JP3174480B2 - 電子源の製造方法と画像形成装置 - Google Patents

電子源の製造方法と画像形成装置

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JP3174480B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、1対の素子電極と、こ
の素子電極間をつなぐ微粒子膜とで構成される電子源の
製造方法およびこれを用いた電子源、画像形成装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子として熱陰極型と冷
陰極型の2種類が知られている。冷陰極型には、電界放
出型(以下、「FE型」と略す)、金属/絶縁層/金属
型(以下、「MIM型」と略す)や表面伝導型電子放出
素子等がある。
【0003】FE型の例としては、W.P.Dyke & W.W.Dol
an, "Field emission", Advance inElectron Physics,
8, 89(1956)あるいはC.A.Spindt, "PHYSICAL Propertie
s of thin-film field emission cathodes with molbde
ninmcones", J.Appl.phys.,47, 52488(1976) 等が知ら
れている。MIM型の例としては、C.A.Mead, "Thetunn
el-emission amplifire, J.Appl.Phys., 32, 646(1961)
等が知られている。表面伝導型電子放出素子の例として
は、M.I.Elinson, Radio Eng. Electron Pys., 10, (19
65) 等がある。
【0004】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より、電子放出が生ずる現象を利用するものである。こ
の表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等
によるSnO2 薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの
[G.Dittmer: "Thin Solid Films", 9, 317(1972) ]、
In2 3 /SnO2 薄膜によるもの[M.Hartwell and
C.G.Fonstad: "IEEETrans. ED Conf.", 519(1975)
]、カーボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第2
6巻、第1号、22頁(1983)]等が報告されている。
【0005】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な素子構成として、前述のM.ハートウェルの素子構成
を図20に示す。同図において1001は基板である。
1004は、金属酸化物薄膜等からなる導電性薄膜で、
一般的な半導体製造技術によりH型状にパターニングし
て形成され、両端部が素子電極1002、1003とな
る。その後、後述の通電フォーミングと呼ばれる通電処
理により、導電性薄膜1004に電子放出部1005が
形成される。なお、図中の素子電極1002、1003
の間隔L1は0.5〜1mm、幅Wは0.1mmで設定
されている。
【0006】また、特開平2−56822号公報には、
所定の間隔をおいて1対の素子電極を対向配置し、この
素子電極間を、微粒子で構成された電子放出用薄膜でつ
ないだ表面伝導型電子放出素子が開示されている。この
場合にも、素子電極および電子放出用薄膜は、それぞれ
導電性の薄膜をパターニングして得られたものであり、
そのパターニングには、フォトリソグラフィー技術やエ
ッチング技術といった一般的な半導体製造技術が用いら
れている。
【0007】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に電子放出用薄膜に予め通
電フォーミングと呼ばれる通電処理を行うことによって
電子放出用薄膜に電子放出部を形成するのが一般的であ
った。すなわち、通電フォーミングとは前記電子放出用
薄膜の両端に直流電圧あるいは非常にゆっくりとした昇
電圧、例えば1V/分程度を印加通電し、電子放出用薄
膜を局所的に破壊、変形もしくは変質させ、電気的に高
抵抗な状態にした電子放出部を形成することである。な
お、電子放出部は電子放出用薄膜の一部に亀裂が発生し
その亀裂付近から電子放出が行われる。前記通電フォー
ミング処理をした表面伝導型電子放出素子は、上述した
電子放出用薄膜に電圧を印加し、素子に電流を流すこと
により、電子放出部より電子を放出させるものである。
【0008】上述の表面伝導型電子放出素子は、構造が
単純で、しかも一般的な半導体製造技術により容易に製
造できることから、大面積にわたって多数の素子を配列
形成できる利点がある。そこで、この特徴を生かせるよ
ういろいろな応用が研究されている。例えば、電荷ビー
ム源や表示装置等が挙げられる。多数の表面伝導型電子
放出素子を配列形成した例としては、はしご型配置と呼
ぶ、並列に表面伝導型電子放出素子を配列し、個々の素
子の両端を配線(共通配線とも呼ぶ)で、それぞれ結線
した行を多数行配列した電子源が挙げられる(例えば、
特開昭64−31332号公報、特開平1−28374
9号公報、特開平1−257552号公報等)。
【0009】また、特に表示装置等の画像形成装置にお
いては、近年、液晶を用いた平板型表示装置が、CRT
に替わって普及してきたが、自発光型でないためバック
ライトを持たなければならない等の問題点があり、自発
光型の表示装置の開発が望まれてきた。自発光型表示装
置としては、表面伝導型電子放出素子を多数配置した電
子源と電子源より放出された電子によって、可視光を発
光させる蛍光体とを組み合せた表示装置である画像形成
装置が挙げられる(例えば、米国特許第5066883
号明細書)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の表面伝導型電子放出素子における電子放出用薄
膜の形成には一般的な半導体製造技術が用いられている
ので、導電性薄膜の形成後の、所定の形状へのパターニ
ングのためには、レジスト塗布→レジスト固化→
パターン露光→ドライエッチ→レジスト剥離→洗
浄・乾燥、といった多段階の工程を必要とする。そのた
め、導電性薄膜のパターニングのための処理時間が長く
なり、ひいては製造コストが高くなってしまうという問
題点があった。
【0011】そこで本発明は、電子放出部形成される
電子放出用膜となる導電性薄膜のパターニング工程の大
幅な簡略化を図ることで表面伝導型電子放出素子の製造
工程を簡略化する、表面伝導型電子放出素子の製造方
法、電子源の製造方法および画像形成装置の製造方法を
提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の電子源の製造方法は、複数の表面伝導型電子放
出素子を備える電子源の製造方法であって、 複数のX方
向配線と、該複数のX方向配線と電気的に絶縁されて略
垂直方向に複数形成されたY方向配線と、一方が前記X
方向配線と電気的に接続されており残る一方が前記Y方
向配線と電気的に接続されている一対の素子電極を複数
対と、を基板上に形成する工程と、 前記X方向配線、及
び前記Y方向配線、及び前記素子電極が形成された基板
上の全面に導電性膜を形成し、前記導電性膜にレーザビ
ームを照射して前記導電性膜の一部を線状に除去するこ
とで、前記導電性膜が前記対の素子電極に挟まれる領域
において該素子電極の対向方向に対して所定の幅をなし
て前記対の素子電極間を電気的に接続する部分を形成す
ると共に、該電気的に接続する部分以外での前記配線間
の電気的な回り込みをなくした電子放出用膜を形成する
工程と、 前記電子放出用膜に電圧を印加して対である前
記素子電極の間に電子放出部を形成する工程とを有する
ことを特徴とする。この場合、前記導電性薄膜が微粒子
膜であるとしてもよい。また、前記レーザビームは、波
長領域が0.2μm〜12μmで、かつ、前記導電性薄
膜表面でのパワー密度が1×106 W/cm2であると
してもよい。本発明の電子源は、上記のいずれかに記載
の電子源の製造方法により製造されている。本発明の画
像形成装置は、上記の電子源と、該電子源から放出され
た電子により発光する蛍光膜が形成された基板とを支持
