JP3183630B2 - 電気亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

電気亜鉛めっき鋼板

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JP3183630B2 JP09759297A JP9759297A JP3183630B2 JP 3183630 B2 JP3183630 B2 JP 3183630B2 JP 09759297 A JP09759297 A JP 09759297A JP 9759297 A JP9759297 A JP 9759297A JP 3183630 B2 JP3183630 B2 JP 3183630B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面色調が明るく
光沢度の高い美麗な表面外観を有し、且つ色調むらのな
い優れた外観を有する電気亜鉛めっき鋼板;明度及び光
沢度向上用の電気亜鉛めっき浴添加剤;及び該鋼板を製
造する方法に関するものである。詳細には本発明の電気
亜鉛めっき鋼板は、高い明度及び光沢度を有すると共
に、めっき外観の色調むらもない鋼板であり、更にはキ
ラキラ光沢のない優れた外観を有するものであり、家電
製品やOA製品などに、塗装無しで使用することができ
る点で極めて有用である。
【0002】
【従来の技術】電気亜鉛めっき鋼板は、亜鉛めっき皮膜
が素地鋼板に対して犠牲防食作用を有する結果、優れた
耐食性を発揮するものであるから、自動車や家庭用電気
製品等の外板材あるいは建築材料等として広く使用され
ている。
【0003】従来、電気亜鉛めっき鋼板は、その優れた
耐食性を活かし、主に塗装下地用として繁用されていた
ため、最終製品状態では、めっき表面は上塗り塗料によ
り隠蔽される結果、めっき表面の外観が問題となること
はほとんどなかった。ところが近年、ユーザー側での仕
上げ塗装工程省略化の要望から、電気亜鉛めっき鋼板
に、クロメート処理や透明樹脂コーティング等の化成処
理を施して、耐食性、耐指紋性、潤滑性(加工性)等を
高め、裸(未塗装)のままで使用する傾向が急増してい
る。そうなると、亜鉛めっき層の表面外観がそのまま最
終製品の外観となって現れるため、亜鉛めっきそのもの
の表面外観を制御することが極めて重要である。特にめ
っき表面の色調に関しては、めっき表面の部分的な色調
の違いに起因するめっき外観色調むらがないことは勿論
のこと、めっき表面の色調が明るく(即ち、高い明度を
有する)、且つ光沢度の高いめっき鋼板が最近、強く切
望されている。
【0004】このうち、めっき表面の部分的な外観色調
むらは、めっき原板(鋼板)表面の不均一状態に起因し
て発生すると考えられている。鋼板表面の酸化物皮膜層
の厚さが不均一であったり、鋼中に含まれるNi,S
i,Mn,C等の元素が鋼板表面に局部的に偏析濃化し
たりすると、亜鉛めっきの成長機構が変化し、めっき結
晶形態や結晶配向性の異なる領域が形成される。その結
果、めっき表面における可視光線の反射量に微細な変化
が生じ、これが、めっき外観色調むらとして認識される
様になるのである。この様なめっき表面の色調むらは、
小さいもので幅及び長さ:数mm程度、大きいもので、
幅:数百mm程度,長さ:数十m程度にまで及び、その
発生位置や形態、発生個数なども全く不特定である。
【0005】上述した素地鋼板の表面性状不均一に起因
するめっき外観色調むらの他にも、鋼板表面のフェライ
ト結晶粒径が大きい場合には、その上に形成される亜鉛
めっき結晶の粗大化が起こり、めっき後の外観がキラキ
ラと光って見える所請キラキラ光沢現象などの問題が生
じることがある。
【0006】この様にめっき外観色調むらやキラキラ光
沢は、原板表面の状態に起因して電気亜鉛めっき結晶が
ミクロ的に変化するために生じると考えられるが、原板
の表面性状を完全に均一化あるいは任意に制御すること
は、工業的規模においては極めて困難である。この様な
状況下、電気亜鉛めっき鋼板表面の外観色調を改善する
方法が多数開示されている。
【0007】このうち、めっき原板に起因するめっき外
観色調むらを改善する方法として、特開平7−7679
2号、特開平7−76793号、特開平7−76794
号、特開平7−238387号、特開平7−31687
8号、特開平7−278880号等が開示されている。
【0008】これらの公報は、いずれも2層構造のめっ
き層からなるものであり、下層のめっき条件やめっき種
を種々変化させ、めっき原板表面の微小な不均一性状を
隠蔽することにより、その上層に施される電気亜鉛めっ
き表面には、めっき原板表面の影響が及ばないようにす
るものである。例えば、下層にも上層と同じ亜鉛めっき
層を施し、該亜鉛めっき層のめっき条件を制御すること
によって亜鉛めっき結晶を均一に形成させる方法とし
て、特開平7−76792号には、水溶性有機化合物を
含有する亜鉛めっき浴を用いて下層の亜鉛めっき層を形
成する方法が、特開平7−316878号には、高電流
密度下にて下層の亜鉛めっき層を形成する方法が夫々開
