JP3169354B2 - レーザ溶接加工モニタリング装置 - Google Patents

レーザ溶接加工モニタリング装置

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JP3169354B2 JP35097998A JP35097998A JP3169354B2 JP 3169354 B2 JP3169354 B2 JP 3169354B2 JP 35097998 A JP35097998 A JP 35097998A JP 35097998 A JP35097998 A JP 35097998A JP 3169354 B2 JP3169354 B2 JP 3169354B2
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尚志 井上
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ溶接加工に
おけるモニタリング装置に関し、特に厚板を対象とする
レーザ溶接加工に使用できるインプロセスモニタリング
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、レーザ溶接加工をモニタリングす
る方法として、加工ノズルとワークテーブルの間に発生
するプラズマの電位を計測する方法、プラズマの発光ス
ペクトルを計測する方法、音響信号を計測する方法、C
CDカメラにより画像を取得して計測する方法などがあ
った。
【0003】しかし、プラズマ電位計測法では、金属プ
ラズマとシールドガスプラズマの影響を受けて溶接状態
を直接に反映しないし、プラズマ発光スペクトル計測法
でも、たとえば波長298.4nmのFeIスペクトル
や波長738.4nmのArIスペクトルなどの発光ス
ペクトルでは溶接状況を推定することができるような相
関性が認められなかった。また、アコースティックエミ
ッション(AE)に基づく音響信号は、5mm以上の深
溶け込みでは欠陥発生と直接的な相関を示さなくなり、
厚板溶接に適用するには問題がある。さらに、カメラに
よりキーホール開口部の画像を取得して挙動を認識する
方法は、開口部の挙動を検出するような高速応答性を有
する撮像装置がないため利用できない。
【0004】したがって、厚板に対するレーザ溶接状況
をインプロセスでモニタリングして、レーザ光の焦点外
し、レーザ出力、加工速度、シールドガス圧力など加工
パラメータの調整をする目的に従来の方法を使用するこ
とができなかった。そこで、レーザ溶接加工において良
好な溶接を実現するため、特に厚板溶接にも利用できる
ようなインプロセスモニタリング装置が要望されてい
た。
【0005】高出力レーザを用いて金属の厚板を溶接し
ようとすると、溶接位置に深いキーホールが形成され、
その後ろに形成される溶融部分の壁表面が波打って進行
し、時にキーホールを塞いだり狭めたりしてキーホール
内で発生するガスの逃げ口が無くなる場合が生じる。こ
のとき封鎖されたキーホール内部のガス圧が高じて蓋と
なった溶融体を飛散させるため、溶融金属が不足して溶
接部に欠陥が生じたり溶接部周辺が汚れたりして良好な
溶接状態が得られない。
【0006】また、溶け込み深さの大きい溶接では深部
に生じたガス溜が溶接の進行に伴って溶融部分に潜り込
み表面まで浮上しないうちに溶融部分が固化しそのまま
残留固定されるため溶接部分に空洞状欠陥である巣(ポ
ロシティー)が発生する場合があった。このように、ポ
ロシティーなどの溶接欠陥の発生とキーホールの不安定
な挙動には強い相関関係があることが知られていた。特
にレーザ溶接において発生するキーホールに後続する溶
融体表面に生じる波の周波数はほぼkHz水準であり、
キーホールの挙動がこの周波数に対応することが分かっ
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が解決
しようとする課題は、レーザ溶接加工システム、特に厚
板を対象とするレーザ溶接加工において、溶接状態をイ
ンプロセスでモニタリングする手段を提供することによ
り、良質な溶接を可能とすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係るレーザ溶接加工モニタリング装置は、
溶接用レーザ光と波長の異なるモニタリング光を発生す
る光源装置と、モニタリング光をレーザ溶接用レーザが