枠を介して対向配置して外囲器を構成し、該外囲器内を
排気してなることを特徴とする。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【作用】上記のとおり構成された本発明の製造方法で
は、まず、基板上に1対の素子電極を形成し、さらに導
電性膜を形成する。その後、この導電性膜にレーザビー
ムを照射して導電性膜の一部を除去することで、1対の
素子電極をつなぐ電子放出用膜を形成する。そして、通
電等により電子放出用膜を局所的に電気的に高抵抗な状
態として、電子放出用膜に電子放出部を形成すること
で、電子放出素子が得られる。このように、導電性膜の
パターニングをレーザ加工により行うことで、従来のよ
うに工程数の多いフォトリソグラフィ技術やエッチング
技術によらずに電子放出用膜を形成することができ、工
程が大幅に簡略化される。電子放出素子の製造工程が簡
略化されることにより、結果的に、電子放出素子を備え
た電子源や、この電子源を備えた画像形成装置の製造工
程も簡略化されることになる。
【0019】また、レーザビームとして、波長領域が
0.2μm〜12μmで、かつ、前記導電性膜表面での
パワー密度が1×106 W/cm2 以上のものを用いる
ことで、金属や酸化物をはじめとする導電体からなる導
電性膜を精度よく加工することができ、微細なパターニ
ングが可能となる。
【0020】さらに、導電性膜を、少なくとも素子電極
に挟まれる領域を覆うように局所的に形成したり、素子
電極に挟まれる領域において所定の幅でつながれるよう
に線状に除去することで、レーザビームの照射により除
去する部分も少なくなり、導電性膜の不要な部分を除去
するのに要する時間が短縮される。
【0021】
【実施例】本発明は、表面伝導型電子放出素子の新規な
製造方法、およびそれを用いた電子源や画像形成装置の
製造方法に係わり、これらについての好ましい実施態様
について以下に説明する。
【0022】図1は、本発明に好適な基本的な表面伝導
型電子放出素子の構成を示す図で、同図(a)はその平
面図、同図(b)はその断面図である。以下、図1を用
いて、本発明の実施に好適な表面伝導型電子放出素子の
基本的な構成を説明する。
【0023】図1において、基板101上には互いに間
隔をおいて2つの素子電極102、103が配置され、
各素子電極102、103をつないで、電子放出部10
5が形成された電子放出用薄膜104が設けられてい
る。
【0024】基板101としては、石英ガラス、Na等
の不純物含有量を減少したガラス、青板ガラス、青板ガ
ラスにスパッタ法等により形成したSiO2 を積層した
ガラス基板等およびアルミナ等のセラミックス等が用い
られる。
【0025】対向する素子電極102、103の材料と
しては、一般的な導体材料が用いられ、例えば、Ni、
Cr、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd
等の金属あるいは合金、およびPd、Ag、Au、Ru
2 、Pd−Ag等の金属あるいは金属酸化物とガラス
等から構成される印刷導体、In2 3 /SnO2 等の
透明導体、およびポリシリコン等の半導体導体材料等か
ら適宜選択される。
【0026】素子電極間隔L、素子電極102、103
の対向方向に対する幅である素子電極幅W、電子放出用
薄膜104の形状等は、応用される形態等によって設計
される。素子電極間隔Lは、好ましくは数百オングスト
ロームより数百μmである。また、素子電極102、1
03間に印加する電圧は低い方が望ましく、さらに、再
現性よく作製することが要求されるため、より好ましく
は数μmより数十μmである。素子電極幅Wは、好まし
くは、電極の抵抗値、電子放出特性により、数μmより
数百μmである。素子電極102、103の膜厚dは、
数百オングストロームより数μmである。
【0027】電子放出用薄膜104は、素子電極10
2、103の対向方向に対する幅が実効素子幅W’で規
定されており、実効素子幅W’と素子電極幅Wとの関係
は、W’<Wとなっている。さらに、素子電極102、
103間を電気的に接続するために、実効素子長さL’
と素子電極間隔Lとの関係は、L’>Lとなっている。
また、良好な電子放出特性を得るためには、電子放出用
薄膜104は微粒子で構成された微粒子膜が特に好まし
く、その膜厚は、素子電極102、103へのステップ
カバレージ、素子電極102、103間の抵抗値および
後述する通電フォーミング条件等によって適宜設定さ
れ、好ましくは、数オングストロームより数千オングス
トロームで、特に好ましくは、10オングストロームよ
り500オングストロームであり、その抵抗値は、10
3 より107 Ω/□のシート抵抗値である。
【0028】電子放出用薄膜104を構成する材料は、
Pd、Pt、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、C
r、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金属、Pd
O、SnO2 、In2 3 、PbO、Sb2 3 、等の
酸化物、HfB2 、ZrB2、LaB6 、CeB6 、Y
4 、GdB4 等の硼化物、TiC、ZrC、HfC、
TaC、SiC、WC等の炭化物、TiN、ZrN、H
fN等の窒化物、Si、Ge等の半導体、カーボン、さ
らにはAgMg、NiCu、PbSn等が挙げられる。
【0029】なお、ここで述べる微粒子膜とは、複数の
微粒子が集合した膜であり、その微細構造として、微粒
子が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互い
に隣接、あるいは重なり合った状態(島状も含む)の膜
をさしており、微粒子の粒径は、数オングストロームよ
り数千オングストローム、好ましくは10オングストロ
ームより200オングストロームである。
【0030】電子放出部105は、電子放出用薄膜10
4の一部に形成され、電気的に高抵抗な状態となった亀
裂であり、電子放出用薄膜104の膜厚、膜質、材料お
よび後述する通電フォーミング等の製法に依存して形成
される。また、数オングストロームより数百オングスト
ロームの粒径の導電性微粒子を有することもある。この
導電性微粒子は、電子放出用薄膜104を構成する材料
の元素の一部、あるいは全てと同様のものである。ま
た、電子放出部105およびその近傍の電子放出用薄膜
104には、炭素あるいは炭素化合物を有することもあ
る。
【0031】上述の表面伝導型電子放出素子の製造方法
としては様々な方法が考えられるが、その一例を図2に
示す。
【0032】(1) 基板101を洗剤、純水および有
機溶剤により十分に洗浄後、真空蒸着法、スパッタ法等
により基板101上に素子電極材料を堆積し、フォトリ
ソグラフィ技術によりパターニングすることで、基板1
01上に素子電極102、103を形成する(図2
(a))。
【0033】(2) 素子電極102、103を形成し
たら、その基板101の表面に導電性薄膜を形成する。
この後、導電性薄膜をパターニングし、電子放出用薄膜
104を形成する(図2(b))。導電性薄膜の形成方
法は、有機金属溶液の塗布法、真空蒸着法、スパッタ
法、化学的気相堆積法、分散塗布法、ディッピング法、
スピンコート法等がある。
【0034】導電性薄膜のパターニングは本発明の特徴
となる工程であり、パターニングする手段としては、レ
ーザ加工が用いられる。これは、導電性薄膜に直接レー
ザビームを照射することで、主に熱による溶融蒸発を生
じさせ、不要な部分を除去加工するものである。
【0035】ここで、導電性薄膜のパターニング工程の
一例について図3および図4を用いて説明する。
【0036】まず、図3(a)に示すように素子電極1
02、103が形成された基板101の表面に、図3
(b)に示すように、全面にわたって導電性薄膜110
を形成する。次いで、図4に示すように、集束させたレ
ーザビーム111を導電性薄膜110に直接照射し、基
板101とレーザビーム111とを相対的に走査させて
導電性薄膜110の不要部分を除去することで、図1に
示したような、所定のパターンの電子放出用薄膜104
が形成される。
【0037】加工に用いるレーザは、種類は特に限定さ
れないが、被加工物が金属や酸化物をはじめとする導電
体であり、このような材料を溶融蒸発させることを考慮
すると、照射面でのパワー密度が少なくとも1×106
W/cm2 以上で、かつ、被加工物の波長に対する吸収係
数との兼ね合いや、加工精度との兼ね合い等により、波