示されている。また、めっき原板表面の影響を受け難い
めっき種を用いて下層めっき層を施す方法として、特開
平7−76793号にはNiめっき層を施す方法が、特
開平7−238387号にはNi−P,Co−P等の非
晶質下層めっき層を施す方法が、特開平7−27888
0号にはポリオキシアルキレン誘導体やPb,Sn,S
b等の水素発生反応を抑制する物質をめっき浴中に添
加、若しくはこれらの物質を予めめっき原板表面に付与
する方法が開示されている。
【0009】上記方法はいずれも、亜鉛めっき表面にめ
っき原板表面の不均一性状の影響が及ばない様、めっき
原板表面を何らかの方法で隠蔽しようとする方法であっ
て、最上層表面を形成する亜鉛めっき結晶自体に直接作
用させる方法ではない。また、これらの方法によって形
成される下層めっき層の厚さは非常に薄いものであるか
ら、めっき原板の表面欠陥程度が大きい場合には、上述
した隠蔽作用は期待し難く、最上層表面であるめっき表
面の結晶形態を十分に制御することはできない。更に、
これらの公報には、明度に関する記載は全くなく、明度
向上効果については全く不明である。
【0010】上記以外のめっき外観色調の改善方法とし
て、特公平3−31795号には、めっき原板表面のフ
ェライト結晶粒度(結晶粒径)を規定する方法が開示さ
れている。しかしながら、全てのめっき原板において、
その表面全体を上記公報で規定する好適なフェライト結
晶粒径範囲内に制御することは非常に困難であり、フェ
ライト結晶粒径が少しでも変化して好適な粒径範囲を外
れると、新たなめっき外観色調むらが生じるという弊害
を招くことになる。尚、該公報においても、明度向上に
関する記載はない。
【0011】一方、明度を向上させる方法としては、特
公平1−36559号に、めっき浴中に非イオン性ポリ
アクリルアミドを添加する方法が開示されている。この
方法は、「従来の光沢剤は、何れも高電流密度では効果
がなく、厚目付化により許容電流密度は更に低下してし
まう」という事情に鑑みてなされたものであり、高電流
密度下での使用に適用されるものである。その構成は、
陰極上に吸着しやすいカチオン性基を有する化合物が多
い従来の光沢剤とは、その作用が異なる高分子(非イオ
ン性ポリアクリルアミド)をめっき浴中に添加するもの
であり、これにより、100〜450A/dm2 という
高電流密度で電気亜鉛めっきを行ったときでも、粗大結
晶粒の成長を抑制せしめ、光沢化させることなく平滑で
白色度(亜鉛めっき鋼板の場合は明度と同義)の高いめ
っき面を有する電気亜鉛めっき鋼板を提供しようという
ものである。しかしながら、この方法は、その趣旨の通
り、高電流密度下での使用を意図するものであり、通常
行われる100A/dm2未満のめっき条件下では効果
は認められず、実用性に問題がある。また、該公報に用
いられる非イオン性ポリアクリルアミドが、めっき外観
色調むら改善効果を有するかどうかについては全く不明
である。
【0012】その他、高い明度を有し、且つめっき原板
に起因するめっき外観むらの無い電気亜鉛めっき鋼板と
して、特開平8−41679号には、亜鉛めっき層の下
層にSnめっき層を設けた鋼板が開示されている。しか
しながら、該公報によれば、めっき原板と亜鉛めっき層
の間に、亜鉛若しくは鉄よりも貴な金属であるSnが純
粋なSn層として濃化して存在することから、切断断面
部における耐食性が著しく劣化してしまい、めっき鋼板
本来の性能が損なわれるという問題がある。また、該公
報には、光沢度向上作用に関する記載はない。
【0013】この様に、めっき表面の色調が明るく光沢
度の高い電気亜鉛めっき鋼板、更にはめっき外観色調む
らやキラキラ光沢の無い電気亜鉛めっき鋼板が近年特に
切望されているにもかかわらず、これらの要求特性を全
て具備しためっき鋼板は未だ開発されていないのが現状
である。
【0014】
【発明が解決しよとうする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、高い
明度と光沢度を有し、且つ、めっき原板表面状態に起因
するめっき外観色調むらのない、外観に優れた電気亜鉛
めっき鋼板、更にはキラキラ光沢のない外観に優れた電
気亜鉛めっき鋼板を提供することにある。更に本発明の
目的は、この様なめっき鋼板を得ることのできる、明度
及び光沢度向上用の電気亜鉛めっき浴添加剤;該添加剤
を用いて上記電気亜鉛めっき鋼板を効率よく製造するこ
とのできる方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る電気亜鉛めっき鋼板とは、電気亜
鉛めっき鋼板の表面が、JIS Z8722(条件
d,光トラップ有り)の方法で得られる明度:70以
上、JIS Z8741(60度鏡面光沢法)の方法
で得られる光沢度:30以上を満足し、且つ色調むら
のないもの、具体的には上記電気亜鉛めっき鋼板の表面
に、30mm間隔で任意の2点をとった場合、該2点間
の明度の差が5以内、および光沢度の差が15以内(明
度および光沢度の測定方法は前と同じ)を満足するもの
であるところに要旨を有するものである。尚、本発明で