照射する部分を照射するように導く光学系と、照射部分
から反射してくるモニタリング光を透過するバンドパス
フィルタと、バンドパスフィルタを介して光を検出する
受光素子とを備えることを特徴とする。
【0009】レーザ溶接では、溶接用レーザが被加工物
に照射すると深いキーホールが発生するが、キーホール
の開口部が狭くなり過ぎると溶融金属中にガスを巻き込
んで溶接部に巣を生じたり開口部を吹き飛ばして溶接部
の周辺に溶融金属が飛散して固化したりする溶接欠陥が
生じる。溶接がうまく行われている場合は、キーホール
の開口部の形状が比較的安定している。したがって、レ
ーザ溶接の良否はキーホール開口部の挙動を監視するこ
とによりある程度判定することができる。通常、レーザ
溶接時にキーホール内壁の溶融体表面に生じる波の周波
数はほぼkHz水準であり、この溶融体表面の波がキー
ホールの開口部形状を変化させる大きな原因となってい
ることが知られている。また、キーホールはテーパ状の
深い穴であり、疑似黒体と見なすことができ、開口部か
ら入射した光は外部に反射してこない。
【0010】本発明に係るレーザ溶接加工モニタリング
装置では、モニタリング光をレーザ加工部分に照射す
る。モニタリング光のうち開口部内に照射した光は反射
せず開口部の外側に照射した光が反射する。なお、溶接
加工部は高熱になっていて温度に応じて赤外線を主体と
する熱輻射を行っている。また強い溶接用レーザを受け
ており加工部から反射してモニタリング装置に入射す
る。モニタリング装置は、モニタリングに用いる光を透
過するバンドパスフィルタを介して光検出を行ってい
る。モニタリング光は溶接用レーザ光と波長が異なるの
で、バンドパスフィルタで溶接用レーザ光を減衰させて
モニタリング光のみを検出することができる。
【0011】また、被加工材から放射される輻射線はモ
ニタリング光と同じ波長の部分が雑音信号として混入す
るが、モニタリング光の照射光量を大きくすることによ
り識別することができる。したがって、受光素子により
検出される光はキーホールの開口部の大きさにより影響
され、開口部が小さくなると受光量が大きくなり、開口
部が大きくなると受光量が小さくなる。そこで、受光素
子の出力を観察することにより、キーホール開口部の挙
動の安定性を推定することができ、ひいては溶接状態を
監視することができる。
【0012】なお、モニタリング光を導く光学系は、溶
接用レーザの光軸と交差するように配設した溶接用レー
ザを透過しモニタリング光を反射するコーティングミラ
ーを含むものであって、モニタリング光の光軸を溶接用
レーザの光軸に重ねて照射部分に導くように構成するこ
とができる。このような構成では、モニタリング光の光
軸を溶接用レーザ光軸と別途に溶接条件毎に調整する必
要が無く、構造が簡単になる効果がある。
【0013】なお、モニタリング光として少なくとも2
個の異なる波長を有する光を用いることができる。異な
る波長の光をそれぞれ開口部に照射し、開口部の面積変
動を表す信号を取得し互いに照会しながら判定すれば、
より確実に開口部形状の不安定状態を検出することがで
き、判定漏れを防ぐことができる。アルゴン(Ar)レ
ーザの2波長同時発振光をモニタリング光として用いる
ことができる。Arレーザは、488.0nmと51
4.5nmの2つの波長のレーザを同時に発振するの
で、これを例えばYAGレーザ(波長1064nm)な
ど赤外線領域の溶接用レーザに対して使用すると、簡単
に溶接用レーザと異なる2波長のモニタリング光を得る
ことができる。
【0014】また、光学系により光を集束して、通常形
成されるキーホール開口部の径より小さい径のモニタリ
ング光にして、溶接部を照射することが好ましい。小径
のモニタリング光を用いると、存在するキーホールが常
態のときには照射光が完全にキーホール内に吸収され、
不安定なときには開口部の縁で反射する光を検出するの
で、大きな断面積を有する光を照射したときと比較する
と、キーホールの安定状態と不安定状態では明確な信号
変化をするので、キーホール不安定状態をより容易に検
出することができる。
【0015】さらに、受光素子は1msec以下の応答速度
を有するものであることが好ましい。キーホール内壁の
溶融体表面に生じる波の周波数はkHz水準であって、
開口部形状の変動速度も極めて速いが、1msecより速い
応答速度を有する受光素子を使用すれば、かなり忠実に
