JP3166392B2

JP3166392B2 - インクジェット記録用紙

Info

Publication number: JP3166392B2
Application number: JP07744193A
Authority: JP
Inventors: 義晴川島; 勝加藤
Original assignee: Oji Holdings Corp; Oji Paper Co Ltd
Current assignee: New Oji Paper Co Ltd; Oji Holdings Corp
Priority date: 1993-03-12
Filing date: 1993-03-12
Publication date: 2001-05-14
Anticipated expiration: 2016-05-14
Also published as: JPH06262845A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、被記録材に関する。更
に詳しく述べれば、本発明は、優れた色彩の画像特性を
持つインク受容性被覆層を基紙の表面に設けた、ドット
の均一性、インク吸収性の優れた水性インクジェット記
録用シートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】水性インクを用いるインクジェット方式
のプリンターの性能、特にプリント速度、解像度、彩度
などの向上によって、被記録材に対しても高速吸収性、
高吸収容量、規則的なインクにじみ等、より高度な特性
が要求されるようになり、インク受容性被覆層を表面に
設けたいわゆる塗工紙が開発されている。

【０００３】例えば、特開昭６２−１５８０８４号公報
には、微粒子合成シリカを用い、高い水性インク吸収
性、色再現性及び色濃度を持つインクジェット記録媒体
の製造方法が開示されている。即ち、前記した要求特性
に応じるために、微粒子合成シリカのような吸液性の優
れた白色顔料を主成分とする被覆層を１０ｇ／ｍ² 以上
セルロースパルプを主成分とする基紙の表面に設けるこ
とが通常実施されている。

【０００４】一方、コスト面の要請から、インク受容性
被覆層を１〜１０ｇ／ｍ²の範囲に薄く表面に設け、し
かも十分な性能を持たせようとした、いわゆる片面微塗
工紙も開発されている。しかしながらこのような微塗工
紙は、被覆層が薄いためパルプ繊維の一部が表面に露出
したり、基紙の地合いや凹凸によりインクの吸収性
（量、速度）に影響を受けやすくなり、その結果インク
の吸収ムラを引き起こし、これがドットの不均一性とな
るなどの問題が残されている。

【０００５】また、従来より、インク吸収性を上げた
り、ドットの広がりを押さえるために、インク受容性被
覆層改善だけでなく、パルプの改善もなされている。例
えば、特開昭６２−１６２５８４号公報にはぼろパルプ
を１０重量％以上含有したインクジェット記録材料が開
示されている。さらに特開昭６２−２２７６８５号公報
には再生パルプを１０重量％以上含有したインクジェッ
ト記録材料が、また、特開昭６２ー１７８３８３号公報
には乾燥粉砕パルプを５〜５０重量％含有したインクジ
ェット記録材料が、また特開平４−１２８８０号公報に
はカナディアンスタンダードフリーネスが２０ｍｌ以上
下がるように叩解乾燥させたパルプを未乾燥パルプと共
に再叩解したパルプを含有したインクジェット記録材料
がそれぞれ開示されている。

【０００６】しかしながら、これらの改善されたパルプ
を含有する記録材料はインク吸収性が非常に良くなる反
面、吸水性も向上し、基紙の少なくとも一方の面にイン
ク受容性被覆層を設けるタイプのインクジェット記録用
紙では、インク受容性被覆層を構成する塗料の塗工の際
に、基紙に塗料の水成分を取られ、形成されたインク受
容性被覆層の強度が低下したり、均一なインク受容性被
覆層ができにくく、インク吸収むら、さらにはドットの
不均一を生じるといった問題がある。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑みインクの均一な吸収に関して鋭意研究した結
果、水分を５％以下に拘束乾燥させたセルロースパルプ
を５５〜８０重量％含有した、ステキヒトサイズ度が２
０〜５０秒の基紙の片面に吸収性の大きい白色顔料と水
性高分子物質とを主成分とするインク受容性被覆層を設
けることによってドットの均一性と共にインク吸収の均
一性が著しく改善できること、かくして製造した記録用
紙をインクジェット方式でプリントすると高品位で均質
な画像が得られることを見いだし、本発明を完成させる
に至った。

