JP3158200B2 - 一槽式洗濯機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、洗濯機、特に脱水槽
及び回転翼を備えた一槽式洗濯機に関する。

【０００２】

【従来の技術】洗濯機、特に一槽式洗濯機においては、
脱水槽と回転翼とが同一駆動源により回転され、洗濯時
には回転翼のみが高トルクで低速回転され、脱水時には
脱水槽と回転翼とが共に高速回転される。

【０００３】従来の技術の同一駆動源で回転駆動される
脱水槽及び回転翼を備えた一槽式洗濯機においては、実
公平３−１９３５４号公報、実開平２−６７９８６号公
報及び実開平２−１０５６３６公報に記載されているよ
うに、遊星歯車機構により上記の高速回転及び低速回転
が選択駆動されるようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記の従来の技術によ
る洗濯機におけるように同一駆動源によって高速回転及
び低速回転を選択駆動するのに、遊星歯車機構を用いる
と、次のような問題がある。

【０００５】（１）歯車の噛み合いによる騒音発生が避
けられない。 （２）トルク伝達のために強度的に歯車、特に太陽歯車
の寸法を小さくするのに限度があり、延いては減速比が
制限される。従って回転翼の高トルク回転には、洗濯機
の駆動源に高トルクが要求され、それが駆動源、即ち洗
濯機の小形化を困難にしている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明による一槽式洗
濯機は、洗濯機ハウジング内の外槽、洗濯機の外槽内に
突出した回転ケースの先端部に取り付けられ、外槽内で
回転可能な脱水槽、脱水槽内に突出した回転翼軸の先端
部に取り付けられ、脱水槽内で回転可能な回転翼及び外
槽の下方に設けられた回転駆動装置から構成され、回転
駆動装置において、回転ケースは、洗濯機ハウジング内
に回転自在に支承されていると共に回転抑止に切換固定
されるようになっており、洗濯機ハウジング内の駆動装
置により回転駆動されるようになっている駆動軸は、回
転ケースに回転自在に挿入されると共に、回転ケースと
回転方向に係合離脱されるようになつており、回転翼を
取り付けた回転翼軸は、駆動軸に対向して回転ケースに
回転自在に挿入されており、駆動軸と回転翼軸と回転ケ
ースとは、太陽ローラ、遊星ローラ、遊星ローラキャリ
ア部及び軌道輪からなる遊星ローラ減速機構を介して連
結されており、遊星ローラキャリア部は、回転ケース内
において回転翼軸に取り付けられて、複数の遊星ローラ
を回転自在に円周配置で支承しており、太陽ローラは、
回転ケース内において駆動軸に取り付けられており、軌
道輪は、その内周面と太陽ローラの外周面との間に遊星
ローラを自転・公転可能に適宜の接触圧をもって嵌装し
ていると共に、回転ケースの内周面に取り付けられてい
る。

【０００７】

【作用】上記の一槽式洗濯機において、先ず、洗濯・水
濯の場合には、脱水槽が静止状態にされて、回転翼のみ
が高トルクで低速回転駆動されるのである。即ち、脱水
槽が回転抑止に切換固定されると共に、駆動装置により
駆動軸が回転駆動されるのである。

【０００８】回転ケースの固定は軌道面の固定となり、
駆動軸の回転は太陽ローラの回転となるので、遊星ロー
ラは、自転しながら軌道面を転動して公転する。その遊
星ローラの公転がキャリア部、即ち回転翼軸の回転とな
る。従って回転翼軸の先端の回転翼は、駆動軸の回転よ
り減速されて高トルクで回転し、脱水槽内の洗濯物及び
洗濯水・洗浄水を撹拌して洗濯・水濯を行う。

【０００９】次に脱水の場合には、脱水槽と回転翼とが
一体的に高速回転駆動し、脱水槽内の洗濯物は高速回転
されるのである。即ち、回転ケースが回転自在に解放さ
れると共に、駆動軸と回転方向に係合され、駆動軸は、
駆動装置により回転駆動される。従って、回転ケースは
駆動軸と一体的に回転するのである。

【００１０】回転ケースと駆動軸との一体的回転により
軌道面と太陽ローラとが一体的に回転することになるの
で、遊星ローラは、自転なしに駆動軸の回転速度で公転
する。その公転がキャリア部、即ち回転翼軸の回転とな
る。従って脱水槽及び回転翼軸は、駆動軸の高速回転の
まま高速回転し、脱水槽内の洗濯物は、遠心脱水され、
その際、回転翼軸、即ち回転翼と脱水槽との相対速度が
零であるから洗濯物の回転に支障はない。

【００１１】

【実施例】この発明の実施例における一槽式洗濯機を図
面に従って説明する。図１に示された自動洗濯機おい
て、洗濯機ハウジング内には、外槽１が固定されて取付
けられると共に、外槽１の下方に回転駆動装置２が設け
られている。