開口部変動を検出することができる。
【0016】上記課題を解決するため、本発明に係るレ
ーザ溶接加工モニタリング方法は、溶接用レーザ光と波
長の異なるモニタリング光をレーザ溶接による開口部に
照射する工程と、反射する光を前記モニタリング光を透
過するバンドパスフィルタを介して検出する工程と、反
射光の安定性を監視することにより前記開口部の状況を
把握してレーザ溶接加工の状態を確認する工程を備える
ことを特徴とする。レーザ溶接で生成するキーホールを
溶接用レーザと異なる波長の光で照射して、反射するモ
ニタリング光を抽出し検出して、キーホール開口部の変
化を監視することにより、溶接欠陥と深い相関関係を有
するキーホール形状が安定か否かを知り溶接加工の良否
を正しく推定することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、実施例に基づいて本発明に
係るレーザ溶接加工モニタリング装置および方法を詳細
に説明する。図1と図2は、本発明のレーザ溶接加工モ
ニタリング装置および方法が対象とするレーザ溶接の状
況を説明する図面、図3は本発明のモニタリング方法の
原理を説明する図面、図4は本発明のレーザ溶接加工モ
ニタリング装置の第1実施例を示すブロック図、図5と
図6は第1実施例における検出信号例を示すグラフ、図
7は第2実施例の原理を示す図面、図8は信号を表すグ
ラフである。
【0018】図1は、レーザ溶接をするときに発生する
キーホールの概念を説明する断面図である。溶接用レー
ザ1は加工レンズ2で集光されて金属材料3に照射され
る。金属材料3は溶接用レーザ1の熱により溶融して冷
却すると融着して接合し溶接部を形成する。レーザ溶接
時には溶融部の金属材料3が蒸発してレーザの照射位置
に深いキーホール5を形成する。キーホール5は、直径
が0.5mm程度の開口部4を有するテーパを持った細
長い穴である。キーホール3は溶接用レーザが前進する
につれて周囲の溶融金属が埋めて固化して溶接される。
【0019】しかし、図2に示すように、キーホール3
の形状は必ずしも安定していない。図2(a)から
(e)は、キーホール形状が不安定なときの溶接部のX
線透視図で、ある時点から図の左側に記載した時間が経
過した時点で溶接部に観察される空洞部分を模式的に透
視して示すものである。溶接用レーザの出力は10k
W、溶接速度は25mm/sとし、ヘリウムを補助ガス
として溶接したもので、図の右側に向かって溶接を進め
ているが、図ではキーホールの位置を基準に溶接部断面
を表している。図を観察すると、特にキーホールの後壁
部分が極めて高速で不安定な動きをすることが分かる。
【0020】キーホール内に供給される補助ガスや溶接
により発生するガスはキーホールの開口部から排出され
る。しかし、開口部が小さくなったときやキーホール内
壁が波打って狭窄したときなどは、ガスは溶融部分に巻
き込まれて徐々に浮上しやがて表面から抜けて行くが、
キーホールの形状が大きく変動している場合には大量の
ガスを巻き込むため金属表面まで到達しない部分が溶接
部の中に取り残されて巣(ポロシティー)などの溶接欠
陥になる場合もある。また、開口部がすぼまるとキーホ
ール内部のガス圧が上がって、蓋になった溶融部分を吹
き飛ばし溶接部の近傍に飛散させて溶接部分の仕上げ状
態を悪化する場合がある。
【0021】このように、キーホールの不安定な挙動と
ポロシティー(巣)などの溶接欠陥の発生とは強い相関
関係がある。したがって、キーホールの不安定な挙動を
溶接欠陥発生の代替変数としてモニタリングすることに
より、溶接状態をインプロセスで推定することができ
る。キーホールの形状変化は、ほぼkHz水準の高速度
で起こる。
【0022】図3は、本発明のレーザ溶接加工モニタリ
ング方法の原理を説明する断面図である。図には表して
いない溶接用レーザと異なる波長を有するモニタリング
光6を溶接部分に照射し、表面から反射する光をフィル
タ7を介して受光素子8で検出する。フィルタ7はモニ
タリング光の波長領域のみを透過させるバンドパスフィ
ルタである。たとえば、モニタリング光6として単波長
等の輝線スペクトルを持つ光源を使用し、フィルタ7に
その輝線スペクトルを透過するように干渉膜を施した光
学フィルタを使用すれば、背景ノイズとなる熱輻射成分
や加工用高出力レーザの成分を除去することができる。