【０００８】本発明を更に詳細に説明すると、従来のイ
ンクジェット記録用紙の基紙の多くはパルプを水中で適
度に叩解し、これに填料その他各種添加剤を配合して抄
紙して得られるが、本発明者の研究によれば、水分を５
％以下に拘束乾燥させたパルプを５５〜８０重量％含有
させることにより、基紙にインク受容性被覆層を形成す
る塗料を塗工する際、即ち水に濡らしたときの保水性お
よび伸縮性を減少させ、均一な塗工層が得られることを
見いだしたものである。

【０００９】また、水分５％以下の拘束乾燥パルプを用
いることにより、叩解時の水による水和および膨潤がさ
れにくく、叩解の際、より乾燥状態に近い状態でパルプ
が細分化され、パルプの表面積が増大し、インクの吸着
面積が増大すること、また、本発明の乾燥パルプは水分
が少ないため、それ自体剛直で、水中で叩解した叩解パ
ルプ繊維間の密着を妨げ、紙内部の空隙を増大させ、充
分なインク吸収能力が得られることを見いだしたもので
ある。

【００１０】従って、本発明の目的は、水性インクによ
るインクジェット方式のプリンターを用いて高品位の画
像を高速でプリントすることができ、しかもインク受容
性被覆層を薄く塗工した場合でもインクの吸収性が均一
となるようなインクジェット記録用紙を提供することに
ある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明はセルロースパル
プを主成分とする基紙と、この基紙の一面上に形成さ
れ、かつ白色顔料と水性高分子物質を主成分としたイン
ク受容性被覆層とを有し、前記基紙がシート状で、かつ
水分５％以下に拘束乾燥させたセルロースパルプを５５
〜８０重量％含有し、かつステキヒトサイズ度が２０〜
５０秒であることを特徴とする水性インクジェット記録
用紙に係るものである。

【００１２】本発明に用いられるシート支持体に含有さ
れるパルプ材は赤松、黒松、エゾマツ、トドマツ、杉等
の針葉樹、ブナ、カバ、シイノキ等の広葉樹等を主原料
とした砕木パルプ、亜硫酸パルプ、クラフトパルプ、セ
ミケミカルパルプ、ケミグランドパルプ、リファイナー
グランドパルプや古紙パルプから適宜選択して用いられ
る。

【００１３】本発明で用いられるシート支持体としての
基紙は、上記の木材パルプを主原料として、添加剤とし
てアルキルケテンダイマー、アルケニルコハク酸等の内
添サイズ剤、硫酸バンド、カチオン澱粉等の定着剤、ク
レー、タルク、軽質炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸
化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン等の
填料、ポリアクリルアミド系ポリマー、澱粉等の紙力増
強剤等を適宜選択して内添し、ロジン系、石油樹脂系、
酸化澱粉、アセチル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉等
の澱粉およびその誘導体、ポリビニルアルコールおよび
その誘導体、スチレン、アルキド、ポリアミド、アクリ
ル、オレフィン、マレイン酸、酢酸ビニル等の２つ以上
の共重合体からなる合成樹脂系およびこれらの合成樹脂
エマルジョン系、ワックス系等の表面サイズ剤でサイズ
処理した、公知の抄紙機で抄造されたステキヒトサイズ
度が２０〜５０秒の基紙が好適に用いられる。

【００１４】基紙のサイズ度が２０秒未満ではインク受
容性被覆層を構成する塗料の塗工の際に、基紙に塗料の
水成分を取られ、形成されたインク受容性被覆層の強度
が低下したり、均一なインク受容性被覆層ができにく
く、インク吸収むら、さらにはドットの不均一を生じる
といった問題がある。一方、サイズ度が５０秒を越える
と、インク吸収性が不足し、その結果、吸収性を一定の
水準に維持するため基紙表面のインク受容性被覆層を１
０ｇ／ｍ² を越えて大幅に厚くすることが必要になる。