は、日本電色(株)製の「SZS−Σ90」を用いて明
度や光沢度を測定している。上記電気亜鉛めっき鋼板に
おいて、キラキラ光沢のないものは、更に優れた外観を
有することから非常に有用であり、この様な鋼板も本発
明の範囲内に包含される。
【0016】また、上記課題を解決することのできた本
発明に係る明度及び光沢度向上用の電気亜鉛めっき浴添
加剤とは、ナフテン酸の金属塩、アニリン誘導体、低級
アルカノイル化合物、および有機過酸化物よりなる群か
ら選択される少なくとも1種である。ここで、上記ナフ
テン酸の金属塩がナフテン酸コバルト、上記アニリン誘
導体がジメチルアニリン、上記低級アルカノイル化合物
がメチルエチルケトン、上記有機過酸化物がカルボニル
化合物の縮合型過酸化物に属するメチルエチルケトンペ
ルオキシドであるものは、本発明の好ましい実施態様で
ある。
【0017】更に、上記課題を解決することのできた本
発明に係る電気亜鉛めっき鋼板の製造方法とは、電気亜
鉛めっき浴中に、ナフテン酸の金属塩、アニリン誘導
体、低級アルカノイル化合物、および有機過酸化物より
なる群から選択される少なくとも1種を、総量で1.0
〜100ppm添加するところに要旨を有するものであ
る。ここで、上記ナフテン酸の金属塩がナフテン酸コバ
ルト、上記アニリン誘導体がジメチルアニリン、上記低
級アルカノイル化合物がメチルエチルケトン、上記有機
過酸化物がメチルエチルケトンペルオキシドであるもの
は、本発明法の好ましい実施態様である。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明者らは、明度および光沢度
の両方が高く、しかも、めっき外観色調むらやキラキラ
光沢の無い優れた外観を有する電気亜鉛めっき鋼板を提
供すべく鋭意検討した結果、ナフテン酸の金属塩、アニ
リン誘導体、低級アルカノイル化合物、および有機過酸
化物よりなる群から選択される少なくとも1種を電気亜
鉛めっき浴中に添加することにより、所期の目的が達成
できることを見出した。即ち、本発明の明度及び光沢度
向上用の電気亜鉛めっき浴添加剤は、ナフテン酸の金属
塩、アニリン誘導体、低級アルカノイル化合物、および
有機過酸化物よりなる群から選択される少なくとも1種
である。
【0019】これらの化合物は、光沢剤としても従来知
られていなかったものであり、本発明によって、初めて
明度及び光沢度向上作用があることが見出されたもので
ある。
【0020】ここで、明度と光沢度について説明する。
光沢度と明度の間には、光沢度を高めると明度も必然的
に上がる、といった相関関係は存在しない。即ち、電気
亜鉛めっき鋼板の表面における入射光、反射光および吸
収光は、 入射光=正反射光+拡散反射光+表面吸収光 の関係で表される。このうち「正反射光」を表す指標が
「光沢度」であり、「明度」は、正反射光を除く反射
光、即ち、「拡散反射光」を表す指標である。従って、
入射光線が同じであれば、光沢度を高める(即ち、正反
射光を上げる)と相対的に拡散反射光が低下し、明度が
低下することになる。従来の光沢剤は、正反射光の上昇
のみをねらったものであり、光沢度は確かに向上する
が、明度に関しては低下する傾向が見られた。これに対
して本発明の添加剤は、「正反射光を上げて光沢度を高
めると同時に、表面吸収光を少なくすることによって拡
散反射光を上げ、結果的に明度も高める」といった、光
沢度および明度向上作用が一度に得られるものである点
で、従来の光沢剤とは異なるものである。
【0021】尚、明度(=白色光)に優れる電気亜鉛め
っき鋼板として、特開平8−74089号が挙げられ
る。この公報は、「明度を高める為にはめっき表面での
光の吸収を低下させることが有効である」という知見に
鑑みてなされたものであり、めっき表面の溝部を1.5
μm未満にすることにより、光の吸収をできるだけ少な
くし、明度を向上させようとするものである。しかしな
がら、この公報は、明度向上を主目的とするものであ
り、光沢度に関しては、「光沢度を大きく低下させるこ
とはめっき表面の外観低下を招き好ましくない」という
消極的な記載があるのみで、本発明の如く光沢度を積極
的に向上させようという思想は全くない。しかも、めっ
き外観色調むらに関する記載は全くない。この様に特開
平8−74089号は、あくまでも明度向上を主目的と
するものであり、本発明の如く明度向上に加えて光沢度
向上を主目的とするものではない点、更には、めっき外
観色調むら改善に関する記載は全くない点で、両者は明
瞭に区別されるものである。しかも、上記公報では、こ
の様な鋼板を得るに当たっては、グリシンやアスパラギ
ン酸などを1〜20g/Lと大量に添加させているた
め、これらの添加剤がめっき層中に共析され、めっき密
着性など他の特性に悪影響を及ぼす恐れがある(この点
については、後記する実施例で確認している)。これに
対して本発明の電気亜鉛めっき鋼板は、上述しためっき
浴添加剤をめっき浴中に添加することにより得られるも
のであるが、後記する本発明の電気亜鉛めっき鋼板の製
造方法においても詳述する通り、その添加量は1.0〜