長領域が0.2〜12μmの範囲にあるレーザから、適
宜その加工に適したレーザを選択するのが好ましい。こ
れにより導電性薄膜を高精度にパターニングでき、微細
な電子放出用薄膜104を容易に形成することができ
る。また、フォトリソグラフィ技術やエッチング技術を
用いずに電子放出用薄膜104を形成工程することがで
きるので、電子放出用薄膜104の形成工程を大幅に削
減することができる。
【0038】レーザの照射方法は、上述したような、ビ
ームと被加工物とを相対的に走査させる方法に限らず、
加工したい形状のマスクパターンを縮小投影する方法で
もよい。また、パターニング形状についても、実効素子
幅W’で素子電極102、103間が電気的に接続され
るようにパターニングされていれば、いかなる形状であ
ってもよい。
【0039】(3) 続いて、素子電極102、103
間に、不図示の電源により通電すると、電子放出用薄膜
104の部位に、構造の変化した電子放出部105が形
成される(図2(c))。この通電処理は通電フォーミ
ングと呼ばれ、通電フォーミングにより電子放出用薄膜
104を局所的に破壊、変形もしくは変質させ、構造の
変化した部位を電子放出部105と呼ぶ。通電フォーミ
ングの電圧波形の例を図5に示す。
【0040】電圧波形は、特に、パルス波形が好まし
く、パルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に印加
する場合(図5(a))と、パルス波高値を増加させな
がら電圧パルスを印加する場合(図5(b))とがあ
る。まず、パルス波高値を定電圧とした場合について説
明する。
【0041】図5(a)におけるT1およびT2は、そ
れぞれ電圧波形のパルス幅およびパルス間隔であり、T
1を1マイクロ秒〜10ミリ秒、T2を10マイクロ秒
〜100ミリ秒とし、三角波の波高値(通電フォーミン
グ時のピーク電圧)は、表面伝導型電子放出素子の前述
した形態に応じて適宜選択し、適当な真空度、例えば1
-5Torr程度の真空雰囲気下で、数秒から数十分印
加する。なお、素子電極102、103間に印加する波
形は三角波に限定することはなく、矩形波など所望の波
形を用いてもよい。
【0042】図5(b)におけるT1およびT2は、そ
れぞれ図5(a)と同様であり、三角波の波高値(通電
フォーミング時のピーク電圧)は、例えば0.1Vステ
ップ程度ずつ増加させ、適当な真空雰囲気下で印加す
る。なお、この場合の通電フォーミング処理の終了は、
パルス間隔T2中に、電子放出用薄膜104を局所的に
破壊、変形させない程度の電圧、例えば1Mオーム以上
の抵抗を示したとき、通電フォーミングを終了とする。
【0043】(4) 次に、通電フォーミングが終了し
た素子に活性化工程と呼ぶ処理を好ましくは施す。活性
化工程とは、例えば、10-4〜10-5Torr程度の真
空度で、通電フォーミング同様、パルス波高値を定電圧
としたパルスの印加を繰り返す処理のことをいい、真空
中に存在する有機物質から、炭素あるいは炭素化合物を
堆積することで、電子放出用薄膜104を流れる素子電
流If、電子放出部105より放出される放出電流Ie
が著しく変化する処理である。素子電流Ifと放出電流
Ieを測定しながら、例えば、放出電流Ieが飽和した
時点で、活性化工程を終了する。また、パルス波高値
は、好ましくは動作駆動電圧である。
【0044】なお、ここでいう炭素あるいは炭素化合物
とは、グラファイト(単、多結晶双方を指す)非晶質カ
ーボン(非晶質カーボンおよび多結晶グラファイトとの
混合物を指す)であり、その膜厚は、好ましくは500
オングストローム以下、より好ましくは300オングス
トローム以下である。
【0045】(5) こうして作製した表面伝導型電子
放出素子を、通電フォーミング工程、活性化工程での真
空度より高い真空度の真空雰囲気にし、好ましく動作駆
動する。また、より好ましくは、これより高い真空度の
真空雰囲気下で、80℃〜150℃に加熱後、動作駆動
する。
【0046】通電フォーミング工程、活性化処理した真
空度より高い真空度の真空雰囲気とは、例えば、約10
-6Torr以上の真空度を有する真空度であり、より好
ましくは、超高真空系であり、炭素あるいは炭素化合物
が新たに、ほぼ堆積しない真空度である。従って、これ
によって、これ以上の炭素あるいは炭素化合物の堆積を
抑制することが可能となり、素子電流If、放出電流I
eが安定する。
【0047】上述のような構成と製造方法によって作製
された表面伝導型電子放出素子の特性評価について、図
6および図7を用いて説明する。
【0048】図6は、図1に示した構成を有する素子の
電子放出特性を測定するための測定評価装置の概略構成
図である。図6において、図1と同一ものについては、
同一の符号で示した。また、151は、表面伝導型電子
放出素子に素子電圧Vfを印加するための電源、150
は素子電極102、103間の電子放出用薄膜104を
流れる素子電流Ifを測定するための電流計、154
は、素子の電子放出部105より放出される放出電流I
eを捕捉するためのアノード電極、153はアノード電
極154に電圧を印加するための高圧電源、152は素
子の電子放出部105より放出される放出電流Ieを測
定するための電流計である。
【0049】また、表面伝導型電子放出素子およびアノ
ード電極154は真空装置内に設置され、その真空装置
には排気ポンプ156および真空計等の真空装置に必要
な機器が具備されており、所望の真空下で本素子の測定
評価を行えるようになっている。なお、排気ポンプ15
6は、ターボポンプ、ロータリーポンプからなる通常の
高真空装置系と、更に、イオンポンプからなる超高真空
装置系とからなる。また、真空装置155全体および基
板は、不図示のヒータにより200℃まで加熱できる。
従って、本測定装置では、前述の通電フォーミング以降
の工程も行うことができる。アノード電極154の電圧
は、1kV〜10kV、アノード電極154と表面伝導
型電子放出素子との距離Hは2mm〜8mmの範囲で測
定した。
【0050】図6に示した測定評価装置により測定され
た放出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vfの関
係の典型的な例を図7に示す。なお、放出電流Ieは素
子電流Ifに比べて著しく小さいので、図7では任意単
位で示されており、素子電流Ifのおよそ1000分の
1程度である。
【0051】図7からも明らかなように、本発明に好適
な表面伝導型電子放出素子は、放出電流Ieに対する三
つの特徴的特性を有する。
【0052】まず第一に、本素子は、ある電圧(しきい
値電圧と呼ぶ、図10中のVth)以上の素子電圧Vf
を印加すると急激に放出電流Ieが増加し、一方、しき
い値電圧Vth以下では放出電流Ieがほとんど検出さ
れない。すなわち、放出電流Ieに対する明確なしきい
値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0053】第二に、放出電流Ieが素子電圧Vfに依
存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御でき
る。
【0054】第三に、アノード電極154に捕捉される
放出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。
すなわち、アノード電極154に捕捉される電荷量は、
素子電圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0055】以上のような、本発明に好適な表面伝導型
電子放出素子の特徴的特性のため、入力信号に応じて、
電子放出特性が、複数の表面伝導型電子放出素子を配置
した電子源、画像形成装置等でも容易に制御できること
となり、多方面への応用ができる。
【0056】また、素子電流Ifは素子電圧Vfに対し
て単調増加する(MI特性と呼ぶ)、より好ましい特性
の例を図7に実線で示したが、この他にも、素子電流I
fが素子電圧Vfに対して電圧制御型負性抵抗(VCN
R特性と呼ぶ)特性を示す場合もある(図7中、破線で
示す)。また、これら素子電流Ifの特性は、その製法
および測定時の測定条件等に依存する。なお、この場合
も、本表面伝導型電子放出素子は上述した三つの特性上
の特徴を有する。
【0057】次に、本発明に好適な電子源および画像形
成装置について述べる。本発明に好適な電子源は、複数
個の表面伝導型電子放出素子を、上述した製造方法によ
り同一の基板上に配列したもので、さらに、この電子源