【0023】溶接用レーザにより金属材料3の溶接部に
生成されるキーホール5は、通常、深いテーパ状空洞で
あるため疑似黒体と見なすことができ、開口部からキー
ホール5内に入射するモニタリング光6は吸収されて表
に出てこない。したがって、モニタリング光を通常の開
口部径0.5mmより小さく集束して照射すると、キー
ホール5が常態にあるときにはモニタリング光は殆ど全
てが開口部からキーホール5に入射して吸収され、受光
素子8で検出することができない。
【0024】一方、キーホール5が不安定な状態にある
ときは、参照番号9で示すように開口部や内壁に溶融金
属が張り出してきて、この張出部分9にモニタリング光
6が反射し、この反射光10がバンドパスフィルタ7を
透過して受光素子8に到達するので、受光素子8は検出
信号を発生する。なお、溶接部では熱による輻射線の他
にも周囲光や溶接用レーザの反射光など各種の光成分を
含んでいるが、バンドパスフィルタ7でモニタリング光
6以外の光成分が除去されて、キーホール5の開口部形
状に基づく測定信号を的確に検出することができる。ま
た、キーホール5の挙動は数kHz程度の高速度な現象で
あるので、受光素子8の応答速度は1msec以上であるこ
とが好ましい。
【0025】
【実施例1】図4は、本発明の本発明のレーザ溶接加工
モニタリング装置の第1の実施例を表すブロック図であ
る。本実施例は、YAGレーザなどの溶接用高出力レー
ザを光ファイバにより導いてワークを溶接するレーザ加
工装置に介装して、インプロセスで溶接状態をモニタリ
ングするレーザ溶接加工モニタリング装置である。図4
を参照すると、本実施例のレーザ溶接加工モニタリング
装置は、溶接レーザ用光ファイバ11、溶接レーザ集光
光学系、モニタリング用光ファイバ21、反射光計測用
受光素子31、モニター用光学系を備える。
【0026】溶接の熱源となるYAGレーザは、レーザ
光源から例えばコア径1mm、開口数0.2の光ファイ
バ11で搬送され、光ファイバ11の先端から放射され
る。溶接レーザ集光光学系は、2枚の凸レンズからなる
第1のレンズ群17と同じく2枚の凸レンズからなる第
2のレンズ群19で構成され、光ファイバ11から射出
されるYAGレーザを第1レンズ群17で一旦平行光に
変えさらに第2レンズ群19で集束して、ワーク13に
キーホール15を形成しながらレーザ溶接加工を施す。
【0027】一方、モニタリング光はアルゴンレーザな
ど溶接用レーザと異なる波長を有する光を用いて、光源
からモニタリング用光ファイバ21で搬送する。光ファ
イバ21の先端から放射されるモニタリング光は、第1
の凸レンズ23で平行光になり、さらにハーフミラー2
5を通過した部分がコーティングミラー27で反射し、
溶接レーザ集光光学系の第2レンズ群19により、溶接
用レーザとほぼ同じところに収束する。コーティングミ
ラー27は、溶接用レーザを透過しモニタリング光を反
射する所定の薄膜をコーティングした板で、溶接用レー
ザが平行光になる第1レンズ群17と第2レンズ群19
の間に平行光束に対してほぼ45度の角度を持つように
配置されている。また、ハーフミラー25は第1凸レン
ズ23とコーティングミラー27の間に光束に対してほ
ぼ45度の角度をもって介装されている。
【0028】ワーク13の表面に照射したモニタリング
光は、通常はキーホール15の開口内部に射入し吸収さ
れるが、開口部がワーク13の溶融物で塞がれたりキー
ホール15の内壁が膨らんで疑似黒体でなくなると、そ
れら部分で反射して第2レンズ群19で集光されコーテ
ィングミラー27で反射し、さらにハーフミラー25に
より垂直方向に反射し第2の凸レンズ29で集光してフ
ィルタ33を透過し受光素子31に入射する。フィルタ
33はモニタリング光の中心波長部分を透過するバンド
パスフィルタで、受光素子31の前面に設けられてい
る。受光素子31はフォトセルなど応答性の速い感光素
子で、フィルタ33を透過する光に対応する検出信号を
図外の光度分析装置に送信する。
【0029】溶接レーザ集光光学系の第1レンズ群17
と第2レンズ群19はレンズ群それぞれの内部および群
相互間の光学的配置を調整することが可能で、溶接条件
に合わせて最適な位置を選択することができる。また、
モニタリング光についても、第1凸レンズ23と第2凸
レンズ29がそれぞれ光軸方向位置の調整が可能で、キ
ーホール15に投射するモニタリング光の状態を制御す
ることができる。