100ppmと、上記公報の場合に比べて非常に少量で
すむので、めっき密着性などに悪影響を及ぼす恐れは全
くないから、上記公報に比べて顕著な効果を有するもの
である。
【0022】この様に本発明のめっき浴添加剤は、明
度、光沢度の両方について優れた向上作用を有するばか
りでなく、色調むらやキラキラ光沢も無くすことができ
るという点で非常に有用である。しかも、前記特開平8
−74089号との対比において説明したのと同様のこ
とが、従来の光沢剤との対比においても言える。即ち、
従来の光沢剤では、めっき浴中に数g〜数十g/L添加
しなければ十分な光沢度向上作用が得られなかったのに
対し、本発明のめっき浴添加剤を使用する場合には、こ
れら添加剤の少なくとも1種を、総量で僅か1.0〜1
00ppm(光沢剤添加の場合に比べて数百〜数千分の
1の含有量で良い)添加するだけで、従来の光沢剤を添
加した場合と同等以上の光沢作用が得られ、しかも、明
度向上作用も得られたことは、非常に驚くべきことであ
る。更に、この様にめっき浴添加剤の添加量を非常に少
なくすることができたことは、めっき密着性等の他の特
性にも悪影響を及ぼさない、という点でも非常に有用で
ある。即ち、従来の光沢剤等の添加剤は、めっき浴中に
多量に添加されるため、めっき層中に共析され、表面物
性が著しく劣化してしまうことが多い。そのため、期待
した程度の効果が得られないばかりでなく、めっき密着
性等の特性にも悪影響を及ぼす様になるのである。これ
に対して本発明のめっき浴添加剤は、添加量を極めて少
なくしても所望の効果が得られ、且つ、上述しためっき
密着性低下といった弊害も生じないのである。
【0023】本発明に用いられるめっき浴添加剤として
は、ナフテン酸の金属塩としてナフテン酸コバルト、ナ
フテン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸鉄、ナフテン
酸マンガン等(好ましくはナフテン酸コバルト);アニ
リン誘導体としては、アニリン、ジメチルアニリン、ペ
ンタメチルアニリン等(好ましくはジメチルアニリ
ン);低級アルカノイル化合物としては、炭素数が1〜
6個のアルカノイル化合物が挙げられ、例えばメチルエ
チルケトン、アセトン、ジエチルケトン、メチルビニル
ケトン等(好ましくはメチルエチルケトン);有機過酸
化物としては、例えばカルボニル化合物の縮合型過酸化
物(例えばメチルエチルケトンペルオキシド、アセチル
アセトンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオ
キシド等、好ましくはメチルエチルケトンペルオキシ
ド)、過酸化アシル(例えばジアセチルペルオキシド、
ジプロピオニルペルオキシド、過酸化フタロイル等)、
過酸化ジアルキル(例えばジブチルペルオキシド等)等
が挙げられる。これらの化合物は、めっき浴中に単独で
使用しても良いし、2種以上を併用しても構わない。
【0024】上記化合物の作用機構は詳細には詳細には
不明であるが、めっき浴中に添加された該化合物が、亜
鉛めっき結晶の成長過程において亜鉛の成長点に吸着
し、亜鉛めっき結晶の連続的粗大成長を抑制するためと
考えられる。この様な亜鉛めっき結晶の粗大成長抑制効
果は、あらゆる場所で均一に生じることから、めっき外
観色調むらの原因である「めっき結晶形態の不均一領
域」を解消すると共に、めっき結晶も微細化されること
から、明度および光沢度の向上作用も併せて達成できる
ものと考えられる。
【0025】上述した本発明のめっき浴添加剤をめっき
浴中に添加することによって得られる電気亜鉛めっき鋼
板は、電気亜鉛めっき鋼板の表面が、JIS Z87
22(条件d,光トラップ有り)の方法で得られる明
度:70以上(好ましくは75以上、より好ましくは8
0以上)、JIS Z8741(60度鏡面光沢法)
の方法で得られる光沢度:30以上(好ましくは40以
上、より好ましくは50以上)を満足し、且つ色調む
らのない、具体的には上記電気亜鉛めっき鋼板の表面
に、30mm間隔で任意の2点をとった場合、該2点間
の明度の差が5以内、および光沢度の差が15以内(明
度および光沢度の測定方法は前と同じ)を満足するもの
であり、表面外観に極めて優れたものである。
【0026】この様に本発明では、上述した本発明のめ
っき浴添加剤を使用することにより、電気亜鉛めっき鋼
板の明度及び光沢度の両方を向上させることに初めて成
功したものである。そして、本発明の電気亜鉛めっき鋼
板は、上記明度及び光沢度の向上に加え、色調むらがな
い、更にはキラキラ光沢がない、といった要求特性も満
足するものであり、究極的には、これらの要件(即ち、
明度向上、光沢度向上、色調むらがない、キラキラ光沢
がない)を全て満足する鋼板である。
【0027】このうち色調むら(色の変化している領
域)に関しては、前述した様に小さいもので幅及び長
さ:数mm程度,大きいもので、幅:数百mm程度,長
さ:数十m程度にまで及ぶものが存在する。但し、色調
むらを肉眼で認識することができるのは、正常領域と色
調むら領域の境界部分において、明度や光沢度といった