を用いて画像形成装置が構成できる。
【0058】表面伝導型電子放出素子の配列の方式に
は、表面伝導型電子放出素子を並列に配置し、個々の素
子の両端を配線で接続したはしご型配置や、表面伝導型
電子放出素子の1対の素子電極にそれぞれX方向配線、
Y方向配線を接続した単純マトリックス配置が挙げられ
る。なお、はしご型配置の電子源を有する画像形成装置
には、表面伝導型電子放出素子からの電子の飛翔を制御
する電極である制御電極(グリッド電極)を必要とす
る。
【0059】まず、単純マトリックス配置の電子源につ
いて説明する。
【0060】前述した表面伝導型電子放出素子の3つの
基本的特性の特徴によれば、単純マトリックス配置され
た表面伝導型電子放出素子においても、表面伝導型電子
放出素子からの放出電子は、しきい値電圧以上では、対
向する素子電極間に印加するパルス状電圧の波高値と幅
で制御される。一方、しきい値電圧以下では、殆ど放出
されない。この特性によれば、多数の表面伝導型電子放
出素子を配置した場合においても、個々の素子に上記パ
ルス状電圧を適宜印加すれば、入力信号に応じて、表面
伝導型電子放出素子を選択し、その電子放出量が制御で
きることとなる。
【0061】以下、この原理に基づき構成した電子源に
ついて、図8を用いて説明する。図8は、単純マトリッ
クス配置の電子源の一例の構成図である。図8に示すよ
うに、電子源基板171には、m本のX方向配線172
とn本のY方向配線173とがマトリクス状に配線され
ている。各X方向配線172と各Y方向配線173との
間には、それぞれ表面伝導型電子放出素子174が、結
線175により電気的に接続されている。
【0062】同図において、電子源基板171は、前述
したガラス基板等であり、用途に応じて、設置される表
面伝導型電子放出素子174の個数および個々の素子の
設計上の形状が適宜設定される。
【0063】各X方向配線172は、Dx1、Dx2、
・・・、Dxmのm本の配線からなり、真空蒸着法、印
刷法、スパッタ法等で形成した導電性金属等である。ま
た、多数の表面伝導型電子放出素子174にほぼ均等な
電圧が供給されるように、材料、膜厚、配線幅が適宜設
定される。各Y方向配線173は、Dy1、Dy2、・
・・、Dynのn本の配線からなり、X方向配線172
と同様に作製される。これらm本のX方向配線172と
n本のY方向配線173との間には、不図示の層間絶縁
層が設けられ、X方向配線172とY方向配線173と
は、互いに電気的に分離されて、マトリックス配線を構
成する(このm、nは、ともに正の整数である)。
【0064】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等で形成されたSiO2 等であり、X方
向配線172を形成した電子源基板171の全面あるい
は一部に所望の形状で形成され、特に、X方向配線17
2とY方向配線173との交差部の電位差に耐え得るよ
うに、膜厚、材料、製法が適宜設定される。X方向配線
172とY方向配線173は、それぞれ外部端子として
引き出されている。
【0065】更に、表面伝導型電子放出素子174の対
向する電極(不図示)が、m本のX方向配線172とn
本のY方向配線173と、真空蒸着法、印刷法、スパッ
タ法等で形成された導電性金属等からなる結線175に
よって電気的に接続されている。
【0066】ここで、m本のX方向配線172とn本の
Y方向配線173と結線175と対向する素子電極の導
電性金属は、その構成元素の一部あるいは全部が同一で
あっても、またそれぞれ異なってもよく、前述の素子電
極の材料等により適宜選択される。なお、これら素子電
極への配線は、素子電極と配線材料が同一である場合
は、素子電極と総称する場合もある。また、表面伝導型
電子放出素子174は、電子源基板171あるいは不図
示の層間絶縁層上のどちらに形成してもよい。
【0067】また、詳しくは後述するが、前記X方向配
線172には、X方向に配列される表面伝導型電子放出
素子174の行を、入力信号に応じて走査するための走
査信号を印加する不図示の走査信号発生手段と電気的に
接続されている。一方、Y方向配線173には、Y方向
に配列される表面伝導型電子放出素子174の列の各列
を入力信号に応じて変調するための変調を信号を印加す
る不図示の変調信号発生手段を電気的に接続されてい
る。さらに、表面伝導型電子放出素子174の各素子に
印加される駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号
と変調信号との差電圧として供給されるものである。
【0068】上記構成において、単純なマトリックス配
線だけで個別の素子を選択して独立に駆動可能になる。
【0069】次に、以上のようにして作製した単純マト
リクス配置の電子源を用いた画像形成装置について説明
する。図9は、図8に示した電子源を用いた画像形成装
置の基本構成図である。
【0070】図9に示すように、上述のようにして表面
伝導型電子放出素子174、X方向配線172およびY
方向配線173を作製した電子源基板171が、リアプ
レート181に固定されている。リアプレート181に
は、支持枠182を介してフェースプレート186が対
向配置されている。フェースプレート186は、ガラス
基板183の内面に、蛍光膜184およびメタルバック
185等が形成されたものである。リアプレート18
1、支持枠182およびフェースプレート186は互い
に気密固着(封着)され、リアプレート181と支持枠
182とフェースプレート186とで外囲器188を構
成する。リアプレート181、支持枠182およびフェ
ースプレート186の封着は、互いの固着面にフリット
ガラス等を塗布し、大気中あるいは窒素中で、400℃
〜500℃で10分以上焼成することで行われる。
【0071】外囲器188は上述のごとく、フェースプ
レート186、支持枠182およびリアプレート181
で構成されているが、リアプレート181は主に電子源
基板171の強度を補強する目的で設けられるため、電
子源基板171自体で十分な強度を持つ場合は別体のリ
アプレート181は必ずしも必要でなく、電子源基板1
71に直接、支持枠182を封着し、フェースプレート
186、支持枠182および電子源基板171にて外囲
器188を構成してもよい。また、さらには、フェース
プレート186、リアプレート181間に、スペーサと
呼ばれる不図示の支持体を設置することで、大気圧に対
して十分な強度をもつ外囲器188の構成にすることも
できる。
【0072】蛍光膜184は、モノクロームの場合は画
像形成部材である蛍光体のみからなるが、カラーの場合
は、図10に示すように、蛍光体の配列によりブラック
ストライプあるいはブラックマトリクスなどと呼ばれる
黒色導電材184bと蛍光体184aとで構成される。
ブラックストライプ、ブラックマトリクスが設けられる
目的は、カラー表示の場合必要となる三原色蛍光体の、
各蛍光体184a間の塗り分け部を黒くすることで混色
等を目立たなくすることと、蛍光膜184における外光
反射によるコントラストの低下を抑制することである。
ブラックストライプの材料としては、通常よく用いられ
ている黒鉛を主成分とする材料だけでなく、導電性があ
り、光の透過および反射が少ない材料であればこれに限
るものではない。ガラス基板183に蛍光体を塗布する
方法は、モノクローム、カラーによらず、沈殿法や印刷
法が用いられる。さらに、カラーの場合には、スラリー
法を用いることも可能である。
【0073】また、蛍光膜184の内面側には通常メタ
ルバック185が設けられる。メタルバック185の目
的は、蛍光体184aに照射された電子が帯電するのを
防止すること、蛍光体184aの発光のうち内面側への
光をフェースプレート186側へ鏡面反射することによ
り輝度を向上すること、電子ビーム加速電圧を印加する
ための電極として作用すること、外囲器188内で発生
した負イオンの衝突によるダメージからの蛍光体184
aの保護等である。メタルバック185は、蛍光膜18
4を作製後、蛍光膜184の内面側表面の平滑化処理
(通常フィルミングと呼ばれる)を行い、その後Alを
真空蒸着等で堆積することで作製できる。
【0074】フェースプレート186には、さらに蛍光
膜184の導電性を高めるため、蛍光膜184の外側面
に透明電極(不図示)を設けてもよい。
【0075】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体184bと表面伝導型電子放出素子174とを対