【0030】たとえば、スポット径をキーホールとして
確保したい開口径に対応する0.5mmに調整すると、
受光素子31の出力信号が直接的にキーホールの挙動安
定状態と対応し、インプロセスで溶接状態のモニタリン
グができる。このように、溶接レーザ集光光学系にモニ
タリング光学系を組み込むことで、溶接用レーザとモニ
タリング光とが光軸を共有しほぼ自動的に同じ位置で集
束するようになるので、それぞれの光学系を互いに適合
するように調整する手間を削減することができ、また溶
接条件の変更に伴うモニタリング光学系の再調整も必要
が無くなる。
【0031】図5は、溶接状態が良好でキーホール挙動
が安定している状態における受光素子31の出力信号変
化を表す。モニタリング光は疑似黒体化したキーホール
15中に吸収され、出力信号強度は低い水準で安定して
推移する。一方、図6は、キーホール挙動が不安定で開
口部の面積が変化しモニタリング光の反射が度々観察さ
れる状態を表す。出力信号の強度はキーホール開口部の
面積減少の度合いに対応して増大する。図のように信号
強度の変化が激しいときは、溶接状態が荒れて溶接欠陥
が発生していると推測される。
【0032】
【実施例2】第2の実施例は、第1の実施例と比較し
て、2個以上の異なる波長の光をモニタリング光とし、
それぞれの検出信号相互間で信号処理してより確実にキ
ーホール挙動を検出するようにしたところが異なるもの
で、その他の部分には差異がない。図7は本実施例の原
理を説明する図面である。第1のモニタリング光41と
第2のモニタリング光42を同時にワーク43の溶接箇
所に照射する。
【0033】溶接部に正常なキーホール45が形成され
ている間は照射されたモニタリング光はキーホール45
中に吸収され外部に出てこない。キーホール45が不安
定になると溶融物がキーホール45の開口部を狭めたり
蓋44を形成するので、モニタリング光41,42が反
射して受光素子46,48に入射する。第1の受光素子
46には第1のバンドパスフィルタ47が付属し、第2
の受光素子48には第2のバンドパスフィルタ49が付
属している。第1バンドパスフィルタ47は第1モニタ
リング光41のみを透過するフィルタで、第2バンドパ
スフィルタ49は第2モニタリング光42のみを透過す
るフィルタである。
【0034】図8は、2種のモニタリング光がキーホー
ル開口部で反射しているときのフィルタ通過後の受光信
号を合成して表したもので、横軸を光波長、縦軸に受信
信号強度を示す。図中破線で表した曲線は溶接部から放
射される熱輻射線で、実線が受信信号である。特に、2
つのモニタリング光の照射範囲が同じ場合は、キーホー
ル開口部における反射条件も同じであるため、2つの受
信信号も同じ挙動を示す。フィルタ通過後の受信信号に
は背景輻射の成分が含まれるが、輻射成分は時間的な変
動が小さいので、各モニタリング光同士の相関を取って
時系列で分析することにより、ノイズを除去してキーホ
ール部分の挙動を抽出することができる。
【0035】本実施例では、図4に示した構成におい
て、加工用レーザとして光ファイバで搬送したYAGレ
ーザを用い、2個のモニタリング光としてアルゴン(A
r)レーザの同時発振を用いる。アルゴンレーザは48
8.0nmと514.5nmの2波長発振するのに対し
て、YAGレーザの波長は1064nmであるから、容
易にモニタリング光をフィルタで分離抽出することがで
き、さらに背景ノイズからも分離することができる。
【0036】なお、本発明において、溶接用レーザ光に
は炭酸ガスレーザなど各種の高出力レーザ光を使うこと
ができ、モニタリング光には発光ダイオード出力光など
各種の光源から得られる光を使うことができることはい
うまでもない。
【0037】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明のレーザ溶接
加工モニタリング装置とモニタリング方法により、レー
ザ溶接加工システムにおいて、溶接状態をキーホールの
開口部挙動を指標としてインプロセスでモニタリングす
ることが可能になったので、モニタリング結果に基づき
溶接作業中に溶接パラメータを操作して良質なレーザ溶
接加工をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ溶接加工モニタリング装置およ
び方法が対象とするレーザ溶接に伴うキーホールを説明