【００１５】本発明で用いられる乾燥パルプは上記パル
プ材を一度温水中で２４時間浸漬した後、ニーダー、ビ
ーター、パルパー等の公知の離解機で適当時間処理した
後、パルプマシンで薄層に抄紙し、シート状で水分５％
まで拘束乾燥してから用いる。水分が５％を越えると、
パルプの保水性が高くなり、また、伸縮性も高く、イン
ク受容性被覆層を形成するための塗料を塗工する際、塗
料の水成分が基紙に取られて均一なインク受容性被覆層
が形成できなくなるばかりか、パルプの剛直さが弱くな
り、シートにした際の内部の空隙容量が減少し、充分な
インク吸収能力が得られず、さらに叩解時に水による水
和および膨潤が起こりやすくなり、パルプが微細にせん
断されにくくなる。その結果、インク吸収能力が減少
し、インク受容性被覆層の塗工量を１０ｇ／ｍ² を越え
て設けなければならず、塗工層強度の低下、コストアッ
プという問題が生じる。

【００１６】一方フラッシュドライヤーを用いるような
自由乾燥パルプでは、水分を５％以下にしてもパルプの
保水性および伸縮性が高くなり、インク受容性被覆層を
形成するための塗料を塗工する際、塗料の水成分が基紙
に取られて均一なインク受容性被覆層が形成できなくな
る。

【００１７】本発明に用いられる乾燥パルプの使用比率
は、全基紙固形分５５〜８０重量％が好ましい。５５重
量％未満では、基紙の塗工時の伸縮性が大きく、均一な
塗工層を形成しにくい。一方、８０重量％以上では紙力
等が低下し、塗工時の紙切れ等の問題を引き起こすので
望ましくない。

【００１８】本発明に用いられる基紙の坪量は、プリン
トの最終用途によって決定されるが、２０〜２００ｇ／
ｍ² 、望ましくは６０〜１２０ｇ／ｍ² のものが好まし
く用いられる。本発明のための基紙の坪量は、パルプ組
成、叩解条件、填料、サイズ剤、紙力増強剤等の各種助
剤類の種類と添加量を選択し、又、乾燥条件、加圧条件
等、使用する抄紙機に合わせた操業条件を適宜選択する
ことによって調整することが出来る。

【００１９】本発明に用いられるインク受容性被覆層に
用いられる顔料は多孔性でインクの吸収性が高く、且つ
鮮明な発色を可能とする白色顔料を主成分とすることが
好ましい。このような顔料としては、微粒子合成シリ
カ、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、珪酸
カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、
ホワイトカーボン、有機顔料（プラスチックピグメン
ト）等が挙げられる。このような顔料の使用比率は、全
被覆層固形分の５０〜９０重量％が望ましい。５０％未
満ではインク吸収の均一性が不十分となり、９０％を越
えるとインク受容性被覆層の強度の低下が懸念されるの
で不適である。

【００２０】本発明の基紙の表面のインク受容性被覆層
に用いられる水性高分子物質としては、ポリビニルアル
コールおよびその誘導体、カゼイン等の蛋白質、澱粉及
び澱粉誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチル
メタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系
重合体ラテックス、アクリル酸エステルおよびメタクリ
ル酸エステルの重合体または共重合体等のアクリル系重
合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビ
ニル系重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体
のカルボキシル基、カチオン性基等の官能基含有変性重
合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化樹
脂等の合成樹脂系の水性樹脂、無水マレイン酸共重合体
樹脂系、ポリアクリルアミド系、ポリメチルメタクリ
レート系、ポリウレタン樹脂系、不飽和ポリエステル樹
脂系、ポリビニルブチラール系、アルキッド樹脂系等の
合成樹脂系接着剤などの高分子が好ましく用いられる。