光学特性が急激に変化している場合に限られ、逆にこれ
らの境界部分の光学特性が徐々に且つ連続的に変化した
としても、肉眼では色調むらとして認識されることはな
いのである。この様な観点から、本発明では「色調むら
のない鋼板」の尺度として、『該鋼板表面に、30mm
間隔で任意の2点をとった場合、該2点間の明度の差が
5以内(好ましくは3以内)、および光沢度の差が15
以内(好ましくは5以内)を満足するもの』(明度およ
び光沢度の測定方法は上記と同じ)を採用することにし
た。この様な尺度でめっき外観色調むらを評価した結果
は、目視観察にてめっき外観色調むらを評価した結果と
対応することを、後記する実施例でも確認している。こ
こで、2点間の間隔を30mmに設定したのは、これら
の光学特性を測定する色調測定装置[日本電色(株)製
「SZS−Σ90」]の最小測定領域が10mm×10
mmであることによる。
【0028】次に、本発明の電気亜鉛めっき鋼板を製造
する方法について説明する。本発明の製造方法は、電気
亜鉛めっき浴中に、上述した本発明のめっき浴添加剤
(即ち、ナフテン酸の金属塩、アニリン誘導体、低級ア
ルカノイル化合物、および有機過酸化物よりなる群から
選択される少なくとも1種)を、総量で1.0〜100
ppm添加するものである。
【0029】ここで、上記めっき浴添加剤は、単独で使
用しても良いし、或いは2種以上を併用しても良いが、
要するに、総量で1.0〜100ppm添加することが
必要である。添加量が1.0ppm未満では、めっき結
晶の均一微細化効果に乏しく、めっき外観色調むらの低
減作用、および明度・光沢度向上作用が不十分である。
好ましくは3ppm以上、より好ましくは5ppm以上
である。一方、100ppmを超えると、めっきヤケと
呼ばれる現象が生じ、明度、光沢度の双方が低下する。
好ましくは80ppm以下、より好ましくは50ppm
以下である。
【0030】この様に本発明の製造方法によれば、めっ
き浴中に添加される上記添加剤の添加量を、従来の光沢
剤に比べて数百分の1〜数千分の1にまで低減すること
ができるので、めっき密着性低下等の弊害を招くことな
く、明度・白色度向上作用が得られ、しかもめっき外観
色調むらやキラキラ光沢も全くない、非常に優れた電気
亜鉛めっき鋼板が得られる点で非常に有用である。
【0031】本発明の製造方法は、めっき浴添加剤の種
類および添加量を規定するものであり、その他の要件に
ついては、特に規定されないが、更により優れた特性を
得ることを目的として、好ましいめっき条件やめっき組
成を記載すると以下の通りである。
【0032】まず、電気亜鉛めっきを行う場合の電流密
度は20A/dm2 以上であることが好ましい。20A
/dm2 未満では、亜鉛めっき結晶の粗大成長が生じ易
く、良好なめっき外観や、明度・光沢度の向上作用が十
分得られない。電流密度は高くなればなる程、亜鉛めっ
きの成長核生成量が多くなるので有用であるが、電流密
度が高くなり過ぎると、めっき浴中から亜鉛析出点へ亜
鉛イオンを供給する速度に遅れが生じ、めっきヤケによ
るめっき外観劣化が生じてしまう。従って、めっきヤケ
が生じない範囲で電流密度を調整することが好ましく、
30〜200A/dm2 の範囲に調整することが推奨さ
れる。
【0033】また、めっき浴のpHは、電流効率を高め
ると共にめっきヤケ現象を抑える観点から、0.5〜
2.0の範囲にすることが好ましい。pHが0.5未満
の強酸性域になると、水素が多量に発生して電流効率の
ロスが大きくなってしまう。一方、pHが2.0を超え
ると、特に100A/dm2 以上の高電流密度でめっき
を行った場合、めっきヤケ現象が生じ易くなり、めっき
外観が損なわれてしまう。
【0034】また、めっき浴組成に関しては、亜鉛イオ
ンを主成分とすれば特に制限されないが、十分な電流効
率を確保するためにも、ZnSO4 ・7H2 O濃度で5
0〜600g/L、より好ましくは150〜500g/
Lの範囲に調整することが推奨される。該濃度が低い場
合には、高電流密度でめっきを行った場合にめっきヤケ
の現象が生じ易くなり、一方、該濃度が高くなり過ぎる
と、亜鉛化合物が析出してしまい、配管詰まりを起こし
たり、析出物による鋼板の押し疵が発生する原因とな
る。
【0035】尚、めっき浴中には、導電性を高めて電力
消費量を低減させるために、Na2SO4 ,(NH42
SO4 ,KCl,NaCl等の導電性補助剤を添加し
たり、或いは、めっき層の耐黒変性や耐食性の向上を目
的として、Ni,Co,Fe,Cr等の金属イオンを添
加しても良い。めっき液の好ましい相対流速について
は、該速度が低くなり過ぎると、特に高電流密度におい
て亜鉛イオンの供給に遅延が生じ、めっきヤケによる外
観劣化の原因になることがあるので、0.5m/sec
以上に維持することが好ましい。ここで、相対流速と
は、液の流れ方向とめっき原板である鋼板の通板方向を
考慮した液流速と通板速度の差を意味する。
【0036】また、電気亜鉛めっきを施すことによって
付与される亜鉛めっき付着量については何等制限される
ものではなく、その用途に応じて要求される耐食性の程
