このアブレーション用カテーテルの電極の
正確な配置は重要である。なぜなら、アブレーション用
カテーテルの先端の常に動いている電極により非集束の
エネルギーが心臓室の全体に消散して循環する血液内に
失われることによる供給エネルギーの希釈が起こらない
からである。そのため、この誘導導入器により、著しく
少ない量のエネルギーを適用しながら、なお効率的なア
ブレーションを達成することが可能となる。さらに、処
置の遂行に必要な時間が、誘導導入器を使用しない場合
の処置に比べて大幅に短縮される。この時間の短縮によ
り、処置に必要なX線透視における照射量も低減する。
アブレーション用カテーテルの右心房内での正しい配置
は、心房粗動のアブレーションに伴う困難を考えると特
に重要である。
【0070】本発明の誘導導入器は、心房粗動の治療に
使用する他に、これを心房細動の治療に使用することも
できる。特願平7−172638号には、誘導導入器とアブレ
ーション用カテーテルとを用いた心房細動の治療方法が
開示されている。この処置では、異なる多くのアブレー
ション・トラックを左心房および右心房内に形成し、各
トラックは心房細動を引き起こすと考えられている特定
の再入回路を除去するような形状が付与されている。こ
の心房細動の治療の1要素として行われるアブレーショ
ン処置の1つが、三尖弁と下大静脈との間のトラックの
アブレーションである。このトラックは、トラック5と
して上記出願の図7に示されている。本発明の誘導導入
器は、この出願の図15Aおよび15Bに示される誘導導入
器の代替品となる。具体的には、上記出願の誘導導入器
に、本発明の誘導導入器の第2領域として説明したほぼ
C型の屈曲を付加すると、下大静脈の固定された位置に
誘導導入器を保持するのが容易となる。これに対して、
このほぼC型の屈曲を持たない、比較用の前記出願の誘
導導入器は、本発明の図2Bに示されている。
【0071】本発明の誘導導入器においては、図2Aに
示すように、誘導導入器の第2領域を構成するこのほぼ
C型の屈曲は、誘導導入器の第1領域と第3領域の一部
が下大静脈の片側の血管壁に当たっている時に、下大静
脈の反対側の血管壁の適所に当たるように保持する作用
を果たす。それにより、三尖弁と下大静脈との間の峡部
を横断する適当なアブレーション・トラックを形成する
ためにアブレーション用カテーテルをしっかり保持する
支持部 (プラットフォーム) となる。
【0072】以上に本発明の特定の態様について例示お
よび説明したが、本発明の範囲内で各種の変更が可能で
あることは以上より明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1Aは、右心房内でのアブレーションおよび
/またはマッピング処置用カテーテルを支持する本発明
の誘導導入器を示す、下大静脈の一部と心臓の破断図で
あり、図1Bは、右心房内で三尖弁と下大静脈の間から
下大静脈内に下行させたアブレーションおよび/または
マッピング処置用カテーテルを支持する本発明の誘導導
入器を示す、下大静脈の一部と心臓の破断図である。
【図2】図2Aは、下大静脈内での本発明の誘導導入器
の略式側面図であり、図2Bは特願平7−172638号の図
15Aおよび15Bに示された比較用の誘導導入器の下大静
脈内での略式側面図である。
【図3】図3Aは、右心房内で心房粗動または心房細動
の治療に用いる本発明の誘導導入器の側面図であって、
その近接端部に取付けられたサイドポート管が誘導導入
器の第1領域のま後ろにくる位置での図であり、図3B
は、図3Aの誘導導入器を、サイドポート管が誘導導入
器の左にくるように、その近接端部の方から見て図3A
の位置から時計方向に90°回転させた時の誘導導入器の
側面図であり、図3Cは、この誘導導入器をサイドポー
ト管が誘導導入器の左方を向く位置で上方から見た時
の、誘導導入器の端面図 (平面図) である。
フロントページの続き (72)発明者 ジェームズ・エイ・ハセット アメリカ合衆国、55438ミネソタ州、ブ ルーミントン、ルイジアナ・サークル 11327 (56)参考文献 特開 平5−269206(JP,A) 特開 平5−49701(JP,A) 特開 平5−115567(JP,A) 特開 平7−8559(JP,A) 特開 平1−238872(JP,A) 特開 平7−88093(JP,A) 実開 昭57−116249(JP,U) 国際公開94/24930(WO,A1) 国際公開92/12754(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 18/00 - 18/28 A61M 25/00 - 25/18

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれ三次元的形状が異なる第1、第