する断面図である。
【図2】図1のキーホールの形状変化を説明する透視図
である。
【図3】本発明のモニタリング方法の原理を説明する図
面である。
【図4】本発明のレーザ溶接加工モニタリング装置の第
1実施例を示すブロック図である。
【図5】キーホール形状が安定している時の第1実施例
の検出信号例を示すグラフである。
【図6】キーホール形状が不安定な時の第1実施例の検
出信号例を示すグラフである。
【図7】本発明のレーザ溶接加工モニタリング装置の第
2実施例の原理を示す図面である。
【図8】第2実施例における測定信号例を示すスペクト
ログラフである。
【符号の説明】
1 溶接用レーザ 2 加工レンズ 3 金属材料 4 開口部 5 キーホール 6 モニタリング光 7 フィルタ 8 受光素子 9 張出部分 10 反射光 11 溶接レーザ用光ファイバ 13 ワーク 15 キーホール 17,19 レンズ群 21 モニタリング用光ファイバ 23 凸レンズ 25 ハーフミラー 27 コーティングミラー 29 凸レンズ 31 反射光計測用受光素子 33 フィルタ 41,42 モニタリング光 43 ワーク 44 溶融物の蓋 45 キーホール 46,48 受光素子 47,49 バンドパスフィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 尚志 新潟県長岡市深沢町上ノ山2085番地16 株式会社レーザ応用工学研究所内 (72)発明者 上向 賢一 新潟県長岡市深沢町上ノ山2085番地16 株式会社レーザ応用工学研究所内 (56)参考文献 特開 平10−15680(JP,A) 特開 平7−108390(JP,A) 特開 平8−57669(JP,A) 特開 平6−99292(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 26/00 - 26/03

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接用レーザ光と波長の異なる溶接状態
    モニタリング用の光を発生する光源装置と、該モニタリ
    ング光を集束してレーザ溶接用レーザが照射する部分に
    生成するキーホール開口部の径より小さい径にして該照
    射部分のキーホール開口部を前記溶接用レーザとほぼ同
    じ方向から照射するように導く光学系と、前記照射部分
    から反射してくるモニタリング光を透過するバンドパス
    フィルタと、該バンドパスフィルタを介して光を検出す
    る受光素子とを備えて、キーホール開口部の状況を監視
    することにより溶接状態をモニタするレーザ溶接加工モ
    ニタリング装置。
  2. 【請求項2】 前記モニタリング光を導く光学系が前記
    溶接用レーザの光軸と交差するように配設した溶接用レ
    ーザを透過しモニタリング光を反射するコーティングミ
    ラーを含み、前記モニタリング光の光軸を前記溶接用レ
    ーザの光軸に重ねて前記照射部分に導くことを特徴とす
    る請求項1記載のレーザ溶接加工モニタリング装置。
  3. 【請求項3】 前記モニタリング光が異なる波長を有す
    る少なくとも2つの光であることを特徴とする請求項1
    または2記載のレーザ溶接加工モニタリング装置。
  4. 【請求項4】 前記モニタリング光が2波長同時発振す
    るアルゴンレーザ光であることを特徴とする請求項1か
    ら3のいずれかに記載のレーザ溶接加工モニタリング装
    置。
  5. 【請求項5】 前記受光素子が1msec以下の応答速度を
    有するものであることを特徴とする請求項1から4のい
    ずれかに記載のレーザ溶接加工モニタリング装置。
  6. 【請求項6】 溶接用レーザ光と波長の異なるモニタリ
    ング光をレーザ溶接による開口部より小さい径にして溶
    接部分のキーホール開口部を前記溶接用レーザとほぼ同
    じ方向から照射し、反射する光を前記モニタリング光を
    透過するバンドパスフィルタを介して検出し、反射光の
    安定性を監視することにより前記開口部の状況を把握し
    てレーザ溶接加工の状態を確認することを特徴とするレ
    ーザ溶接加工モニタリング方法。
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