度を考慮して適宜決定すれば良い。ただし、めっき付着
量が1g/m2 未満では、亜鉛めっき本来の耐食性を十
分に発揮させることができず、一方100g/m2 を超
えて過度に付着量を増やしても電力コストが増加するだ
けで無駄である。
【0037】本発明の電気亜鉛めっき鋼板は、前述した
通り、仕上げ塗装を省略し裸のままで使用することを意
図するものであるが、実使用に際しては、必要により耐
食性、耐疵付き性、耐指紋性、加工性等の各種性能の更
なる向上を目的として、亜鉛めっき層の表面に1層また
は2層以上の各種化成処理を施すことも有効である。上
記化成処理層としては、クロメート皮膜処理層、リン酸
塩皮膜処理層、クリヤー皮膜処理層等が挙げられる。
【0038】このうちクロメート皮膜処理としては、反
応型クロメート皮膜処理、塗布型クロメート処理、電解
クロメート処理等が挙げられる。耐食性、耐疵付き性、
耐黒変性等の特性を向上させる為に、必要によりシリカ
などの各種酸化物や有機シラン化合物、更にはリン酸、
硝酸、フッ化物、珪素フッ化物等の各種反応促進剤を含
有せしめたクロメート処理を行うことが推奨される。
【0039】更に、クロメート皮膜の上に施す薄膜クリ
アー皮膜処理については、該皮膜が有機系樹脂を主体と
する場合には、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、
ポリウレタン系樹脂、エチレン性不飽和カルボン酸を重
合成分として含むエチレン共重合体樹脂、ポリビニル系
樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂などの有機樹脂
成分を主体とするもの、或いは、更に耐食性、潤滑性、
耐疵付き性、加工性、溶接性、電着塗装性、塗膜密着性
等の特性を向上させる為に、必要によりシリカなどの各
種酸化物粒子や各種リン酸塩などの無機顔料、ワックス
粒子、有機シラン化合物、ナフテン酸塩等を含有せしめ
た処理液を塗布することができる。
【0040】また、該皮膜が無機物を主体とする場合に
は、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムな
どのケイ酸塩を主体とするもの、或いは、これらに造膜
性、耐食性、潤滑性、耐疵付き性、加工性、溶接性、電
着塗装性、塗膜密着性等の特性を向上させる為に、必要
によりコロイダルシリカなどの各種酸化物粒子や各種リ
ン酸塩などの無機顔料、ワックス粒子、有機シラン化合
物等を含有せしめた処理液を塗布することができる。
【0041】上記化成処理皮膜の付着量は特に限定され
ないが、耐食性向上などの作用を有効に発揮させると共
に経済性等を考慮すれば、5〜300mg/m2 の範囲
に制御することが好ましい。また、同様の理由から、上
記有機質皮膜層および無機質皮膜層の好ましい膜厚は
0.1〜20μmとすることが推奨される。
【0042】尚、本発明で規定する明度および明度差、
光沢度および光沢度差の数値は、無処理の電気亜鉛めっ
き鋼板は勿論のこと、上述したクロメート皮膜処理鋼
板、リン酸塩皮膜処理鋼板、更にはクロメート皮膜の上
に薄膜クリヤー皮膜処理が施された鋼板においても有効
に適用し得るものである。
【0043】以下実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではな
く、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施するこ
とは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0044】
【実施例】以下の方法にて、めっき原板表面に、Ni,
Si,Mn等の不純物元素の不均一濃化部若しくは酸化
皮膜の不均一生成部が存在する冷延鋼板を意図的に作製
した。
【0045】まず、均熱炉から1250℃で高温抽出し
た鋼スラブを用い、熱間圧延工程における粗デスケーリ
ング条件を意図的に不均一にしてAlキルド熱延鋼板を
製造した。次に、該熱延鋼板を用い、塩酸酸洗→冷間圧
延→箱焼鈍工程を経て得られたAlキルド冷延鋼板をめ
っき原板として使用した。尚、箱焼鈍法としては、鋼板
同士を密着させて焼鈍するタイト焼鈍方法を用いたが、
鋼板表面の一部領域につき、鋼板同士の密着程度(密着
圧力)を意図的に変化させることにより、還元性雰囲気
ガスの浸透量を変化させた。
【0046】この様にして得られた冷延鋼板は、冷延鋼
板ままの状態では目視で見る限り、その表面に不均一部
の発生は認められないが、AES分析やEPMA面分析
により該冷延鋼板の表面を詳細に観察すると、表面に形
成された酸化皮膜層には明らかに不均一部が存在してお
り、Ni,Si,Mn等の鋼中の不可避的不純物若しく
は添加元素が部分的に表面濃化していることが確認され
た。
【0047】上記冷延鋼板を使用し、以下の手順にて電
気亜鉛めっきを行った。尚、めっき浴中には、表2〜4