【００２１】インク受容性被覆層における水性高分子樹
脂の使用比率は、全被覆層固形分の１０〜５０重量％、
好ましくは１０〜３５重量％である。１０％未満では接
着力が不十分となり、被覆層の強度の低下が懸念され
る。一方、５０％を越えると接着性は大きくなるもの
の、顔料の使用比率が低下し、前記したようにインクの
吸収の均一性に問題が生じるので不適である。

【００２２】本発明のインク受容性被覆層を形成するた
めの塗工にはブレードコーター、バーコーター、エアナ
イフコーター等の公知の塗工設備が応用される。基紙上
にインク受容性被覆層を設けたシートは、そのまま本発
明の記録用紙として使用することが可能であるが、例え
ばスーパーカレンダー、グロスカレンダー等で処理し、
表面の平滑性を与えることも可能である。

【００２３】本発明で得られるインク吸収性被覆層の塗
工量は、最終用途によって決定され、インク吸収性、記
録特性、保存性等を満足させるかぎり不必要に多くする
必要はなく、１〜１０ｇ／ｍ² の範囲から適宜選択され
る。インク受容性被覆層が１ｇ／ｍ² 未満では多くの場
合インク吸収容量が不足し、画像が流れ出したり、色に
じみ込みが生じて画像がぼけてしまったり、乾燥が遅く
てロールにインクが付着し、汚れてしまう等の問題が生
じる。一方、１０ｇ／ｍ² を越えるインク受容性被覆層
を設けると、塗工層が厚いため紙との接着性が弱くな
り、ヘッドノズルの目づまりのような問題を生じること
が多く、さらにコスト的にも高価なものとなる。

【００２４】

【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、勿論本発明はこれによって限定されるもの
ではない。尚、以下において部および％とあるのは、す
べて「固形分重量部」および「固形分重量％」を示す。

【００２５】実施例１広葉樹晒クラフトパルプ（水分３７％）を３５℃の温水
中で２４時間浸漬させた後、パルパーで適当時間処理し
た後、パルプマシンで薄層に抄紙し、乾燥パルプＡ（水
分４％）を作成した。軽質炭酸カルシウム２５部を、乾
燥パルプＡ９５部、広葉樹晒クラフトパルプ５部のスラ
リー中に添加し、カチオン澱粉０．８部、アルキルケテ
ンダイマー系中性サイズ剤０．０５部を添加し、十分に
混合して抄紙原料とし、長網多筒式抄紙機を用いて湿紙
を形成し、ヤンキードライヤーの表面にフェルト面を密
着させ、水分を１０％まで乾燥させ、サイズプレスで塗
料−１を両面で３ｇ／ｍ² 塗布、乾燥し、水分７％まで
乾燥させて米坪７２ｇ／ｍ² の上質紙を製造した。

【００２６】乾燥パルプの配合は基紙の全固形分に対し
７５．５％、得られた上質紙の灰分は１３．０％（炭酸
カルシウム換算）、ステキヒトサイズ度は３５秒であっ
た。得られた上質紙の片面に実験室においてテストブレ
ードコーターを用いて塗料−２を７ｇ／ｍ² の割合で塗
工、乾燥して被覆層を形成し、インクジェット記録用紙
を製造した。

【００２７】塗料−１成分重量澱粉１００部（王子エースＡ：王子コーンスターチ製）

【００２８】塗料−２成分重量微粒子珪酸１００部（ファインシール：徳山曹達製）ポリビニルアルコール２５部（ＰＶＡ１１７：クラレ製）

【００２９】実施例２軽質炭酸カルシウム２５部を、実施例１で作成した乾燥
パルプＡ７５部、広葉樹晒クラフトパルプ２５部のスラ
リー中に添加し、カチオン澱粉０．８部、アルキルケテ
ンダイマー系中性サイズ剤０．０５部を添加し、十分に
混合して抄紙原料とし、長網多筒式抄紙機を用いて湿紙
を形成し、ヤンキードライヤーの表面にフェルト面を密
着させ、水分を１０％まで乾燥させ、サイズプレスで塗
料−１を両面で３ｇ／ｍ² 塗布、乾燥し、水分７％まで
乾燥させて米坪７２ｇ／ｍ² の上質紙を製造した。