応させなくてはならないため、十分な位置合わせを行う
必要がある。
【0076】リアプレート181と支持枠182とフェ
ースプレート186とを互いに封着し、外囲器188が
構成されたら、不図示の排気管を通じて排気系により外
囲器188内を10-7Torr程度の真空度まで排気
し、外囲器188を封止する。また、外囲器188の封
止後の真空度を維持するために、ゲッター処理を行う場
合もある。これは、外囲器188の封止を行う直前ある
いは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等の加熱法
により、外囲器188内の所定の位置に配置されたゲッ
ター(不図示)を加熱し、蒸着膜を形成する工程であ
る。ゲッターは、通常、Ba等が主成分であり、該蒸着
膜の吸着作用により、例えば10-5〜10-7Torrの
真空度を維持するものである。なお、表面伝導型電子放
出素子174の通電フォーミング処理以降の工程は、適
宜設定される。
【0077】次に、NTSC方式のテレビ信号に基づき
テレビジョン表示を行うための駆動回路の概略構成を、
図11のブロック図を用いて説明する。符号191は図
9に示した画像形成装置に相当する表示パネルであり、
また、192は走査回路、193は制御回路、194は
シフトレジスタ、195はラインメモリ、196は同期
信号分離回路、197は変調信号発生器、Vx 、Va
直流電圧源をそれぞれ示す。
【0078】以下、各部の機能を説明していくが、まず
表示パネル191は、端子Dx1ないしDxm、および
Dy1ないしDyn、および高圧端子Hv を介して外部
の電気回路と接続している。このうち、端子Dx1ない
しDxmには、前記表示パネル191内に設けられてい
る電子源、すなわちm行n列の行列状にマトリックス配
線された表面伝導型電子放出素子群を一行(n素子)ず
つ順次駆動してゆくための走査信号が印加される。
【0079】一方、端子Dy1ないしDynには、前記
走査信号により選択された一行の表面伝導型電子放出素
子の各素子の出力電子ビームを制御するための変調信号
が印加される。また、高圧端子Hv には、直流電圧源V
a より、例えば10kVの直流電圧が供給されるが、こ
れは、表面伝導型電子放出素子より出力される電子ビー
ムに蛍光体を励起するのに十分なエネルギーを付与する
ための加速電極である。
【0080】次に、走査回路192について説明する。
走査回路192は、内部にm個のスイッチング素子(図
中、S1ないしSmで模式的に示している)を備えるも
ので、各スイッチング素子は、直流電圧源Vx の出力電
圧もしくは0V(グランドレベル)のいずれか一方を選
択し、表示パネル191の端子Dx1ないしDxmと電
気的に接続するものである。S1ないしSmの各スイッ
チング素子は、制御回路193が出力する制御信号に基
づいて動作するものであるが、実際には、例えばFET
のようなスイッチング素子を組み合せることにより容易
に構成することが可能である。
【0081】なお、前記直流電圧源Vx は、本実施例の
場合には前記表面伝導型電子放出素子の特性(電子放出
しきい値電圧)に基づき、走査されていない素子に印加
される駆動電圧が電子放出しきい値電圧以下となるよう
な一定電圧を出力するように設定されている。
【0082】また、制御回路193は、外部より入力す
る画像信号に基づいて適切な表示が行われるように各部
の動作を整合させる働きをもつものである。次に説明す
る同期信号分離回路196より送られる同期信号TSYNC
に基づいて、各部に対してT SCANおよびTSFT およびT
MRY の各制御信号を発生する。
【0083】同期信号分離回路196は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と
輝度信号成分とを分離するための回路で、よく知られて
いるように周波数分離(フィルター)回路を用いれば、
容易に構成できるものである。同期信号分離回路196
により分離された同期信号は、よく知られるように垂直
同期信号と水平同期信号よりなるが、ここでは説明の便
宜上、TSYNC信号として図示した。一方、前記テレビ信
号から分離された画像の輝度信号成分を便宜上DATA
信号と表わすが、同信号はシフトレジスタ194に入力
される。
【0084】シフトレジスタ194は、時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制
御信号193より送られる制御信号TSFT に基づいて動
作する(すなわち、制御信号TSFT は、シフトレジスタ
194のシフトクロックであると言い替えてもよい)。
シリアル/パラレル変換された画像1ライン分(表面伝
導型電子放出素子n素子分の駆動データに相当する)の
データは、Id1ないしIdnのn個の並列信号として
前記シフトレジスタ194より出力される。
【0085】ラインメモリ195は、画像1ライン分の
データを必要時間の間だけ記憶するための記憶装置であ
り、制御回路193より送られる制御信号TMRY にした
がって適宜Id1ないしIdnの内容を記憶する。記憶
された内容は、I’d1ないしI’dnとして出力さ
れ、変調信号発生器197に入力される。
【0086】変調信号発生器197は、前記画像データ
I’d1ないしI’dnの各々に応じて、表面伝導型電
子放出素子の各々を適切に駆動変調するための信号源
で、その出力信号は、端子Dy1ないしDynを通じて
表示パネル191内の表面伝導型電子放出素子に印加さ
れる。
【0087】前述したように、本発明に係わる表面伝導
型電子放出素子は、放出電流Ieに対して以下の基本特
性を有している。すなわち、前述したように、電子放出
には明確なしきい値電圧Vthがあり、Vth以上の電
圧を印加されたときのみ電子放出が生じる。また、電子
放出しきい値以上の電圧に対しては、素子への印加電圧
の変化に応じて放出電流も変化してゆく。なお、表面伝
導型電子放出素子の材料や構成、製造方法を変えること
により、電子放出しきい値電圧Vthの値や、印加電圧
に対する放出電流の変化の度合が変る場合もあるが、い
ずれにしても以下のようなことがいえる。
【0088】すなわち、本素子にパルス状の電圧を印加
する場合、例えば電子放出しきい値以下の電圧を印加し
ても電子放出は生じないが、電子放出しきい値以上の電
圧を印加する場合には電子ビームが出力される。その
際、第一には、パルスの波高値Vmを変化させることに
より出力電子ビームの強度を制御することが可能であ
る。第二には、パルスの幅Pwを変化させることにより
出力電子ビームの電荷の総量を制御することが可能であ
る。
【0089】したがって、入力信号に応じて、表面伝導
型電子放出素子を変調する方式としては、電圧変調方
式、パルス幅変調方式等が挙げられ、電圧変調方式を実
施するには、変調信号発生器197としては、一定の長
さの電圧パルスを発生するが入力されるデータに応じて
適宜パルスの波高値を変調するような電圧変調方式の回
路を用いる。
【0090】また、パルス幅変調方式を実施するには、
変調信号発生器197としては、一定の波高値の電圧パ
ルスを発生するが入力されるデータに応じて適宜電圧パ
ルスの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用
いるものである。
【0091】以上説明した一連の動作により、表示パネ
ル191を用いてテレビジョンの表示を行える。なお、
上記説明中、特に記載しなかったが、シフトレジスタ1
94やラインメモリ195は、デジタル信号式のもので
もアナログ信号式のものでも差し支えなく、画像信号の
シリアル/パラレル変換や記憶が所定の速度で行われれ
ばよい。
【0092】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路196の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要があるが、これは同期信号分離回路196の出
力部にA/D変換器を備えれば容易に可能であることは
いうまでもない。また、これと関連してラインメモリ1
95の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かによ
り、変調信号発生器197に用いられる回路が若干異な
ったものとなるのはいうまでもない。すなわち、デジタ
ル信号の場合には、電圧変調方式の場合、変調信号発生
器197には、例えばよく知られるD/A変換回路を用
い、必要に応じて増幅回路等を付け加えればよい。また
パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器197は、例
えば高速の発振器および発振器の出力する波数を計数す
る計数器(カウンタ)および計数器の出力値と前記ライ
ンメモリ195の出力値を比較する比較器(コンパレー
タ)を組み合せた回路を用いれば当業者であれば容易に
構成できる。必要に応じて、比較器の出力するパルス幅
変調された変調信号を表面伝導型電子放出素子の駆動電
圧にまで電圧増幅するための増幅器を付け加えてもよ
い。
【0093】一方、アナログ信号の場合には、電圧変調
方式の場合、変調信号発生器197には、例えばよく知
られるオペアンプ等を用いた増幅回路を用いればよく、
必要に応じてレベルシフト回路等を付け加えてもよい。
また、パルス幅変調方式の場合には、例えばよく知られ
た電圧制御型発振回路(VCO)を用いればよく、必要
に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電圧にまで電圧
増幅するための増幅器を付け加えてもよい。
【0094】以上のように完成した画像表示装置におい
て、電子源基板171の各表面伝導型電子放出素子17
4に、端子Dx1ないしDxm、Dy1ないしDynを
通じ、電圧を印加することにより、電子を放出させ、高
圧端子Hv を通じ、メタルバック185あるいは透明電
極(不図示)に高圧を印加し、電子ビームを加速し、蛍
光膜184に衝突させ、励起・発光させることで画像を
表示することができる。
【0095】以上述べた構成は、表示等に用いられる好
適な画像形成装置を作製する上で必要な概略構成であ
り、例えば各部材の材料等、詳細な部分は上述内容に限
られるものではなく、画像形成装置の用途に適するよう
に適宜選択する。また、入力信号例として、NTSC方
式を挙げたが、これに限るものでなく、PAL、SEC
AM方式等の諸方式でもよく、また、これよりも、多数
の走査線からなるTV信号(例えば、MUSE方式をは
じめとする高品位TV)方式でもよい。
【0096】次に、前述のはしご型配置の電子源および
画像形成装置について説明する。
【0097】図12は、はしご型配置の電子源の一例の
構成図である。図12において、表面伝導型電子放出素
子274は、電子源基板271上に、X方向に並列に復
数個配置される(これを「素子行」と呼ぶ)。この素子
行がY方向に複数個配置され、電子源となる。表面伝導
型電子放出素子274に配線される各素子行の共通配線
Dx1、Dx2、・・・、Dx10間に適宜駆動電圧を
印加することで、各素子行を独立に駆動することが可能
である。すなわち、電子ビームを放出したい素子行に
は、放出しきい値以上の電圧を印加し、電子ビームを放
出しない素子行には、放出しきい値以上の電圧を印加す
ればよい。また、各素子行間の共通配線Dx2、Dx
3、・・・、Dx9を、例えばDx2、Dx3を同一配
線としてもよい。
【0098】図13は、はしご型配置の電子源を用いた
画像形成装置の一例の基本構成図である。単純マトリッ
クス配置の電子源を用いた画像形成装置との大きな違い
は、電子源基板271とフェースプレート286との間
にグリッド電極290を備え、グリッド電極290と接
続されたG1、G2、・・・、Gnからなるグリッド容
器外端子291と、電子源基板271の共通配線と接続
された、Dox1、Dox2、・・・、Doxmからな
る容器外端子292とを設けた点である。
【0099】グリッド電極290は、表面伝導型電子放
出素子274から放出された電子ビームを変調すること
ができるもので、はしご型配置の素子行と直交して設け
られたストライプ状の電極である。また、グリッド電極
290には、電子ビームを通過させるため、各素子行に
対応して1個ずつ円形の開口290aが設けられてい
る。グリッド電極290の形状や設置位置は、必ずしも
図示したようなものでなくともよく、開口としてメッシ
ュ状に多数の通過口を設けることもあり、また、例えば
表面伝導型電子放出素子274の周囲や近傍に設けても
よい。容器外端子292およびグリッド容器外端子29
1は、不図示の制御回路と電気的に接続されている。
【0100】本画像形成装置では、素子行を1列ずつ順
次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極29
0の列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加するこ
とにより、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画
像を1ラインずつ表示することができる。
【0101】以下に、本発明の表面伝導型電子放出素子
の製造方法を用いた具体例について述べる。
【0102】(具体例1)ここでは、図1に示した表面
伝導型電子放出素子を製造する例について述べる。
【0103】まず、基板101にPtをスパッタ法によ
り1000オングストロームの膜厚で成膜し、フォトリ
ソグラフィ技術により図3(a)に示すように素子電極
102、103を形成する。素子電極幅Wは150μ
m、素子電極間隔Lは10μmとした。
【0104】次に、基板101の素子電極102、10
3が形成された面に、有機パラジウム錯体溶液をスピン
コート法により塗布し、大気中で300℃・10分間の
熱処理により焼成することで、図3(b)に示すよう
に、基板101のほぼ全面にわたってPdOからなる導
電性薄膜110を形成する。
【0105】そして、図4に示すように、導電性薄膜1
10の表面に直接レーザビーム111を照射し、レーザ
ビーム111と基板101とを相対的に走査すること
で、導電性薄膜110の不要な部分を選択的に除去加工
する。これにより、図1に示した実効素子幅W’および
実効素子長さL’が、それぞれ100μm、150μm
の電子放出用薄膜104が得られた。
【0106】上記レーザ加工には、図14に示すような
構成のレーザ加工装置を用いた。図14において、X方
向およびY方向に移動可能に設けられたXYステージ3
1には、被加工物30が固定される。一方、レーザ発振
器25から発せられたレーザビーム26は、ミラー27
によって直角に曲げられ、アパーチャ28およびレンズ
29を通過してビーム形状が縮小され、XYステージ3
1上の被加工物30に照射される構成となっている。レ
ーザ発振器25としては、Qスイッチ付きNd:YAG
第2高調波レーザを用いた。
【0107】上記構成に基づき、被加工物30にレーザ
ビーム26を照射しつつ、XYステージ31を移動させ
ることで、被加工物30の任意の部位にレーザビーム2
6を照射し、主に熱による溶融蒸発による被加工物30
の加工を行うことができる。ここで、被加工物30にか
えて、導電性薄膜110が形成された基板101(図3
(b)参照)をXYステージ31に固定し、導電性薄膜
110を除去する部位のみにレーザビーム26が照射さ
れるようにXYステージ31を移動させれば、図3
(b)に示した導電性薄膜110から図1(a)に示し
た電子放出用薄膜104のパターンを得ることができ
る。
【0108】PdOからなる導電性薄膜110の加工条
件は、Qスイッチ付きNd:YAG第2高調波レーザを
用いた場合、Qスイッチの周波数は1〜3kHz、平均
出力は5W前後で、パルス幅が100ns前後、導電性
薄膜110の表面での縮小されたレーザビーム26の形
状が50μm四方の四角形、走査速度が10mm/se
cである。
【0109】電子放出用薄膜104を形成した後、素子
電極102、103間に電圧を印加して通電フォーミン
グ処理を施して電子放出用薄膜104に電子放出部10
5を形成することで、電子放出素子が完成する。
【0110】本例では、導電性薄膜110の除去加工に
用いるレーザとしてNd:YAG第2高調波を用いた例
を示したが、これに限るものではなく、加工する材料や
加工形状に応じて、適宜レーザ種を選択すればよい。例
えば、本例のようにPdOからなる膜を除去する場合、
他のレーザとしてKrFエキシマレーザを用いることも
できる。また、レーザビーム26の照射方式について
も、レーザ種に応じて変更することができる。例えばエ
キシマレーザを用いた場合には、図15に示すようなマ
スクパターン露光方式を採用すればよい。この方式は、
ミラー77とレンズ79との間に、加工すべきパターン
が形成されたマスク78を配置することによって、レー
ザ発振器75から発せられたレーザビーム76がマスク
78を通過して所定の形状となり、さらにレンズ79で