    2および第3の領域からなり、該第1領域は患者への導
    入と挿入地点から心臓内の所望位置までの操縦とに十分
    な長さの、ほぼまっすぐな細長い中空領域であり、該第
    2領域は曲線部を有し、該第3領域は前記第1、第2領
    域が作る面から外れた曲線部を有し、ガイドワイヤに沿
    って血管内を案内される、右心房内で心房粗動または心
    房細動の治療に用いるアブレーションおよび/またはマ
    ッピング用カテーテルと共に使用するための誘導導入
    器。
  2. 【請求項2】 誘導導入器の第2領域が第1、第2およ
    び第3の部分からなる、請求項1記載の誘導導入器。
  3. 【請求項3】 第2領域の第1部分が、全円弧角度30〜
    90°で湾曲した第1曲線部と、それに続く全円弧角度30
    〜90°で第1曲線部とほぼ反対方向に湾曲した第2曲線
    部とからなる、請求項2記載の誘導導入器。
  4. 【請求項4】 第2領域の第2部分が長さ 0.1〜2.0in
    (0.25〜5.1cm)の直線部分からなる、請求項2または3
    記載の誘導導入器。
  5. 【請求項5】 第2領域の第3部分が、全円弧角度30〜
    90°で湾曲した第1曲線部と、それに続く全円弧角度30
    〜90°で第1曲線部とほぼ反対方向に湾曲した第2曲線
    部とからなる、請求項2ないし4のいずれか1項に記載
    の誘導導入器。
  6. 【請求項6】 第2領域の直線部分と第1領域の延長線
    上との距離が 0.5〜2.0in (1.3〜5.1cm)である請求項4
    記載の誘導導入器。
  7. 【請求項7】 第2領域の全直線長さが 2.0〜7.0in
    (5.1〜17.8cm) である請求項1なし6のいずれか1項に
    記載の誘導導入器。
  8. 【請求項8】 誘導導入器の第2領域が1または2以上
    の直線部分と1または2以上の曲線部分とからなる請求
    項1記載の誘導導入器。
  9. 【請求項9】 誘導導入器の第3領域が第1、第2およ
    び第3の部分からなる、請求項1記載の誘導導入器。
  10. 【請求項10】 第3領域の第1部分が、長さ 0.1〜3.
    0in(0.25〜7.6cm)の直線部と、それに続く全円弧角度約
    20〜90°で湾曲した曲線部とからなる請求項9記載の誘
    導導入器。
  11. 【請求項11】 第3領域の第1部分が、誘導導入器の
    第1領域と第2領域とが作る平面から20〜90°の角度で
    湾曲している請求項9または10記載の誘導導入器。
  12. 【請求項12】 第3領域の第2部分が45〜135 °の角
    度で湾曲した曲線部分である請求項9ないし11のいずれ
    か1項に記載の誘導導入器。
  13. 【請求項13】 第3領域の第2部分が誘導導入器の第
    1領域と第2領域とが作る平面から20〜90°の角度で湾
    曲している請求項9ないし12のいずれか1項に記載の誘
    導導入器。
  14. 【請求項14】 第3領域の第3部分が、長さ 0.1〜2.
    0in(0.25〜5.1cm)のほぼまっすぐな直線部分であり、そ
    の最後が誘導導入器の遠方端部である、請求項9ないし
    13のいずれか1項に記載の誘導導入器。
  15. 【請求項15】 第3領域が第1および第2の部分から
    なる請求項1記載の誘導導入器。
  16. 【請求項16】 第3領域の第1部分が、長さ 0.1〜3.
    0in(0.25〜7.6cm)の直線部と、それに続く全円弧角度20
    〜90°で湾曲した曲線部とからなる請求項15記載の誘導
    導入器
  17. 【請求項17】 第3領域の第1部分が、誘導導入器の
    第1領域と第2領域とが作る平面から20〜90°の角度で
    湾曲している請求項15または16記載の誘導導入器。
  18. 【請求項18】 第3領域の第2部分が45〜135 °の角
    度で湾曲した曲線部分である請求項15ないし17のいずれ
    か1項に記載の誘導導入器。
  19. 【請求項19】 第3領域の第2部分が、誘導導入器の
    第1領域と第2領域とが作る平面から20〜90°の角度で
    湾曲している請求項15ないし18のいずれか1項に記載の
    誘導導入器。
  20. 【請求項20】 誘導導入器の第3領域が1または2以
    上の直線部分と1または2以上の曲線部分とからなる請
    求項9記載の誘導導入器。
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