【００３０】乾燥パルプの配合は基紙の全固形分に対し
５９．６％、得られた上質紙の灰分は１２．４％（炭酸
カルシウム換算）、ステキヒトサイズ度は３７秒であっ
た。得られた上質紙の片面に実験室においてテストブレ
ードコーターを用いて塗料−２を６ｇ／ｍ² の割合で塗
工、乾燥して被覆層を形成し、インクジェット記録用紙
を製造した。

【００３１】実施例３古紙パルプ（水分３２％）を３５℃の温水中で２４時間
浸漬させた後、ビーターで３時間処理した後、パルプマ
シンで薄層に抄紙し、乾燥パルプＢ（水分４．５％）を
作成した。軽質炭酸カルシウム２５部を、乾燥パルプＢ
９０部、広葉樹晒クラフトパルプ１０部のスラリー中に
添加し、カチオン澱粉０．８部、アルキルケテンダイマ
ー系中性サイズ剤０．０５部を添加し、十分に混合して
抄紙原料とし、長網多筒式抄紙機を用いて湿紙を形成
し、ヤンキードライヤーの表面にフェルト面を密着さ
せ、水分を１０％まで乾燥させ、サイズプレスで塗料−
１を両面で３ｇ／ｍ² 塗布、乾燥し、水分７％まで乾燥
させて米坪６８ｇ／ｍ² の上質紙を製造した。

【００３２】乾燥パルプの配合は基紙の全固形分に対し
７１．５％、得られた上質紙の灰分は１３％（炭酸カル
シウム換算）、ステキヒトサイズ度は２３秒であった。
得られた上質紙の片面に実験室においてテストブレード
コーターを用いて塗料−２を６ｇ／ｍ² の割合で塗工、
乾燥して被覆層を形成し、インクジェット記録用紙を製
造した。

【００３３】塗料−３成分重量澱粉６６部（王子エースＢ：王子コーンスターチ製）ポリビニルアルコール３４部（ＰＶＡ１０５：クラレ製）

【００３４】実施例４軽質炭酸カルシウム２２部を、実施例３で作成した乾燥
パルプＢ９０部、広葉樹晒クラフトパルプ１０部のスラ
リー中に添加し、カチオン澱粉２．１部、アルキルケテ
ンダイマー系中性サイズ剤０．１部を添加し、十分に混
合して抄紙原料とし、長網多筒式抄紙機を用いて湿紙を
形成し、ヤンキードライヤーの表面にフェルト面を密着
させ、水分を１０％まで乾燥させ、サイズプレスで塗料
−３を両面で４ｇ／ｍ² 塗布、乾燥し、水分６％まで乾
燥させて米坪７４ｇ／ｍ² の上質紙を製造した。

【００３５】乾燥パルプの配合は基紙の全固形分に対し
７２．５％、得られた上質紙の灰分は１１．２％（炭酸
カルシウム換算）、ステキヒトサイズ度は４７秒であっ
た。得られた上質紙の片面に実験室においてテストブレ
ードコーターを用いて塗料−２を６ｇ／ｍ² の割合で塗
工、乾燥して被覆層を形成し、インクジェット記録用紙
を製造した。

【００３６】比較例１軽質炭酸カルシウム２５部を、広葉樹晒クラフトパルプ
１００部のスラリー中に添加し、カチオン澱粉１部、ア
ルキルケテンダイマー系中性サイズ剤０．０５部を添加
し、十分に混合して抄紙原料とし、長網多筒式抄紙機を
用いて湿紙を形成し、ヤンキードライヤーの表面にフェ
ルト面を密着させ、水分を１０％まで乾燥させ、サイズ
プレスで塗料−１を両面で３ｇ／ｍ² 塗布、乾燥し、水
分６％まで乾燥させて米坪７０ｇ／ｍ² の上質紙を製造
した。