【００１２】回転駆動装置２において、脱水槽中空軸
３、中空のブレーキ胴４及びクラッチ中空軸５の順で三
者が同軸線関係に一体に結合され、上部の脱水槽中空軸
３は、外槽１の底部に、下部のクラッチ中空軸５は、外
槽１の下方に取付けられた支持ハウジング６に夫々転が
り軸受７，７で回転自在に支承されており、脱水槽中空
軸３と外槽１との間にはシール８が介在し、必要に応じ
クラッチ中空軸５と支持ハウジング６との間には一方向
クラッチ９が介在している。

【００１３】脱水槽中空軸３の上端フランジ部は、外槽
１内に突出しており、外槽１に収納された脱水槽10の底
外面の中心に固着される。即ち、脱水孔が穿設された脱
水槽10は、外槽１内において脱水槽中空軸３により支持
されて回転自在である。

【００１４】脱水槽中空軸３に嵌挿された回転翼軸11
は、滑り軸受12でスラストを受けて回転自在に支承さ
れ、その上端部は脱水槽10の底から槽中に突出し、回転
翼（図示しない）が取付けられるようになっており、脱
水槽中空軸３との間にはシール13が介在している。

【００１５】クラッチ中空軸５に嵌挿された駆動軸14
は、滑り軸受15でスラストを受けて回転自在に支承さ
れ、その下端部にはプーリ16のハブ17が取付けられ、ク
ラッチ中空軸５の下端部とプーリ16のハブ17とは、ばね
クラッチ18を介して係合離脱自在に結合されている。プ
ーリ16と洗濯機ハウジング内に設置された電動機のモー
タ軸に固着されたプーリとには、無端ベルト19が巻掛け
られている。

【００１６】駆動軸14は、脱水槽中空軸３（ブレーキ胴
４）及び回転翼軸11と遊星ローラ減速機構により関係付
けられている。即ち、ブレーキ胴４内において、駆動軸
14の上端部には太陽ローラ20が固着され、回転翼軸11の
下端部にはキャリア円板部21が固着されており、キャリ
ア円板部21の周辺部には円周等配に複数（例えば３乃至
４）の駆動ピン22，22‥が軸線方向に植設され、各駆動
ピン22には遊星ローラ23が回転自在に支承されている。
支承には、滑り軸受、又は転がり軸受を用いてもよい。
遊星ローラ23は、駆動ピン22への挿通支承でなく、キャ
リア部の凹部に回転自在に支承されてもよい。

【００１７】又、ブレーキ胴４の内周面には、軌道輪24
が固着されており、遊星ローラ23の外周面は、組立時の
締け代により適宜の接触圧をもって太陽ローラ20の外周
面に外接すると共に軌道輪24の内周軌道面に内接してい
る。

【００１８】更に、ブレーキ胴４の外周面には、制動面
４ａが形成され、制動装置25により緊張・弛緩されるブ
レーキベルト26が巻かれている。

【００１９】上記の一槽式洗濯機の操作・作用について
述べる。先ず、洗濯・水濯の場合には、脱水槽３が静止
状態にされて、回転翼23のみが高トルクで一方向乃至正
逆両方向に低速回転駆動されるのである。

【００２０】電動機が一方向乃至正逆両方向に駆動され
ると、無端ベルト19を介してプーリ16が回転する。ばね
クラッチ18は離脱状態にされているので、駆動軸14のみ
が回転駆動される。

【００２１】その際、制動装置25によりブレーキベルト
26が緊張状態に保たれ、制動面４ａにブレーキベルト26
が圧接されてブレーキ胴４は固定されるので、脱水槽
は、外槽１に対し固定される。ブレーキベルト26による
制動が一方向（例えば正方向）回転に対しては確実であ
るが、逆方向回転に対しては不十分である場合があり、
それに対処するべく、駆動軸14が逆方向に回転する場
合、支持ハウジング６に対しクラッチ中空軸５の正方向
回転を許すが逆方向回転を阻止するように一方向クラッ
チ９が働く。従って、駆動軸14の正逆両方向の回転にお
いて、ブレーキ胴４は完全に固定される。

【００２２】減速遊星ローラ機構において、ブレーキ胴
４の固定は軌道輪24、即ち軌道面の固定となり、駆動軸
14の回転は太陽ローラ20の回転となるので、遊星ローラ
23，23‥は、自転しながら軌道面を転動して公転する。
その結果、駆動ピン22，22‥は、遊星ローラ共々公転
し、それがキャリア円板部21、即ち回転翼軸11の回転と
なる。

【００２３】従って回転翼軸11の先端の回転翼は、駆動
軸14の回転より減速されて、例えば１／５．５位に減速
されて高トルクで一方向乃至正逆両方向に回転し、脱水
槽内の洗濯物及び洗濯水・洗浄水を撹拌して洗濯・水濯
を行う。