に記載の各種添加剤を添加した。 <電気亜鉛めっきの手順> アルカリ浸漬脱脂:3重量%オルソ珪酸ソーダ、60℃×5秒間 アルカリ電解脱脂:3重量%オルソ珪酸ソーダ、60℃×5秒間、 50A/dm2 、PR電解法 水洗 酸洗 :5重量%硫酸水溶液、40℃×3秒間 水洗 電気亜鉛めっき :下記の通り 水洗 乾燥 <電気亜鉛めっき条件> ・めっき浴組成:ZnSO4 ・7H2 O 300〜400g/L Na2 SO4 50〜100g/L H2 SO4 10〜 40g/L ・電流密度 :10〜150A/dm2 ・めっき浴温度:60℃ ・めっき液流速:0.5〜2m/秒 ・電極(陽極):Pb合金電極 ・めっき付着量:10〜80g/m2 (片面あたり)
【0048】この様にして得られた電気亜鉛めっき鋼板
について、めっき表面の明度をJIS Z8722(条
件d,光トラップ有り)に規定されている方法で測定
し、光沢度については、JIS Z8741に規定され
ている60度鏡面光沢法にて測定し、下記基準にて評価
した。 <明度> ◎:80以上 ○:70以上80未満 △:60以上70未満 ×:60未満 <光沢度> ◎:50以上 ○:30以上50未満 △:20以上30未満 ×:20未満
【0049】更に、色調むらに関しては以下の要領で評
価した。まず、目視にて僅かでもめっき外観色調むらが
確認できる場合には、色調むら部と正常部の境界付近を
はさみ、30mm離れた2点の明度および光沢度を測定
し、該2点間の明度差および光沢度差の絶対値を求め
た。一方、目視ではめっき外観色調むらが殆ど判別でき
ない場合には、めっき表面上に、30mm間隔で任意の
2点をとり、該2点間の明度差および光沢度差を測定し
た。夫々の測定結果につき、表1に示す基準でめっき外
観色調むらを評価した。
【0050】
【表1】
【0051】また、キラキラ光沢に関しては目視観察
し、以下の基準で評価した。 <キラキラ光沢> ◎:全く認められない。 ○:僅かに認められるが、殆ど目立たない。 ×:著しく発生し、非常に目立つ。 更にめっき密着性については、めっき後の鋼板を、めっ
き面を外側にして180度密着曲げ試験を行った後、曲
げ部にセロハン粘着テープを貼り付け、勢いよく引き剥
がした際、テープに付着した亜鉛を目視観察し、以下の
基準で評価した。 ◎:テープへの亜鉛付着 無し。 ○: 〃 極僅かに有り。 △: 〃 明らかに認められる。 ×: 〃 著しく認められる。 表2〜4に、使用した添加剤の種類および添加量、並び
にこれらの評価結果を併記する。
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】表に示す結果から明らかな様に、本発明法
の要件を満足する例(No.3〜6、9〜11、14〜1
6、19〜23、26〜31、34〜39、42〜4
7、50〜54、57〜60、63〜66)はいずれ
も、高い明度と光沢度を同時に達成し得、しかも、めっ
き原板の表面不均一に起因するめっき外観色調むらやキ
ラキラ光沢が全く無いか、或いは殆ど目立たないことが
分かる。更にめっき密着性にも優れるものであった。こ
のうちNo.63〜66は、本発明の添加剤を複数添加し
た例であるが、これらの例についても、同様の結果が得
られることを確認できた。
【0056】これに対して本発明法の要件を満足しない
例では、以下の様な不具合を有している。まずNo.1
は、めっき浴中に本発明の添加剤を添加しない例である
が、明度、光沢度の両方が低く、暗く且つ光沢のないめ
っき外観を示す他、めっき外観色調むらやキラキラ光沢
も観察された。
【0057】またNo.2,8,13,18,25,3
3,41,49,56,62は、添加剤の添加濃度が本
発明法の下限値を下回る例であるが、明度、光沢度が低
く、めっき外観色調むらやキラキラ光沢が明らかに観察
された。
【0058】更にNo.7,12,17,24,32,4
0,48,55,61,67は、添加剤の添加濃度が本
発明法の上限値を超える例であるが、めっき外観色調む
らやキラキラ光沢はあまり目立たないものの、明度、光
沢度が非常に低く、美麗な外観を有するとは到底言い難
いものであった。また、めっき密着性も概ね低下する傾
向が見られた。
【0059】また表4は、従来の光沢剤を添加し検討し
た結果をまとめたものであるが、夫々以下の様な不具合
を伴っている。まずNo.68〜76は、従来の光沢剤で
あるデキストリン及びポリアクリルアミドを用いた例で
ある。これらの光沢剤を用い、めっき浴中の添加濃度を
種々変化させたとしても、良好な明度や光沢度を双方具
備させることはできなかった。具体的には、本発明法で
規定する添加濃度(1.0〜100ppm)を添加した
場合には、明度、光沢度、めっき外観色調むら、キラキ
ラ光沢のいずれについても満足な結果は得られない。ま
た、添加濃度を500ppmにすると、光沢度の向上お
よびキラキラ光沢の改善は見られるものの、明度の向上
およびめっき外観色調むらの改善効果については不充分
である。更に添加濃度を高めて1000ppm,500
0ppmにすると、めっきヤケが生じ、明度、光沢度が
共に低下すると共に、めっき層中に多量の添加剤が共析
され、めっき密着性も著しく低下してしまう。
【0060】次にNo.77〜86は、グリシンおよびア
スパラギン酸を用いた従来例である。めっき浴中の添加