【００３７】乾燥パルプの配合は基紙の全固形分に対し
０％、得られた上質紙の灰分は１２％（炭酸カルシウム
換算）、ステキヒトサイズ度は３０秒であった。得られ
た上質紙の片面に実験室においてテストブレードコータ
ーを用いて塗料−２を６ｇ／ｍ² の割合で塗工、乾燥し
て被覆層を形成し、インクジェット記録用紙を製造し
た。

【００３８】比較例２軽質炭酸カルシウム２０部を、実施例３で作成したパル
プＢ１２０部のスラリー中に添加し、カチオン澱粉１
部、アルキルケテンダイマー系中性サイズ剤０．０５部
を添加し、十分に混合して抄紙原料とし、長網多筒式抄
紙機を用いて湿紙を形成し、ヤンキードライヤーの表面
にフェルト面を密着させ、水分を１０％まで乾燥させ、
サイズプレスで塗料−１を両面で３ｇ／ｍ² 塗布、乾燥
し、水分６％まで乾燥させて米坪７０ｇ／ｍ² の上質紙
を製造した。

【００３９】乾燥パルプの配合は基紙の全固形分に対し
８５．１％、得られた上質紙の灰分は１０．６％（炭酸
カルシウム換算）、ステキヒトサイズ度は２８秒であっ
た。得られた上質紙の片面に実験室においてテストブレ
ードコーターを用いて塗料−２を７ｇ／ｍ² の割合で塗
工、乾燥して被覆層を形成し、インクジェット記録用紙
を製造した。

【００４０】比較例３軽質炭酸カルシウム２５部を、実施例１で作成した乾燥
パルプＡ９０部、広葉樹晒クラフトパルプ１０部のスラ
リー中に添加し、カチオン澱粉０．８部、アルキルケテ
ンダイマー系中性サイズ剤０．０４部を添加し、十分に
混合して抄紙原料とし、長網多筒式抄紙機を用いて湿紙
を形成し、ヤンキードライヤーの表面にフェルト面を密
着させ、水分を１０％まで乾燥させ、サイズプレスで塗
料−１を両面で２ｇ／ｍ² 塗布、乾燥し、水分７％まで
乾燥させて米坪６８ｇ／ｍ² の上質紙を製造した。

【００４１】乾燥パルプの配合は基紙の全固形分に対し
７１．５％、得られた上質紙の灰分は１３％（炭酸カル
シウム換算）、ステキヒトサイズ度は１４秒であった。
得られた上質紙の片面に実験室においてテストブレード
コーターを用いて塗料−２を７ｇ／ｍ² の割合で塗工、
乾燥して被覆層を形成し、インクジェット記録用紙を製
造した。

【００４２】比較例４軽質炭酸カルシウム２３部を、実施例１で作成した乾燥
パルプＡ９０部、広葉樹晒クラフトパルプ１０部のスラ
リー中に添加し、カチオン澱粉２部、アルキルケテンダ
イマー系中性サイズ剤０．２部を添加し、十分に混合し
て抄紙原料とし、長網多筒式抄紙機を用いて湿紙を形成
し、ヤンキードライヤーの表面にフェルト面を密着さ
せ、水分を１０％まで乾燥させ、サイズプレスで塗料−
３を両面で５ｇ／ｍ² 塗布、乾燥し、水分７％まで乾燥
させて米坪７４ｇ／ｍ² の上質紙を製造した。

【００４３】乾燥パルプの配合は基紙の全固形分に対し
７１．９％、得られた上質紙の灰分は１１．４％（炭酸
カルシウム換算）、ステキヒトサイズ度は７２秒であっ
た。得られた上質紙の片面に実験室においてテストブレ
ードコーターを用いて塗料−２を７ｇ／ｍ² の割合で塗
工、乾燥して被覆層を形成し、インクジェット記録用紙
を製造した。