縮小され、被加工物80に所定のパターンを露光するも
のである。
【0111】(具体例2)具体例1では、基板の全面に
導電性薄膜を形成した例を示したが、ここでは、導電性
薄膜を局部的に形成した例を示す。
【0112】図16に示すように、具体例1と同様にし
て素子電極202、203が形成された基板201に、
少なくとも素子電極間隔Lで表わされる領域すなわち素
子電極202、203に挟まれる領域が完全に覆われる
ように、PdOからなる導電性薄膜210を局所的に形
成する。
【0113】導電性薄膜210は、有機パラジウム錯体
溶液を、素子電極202、203の間の部分を主体に、
メタルマスクとスプレー法とを併用して塗布し、その
後、大気中で300℃・10分間の熱処理を行い焼成す
ることで局所的に形成可能である。有機パラジウム錯体
溶液の塗布は、ニードルを用いたディスペンサー法や、
またはそれ以外の方法でも可能である。
【0114】導電性薄膜210を得るための有機パラジ
ウム錯体溶液の塗布は一般的な方法によって行ってお
り、位置精度、形状精度ともに高精度ではない。そのた
め導電性薄膜210は、図16に示したように、はみ出
しやにじみを伴ったいびつな形状であり、少なくとも4
00μm程度の領域で素子電極202、203のほぼ全
体を被覆している。この状態のまま素子電極202、2
03間に電圧を印加しても、素子電極202、203の
周囲にはみ出した部分の導電性薄膜210からの電位が
回り込んでしまい、素子電極間隔Lの部分の導電性薄膜
210にうまく電位が与えられない。
【0115】そこで、電位の回り込みが生じないよう
に、導電性薄膜210のパターニングを行うわけである
が、その例を図17に示す。
【0116】図17(a)には、互いに向き合う2つの
T字形状の除去パターン215で線状に除去加工し、導
電性薄膜210をパターニングした例を示す。除去パタ
ーン215の横のラインは、素子電極202、203の
対向方向に沿って両素子電極202、203にまたがっ
ており、縦のラインは、導電性薄膜210が存在しなく
なる部分まで達している。また、2つの除去パターン2
15の間隔は、実効素子幅W’に等しい。これにより、
実効素子幅W’で素子電極202、203を電気的に接
続する電子放出用薄膜204aが形成される。
【0117】一方、図17(b)には、互いに向き合う
2つの矩形波形状の除去パター216ンで線状に除去加
工し、導電性薄膜210をパターニングした例を示す。
除去パターン216の凸状の部分は素子電極202、2
03にまたがっており、裾の部分は導電性薄膜210が
存在しなくなる部分まで達している。また、2つの除去
パターン216の間隔は実効素子幅W’に等しい。これ
により、実効素子幅W’で素子電極202、203を電
気的に接続する電子放出用薄膜204bが形成される。
【0118】上記図17(a)に示した除去パターン2
15または図17(b)に示した除去パターン216に
沿った導電性薄膜210の除去加工は、図14に示した
ものと同様の構成の、Qスイッチ付きNd:YAG第2
高調波レーザによるレーザ加工装置を用いた。本例での
加工条件は、Qスイッチ周波数が1〜3kHz、平均出
力が5W前後、パルス幅が100ns前後、導電性薄膜
210上での絞られたビーム形状が10μm四方の正方
形、走査速度が10mm/secである。また、いずれ
の除去パターン215、216によっても、素子電極2
02、103上の導電性薄膜210も除去することにな
るが、このような場合には導電性薄膜210のみを除去
せず、素子電極202、203も除去してよいので、レ
ーザ加工装置には光学系の途中にNDフィルターを挿入
せず、オーバーパワー気味で加工を行った。
【0119】このようにして電子放出用薄膜204a
(204b)を形成した後、素子電極202、203間
に電圧を印加して通電フォーミング処理を施して電子放
出用薄膜204a(204b)に電子放出部を形成し、
電子放出素子が完成する。
【0120】以上説明したように、実効素子幅W’が規
定されるように導電性薄膜210を線状のパターンで除
去することで、導電性薄膜210の除去領域が最小限で
すみ、導電性薄膜210の除去に要する時間が短縮され
る。ここでは、導電性薄膜210を線状のパターンで除
去する例を示したが、図1に示した電子放出用薄膜10
4となる部分を残すように、導電性薄膜210を除去し
てもよい。この場合でも、導電性薄膜210は局所的に
形成されているので、具体例1に比較して、導電性薄膜
210の除去に要する時間は短縮される。
【0121】(具体例3)ここでは、具体例2に示した
パターニングを応用して、複数の表面伝導型電子放出素
子がマトリックス状に配置された電子源を製造する例を
説明する。
【0122】図18に、その電子源の要部平面図を示
す。図18において、基板の表面には、Au膜からなる
素子電極302、303が印刷法によりマトリックス状
に形成され、さらに、一方の素子電極302に電気的に
接続されるY方向配線373、層間絶縁層376、およ
び他方の素子電極に電気的に接続されるX方向配線37
2が、印刷法により順次形成されている。この配線形式
は、図8に示した単純マトリックス配置に相当する。さ
らに、この最表面層に、有機パラジウム溶液をスピンコ
ート法により塗布し焼成することによって得られた、P
dOからなる導電性薄膜が形成されている。なお、図1
8では、電子源の構成をわかりやすくするため、導電性
薄膜は図示せずに透視した状態で示し、後述する除去パ
ターン315のみを示している。また、素子電極30
2、303、Y方向配線373、および層間絶縁層37
6については、斜線を施して示している。
【0123】本例では、図18に示したように、導電性
薄膜が基板の全面を覆っているため、このままではX方
向配線372とY方向配線373とが導通し、相互の素
子電極302、303同士も導通した状態となってい
る。そこで、レーザ加工により導電性薄膜を除去パター
ン315に沿って除去した。この除去パターン315
は、図17(a)に示したT字形状の除去パターン21
5を拡張したものであり、これにより配線間の電気的な
回り込みを完全になくするような、電子放出用薄膜が得
られた。
【0124】導電性薄膜の除去に用いたレーザ加工装置
は具体例2で用いたものと同様のものであり、また、加
工条件についても具体例2と同様である。
【0125】このようにして電子放出用薄膜を形成した
後、各素子電極302、303間に電圧を印加して通電
フォーミング処理を施して各素子電極302、303の
間の部分に電子放出部を形成し、電子源が完成する。さ
らに、この電子源を用いて、画像形成装置を製造するこ
とができる。画像形成装置を製造する場合は、通電フォ
ーミング処理は電子源を外囲器内に配置した後、実施し
てもよい。
【0126】ここでは、図17(a)に示したT字形状
の除去パターン215を拡張した除去パターン315に
沿って導電性薄膜を除去した例を示したが、それに限ら
ず、図19に示すように、図17(b)に示した矩形波
形状の除去パターン216を拡張した除去パターン31
6に沿って導電性薄膜を除去してもよい。さらには、各
素子と配線等の絶縁性が得られれば、これ以外のパター
ンであってもよい。
【0127】以上説明した実施例から明らかなように、
本発明に係わる電子源および画像形成装置は基本的には
表面伝導型電子放出素子を用いている。表面伝導型電子
放出素子は冷陰極型の電子放出素子に含まれ、この種の
冷陰極型の電子放出素子としては、MIM型、FE型、
表面伝導型等がある。しかし、MIM型の電子放出素子
は絶縁層や上部電極の厚さを比較的精密に制御する必要
があり、また、FE型の電子放出素子は針状の電子放出
部の先端形状を精密に制御する必要がある。そのため、
これらの素子は比較的製造コストが高くなったり、製造
プロセス上の制限から大面積のものを作製するのが困難
となる場合があった。これに対して、表面伝導型の電子
放出素子は構造が単純で構造が簡単であり、大面積のも
のを容易に作製できる。近年、特に大面積で安価な表示
装置が求められる状況においては、とりわけ好適な冷陰
極型の電子放出素子であるといえる。
【0128】また、本発明の製造方法により製造される
電子源は、例えば、電子顕微鏡のように、放出電子の被
照射部材が、画像形成部材以外の部材である場合につい
ても適用でき、被照射部材を特定しない電子線発生装置
としての形態も取り得る。
【0129】さらに、上述した実施例では、画像形成装
置として画像を表示する画像表示装置を例に挙げて説明
したが、本発明の思想によれば、例えば、感光性ドラム