濃度が1.0〜100ppmという低添加領域では、明
度、光沢度、めっき外観色調むら、キラキラ光沢のいず
れについても良好な結果は得られない。また、添加濃度
を1〜10g/Lにすると、明度は向上するものの、光
沢度の向上効果に乏しく、めっき外観色調むらやキラキ
ラ光沢の改善については依然として不充分である。更に
添加濃度を高めて20g/Lにすると、明度や光沢度が
再び低下する傾向が見られた。
【0061】尚、上記実施例では、色調むらの発生して
いるめっき原板を用いて実験したが、色調むらのない原
板を用いた場合にも同様の結果が得られることは言うま
でもない。
【0062】
【発明の効果】本発明の電気亜鉛めっき鋼板は、高い明
度と光沢度を有し、且つ、めっき原板表面状態に起因す
るめっき外観色調むらやキラキラ光沢のない外観に優れ
たものである。
【0063】本発明の明度及び光沢度向上用の電気亜鉛
めっき浴添加剤は、上記めっき鋼板を得るのに非常に有
用である。即ち、めっき浴中に上記添加剤を僅かに1.
0〜100ppm添加するだけで、光沢度及び明度向上
作用が得られると共に、めっき外観色調むらやキラキラ
光沢もない、非常に優れた鋼板が得られ、めっき外観の
品質を飛躍的に向上させることができる。しかも、従来
の光沢剤を添加した場合の様に、めっき浴中に多量添加
することによるめっき密着性の低下といった弊害も生じ
ないという点で極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−127891(JP,A) 特開 平4−124295(JP,A) 特開 平9−67695(JP,A) 特開 平8−158090(JP,A) 特開 平9−3684(JP,A) 特開 平8−74089(JP,A) 特開 平6−2193(JP,A) 特開 平7−331483(JP,A) 特開 平8−188899(JP,A) 特開 平8−260182(JP,A) 特公 平3−31795(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 3/22 C25D 5/26

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気亜鉛めっき鋼板の表面が、 JIS Z8722(条件d,光トラップ有り)の方法
    で得られる明度:70以上、およびJIS Z8741
    (60度鏡面光沢法)の方法で得られる光沢度:30以
    上を満足し、且つ電気亜鉛めっき鋼板表面に、30mm
    間隔で任意の2点をとった場合、該2点間の明度の差が
    5以内、および光沢度の差が15以内(明度および光沢
    度の測定方法は前と同じ)を満足することを特徴とする
    電気亜鉛めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 キラキラ光沢のない請求項1に記載の電
    気亜鉛めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 ナフテン酸の金属塩、アニリン誘導体、
    低級アルカノイル化合物、および有機過酸化物よりなる
    群から選択される少なくとも1種である明度及び光沢度
    向上用の電気亜鉛めっき浴添加剤。
  4. 【請求項4】 前記ナフテン酸の金属塩がナフテン酸コ
    バルトである請求項に記載の添加剤。
  5. 【請求項5】 前記アニリン誘導体がジメチルアニリン
    である請求項に記載の添加剤。
  6. 【請求項6】 前記低級アルカノイル化合物がメチルエ
    チルケトンである請求項に記載の添加剤。
  7. 【請求項7】 前記有機過酸化物がメチルエチルケトン
    ペルオキシドである請求項に記載の添加剤。
  8. 【請求項8】 請求項1または2に記載の電気亜鉛めっ
    き鋼板を製造する方法であって、 電気亜鉛めっき浴中に、ナフテン酸の金属塩、アニリン
    誘導体、低級アルカノイル化合物、および有機過酸化物
    よりなる群から選択される少なくとも1種を、総量で
    1.0〜100ppm添加することを特徴とする電気亜
    鉛めっき鋼板の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ナフテン酸の金属塩がナフテン酸コ
    バルトである請求項に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記アニリン誘導体がジメチルアニリ
    ンである請求項に記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記低級アルカノイル化合物がメチル
    エチルケトンである請求項に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記有機過酸化物がメチルエチルケト
    ンペルオキシドである請求項に記載の製造方法。
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