【００４４】比較例５広葉樹晒クラフトパルプ（水分３７％）を３５℃の温水
中で２４時間浸漬させた後、パルパーで６時間処理し、
フラッシュドライヤーで乾燥パルプＣ（水分４％）を作
成した。軽質炭酸カルシウム２５部を、乾燥パルプＡ９
５部、広葉樹晒クラフトパルプ５部のスラリー中に添加
し、カチオン澱粉０．８部、アルキルケテンダイマー系
中性サイズ剤０．０５部を添加し、十分に混合して抄紙
原料とし長網多筒式抄紙を用いて湿紙を形成し、ヤンキ
ードライヤーの表面にフェルト面を密着させ、水分を１
０％まで乾燥させ、サイズプレスで塗料−１を両面で３
ｇ／ｍ²塗布、乾燥し、水分７％まで乾燥させて米坪７
４ｇ／ｍ²の上質紙を製造した。

【００４５】乾燥パルプの配合は基紙の全固形分に対し
７５．５％、得られた上質紙の灰分は１３．０％（炭酸
カルシウム換算）、ステキヒトサイズ度は３８秒であっ
た。得られた上質紙の片面に実験室においてテストブレ
ードコーターを用いて塗料−２を６ｇ／ｍ²の割合で塗
工、乾燥して被覆層を形成し、インクジェット記録用紙
を製造した。

【００４６】これらの各塗工紙の評価結果を表１に示
す。インクジェット記録特性の評価は次の方法によっ
た。記録性能インクジェットプリンター（ＤｅｓｋＷｒｉｔｅｒ−
Ｃ：ＨＰ社製）を用い、インク吸収性、インクの発色濃
度の均一性、発色の鮮やかさ及びドットの形状について
行なった。

【００４７】インク吸収性の評価は、プリントしたイン
クが乾燥するまでの秒数を測定した。５秒以下を○、６
〜１０秒を△、１１秒以上を×で示した。

【００４８】インクの発色濃度の均一性は、べた印字を
して、無作為に選んだ２０カ所の光学濃度をマクベス濃
度計（ＫｏｌｌｍｏｒｇｅｎＣｏｒｐ製）で測定し、
ばらつきが０．０５以下を○、０．０６〜０．１を△、
０．１１以上を×で示した。

【００４９】発色の鮮やかさは、イエロー、マゼンタ、
シアンのカラーインクの発色を目視で評価した。発色の
良いものから○、△、×で示した。

【００５０】ドットの形状は真円に近いものから○、
△、×で示した。これらの各塗工紙の評価結果を表１に
示す。

【００５１】

【表１】

【００５２】表１からわかるように、実施例及び比較例
により得られたインクジェット記録用紙は、発色の鮮や
かさに関しては殆ど差はなかったが、インク吸収性、発
色濃度の均一性、ドットの形状に関しては実施例で得ら
れたインクジェット記録用紙の方が比較例のものより優
れている。

【００５３】

【発明の効果】本発明のインクジェットプリンター記録
用紙は、インクの吸収性が優れているだけでなく、均一
なインク吸収が得られるため、均質で優れた発色とドッ
トの形状を有し、高速のインクジェットプリンティング
を可能とするという効果を奏する。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献特開平３−65376（ＪＰ，Ａ) 特開昭59−35980（ＪＰ，Ａ) 特開平４−12880（ＪＰ，Ａ) 特開昭62−178383（ＪＰ，Ａ) 特開平３−38375（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B41M 5/00

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】セルロースパルプを主成分とする基紙
と、この基紙の一面上に形成され、かつ白色顔料と水性
高分子物質を主成分としたインク受容性被覆層とを有
し、前記基紙がシート状で、かつ水分５％以下に拘束乾
燥させたセルロースパルプを５５〜８０重量％含有し、
かつステキヒトサイズ度が２０〜５０秒であることを特
徴とする水性インクジェット記録用紙。