と発光ダイオード等で構成された光プリンタの発光ダイ
オード等の代替の発光源としても用いることもできる。
この場合、画像形成部材としては、上述の実施例で用い
た蛍光体のような、直接発光する物質に限るものではな
く、電子の帯電による潜像画像が形成されるような部材
を用いることもできる。
【0130】
【発明の効果】本発明は、以上説明したとおり構成され
ているので、以下に記載する効果を奏する。
【0131】本発明の製造方法は、素子電極が形成され
た基板上に導電性膜を形成し、その導電性膜にレーザビ
ームを照射して導電性膜の一部を除去することで電子放
出部が形成される電子放出用膜を形成するので、従来の
ように工程数の多いフォトリソグラフィ技術やエッチン
グ技術によらずに電子放出用膜を形成でき、工程を大幅
に簡略化することができる。
【0132】また、レーザビームとして、波長領域が
0.2μm〜12μmで、かつ、前記導電性膜表面での
パワー密度が1×106 W/cm2 以上のものを用いる
ことで、金属や酸化物をはじめとする導電体からなる導
電性膜を微細に加工することができる。
【0133】さらに、導電性膜を、少なくとも対となる
素子電極で挟まれる領域を覆うように局所的に形成した
り、対となる素子電極に挟まれる領域において所定の幅
でつながれるように線状に除去することで、導電性膜の
除去に要する時間が短縮され、結果的に、電子放出素子
や電子源の製造に要する時間を短縮することができる。
【0134】本発明は、上述したように電子源の素子電
極を形成する工程が大幅に簡略化され、結果的に、画像
形成装置の製造工程も簡略化することができるようにな
る。
【0135】また、画像形成部材として、電子放出素子
から放出される電子が衝突することにより発光する蛍光
体を含む蛍光膜を用いることで、画像を表示する画像表
示装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に好適な基本的な表面伝導型の表面伝導
型電子放出素子の構成を示す図で、同図(a)はその平
面図、同図(b)はその断面図である。
【図2】図1に示した表面伝導型電子放出素子の製造工
程の一例を説明するための図である。
【図3】図1に示した表面伝導型電子放出素子の製造工
程を説明するための図であり、基板上に導電性薄膜を形
成するまでの工程を示す。
【図4】図1に示した表面伝導型電子放出素子の製造工
程を説明するための図であり、導電性薄膜にレーザビー
ムを照射し、電子放出用薄膜を形成する工程を示す。
【図5】表面伝導型電子放出素子に電子放出部を形成す
る際に行われる通電フォーミング時に与えられる電圧波
形の例を示す図である。
【図6】図1に示した構成を有する素子の電子放出特性
を測定するための測定評価装置の概略構成図である。
【図7】図6に示した測定評価装置により測定された放
出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vfの関係の
典型的な例を示すグラフである。
【図8】単純マトリックス配置の電子源の一例の構成図
である。
【図9】図8に示した電子源を用いた画像形成装置の一
例の基本構成図である。
【図10】図9に示した画像形成装置の蛍光膜の、蛍光
体の配置例を示す図である。
【図11】図9に示した画像形成装置により、NTSC
方式のテレビ信号に応じて表示を行う例の駆動回路のブ
ロック図である。
【図12】はしご型配置の電子源の一例の構成図であ
る。
【図13】はしご型配置の電子源を用いた画像形成装置
の一例の基本構成図である。
【図14】本発明の表面電子放出素子の製造方法の実施
に用いられるレーザ加工装置の一例の構成図である。
【図15】本発明の表面電子放出素子の製造方法の実施
に用いられるレーザ加工装置の他の例の構成図である。
【図16】本発明の表面伝導型電子放出素子の製造工程
の他の例を説明するための図であり、導電性薄膜を局部
的に形成した基板の平面図である。
【図17】図16に示した導電性薄膜のパターニングの
例を示す基板の平面図であり、同図(a)はT字形状の
除去パターンにより導電性薄膜を除去した例を示し、同
図(b)は矩形波形状の除去パターンにより導電性薄膜
を除去した例を示す。
【図18】図17(a)に示した除去パターンを応用し
て得られた電子源の要部平面図である。
【図19】図17(b)に示した除去パターンを応用し
て得られた電子源の要部平面図である。
【図20】従来の表面伝導型電子放出素子の典型的な素
子構成を示す図である。
【符号の説明】
25、75 レーザ発振器 26、76 レーザビーム 27、77 ミラー 28 アパーチャ 29、79 レンズ 30、80 被加工物 31 XYステージ 78 マスク 101、201 基板 102、103、202、203、302、303
素子電極 104、204a、204b 電子放出用薄膜 105 電子放出部 110、210 導電性薄膜 111 レーザビーム 150、152 電流計 151 電源 153 高圧電源 154 アノード電極 155 真空装置 156 排気ポンプ 171、271 電子源基板 172、372、372 X方向配線 173、373、373 Y方向配線 174、274 表面伝導型電子放出素子 175 結線 181 リアプレート 182 支持枠 183 ガラス基板 184 蛍光膜 184a 蛍光体 184b 黒色導電材 185 メタルバック 186、286 フェースプレート 188 外囲器 191 表示パネル 192 走査回路 193 制御回路 194 シフトレジスタ 195 ラインメモリ 196 同期信号分離回路 197 変調信号発生器 215、216、315、316 除去パターン 290 グリッド電極 290a 開口 291 グリッド容器外端子 292 容器外端子 376 層間絶縁層 Dx1〜Dx10 共通配線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 9/02 H01J 1/316 H01J 29/04 H01J 31/12 H05K 3/08

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の表面伝導型電子放出素子を備える
    電子源の製造方法であって、 複数のX方向配線と、該複数のX方向配線と電気的に絶
    縁されて略垂直方向に複数形成されたY方向配線と、一
    方が前記X方向配線と電気的に接続されており残る一方
    が前記Y方向配線と電気的に接続されている一対の素子
    電極を複数対と、を基板上に形成する工程と、 前記X方向配線、及び前記Y方向配線、及び前記素子電
    極が形成された基板上の全面に導電性膜を形成し、前記
    導電性膜にレーザビームを照射して前記導電性膜の一部
    を線状に除去することで、前記導電性膜が前記対の素子
    電極に挟まれる領域において該素子電極の対向方向に対
    して所定の幅をなして前記対の素子電極間を電気的に接
    続する部分を形成すると共に、該電気的に接続する部分
    以外での前記配線間の電気的な回り込みをなくした電子
    放出用膜を形成する工程と、 前記電子放出用膜に電圧を印加して対である前記素子電
    極の間に電子放出部を形成する工程とを有することを特
    徴とする電子源 の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電子源の製造方法にお
    いて、 前記導電性薄膜が微粒子膜であることを特徴とする電子
    源の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1もしくは2に記載の電子源の製
    造方法において、 前記レーザビームは、波長領域が0.2μm〜12μm
    で、かつ、前記導電性薄膜表面でのパワー密度が1×1
    6 W/cm2であることを特徴とする電子源の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項のいずれかに記載
    の電子源の製造方法により製造された電子源
  5. 【請求項5】 請求項に記載の電子源と、該電子源か
    ら放出された電子により発光する蛍光膜が形成された基
    板とを支持枠を介して対向配置して外囲器を構成し、該
    外囲器内を排気してなることを特徴とする画像形成装
    置。
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