【００２４】次に脱水の場合には、脱水槽３と回転翼と
が一体的に高速回転駆動し、脱水槽内の洗濯物は高速回
転されるのである。制動装置25によりブレーキベルト26
が弛緩状態に保たれると、制動面４ａは、ブレーキベル
ト26から解放され、ブレーキ胴４、即ち脱水槽中空軸３
に取付けられた脱水槽は、外槽１に対し回転自在にな
る。そして、電動機が駆動されると、無端ベルト19を介
してプーリ16が回転する。その際、ばねクラッチ18は係
合状態にされており、従って、駆動軸14とクラッチ中空
軸５とが共に回転する。そして、クラッチ中空軸５の正
方向の回転は、一方向クラッチ９により阻止されない。

【００２５】減速遊星ローラ機構においては、駆動軸14
とクラッチ中空軸５、即ちブレーキ胴４との一体的回転
は、軌道輪24、即ち軌道面と太陽ローラ20との一体的に
回転ということになるので、遊星ローラ23，22‥は、自
転なしに駆動軸14の回転速度で公転する。その結果、駆
動ピン22，22‥は、遊星ローラ共々公転し、それがキャ
リア円板部21、即ち回転翼軸11の回転となる。

【００２６】従って脱水槽及び回転翼軸11は、駆動軸14
の高速回転のまま高速回転し、脱水槽内の洗濯物は、遠
心脱水され、脱水孔23ａから外槽１に流出した水は外槽
１から排水される。その際、回転翼軸11、即ち回転翼と
脱水槽との相対速度が零であるから洗濯物の回転に支障
はない。

【００２７】

【発明の効果】この発明による洗濯機においては、回転
翼の低速度・高トルク回転及び脱水槽の高速回転を同一
駆動源によって行うのに遊星ローラ減速機構が用いられ
ているので、従来の技術における洗濯機のような歯車の
噛み合いによる騒音が発生しない。家庭における洗濯機
の使用時の騒音問題が軽減される。

【００２８】又、ローラ、特に太陽ローラの径の小径化
が余り制限されないので、低トルク、高速回転が高トル
ク・低速回転に高比率で変速し得ので、駆動源、即ち洗
濯機の小形化が図れ、家庭における洗濯機スペースの問
題が軽減される。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例における一槽式洗濯機の断面
構成図である。

【符号の説明】 １ 外槽 ２ 回転駆動装置 ３ 脱水槽中空軸 ４ ブレーキ胴 ４ａ 制動面 ５ クラッチ中空軸 ６ 支持ハウジング ７ 転がり軸受 ８，13 シール ９ 一方向クラッチ 10 脱水槽 11 回転翼軸 12，15 滑り軸受 14 駆動軸 16 プーリ 17 ハブ 18 ばねクラッチ 19 無端ベルト 20 太陽ローラ 21 キャリア円板部 22 駆動ピン 23 遊星ローラ 24 軌道輪 25 制動装置 26 ブレーキベルト

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 浩一 大阪市中央区南船場三丁目５番８号 光 洋精工株式会社内 (56)参考文献 特開 平３−73191（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−217653（ＪＰ，Ａ) 実開 平２−130584（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭53−8862（ＪＰ，Ｂ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) D06F 37/30 D06F 37/40 F16H 13/08

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 洗濯機ハウジング内の外槽、洗濯機の外
   槽内に突出した回転ケースの先端部に取り付けられ、外
   槽内で回転可能な脱水槽、脱水槽内に突出した回転翼軸
   の先端部に取り付けられ、脱水槽内で回転可能な回転翼
   及び外槽の下方に設けられた回転駆動装置から構成さ
   れ、 回転駆動装置において、回転ケースは、洗濯機ハウジン
   グ内に回転自在に支承されていると共に回転抑止に切換
   固定されるようになっており、 洗濯機ハウジング内の駆動装置により回転駆動されるよ
   うになっている駆動軸は、回転ケースに回転自在に挿入
   されると共に、回転ケースと回転方向に係合離脱される
   ようになつており、回転翼を取り付けた回転翼軸は、駆動軸に対向して回転
   ケースに回転自在に挿入されており、 駆動軸と回転翼軸と回転ケースとは、太陽ローラ、遊星
   ローラ、遊星ローラキャリア部及び軌道輪からなる遊星
   ローラ減速機構を介して連結されており、 遊星ローラキャリア部は、回転ケース内において回転翼
   軸に取り付けられて、複数の遊星ローラを回転自在に円
   周配置で支承しており、 太陽ローラは、回転ケース内において駆動軸に取り付け
   られており、 軌道輪は、その内周面と太陽ローラの外周面との間に遊
   星ローラを自転・公転可能に適宜の接触圧をもって嵌装
   していると共に、回転ケースの内周面に取り付けられて
   いる 一槽式洗濯機。